JP5613852B1 - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス流路が内部に形成された多孔質の支持基板を備えた燃料電池であって、支持基板のガス排出側端部にクラックが発生する事態を抑制し得るものを提供すること。【解決手段】この燃料電池は、「長手方向(x軸方向)を有する平板状の多孔質の支持基板であって、その内部には、それぞれが長手方向に貫通する複数のガス流路11が幅方向(y軸方向)に間隔をおいて形成された支持基板10」と、「支持基板10の主面に設けられ、燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部」と、を備えた焼成体である。各ガス流路11の長手方向における一端側及び他端側がそれぞれ、ガス流入側及びガス排出側に対応する。支持基板における長手方向の他端側(x軸負方向側)の端面における幅方向の中央部が、前記端面における幅方向の両端部と比べて、長手方向の他端側(x軸負方向側)に突出している。【選択図】図15

Description

本発明は、燃料電池に関する。
従来より、「長手方向を有する平板状の多孔質の支持基板であって、その内部には、それぞれが前記長手方向に貫通する複数のガス流路が幅方向に間隔をおいて形成された支持基板」と、「前記支持基板の主面に設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部」とを備えた焼成体である固体酸化物形燃料電池が広く知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
係る焼成体である燃料電池では、燃料極等の導電性を獲得するため、燃料電池を作動させる前に、燃料電池に対して高温下(例えば、800℃程度)にて還元ガスを供給する熱処理(以下、「還元処理」と呼ぶ。)が行われて、燃料電池が非還元体から還元体に移行される。
係る燃料電池では、「各ガス流路内において長手方向における一方向(同じ方向)にガス(燃料ガス)が流され、各ガス流路のガス排出口から外部空間に排出された余剰のガスが、同ガス排出口の近傍にて、同外部空間内にある空気(酸素)と反応して燃焼させられる構成」が採用され得る。
この構成が採用される場合、支持基板のガス排出側端部にてクラックが発生する場合があった。これは、以下の理由に基づく、と考えられる。第1に、支持基板が多孔質であることに起因して、支持基板のガス排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入し、上述した余剰のガスが同内部にて空気と反応して燃焼する。この結果、同内部にて、燃焼による発熱に伴う過大な熱応力が局所的に発生してクラックが発生する。第2に、支持基板のガス排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入することによって、還元体である同内部が再酸化される。この結果、同内部にて、再酸化による寸法変化(酸化膨張又は収縮)に伴う過大な応力が局所的に発生してクラックが発生する。係るクラックの発生を抑制することが望まれているところである。
特開平8−106916号公報 特開2008−226789号公報
本発明の目的は、ガス流路が内部に形成された多孔質の支持基板を備えた燃料電池であって、支持基板のガス排出側端部にクラックが発生する事態を抑制し得るものを提供することにある。
本発明に係る燃料電池は、上記と同様の支持基板と発電素子部とを備える。各ガス流路の前記長手方向における一端側及び他端側がそれぞれ、ガス流入側及びガス排出側に対応する。
この燃料電池の特徴は、前記支持基板における前記長手方向の他端側の端面における前記幅方向の中央部が、前記端面における前記幅方向の両端部と比べて、前記長手方向の他端側に突出していることにある。この場合、前記支持基板における前記長手方向の他端側の端面における「前記幅方向の中央の位置」が、「前記複数のガス流路のうち前記幅方向の両端に位置する2つの流路の前記長手方向の他端側のそれぞれの開口における前記幅方向の対応する最も端側の部分の位置」と比べて、前記長手方向の他端側に位置し得る。更には、前記幅方向の両端に位置する2つの流路の前記長手方向の他端側のそれぞれの開口について、「前記開口における前記幅方向の最も中央側の部分の位置」が、「前記開口における前記幅方向の対応する最も端側の部分の位置」と比べて、前記長手方向の他端側に位置し得る。更には、前記複数のガス流路のうち前記幅方向の両端に位置する2つの流路の前記長手方向の他端側の開口の面積が、前記複数のガス流路のうちの残りの流路の前記長手方向の他端側の開口の面積より大きいことが好適である。
一般に、上述した「支持基板のガス排出側端部のクラック」は、「幅方向の両端に位置する2つの流路のガス排出側の開口の近傍部分」において特に発生し易い傾向がある。この問題に対し、例えば、特開2009−81113号公報などでは、幅方向の両端に位置する2つの流路の内径を小さくすることによって上記クラックの発生を抑制することが提案されている。本発明は、これと異なる構成を採用して、上記クラックの発生を抑制するものである。
上記本発明の特徴によれば、支持基板のガス排出側の端面の全体的な形状が「幅方向における中央部が突出する凸状」となっている(後述する図15、図16、図17、図19等を参照)。この結果、前記端面の全体的な形状が平面状となっている構成と比べて、支持基板のガス排出側端部(特に、幅方向の両端に位置する2つの流路のガス排出側の開口の近傍部分)にクラックが発生する事態が抑制され得ることが判明した。
詳細は不明であるが、このことは、上記本発明の特徴を採用した場合、前記端面の全体的な形状が平面状となっている構成と比べて、支持基板のガス排出側端部にてガスが燃焼する際の同ガス排出側端部の温度分布が変化し、同ガス排出側端部(特に、幅方向の両端に位置する2つの流路のガス排出側の開口の近傍部分)において局所的に過大な熱応力が発生し難くなることに起因する、と考えられる。
