JP4805642B2 - 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP4805642B2
JP4805642B2 JP2005273436A JP2005273436A JP4805642B2 JP 4805642 B2 JP4805642 B2 JP 4805642B2 JP 2005273436 A JP2005273436 A JP 2005273436A JP 2005273436 A JP2005273436 A JP 2005273436A JP 4805642 B2 JP4805642 B2 JP 4805642B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
fuel cell
electrode layer
outer electrode
surface portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005273436A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007087696A (ja
Inventor
則光 深水
健児 島津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2005273436A priority Critical patent/JP4805642B2/ja
Publication of JP2007087696A publication Critical patent/JP2007087696A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4805642B2 publication Critical patent/JP4805642B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

本発明は、燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池に関し、特に燃料電池セルを一列に配列させて燃料電池セルスタックを形成する際の電気的接続特性を向上させた固体電解質形燃料電池セルに関する。
次世代エネルギーとして、近年、固体電解質形燃料電池セルを配列させ互いに接合させた燃料電池セルスタック(以下、単に「セルスタック」と略す)を収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
従来、燃料電池セルの形状として管体形状が知られており、例えば、管内部に軸方向の反応ガス流路を設けかつ管外殻に固体電解質層と電極層とを層状に設けている。管体形状には、その断面が円形、楕円形、平板形等、種々のものがある。斯かる燃料電池セルを、複数個一列に配列させてセルスタックを形成する場合には、燃料電池セルの管体の軸に対して互いに反対側に位置する両側面が、隣接する燃料電池セルとの電気的接続のための接続面として用いられる。
図6は、従来の断面平板形である管体形状の固体電解質形燃料電池セル130を、複数個一列に配列させて形成したセルスタック100の例を示す、軸方向に垂直な断面図である。個々の燃料電池セル130は、中央部に扁平柱状の支持基板131を有し、支持基板131の内部には軸方向に複数のガス流路孔131aが穿設されている。支持基板131の一方の平坦な側面には、内側から外側へ向かって内側電極層132、固体電解質層133、外側電極層134が順次積層して設けられている。外側電極層134は、一方の平坦な側面の両端まで延在する。内側電極層132は、一方の平坦な側面の両端からさらに支持基板131の弧状部分に沿って他方の平坦な側面の両端にまで延在しており、この他方の平坦な側面に積層されたインターコネクタ層135の両端と接続するように設けられている。
尚、図6の従来技術の形状において、支持基板131を設けない燃料電池セルの例もある。
図6のセルスタック100は、隣接する燃料電池セル130同士の間に金属材料等からなる導電性の集電部材140を介在させ、一方の燃料電池セルの外側電極層134と、他方の燃料電池セルのインターコネクタ層135とを電気的に接続することにより、一列に配列した全ての燃料電池セルを直列接続して構成されていた(特許文献1、2参照)。
また、他の管体形状の燃料電池セルの実施例では、製造を容易にするために、支持基板の側面の一部に凸部を設けたものも提案されている(特許文献3)。
特開2001−068132号公報 特開2003−282101号公報 実開平5−20261号公報
しかしながら、集電部材を介して燃料電池セル同士を電気的に接続する場合、集電部材が直接一方の燃料電池セルの外側電極層と接合されているものの、外側電極層自身は、周囲に供給される反応ガスを取り込む必要があるため、外側電極が通気性を備えていなければならなかった。このため、外側電極はその強度が十分ではなく、結果的に集電部材と外側電極層のと接合強度が不十分となり、集電部材の剥離等が発生しやすいという問題があった。
また、燃料電池セルはその製造工程や発電中に、反りや傾斜が発生したり、熱膨張差による変位が発生する虞がある。このとき、集電部材の外側電極への接合強度が不十分であると、集電部材が燃料電池セルから剥離してしまうという問題があった。
さらにまた、外側電極層は、反応ガスを取り入れる必要性があることから多孔質とせざるを得ないため強度的に弱く、結果的に集電部材の剥離等が発生しやすいという問題があった。
また外側電極層は、多孔質の導電セラミックス等から形成されるため、導電性とはいっても十分に低抵抗とはいえず、燃料電池セルの集電特性の向上を妨げる要因となっていた。
上記のように集電部材と外側電極層との接合不良が生じたり、外側電極層自体が十分に低抵抗でなかったりすると、燃料電池セルを直列接続した際の抵抗が高くなり、燃料電池の電圧劣化の原因となっていた。
以上の現状に鑑み、本発明の目的は、複数個の固体電解質形燃料電池セルを一列に配列して直列接続したセルスタックにおいて、隣接する燃料電池セル同士の良好な電気的接続を実現でき、発電反応による出力電流を最大限に取り出すことができる燃料電池セルを提供することである。
上記の目的を達成するべく、本発明は以下の構成を提供する。
(1)請求項1に係る固体電解質形燃料電池セルは、管体における互いに反対側に位置する第1側面部と第2側面部とを有し、前記第1側面部がその内側から外側へ向かって積層された内側電極層、緻密質の固体電解質層及び多孔質の外側電極層を具備し、かつ前記第2側面部が前記内側電極層と電気的に接続された緻密質のインターコネクタ層を具備、前記第1側面部における前記外側電極層の一部を欠いた空乏部に埋設され、内側を向いた面が前記固体電解質層と接続されるとともに、該外側電極層と電気的に接続されかつ該外側電極層よりも高い電子導電率を有する緻密質の高導電率層と、前記第1側面部の前記高導電率層の位置と対向する前記第2側面部における位置にて、前記インターコネクタ層と電気的に接続されかつ該第2側面部から外側へ突出した緻密質の導電性凸部とを有することを特徴とする。
