JP2011153210A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたラップフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でその内前者の割合が20〜40重量%の併用物を17〜21重量部、エポキシ化植物油を3〜9重量部、及び防曇剤としてグリセリンエステル化合物を0.5〜3.0重量部含むことを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物。この樹脂組成物を製膜して昭和57年厚生省告示20号にて測定したヘプタン抽出量が25μg/ml以下であるラップフィルムが容易に得られる。
【選択図】 なし
Description
1. ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でその内前者の割合が20〜40重量%の併用物を17〜21重量部、エポキシ化植物油を3〜9重量部、及び防曇剤としてグリセリンエステル化合物を0.5〜3.0重量部含むことを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
2. ポリ塩化ビニル系樹脂がポリ塩化ビニルであり、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤がアジピン酸系ポリエステル可塑剤であり、脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤がアジピン酸系エステル可塑剤又はアジピン酸系エステル可塑剤と多塩基酸系エステル可塑剤の混合物であることを特徴とする項1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
3. 防曇剤としてのグリセリンエステル化合物が、ポリグリセリンの脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸ジエステルとポリグリセリンの脂肪酸エステル(ただし、両者の合計に対しポリグリセリンの脂肪酸エステルが5重量%以上となるように使用する)である項1又は項2記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
4. 項1〜3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を製膜してなり、厚さが10μm以下であって、昭和57年厚生省告示20号にて測定したヘプタン抽出量が25μg/ml以下であることを特徴とするラップフィルム。
上記樹脂組成物において、(A)成分として用いるポリ塩化ビニル系樹脂としては、平均重合度700〜1,300程度の重合体が好ましく使用される。この範囲の平均重合度を有する樹脂であればラップフィルムを成形するに必要な成形性、耐熱性及び流動性等を有している。また、塩化ビニルホモポリマーのほか、塩化ビニルを10重量%以上含有し、これと共重合可能なモノマーとの共重合物、グラフト共重合体、ブロック共重合体がある。その共重合可能なモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ポリブテン等のオレフィン、酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル等の飽和酸のビニルエステル化合物、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル等の不飽和酸のアルキルエステル化合物、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物、マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、メチルスチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等を挙げることができる。更に、ポリ塩化ビニルは例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの三次元ポリマー等とのポリマーブレンド、またはポリ塩化ビニルのアルコール等による後処理物、後塩素化物等の含塩素樹脂であってもよい。これらの樹脂においても、塩化ビニル分としての含有量は、全体に対して10重量%以上とされることが好ましい。
(B)成分と(C)成分を合わせた可塑剤の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して17〜21重量部である。これは、ラップフィルムとしての必要な柔軟性を得るために、次に述べるエポキシ化植物油と共に必要な配合量であるからである。
また、可塑剤としてはグリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリントリエステル可塑剤を併用することができる。その添加量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して3重量部以下が好ましい。
ポリグリセリンの脂肪酸エステルは、一般式(I)
また、グリセリン脂肪酸ジエステルとしては好適には、グリセリンジオレート、グリセリンジラウレート等、グリセリン脂肪酸モノエステルとしてはグリセリンモノオレート等があり、ポリグリセリンの脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンのオレイン酸エステル、ポリグリセリンのラウリン酸エステル、ポリグリセリンのリシノレイン酸エステル等が挙げられる。グリセリン脂肪酸ジエステルとポリグリセリンの脂肪酸エステルの併用において、両者の合計に対してポリグリセリンの脂肪酸エステルを5重量%以上配合することが好ましい。これらの併用はラップフィルムの低温粘着性の向上に寄与しポリグリセリンの脂肪酸エステルの配合量が多いほどその効果は得られる。しかし、コストとの関係でポリグリセリンの脂肪酸エステル5重量%以上で出来るだけ少ない配合量とすることが好ましく、30重量%以下でも十分である。
