JP5379704B2 - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたラップフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、食品包装用フィルム等の素材として好適なポリ塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたラップフィルムに関する。更に詳しくは、本発明は、食品や食品用容器を包み込むための粘着性、その中でも低温粘着性に優れ、巻物にしたときの収縮が少なく、さらには、昭和57年厚生省告示第20号に定める蒸発残留物試験法により測定したヘプタン抽出量が少なく脂肪性食品への可塑剤等の移行量が少ないラップフィルムを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物及び該組成物を製膜してなる前記特性を始めとしたラップフィルム特性に優れたラップフィルムに関するものである。
食品包装用のラップフィルムは、ホテル、レストラン等での業務用として、あるいは家庭での使い掛け食品のラップ用として幅広く使用されている。これらラップフィルムの材質の一つとしてポリ塩化ビニルがあり、経済性及び粘着性、透明性、ストレッチ性などの優れたラップフィルム特性を示している。これらの特性を得るためポリ塩化ビニル樹脂に可塑剤を配合した軟質塩ビをベースに樹脂配合物が組み立てられ、これをフィルムに製膜してラップフィルムを得ている。
以上のように、ポリ塩化ビニル製ラップフィルムは優れた特性を示すものであるが、冷蔵庫等での低温保管を考えた場合、低温での粘着性の向上が求められる。また、ラップフィルムの製造方法は予め太巻きの原反を作製しその後に20m、50m等所望の小巻長さに巻替え製品を得る。従って原反保管中に幅方向の収縮があると小巻作業ができなくなりこれら原反は不良品となる。さらに、小巻品は化粧箱に詰め込まれ製品となって顧客が購入するが、購入後の保管場所によっては高温に曝される場合もある。このような環境に置かれてもラップフィルムの幅方向の収縮が少ないことが望ましい。
ラップフィルムは食品包装用の容器包装材であるため、食品衛生法の食品、添加物等の規格・基準や塩ビ食品衛生協議会のJHP規格(塩化ビニル樹脂製品等の食品衛生に係る自主規格)でその安全性を厳格に管理している。その中に油性食品への移行量を規制する基準として、ヘプタンに浸漬した場合の蒸発残留物が150μg/ml以下と決められている(詳細は昭和57年厚生省告示第20号参照)。
しかしながら、近年、食のグローバリゼーションの進展に伴い、規格・基準の諸外国との整合化を図ろうという動きが出てきている。整合化を行うに当たっては、一つの考え方としてEUやFDA(アメリカ合衆国)の規格・基準を参考に行おうという考え方があり、油性食品への移行量の規格・基準としては、EUの規格・基準と整合性を図ることが最も有力な考え方の一つである。EUの基準は、食品包装材から食品への移行量は1dm当たり10mg以下であり、これをフィルムの表面積1cm当たり2mlのヘプタンを使用して抽出を行うという日本の基準に焼き直すと、従来の浸漬法で行った場合、25μg/mlという基準となる。
蒸発残留物量を低減する方法としては、可塑剤として高分子可塑剤を使用することが提案されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1では、高分子可塑剤として脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤を従来使用されている脂肪族カルボン酸のモノメリック系可塑剤と併用することで蒸発残留物量の低減を図っておりそれなりの低減効果をあげているが、その低減量はラップフィルムの通常の厚さである10μm以下に換算しても25μg/mlという値までの減少は図られず不十分なものである。また、粘着性の向上の記述はあるが本発明のような低温での粘着性への言及はない。特許文献2においても、高分子可塑剤として分子量1,000〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤とグリセリンエステルとの併用で蒸発残留物の低減を図っているが、特許文献1と同じくその低減量は不十分なものであった。特許文献3はスーパーマーケットのバックヤード等でトレー包装用のストレレッチフィルムを対象としたものでラップフィルムとは対象が若干異なるものであるが、蒸発残留物の低減という目的では共通しているので参考に示した。高分子可塑剤として、分子量1,000〜3,000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤及び分子量1,000〜3,500のアクリル系重合体からなる可塑剤組成物を使用して蒸発残留物量の低減を図っている。その狙いどころは30μg/mlであり、一部25μg/ml以下の値を達成しているが、25μg/mlを超えるものもある。また、狙いがストレッチフィルムであるため、必ずしもラップフィルムに適した配合ともいえないものである。
特公平2−28618号公報 特許第2773839号公報 特開2006−104241号公報