(2)請求項2に係る固体電解質形燃料電池セルは、請求項1において、前記導電性凸部が、前記外側電極層と同種の材料でインターコネクタ層の外面上に形成されることを特徴とすることを特徴とする。
(3)請求項3に係る固体電解質形燃料電池セルは、請求項1または2のいずれかにおいて、前記高導電率層が、Agを含む金属材料で形成されることを特徴とする。
(4)請求項4に係る固体電解質形燃料電池セルは、請求項1において、前記第1側面部と前記第2側面部の間に設けた導電性支持基板を有し、
前記導電性凸部が、前記導電性支持基板及び前記インターコネクタ層を突出させて形成されることを特徴とする。
(5)請求項5に係る固体電解質形燃料電池セルスタックは、請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質形燃料電池セルを複数個直列に接続した燃料電池セルスタックにおいて、互いに隣接する一方の燃料電池セルにおける前記高導電率層と、他方の燃料電池セルにおける前記導電性凸部とを接合したことを特徴とする。
(6)請求項6に係る固体電解質形燃料電池セルは、管体における互いに反対側に位置する第1側面部と第2側面部とを有し、前記第1側面部がその内側から外側へ向かって積層された内側電極層、緻密質の固体電解質層及び多孔質の外側電極層を具備し、かつ前記第2側面部が前記内側電極層と電気的に接続された緻密質のインターコネクタ層を具備する固体電解質形燃料電池セルにおいて、前記第1側面部における前記外側電極層の一部を欠いた空乏部に埋設され、内側を向いた面が前記固体電解質層と接続されるとともに、該外側電極層と電気的に接続されかつ該第1側面部から外側へ突出した、該外側電極層よりも高い電子導電率をもつ緻密質の凸部を有することを特徴とする。
(7)請求項7に係る固体電解質形燃料電池セルスタックは、請求項6に記載の固体電解質形燃料電池セルを複数個直列に接続した燃料電池セルスタックにおいて、互いに隣接する一方の燃料電池セルにおける前記高導電率をもつ凸部と、他方の燃料電池セルにおける前記インターコネクタ層とを接合したことを特徴とする。
(8)請求項8に係る固体電解質形燃料電池は、収納容器と、該収納容器内に組み込まれた請求項5または7に記載の燃料電池セルスタックとを有することを特徴とする。
・請求項1の固体電解質形燃料電池セルでは、外側電極層の一部を高導電率層に置き換えたことにより、外側電極層からの出力電流が、相対的に低抵抗の高導電率層に集中して流れるため、相対的に高抵抗の外側電極層から直接に出力電流を取り出す場合よりも集電効率が向上する。
外側電極層は、反応ガスを取り入れる必要性があることから通気性のある多孔質とせざるを得ず強度的に弱いため固体電解質層から剥離するおそれがあるが、高導電率層は通気性は要求されないためそれ自体に十分な強度を持たせることができ、これを緻密で強度のある固体電解質層上に接合すると剥離し難い。加えて高導電率層自体に十分な強度を持たせたことにより、隣接する燃料電池セルとの確実な接合も実現できる。
そして、インターコネクタ層と電気的に接続されて外側に突出する導電性凸部を設けたことにより、セルスタックを構成したとき集電部材を用いることなく隣接する燃料電池セルに到達することができ、電気的に接合することができる。
尚、「導電性凸部がインターコネクタ層と電気的に接続され」るとは、導電性凸部がインターコネクタ層をそのまま用いて形成される(一体的な)場合、導電性凸部がインターコネクタ層に対してオーム接触で直接接合される場合、または、導電性凸部が適宜の導電性材料を介してオーム接触で接合される場合のいずれも含む。これにより、集電部材を用いることなく燃料電池セル同士を直接接続できる。集電部材と異なり、導電性凸部は、例えばインターコネクタ層と一体的に形成されるか別部材で強固に接合することができるためインターコネクタ層からの剥離のおそれがない。
1つの燃料電池セルにおける高導電率層と導電性凸部とは、対向する両側面における対向する位置に設けられるため、一列に配列させた場合に隣接する一方の燃料電池セルの高導電率層と他方の導電性凸部とを、容易にかつ確実に、電気的に接続することができる。
・請求項2の固体電解質形燃料電池セルでは、導電性凸部を外側電極層と同種の材料で形成することにより、製造効率が向上する。
・請求項3の固体電解質形燃料電池セルでは、前記高導電率層をAgを含む金属材料で形成することにより、良好な導電性を実現できる。
・請求項4の固体電解質形燃料電池セルでは、導電性支持基板を有し、導電性凸部を導電性支持基板及びインターコネクタ層を突出させて形成することにより、導電性凸部と燃料電池セル本体との一体性が向上し、剥離や破損のおそれがなくなる。
・請求項5のセルスタックでは、請求項1〜4の燃料電池セルを用いたことにより集電効率のよいセルスタックが得られる。
・請求項6の固体電解質形燃料電池セルでは、請求項1の場合と異なり、高導電率層自体を突出させて凸部を形成しているので、この高導電率の凸部を隣接する燃料電池セルのインターコネクタ層と直接接合することができる。よって、請求項1の場合と同様に、集電部材を省けると同時に集電効率のよい燃料電池セルが得られる。
・請求項7のセルスタックでは、請求項6の燃料電池セルを用いたことにより集電効率のよいセルスタックが得られる。
・請求項8の燃料電池では、請求項5または請求項7のセルスタックを用いたことにより、電圧劣化の改善された燃料電池が得られる。
1)固体電解質形燃料電池セルの構成
図1Aは、本発明による中空平板型の固体電解質形燃料電池セル30の一実施形態の断面を含む部分斜視図である。図1Aの燃料電池セル30は、基本形状は図6に示した従来技術と同様に、軸方向に延びる管体であって軸に対して互いに反対側に位置する両側面が、隣接する燃料電池セルとの電気的接続のための接続面として用いられる。図1Aは燃料電池セル30の軸方向に垂直な面における断面図である。図1Aの燃料電池セル30の電気的接続のための接続面は、互いに平行な2つの平坦な側面として形成されている。図1Bの(i)は、図1Aの燃料電池セル30の2つの平坦な側面のうち一方(図1Aの上側)の図であり、(ii)は、2つの平坦な側面のうち他方(図1Aの下側)の図である。
燃料電池セル30は、中央部に扁平柱状の支持基板31を有し、支持基板31の内部には軸方向に複数のガス流路孔31aが穿設されている。支持基板31の一方の平坦な側面(図1Aの上側の側面)には、内側から外側へ向かって内側電極層32、固体電解質層33、外側電極層34が順次積層して設けられている。外側電極層34は、この上側の平坦側面の両端まで延在する。
内側電極層32は、この上側の平坦側面の両端からさらに支持基板31の両側の弧状部分に沿って他方の平坦側面(図1Aの下側の側面)の両端まで延在しており、この下側の平坦側面に積層されたインターコネクタ層35の両端と電気的に接続するように設けられている。尚、支持基板31も導電性サーメット等の導電性材料からなるので、インターコネクタ層35は支持基板31を介しても内側電極層32と電気的に接続されていることになる。