本発明に係る燃料電池を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示す燃料電池の作動状態を説明するための図である。 図1に示す燃料電池の作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の支持基板を長手方向及び幅方向に垂直な方向からみたときの、支持基板のガス排出側の端面の全体的な形状を示す図である。 支持基板のガス排出側の端面の斜視図の一例である。 支持基板のガス排出側の端面の全体的な形状の変形例を示す図15に対応する図である。 図1に示す燃料電池の支持基板を長手方向からみたときの、支持基板のガス排出側の端面の全体的な形状を示す図である。 図18の19−19断面図である。 図18の20−20断面図である。 本発明に係る燃料電池の第2変形例の図2に対応する断面図である。 本発明に係る燃料電池の第3変形例の図3に対応する断面図である。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構造体を示す。このSOFCの構造体は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このSOFCの構造体の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが5〜50cmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが1〜10cmの長方形である。このSOFCの構造体の全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの構造体の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCの構造体の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCの構造体の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本、3本以上が好ましい)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。なお、支持基板10のガス排出側の端面の全体的な形状は、図1等では平面状に記載されているが、正確には、後述するように、「幅方向における中央部が突出する凸状」となっている(後述する図15、図16、図18等を参照)。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20(集電部21+活性部22)の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCの構造体に対して、図4に示すように、支持基板10の各燃料ガス流路11内に、長手方向の一方向(同じ方向)に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFCの構造体全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの構造体の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。なお、支持基板の成形体10g(即ち、支持基板10)のガス排出側の端面の全体的な形状は、図6では平面状に記載されているが、正確には、後述するように、「幅方向における中央部が突出する凸状」となっている(後述する図15、図16、図18等を参照)。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体が得られる。以上、図1に示したSOFCの構造体の製造方法の一例について説明した。
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、支持基板10、及び燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20の導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。
(支持基板のガス排出側の端面の詳細な形状)
次に、支持基板10のガス排出側の端面の詳細な形状について、図15〜図20を参照しながら説明する。なお、支持基板10のガス排出側の「端面」とは、支持基板10をガス排出側(ガスの下流側)から長手方向に沿ってみたとき、支持基板10のガス排出側端部について「みえる領域」を指す。以下、「複数の燃料ガス流路11における幅方向の両端に位置する2つの流路11」を、それぞれ、「幅方向端部流路11」と呼ぶ。
図15、及び図16に示すように、支持基板10のガス排出側の端面は、全体として、「幅方向(y軸方向)における中央部が、長手方向においてガスの下流側(x軸負方向側)に突出する凸状」を呈している。換言すれば、支持基板10におけるガス排出側の端面における幅方向の中央部が、前記端面における幅方向の両端部と比べて、長手方向においてガスの下流側に向けて突出している。
或いは、支持基板10のガス排出側の端面における「幅方向の中央の位置」(図15の点Aを参照)が、2つの「幅方向端部流路11」のガス排出側のそれぞれの開口における幅方向の対応する最も端側の部分の位置」(図15の点Bを参照)と比べて、長手方向においてガスの下流側に位置している、といえる。更には、2つの「幅方向端部流路11」のガス排出側のそれぞれの開口について、前記開口における「幅方向の最も中央側の部分の位置」(図15の点Cを参照)が、前記開口における「幅方向の対応する最も端側の部分の位置」(図15の点Bを参照)と比べて、長手方向においてガスの下流側に位置している、といえる。
