JP2007262267A - 塩化ビニル系樹脂組成物及びストレッチフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】
食品容器包装用として好適な、薄肉でかつ包装適性に優れる上、n−ヘプタン抽出量が少ないストレッチフィルムを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたストレッチフィルムを提供する。
【解決手段】
ポリマー成分として、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂1〜50質量部と、(B)塩化ビニル樹脂99〜50質量部((A)成分と(B)成分の合計量は100質量部)からなり、
さらに、
(C)アジピン酸エステル系可塑剤及び/又はポリエステル系可塑剤5〜30質量部、
(D)エポキシ系可塑剤1〜20質量部、
を含む塩化ビニル系樹脂組成物及び、これからなるストレッチフィルム。
【選択図】
なし
食品容器包装用として好適な、薄肉でかつ包装適性に優れる上、n−ヘプタン抽出量が少ないストレッチフィルムを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたストレッチフィルムを提供する。
【解決手段】
ポリマー成分として、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂1〜50質量部と、(B)塩化ビニル樹脂99〜50質量部((A)成分と(B)成分の合計量は100質量部)からなり、
さらに、
(C)アジピン酸エステル系可塑剤及び/又はポリエステル系可塑剤5〜30質量部、
(D)エポキシ系可塑剤1〜20質量部、
を含む塩化ビニル系樹脂組成物及び、これからなるストレッチフィルム。
【選択図】
なし
Description
本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いたストレッチフィルムに関し、特に酢酸ビニルと塩化ビニルを共重合した樹脂を用いることで、薄肉化でコシをもたせるために可塑剤添加量を減らしても成形加工時の溶融粘度上昇による発熱、劣化を抑えることができる塩化ビニル系樹脂組成物、およびそれを製膜することで昭和57年厚生省告示20号に定める蒸発残留物試験法にて測定したn−ヘプタン抽出量(以下、単にn−ヘプタン抽出量と呼ぶことがある)が極めて少ないストレッチフィルムに関する。
食品の包装、特に精肉、鮮魚、青果等の生鮮食品の包装には、透明性、柔軟性およびヒートシール性に優れたストレッチフィルムが多数開発され、食品包装用フィルムとして広く使用されている。通常これらのフィルムは、ポリ塩化ビニル系樹脂にアジピン酸エステル系可塑剤とエポキシ化植物油とを可塑剤として使用したポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形したものが一般的である。
従来よりこれらのフィルムは配合剤の衛生性,食品等への移行性が重要視されている。その衛生性では、米国のFDA規格(Food and Drug Administration)や日本のPL規格(塩化ビニル樹脂製包装容器包装等に関する自主規制基準)等に記載された添加剤より無毒化配合を確立し、また食品等への移行性については厚生省告示20号試験により蒸発残留物試験法として抽出試験を行っている。
このような背景において従来は種々のものがある。しかしながら、可塑剤の種類や量、フィルム厚みによってはn−ヘプタン抽出量が規制値の150ppmに近くになったり、或は上回ったりする傾向があった。n−ヘプタン抽出量を低下させるためには可塑剤の量を減らすことが考えられる。しかし単に可塑剤量を減らすと成形加工時の溶融粘度が上昇し、樹脂同士の摩擦により発熱劣化してしまい、フィルムに赤い焼け色がついたり、押出機や金型等の成形加工設備への樹脂の付着が発生したりする傾向があった。
従来よりこれらのフィルムは配合剤の衛生性,食品等への移行性が重要視されている。その衛生性では、米国のFDA規格(Food and Drug Administration)や日本のPL規格(塩化ビニル樹脂製包装容器包装等に関する自主規制基準)等に記載された添加剤より無毒化配合を確立し、また食品等への移行性については厚生省告示20号試験により蒸発残留物試験法として抽出試験を行っている。
このような背景において従来は種々のものがある。しかしながら、可塑剤の種類や量、フィルム厚みによってはn−ヘプタン抽出量が規制値の150ppmに近くになったり、或は上回ったりする傾向があった。n−ヘプタン抽出量を低下させるためには可塑剤の量を減らすことが考えられる。しかし単に可塑剤量を減らすと成形加工時の溶融粘度が上昇し、樹脂同士の摩擦により発熱劣化してしまい、フィルムに赤い焼け色がついたり、押出機や金型等の成形加工設備への樹脂の付着が発生したりする傾向があった。