以上のように、塩ビのラップフィルムを対象とした特許文献1、2においては十分な溶出量の低減が図られておらず、塩ビのストレッチフィルムを対象とした特許文献3では溶出量の低減が図られたがまだ十分とはいえない状況であると共に、対象がストレッチフィルムであるため総合的な特性はラップフィルムとは異なるものである。よって、本発明者らはラップフィルムとしての十分な特性を持ち、しかも優れた溶出量の低減を図ったポリ塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたラップフィルムを提供することを課題として本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、次のものに関する。
1. ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でその内前者の割合が20〜40重量%の併用物を17〜21重量部、エポキシ化植物油を3〜9重量部、及び防曇剤としてグリセリンエステル化合物を0.5〜3.0重量部含むことを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
2. ポリ塩化ビニル系樹脂がポリ塩化ビニルであり、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤がアジピン酸系ポリエステル可塑剤であり、脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤がアジピン酸系エステル可塑剤又はアジピン酸系エステル可塑剤と多塩基酸系エステル可塑剤の混合物であることを特徴とする項1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
3. 防曇剤としてのグリセリンエステル化合物が、ポリグリセリンの脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸ジエステルとポリグリセリンの脂肪酸エステル(ただし、両者の合計に対しポリグリセリンの脂肪酸エステルが5重量%以上となるように使用する)である項1又は項2記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
4. 項1〜3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を製膜してなり、厚さが10μm以下であって、昭和57年厚生省告示20号にて測定したヘプタン抽出量が25μg/ml以下であることを特徴とするラップフィルム。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、厚生省告示20号に定められたヘプタン抽出量が少ない。また、ホテル、レストラン等あるいは家庭で使用するラップフィルムとして好適なフィルム成形時の押出加工性、巻替用原反の保管時の幅方向低収縮性、製品としての化粧箱からの引き出し性、カット性、容器等への粘着性、ラップフィルムとして保管時の幅方向の低収縮性が得られる。したがって脂肪性食品への可塑剤等液状成分の移行が少ないラップフィルム用に適しており、本発明に係るラップフィルムはそのような特性を有する。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂製組成物は、樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を使用し、可塑剤として脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤、脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤及びエポキシ化植物油を混ぜ合わせ、防曇剤としてグリセリンエステル化合物を使用することで、ヘプタン抽出量が低く、しかも寸法安定性などのラップフィルムとして優れた特性を有するポリ塩化ビニル系樹脂配合物及びそれを用いたラップフィルムを得ることが出来たものである。特に、防曇剤としてポリグリセリンの脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸ジエステルとポリグリセリンの脂肪酸エステル(ただし、両者の合計に対しポリグリセリンの脂肪酸エステルが5重量%以上となるように使用する)を使用することにより、低温粘着性(例えば、冷蔵庫等での低温保存時の粘着性)が良好になる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂、(B)脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤、(C)脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤、(D)エポキシ化植物油及び(E)グリセリン系防曇剤を含む組成物である。
上記樹脂組成物において、(A)成分として用いるポリ塩化ビニル系樹脂としては、平均重合度700〜1,300程度の重合体が好ましく使用される。この範囲の平均重合度を有する樹脂であればラップフィルムを成形するに必要な成形性、耐熱性及び流動性等を有している。また、塩化ビニルホモポリマーのほか、塩化ビニルを10重量%以上含有し、これと共重合可能なモノマーとの共重合物、グラフト共重合体、ブロック共重合体がある。