固体電解質層33もまた、両側の弧状部分に沿って下側の平坦側面の両端まで延在し、インターコネクタ層35の両端と接続されている。このように固体電解質層33が内側電極層32の全体を覆うことにより固体電解質層33と支持基板31との接合強度を高めることができる。
尚、別の実施形態では支持基板31自体を内側電極層として用いる場合もある。また、断面形状が2つの平坦部を有する形状以外でもよい。例えば、断面が円形、楕円形等でもよい。
図1Aの燃料電池セル30の外側電極層34は、その幅方向における断面において、中央部近傍に外側電極層34を設けない所定幅の空亡部があり、この空亡部には外側電極層34よりも高導電率の材料がセルの軸方向に埋設されることにより高導電率層38を形成している。高導電率層38の外面は、外側電極層34の外面と同一平面上にある。この実施形態では、高導電率層38により外側電極層34が2つに分離されている。高導電率層38と外側電極層34は電気的に接続された状態である。よって、外側電極層34に生成した電流は、より低抵抗の高導電率層38に流れ込み集電される。
尚、外側電極層34内における高導電率層38の配置及びその面積は、特定の実施例に限定されないが、外側電極層34の面内において均一に分布し、対称的に配置されることが効率的な集電のために好ましい。ただし、高導電率層38の総面積については、外側電極層34による反応ガスの十分な取り込みを妨げない程度とする。
さらに、図1Aの燃料電池セル30は、その断面において、支持基板31のインターコネクタ層35との接合面の中央部近傍が外側に突出しており、インターコネクタ層35もまた支持基板31に沿って凸部36をセルの軸方向に形成している。インターコネクタ層35、支持基板31が導電性であるので、凸部36も導電性である。図1Aは、導電性凸部36がインターコネクタ層35をそのまま用いて形成される場合、すなわちインターコネクタ層35と一体的に形成される場合の一例である。図1Aの導電性凸部36の断面は、支持基板31側を幅広の下底とする台形である。この台形形状は導電性凸部36の損傷を防止する上で有利であるが、この形状に限定されない。導電性凸部36の位置は、前述の上側の平坦部における高導電率層38の位置に対向する下側の平坦部における位置である。導電性凸部のインターコネクタ層35表面からの突出高さは、例えば図6に示した従来技術のセルスタックにおける集電部材の幅(厚み)と同程度とする。
斯かる燃料電池セル30は、例えば次の通りの発電動作を行う。
例えば、内側電極層32を燃料極とし、外側電極層を空気極とする(別の例ではこの逆の形態もある)。この場合、支持基板31のガス流路孔31aには、水素リッチな燃料ガスを供給し流通させる一方、燃料電池セル30の周囲には空気(すなわち酸素含有ガス)を供給する。所定の作動温度まで加熱することにより、外側電極層34である空気極で下記式(1)の電極反応を生じ、また内側電極層32の燃料極層で下記式(2)の電極反応を生じることによって発電する。
1/2O+2e → O2− (固体電解質) …(1)
2− (固体電解質)+ H → HO+2e…(2)
斯かる発電動作によって生成した電流は、インターコネクタ層35を介して集電される。
図1Cは、図1Aの燃料電池セル30を複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。この場合、隣り合う燃料電池セル30の一方の高導電率層38が、もう一方の燃料電池セル30の導電性凸部36と電気的に接続されるように接合することができる。さらに、Ag含有導電性ペースト等を接合面に塗布することにより良好な電気的接続が得られる。支持基板31、インターコネクタ層35、高導電率層38は、いずれも十分な強度をもつように材料及び緻密度等を設定できるため安定な接続状態が得られる。この場合、従来技術における集電部材は不要となる。
2)燃料電池セルの各構成要素の詳細
次に、図1A〜Cに示した燃料電池セル30の各構成要素について詳細に説明する。尚、内側電極層32を燃料極とし、外側電極層34を空気極とした例について説明する。
2-1)支持基板31について
支持基板31は、次の要求を満たす必要がある。
・燃料ガスを燃料極である内側電極層32まで透過させるためにガス透過性であること
・インターコネクタ層35を介しての集電を行うために導電性であること
・同時焼成時の熱膨張差による固体電解質等のクラックや剥離がないこと
・還元・酸化サイクルにおける支持基板31の体積膨張に起因した固体電解質等のクラックを抑制できること
上記の要求を満たす材料は、触媒活性金属等と、触媒活性金属等との反応物を生成しない無機骨材とを含有するものである。
触媒活性金属としてはFe、Co、Ni等の鉄族成分がある。これらの金属単体であってもよいし、これらの酸化物、合金もしくは合金酸化物であってもよい。好ましくは、安価で燃料ガス中で安定であることからNi及び/またはNiOを含有するものがよい。
無機骨材としては、燃料極での電極反応を促進するために、いわゆる三相界面(固体電解質/触媒金属/気相の界面)を増やすために、固体電解質層33を形成している安定化ジルコニアやランタンガレート系ペロブスカイト型組成物等と同等の材料を用いてもし、熱膨張係数を下げて固体電解質層33と近似させるために希土類酸化物を用いても良い。後者には特にSc,Y,Lu,Yb,Tm,Er,Ho,Dy,Gd,Sm,Prからなる群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含む酸化物が使用される。このような希土類酸化物の具体例としては、Sc、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、特に安価であるという点で、Y,Yb、さらにはYが好適である。
尚、支持基板31中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
支持基板31は、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好適である。また、支持基板31の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
また、支持基板31の平坦面の軸方向に垂直な方向の長さは、通常、20〜35mm、弧状部Bの長さ(弧の長さ)は、3〜8mm程度であり、支持基板31の厚さは(平坦な両側面同士の間隔)は2.5〜8mm程度であることが望ましい。
2-2)内側電極(燃料極)層32について
燃料極では、前述した式(2)の電極反応を生じる。燃料極である内側電極層32は、多孔質の導電性サーメットから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrOと、Ni及び/またはNiOとから形成される。この希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)としては、以下に述べる固体電解質層33の形成に使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
