JP5600819B1 - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】「横縞型」の燃料電池であって、シール膜における主部シール部と側端部シール部との接続部の周辺にてクラックが発生し難いものを提供すること。
【解決手段】支持基板10の主部10Aと一対の側端部10B、10Bとの表裏の境界部にはそれぞれ、側端部10B側が主部10A側に対して厚さ方向に突出する長手方向(x軸方向)に延びる一対の段差ST、STが形成されている。「燃料ガスが流通する空間」と「空気が流通する空間」とを区画・形成する緻密質材料からなる「シール膜」が、支持基板10の主部10Aの主面を覆う主部シール部40と、支持基板10の側端部10B、10Bの表面を覆う側端部シール部80、80と、を含んで構成される。支持基板10の段差STの近傍部分において、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように、側端部シール部80が主部シール部40と接続されている。
【選択図】図3
【解決手段】支持基板10の主部10Aと一対の側端部10B、10Bとの表裏の境界部にはそれぞれ、側端部10B側が主部10A側に対して厚さ方向に突出する長手方向(x軸方向)に延びる一対の段差ST、STが形成されている。「燃料ガスが流通する空間」と「空気が流通する空間」とを区画・形成する緻密質材料からなる「シール膜」が、支持基板10の主部10Aの主面を覆う主部シール部40と、支持基板10の側端部10B、10Bの表面を覆う側端部シール部80、80と、を含んで構成される。支持基板10の段差STの近傍部分において、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように、側端部シール部80が主部シール部40と接続されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池に関する。
従来より、「ガス流路が内部に形成された多孔質の平板状の支持基板」と、「前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順に積層されてなる複数の発電素子部」と、「前記支持基板の主面において隣り合う前記発電素子部の間に設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電気的接続部」と、「前記支持基板の主面における前記発電素子部が設けられた領域を除いた部分、及び、前記支持基板の側端面を覆うように設けられ、前記ガス流路を経て前記燃料極に供給されるガス(燃料ガス)と、前記空気極に供給されるガス(空気)との混合を防止する緻密質材料からなるシール膜」と、を備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような構成は、「横縞型」とも呼ばれる。
上記文献に記載された燃料電池では、前記シール膜として、発電素子部の内部から延設された固体電解質膜が、支持基板の主面における発電素子部が設けられた領域を除いた部分、及び、支持基板の側端面を覆うように連続して設けられている。
このように、シール膜(固体電解質膜)における「支持基板の主面を覆う部分」と「支持基板の側端面を覆う部分」とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった構成では、理由は不明であるが、シール膜における「支持基板の主面を覆う部分」と「支持基板の側端面を覆う部分」との接続部の周辺にてクラックが発生し易い、という問題があった。
本発明は、以上の問題に対処するためのものであり、「横縞型」の燃料電池であって、シール膜における「支持基板の主面を覆う部分」と「支持基板の側端面を覆う部分」との接続部の周辺にてクラックが発生し難いものを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、「背景技術」の欄で記載した燃料電池と同様に、前記支持基板と、前記複数の発電素子部と、前記電気的接続部と、前記シール膜と、を備えた「横縞型」の燃料電池である。
本発明に係る燃料電池の特徴は、前記支持基板における「主部」と「一対の側端部」との境界部に、前記側端部側が厚さ方向に突出する長手方向に延びる一対の段差が形成されたこと、並びに、前記シール膜が、「前記支持基板の主部の主面における前記発電素子部が設けられた領域を除いた部分を覆うように設けられ且つ前記発電素子部の前記固体電解質膜と同じ組成又は異なる組成を有する緻密質材料で構成された主部シール部」と、「前記支持基板の側端部の表面を覆うように設けられ且つ前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成され且つ前記主部シール部と接続する側端部シール部」と、を含んで構成されたこと、にある。
加えて、本発明に係る燃料電池の特徴は、前記側端部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部(の裏面)が、前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面を覆うように、前記側端部シール部が前記主部シール部と接続するように構成されたこと、にある。この場合、前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面と、前記支持基板の側端部における前記段差の近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成されることが好適である。
上記構成によれば、前記側端部シール部の縁部と前記主部シール部の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、前記側端部シール部が前記主部シール部と接続される。この構成を採用すると、「主部シール部と側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成と比べて、主部シール部と側端部シール部との接続部の周辺にてクラックが発生し難くなることが判明した。
上記本発明に係る燃料電池では、前記主部シール膜は、前記発電素子部の内部の固体電解質膜から前記支持基板の主部の主面を覆うように延びる前記固体電解質と同じ組成又は異なる組成を有する緻密質の固体電解質材料で構成され得る。或いは、前記主部シール膜は、固体電解質材料以外の緻密質材料で構成され得、例えば、支持基板と同じ主成分(同じ組成)を有する緻密質材料で構成され得る。「前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成される前記側端部シール膜」も、支持基板と同じ主成分(同じ組成)を有する緻密質材料で構成され得る。
以上は、シール膜における「支持基板の主面を覆う部分」(主部シール部)と「支持基板の側端面を覆う部分」(側端部シール部)との接続部の周辺におけるクラックの発生の可能性を抑制する点について議論してきた。更に、本発明者は、シール膜における「支持基板の主面を覆う部分」(主部シール部)と「支持基板の長手方向のガス排出側の端面を覆う部分」(排出側端部シール部)との接続部の周辺におけるクラックの発生の可能性を抑制する場合においても、上記と同様の議論が成立することを見出した。