また、2つの「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の面積(S1)が、複数の燃料ガス流路11のうち残りの流路11のガス排出側の開口の面積(S2)より大きいこと(即ち、(S1/S2)>1が成立すること)が好適である。より具体的には、2つの「幅方向端部流路11」の開口面積(S1)のうち小さい方が、複数の残りの流路11の開口面積(S2)のうちの最大値より大きい、ことが好適である。
ここで、「開口の面積」とは、「その開口の面積が最も大きくみえる外部の方向から、その開口をみたときの開口の面積」を指す。2つの「幅方向端部流路11」の面積(y−z平面に沿った断面の面積)が、残りの流路11の面積(y−z平面に沿った断面の面積)より大きいことに起因して、「(S1/S2)>1」が成立していてもよい。或いは、複数の燃料ガス流路11の面積(y−z平面に沿った断面の面積)が全て等しい一方で、支持基板10のガス排出側の端面が凸状であることによって、面積が最も大きくみえる外部の方向からみたときの開口の形状が、2つの「幅方向端部流路11」と、残りの流路11と、の間で異なることに起因して、「(S1/S2)>1」が成立していてもよい。
このように、支持基板10のガス排出側の端面が凸状となっている。この結果、前記端面の形状が平面状となっている構成と比べて、支持基板10のガス排出側端部にクラックが発生する事態が抑制され得ることが判明した。これは、詳細は不明であるが、支持基板10のガス排出側の端面が凸状となっている場合、前記端面の全体的な形状が平面状となっている構成と比べて、支持基板10のガス排出側端部にてガスが燃焼する際の同ガス排出側端部の温度分布が変化し、同ガス排出側端部(特に、幅方向の両端に位置する2つの燃料ガス流路11のガス排出側の開口の近傍部分)において局所的に過大な熱応力が発生し難くなることに起因する、と考えられる。
なお、図15に示す例では、支持基板10のガス排出側の端面が、幅方向の全域において曲面状(凸状)を呈しているが、図17に示すように、幅方向の中央部に平面部が存在する形状を呈していても良い。なお、図17における点A、B、Cは、図15における点A、B、Cにそれぞれ対応している。
また、図18の19−19断面、20−20断面である図19、図20から理解できるように、支持基板10のガス排出側の端面における「支持基板10の主面又は側端面と燃料ガス流路11との間の部分」(図19、図20におけるE1を参照)が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している。ここで、図19のE1が、支持基板10のガス排出側の端面における「支持基板10の側端面と燃料ガス流路11との間の部分」に対応し、図20のE1が、支持基板10のガス排出側の端面における「支持基板10の主面と燃料ガス流路11との間の部分」に対応している。
加えて、支持基板10のガス排出側の端面における「隣り合う燃料ガス流路11、11の間の部分」(図19におけるE2を参照)が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している。
換言すれば、支持基板10における「支持基板10の主面又は側端面と燃料ガス流路11との間の部分」(図19、図20において、E1に対応するハッチング領域を参照)の長手方向におけるガス下流側の端面(x軸負方向側の端面、図19、図20におけるE1を参照)が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している。加えて、支持基板10における「隣り合う燃料ガス流路11、11の間の部分」(図19において、E2に対応するハッチング領域を参照)の長手方向におけるガス下流側の端面(x軸負方向側の端面、図19におけるE2を参照)が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している。なお、図18における点A、B、Cは、図15における点A、B、Cにそれぞれ対応している。
このように、支持基板10をガス排出側(ガスの下流側)から長手方向に沿ってみたとき、支持基板10のガス排出側の端面における「支持基板10の主面又は側端面と燃料ガス流路11との間を繋ぐ部分」(図19、図20におけるE1を参照)が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している。加えて、支持基板10をガス排出側(ガスの下流側)から長手方向に沿ってみたとき、支持基板10のガス排出側の端面における「隣り合う燃料ガス流路11、11間を繋ぐ部分」(図19におけるE2を参照)が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している。これらの結果、同じ部分が、平面状を呈している構成、或いは、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈している一方で平坦部を備える構成と比べて、支持基板10のガス排出側端部にクラックが発生する事態が抑制され得ることが判明した。
これは、詳細は不明であるが、支持基板10のガス排出側の端面が平面部を備えない場合、前記端面が平面部を備える構成と比べて、支持基板10のガス排出側端部にてガスが燃焼する際の同ガス排出側端部の熱応力分布が変化し、同ガス排出側端部において熱応力の集中が発生し難くなることに起因する、と考えられる。
ここで、「平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈する」部分は、支持基板10のガス排出側の端面における「支持基板10の主面又は側端面と燃料ガス流路11との間の部分」(図19、図20におけるE1を参照)の一部であっても、全体であってもよいし、支持基板10のガス排出側の端面における「隣り合う燃料ガス流路11、11の間の部分」(図19におけるE2を参照)の一部であっても、全体であってもよい。支持基板10のガス排出側の端面の全域が、平坦部を備えず、且つ、長手方向においてガスの下流側に突出する凸面状を呈していることが好適である。
