JP5247051B2 - 燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック、ならびに燃料電池 - Google Patents

燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック、ならびに燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解質の一方側の表面上に中間層と酸素側電極とを順に設けるとともに、固体電解質の酸素側電極と対向する他方側の表面上に燃料側電極を設けてなる燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック、ならびに燃料電池に関する。
次世代エネルギーとして、近年、燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなる燃料電池セルスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
図3は、従来の固体電解質形燃料電池セルスタックを示すものであり、この燃料電池セルスタックは、複数の燃料電池セル21(21a、21b)を整列集合させ、一方の燃料電池セル21aと他方の燃料電池セル21bとの間に金属フェルトからなる集電部材25を介在させ、一方の燃料電池セル21aの燃料側電極27と他方の燃料電池セル21bの酸素側電極23とを電気的に接続して構成されている。
また、燃料電池セル21(21a、21b)は、円筒状の金属からなる燃料側電極27の外周面に、固体電解質29、導電性セラミックスからなる酸素側電極23を順次設けて構成されており、固体電解質29、酸素側電極23から露出した燃料側電極27には、酸素側電極23と接続しないようインターコネクタ22が設けられ、燃料側電極27と電気的に接続している。
このインターコネクタ22は、燃料側電極27の内部を流れる燃料ガスと、酸素側電極23の外側を流れる酸素含有ガスとを確実に遮断するため、緻密で、燃料ガス及び酸素含有ガスで変質しにくい導電性セラミックスにより形成されている。
一方の燃料電池セル21aと他方の燃料電池セル21bとの電気的接続は、一方の燃料電池セル21aの燃料側電極27を、燃料側電極27に設けられたインターコネクタ22、集電部材25を介して、他方の燃料電池セル21bの酸素側電極23に接続することにより行われる。
また、燃料電池は、上記燃料電池セルスタックを収納容器内に収容して構成され、燃料側電極27内部に燃料(水素)を流し、酸素側電極23に空気(酸素)を流して1000℃程度で発電される。
このような燃料電池セル21では、一般に、燃料側電極27が、NiとYを含有するZrO(YSZ)とからなり、固体電解質29がYを含有するZrO(YSZ)からなり、酸素側電極23はSrが共存するLaMnO系複合酸化物から形成されている。
また最近では、固体電解質と酸素側電極とを同時焼成する製法も提案されている。しかしながら、固体電解質と酸素側電極とを同時焼成した場合においては、酸素側電極に含有されるSrが固体電解質中に拡散し、界面に電気抵抗の高い反応層が形成され、これにより燃料電池セルの性能低下を引き起こすという問題があった。
それゆえ、固体電解質と酸素側電極との同時焼成における、燃料電池セルの性能低下を防止することを目的として、固体電解質と酸素側電極との間に中間層を形成した燃料電池セルやその製法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、ヒートサイクルに対する耐久性に優れ、かつ十分な発電性能を有する固体電解質形燃料電池を提供すべく、燃料極基板の表面に固体電解質層、反応防止層、混合層、空気極層を順次積層してなるとともに、混合層は反応防止層と空気極層の材料を含有してなる固体電解質形燃料電池が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−288914号公報 特開2004−63226号公報 特開2005−327637号公報
しかしながら、固体電解質と酸素側電極との間に1層からなる中間層を形成した場合、酸素側電極に含有されるSrの固体電解質中への拡散を完全に抑制することは難しく、長期的に発電を行なった場合に、固体電解質中へ拡散した(固体電解質中に含まれる)Srと固体電解質成分とが反応し、高抵抗の反応生成物により、燃料電池の発電性能が劣化するという問題があった。
また、固体電解質を先に焼成し、その後中間層を焼き付ける燃料電池セルにおいては、固体電解質と中間層との固着力が不足し、長期的に燃料電池の発電を行った場合に、固体電解質と中間層との間に剥離が生じ、燃料電池の発電性能が劣化するという問題もあった。
さらには、特許文献3のように、固体電解質層と酸素極側電極との剥離を防止すべく、固体電解質層の表面に反応防止層を設けるとともに、反応防止層の表面に酸素側電極の成分を含有する混合層を設けた場合であっても、長期的に燃料電池の発電を行った場合に、混合層に含有される酸素側電極の成分や酸素側電極の成分が、固体電解質中へ拡散して高抵抗の反応生成物を形成し、燃料電池の発電性能が劣化するという問題があった。
それゆえ、本発明は、酸素側電極に含有されるSrが固体電解質中に含まれる(拡散される)ことを防止し、固体電解質中での高抵抗の反応生成物の形成を防止するとともに、発電性能の劣化を抑制した燃料電池セル、それを用いる燃料電池セルスタックおよび燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池セルは、固体電解質の一方側の表面上に中間層とSrを含有する酸