即ち、この場合、前記支持基板は、前記長手方向を有する平板状の主部と、前記主部における前記長手方向のガスの排出側の端部に位置し前記主部と接続する排出側端部と、を有し、前記主部と前記排出側端部との境界部には前記排出側端部側が厚さ方向に突出する前記長手方向と垂直の幅方向に延びる段差が形成される。前記シール膜は、前記主部シール部と、前記支持基板の排出側端部の表面を覆うように設けられ且つ前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成され且つ前記主部シール部と接続する排出側端部シール部と、を含んで構成される。そして、前記排出側端部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部が、前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面を覆うように、前記排出側端部シール部が前記主部シール部と接続するように構成される。この場合、前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面と、前記支持基板の排出側端部における前記段差の近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成されることが好適である。「前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成される前記排出側端部シール膜」も、支持基板と同じ主成分(同じ組成)を有する緻密質材料で構成され得る。
上記構成によれば、前記排出側端部シール部の縁部と前記主部シール部の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、前記排出側端部シール部が前記主部シール部と接続される。この構成を採用すると、「主部シール部と排出側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」構成と比べて、主部シール部と排出側端部シール部との接続部の周辺にてクラックが発生し難くなることが判明した。
また、前記電気的接続部は、前記空気極と接続するとともに多孔質材料で構成された前記第1部分と、前記燃料極と接続するとともに前記第1部分と接続し且つ緻密質材料で構成された第2部分と、で構成され、前記平板状の支持基板の主部の主面における前記複数の箇所に、前記支持基板の材料からなる底壁と全周に亘って前記支持基板の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第1凹部がそれぞれ形成され、前記各第1凹部に、対応する前記発電素子部の燃料極がそれぞれ埋設され、前記埋設された各燃料極の外側面に形成された第2凹部に、対応する前記電気的接続部の前記第2部分がそれぞれ埋設され得る。
また、対応する前記電気的接続部の第2部分が埋設された前記各第2凹部は、前記燃料極の材料からなる底壁と、全周に亘って前記燃料極の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有し得る。
また、前記燃料極の前記第2凹部以外の外側面と、前記電気的接続部の第2部分の外側面と、前記支持基板の前記主面とにより、1つの平面が構成され得る。
(第1実施形態の構成)
図1は、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の第1実施形態を示す。このSOFCは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
図1は、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の第1実施形態を示す。このSOFCは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このSOFCの全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが5〜50cmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが1〜10cmの長方形である。このSOFCの全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1〜図6を参照しながら、このSOFCの詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図7に示すように、支持基板10は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の主部10Aと、主部10Aにおける幅方向(y軸方向)の両端部に位置し主部10Aと接続する一対の側端部10B、10Bと、から構成される。
側端部10Bは、長手方向(x軸方向)に延びる半円柱状を呈している。側端部10Bの幅方向に突出する曲面(円筒面の一部)の曲率半径は、0.3〜5mmである。主部10Aと一対の側端部10B、10Bとの表裏の境界部にはそれぞれ、側端部10B側が主部10A側に対して厚さ方向(z軸方向)に突出する長手方向(x軸方向)に延びる一対の段差ST、STが形成されている。
支持基板10の主部10Aの内部には、長手方向(x軸方向)に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。また、支持基板10の主部10Aの上下面(両主面)のそれぞれには、各発電素子部Aに対応する箇所に凹部12がそれぞれ形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y2O3(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。支持基板10の厚さは、1〜5mmである。
図2〜図4に示すように、支持基板10の上下面(両主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。図2及び図4に示すように、各燃料極集電部21の表面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。前記「周方向に閉じた側壁」は、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の前記「周方向に閉じた側壁」の全周と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
図2及び図4に示すように、各燃料極集電部21の表面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。前記「周方向に閉じた側壁」は、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、直方体状のインターコネクタ30の一部(内側の半分)が埋設(充填)されている。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密質材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の側壁の全周と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極集電部21の表面(外側面)と、燃料極活性部22の表面(外側面)と、支持基板10の主部10Aの主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主部10Aの主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極集電部21の表面と燃料極活性部22の表面と支持基板10の主部10Aの主面との間で、段差が形成されていない。インターコネクタ30の一部(外側の半分)は、前記「1つの平面」から突出している。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10の主部10Aの主面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。即ち、固体電解質膜40は、発電素子部Aの内部から支持基板10の主部10Aの主面を覆うように、且つ、支持基板10の段差ST、ST(図7を参照)の側面の全面に接触するように、発電素子部Aの外部へ延びている。ここで、固体電解質膜40における「発電素子部Aの内部以外の、主部10Aの主面を覆う部分」が、前記「主部シール部」に対応する。