なお、支持基板10の内部のNiの再酸化防止等の目的で、支持基板10のガス排出側の端面等に、コーティング膜(例えば、YSZ膜)が形成される場合がある。この場合、支持基板10のガス排出側の端面部における「支持基板の材料で構成される端面」(即ち、コーティング膜の表面ではなく、コーティング膜で覆われた面)が、図15〜図20にて示された形状を備えている必要がある。
(面積比S1/S2の適正な範囲)
以下、残りの流路11のガス排出側の開口の面積(S2)に対する、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の面積(S1)の割合(面積比S1/S2)の適正な範囲について付言する。
上述のように、支持基板10のガス排出側の端面が凸状である上記実施形態では、前記端面の形状が平面状である構成と比べて、通常の環境下で稼働される場合には、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分にクラックが発生し難い。しかしながら、上記実施形態が熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分にクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が、面積比(S1/S2)と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験について説明する。
(試験)
この試験では、上記実施形態について、面積S1及び面積S2(従って、面積比S1/S2)の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、7種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。表1に記載された面積S1、S2の値は、上記還元処理後の段階での値(N=10の平均値)である。
Figure 0005613852
各サンプルは、上述した「本実施形態の製造方法の一例」と同じ方法を用いて作製された。各サンプル(図1に示す燃料電池)にて使用された支持基板10としては、材料が上記に列挙されたもののうちの一つであり、材料の気孔率が20〜60%であり、厚さ、幅がそれぞれ、3.0mm、50mm(即ち、アスペクト比が20)であり、全てのガス流路11の断面形状(y−z平面に沿った断面の形状)が同径の円形であり、隣接するガス流路11、11間のピッチ(y軸方向の間隔)が5.0mmであり、全てのガス流路11のガス排出側端部に施された丸み面取りの面取り半径が0.5〜1.0mmであるものが使用された。水準2〜7において、各サンプルでは、図15及び図16に示すように、支持基板10のガス排出側の端面が、幅方向の全域において曲面状(凸状)を呈していた。凸形状の出っ張り量(ガス排出側端面の幅方向の端部における長手方向の位置と、ガス排出側端面の幅方向の中央部における長手方向の位置との差)は、2〜10mmであった。各サンプルについて、支持基板10の焼成に関し、焼成温度は1350〜1500℃であり、焼成時間は1〜20時間であった。還元処理温度は800〜1000℃であり、還元処理時間は1〜10時間であった。
水準2〜7において、面積S1及び面積S2の相違は、支持基板10のガス排出側の端面が凸状であることによって、面積が最も大きくみえる外部の方向からみたときの開口の形状が、2つの「幅方向端部流路11」と、残りの流路11と、の間で異なることに起因してもたらされている。表1において、各水準にて、面積S1の値として、10個のサンプルにおける、2つの「幅方向端部流路11」の開口面積S1のうちの最小値が示され、面積S2の値として、10個のサンプルにおける、残りの流路11の開口面積S2のうちの最大値が示されている。
上記還元処理後の段階における各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分におけるクラックの発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、支持基板10のガス排出側の端面が凸状である場合(水準2〜7を参照)、前記端面の形状が平面状である場合(水準1を参照)と比べて、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分にてクラックが発生し難い、といえる。
加えて、表1から理解できるように、面積比S1/S2が1.05〜1.71であると、そうでない場合と比べて、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分にてクラックがより一層発生し難い、といえる。
以上より、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、支持基板10のガス排出側の端面が凸状であると、前記端面の形状が平面状である場合と比べて、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分にてクラックが発生し難く、更に、支持基板10のガス排出側の端面が凸状である場合において、面積比S1/S2が1.05〜1.71であると、そうでない場合と比べて、前記クラックがより一層発生し難い、といえる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)では、表1の水準1〜7の全てにおいて、「幅方向端部流路11」のガス排出側の開口の近傍部分にてクラックが発生しないことを別途確認している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、支持基板10のガス排出側(ガスの下流側)の端面について図15〜図20にて示された形状が採用されているが、支持基板10のガス流入側(ガスの上流側)の端面についても、図15〜図20にて示された形状に相当する形状が採用されていてもよい。