素側電極とを順に備えるとともに、前記固体電解質の前記酸素側電極と対向する他方側の表面上に燃料側電極を備える燃料電池セルであって、前記中間層は前記固体電解質側の表層領域が、前記燃料電池セルの前記燃料側電極の側に水素を流し、850℃で10時間の条件で前記燃料側電極の還元処理を施した場合に、Srの前記固体電解質への拡散がおこらない緻密さで緻密に形成されていることを特徴とする。
このような燃料電池セルにおいては、固体電解質と酸素側電極との間に中間層を備えることにより、酸素側電極に含有されるSrが固体電解質中に拡散することを防止することができる。それにより、固体電解質中において固体電解質成分とSrとが高抵抗の反応成生物を形成することを防止でき、長時間の発電における燃料電池セルの発電性能の劣化を防止することができる。
ここで、中間層の固体電解質側の表層領域が、燃料電池セルの燃料側電極の側に水素を流し、850℃で10時間の条件で燃料側電極の還元処理を施した場合に、Srの固体電解質への拡散がおこらない緻密さで緻密に形成されていることから、酸素側電極に含有されるSrが、中間層の他の領域を透過して表層領域へと拡散した場合であっても、Srが固体電解質中に拡散することを防止できる。これは、はっきりとした要因は分からないが、主にSrが粒界拡散をするためと考えられる。それにより、固体電解質中でSrと固体電解質との反応成生物が形成されることを防止できることから、燃料電池セルの発電性能の劣化が引き起こされることが抑制でき、長時間の発電における燃料電池セルの発電性能の劣化を抑制することができる。
また、本発明の燃料電池セルは、前記中間層は表層領域を形成する第1の層と、他の領域を形成する第2の層とを有し、前記第1の層と前記固体電解質とは同時焼成にて形成されていることが好ましい。
このような燃料電池セルにおいては、固体電解質と中間層の表層領域を形成する第1の層とを同時焼成にて形成することにより、固体電解質と第1の層とが強固に接合され、固体電解質と第1の層とが剥離することを抑制できる。それにより、固体電解質と第1の層とが剥離することを抑制できることから、長時間の発電における燃料電池セルの発電性能の劣化を抑制することができる。
また、本発明の燃料電池セルは、前記第1の層の厚みが1〜10μmであり、前記第2の層の厚みが5〜20μmであることが好ましい。
このような燃料電池セルにおいては、中間層の第1の層の厚みを1〜10μmとすることで、酸素側電極に含有されるSrが固体電解質中に拡散することを防止することができる。
一方、中間層の第2の層の厚みを5〜20μmとすることにより、長期連続運転により酸素側電極に含有されるSrの第2の層を透過する量を少なくすることができる。それにより、酸素側電極に含有されるSrが固体電解質中に拡散することを防止でき、長時間の発電における燃料電池セルの発電性能の劣化を抑制することができるとともに、長期信頼性に優れた燃料電池セルとすることができる。
また、本発明の燃料電池セルは、前記第1の層と前記第2の層とが、同一の希土類元素(Srを除く)を含有することが好ましい。
このような燃料電池セルにおいては、中間層の第1の層と第2の層とが、同一の希土類元素を含有することにより、第1の層と第2の層との接合強度を向上することができる。したがって、第1の層と第2の層とが剥離することを抑制でき、長時間の発電における燃料電池セルの発電性能の劣化を抑制することができるとともに、長期信頼性に優れた燃料電池セルとすることができる。
本発明の燃料電池セルスタックは、上記のうちいずれかに記載の燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなることを特徴とする。
このような燃料電池セルスタックにおいては、長時間の発電における発電性能の劣化を抑制し、長期信頼性に優れた燃料電池セルを電気的に複数個接続して構成されることから、長期信頼性に優れた燃料電池セルスタックとすることができる。
本発明の燃料電池は、上記燃料電池セルスタックを収納容器に収納してなることを特徴とする。
このような燃料電池においては、長期信頼性に優れた燃料電池セルスタックを収納容器に収納してなることを特徴とすることから、長期信頼性に優れた燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池セルは、固体電解質の一方側の表面上に中間層とSrを含有する酸素側電極層を順に備え、その中間層のうち固体電解質側の表層領域が、燃料電池セルの燃料側電極の側に水素を流し、850℃で10時間の条件で燃料側電極の還元処理を施した場合に、Srの固体電解質への拡散がおこらない緻密さで緻密に形成されていることから、長時間の発電における発電性能の劣化を抑制した、長期信頼性に優れた燃料電池セルとすることができる。さらには、本発明の燃料電池セルを用いて構成される、長期信頼性に優れた燃料電池セルスタック、および長期信頼性に優れた燃料電池を提供することができる。
図1(a)は、中空平板形の燃料電池セル10の横断面を示し、(b)は(a)の斜視図である。なお、両図面において、燃料電池セル10の各構成を一部拡大等して示している。また、図2は、本発明の燃料電池セル10の発電に携わる部位を、一部抜き出して拡大した断面図である。
燃料電池セル10は、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状の導電性支持基板3を備えている。導電性支持基板3の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス通路5が長手方向に形成されており、燃料電池セル10は、この導電性支持基板3上に各種の部材が設けられた構造を有している。