内側電極層32中の安定化ジルコニア含量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65〜35体積%であるのがよい。さらに、この燃料極層32の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのがよく、その厚さは、1〜30μmであることが望ましい。内側電極層32の厚さが薄すぎると性能が低下するおそれがあり、また厚すぎると固体電解質層33と内側電極層32との間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
また、図1A〜Cの例では、この内側電極層32がインターコネクタ層35の両端にまで延びているが、基本的には固体電解質層33を介して外側電極層34と対面する位置に存在していればよい。
2-3)固体電解質層33について
固体電解質層33は、内側電極層32上に設けられている。一般に、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO(通常、安定化ジルコニア)と呼ばれる緻密質なセラミックスから形成されている。希土類元素としては、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを例示することができるが、安価であるという点からY、Ybが望ましい。
この固体電解質層33を形成する安定化ジルコニアセラミックスは、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚さが10〜100μmであることが望ましい。固体電解質層33としては、安定化ジルコニア以外に、ランタンガレート系ペロブスカイト型組成物から構成されていてもよい。
2-4)外側電極(空気極)層34について
空気極である外側電極層34は、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成される。斯かるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaを有するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好適であり、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaFeO系酸化物が特に好適である。尚、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaと共にSr等が存在していてもよいし、さらにBサイトには、FeとともにCoやMnが存在していてもよい。
外側電極層34は、ガス透過性を有する必要があるため、導電性セラミックスの開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが望ましい。外側電極層34の厚さは、集電性という点から30〜100μmであることが望ましい。
2-5)高導電率層38について
高導電率層38は、外側電極層34よりも高い導電率を有する。例えば、Ag等の貴金属材料、Ag等と外側電極層材料との混合材料、または、外側電極層材料と同材料であって緻密度の高い構造で形成した材料である。具体例としては、混合材料の場合、Agと外側電極層材料とを1:9から5:5までの範囲の重量比で混合する。
2-6)インターコネクタ層35について
インターコネクタ層35は、導電性セラミックスからなるが、内側からの燃料ガスと外側からの酸素含有ガスの双方と接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)を使用できる。
また、内側からの燃料ガスと外側からの酸素含有ガスの双方のリークを防止するために緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
さらにまた、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、厚さが10〜200μmであることが望ましい。この範囲よりも薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚いと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがあるからである。
また、図1Aから明らかな通り、ガスのリークを防止するために、インターコネクタ層35の両端には、緻密質の固体電解質層33が密着しているが、シール性を高めるために、例えばY等からなる接合層(図示せず)をインターコネクタ35の両端と固体電解質層33との間に設けることもできる。
図示しないが、インターコネクタ層35の外面、すなわち、導電性凸部36の外面にP型半導体層を設けることにより、インターコネクタ層35と隣接する燃料電池セル30の高導電率層38とを直接接続させる場合よりも接触抵抗が低くなり、良好なオーム接触が実現される。これにより電位降下を防止し集電性能を向上させることができる。このようなP型半導体としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。具体的には、インターコネクタ層35を構成するLaCrO系酸化物よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Co等が存在するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物等の少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層の厚さは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
また、インターコネクタ35は、図1Aの例のように固体電解質層33が設けられていない側の支持基板31の外面上に直接設けることもできるが、別の例として、この部分にも内側電極層32を設け(すなわち内側電極層32を支持基板31の側面全周にわたって設け)、この内側電極層32上にインターコネクタ層35を設けてもよい。その場合には、支持基板31とインターコネクタ層35とを直接接触させた場合における界面での電位降下を抑制することができる上で有利である。
3)燃料電池セルの別の実施形態
図2Aの燃料電池セル30は、図1Aの燃料電池セルの変形形態であり、高導電率層38の別の実施例である。図2Bは、対向する平坦側面の各々の図である。図2Aの高導電率層38は、断面において、外側電極層34の中央に対して左右対称位置にある2つの所定幅の空亡部に埋設されている。高導電率層38は、軸方向において所定の長さをもち適宜分割されている。これにより、高導電率層38間から空気が入り込み易くなる。高導電率層38の外面は、図1Aの例と同様に外側電極層34の外面と同一平面上にある。