その共重合可能なモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ポリブテン等のオレフィン、酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル等の飽和酸のビニルエステル化合物、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル等の不飽和酸のアルキルエステル化合物、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物、マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、メチルスチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等を挙げることができる。更に、ポリ塩化ビニルは例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの三次元ポリマー等とのポリマーブレンド、またはポリ塩化ビニルのアルコール等による後処理物、後塩素化物等の含塩素樹脂であってもよい。これらの樹脂においても、塩化ビニル分としての含有量は、全体に対して10重量%以上とされることが好ましい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物における(B)成分の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤としては、重量平均分子量800〜3,000のものが用いられる。重量平均分子量は、1500以上が好ましい。このようなポリエステル可塑剤は高分子量のため樹脂との絡み合いの程度が大きくまた自身が高分子量であるためヘプタンでの抽出がされにくい特性を有する。しかしながらこれらの特性のため可塑化効率の低下、流動性の低下に基づく成形性の低下などの負の面も併せ持っている。したがって添加量は制限する必要があり好ましい添加量は(B)成分と(C)成分を合わせた量に対して(B)成分が20〜40重量%となるように使用する。(B)成分が、20重量%未満ではヘプタン抽出での溶出量が大きくなり、40重量%を超えると成形性が劣るという問題が生じる。また、重量平均分子量が800未満のものではヘプタン溶出量低減効果が十分ではなく、重量平均分子量が3,000を超えるものでは押出成形性が低下する。
なお、上記におけるポリ塩化ビニル系樹脂の重合度はJIS K6720−2に準じて、脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤の重量平均分子量は、液体クロマトグラフィーにより求めたものである。
本発明に用いられる脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤としては、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族多塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の多価アルコールとよりなるポリエステル樹脂であって、重量平均分子量としては800〜3,000のものであり、代表的なものとして、ポリ(エチレングリコール/アジピン酸)エステル、ポリ(1,3−ブタンジオール/アジピン酸)エステル、ポリ(1,4−ブタンジオール/アジピン酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/セバチン酸)エステル等が挙げられる。これらの内、最も好適なものとしてはポリ(1,4−ブタンジオール/アジピン酸)エステルが挙げられる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物における(C)成分の脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ラウリル酸等の脂肪族二塩基酸のジアルキルエステル化合物が好適であり、アジピン酸ジ‐i−ブチル、アジピン酸ジオクチル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル)を包含する)、アジピン酸ジ‐i−ノニル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸ジ−n−ノニル、アジピン酸ジ‐n‐アルキル(ただし、アルキルは、n−ヘプチルとn−ノニルが混じっている。「7,9アジペート(C7、C9)」と通称される。)、アジピン酸ジ‐n‐アルキル(ただし、アルキルは、n−ヘキシル、n−オクチル及びn−デシルが混じっている。「610アジペート(C6、C8、C10)」と通称される。)等のアジピン酸のジアルキルエステル可塑剤、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの可塑剤が挙げられる。特に好適には、アジピン酸ジ‐i−ノニル、アジピン酸ジ−n−オクチル等のアジピン酸のジアルキルエステル系可塑剤が用いられる。
(B)成分と(C)成分を合わせた可塑剤の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して17〜21重量部である。これは、ラップフィルムとしての必要な柔軟性を得るために、次に述べるエポキシ化植物油と共に必要な配合量であるからである。
また、可塑剤としてはグリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリントリエステル可塑剤を併用することができる。その添加量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して3重量部以下が好ましい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物における(D)成分のエポキシ化植物油は、可塑剤的な働きと共に樹脂組成物の押出成形性、特に押出成形時の熱安定性を向上させる効果を有している。このエポキシ化植物油の例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられ最も好適にはエポキシ化大豆油が挙げられる。また、その配合量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して3〜9重量部である。