導電性支持基板3は、図1に示されている形状から理解されるように、平坦部nと平坦部nの両端の弧状部mとからなっている。平坦部nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、平坦部nの一方の面(下面)と両側の弧状部mを覆うように燃料側電極7が設けられており、さらに、この燃料側電極7を覆うように、緻密質な固体電解質9が積層されている。また、固体電解質9の上には、中間層4を介して、燃料側電極7と対面するように、Srを含有する酸素側電極1が積層されている。また、燃料側電極7及び固体電解質9が積層されていない他方の平坦部nの表面には、インターコネクタ2が形成されている。図1から明らかな通り、燃料側電極7及び固体電解質9は、インターコネクタ2の両サイドにまで延びており、導電性支持基板3の表面が外部に露出しないように構成されている。
ここで、燃料電池セル10は、燃料側電極7の酸素側電極1と対面している部分が燃料側電極として機能して発電する。即ち、酸素側電極1の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ導電性支持基板3内のガス通路5に燃料ガス(水素)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生成した電流は、導電性支持基板3に取り付けられているインターコネクタ2を介して集電される。
本発明においては、導電性支持基板3の外面に設けられた固体電解質9は、3〜15モル%のY、Sc、Yb等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrOからなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質9は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
また、本発明において酸素側電極1は、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成されるのが好ましい。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにSrとLaが共存するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO系酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型酸化物においては、Bサイトに、CoとともにFeやMnが存在しても良い。
また、酸素側電極1は、ガス透過性を有する必要があり、従って、酸素側電極1を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30乃至50%の範囲にあることが好ましい。さらには、酸素側電極1の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
そして本発明においては、固体電解質9の表面に中間層4を備える。ここで、中間層4は、固体電解質9側の表層領域(本図においては4aで示す)が他の領域(本図においては4bで示す)よりも緻密に形成されている。それにより、燃料電池セル10の長時間の発電により、酸素側電極1に含有されるSrが固体電解質9側に拡散する場合であっても、中間層4により、Srが固体電解質9中へ拡散することを防止できる。さらに、Srが中間層4の他の領域4bを透過した場合であっても、中間層4の緻密質な表層領域4aにより、Srの拡散を防止することができ、Srが固体電解質9中へ拡散することを防止できる。これは、はっきりとした要因は分からないが、主にSrが粒界拡散をするためと考えられる。それにより、固体電解質9中において、固体電解質9の成分と酸素側電極1に含有されるSrとの反応による電気抵抗の高い反応層の形成を防止することができることから、燃料電池セル10の性能劣化が引き起こされることが抑制でき、長時間の発電における燃料電池セル10の発電性能の劣化を抑制することができる。
なお、このような中間層4の表層領域4aと中間層の他の領域4bは、表層領域を第1の層4aとし、他の領域を第2の層4bとして形成することができる。この場合において、第2の層4bは、第1の層4aよりも緻密度が低ければよく、複数の層より形成されていてもよい。それゆえ、例えば第2の層4bを2層から形成し、中間層4を全体として3層から形成することや、それ以上の層数として形成することも可能である。
そして、中間層4を第1の層4aと第2の層4bとから形成する場合においては、第1の層4aおよび第2の層4bは、例えば同一の希土類元素(Srを除く)を含有するように形成することが好ましい。それにより、第1の層4aと第2の層4bとの熱膨張係数を近づけることができ、第1の層4aと第2の層4bとの接合強度を向上することができる。なおここで、Srを除くこととしたのは、長期間の発電により固体電解質9中にSrが含有されることを有効に防止するためである。
そのような同一の希土類元素としては、例えばCeが挙げられ、特には、第1の層4aおよび第2の層4bを作製するにあたり、その原料粉末は、例えば、下記式
(1):(CeO1−x(REO1.5
(1)式中、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数である