また、上記実施形態において、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、図21に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。
加えて、上記実施形態においては、図3に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(支持基板10の材料からなる長手方向に沿う2つの側壁と、燃料極集電部21の材料からなる幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みとなっている。この結果、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
これに対し、図22に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。同様に、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21aが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。
これによれば、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の4つの側面の全てと底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触する。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との界面の面積をより一層大きくできる。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との間における電子伝導性をより一層高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力をより一層高めることができる。同様に、凹部21aに埋設された燃料極活性部22の4つの側面の全てと底面とが凹部21a内で燃料極集電部21と接触する。従って、燃料極集電部21と燃料極活性部22との界面の面積をより一層大きくできる。従って、燃料極集電部21と燃料極活性部22との間における電子伝導性をより一層高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力をより一層高めることができる。
また、上記実施形態においては、支持基板10の主面に電気的に直列に接続された複数の発電素子部Aが配置された所謂「横縞型」と呼ばれる構成が採用されているが、支持基板10の主面に発電素子部が1つのみ設けられたセルが複数枚積層された所謂「縦縞型」の構成が採用されてもよい。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、40…固体電解質膜、60…空気極、A…発電素子部

Claims (6)

  1. 長手方向を有する平板状の多孔質の支持基板であって、その内部には、それぞれが前記長手方向に貫通する複数のガス流路が幅方向に間隔をおいて形成された支持基板と、
    前記支持基板の主面に設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部と、
    を備えた焼成体である燃料電池であって、
    前記各ガス流路の前記長手方向における一端側及び他端側がそれぞれ、ガス流入側及びガス排出側に対応し、
    前記支持基板における前記長手方向の他端側の端面における前記幅方向の中央部が、前記端面における前記幅方向の両端部と比べて、前記長手方向の他端側に突出しており、
    前記支持基板における前記長手方向の他端側の端面の全域が、平坦部を備えず、且つ、前記長手方向の他端側に突出する凸面状を呈している、燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池において、
    前記支持基板における前記長手方向の他端側の端面における前記幅方向の中央の位置が、前記複数のガス流路のうち前記幅方向の両端に位置する2つの流路の前記長手方向の他端側のそれぞれの開口における前記幅方向の対応する最も端側の部分の位置と比べて、前記長手方向の他端側に位置している、燃料電池。
  3. 請求項2に記載の燃料電池において、
    前記複数のガス流路のうち前記幅方向の両端に位置する2つの流路の前記長手方向の他端側のそれぞれの開口について、前記開口における前記幅方向の最も中央側の部分の位置が、前記開口における前記幅方向の対応する最も端側の部分の位置と比べて、前記長手方向の他端側に位置している、燃料電池。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の燃料電池において、
    前記複数のガス流路のうち前記幅方向の両端に位置する2つの流路の前記長手方向の他端側の開口の面積のうち小さい方である第1面積(S1)が、前記複数のガス流路のうち残りの流路の前記長手方向の他端側の開口の面積のうちの最大値である第2面積(S2)より大きい、燃料電池。
  5. 請求項4に記載の燃料電池において、
    前記複数のガス流路の前記長手方向に垂直な断面における面積が全て等しい、燃料電池。
  6. 請求項5に記載の燃料電池において、
    前記第2面積に対する前記第1面積の割合(S1/S2)が、1.05〜1.71である、燃料電池。
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