これらの課題を解決する方法として、ポリエステル系可塑剤を用いる方法(特許文献1参照)が提案されている。
しかし、ポリエステル系可塑剤は分子量1000〜3000付近のものであり、従来から用いられているアジピン酸エステル系可塑剤、特にジイソノニルアジペート(DINA)に比べてn−ヘプタンによる抽出は少ないが、柔軟性付与効果はDINAよりも劣るので、フィルムの柔軟性を従来品に近づけるためには多量に添加(可塑剤総量として50〜60質量部)するか、DINA等の低分子量可塑剤の併用が必要である。この構成でも抽出量の規制値である150ppm以下より低い値となるが、柔軟性と成形加工性を考慮すると可塑剤の添加量をこれ以上減らすことは困難であり、より一層のn−ヘプタン抽出量を低減化するためには更なる技術検討が必要である。
しかし、ポリエステル系可塑剤は分子量1000〜3000付近のものであり、従来から用いられているアジピン酸エステル系可塑剤、特にジイソノニルアジペート(DINA)に比べてn−ヘプタンによる抽出は少ないが、柔軟性付与効果はDINAよりも劣るので、フィルムの柔軟性を従来品に近づけるためには多量に添加(可塑剤総量として50〜60質量部)するか、DINA等の低分子量可塑剤の併用が必要である。この構成でも抽出量の規制値である150ppm以下より低い値となるが、柔軟性と成形加工性を考慮すると可塑剤の添加量をこれ以上減らすことは困難であり、より一層のn−ヘプタン抽出量を低減化するためには更なる技術検討が必要である。
本発明は、このような状況下で、食品包装用として好適な、押出加工性に優れるとともにn−ヘプタン抽出量を少なくできる塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いたストレッチフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂を用いることで、可塑剤の添加量を減らしても柔軟性を維持し、成形加工性の悪化が起こらないので、n−ヘプタン抽出量の少ないストレッチフィルムが得られることを見出した。本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
(1) ポリマー成分として、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂1〜50質量部と、(B)塩化ビニル樹脂99〜50質量部((A)成分と(B)成分の合計量は100質量部)からなり、
さらに、
(C)アジピン酸エステル系可塑剤及び/又はポリエステル系可塑剤5〜30質量部、
(D)エポキシ系可塑剤1〜20質量部、
を含む塩化ビニル系樹脂組成物。
(2) 上記1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いて製膜してなり、フィルム厚みが5〜10μmで、昭和57年厚生省告示20号に定める蒸発残留物試験法にて測定したn−ヘプタン抽出量が50ppm以下であることを特徴とするストレッチフィルムにある。
すなわち本発明は、
(1) ポリマー成分として、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂1〜50質量部と、(B)塩化ビニル樹脂99〜50質量部((A)成分と(B)成分の合計量は100質量部)からなり、
さらに、
(C)アジピン酸エステル系可塑剤及び/又はポリエステル系可塑剤5〜30質量部、
(D)エポキシ系可塑剤1〜20質量部、
を含む塩化ビニル系樹脂組成物。
(2) 上記1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いて製膜してなり、フィルム厚みが5〜10μmで、昭和57年厚生省告示20号に定める蒸発残留物試験法にて測定したn−ヘプタン抽出量が50ppm以下であることを特徴とするストレッチフィルムにある。
本発明によれば、食品包装用フィルムとして好適な、押出加工性に優れるとともにn−ヘプタン抽出量を少なくできる塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いたストレッチフィルムを提供することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物のポリマー成分としては、(A)と(B)からなり、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂1〜50質量部、(B)塩化ビニル系樹脂99〜50質量部であって、(A)成分と(B)成分の合計量は100質量部である。
(A)成分として用いる酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂の酢酸ビニル含有率は1〜25質量%である。酢酸ビニルの含有率が1質量%未満では溶融粘度低減による成形加工性改善効果に乏しく、25質量%を越えると共重合樹脂の熱安定性が著しく低下する。より好ましくは3〜20質量%である。