固体電解質膜(主部シール部)40は、酸素イオン伝導性を有する緻密質材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。即ち、固体電解質膜40は、ジルコニア(ZrO2)を含む。固体電解質膜(主部シール部)40の厚さは、3〜50μmである。
図3に示すように、主部シール部40における段差STの近傍に位置する縁部の表面と、支持基板10の側端部10Bにおける段差STの近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成されている。即ち、主部シール部40における段差STの近傍に位置する縁部の表面と、支持基板10の側端部10Bにおける段差STの近傍に位置する部分の表面との間で、段差が形成されていない。
また、図2に示すように、固体電解質膜(主部シール部)40の表面(外側面)と、インターコネクタ30の表面(外側面)とにより、1つの平面が構成されている。即ち、固体電解質膜40の表面とインターコネクタ30の表面との間で、段差が形成されていない。なお、この例では、固体電解質膜(主部シール部)40とインターコネクタ30とが、直接接触して接続されているが、固体電解質膜(主部シール部)40とインターコネクタ30とが、インターコネクタ30の外周部に形成された「固体電解質膜(主部シール部)40及びインターコネクタ30とは異なるシール膜」を介して接続されてもよい。この場合、固体電解質膜(主部シール部)40とインターコネクタ30とは接触しない。
図1及び図3に示すように、支持基板10の一対の側端部10B、10Bの表面の全面は、側端部シール部80、80で覆われている。側端部シール部80における段差STの近傍に位置する縁部は、主部シール部40における段差STの近傍に位置する縁部の表面を覆っている。換言すれば、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、側端部シール部80が主部シール部40と接続されている。
側端部シール部80は、主部シール部40と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成されている。主部シール部40と異なる組成を有する緻密質材料としては、例えば、10Sc1CeZrO2のような他の固体電解質材料であってもよいし、ガラス、ZrO2のような固体電解質以外の材料であってもよい。或いは、側端部シール部80は、支持基板10と同じ主成分(同じ組成)を有する緻密質材料で構成されてもよい。側端部シール部80の厚さは、3〜100μmである。
以上、支持基板10の主部10Aの表裏の各主面における発電素子部Aが設けられた領域を除いた部分は、インターコネクタ30と固体電解質膜(主部シール膜)40とからなる連続した緻密質膜により覆われている。加えて、支持基板10の一対の側端部10B、10Bの表面は、側端部シール膜80、80という緻密質膜により覆われている。これらの連続した緻密質膜(インターコネクタ30+主部シール膜40+側端部シール膜80)は、緻密質膜の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密質膜の外側の空間を流れる空気との混合を防止する前記「シール膜」に対応する。「シール膜」のガスシール機能を発揮するため、この緻密質膜(インターコネクタ30+主部シール膜40+側端部シール膜80)の気孔率は、10%以下である。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密質材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)、及び、SDC=(Ce,Sm)O2(サマリウムドープセリア)等の希土類元素を含むセリアから構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、固体電解質膜40と空気極60との間に反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層(SrZrO3)が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の主部10Aの上下面のそれぞれには、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、反応防止膜50、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の表面(外側面)に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を外側からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。或いは、La(Ni、Fe、Cu)O3で構成されてもよい。即ち、空気極集電膜70は、ストロンチウム(Sr)又はランタン(La)を含む。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の主部10Aの上下面のそれぞれに配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、前記「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密質材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCに対して、図5に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極20) …(2)
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図6に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図5に示すように、このSOFC全体から(具体的には、図5において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(第1実施形態の製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの製造方法の一例について図7〜図15を参照しながら簡単に説明する。図7〜図15において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの製造方法の一例について図7〜図15を参照しながら簡単に説明する。図7〜図15において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図7に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図7に示す8−8線に対応する部分断面を表す図8〜図15を参照しながら説明を続ける。
図8に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図9に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gの全体がそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図11に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gの一部(内側の半分)がそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図12に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける主部10Aの主面(即ち、上下の主面)において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