防曇剤としての配合量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.5〜3.0重量部となる。これらの配合量によりラップフィルムとして好ましい防曇性が得られる。以上のような配合組成物を使用することで、ラップフィルムの低温時の粘着性が優れた製品を得ることができる。
実施例1〜5及び比較例1〜5
平均重合度1,050のポリ塩化ビニル〔信越化学工業(株)商品名 TK−1000〕、アジピン酸系ポリエステル可塑剤であるポリ(1‐4ブタンジオール/アジピン酸)エステル〔(株)ジェイプラス製品使用;重量平均分子量700(商品名 D6302)、重量平均分子量1,800(商品名 D643D)、重量平均分子量2,800及び重量平均分子量4,000と変えて使用〕、アジピン酸系エステル可塑剤としてはアジピン酸ジ‐i−ノニル、エポキシ化大豆油〔(株)ADEKA商品名 O−130PE〕、防曇剤(グリセリンジエステル化合物)としてグリセリンジオレート〔理研ビタミン(株)商品名 O−71D〕と防曇剤(ポリグリセリンエステル化合物)としてポリグリセリンのリノレイン酸エステル〔理研ビタミン(株) PR−300;一般式(I)のnは平均6、1分子中内のリノレイン残基の数は平均4。〕の混合物或いは単独物及びCa−Zn系安定剤〔(株)ADEKA アデカスタブ593〕を表1又は表2に示した配合量で混合し、樹脂組成物を調製した。次に、この樹脂組成物を予めヘンシェルミキサーでコンパウンディングした後、インフレ押出機のホッパーに供給し、成形温度140〜200℃で押出しラップフィルムの原反を得た。これを巻替機で巻き替え化粧箱に詰め込み、幅30cm、長さ100mのラップフィルム製品を得た。得られた原反及びラップフィルムについて下記に示した方法で評価を行い、結果を表1又は表2に示した。表1は下記に示した小型押出機による製膜性の評価であり、表2は上記のインフレ押出機による原反及び小巻品の評価結果である。
株式会社尾崎製作所製デジタル厚み測定器により測定
〔低温粘着力〕
フィルムを10℃の恒温室に24時間投入し、フィルム同士をゴムロールで貼り付けそれを恒温室中に設置した株式会社東洋精機製作所製引っ張り試験機を用いてフィルム間の剥離力を求めそれを低温粘着力とした。幅は250mmである。
〔原反収縮率〕
原反を常温に5日間放置し、放置前後の原反の幅を測定し原反収縮率を求めた。
〔小巻品収縮率〕
小巻品を60℃の恒温層に24時間投入し投入前後のフィルム幅を測定し収縮率を求めた。
〔ヘプタン抽出量〕
一定面積の試料をフィルムから切り取り、その表面積1平方cm当たり2mlのヘプタン溶液に25℃の温度で1時間浸漬し、溶液を蒸発乾固させ、その重量を測定することでフィルムからヘプタン溶液への移行量を求めた。
〔製膜性〕
φ20mmの小型押出機にTダイを取り付け、配合組成物を押出しフィルムの成形を行い得られたフィルムの外観を観察することで製膜性を評価した。
○:ほぼ均一の厚さのフィルムが得られた。
△:フィルムが得られたが厚みむらが見られたり、長時間の押出でヤケが発生した。
×:厚みむらが更に激しくヤケも比較的短時間で発生する。
低温粘着力については、グリセリンジオレートとポリグリセリンエステルの混合物でジグリセリンエステル単独物より大きな値を示した(実施例1、2、5)。なお、常温粘着力については、いずれも良好な粘着力を示した(実施例1、2、5、比較例1)。原反収縮率,小巻品収縮率共にアジピン酸系ポリエステル可塑剤を添加することで低減を図ることができた(実施例1、2、5、比較例1)。
Claims (4)
- ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でその内前者の割合が20〜40重量%の併用物を17〜21重量部、エポキシ化植物油を3〜9重量部、及び防曇剤としてグリセリンエステル化合物を0.5〜3.0重量部含むことを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- ポリ塩化ビニル系樹脂がポリ塩化ビニルであり、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤がアジピン酸系ポリエステル可塑剤であり、脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤がアジピン酸系エステル可塑剤又はアジピン酸系エステル可塑剤と多塩基酸系エステル可塑剤の混合物であることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- 防曇剤としてのグリセリンエステル化合物が、ポリグリセリンエステル化合物又はグリセリンジエステル化合物とポリグリセリンエステル化合物(ただし、両者の合計に対しポリグリセリンエステル化合物が5重量%以上となるように使用する)である請求項1又は請求項2記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を製膜してなり、厚さが10μm以下であって、昭和57年厚生省告示20号にて測定したヘプタン抽出量が25μg/ml以下であることを特徴とするラップフィルム。
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