(A)成分として用いられる共重合樹脂のポリ塩化ビニル成分の重合度は500〜1300である。この重合度が500未満では機械物性が低下し、1300を越えると成形加工性改善効果に乏しい。より好ましい重合度の範囲は700〜1000である。
(A)成分として用いられる共重合樹脂のポリ塩化ビニル成分の重合度は500〜1300である。この重合度が500未満では機械物性が低下し、1300を越えると成形加工性改善効果に乏しい。より好ましい重合度の範囲は700〜1000である。
(B)成分として用いる塩化ビニル系樹脂は、重合度800〜1300のものが好適に使用できる。重合度が800未満では機械強度に劣り易く、1300を越えると溶融粘度の増加に伴い発熱し、分解による焼け色が発生し易い。またこの重合度はブレンドする(A)成分の重合度に近いことが好ましい。具体的には、(A)成分の重合度の差と(B)成分の重合度の差が±500であることが好ましい。重合度の差が±500よりも大きくなるとゲル化速度が異なりフィッシュアイ等の未溶融ブツの発生や、機械物性の低下の原因となるからである。より好ましくは±300以内である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂には、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(以下、塩化ビニル共重合体とする)、この塩化ビニル共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体などが挙げられ、これらの共重合体は共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると機械的特性が低下するので、塩化ビニルを60質量%以上含有するのが好ましい。なお、上記各重合体は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などいずれの重合方法で得られたものでもよく、それぞれの単独または2種以上の重合体の組み合わせで使用される。上記の塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類;プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類;などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。また、上記塩化ビニル共重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよく、例えば、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
本発明における(A)成分の添加量は1〜50質量部、(B)成分の添加量は99〜50質量部であり、(A)成分と(B)成分の合計量は100質量部である。(A)成分の添加量が1質量部より少ないと成形加工性改善効果が小さく、90質量部を越えると熱安定性が低下する。したがってより(A)成分の添加量は、より好ましくは5〜40質量部である。
(C)成分として用いるアジピン酸エステル系可塑剤としては炭素数10以下のアルキル基を有する単独または2種以上の脂肪族アルコールとアジピン酸との混合アジピン酸エステル系可塑剤であって、単独アジピン酸エステル系可塑剤としては、ジイソノニルアジペート:DINA(炭素数9のもの)、ジオクチルアジペート:DOA(炭素数8のもの)などが挙げられ、混合アジピン酸エステル系可塑剤としてはC8,10アジペート(炭素数8、10のアルキル基を有するアルコールの混合エステル)、C7,8アジペート(同7、9のもの)、C6,8,10アジペート(同6、8、10のもの)などが挙げられ、1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
アジピン酸系ポリエステル可塑剤はアジピン酸と二価アルコールとの反応物であり、二価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオールなどがあり、アジピン酸と1種類または2種類以上の二価アルコールとの反応生成物であり、具体的にはポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(1、6−ヘキサンジオール、ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、アジピン酸)エステルなどが挙げられる。この平均分子量は1000〜3000のものが効果的に使用されるが、これが1000未満ではn−ヘプタン抽出性が大きい。一方、平均分子量が3000を越えると押出成形性が大幅に低下するとともにストレッチフィルムの耐寒性が低下してしまう。物性の向上、押出成形性の点において、平均分子量2000前後のものが好適に使用される。