加えて、支持基板の成形体10gの一対の側端部10B、10Bの表面の全面に、側端部シール部の成形膜がそれぞれ形成される。このとき、支持基板の成形体10gの段差STの近傍部分において、側端部シール部の成形膜の縁部と固体電解質膜の成形膜40gの縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、側端部シール部の成形膜が形成される。側端部シール部の成形膜も、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図13に示すように、固体電解質膜の成形体40gの外側面における燃料極集電部の成形体22gに対応する複数の箇所に、反応防止膜の成形膜50gがそれぞれ形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCにおいて空気極60、及び、空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図14に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図15に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、反応防止膜50、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF、La(Ni、Fe、Cu)O3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCが得られる。以上、図1に示したSOFCの製造方法の一例について説明した。
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、支持基板10、及び燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20の導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。
(第1実施形態の作用・効果)
以上、説明したように、上記第1実施形態では、支持基板10の主部10Aと一対の側端部10B、10Bとの表裏の境界部にはそれぞれ、側端部10B側が主部10A側に対して厚さ方向に突出する長手方向に延びる一対の段差ST、STが形成されている(図7を参照)。加えて、「燃料ガスが流通する空間」と「空気が流通する空間」とを区画・形成する緻密質材料からなる「シール膜」が、支持基板10の主部10Aの主面を覆う主部シール部40と、支持基板10の側端部10B、10Bの表面を覆う側端部シール部80、80と、を含んで構成されている。更には、支持基板10の段差STの近傍部分において、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、側端部シール部80が主部シール部40と接続されている。
以上、説明したように、上記第1実施形態では、支持基板10の主部10Aと一対の側端部10B、10Bとの表裏の境界部にはそれぞれ、側端部10B側が主部10A側に対して厚さ方向に突出する長手方向に延びる一対の段差ST、STが形成されている(図7を参照)。加えて、「燃料ガスが流通する空間」と「空気が流通する空間」とを区画・形成する緻密質材料からなる「シール膜」が、支持基板10の主部10Aの主面を覆う主部シール部40と、支持基板10の側端部10B、10Bの表面を覆う側端部シール部80、80と、を含んで構成されている。更には、支持基板10の段差STの近傍部分において、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、側端部シール部80が主部シール部40と接続されている。
上記第1実施形態によれば、「主部シール部と側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成と比べて、主部シール部40と側端部シール部80との接続部の周辺にてクラックが発生し難くなることが判明した。これは、詳細は不明であるが、上記第1実施形態では、上記従来の構成と比べて、主部シール部40と側端部シール部80との接続部の周辺にて局所的に過大な熱応力が発生し難くなることに起因する、と考えられる。
また、上記第1実施形態では、支持基板10の主部10Aの上下面に形成されている、燃料極20(集電部21)を埋設するための複数の凹部12のそれぞれが、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁を有している。換言すれば、支持基板10の主部10Aにおいて各凹部12を囲む枠体がそれぞれ形成されている。従って、この構造体は、支持基板10が外力を受けた場合に変形し難い。
また、上記第1実施形態では、支持基板10の各凹部12内に燃料極20(集電部21+活性部22)及びインターコネクタ30等の部材が隙間なく充填・埋設された状態で、支持基板10と前記埋設された部材とが共焼結される。従って、部材間の接合性が高く且つ信頼性の高い焼結体が得られる。
また、上記第1実施形態では、インターコネクタ30が、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bに埋設され、この結果、直方体状のインターコネクタ30の4つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。従って、燃料極集電部21の外側平面上に直方体状のインターコネクタ30が積層される(接触する)構成が採用される場合に比べて、燃料極20(集電部21)とインターコネクタ30との界面の面積を大きくできる。従って、燃料極20とインターコネクタ30との間における電子伝導性を高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力を高めることができる。
また、上記第1実施形態では、平板状の支持基板10の主部10Aの上下面のそれぞれに、複数の発電素子部Aが設けられている。これにより、支持基板の片側面のみに複数の発電素子部が設けられる場合に比して、構造体中における発電素子部の数を多くでき、燃料電池の発電出力を高めることができる。
また、上記第1実施形態では、前記「シール部」の一部である固体電解質膜(主部シール部)40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜(主部シール部)40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜(主部シール部)40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜(主部シール部)40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
(主部シール部と側端部シール部とのラップ量の適正な範囲)
以下、側端部シール部80の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う幅方向(y軸方向)の長さを「ラップ量L」と呼ぶ(図3を参照)。また、側端部シール部80の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う部分(即ち、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なる部分)を「オーバラップ部分」と呼ぶ。
以下、側端部シール部80の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う幅方向(y軸方向)の長さを「ラップ量L」と呼ぶ(図3を参照)。また、側端部シール部80の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う部分(即ち、側端部シール部80の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なる部分)を「オーバラップ部分」と呼ぶ。