インターコネクタ層35と一体的な導電性凸部36は、高導電率層36の位置に対向するもう一方の平坦側面上の位置において、支持基板31とインターコネクタ層35が外側に突出することにより設けられる(図2Bの側面図を参照)。導電性凸部36もまた、セルの軸方向において複数に分割されている。
図2Cは、図2Aの燃料電池セル30を複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。
4)燃料電池セルの別の実施形態
図3Aの燃料電池セル30は、図1Aの燃料電池セルの変形形態であり、導電性凸部36の別の実施例である。図3Bは、対向する平坦側面の各々の図である。図3Aの導電性凸部36は、インターコネクタ層35と別部材で設けられている。この場合、導電性凸部36は、少なくともインターコネクタ層より低抵抗の導電率を有するようにする。尚、図3Aの実施例の場合、導電性凸部36の材料を、外側電極層34と同材料とすることが製造コストの点で有利である(後述の7)製造工程の説明を参照)。ただし、導電性凸部36は十分な強度が要求されるので、多孔質の外側電極層34よりも緻密度を高くする必要がある。
図3Cは、図3Aの燃料電池セル30を複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。
5)燃料電池セルの別の実施形態
図4Aの燃料電池セル30は、図1Aまたは図3Aの燃料電池セルの変形形態であり、高導電率層38及び導電性凸部36の別の実施例である。図4Bは、対向する平坦側面の各々の図である。図4Aの高導電率層38は、断面において、外側電極層34の中央の円形空亡部と、中央に対して左右対称位置にある2つの円形空亡部に埋設されている。高導電率層38の外面は、図1Aの例と同様に外側電極層34の外面と同一平面上にある。
インターコネクタ層35上に別部材で設けられた導電性凸部36は、各高導電率層36の位置に対向するもう一方の平坦側面上の位置において、インターコネクタ層35から外側に突出するするように設けられる(図4Bの側面図を参照)。
図4Cは、図4Aの燃料電池セル30を複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。
6)燃料電池セルの別の実施形態
図5Aの燃料電池セル30は、本発明の燃料電池セル30の別の実施形態の断面を含む部分斜視図である。図5Bは、図5Aの燃料電池セル30の対向する平坦側面の各々の図である。図5Aでは、図1Aの実施形態のそれと異なり、外側電極層34の空亡部に埋設された高導電率層が、外側電極層34から外側に突出して凸部39を形成している。その一方、図1Aの実施形態におけるインターコネクタ層35側の導電性凸部は設けられていない。高導電率の凸部39は、断面において、外側電極層34の中央部に1つと、中央に対して左右対称位置に2つ設けられている。高導電率の凸部39は、十分な強度をもつように材料及び緻密度を設定される。
高導電率の凸部39の断面は、固体電解質層33側を幅広の下底とする台形である。この台形形状は高導電率の凸部39の損傷を防止する上で有利であるが、この形状に限定されない。高導電率の凸部39の突出高さは、例えば図6に示した従来技術のセルスタックにおける集電部材の幅と同程度とする。
図5Cは、図5Aの燃料電池セル30を複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。この場合、隣り合う燃料電池セル30の一方の高導電率の凸部39が、もう一方の燃料電池セル30のインターコネクタ層35と電気的に接続されるように接合することができる。さらに、Ag含有導電性ペースト等を接合面に塗布することにより良好な電気的接続が得られる。
7)燃料電池セルの製造工程
図1A〜図5Aのような構造を有する燃料電池セルは、例えば、次のように製造される。
・工程1:支持基板の成形
先ず、Ni等の鉄族金属或いはその酸化物粉末と、例えばY粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形することにより、支持基板成形体を作製し、これを乾燥し、仮焼する。
このとき、図1A及び図2Aの実施形態の場合、支持基板成形体の一方の側面の所定位置に凸部(導電性凸部形成のため)を設ける。
・工程2:内側電極層用材料の積層
次に、内側電極層用材料(Ni或いはNiO粉末と安定化ジルコニア粉末)と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製する。そして、このスラリーを用いて内側電極層用のシートを作製する。このシートを、工程1で形成された支持基板仮焼体上の所定位置に積層する。あるいは、シートを作製する代わりに、内側電極層用材料を溶媒中に分散したペーストを、工程1で形成された支持基板仮焼体の所定位置に塗布し、乾燥する。
・工程3:固体電解質層用材料及びインターコネクタ層の積層及び焼成
この後、固体電解質層用材料を含有する浸漬液を作製する。工程2で得た支持基板仮焼体の所定位置(インターコネクタ層の位置)にマスクを施した後、この浸漬液に浸漬することにより積層体を得る。浸漬液中には、固体電解質層用材料と、有機バインダーと、溶媒とが混合されている。この浸漬液は、所定の粘度を有するように、有機成分が調整されている。
一方、インターコネクタ層用材料と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製する。そして、このスラリーを用いてインターコネクタ層用のシートを作製する。このシートを、上記で得られた積層体のマスクを除去した位置に積層し、焼成用積層体を得る。
・工程4:支持基板、内側電極層、固体電解質層及びインターコネクタ層の焼成
次いで、工程3で得られた焼成用積層体を脱バインダ処理し、酸素含有雰囲気中、1300〜1600℃で同時焼成して焼結体を得る。
図1A及び図2Aの実施形態の場合、この時点でインターコネクタ層と一体的な導電性凸部が完成する。
・工程5:外側電極層及び導電性凸部(別部材の場合)の積層及び焼成
次いで、工程4で得られた焼結体の所定位置(高導電率層の位置)にマスクを施した後、外側電極層用材料と溶媒とを含有するペーストに浸漬することにより所定位置に塗布する。
尚、図3A及び図4Aの実施形態の場合は、このとき、導電性凸部用材料をインターコネクタ層上の所定位置に積層する。導電性凸部用材料として外側電極層用材料と同じ材料を用いてもよいが、その場合は、焼成後の導電性凸部の緻密度が外側電極層に比べて高くなるように調製する。
必要に応じて、P型半導体層用材料と溶媒とを含むペースト(外側電極層用材料を含有するペーストを用いてもよい)に浸漬することによりインターコネクタ層上の所定位置に塗布する。
その後、1000〜1300℃で焼き付け、焼結体を得る。
・工程6:高導電率層の積層及び焼成