アジピン酸系ポリエステル可塑剤はアジピン酸と二価アルコールとの反応物であり、二価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオールなどがあり、アジピン酸と1種類または2種類以上の二価アルコールとの反応生成物であり、具体的にはポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(1、6−ヘキサンジオール、ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、アジピン酸)エステルなどが挙げられる。この平均分子量は1000〜3000のものが効果的に使用されるが、これが1000未満ではn−ヘプタン抽出性が大きい。一方、平均分子量が3000を越えると押出成形性が大幅に低下するとともにストレッチフィルムの耐寒性が低下してしまう。物性の向上、押出成形性の点において、平均分子量2000前後のものが好適に使用される。
(C)成分としてのアジピン酸エステル系可塑剤及び/又はポリエステル系可塑剤の添加量は5〜30質量部である。5質量部未満では得られたフィルムに適度な滑り性が付与されず、例えば自動包装機にかけた際にフィルムがスムースに搬送されなかったり、トレーの角でネッキングを起こして破れたりするという不具合が起こる。また30質量部を越えるとn−ヘプタン抽出性が大きくなりすぎる問題がある。より好ましい添加量の範囲は10〜20質量部である。
(D)成分として用いられるエポキシ系可塑剤の添加量は1〜20質量部である。エポキシ系可塑剤は、可塑剤としての役割の他に熱安定剤の補助剤(熱安助剤)としての役割を果たしており、1質量部よりも少ないと熱安助剤としての役割を果たさず、20質量部を越えるとn−ヘプタン抽出量の増加や臭気が発生する。これらを考慮してより好ましい範囲は5〜15質量部である。このような効果が得られるエポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油(ESBO)、エポキシ化亜麻仁油(ELSO)、エポキシ化サフラワー油などが挙げられる。
その他本発明において、熱安定剤は種々用いることができるが、食品衛生上、Ca−Zn系安定剤を用いることがより好ましい。Ca−Zn系安定剤とは、カルシウムの脂肪酸塩と亜鉛の脂肪酸塩の混合物であり、その添加量は0.1〜2.0質量部である。0.1質量部未満では熱安定性の効果が発揮されず、2.0質量部を越えると亜鉛焼けと呼ばれる急激な分解が起こる。より好ましくは0.3〜1.8質量部である。
本発明に用いられるカルシウム、亜鉛と塩をつくる脂肪酸としては、ベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リシノール酸、安息香酸等が挙げられ、目的に応じて2種以上組み合わせて用いることもできるが、成形加工時の滑性とプレートアウトのバランスからステアリン酸塩とするのが好ましい。また、カルシウムと亜鉛の比率は質量比で1:2〜1:3である。亜鉛の比率がカルシウムに対して2より少ないとカルシウム塩特有の赤味が出てしまい、亜鉛の比率がカルシウムに対して3よりも多いと、成形加工中に生成する塩化亜鉛が塩化ビニル系樹脂の分解触媒となり、「亜鉛焼け」と呼ばれる急激な黒化、分解が生じる。
本発明に用いられるカルシウム、亜鉛と塩をつくる脂肪酸としては、ベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リシノール酸、安息香酸等が挙げられ、目的に応じて2種以上組み合わせて用いることもできるが、成形加工時の滑性とプレートアウトのバランスからステアリン酸塩とするのが好ましい。また、カルシウムと亜鉛の比率は質量比で1:2〜1:3である。亜鉛の比率がカルシウムに対して2より少ないとカルシウム塩特有の赤味が出てしまい、亜鉛の比率がカルシウムに対して3よりも多いと、成形加工中に生成する塩化亜鉛が塩化ビニル系樹脂の分解触媒となり、「亜鉛焼け」と呼ばれる急激な黒化、分解が生じる。
そのほかにも、防曇剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌・抗カビ剤、加工助剤、滑剤、着色剤、充填剤等、ポジティブリスト記載の添加剤であれば、上記作用を損なわない範囲で添加しても良い。
本発明における塩化ビニル系樹脂組成物は、上記のポリマー、添加剤をスーパーミキサー等の通常用いられる混合装置に投入し、加熱、撹拌、冷却する事により得られる。加熱温度や撹拌時間は、監視窓等から混合状態を見ながら決めれば良いが、より好ましくは、高速撹拌しながら100℃〜130℃まで昇温して、目的温度まで達したら低速撹拌に切りかえて60℃程度まで冷却すると、粉体流動性のよいコンパウンドが得られる。