で表される組成を有していることが好ましい。ここでCe以外の希土類元素REとしては、Sm、Y、Yb、Gdが挙げられ、さらにこれらの希土類元素を適宜選択して用いることができる。これにより、同一の希土類元素を少なくとも1種含有する原料粉末により第1の層4aおよび第2の層4bを形成した場合には、第1の層4aおよび第2の層4bの熱膨脹係数を小さくすることができる。それにより、例えばZrを含有する固体電解質9の熱膨張係数に近づけることができるため、熱膨張差に起因するクラックの発生や剥離を抑制することができる。なお、第1の層4aおよび第2の層4bを、同じ組成より作製することもできる。
さらには、第1の層4aおよび第2の層4bは、例えば、SmやGdが固溶したCeOであることが好ましく、その原料粉末は、下記式
(2):(CeO1−x(SmO1.5
(3):(CeO1−x(GdO1.5
(2)、(3)式中xは0<x≦0.3を満足する数である
で表される組成を有していることが好ましい。またさらには、電気抵抗を低減するという点から、10〜20モル%のSmO1.5またはGdO1.5が固溶したCeOからなることが好ましい。なお、この原料粉末に固体電解質9の成分とSrとの反応生成物の形成を抑制する効果を高くするために、他の希土類元素の酸化物を含有しても良い。
そして、固体電解質9の一方側の表面上に、中間層4(第1の層4a、第2の層4b)とSrを含有する酸素側電極を順に形成したことにより、酸素側電極1に含有されるSrが固体電解質9中に含まれる(拡散する)ことを防止でき、燃料電池セル10の性能劣化が引き起こされることが抑制でき、長時間の発電における燃料電池セル10の発電性能の劣化を抑制することができる。なお、固体電解質9中にSrが含まれないとは、例えばEPMA(X線マイクロアナライザ)にて面分析した場合に、固体電解質9中にSrが確認できない場合を意味する。
さらに、固体電解質9と第1の層4aは同時焼成にて形成され、第2の層4bおよび酸素側電極1は第1の層4a上に順に形成されていることが好ましい。すなわち、第2の層4bは、固体電解質9と第1の層4aが同時焼成にて形成された後、別工程にて形成されることが好ましい。
このような作製方法については後述するが、固体電解質9と第1の層4aが高温で同時焼成にて形成されることから、固体電解質9と第1の層4aとの接合を強固にすることができるとともに、第1の層4aを緻密質とすることができる。
また、第2の層4bは、第1の層4aの表面に、同時焼成とは別工程にて形成されることにより、緻密度を第1の層4aよりも低くして形成することができる。それゆえ、例えば、第2の層4bが形成された後に、酸素側電極1を形成する場合においては、第2の層4bと酸素側電極1とは、アンカー効果により接合強度を向上することができる。それにより、第2の層4bと酸素側電極1とが剥離することを抑制でき、長時間の発電における燃料電池セル10の発電性能の劣化を抑制することができる。
ここで、第2の層4bが複数の層よりなる場合においては、酸素側電極1と接合される層はアンカー効果により接合されることが好ましため、第2の層4bを構成するそれ以外の各層を適宜順に形成したのち酸素側電極1と接合される層を別途形成する等、適宜調整して作製することができる。
なお、第2の層4bは第1の層4aよりも緻密度が低ければよく、酸素側電極1の成分であるSrが、固体電解質9中に含まれないようにすべく(拡散することを抑制すべく)、第2の層4bを緻密化させることを制限するものではない。ただし、第2の層4bと酸素側電極1とがアンカー効果にて強固に接合できるよう、適宜調整して第2の層4bを作製することが好ましい。
第2の層4bを緻密化させることにより、酸素側電極1に含有されるSrが固体電解質9側へ拡散することをより防止(抑制)することができる。なお、第2の層4bを緻密化させるにあたって、第2の層4bの熱処理温度や熱処理時間を、第2の層4bとなる原料の粒径にあわせて適宜変更することにより、第2の層4bを緻密化させることができる。
なお、第2の層4bは、第1の層4aよりも緻密度を低くすることが好ましいことから、例えば第1の層4aと固体電解質9との同時焼成時の焼成温度よりも低い温度で熱処理(焼成)することが好ましい。具体的には、例えば、同時焼成時の焼成温度より200℃以上低い温度で熱処理して形成されることが好ましい。そのような具体的な温度としては、例えば、第2の層4bは、1100〜1300℃にて形成することが好ましい。それにより、第2の層4aは、第1の層4aよりも緻密度を低くすることができ、酸素側電極1との接合強度を向上できる。
また、本発明の燃料電池セルは、第1の層4aの厚みを1〜10μmとし、第2の層4bの厚みを5〜20μmとすることが好ましい。
第1の層4aの厚みを1〜10μmとすることで、酸素側電極1に含有されるSrが、固体電解質9中へ拡散することを効果的に防止できる。またあわせて、同時焼結する際に、固体電解質9と第1の層4aとが剥離することを防止できる。
さらに、第2の層4bの厚みを5〜20μmとすることにより、長期連続運転により酸素側電極1に含有されるSrの第2の層4bを透過する量を少なくすることができる。それにより、酸素側電極1に含有されるSrが固体電解質中に拡散することを防止でき、長時間の発電における燃料電池セル10の発電性能の劣化を抑制することができるとともに、長期信頼性に優れた燃料電池セルとすることができる。
なお、第2の層4bの厚みを20μm以上とした場合には、第1の層4aとの熱膨張差により、第1の層4aと第2の層4bとが剥離を生じる場合があるため注意が必要となる。