次いで、工程5で得た焼結体のマスクを除去した位置に高導電率層用材料を塗布する。このとき、外側電極層との間に隙間ができないように十分に充填する。
尚、図5Aの実施形態の場合は、高導電率層が外側電極層より外側に突出するので、高導電率層用材料を所定の形状に形成した後、積層する。その後、900℃で焼き付けることにより、本発明の燃料電池セルを得ることができる。
尚、支持基板31や燃料極である内側電極層32の形成にNi単体を用いた場合には、酸素含有雰囲気での焼成により、Niが酸化されてNiOとなっているが、必要により、還元処理することにより、Niに戻すことができる。
8)燃料電池
本発明の燃料電池は、図1C、図2C、図3C、図4Cまたは図5Cに示すセルスタックを、適宜の収納容器内に収容して構成される。この収納容器には、外部から水素等の燃料ガスを燃料電池セル30に導入する導入管、及び空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル30の周囲空間に導入するための導入管が設けられており、燃料電池セル30が所定温度(例えば、600〜900℃)に加熱されることにより発電し、使用された燃料ガス及び酸素含有ガスの排気ガスは、収納容器外に排出される。
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記形態では、支持基板31上に燃料極層32を形成した場合について説明したが、支持基板自体に燃料極としての機能を付与し、支持基板に固体電解質層、空気極である外側電極層を形成してもよい。また、上記形態では、支持基板31上に形成した内側電極層32を燃料極とした場合について説明したが、内側電極層32を空気極とし燃料電池セルであってもよい
以下の実施例の各工程は、図1Aまたは図2Aの実施形態の燃料電池セルの製造工程の実施例であり、工程1〜6の各々は、前述の7)製造工程の各工程に対応する。
・工程1:平均粒径0.5μmのNiO粉末と、Y粉末(平均粒径は0.6〜0.9μm)を、焼成後におけるNiOがNi換算で48体積%、Yが52体積%になるようにして混合し、混合粉末とする。この混合粉末に、ポアー剤、有機バインダーと、水とを混合して支持基板用坏土を形成する。この支持基板用坏土を長さ方向に突条が形成された中空平板状に押出成形し、これを乾燥する。その後、脱バインダー処理し、図1Aの支持基板に相当する扁平状の支持基板用成形体を作製し、これを乾燥した。この後、1000℃で仮焼し、支持基板仮焼体を作製した。
・工程2:次に、8モル%Yを含有するZrO(YSZ)粉末と、NiO粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーとする。このスラリーを用いて燃料極である内側電極層用シートを作製し、これを工程1で得た支持基板仮焼体の所定位置に積層し、1000℃で仮焼し、支持基板仮焼体の表面に内側電極層仮焼体を形成した。尚、内側電極層用シートは、インターコネクタ層を形成する位置に開口部を有するシートを用いた。
・工程3:次に、インターコネクタ層を形成する位置にマスクした。
一方、上記YSZ粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合した浸漬液を作製し、この浸漬液中に支持基板仮焼体を浸漬し、引き上げることにより内側電極層仮焼体の表面に固体電解質用材料の塗布膜を形成し、乾燥することにより固体電解質層成形体を形成した。
次に、平均粒径2μmのLaCrO系酸化物粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーとする。このスラリーを用いて、インターコネクタ層用シートを作製し、このシートを、上記マスクを剥離して露出した部分に積層し、支持基板仮焼体、内側電極層仮焼体、固体電解質層成形体及びインターコネクタ層用シートからなる焼結用積層シートを作製した。
・工程4:次に、工程3で得た焼結用積層シートを脱バインダ処理し、大気中にて1500℃で同時焼成して、焼結体を得た。
・工程5:得られた焼結体に対し、高導電率層を形成する位置にマスクした。そして、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(LSCF)粉末と、溶媒からなるペースト中に浸漬し、焼結体に形成されている固体電解質層の表面に外側電極層用のコーティング層を設け、同時に、同じペーストを焼結体に形成されているインターコネクタ層の外面に塗布し、P型半導体用のコーティング層を設けた。その後、1150℃で焼成し、焼結体を得た。
・工程6:Ag−Pd(9:1)と、LSCF粉末を1:1の重量比で含有するペーストを、工程5で得た焼結体における高導電率層を形成する位置に塗布し、900℃で焼成し、図1Aに示す燃料電池セルを作製した。
<実施例の燃料電池セルの特性>
作製した燃料電池セルの形状特性は次の通りである。
長さ145mm、幅26mm、厚さ3.2mm、内側電極層の厚さ10μm、外側電極層の厚さ50μm、インターコネクタ層の厚さ50μm、P型半導体層の厚さ50μm、導電性凸部のインターコネクタ層表面からの高さhが2mmであった。
作製した燃料電池セルの反り量は次の通りである。
作製した燃料電池セルについて、外側電極層側の面の上下端間に直線状の定規を当て、この定規と当該セル表面との最大距離Lhを求めることにより、長さ方向の反り量とした。一方、外側電極層側の面の幅方向両端間に直線状の定規を当て、この定規と当該セル表面との最大距離Lbを求めることにより、幅方向の反り量とした。
この結果、長さ方向の反り量は0.15mm、幅方向の反り量は0.07mmであった。
作製された本発明の燃料電池セルを、図1cに示すように、一方の燃料電池セルの導電性凸部を、他方の燃料電池セルの高導電率層に、Agペーストを介して当接し、910°Cで加熱し、3本の燃料電池セルからなるセルスタックを作製した。このセルスタックを850°Cの温度に加熱し、水素ガスをセルのガス流路孔31a内に、空気をセル外周に12時間供給し、水素ガスを流しながら放冷した(還元処理)。この後、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルの接合状態を確認したところ、剥離は見られなかった。また、スタックにおける抵抗を、セルスタックの両側に位置する高導電率層と導電性凸部間において測定したところ、40mΩであった。
また、作製された本発明の燃料電池セルを、上記と同様の還元処理をした後、上記と同様にして長さ方向の反り量及び幅方向の反り量を求めたところ、長さ方向の反り量は0.2mm、幅方向の反り量は0.10mmであった。
一方、高導電率層及び導電性凸部を形成しない以外は、上記と同様にして、図6に示す比較例の燃料電池セルを作製し、作製後の反り量を測定したところ、焼成後においては、長さ方向の反り量は0.3mm、幅方向の反り量は0.15mmであった。