また、(A)成分の塩化ビニル系共重合体樹脂は、スタート時に他の添加剤と同時に添加して加熱撹拌すると、軟化温度が低いので、だんご状になってしまいミキサーの壁面に付着し均一な混合が出来ない。そこで、冷却の途中段階(目安は材料温度が100℃以下)に投入することがより好ましい。
本発明におけるストレッチフィルムの成形は、得られたコンパウンドを、単軸、2軸、または多軸押出機等を用いてTダイ法、またはインフレーション法にて製膜して得られる。
また、(A)成分の塩化ビニル系共重合体樹脂は、スタート時に他の添加剤と同時に添加して加熱撹拌すると、軟化温度が低いので、だんご状になってしまいミキサーの壁面に付着し均一な混合が出来ない。そこで、冷却の途中段階(目安は材料温度が100℃以下)に投入することがより好ましい。
本発明におけるストレッチフィルムの成形は、得られたコンパウンドを、単軸、2軸、または多軸押出機等を用いてTダイ法、またはインフレーション法にて製膜して得られる。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表1に示す配合比率(質量部)で(B)〜(E)の各配合剤を撹拌しながらスーパーミキサーに投入し、材料温度130℃まで昇温し、冷却開始後、100℃まで下がった時点で表1に示す配合比率(質量部)の(A)配合剤を投入し、60℃まで冷却した時点で取り出して、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
使用した原料は下記の通りである。
(A)酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体樹脂:信越化学工業(株)社製(商品名「MA−800S」)酢酸ビニル含有率7質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度780
(B)ポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度1050):「TK−1000」(信越化学工業(株)社製)
(C−1)ジイソノニルアジペート:「サンソサイザーDINA」(新日本理化(株)社製)
(C−2)ポリ1,3−ブタンジオールアジペート(ポリエステル系可塑剤):「BAA−15」(大八化学工業(株)社製)
重量平均分子量約2,500
(D)エポキシ化大豆油:「カポックスS−6」(花王(株)社製)
その他添加剤として
・Ca−Zn安定剤:「アデカスタブSP−76」(旭電化工業(株)社製)
・グリセリンエステル系可塑剤:「リケマールPL−012」(理研ビタミン(株)社製)グリセリンモノラウリルジアセテート
・ジグリセリンモノオレート:「リケマールDXO−100」(理研ビタミン(株)社製)
得られた樹脂組成物を、Tダイ(幅350mm、ギャップ0.5mm)を装着したφ40mmの単軸押出機(L/D=20)にて樹脂温度200℃で押出成形してフィルムを得た。得られたフィルムにつき以下の評価を行ない、その結果を表1に示した。
表1に示す配合比率(質量部)で(B)〜(E)の各配合剤を撹拌しながらスーパーミキサーに投入し、材料温度130℃まで昇温し、冷却開始後、100℃まで下がった時点で表1に示す配合比率(質量部)の(A)配合剤を投入し、60℃まで冷却した時点で取り出して、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
使用した原料は下記の通りである。
(A)酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体樹脂:信越化学工業(株)社製(商品名「MA−800S」)酢酸ビニル含有率7質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度780
(B)ポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度1050):「TK−1000」(信越化学工業(株)社製)
(C−1)ジイソノニルアジペート:「サンソサイザーDINA」(新日本理化(株)社製)
(C−2)ポリ1,3−ブタンジオールアジペート(ポリエステル系可塑剤):「BAA−15」(大八化学工業(株)社製)
重量平均分子量約2,500
(D)エポキシ化大豆油:「カポックスS−6」(花王(株)社製)
その他添加剤として
・Ca−Zn安定剤:「アデカスタブSP−76」(旭電化工業(株)社製)
・グリセリンエステル系可塑剤:「リケマールPL−012」(理研ビタミン(株)社製)グリセリンモノラウリルジアセテート
・ジグリセリンモノオレート:「リケマールDXO−100」(理研ビタミン(株)社製)
得られた樹脂組成物を、Tダイ(幅350mm、ギャップ0.5mm)を装着したφ40mmの単軸押出機(L/D=20)にて樹脂温度200℃で押出成形してフィルムを得た。得られたフィルムにつき以下の評価を行ない、その結果を表1に示した。