以下に、本発明の燃料電池セル10を構成する他の部材について説明する。
導電性支持基板3は、燃料ガスを燃料側電極7まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ2を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、鉄族金属成分と特定の希土類酸化物とにより形成されることが好ましい。
鉄族金属成分としては、鉄族金属単体、鉄族金属酸化物、鉄族金属の合金もしくは合金酸化物等が挙げられる。より詳細には、例えば、鉄族金属としては鉄、ニッケル及びコバルトがあり、本発明では、何れをも使用することができるが、安価であること及び燃料ガス中で安定であることから、鉄族成分としてNi及び/またはNiOを含有していることが好ましい。
また、希土類酸化物成分は、導電性支持基板3の熱膨張係数を固体電解質9の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む希土類酸化物が、上記鉄族成分と組合せで使用される。このような希土類酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、鉄族金属の酸化物との固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質9と殆ど同程度であり、かつ安価であるという点から、Y、Ybが好ましい。
また、本発明においては、導電性支持基板3の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質9と近似させるという点で、鉄族金属成分:希土類酸化物成分=35:65乃至65:35の体積比で存在することが好ましい。なお、導電性支持基板3中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、導電性支持基板3は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35乃至50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持基板3の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
なお、導電性支持基板3の具体的な寸法としては、平坦部nの長さ15〜35mm、弧状部mの長さ(弧の長さ)2〜8mm、導電性支持基板3の厚み(平坦部nの両面の間隔)1.5〜5mmのものを挙げることができる。
本発明において、燃料側電極7は、電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成されるのが好ましい。例えば、希土類元素が固溶したZrOまたは希土類元素が固溶しているCeOと、Ni及び/またはNiOとから形成される。
燃料側電極7中の希土類元素が固溶したZrOまたは希土類元素が固溶しているCeOの含量は、35乃至65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65乃至35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料側電極7の開気孔率は、15%以上、特に20乃至40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。例えば、燃料側電極7の厚みがあまり薄いと、性能が低下するおそれがあり、またあまり厚いと、固体電解質9と燃料側電極7との間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
また、図1の例では、燃料側電極7は、インターコネクタ2の両サイドにまで延びているが、酸素側電極1に対面する位置に存在して燃料側電極7が形成されていればよいため、例えば酸素側電極1が設けられている側の平坦部nにのみ燃料側電極7が形成されていてもよい。また、インターコネクタ2は、固体電解質9が設けられていない側の導電性支持基板3の平坦部分n上に直接設けることもでき、この場合にはインターコネクタ2と導電性支持基板3との間の電位降下を抑制できる。
また、インターコネクタ2と導電性支持基板3との間に、インターコネクタ2、導電性支持基板3間の熱膨張係数差を軽減する等のために燃料側電極7と類似する組成からなる層8を形成しても良い。なお、図1では、インターコネクタ2と導電性支持基板3との間に、燃料側電極7と類似する組成からなる層8を形成した状態を示している。
また、上記の酸素側電極1に対向する位置において、燃料側電極7と類似組成からなる層8を介して導電性支持基板3上に設けられているインターコネクタ2は、導電性セラミックスから形成されるのが好ましいが、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が使用される。また、導電性支持基板3の内部を通る燃料ガス及び導電性支持基板3の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
また、インターコネクタ2の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜200μmであることが好ましい。この範囲よりも厚みが薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚みが大きいと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがある。