上述のように、上記第1実施形態では、「主部シール部と側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成と比べて、通常の環境下で稼働される場合には、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生し難い。しかしながら、上記第1実施形態が熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が、ラップ量Lと強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Aについて説明する。
(試験A)
この試験Aでは、上記第1実施形態について、主部シール部40の材質、側端部シール部80の材質、及び、ラップ量L(mm)の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、8種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。表1に記載されたラップ量Lの値は、上記還元処理後の段階での値(N=10の平均値)である。
この試験Aでは、上記第1実施形態について、主部シール部40の材質、側端部シール部80の材質、及び、ラップ量L(mm)の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、8種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。表1に記載されたラップ量Lの値は、上記還元処理後の段階での値(N=10の平均値)である。
各サンプルは、上述した「第1実施形態の製造方法」と同じ方法を用いて、作製された。各サンプル(図1に示す燃料電池)にて使用された支持基板10としては、材料が上記に列挙されたもののうちの一つであり、材料の気孔率が20〜60%であり、厚さ、幅がそれぞれ、1〜5mm、30〜100mmであるものが使用された。(y−z平面に沿った断面における)支持基板10の側端部10Bの曲率半径は、0.5〜2.5mmであった。主部シール部40の厚さは、段差STの高さと同じであり、5〜50μmであった。側端部シール部80の厚さ(オーバラップ部分を除く)は、10〜100μmであった。主部シール部40、及び、側端部シール部80の気孔率は10%以下であった。各サンプルについて、主部シール部40、及び、側端部シール部80の焼成に関し、焼成温度は1300〜1500℃であり、焼成時間は1〜20時間であった。還元処理温度は800〜1000℃であり、還元処理時間は1〜10時間であった。
表1において、各水準にて、ラップ量Lの値として、10個のサンプルにおける平均値がそれぞれ示されている。なお、水準1のみについては、「支持基板10の主部10Aと一対の側端部10B、10Bとの表裏の境界部に段差が形成されておらず、且つ、主部シール部と側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成(即ち、オーバラップ部分が設けられない構成)が採用された。
上記還元処理後の段階における各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、オーバラップ部分の周辺におけるクラックの発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、オーバラップ部分が設けられる場合(水準2〜8を参照)、オーバラップ部分が設けられない場合(水準1を参照)と比べて、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生し難い、といえる。
加えて、表1から理解できるように、ラップ量Lが0.3〜4.8mmであると、そうでない場合と比べて、オーバラップ部分の周辺にてクラックがより一層発生し難い、といえる。
以上より、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、オーバラップ部分が設けられると、オーバラップ部分が設けられない場合と比べて、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生し難く、更に、オーバラップ部分が設けられる場合において、ラップ量Lが0.3〜4.8(mm)であると、そうでない場合と比べて、前記クラックがより一層発生し難い、といえる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)では、表1の水準1〜8の全てにおいて、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生しないことを別途確認している。
なお、本発明は上記第1実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第1実施形態では、平板状の支持基板10の主部10Aの上下面のそれぞれに、複数の発電素子部Aが設けられているが、図1〜図3にそれぞれ対応する図16〜図18に示すように、平板状の支持基板10の主部10Aの上下面の一方側(この例では、上面)にのみ、複数の発電素子部Aが設けられていても良い。図18に示す例では、支持基板10の上側にのみ一対の段差ST、STが設けられ、側端部シール部80は、一対の段差ST、STの一方側から他方側まで、支持基板10の一対の側端部10B、10B、及び、主部10Aの下面の全面を覆うように設けられている。
また、上記第1実施形態では、図7等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。
また、上記第1実施形態においては、各凹部12内の燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bにはインターコネクタ30の一部(内側の半分)が埋設され、且つ、インターコネクタ30の残りの一部(外側の半分)が凹部21bから突出しているが、インターコネクタ30の全体が凹部21bに埋設されていてもよい。
また、上記第1実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。
また、上記第1実施形態においては、固体電解質膜40における「発電素子部Aの内側の部分」(燃料極活性部22と反応防止膜50との間の部分)と「発電素子部Aの外側の部分」(主部シール部)とが同じ組成で構成されているが、異なる組成で構成されてもよい。主部シール部は、固体電解質以外の緻密質材料で構成されてもよく、例えば、支持基板10と同じ主成分(同じ組成)を有する緻密質材料で構成されてもよい。
(第2実施形態の構成)
次に、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の第2実施形態について、図19〜図22を参照しながら説明する。以下、第2実施形態における上記第1実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
次に、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の第2実施形態について、図19〜図22を参照しながら説明する。以下、第2実施形態における上記第1実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