[成形加工性]
・押出フィルムの外観(焼け、ブツ)を下記判断基準で目視にて判定
○:透明性良好。色調問題なし。ブツなし。
△:透明性やや劣る。色調やや赤みがかっている。ブツあり。
×:透明性劣る。色調赤く焼けている。ブツ多い。
・押出フィルムの外観(焼け、ブツ)を下記判断基準で目視にて判定
○:透明性良好。色調問題なし。ブツなし。
△:透明性やや劣る。色調やや赤みがかっている。ブツあり。
×:透明性劣る。色調赤く焼けている。ブツ多い。
[食品衛生試験]
・n−ヘプタン抽出試験:昭和57年厚生省告示20号に定める蒸発残留物試験法で抽出量を測定し、n−ヘプタン抽出量(ppm)として示した(50質量ppm以下:○、50質量ppm超:×)。
・n−ヘプタン抽出試験:昭和57年厚生省告示20号に定める蒸発残留物試験法で抽出量を測定し、n−ヘプタン抽出量(ppm)として示した(50質量ppm以下:○、50質量ppm超:×)。
[包装適性]
・自動包装機適性:PP製のトレーにシシャモ8尾を盛りつけ、フジキカイ製自動包装機「A−18K」により包装速度40パック/分で自動包装し、包装適性を下記の基準で評価した。
しわや破れがなく包装できたもの:○
やや滑り不足、シワ等見られるが包装できたもの:△
しわ、破れまたは張り不足で包装不適なもの :×
・自動包装機適性:PP製のトレーにシシャモ8尾を盛りつけ、フジキカイ製自動包装機「A−18K」により包装速度40パック/分で自動包装し、包装適性を下記の基準で評価した。
しわや破れがなく包装できたもの:○
やや滑り不足、シワ等見られるが包装できたもの:△
しわ、破れまたは張り不足で包装不適なもの :×
表1から実施例1〜4は、成形加工性、n−ヘプタン抽出量、包装適性の全ての特性に優れることが分かる。
これに対して、(A)成分量を用いない比較例1は、成形加工性を維持するために可塑剤であるDINAを多量に添加しており、n−ヘプタン抽出量が多く、またフィルムに腰がなく包装後の仕上がりにやや劣る。
(A)成分を過剰に添加した比較例2では、(A)成分自体の熱安定性が悪く、焼けブツが発生し、サンプルを採取できなかった。
(C)成分であるポリエステル系可塑剤を主要可塑剤として比較例3では、n−ヘプタン抽出量は少ないものの、成形加工性が悪く包装適性に劣る。
(C)成分であるポリエステル系可塑剤に加えて、グリセリンエステル系可塑剤を併用した比較例4では、成形加工性は改良されるものの、n−ヘプタン抽出量が多く、可塑剤の総量も多いことからフィルムに腰がなく、包装後の仕上がりに劣る。
これに対して、(A)成分量を用いない比較例1は、成形加工性を維持するために可塑剤であるDINAを多量に添加しており、n−ヘプタン抽出量が多く、またフィルムに腰がなく包装後の仕上がりにやや劣る。
(A)成分を過剰に添加した比較例2では、(A)成分自体の熱安定性が悪く、焼けブツが発生し、サンプルを採取できなかった。
(C)成分であるポリエステル系可塑剤を主要可塑剤として比較例3では、n−ヘプタン抽出量は少ないものの、成形加工性が悪く包装適性に劣る。
(C)成分であるポリエステル系可塑剤に加えて、グリセリンエステル系可塑剤を併用した比較例4では、成形加工性は改良されるものの、n−ヘプタン抽出量が多く、可塑剤の総量も多いことからフィルムに腰がなく、包装後の仕上がりに劣る。
本発明のストレッチフィルムは、特定組成のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるものであって、薄肉であるにもかかわらず食品容器包装に優れ、さらには厚生省告示20号に定めるn−ヘプタン抽出量が少なく、したがって脂肪性食品への可塑剤の移行性が少ないなどの特性を有し、食品包装用フィルムとして好適に用いられる。
Claims (2)
- ポリマー成分として、(A)酢酸ビニル含有率1〜25質量%、ポリ塩化ビニル成分の重合度が500〜1300である酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合樹脂1〜50質量部と、(B)塩化ビニル樹脂99〜50質量部((A)成分と(B)成分の合計量は100質量部)からなり、
さらに、
(C)アジピン酸エステル系可塑剤及び/又はポリエステル系可塑剤5〜30質量部、
(D)エポキシ系可塑剤1〜20質量部、
を含む塩化ビニル系樹脂組成物。 - 請求項1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いて製膜してなり、フィルム厚みが5〜10μmで、昭和57年厚生省告示20号に定める蒸発残留物試験法にて測定したn−ヘプタン抽出量が50ppm以下であることを特徴とするストレッチフィルム。
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