また、インターコネクタ2の外面(上面)には、P型半導体6を設けることが好ましい。集電部材を、P型半導体6を介してインターコネクタ2に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。
このようなP型半導体6としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。具体的には、インターコネクタ2を構成するLaCrO系酸化物よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体6の厚みは、一般に、30乃至100μmの範囲にあることが好ましい。
以上説明した本発明の燃料電池セル10の製法について説明する。なお、説明において第2の層4bを1層として形成する場合を示す。
先ず、Ni等の鉄族金属或いはその酸化物粉末と、Yなどの希土類酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により導電性支持基板3成形体を作製し、これを乾燥する。なお、導電性支持基板3成形体として、導電性支持基板3成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
次に例えば所定の調合組成に従いNiO、Yが固溶したZrO(YSZ)の素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダー及び溶媒を混合して燃料側電極7用スラリーを調製する。
さらに、希土類元素が固溶したZrO粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、7〜75μmの厚さに成形してシート状の固体電解質9成形体を作製する。得られたシート状の固体電解質9成形体上に燃料側電極7用スラリーを塗布して燃料側電極7成形体を形成し、この燃料側電極7成形体側の面を導電性支持基板3成形体に積層する。なお、燃料側電極7用スラリーを導電性支持基板3成形体の所定位置に塗布し乾燥して、燃料側電極7用スラリーを塗布した固体電解質9成形体を導電性支持基板3成形体に積層しても良い。
続いて、例えば、SmO1.5が固溶したCeO粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、その後湿式解砕して凝集度を5〜35に調整し、中間層4成形体用の原料粉末を調整する。湿式解砕は溶媒を用いて10〜20時間ボールミルすることが望ましい。なお、中間層4をGdO1.5が固溶したCeO粉末より形成する場合も同様である。
本発明では、凝集度が調製された中間層4成形体の原料粉末に、溶媒としてトルエンを添加し、中間層4用スラリーを作製し、このスラリーを固体電解質9成形体上に塗布して第1の層4aの塗布膜を形成し、第1の層4a成形体を作製する。なお、シート状の第1の層4a成形体を作製し、これを固体電解質9成形体上に積層してもよい。
続いて、インターコネクタ2用材料(例えば、LaCrO系酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ2用シートを作製し、固体電解質9成形体が形成されていない導電性支持基板3成形体の露出面に積層する。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1400〜1600℃にて2〜6時間、同時焼成する。
その後、形成された第1の層4a焼結体の表面に上記中間層用スラリーを塗布して第2の層4b成形体を作製して焼結する。なお、本発明において、第2の層4b成形体を焼結するにあたって、固体電解質9と第1の層4aの同時焼成時の温度より、200℃以上低いことが好ましく、例えば1100℃〜1300℃で行うことが好ましい。
なお、第2の層4bを複数の層から形成する場合にあたっては、第2の層4bを構成する各層を順に焼結する等、適宜作製方法を調整して作製することができる。
ここで、第2の層4bを緻密化するにあたっては、上記中間層用原料の粒径や焼結温度等により、焼結時間を適宜調整することができる。なお、第2の層4bと第1の層4aとを焼結して固着した後、さらに継続して焼付けることにより、第2の層4bを緻密化させることも可能である。この場合に、継続して焼付ける温度や焼付け時間は、第2の層4bと酸素側電極1とが強固に接合できるよう、適宜調整して行うことが好ましい。なお、第2の層4bと第1の層4aとを固着させるための焼結時間としては、2〜6時間とすることができる。
また、本願発明の固体電解質9成形体とは、固体電解質9仮焼体も含む概念であり、固体電解質9仮焼体に中間層4成形体を積層しても良い。
さらに、酸素側電極1用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)、溶媒及び増孔剤を含有するスラリーをディッピング等により中間層4上に塗布する。また、インターコネクタ2の所定の位置に、必要により、P型半導体層6用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)と溶媒を含むスラリーを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1に示す構造の本発明の燃料電池セル10を製造できる。なお、燃料電池セル10は、その後内部に水素ガスを流し、導電性支持基板3および燃料側電極7の還元処理を行なうのが好ましい。その際、たとえば750〜1000℃にて5〜20時間還元処理を行なうのが好ましい。