図20に示すように、第2実施形態では、支持基板10は、上記主部10A、及び、上記一対の側端部10B、10Bに加えて、「主部10Aにおける長手方向(x軸方向)のガス排出側端部に位置し、且つ、主部10Aと接続する排出側端部10C」を有する。主部10Aと排出側端部10Cとの表裏の境界部にはそれぞれ、排出側端部10C側が主部10A側に対して厚さ方向(z軸方向)に突出する幅方向(y軸方向)に延びる段差SUが形成されている。図20に示す例では、段差SUが、排出側端部10Cの周囲を周回している。上記第1実施形態とは異なり、主部10Aと側端部10Bとの表裏の境界部には段差ST(図7を参照)が形成されていない。
図19、及び、図21から理解できるように、主部シール部(固体電解質膜)40、及び、一対の側端部シール部(固体電解質膜)80、80が、それぞれ、発電素子部Aの内部から、支持基板10の主部10Aの主面の全面、及び、一対の側端部10B、10Bの側端面の全面を覆うように、且つ、支持基板10の段差SU(図20を参照)の側面の全面に接触するように、発電素子部Aの外部へ延びている。図21に示すように、一対の側端部シール部80、80は、主部シール部40と繋ぎ目なく(シームレスに)繋がっている。
図22に示すように、主部シール部40における段差SUの近傍に位置する縁部の表面と、支持基板10の排出側端部10Cにおける段差SUの近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成されている。即ち、主部シール部40における段差SUの近傍に位置する縁部の表面と、支持基板10の排出側端部10Cにおける段差SUの近傍に位置する部分の表面との間で、段差が形成されていない。
図22に示すように、支持基板10の排出側端部10Cの表面の全面は、排出側端部シール部90で覆われている。排出側端部シール部90における段差SUの近傍に位置する縁部は、主部シール部40における段差SUの近傍に位置する縁部の表面を覆っている。換言すれば、排出側端部シール部90の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、排出側端部シール部90が主部シール部40と接続されている。
排出側端部シール部90は、主部シール部40と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成されている。主部シール部40と異なる組成を有する緻密質材料としては、例えば、10Sc1CeZrO2のような他の固体電解質材料であってもよいし、ガラス、ZrO2のような固体電解質以外の材料であってもよい。或いは、排出側端部シール部90は、支持基板10と同じ主成分(同じ組成)を有する緻密質材料で構成されてもよい。排出側端部シール部90の厚さは、3〜100μmである。
以上、支持基板10の主部10Aの表裏の各主面における発電素子部Aが設けられた領域を除いた部分は、インターコネクタ30と固体電解質膜(主部シール膜)40とからなる連続した緻密質膜により覆われている。加えて、支持基板10の一対の側端部10B、10Bの表面は、側端部シール膜80、80という緻密質膜により覆われている。更には、支持基板10の排出側端部10Cの表面は、排出側端部シール膜90という緻密質膜により覆われている。これらの連続した緻密質膜(インターコネクタ30+主部シール膜40+側端部シール膜80+排出側端部シール膜90)は、前記「シール膜」に対応する。「シール膜」のガスシール機能を発揮するため、この緻密質膜(インターコネクタ30+主部シール膜40+側端部シール膜80+排出側端部シール膜90)の気孔率は、10%以下である。
以下、第2実施形態において、排出側端部シール部90が設けられる理由について付言する。一般に、係るSOFCでは、「各燃料ガス流路のガス排出口から外部空間に排出された余剰のガスが、前記ガス排出口の近傍にて、前記外部空間内にある空気(酸素)と反応して燃焼する」構成が採用される。
この構成が採用される場合、支持基板の排出側端部にてクラックが発生し易い。これは、以下の理由に基づく、と考えられる。第1に、支持基板が多孔質であることに起因して、支持基板の排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入し、上述した余剰のガスが同内部にて空気と反応して燃焼する。この結果、同内部にて、燃焼による発熱に伴う過大な熱応力が局所的に発生してクラックが発生する。第2に、支持基板の排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入することによって、還元体である同内部が再酸化される。この結果、同内部にて、再酸化による寸法変化(酸化膨張又は収縮)に伴う過大な応力が局所的に発生してクラックが発生する。
このようなクラックの発生の可能性を低減するため、支持基板の排出側端部に、緻密質材料で構成されたシール膜(排出側端部シール膜)が形成される。この排出側端部シール膜の形成によって、外部空間内にある空気が支持基板のガス排出側端部の内部へ進入し難くなり、この結果、上記の支持基板内部におけるクラックの発生が抑制され得る。
(第2実施形態の作用・効果)
以上、説明したように、上記第2実施形態では、支持基板10の主部10Aと排出側端部10Cとの表裏の境界部にはそれぞれ、排出側端部10C側が主部10A側に対して厚さ方向に突出する幅方向に延びる段差SUが形成されている(図20を参照)。加えて、「シール膜」が、支持基板10の主部10Aの主面を覆う主部シール部40と、支持基板10の側端部10B、10Bの表面を覆う側端部シール部80、80と、支持基板10の排出側端部10Cの表面を覆う排出側端部シール部90と、を含んで構成されている。更には、支持基板10の段差SUの近傍部分において、排出側端部シール部90の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、排出側端部シール部90が主部シール部40と接続されている。
以上、説明したように、上記第2実施形態では、支持基板10の主部10Aと排出側端部10Cとの表裏の境界部にはそれぞれ、排出側端部10C側が主部10A側に対して厚さ方向に突出する幅方向に延びる段差SUが形成されている(図20を参照)。加えて、「シール膜」が、支持基板10の主部10Aの主面を覆う主部シール部40と、支持基板10の側端部10B、10Bの表面を覆う側端部シール部80、80と、支持基板10の排出側端部10Cの表面を覆う排出側端部シール部90と、を含んで構成されている。更には、支持基板10の段差SUの近傍部分において、排出側端部シール部90の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なるように(オーバラップするように)、排出側端部シール部90が主部シール部40と接続されている。
上記第2実施形態によれば、「主部シール部と排出側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成と比べて、主部シール部40と排出側端部シール部90との接続部の周辺にてクラックが発生し難くなることが判明した。これは、詳細は不明であるが、上記第2実施形態では、上記従来の構成と比べて、主部シール部40と排出側端部シール部90との接続部の周辺にて局所的に過大な熱応力が発生し難くなることに起因する、と考えられる。
(主部シール部と排出側端部シール部とのラップ量の適正な範囲)
以下、排出側端部シール部90の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う長手方向(x軸方向)の長さを「ラップ量H」と呼ぶ(図22を参照)。また、排出側端部シール部90の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う部分(即ち、排出側端部シール部90の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なる部分)を「オーバラップ部分」と呼ぶ。