以上のような可塑剤とその配合量により、ヘプタン溶出量を25μg/ml以下とすることができるとともに、原反保管時の幅方向の収縮率も小さくし、製品が高温雰囲気に曝された場合の幅方向の収縮率も小さくし、優れた特性を示すラップフィルムを得ることができる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物における(E)成分の防曇剤であるグリセリンエステル化合物としては、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、ポリグリセリンの脂肪酸エステル等が挙げられるが、多価アルコールの水酸基が一部残存しているものである。これらは単独あるいは2種類以上の組合せで用いられるが、本発明においては、ポリグリセリンの脂肪酸エステルの使用又はグリセリン脂肪酸ジエステルとポリグリセリンの脂肪酸エステルの併用が特に好ましい。
ポリグリセリンの脂肪酸エステルは、一般式(I)
Figure 0005379704
〔ただし、式中、nは繰り返し数を示し、2以上の整数であり、4〜8の整数が好ましく、Rは水素又は脂肪酸残基(アルキルカルボニル基)であり、複数のRの内、少なくとも1個は水素であり、また、少なくとも1個は脂肪酸残基である〕で表される化合物である。
また、グリセリン脂肪酸ジエステルとしては好適には、グリセリンジオレート、グリセリンジラウレート等、グリセリン脂肪酸モノエステルとしてはグリセリンモノオレート等があり、ポリグリセリンの脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンのオレイン酸エステル、ポリグリセリンのラウリン酸エステル、ポリグリセリンのリシノレイン酸エステル等が挙げられる。グリセリン脂肪酸ジエステルとポリグリセリンの脂肪酸エステルの併用において、両者の合計に対してポリグリセリンの脂肪酸エステルを5重量%以上配合することが好ましい。これらの併用はラップフィルムの低温粘着性の向上に寄与しポリグリセリンの脂肪酸エステルの配合量が多いほどその効果は得られる。しかし、コストとの関係でポリグリセリンの脂肪酸エステル5重量%以上で出来るだけ少ない配合量とすることが好ましく、30重量%以下でも十分である。
防曇剤としての配合量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.5〜3.0重量部となる。これらの配合量によりラップフィルムとして好ましい防曇性が得られる。以上のような配合組成物を使用することで、ラップフィルムの低温時の粘着性が優れた製品を得ることができる。
また、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じ、カルシウム/亜鉛系金属石鹸やハイドロタルサイトを代表例とする安定剤その他の可塑剤、顔料、滑剤、充填剤、プレートアウト防止剤、抗酸化剤、離形剤、粘度低下剤、界面活性剤、蛍光剤、表面処理剤、架橋剤、加工助剤等を抱合させることができる。安定剤の配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.5〜1.5重量部が好ましく、上記したエポキシ化植物油と共に樹脂組成物の押出成形性、特に押出成形時の熱安定性を向上させる効果を有している。
塩ビのラップフィルムは、軟質塩ビの押出成形により作製するが、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を押出機のホッパーに供給しインフレーション法、Tダイ法等で目的とする幅のフィルムする。一般に、フィルムは、作製しつつ巻き取られるが、巻き取られたフィルムは、さらに20m、50m等の所望の長さに巻替え、化粧箱に詰めることで製品とすることができる。本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、その配合物を予めヘンシェルミキサー等でコンパウンディングしておくことが好ましい。
以下に具体例により本発明の実施形態を示すが、無論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜及び比較例1〜
平均重合度1,050のポリ塩化ビニル〔信越化学工業(株)商品名 TK−1000〕、アジピン酸系ポリエステル可塑剤であるポリ(1‐4ブタンジオール/アジピン酸)エステル〔(株)ジェイプラス製品使用;重量平均分子量700(商品名 D6302)、重量平均分子量1,800(商品名 D643D)、重量平均分子量2,800及び重量平均分子量4,000と変えて使用〕、アジピン酸系エステル可塑剤としてはアジピン酸ジ‐i−ノニル、エポキシ化大豆油〔(株)ADEKA商品名 O−130PE〕、防曇剤(グリセリンジエステル化合物)としてグリセリンジオレート〔理研ビタミン(株)商品名 O−71D〕と防曇剤(ポリグリセリンエステル化合物)としてポリグリセリンのリノレイン酸エステル〔理研ビタミン(株)PR−300;一般式(I)のnは平均6、1分子中内のリノレイン残基の数は平均4。〕の混合物或いは単独物及びCa−Zn系安定剤〔(株)ADEKA アデカスタブ593〕を表1又は表2に示した配合量で混合し、樹脂組成物を調製した。次に、この樹脂組成物を予めヘンシェルミキサーでコンパウンディングした後、インフレ押出機のホッパーに供給し、成形温度140〜200℃で押出しラップフィルムの原反を得た。これを巻替機で巻き替え化粧箱に詰め込み、幅30cm、長さ100mのラップフィルム製品を得た。得られた原反及びラップフィルムについて下記に示した方法で評価を行い、結果を表1又は表2に示した。表1は下記に示した小型押出機による製膜性の評価であり、表2は上記のインフレ押出機による原反及び小巻品の評価結果である。