すなわち、本発明の燃料電池セル10の作製時において、第1の層4aと第2の層4bは別工程により作製されるとともに、第2の層4bを焼き付けた後、酸素側電極1を焼き付けることから、第2の層4bは、酸素側電極1の成分を含有しないこととなる。それにより、燃料電池セル10作製後、直ちに酸素側電極1に含有される成分が固体電解質9側へ拡散することを抑制できる。
また、本発明の燃料電池セルスタックは、上記のようにして作成した燃料電池セル10を、複数個立設して配列した状態で、マニホールドに固着し、これら燃料電池セル10間に、集電部材を一方の燃料電池セル10の酸素側電極1に導電性セラミック等の導電性接着材により接合するとともに、隣接する他方の燃料電池セル10のP型半導体層6に導電性接着材により接合し、これにより、複数の燃料電池セル10が電気的に直接に接続され、燃料電池セルスタックが構成される。
本発明の燃料電池セルスタックは、上記のようにして作製した燃料電池セル10を電気的に複数個接続することにより、長期信頼性に優れた燃料電池セルスタックとすることができる。
さらに、本発明の燃料電池は、上記燃料電池セルスタックを収納容器に収納し、この収納容器に、都市ガス等の燃料ガスを供給する燃料ガス導入管及び空気を供給するための空気導入管を配設することにより構成される。
本発明の燃料電池は、上記燃料電池セルスタックを収納容器に収納してなることを特徴とすることから、長時間の発電における発電性能の劣化を防止した、長期信頼性に優れた
燃料電池とすることができる。その際、燃料電池セルスタックを、複数個連結して収納容器に収納することもできる。
第2の中間層4bを1つの層として形成する場合の例を以下に示す。
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.9μmのY粉末を焼成‐還元後における体積比率が、Niが48体積%、Yが52体積%になるように混合し、有機バインダーと溶媒にて作製した坏土を押出成形法にて成形し、乾燥、脱脂して導電性支持基板3成形体を作製した。なお、試料No.1においては、Y粉末の焼成‐還元後における体積比率が、Niが45体積%、Yが55体積%となるようにした。
次に平均粒径0.5μmのNiO粉末とYが固溶したZrO粉末と有機バインダーと溶媒を混合した燃料側電極7用スラリーを作製し、前記導電性支持基板3成形体上に、スクリーン印刷法にて塗布、乾燥して、燃料側電極7用のコーティング層を形成した。次に8mol%のイットリウムが固溶したマイクロトラック法による粒径が0.8μmのZrO粉末(固体電解質9原料粉末)と有機バインダーと溶媒とを混合して得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法にて厚み30μmの固体電解質9用シートを作製した。前記固体電解質9用シートを、燃料側電極7のコーティング層上に貼り付け、乾燥した。なお、試料No.3においてはZrO粉末の粒径を1.0μmとし、試料No.4においては固体電解質9用シートの厚みを40μmとした。
続いて、上記のように成形体を積層した積層成形体を1000℃にて3時間仮焼処理した。
次にCeOを85モル%、他の希土類元素の酸化物(SmO1.5、YO1.5、YbO1.5、GdO1.5)のいずれかを15モル%含む複合酸化物を、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)を用いて振動ミル又はボールミルにて粉砕し、900℃にて4時間仮焼処理を行い、再度ボールミルにて解砕処理し、セラミック粒子の凝集度を調製し、中間層4原料粉末を得た。この粉体にアクリル系バインダーとトルエンを添加し、混合して作製した中間層4のスラリーを、得られた積層仮焼体の固体電解質9仮焼体上に、スクリーン印刷法にて塗布し、第1の層4a成形体を作製した。なお、試料No.5では他の希土類元素の酸化物を10モル%とし、試料No.6では他の希土類元素の酸化物を20モル%とし、試料No.7においては仮焼の温度を850℃とした。
続いて、LaCrO系酸化物と、有機バインダーと溶媒を混合したインターコネクタ2用スラリーを作製し、これを、固体電解質仮焼体が形成されていない露出した導電性支持基板3仮焼体上に積層し、大気中1510℃にて3時間同時焼成した。
次に、形成された第1の層4a焼結体の表面に、上記中間層4のスラリーをスクリーン印刷法にて塗布して第2の層4b膜を形成し、表1に示す温度で3時間焼結処理を行った。
なお、表1のNo.12〜No.15においては、第1の層4aを形成せずに同時焼成し、第2の層4bのみを焼結して形成した。また、No.16は第2の層4bを形成しなかった。
次に、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールからなる混合液を作製し、積層焼結体の中間層の表面に噴霧塗布し、酸素側電極1成形体を形成し、1100℃にて4時間で焼き付けて酸素側電極1を形成し、図1に示す燃料電池セル10を作製した。
なお、作製した燃料電池セル10の寸法は25mm×200mmで、導電性支持基板3の厚さ(n−n間の距離)は2mm、開気孔率35%、燃料側電極7の厚さは10μm、開気孔率24%、酸素側電極1の厚さは50μm、開気孔率40%、相対密度は97%であった。
次に、この燃料電池セル10の内部に水素ガスを流し、850℃で10時間導電性支持基板3及び燃料側電極7の還元処理を施した。
得られた燃料電池セル10について、酸素側電極に含有されるSrの固体電解質9への拡散をEPMA(X線マイクロアナライザ)にて面分析し、Srの有無として表1に記載した。