以下、排出側端部シール部90の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う長手方向(x軸方向)の長さを「ラップ量H」と呼ぶ(図22を参照)。また、排出側端部シール部90の縁部が主部シール部40の縁部の表面を覆う部分(即ち、排出側端部シール部90の縁部と主部シール部40の縁部とが厚さ方向に重なる部分)を「オーバラップ部分」と呼ぶ。
上述のように、上記第2実施形態では、「主部シール部と排出側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成と比べて、通常の環境下で稼働される場合には、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生し難い。しかしながら、上記第2実施形態が熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が、ラップ量Hと強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Bについて説明する。
(試験B)
この試験Bでは、上記第2実施形態について、主部シール部40の材質、排出側端部シール部90の材質、及び、ラップ量H(mm)の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2に示すように、8種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。表2に記載されたラップ量Hの値は、上記還元処理後の段階での値(N=10の平均値)である。
この試験Bでは、上記第2実施形態について、主部シール部40の材質、排出側端部シール部90の材質、及び、ラップ量H(mm)の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2に示すように、8種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。表2に記載されたラップ量Hの値は、上記還元処理後の段階での値(N=10の平均値)である。
各サンプルは、上述した「第1実施形態の製造方法」と同じ方法を用いて、作製された。各サンプル(図1に示す燃料電池)にて使用された支持基板10としては、材料が上記に列挙されたもののうちの一つであり、材料の気孔率が20〜60%であり、厚さ、幅がそれぞれ、1〜5mm、30〜100mmであるものが使用された。(y−z平面に沿った断面における)支持基板10の側端部10Bの曲率半径は、0.5〜2.5mmであった。主部シール部40、及び、側端部シール部80の厚さは、段差SUの高さと同じであり、5〜50μmであった。排出側端部シール部90の厚さ(オーバラップ部分を除く)は、10〜100μmであった。主部シール部40、側端部シール部80、及び、排出側端部シール部90の気孔率は10%以下であった。各サンプルについて、主部シール部40、側端部シール部80、及び、排出側端部シール部90の焼成に関し、焼成温度は1300〜1500℃であり、焼成時間は1〜20時間であった。還元処理温度は800〜1000℃であり、還元処理時間は1〜10時間であった。
表2において、各水準にて、ラップ量Hの値として、10個のサンプルにおける平均値がそれぞれ示されている。なお、水準1のみについては、「支持基板10の主部10Aと排出側端部10Cとの表裏の境界部に段差が形成されておらず、且つ、主部シール部と排出側端部シール部とが繋ぎ目なく(シームレスに)繋がった」従来の構成(即ち、オーバラップ部分が設けられない構成)が採用された。
上記還元処理後の段階における各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、オーバラップ部分の周辺におけるクラックの発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表2に示すとおりである。
表2から理解できるように、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、オーバラップ部分が設けられる場合(水準2〜8を参照)、オーバラップ部分が設けられない場合(水準1を参照)と比べて、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生し難い、といえる。
加えて、表2から理解できるように、ラップ量Hが0.5〜10mmであると、そうでない場合と比べて、オーバラップ部分の周辺にてクラックがより一層発生し難い、といえる。
以上より、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、オーバラップ部分が設けられると、オーバラップ部分が設けられない場合と比べて、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生し難く、更に、オーバラップ部分が設けられる場合において、ラップ量Hが0.5〜10(mm)であると、そうでない場合と比べて、前記クラックがより一層発生し難い、といえる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)では、表2の水準1〜8の全てにおいて、オーバラップ部分の周辺にてクラックが発生しないことを別途確認している。
(第3実施形態の構成)
次に、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の第3実施形態について、図23、及び図24を参照しながら説明する。以下、第3実施形態における上記第1、第2実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
次に、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の第3実施形態について、図23、及び図24を参照しながら説明する。以下、第3実施形態における上記第1、第2実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
図24から理解できるように、第3実施形態では、支持基板10にて、上記第1実施形態にて形成されている一対の段差ST、ST、及び、上記第2実施形態にて形成されている段差SUが、共に形成されている。これに伴い、図23から理解できるように、第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、一対の側端部シール部80における段差STの近傍に位置する縁部が、主部シール部40における段差STの近傍に位置する縁部の表面を覆っている(オーバラップ部分が設けられている)。加えて、上記第2実施形態と同様に、排出側端部シール部90における段差SUの近傍に位置する縁部が、主部シール部40における段差SUの近傍に位置する縁部の表面を覆っている(オーバラップ部分が設けられている)。
以上、第3実施形態は、上記第1、第2実施形態のそれぞれの特徴(オーバラップ部分)を共に備えている。従って、第3実施形態によれば、上記第1実施形態が奏する作用・効果(主部シール部40と側端部シール部80との接続部の周辺におけるクラックの発生の可能性の低減)、並びに、上記第2実施形態が奏する作用・効果(主部シール部40と排出側端部シール部90との接続部の周辺におけるクラックの発生の可能性の低減)を共に奏することができる。
10…支持基板、10A…主部、10B…側端部、10C…排出側端部、11…燃料ガス流路、12…凹部、20…燃料極、21…燃料極集電部、21a、21b…凹部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜(主部シール部)、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、80…側端部シール部、90…排出側端部シール部、A…発電素子部、ST…段差、SU…段差