〔フィルム厚み〕
株式会社尾崎製作所製デジタル厚み測定器により測定
〔低温粘着力〕
フィルムを10℃の恒温室に24時間投入し、フィルム同士をゴムロールで貼り付けそれを恒温室中に設置した株式会社東洋精機製作所製引っ張り試験機を用いてフィルム間の剥離力を求めそれを低温粘着力とした。幅は250mmである。
〔原反収縮率〕
原反を常温に5日間放置し、放置前後の原反の幅を測定し原反収縮率を求めた。
〔小巻品収縮率〕
小巻品を60℃の恒温層に24時間投入し投入前後のフィルム幅を測定し収縮率を求めた。
〔ヘプタン抽出量〕
一定面積の試料をフィルムから切り取り、その表面積1平方cm当たり2mlのヘプタン溶液に25℃の温度で1時間浸漬し、溶液を蒸発乾固させ、その重量を測定することでフィルムからヘプタン溶液への移行量を求めた。
〔製膜性〕
φ20mmの小型押出機にTダイを取り付け、配合組成物を押出しフィルムの成形を行い得られたフィルムの外観を観察することで製膜性を評価した。
○:ほぼ均一の厚さのフィルムが得られた。
△:フィルムが得られたが厚みむらが見られたり、長時間の押出でヤケが発生した。
×:厚みむらが更に激しくヤケも比較的短時間で発生する。
Figure 0005379704
表1に示したように、アジピン酸系ポリエステル可塑剤の重量平均分子量が2,800以下或はアジピン酸系ポリエステル可塑剤を使用しないもの(実施例1、3、比較例1、2)では製膜性は良好であったが、アジピン酸系ポリエステル可塑剤の重量平均分子量が4,000のもの、アジピン酸系ポリエステル可塑剤の重量平均分子量が1,800でもアジピン酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でアジピン酸系ポリエステル可塑剤の量が40重量%を超える場合は、製膜性が不十分であった。(比較例3、4)
Figure 0005379704
表2に示したように、重量平均分子量が1,800、2,800のアジピン酸系ポリエステル可塑剤ではヘプタン抽出量が25μg/ml以下を達成したが、アジピン酸系ポリエステル可塑剤を使用しないものあるいはその重量平均分子量が700のものではいずれもヘプタン抽出量が25μg/mlを超えた(実施例1〜、比較例1、2、、6)。アジピン酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でアジピン酸系ポリエステル可塑剤の割合が20%以上のもの(実施例1〜4、比較例6)ではヘプタン抽出量が25μg/ml以下であったが、20%を下回るもの(比較例1、5)ではヘプタン抽出量が25μg/mlを上回った。
低温粘着力については、グリセリンジオレートとポリグリセリンエステルの混合物でジグリセリンエステル単独物より大きな値を示した(実施例1、2、比較例6)。なお、常温粘着力については、いずれも良好な粘着力を示した(実施例1、2、比較例1、6)。原反収縮率,小巻品収縮率共にアジピン酸系ポリエステル可塑剤を添加することで低減を図ることができた(実施例1、2、比較例1、6)。

Claims (3)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤と脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤の併用でその内前者の割合が20〜40重量%の併用物を17〜21重量部、エポキシ化植物油を3〜9重量部、及び防曇剤としてグリセリンエステル化合物を0.5〜3.0重量部含み、前記グリセリンエステル化合物が、ポリグリセリンエステル化合物又はグリセリンジエステル化合物とポリグリセリンエステル化合物(ただし、両者の合計に対しポリグリセリンエステル化合物が5重量%以上となるように使用する)であることを特徴とするラップフィルム用ポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. ポリ塩化ビニル系樹脂がポリ塩化ビニルであり、重量平均分子量が800〜3,000の脂肪族多塩基酸系ポリエステル可塑剤がアジピン酸系ポリエステル可塑剤であり、脂肪族多塩基酸系エステル可塑剤がアジピン酸系エステル可塑剤又はアジピン酸系エステル可塑剤と多塩基酸系エステル可塑剤の混合物であることを特徴とする請求項1記載のラップフィルム用ポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載のラップフィルム用ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を製膜してなり、厚さが10μm以下であって、昭和57年厚生省告示20号にて測定したヘプタン抽出量が25μg/ml以下であることを特徴とするラップフィルム。
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