この比較例の燃料電池セルを、図6に示すように、一方の燃料電池セルの外側電極層と他方の燃料電池セルのインターコネクタ層間に、板状の金属製集電部材を介在させ、この集電部材と外側電極層、インターコネクタ層をAgペーストを用いて910°Cで加熱し、3本の燃料電池セルからなる図6に示すようなセルスタックを作製した。このセルスタックを上記と同様に還元処理し、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルの接合状況を確認したところ、外側電極層と固体電解質層間に剥離が見られた。また、セルスタックにおける抵抗を、セルスタックの両側に位置する外側電極層とインターコネクタ層間において測定したところ、90mΩであった。
また、作製された燃料電池セルを、上記と同様に還元処理した後、燃料電池セルの反り量を測定したところ、長さ方向の反り量は0.5mm、幅方向の反り量は0.25mmであった。
従って、本発明の燃料電池セルでは、セルスタックを構成した場合において、燃料電池セル間における剥離がなく、また、燃料電池セル間における抵抗が小さいことが判る。さらに、反り量も抑制できることがわかる。これは、十分な強度をもつ高導電率層が緻密性の高い固体電解質層に直接接合され、また導電性凸部もまた十分な強度をもつことによる。
本発明による固体電解質形燃料電池セルの一実施形態の断面を含む部分斜視図である。 (i)は、図1Aの燃料電池セルの2つの平坦な側面のうち一方の図であり、(ii)は、他方の図である。 図1Aの燃料電池セルを複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。 本発明による固体電解質形燃料電池セルの一実施形態の断面を含む部分斜視図である。 (i)は、図2Aの燃料電池セルの2つの平坦な側面のうち一方の図であり、(ii)は、他方の図である。 図2Aの燃料電池セルを複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。 本発明による固体電解質形燃料電池セルの一実施形態の断面を含む部分斜視図である。 (i)は、図3Aの燃料電池セルの2つの平坦な側面のうち一方の図であり、(ii)は、他方の図である。 図3Aの燃料電池セルを複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。 本発明による固体電解質形燃料電池セルの一実施形態の断面を含む部分斜視図である。 (i)は、図4Aの燃料電池セルの2つの平坦な側面のうち一方の図であり、(ii)は、他方の図である。 図4Aの燃料電池セルを複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。 本発明による固体電解質形燃料電池セルの一実施形態の断面を含む部分斜視図である。 (i)は、図5Aの燃料電池セルの2つの平坦な側面のうち一方の図であり、(ii)は、他方の図である。 図5Aの燃料電池セルを複数個一列に配列させて形成したセルスタックの断面図である。 従来の固体電解質形燃料電池セルを、複数個一列に配列させて形成したセルスタックの例を示す、軸方向に垂直な断面図である。
符号の説明
10 セルスタック
31 支持基板
32 内側電極層
33 固体電解質層
34 外側電極層
35 インターコネクタ層
36 導電性凸部
38、39 高導電率層

Claims (8)

  1. 管体における互いに反対側に位置する第1側面部と第2側面部とを有し、前記第1側面部がその内側から外側へ向かって積層された内側電極層、緻密質の固体電解質層及び多孔質の外側電極層を具備し、かつ前記第2側面部が前記内側電極層と電気的に接続された緻密質のインターコネクタ層を具備
    前記第1側面部における前記外側電極層の一部を欠いた空乏部に埋設され、内側を向いた面が前記固体電解質層と接続されるとともに、該外側電極層と電気的に接続されかつ該外側電極層よりも高い電子導電率を有する緻密質の高導電率層と、
    前記第1側面部の前記高導電率層の位置と対向する前記第2側面部における位置にて、前記インターコネクタ層と電気的に接続されかつ該第2側面部から外側へ突出した緻密質の導電性凸部とを有することを特徴とする固体電解質形燃料電池セル。
  2. 前記導電性凸部が、前記外側電極層と同種の材料でインターコネクタ層の外面上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質形燃料電池セル。
  3. 前記高導電率層が、Agを含む金属材料で形成されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の固体電解質形燃料電池セル。
  4. 前記第1側面部と前記第2側面部の間に設けた導電性支持基板を有し、
    前記導電性凸部が、前記導電性支持基板及び前記インターコネクタ層を突出させて形成されることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質形燃料電池セル。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質形燃料電池セルを複数個直列に接続した燃料電池セルスタックにおいて、互いに隣接する一方の燃料電池セルにおける前記高導電率層と、他方の燃料電池セルにおける前記導電性凸部とを接合したことを特徴とする燃料電池セルスタック。
  6. 管体における互いに反対側に位置する第1側面部と第2側面部とを有し、前記第1側面部がその内側から外側へ向かって積層された内側電極層、緻密質の固体電解質層及び多孔質の外側電極層を具備し、かつ前記第2側面部が前記内側電極層と電気的に接続された緻密質のインターコネクタ層を具備する固体電解質形燃料電池セルにおいて、
    前記第1側面部における前記外側電極層の一部を欠いた空乏部に埋設され、内側を向いた面が前記固体電解質層と接続されるとともに、該外側電極層と電気的に接続されかつ該第1側面部から外側へ突出した、該外側電極層よりも高い電子導電率をもつ緻密質の凸部を有することを特徴とする固体電解質形燃料電池セル。
  7. 請求項6に記載の固体電解質形燃料電池セルを複数個直列に接続した燃料電池セルスタックにおいて、互いに隣接する一方の燃料電池セルにおける前記高導電率をもつ凸部と、他方の燃料電池セルにおける前記インターコネクタ層とを接合したことを特徴とする燃料電池セルスタック。
  8. 収納容器と、該収納容器内に組み込まれた請求項5または7に記載の燃料電池セルスタックとを有することを特徴とする燃料電池。
JP2005273436A 2005-09-21 2005-09-21 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池 Expired - Fee Related JP4805642B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005273436A JP4805642B2 (ja) 2005-09-21 2005-09-21 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005273436A JP4805642B2 (ja) 2005-09-21 2005-09-21 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007087696A JP2007087696A (ja) 2007-04-05