Claims (6)
- 長手方向を有する平板状の主部と、前記主部における前記長手方向と垂直の幅方向の両端部に位置し前記主部と接続する一対の側端部と、を有する多孔質の支持基板であって、前記主部と前記一対の側端部との境界部には前記側端部側が厚さ方向に突出する前記長手方向に延びる一対の段差が形成され、前記長手方向に沿ってガス流路が内部に形成された支持基板と、
前記支持基板の主部の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質膜、及び空気極がこの順で積層されてなる複数の発電素子部と、
前記支持基板の主部の主面において隣り合う前記発電素子部の間に設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電気的接続部と、
前記ガス流路を経て前記燃料極に供給されるガスと、前記空気極に供給されるガスと、の混合を防止するシール膜であって、前記支持基板の主部の主面における前記発電素子部が設けられた領域を除いた部分を覆うように設けられ且つ前記発電素子部の前記固体電解質膜と同じ組成又は異なる組成を有する緻密質材料で構成された主部シール部と、前記支持基板の側端部の表面を覆うように設けられ且つ前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成され且つ前記主部シール部と接続する側端部シール部と、を含んで構成されたシール膜と、
を備え、
前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面と、前記支持基板の側端部における前記段差の近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成され、
前記側端部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部が、前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面を覆うように、前記側端部シール部が前記主部シール部と接続する、燃料電池。 - 請求項1に記載の燃料電池において、
前記側端部シール部の前記縁部が前記主部シール部の前記縁部の表面を覆う前記幅方向の長さ(L)が、0.3〜4.8mmである、燃料電池。 - 長手方向を有する多孔質の平板状の支持基板であって、前記長手方向に沿ってガス流路が内部に形成され、前記長手方向を有する平板状の主部と、前記主部における前記長手方向のガスの排出側の端部に位置し前記主部と接続する排出側端部と、を有し、前記主部と前記排出側端部との境界部には前記排出側端部側が厚さ方向に突出する前記長手方向と垂直の幅方向に延びる段差が形成された支持基板と、
前記支持基板の主部の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質膜、及び空気極がこの順で積層されてなる複数の発電素子部と、
前記支持基板の主部の主面において隣り合う前記発電素子部の間に設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電気的接続部と、
前記ガス流路を経て前記燃料極に供給されるガスと、前記空気極に供給されるガスと、の混合を防止するシール膜であって、前記支持基板の主部の主面における前記発電素子部が設けられた領域を除いた部分を覆うように設けられ且つ前記発電素子部の前記固体電解質膜と同じ組成又は異なる組成を有する緻密質材料で構成された主部シール部と、前記支持基板の排出側端部の表面を覆うように設けられ且つ前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成され且つ前記主部シール部と接続する排出側端部シール部と、を含んで構成されたシール膜と、
を備え、
前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面と、前記支持基板の排出側端部における前記段差の近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成され、
前記排出側端部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部が、前記主部シール部における前記段差の近傍に位置する縁部の表面を覆うように、前記排出側端部シール部が前記主部シール部と接続する、燃料電池。 - 請求項3に記載の燃料電池において、
前記排出側端部シール部の前記縁部が前記主部シール部の前記縁部の表面を覆う前記長手方向の長さ(H)が、0.5〜10mmである、燃料電池。 - 長手方向を有する多孔質の平板状の支持基板であって、前記長手方向に沿ってガス流路が内部に形成され、前記長手方向を有する平板状の主部と、前記主部における前記長手方向と垂直の幅方向の両端部に位置し前記主部と接続する一対の側端部と、前記主部における前記長手方向のガスの排出側の端部に位置し前記主部と接続する排出側端部と、を有し、前記主部と前記一対の側端部との境界部には前記側端部側が厚さ方向に突出する前記長手方向に延びる一対の第1段差が形成され、前記主部と前記排出側端部との境界部には前記排出側端部側が厚さ方向に突出する前記幅方向に延びる第2段差が形成された支持基板と、
前記支持基板の主部の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質膜、及び空気極がこの順で積層されてなる複数の発電素子部と、
前記支持基板の主部の主面において隣り合う前記発電素子部の間に設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電気的接続部と、
前記ガス流路を経て前記燃料極に供給されるガスと、前記空気極に供給されるガスと、の混合を防止するシール膜であって、前記支持基板の主部の主面における前記発電素子部が設けられた領域を除いた部分を覆うように設けられ且つ前記発電素子部の前記固体電解質膜と同じ組成又は異なる組成を有する緻密質材料で構成された主部シール部と、前記支持基板の側端部の表面を覆うように設けられ且つ前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成され且つ前記主部シール部と接続する側端部シール部と、前記支持基板の排出側端部の表面を覆うように設けられ且つ前記主部シール部と同じ又は異なる組成を有する緻密質材料で構成され且つ前記主部シール部と接続する排出側端部シール部と、を含んで構成されたシール膜と、
を備え、
前記主部シール部における前記第1段差の近傍に位置する縁部の表面と、前記支持基板の側端部における前記第1段差の近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成され、
前記側端部シール部における前記第1段差の近傍に位置する縁部が、前記主部シール部における前記第1段差の近傍に位置する縁部の表面を覆うように、前記側端部シール部が前記主部シール部と接続し、
前記主部シール部における前記第2段差の近傍に位置する縁部の表面と、前記支持基板の排出側端部における前記第2段差の近傍に位置する部分の表面と、により、連続した面が構成され、
前記排出側端部シール部における前記第2段差の近傍に位置する縁部が、前記主部シール部における前記第2段差の近傍に位置する縁部の表面を覆うように、前記排出側端部シール部が前記主部シール部と接続する、燃料電池。 - 請求項5に記載の燃料電池において、
前記側端部シール部の前記縁部が前記主部シール部の前記縁部の表面を覆う前記幅方向の長さ(L)が、0.3〜4.8mmであり、
前記排出側端部シール部の前記縁部が前記主部シール部の前記縁部の表面を覆う前記長手方向の長さ(H)が、0.5〜10mmである、燃料電池。
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