ここで、Srの有無は、固体電解質9中にSrが見られない場合をなしと判断し、Srが見られる場合をありとして判断した。
続いて、得られた燃料電池セル10の燃料ガス流路5に燃料ガスを流通させ、燃料電池セル10の外側に酸素含有ガスを流通させ、燃料電池セル10を、電気炉を用いて750℃まで加熱し、3時間の発電試験を行い、燃料電池セルの発電性能を確認した。その後、燃料利用率75%、電流密度0.6A/cmの条件にて1000時間発電を行った。その際、発電0時間での値を初期電圧とし、1000時間後の電圧を測定し、初期電圧からの変化を劣化率として求め、発電性能の劣化率を求めた。なお、発電性能の劣化の評価については、劣化率が0.5%未満の場合を非常に少ない、劣化率が0.5〜1%の場合をかなり少ない、劣化率が1〜3%の場合を少ない、劣化率が3〜5%の場合を多い、劣化率が5%以上の場合を激しいとし、表1にその評価の結果を示した。
さらに、発電試験が終了した後の各燃料電池セル10を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、第1の層4aと第2の層4bの緻密度合いを観察した。
Figure 0005247051
表1の結果より、第1の層4aと第2の層4bを同一の組成とし、第1の層4aと固体電解質9とを同時焼成し、第2の層4bを同時焼成時の温度よりも200℃以上低い温度で焼結した場合(試料No.1〜3、No20、No.21)、固体電解質9中にSrが含まれておらず、発電性能の劣化が非常に少ないという結果を示した。また、第2の層4bの厚み5〜20μmまでは(試料No.4〜6、No.17〜19)、固体電解質9中にSrが含まれておらず、発電性能の劣化が非常に少ないという結果を示した。
さらに、第1の層4a、第2の層4bの厚みをそれぞれ厚くした場合や薄くした場合(試料No.7〜9)には、固体電解質9中にSrは含まれておらず、発電性能の劣化がかなり少ないという結果を示した。
一方、第1の層4aを同時焼成した場合であっても、第2の層4bを1400℃以上で焼結した場合(No.10、No.11)は、固体電解質9中にSrは含まれていなかったものの、固体電解質9と第1の層4aとの同時焼成時とほぼ同じ温度もしくは約100℃程度の低い温度で焼結しているため、発電性能の劣化が少ないという結果を示した。
さらに、第1の層4aが無く、焼結体に第2の層4bを後付けした場合(試料No.12〜15)や、第2の層4bを形成しなかった場合(試料No.16)は、発電性能劣化率は激しいという結果を示した。
一方、第1の層4aと第2の層4bとを、同一の希土類元素をCeとし、その他の希土類元素を第1の層4aと第2の層4bとで異なる組成とした試料(試料No.22〜33)においては、第2の層4bを1400℃以上で焼き付けた場合(試料No.27、33)では、固体電解質9中にSrは含まれていなかったものの、固体電解質9と第1の層4aとの同時焼成時とほぼ同じ温度もしくは約100℃程度の低い温度で焼結しているため、発電性能の劣化が少ないという結果を示した。なお、それ以外の試料においては、固体電解質9中にSrが含まれておらず、発電性能の劣化が非常に少ないという結果を示した。
なお、第1の層4aと第2の層4bとの緻密度合いを比較した結果、第1の層4aと第2の層4bを形成した燃料電池セル10すべてにおいて、第1の層4aの緻密度合いが第2の層4bの緻密度合いに比べ、緻密度が高かった。
本発明の燃料電池セルを示したものであり、(a)は横断面図、(b)は(a)の斜視図である。 本発明の燃料電池セルの発電に携わる部位を一部抜き出して示す拡大横断面図である。 従来の燃料電池セルからなるセルスタックを示す横断面図である。
符号の説明
1・・・酸素側電極
2・・・インターコネクタ
3・・・導電性支持基板
4a・・第1の層
4b・・第2の層
5・・・燃料ガス通路
7・・・燃料側電極
9・・・固体電解質
10・・燃料電池セル

Claims (6)

  1. 固体電解質の一方側の表面上に中間層とSrを含有する酸素側電極とを順に備えるとともに、前記固体電解質の前記酸素側電極と対向する他方側の表面上に燃料側電極を備える燃料電池セルであって、前記中間層は前記固体電解質側の表層領域が、前記燃料電池セルの前記燃料側電極の側に水素を流し、850℃で10時間の条件で前記燃料側電極の還元処理を施した場合に、Srの前記固体電解質への拡散がおこらない緻密さで緻密に形成されていることを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記中間層は表層領域を形成する第1の層と、他の領域を形成する第2の層とを有し、前記第1の層と前記固体電解質とは同時焼成にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記第1の層の厚みが1〜10μmであり、前記第2の層の厚みが5〜20μmであることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記第1の層と前記第2の層とが、同一の希土類元素(Srを除く)を含有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料電池セル。
  5. 請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなることを特徴とする燃料電池セルスタック。
  6. 請求項5に記載の燃料電池セルスタックを収納容器に収納してなることを特徴とする燃料電池。
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