JP4805642B2 true JP4805642B2 (ja) 2011-11-02

Family

ID=37974473

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005273436A Expired - Fee Related JP4805642B2 (ja) 2005-09-21 2005-09-21 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4805642B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5705697B2 (ja) * 2011-09-30 2015-04-22 京セラ株式会社 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池モジュール
JP2013097977A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Kyocera Corp 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池モジュールならびに燃料電池装置
JP6298908B1 (ja) * 2017-03-14 2018-03-20 日本碍子株式会社 機能性セラミックス体

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3102809B2 (ja) * 1991-05-20 2000-10-23 日本電信電話株式会社 中空薄板式固体電解質燃料電池
JPH08102327A (ja) * 1994-09-29 1996-04-16 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 中空平板状燃料電池基板
JP3636406B2 (ja) * 1996-09-13 2005-04-06 日本碍子株式会社 固体電解質型燃料電池用支持体、固体電解質型燃料電池の単電池および固体電解質型燃料電池用支持体の製造方法
JP4192017B2 (ja) * 2003-03-12 2008-12-03 京セラ株式会社 セルスタック及び燃料電池
WO2004082058A1 (ja) * 2003-03-13 2004-09-23 Tokyo Gas Company Limited 固体酸化物形燃料電池モジュール
JP4368850B2 (ja) * 2003-03-31 2009-11-18 東京瓦斯株式会社 固体酸化物形燃料電池モジュールの作製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007087696A (ja) 2007-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5132878B2 (ja) 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池
JP2004146334A (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP5188069B2 (ja) 燃料電池セルおよびセルスタックならびに燃料電池
JP5072304B2 (ja) 燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック、ならびに燃料電池
JP2008226654A (ja) 燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック、ならびに燃料電池
JP5247051B2 (ja) 燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック、ならびに燃料電池
JP4511122B2 (ja) 燃料電池セル
JP5079991B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP4931365B2 (ja) 燃料電池セル用支持基板及び燃料電池セル並びに燃料電池
JP4350403B2 (ja) 固体電解質型燃料電池セル
JP5294649B2 (ja) セルスタックおよび燃料電池モジュール
JP4798947B2 (ja) 燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池
JP4805642B2 (ja) 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池
JP4456822B2 (ja) 燃料電池セル
JP4130135B2 (ja) 集電部材の表面処理方法
JP4593997B2 (ja) 燃料電池セル用支持体及び燃料電池セル並びに燃料電池
JP4748971B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP5036163B2 (ja) 燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池
JP4925574B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP4707985B2 (ja) 燃料電池セル及びセルスタック
JP4544874B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP4794233B2 (ja) 中空平板型燃料電池セル及び燃料電池
JP4480377B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
JP4889288B2 (ja) セルスタック及び燃料電池
JP4021782B2 (ja) 燃料電池セル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080314

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110719

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110811

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140819

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees