JP2019059885A - 脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な耐寒性に加え、耐熱性や低臭気性に優れ、かつ成形加工性及び柔軟性が良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤を提供することを目的とする。【解決手段】特定の構造を有する脂肪族二塩基酸ジエステルを塩化ビニル系樹脂用可塑剤として使用することにより、良好な耐寒性と柔軟性に加え、耐熱性や低臭気性に優れた塩化ビニル系樹脂用可塑剤を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有してなる塩化ビニル系樹脂組成物に関し、詳しくは、耐寒性、耐熱性に優れ、臭気が少なく、成形加工性(押出成形性等)及び柔軟性に優れた新規脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤に関する。
塩化ビニル系樹脂は、柔軟性をはじめとする種々の性能を付与するとともに、押出やカレンダー加工等の成形加工時の加工温度を低下させ、成形加工を容易にする目的で可塑剤が添加された塩化ビニル系樹脂組成物として用いられることが多い。
このような塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる可塑剤に求められる性能としては、該組成物を原料として成形加工品とした場合の、柔軟性、耐寒性、耐熱性、電気特性等種々ある。このような塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる代表的な可塑剤としては、フタル酸エステルやアジピン酸エステル、トリメリット酸エステル等の多塩基酸の高級アルキルエステルが知られており、単独で又は2種類以上を組み合わせて使われている。
フタル酸エステルやトリメリット酸エステルなどの汎用可塑剤に対し、アジピン酸エステルに代表される脂肪族二塩基酸エステルは配合系の耐寒性や柔軟性などを補う目的で、汎用可塑剤と併用する二次可塑剤として使用されることが多い。脂肪族二塩基酸エステルとして、アジピン酸ジオクチル(DOA)やアジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)などがあるが、これらの可塑剤の欠点として、耐熱性(耐揮発性)に劣ることが挙げられる(非特許文献1)。そのため、これらの可塑剤の耐熱性(耐揮発性)を改良することが求められてきた。
食品包装分野などのフィルム用途において柔軟性や耐寒性を付与するために、アジピン酸エステル可塑剤が多く使用されている。(特許文献1、2及び3)
また、近年、医療器具用途などにおいて、非フタル酸エステル系可塑剤としてシクロヘキサンジカルボン酸系可塑剤とアジピン酸系可塑剤とを特定の割合で用いる検討なども進められている(特許文献4)。
上記、いずれの使用用途においても、耐寒性や柔軟性には優れるものの、耐熱性(耐揮発性)が劣り、使用される用途が広がらないのが現状である。二次可塑剤としての使用も一次可塑剤としての使用においても、耐熱性(耐揮発性)の向上が課題であり、耐寒性や柔軟性だけでなく耐熱性(耐揮発性)をも兼ね備えた脂肪族二塩基酸ジエステル可塑剤の開発が望まれている。
特開平8−027340号公報 特開2007−224205号公報 特開2007−197479号公報 特開2015−044890号公報
「プラスチック配合剤−基礎と応用−」,遠藤昭定、須藤眞編,大成社(1996年),p.18−19
本発明の目的は、上記の問題点を解決できる、良好な耐寒性と柔軟性を維持したまま、耐熱性を向上させ、低臭気性に優れた新規な脂肪族二塩基酸ジエステル系の塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびその可塑剤を含む塩化ビニル系樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、特定の構造を有する新規二塩基酸ジエステルを塩化ビニル系樹脂用可塑剤として用いることにより、塩化ビニル系樹脂組成物の耐熱性を向上させ、熱劣化を防止することで耐揮発性が良好になり、臭気を低減させることが可能となることが判明した。また、可塑剤として用いられるエステルのアルキル基(アルコール残基)の特定の構造が、成形加工性を良好なものとし、成形加工時の熱分解に大きく影響するということが判明した。その結果、新規脂肪族二塩基酸ジエステルが良好な耐寒性と柔軟性を維持したまま、耐熱性を向上させ、低臭気性に優れたバランスの良い塩化ビニル系樹脂用可塑剤であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の新規な塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有してなる塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
[項1]
下記一般式(1)で示される脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなり、該ジエステルを構成するアルキル基が主として炭素数9のアルキル基から構成され、該アルキル基の全量に対する直鎖状のアルキル基の比率(モル比)が50〜100%であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
Figure 2019059885
(式中、R及びRは同一又は異なって、炭素数7〜11の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、nは整数2〜8を表す。)
[項2]
前記アルキル基中の直鎖状のアルキル基の比率が、50〜99%である項1に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項3]
前記アルキル基中の直鎖状のアルキル基の比率が、55〜95%である項2に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項4]
前記アルキル基中の直鎖状のアルキル基の比率が、60〜95%である項3に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項5]
前記脂肪族二塩基酸ジエステルが、コハク酸ジエステル、グルタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、ピメリン酸ジエステル、スベリン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル及びセバシン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種である、項1〜項4の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項6]
項1〜5のいずれかに記載の脂肪族二塩基酸ジエステルに加えて、更に1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)及びアセチルクエン酸トリブチルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してなる、塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項7]
項1〜5の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤に使用するための二塩基酸ジエステルの製造方法であって、脂肪族二塩基酸若しくはその酸無水物、又はそのジメチルエステルと、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、直鎖状の飽和脂肪族アルコールの占める比率(モル比)が50〜100%である飽和脂肪族アルコールの混合物とをエステル化反応又はエステル交換反応することを特徴とする脂肪族二塩基酸ジエステルの製造方法。
[項8]
前記飽和脂肪族アルコールの混合物が、(1)1−オクテン、一酸化炭素と水素とのヒドロホルミル化反応による炭素数9のアルデヒドを製造する工程及び(2)炭素数9のアルデヒドを水素添加してアルコールに還元する工程を具備する方法により得られたものである項7に記載の製造方法。
[項9]
塩化ビニル系樹脂と、項1〜項6の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤又は項7若しくは項8に記載の製造方法により製造された脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含んでなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
[項10]
項9に記載の塩化ビニル系樹脂組成物を原料とする塩化ビニル系樹脂成形体。
[項11]
食品包装材用または医療器具用である、項1〜6の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[項12]
塩化ビニル系樹脂と項11に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有することを特徴とする食品包装材用又は医療器具用塩化ビニル系樹脂組成物。
[項13]
項12に記載の塩化ビニル系樹脂組成物を原料とする食品包装材又は医療器具用塩化ビニル系樹脂成形体。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、優れた耐寒性や柔軟性に加え、耐熱性及び低臭気性に優れた塩化ビニル系樹脂用可塑剤として使用できる。更に、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、シート着色も良好であることから、食品包装材、食品輸送材、食品容器、自動車用内装材、医療器具用途、玩具、及び室内用建装材等の塩化ビニル系樹脂組成物として使用することができる。
<塩化ビニル系樹脂用可塑剤>
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、下記一般式(1)で示される特定の構造を有する脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなることを特徴とする。
Figure 2019059885
なお、式中、R及びRは同一又は異なって、炭素数7〜11の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であって、そのアルキル基は、主として炭素数9のアルキル基から構成され、該アルキル基の全量に対する直鎖状のアルキル基の比率(モル比)が50〜100%、好ましくは50〜99%、より好ましくは55〜95%、さらに好ましくは60〜95%である。nは整数2〜8を表す。
本発明に係る脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「本エステル」という。)は、所定の酸成分とアルコール成分とを常法に従って、好ましくは窒素等の不活性化ガス雰囲気下において、無触媒又は触媒の存在下でエステル化反応又はエステル交換反応することにより容易に得られる。
[アルコール成分]
上記エステル化反応又はエステル交換反応に用いられるアルコール成分は、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とする飽和脂肪族アルコール混合物(以下、単に「アルコール混合物」という場合もある)からなり、該アルコール混合物中の含有量が、50〜100モル%、好ましくは50〜99モル%、より好ましくは55〜95モル%、さらに好ましくは60〜95モル%、特に好ましくは70〜90モル%の炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールと、0〜50モル%、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは5〜45モル%、さらに好ましくは5〜40モル%、特に好ましくは10〜30モル%の2−メチルオクタノール等の炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを含んでなる混合物である。上記炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールの含有量が50モル%未満では、耐寒性及び耐熱性が劣り、柔軟性が低下する傾向が認められ、一方、100モル%でも使用可能であるが、99モル%を超えると、使用用途や条件によっては耐ブリード性の低下を招く懸念があり、更にアルコールが高価となり経済的にも不利となり得ることから、99モル%以下であることが推奨される。なお、当該飽和脂肪族アルコールは、前記一般式(1)で示される脂肪族二塩基酸ジエステルを構成するアルキル基となる原料アルコールであり、即ち前記説明は該アルキル基の説明と同義となる。また、上記「主成分」とは、上記脂肪族アルコールの混合物を構成する成分の中で最も高い比率で存在する成分を意味し、本発明では、具体的には、その占める比率が60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。
また、本発明で用いる炭素数9の飽和脂肪族アルコール混合物は、(1)1−オクテン、一酸化炭素と水素とのヒドロホルミル化反応による炭素数9のアルデヒドを製造する工程及び(2)炭素数9のアルデヒドを水素添加してアルコールに還元する工程を具備する製造工程により製造することができる。
前記工程(2)である水素添加は、例えば、ニッケル触媒又はパラジウム触媒等の貴金属触媒の存在下、炭素数9のアルデヒドを水素加圧下で、水素添加することによりアルコールに還元することができる。また試薬による還元方法も例示される。
上記の製造工程で得られる炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とする飽和脂肪族アルコール混合物の具体例としては、約70%以上の直鎖状のノナノールと約30%以下の分岐鎖状のノナノールの混合物であるリネボール9(商品名、シェルケミカルズ社)等が挙げられる。
[酸成分]
上記エステル化反応又はエステル交換反応に用いられる酸成分は、下記一般式(2)で示される脂肪族二塩基酸又はその酸無水物である。
Figure 2019059885
式中、mは2〜8の整数である。
具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸であり、一種で用いても良く、又は二種以上の混合物で用いても良い。特に好ましくは、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸である。また、反応効率等を考慮した場合、酸無水物で用いることも有効である。
上記エステル交換反応に用いられる酸成分は、上記一般式(2)で示される脂肪族二塩基酸と炭素数1〜4の低級アルコールのジエステルである。前記低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられるが、なかでもメタノールであることが最も好ましい。
[エステル化反応]
上記アルコール成分と酸成分とのエステル化反応を行うに際し、該アルコール成分は、例えば、酸成分1モルに対して、好ましくは2.00モル〜5.00モル、より好ましくは2.00モル〜3.00モル、特に2.02モル〜2.50モルを使用することが推奨される。
エステル化反応に用いる触媒としては、鉱酸、有機酸又はルイス酸類等が例示される。より具体的には、鉱酸として、硫酸、塩酸、燐酸等が例示され、有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が例示され、ルイス酸としては、アルミニウム誘導体、スズ誘導体、チタン誘導体、鉛誘導体、亜鉛誘導体等が例示され、これらの1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが可能である。
中でも、p−トルエンスルホン酸、炭素数3〜8のテトラアルキルチタネート、酸化チタン、水酸化チタン、炭素数3〜12の脂肪酸スズ、酸化スズ、水酸化スズ、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化鉛、水酸化鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが特に好ましい。その使用量は、例えば、エステル合成原料である酸成分およびアルコール成分の総重量に対して、好ましくは0.01重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.02重量%〜4.0重量%、特に0.03重量%〜3.0重量%を使用することが推奨される。
エステル化温度としては、100℃〜230℃が例示され、通常、3時間〜30時間で反応は完結する。
本エステルの原料の酸成分である、脂肪族二塩基酸又はその酸無水物は、特に制限はなく、公知の方法で製造したものや、市販品、試薬等で入手できるものなどが使用できる。
[エステル交換反応]
本発明に係るエステル交換反応とは、上記アルコール成分と酸成分である脂肪族二塩基酸ジアルキルとのエステル交換反応を意味し、そのエステル交換反応を行うに際し、該アルコール成分は、例えば、酸成分1モルに対して、好ましくは2.00モル〜5.00モル、より好ましくは2.01モル〜3.00モル、特に2.02モル〜2.50モルを使用することが推奨される。
エステル交換反応に用いる触媒としては、ルイス酸類又はアルカリ金属類等が例示される。より具体的には、ルイス酸としては、アルミニウム誘導体、スズ誘導体、チタン誘導体、鉛誘導体、亜鉛誘導体が例示され、アルカリ金属類としてはナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示され、これらの1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが可能である。
中でも、炭素数3〜8のテトラアルキルチタネート、酸化チタン、水酸化チタン、炭素数1〜4のナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、炭素数3〜12の脂肪酸スズ、酸化スズ、水酸化スズ、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化鉛、水酸化鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが特に好ましい。その使用量は、例えば、エステル合成原料である酸成分およびアルコール成分の総重量に対して、好ましくは0.01重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.02重量%〜4.0重量%、特に0.03重量%〜3.0重量%を使用することが推奨される。
エステル交換反応の温度としては、100〜230℃が例示され、通常、3〜30時間で反応は完結する。
本エステルの原料の酸成分である、脂肪族二塩基酸ジアルキルエステルは、特に制限はなく、公知の方法で製造したものや、市販品、試薬等で入手できるものなどが使用できる。
エステル化反応又はエステル交換反応においては、反応により生成する水又はメタノールの留出を促進するために、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどのエントレーナー又は同伴剤を使用することが可能である。
またエステル化反応又はエステル交換反応時に、原料、生成エステル及び有機溶媒(水同伴剤)の酸化劣化により酸化物、過酸化物、カルボニル化合物などの含酸素有機化合物を生成すると耐熱性、耐候性等に悪影響を与える。その悪影響を抑制するために及び安全性の観点から、系内を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下又は不活性ガス気流下で、常圧ないし減圧下にて当該反応を行うことが望ましい。エステル化反応又はエステル交換反応終了後、通常、過剰の原料を減圧下又は常圧下にて留去する。
上記本エステルの反応粗物は、通常、引き続き、後処理を行うことで精製される。例えば、触媒の不活性化処理(中和処理、塩基処理、酸処理等)、水洗処理、液液抽出、蒸留(減圧、脱水処理)、吸着精製処理等の本技術分野で採用される処理方法を単独で又は適宜組み合わせることにより精製することができる。
塩基処理に用いる塩基としては、塩基性の化合物であれば特に制約はなく、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが例示される。それらを1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
吸着精製に用いる吸着剤としては、活性炭、活性白土、活性アルミナ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、カルシア、珪藻土などが例示される。それらを1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
上記処理は、常温で行なっても良いが、40〜95℃程度に加温して行なうこともできる。
<塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上述した本エステルを可塑剤として、単独で、または他の可塑剤と併用して塩化ビニル系樹脂に配合することにより得られる。
[塩化ビニル系樹脂]
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルあるいは塩化ビニリデンの単独重合体及び塩化ビニルあるいは塩化ビニリデンの共重合体であり、その製造方法は、従来公知の重合方法で行われ、汎用塩化ビニル樹脂の場合、油溶性重合触媒の存在下に懸濁重合する方法が挙げられ、また、塩化ビニルペースト樹脂では水性媒体中で水溶性重合触媒の存在下に乳化重合する方法が挙げられる。これらの塩化ビニル系樹脂の重合度は、通常300〜5000であり、好ましくは400〜3500、さらに好ましくは700〜3000である。この重合度が低すぎると耐熱性等が低下し、高すぎると成形加工性が低下する傾向がある。
共重合体の場合、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等の炭素数2〜30のα−オレフィン類、アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類、マレイン酸およびそのエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル等のビニル化合物、ジアリルフタレート等の多官能性モノマー及びこれらの混合物と塩化ビニルモノマーとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩素化ポリエチレン、ブチルゴム、架橋アクリルゴム、ポリウレタン、ブタジエンースチレンーメチルメタクリレート共重合体(MBS)、ブタジエンーアクリロニトリルー(α−メチル)スチレン共重合体(ABS)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート及びこれらの混合物へ塩化ビニルモノマーをグラフトしたグラフト共重合体等が例示される。
[塩化ビニル系樹脂組成物]
塩化ビニル系樹脂組成物における本エステルを含む塩化ビニル系樹脂用可塑剤全体の含有量としては、その用途に応じて適宜選択されるが、通常、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、1〜100重量部であり、好ましくは5〜50重量部である。より具体的には、例えば、硬質〜半硬質用途では、1〜20重量部、好ましくは5〜20重量部であり、軟質用途では、20〜100重量部、好ましくは30〜50重量部であることが推奨される。1重量部未満では所定の可塑化効果が得られにくく、100重量部を越えて配合した場合には、成形品表面へのブリードの懸念があり、いずれの場合も好ましくない。但し、上記の塩化ビニル系樹脂組成物に対して充填剤などを添加する場合は、充填剤自身が吸油するために上記の範囲を超えて当該可塑剤を配合することができる。例えば、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、充填剤として炭酸カルシウムを100重量部配合した場合には、当該可塑剤を1〜500重量部程度配合することができる。
塩化ビニル系樹脂組成物は、本エステルと共に他の公知の可塑剤を併用して、可塑剤として配合することができる。
本エステルと併用することができる公知の可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル類、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、テレフタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOTP)、イソフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOIP)等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(DOS)、セバシン酸ジイソノニル(DINS)等の本エステル以外の脂肪族二塩基酸エステル類、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)、トリメリット酸トリイソノニル(TINTM)、トリメリット酸トリイソデシル(TIDTM)等のトリメリット酸エステル類、ピロメリット酸テトラ−2−エチルヘキシル(TOPM)等のピロメリット酸エステル類、リン酸トリ−2−エチルヘキシル(TOP)、リン酸トリクレジル(TCP)等のリン酸エステル類、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのアルキルエステル、アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとのポリエステル化によって合成された分子量800〜4000のポリエステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化エステル類、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(DINCH)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ2−エチルヘキシル等の脂環式二塩基酸類、ジカプリン酸1.4−ブタンジオール等の脂肪酸グリコールエステル類、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)類、パラフィンワックスやn−パラフィンを塩素化した塩素化パラフィン類、塩素化ステアリン酸エステル等の塩素化脂肪酸エステル類、オレイン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル類等が例示される。上記本エステルtお併用される可塑剤は、1種で又は2種以上適宜組み合わせて本エステルと共に配合されていてもよい。
上記併用することができる可塑剤のなかでも、安全性の観点から、好ましくは、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、テレフタル酸ジ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸jジ2−エチルヘキシル及びアセチルクエン酸トリブチルであることが推奨される。
また、塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤、安定剤、安定化助剤、着色剤、加工助剤、充填剤、酸化防止剤(老化防止剤)、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、滑剤或いは帯電防止剤等の添加剤を配合することができる。
上記添加剤は、1種で又は2種以上適宜組み合わせて本エステルと共に配合されていてもよい。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の無機系化合物、クレジルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート等のリン系化合物、塩素化パラフィン等のハロゲン系化合物等が例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する難燃剤の配合量は0.1〜20重量部程度である。
安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸化合物、ジメチルスズビス−2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズビスブチルマレエート、ジブチルスズジラウレート等の有機錫系化合物、アンチモンメルカプタイド化合物等が例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する安定剤の配合量は0.1〜20重量部程度である。
また、前記安定剤のうち、安全性等の面より、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛の組み合わせが、最も好ましく使用される。又、その配合量は、合計量で、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜6重量部低度が推奨され、その配合比率は、安定化の効果を示す範囲であれば、特に制限はないが、通常、5:1〜1:5の範囲で使われることが多い。
安定化助剤としては、トリフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリデシルフォスファイト等のホスファイト系化合物、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等のベータジケトン化合物、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物、過塩素酸バリウム塩、過塩素酸ナトリウム塩等の過塩素酸塩化合物、ハイドロタルサイト化合物、ゼオライトなどが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する安定化助剤の配合量は0.1〜20重量部程度である。
着色剤としては、カーボンブラック、硫化鉛、ホワイトカーボン、チタン白、リトポン、べにがら、硫化アンチモン、クロム黄、クロム緑、コバルト青、モリブデン橙などが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する着色剤の配合量は1〜100重量部程度である。
加工助剤としては、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、ブチルステアエレート、ステアリン酸カルシウムなどが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する加工助剤の配合量は0.1〜20重量部程度である。
充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、珪藻土、フェライト、などの金属酸化物、ガラス、炭素、金属などの繊維及び粉末、ガラス球、グラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムなどが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する充填剤の配合量は1〜100重量部程度である。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]メタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのフェノール系化合物、アルキルジスルフィド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン酸系化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などの有機金属系化合物などが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する酸化防止剤の配合量は0.2〜20重量部程度である。
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレートなどのサリシレート系化合物、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチルベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物の他、シアノアクリレート系化合物などが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する紫外線吸収剤の配合量は0.1〜10重量部程度である。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル及び1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと高級脂肪酸のエステル混合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N' −ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N' ,N'' ,N''' −テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する光安定剤の配合量は0.1〜10重量部程度である。
滑剤としては、シリコーン、流動パラフィン、パラフィンワックス、ステアリン酸金属やラウリン酸金属塩などの脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド類、脂肪酸ワックス、高級脂肪酸ワックス等が例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する滑剤の配合量は0.1〜10重量部程度である。
帯電防止剤としては、アルキルスルホネート型、アルキルエーテルカルボン酸型又はジアルキルスルホサクシネート型のアニオン性帯電防止剤、ポリエチレングリコール誘導体、ソルビタン誘導体、ジエタノールアミン誘導体などのノニオン性帯電防止剤、アルキルアミドアミン型、アルキルジメチルベンジル型などの第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム型の有機酸塩又は塩酸塩などのカチオン性帯電防止剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型などの両性帯電防止剤などが例示される。又、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する帯電防止剤の配合量は0.1〜10重量部程度である。
また、前記上記併用することができる公知の可塑剤のうち、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油類は、紫外線照射や放射線照射による滅菌時の着色を抑える効果があり、例えば透明なフィルム用途などで、安定化剤的な効果を期待して用いられることも多い。その場合、その配合量は、上記観点より一般的に塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部程度であることが推奨される。
耐放射線材料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルアミノエトキシプロピルジアルコキシシラン、N−(βアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(フェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシラン化合物、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物、トリイソプロピルシラン、トリイソプロピルシリルアクリレート、アリルトリメチルシラン、トリメチルシリル酢酸メチル等のオルガノシラン化合物が例示される。又、耐放射線材料を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100重量部に対する耐放射線材料の配合量は0.1〜15重量部程度が推奨される。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本エステル、塩化ビニル系樹脂及び必要に応じて各種添加剤を、例えばモルタルミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンブレンダー等 の攪拌機により攪拌混合を行い、塩化ビニル系樹脂組成物の混合粉とすることができる。
また、本エステル、塩化ビニル系樹脂及び必要に応じて各種添加剤を、例えばコニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により溶融成形することによりペレット状の塩化ビニル系樹脂組成物を得ることもできる。
更に、本エステル、塩化ビニル系ペースト樹脂及び必要に応じて各種添加剤を、例えばコニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により溶融成形することによりペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物を得ることもできる。更に、本エステル、塩化ビニル系ペーストゾル樹脂及び必要に応じて各種添加剤を、例えばポニーミキサー、バタフライミキサー、プラネタリミキサー、リボンブレンダー、ニーダー、ディゾルバ、二軸ミキサー、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速ミキサー、三本ロールミル等の混合・混練り機により撹拌混合することにより、混合粉またはペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物を得ることもできる。
[塩化ビニル系樹脂成形体]
本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物(配合粉状やペレット状)を、真空成型、圧縮成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形、プレス成形、ブロー成形、粉体成形等の従来公知の方法を用いて溶融成形加工することにより、所望の形状に成形することができる。
一方、上記ペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物は、スプレッド成形、ディッピング成形、グラビア成形、スラッシュ成形、スクリーン加工等の従来公知の方法を用いて成形加工することにより、所望の形状に成形することができる。
成形体の形状としては、特に限定されないが、例えば、ロッド状、シート状、フィルム状、板状、円筒状、円形、楕円形等あるいは玩具、装飾品等特殊な形状のもの、例えば星形、多角形形状 が例示される。
かくして得られた成形体は、水道管などのパイプ類、パイプ用の継手類、雨樋などの樋類、窓枠サイディング、平板、波板、自動車アンダーボディコート、インストルメントパネル、コンソール、ドアシート、アンダーカーペット、トランクシート、ドアトリム類などの自動車装材、各種レザー類、装飾シート、農業用フィルム、食品包装用フィルム、電線被覆、各種発泡製品、ホース、医療用チューブ、食品用チューブ、冷蔵庫用ガスケット、パッキン類、壁紙、床材、ブーツ、カーテン、靴底、手袋、止水板、玩具、化粧板、血液バック、輸液バック、ターポリン、マット類、遮水シート、土木シート、ルーフィング、防水シート、絶縁シート、工業用テープ、ガラスフィルム、字消し等に有用である。
特に、前記成形体は、優れた耐寒性に加え、優れた耐熱性を示し、成形加工性及び柔軟性が良好な上に、臭気が少ないことから、食品容器、食品用チューブ、食品用ラップフィルム、食品用ストレッチフィルムなどの食品包装材用途に好適である。また、同様に低臭気性が求められる医療用チューブ、医療用バッグ、血液バッグ、輸液バッグ、医療用輸液セット、血液回路のジョイント部材などの医療器具用途に有用である。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例や比較例中の各特性の測定は以下の通りである。
(1)アルキル基中の直鎖状アルキル基の比率
本発明の実施例及び比較例で用いる可塑剤中のアルキル基中の直鎖状アルキル基の比率は、その製造に用いた原料アルコール中の組成をガスクロマトグラフィー(以下GCと略記)によって測定し、その結果を可塑剤中のアルキル基中の直鎖状アルキル基の比率とした。前記GCによる原料アルコールの測定方法は次のとおりである。
《GCの測定条件》
機種: ガスクロマトグラフ GC−17A( 島津製作所製)
検出器: FID
カラム: キャピラリーカラム DB−130m
カラム温度: 60℃ から290℃まで昇温。昇温速度=13℃/分
キャリアガス: ヘリウム
試料: 50%アセトン溶液
注入量: 1 μ l
定量: 1−ヘキサノールを内部標準物質として用い定量した。
前記内部標準物質の選定に当たっては、原料のアルコール成分に1−ヘキサノールがGCで検出限界以下であったことを予め確認した。
なお、上述のエステル化反応及びエステル交換反応において、本発明の範囲内では原料アルコールの構造による反応性に差異はなく、用いた原料アルコール中の組成比と本エステル中のアルキル基の組成比に差異がないことは、予め確認している。
(2)エステルの物性評価
下記の製造例で得られたエステルは次の方法で分析を行った。
エステル価:JIS K 0070(1992)に準拠して測定した。
酸価:JIS K 0070(1992)に準拠して測定した。
色数:JIS K 0071−1(Hazen)(1998)に準拠して測定した。
(3)塩化ビニルシートの作製
塩化ビニル樹脂(ストレート、重合度1050、商品名「Zest1000Z」、新第一塩ビ(株)製)100重量部に、安定剤としてカルシウムステアレート(ナカライテスク(株)製)及びジンクステアレート(ナカライテスク(株)製)を各々0.3及び0.2重量部を配合し、モルタルミキサーで攪拌混合した後、可塑剤50重量部を加え、均一になるまでハンドリング混合し塩化ビニル樹脂組成物とした。この樹脂組成物を5×12インチの二本ロールを用いて160〜166℃で4分間溶融混練しロールシートを作成した。続いて162〜168℃×10分間プレス成形を行い、厚さ約1mmのプレスシートを作製した。
[樹脂の物性評価]
(4)引張特性:JIS K 6723(1995)に準拠し、プレスシートの100%モジュラス、破断強度、破断伸びを測定した。100%モジュラスの値が小さいほど柔軟性が良好であることを示す。
(5)耐寒性:クラッシュベルグ試験機を用いて、JIS K 6773(1999)に準拠して測定した。柔軟温度(℃)が低いほど耐寒性に優れる。ここで言う柔軟温度とは、前記測定において所定のねじり剛性率(3.17×10kg/cm)を示す低温限界の温度を指す。
(6)耐熱性:揮発減量及びシート着色の評価による。
a)揮発減量:ギヤーオーブン中、ロールシートを170℃で60分、120分加熱した後のロールシートの重量変化を測定し、重量減少率(%)を算出した。数値が少ないほど、耐熱性が高い。
重量減少率(%)=((試験前の重量―試験後の重量)/試験前の重量)×100
b)シート着色 :ギヤーオーブン中、ロールシートを170℃で30分、60分間加熱した後の着色度の強弱を目視により4段階で評価した。
◎:着色なし
○:若干着色する
△:着色する
×:着色が強い
(7)臭気判定評価
作成したシートを5cm×7.5cmに切断し、容量225mlのマヨネーズ瓶に円柱状に丸めて入れた後、蓋をして100℃のオーブンで30分間加熱した後、マヨネーズ瓶中の臭気を男女各3名による官能試験で評価した。臭気が気になる者の人数により、以下の基準で評価した。
○ : 0人
△ : 1〜3人
× : 4人以上
[製造例1]
温度計、デカンター、攪拌羽、還流冷却管を備えた2L四ツ口フラスコに、アジピン酸73.1g(0.5モル)、炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールを88.5モル%と炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを11.1モル%含む飽和脂肪族アルコール混合物(シェルケミカルズ社製、製品名:リネボール9)173g(1.2モル)、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.1gを加え、反応温度を200℃としてエステル化反応を実施した。減圧下アルコールを還流させて生成水を系外へ除去しながら、反応溶液の酸価が0.5mgKOH/gになるまで反応を行った。反応終了後、未反応アルコールを減圧下で系外へ留去した後、常法に従って中和、水洗、脱水して目的とする脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「エステル1」という。)179gを得た。
得られたエステル1は、エステル価:285mgKOH/g、酸価:0.01mgKOH/g、色数:15であった。
[製造例2]
製造例1の飽和脂肪族アルコール混合物(シェルケミカルズ社製、製品名:リネボール9)173gの代わりに炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールを95.3モル%と炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを4.7モル%とを含む飽和脂肪族アルコール混合物173g(1.2モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明の脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「エステル2」という。)181gを得た。
得られたエステル2は、エステル価:280mgKOH/g、酸価:0.04mgKOH/g、色数:10であった。
[製造例3]
製造例1の飽和脂肪族アルコール混合物(シェルケミカルズ社製、製品名:リネボール9)173gの代わりに炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールを70.3モル%と炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを29.7モル%とを含む飽和脂肪族アルコール混合物173g(1.2モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明の脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「エステル3」という。)180gを得た。
得られたエステル3は、エステル価:285mgKOH/g、酸価:0.03mgKOH/g、色数:10であった。
[製造例4]
製造例1の飽和脂肪族アルコール混合物(シェルケミカルズ社製、製品名:リネボール9)173gの代わりに炭素数9の直鎖状の飽和脂肪族アルコールを50.4モル%と炭素数9の分岐鎖状の飽和脂肪族アルコールを49.6モル%とを含む飽和脂肪族アルコール混合物173g(1.2モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明の脂肪族二塩基酸ジエスエル(以下、「エステル4」という。)178gを得た。
得られたエステル4は、エステル価:285mgKOH/g、酸価:0.03mgKOH/g、色数:10であった。
[製造例5]
アジピン酸73.1gの代わりにコハク酸59.0g(0.5モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明の脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「エステル5」という。)167gを得た。
得られたエステル5は、エステル価:300mgKOH/g、酸価:0.04mgKOH/g、色数:10であった。
[製造例6]
アジピン酸73.1gの代わりにセバシン酸101g(0.5モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明の脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「エステル6」という。)205gを得た。
得られたエステル6は、エステル価:244mgKOH/g、酸価:0.04mgKOH/g、色数:10であった。
[製造例7]
アジピン酸73.1gの代わりにコハク酸59.0gを、製造例1の飽和脂肪族アルコール混合物(シェルケミカルズ社製、製品名:リネボール9)173gの代わりに2−エチルヘキサノール156g(1.2モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明範囲外の脂肪族二塩基酸ジエステル(以下、「エステル7」という。)154gを得た。
得られたエステル7は、エステル価:325mgKOH/g、酸価:0.03mgKOH/g、色数:10であった。
[実施例1]
製造例1で得られたエステル1を用いて、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[実施例2]
製造例1で得られたエステル1の代わりに製造例2で得られたエステル2を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[実施例3]
製造例1で得られたエステル1の代わりに製造例3で得られたエステル3を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[実施例4]
製造例1で得られたエステル1の代わりに製造例4で得られたエステル4を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[実施例5]
製造例1で得られたエステル1の代わりに製造例5で得られたエステル5を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[実施例6]
製造例1で得られたエステル1の代わりに製造例6で得られたエステル6を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[比較例1]
製造例1で得られたエステル1の代わりに市販のアジピン酸ジ2-エチルヘキシル(DOA)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[比較例2]
製造例1で得られたエステル1の代わりに市販のアジピン酸ジイソノニル(DINA)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[比較例3]
製造例1で得られたエステル1の代わりに市販のアジピン酸ジイソデシル(DIDA)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[比較例4]
製造例1で得られたエステル1の代わりに製造例7で得られたエステル7を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
[比較例5]
製造例1で得られたエステル1の代わりに市販のセバシン酸ジ2-エチルヘキシル(DOS)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、塩化ビニルシートを作製し、得られた塩化ビニルシートを用いて物性評価として引張特性、耐寒性及び耐熱性の評価を行い、更に上述のパネラーによる臭気判定評価を行った。得られた結果を表1に示した。
Figure 2019059885
表1の結果より、本発明の脂肪族二塩基酸ジエステルを可塑剤として用いた塩化ビニル樹脂系組成物より得られた成形体(実施例1〜6)は、DOA、DINA、DIDA、DOSなどの比較例に示された汎用の脂肪族二塩基酸ジエステル系可塑剤と比較して、同等若しくはそれ以上の良好な耐寒性と柔軟性を有しながら、耐揮発減量が少なく、シート着色のない、優れた耐熱性を示すということがわかる。特に、アルキル基部分の炭素数が同じで、脂肪族二塩基酸ジエステルの中でもよく使用されるDINAを用いた比較例2と比べて、優れた耐寒性と柔軟性を維持したまま耐熱性が向上していることが示され、加えて、引張特性が良好であることが示されている。さらに、同じ酸成分同士である実施例5と比較例4、実施例6と比較例6とを比べても、同様に優れた耐寒性と柔軟性を維持したまま耐熱性を向上させていることが示されている。また、実施例1〜6はいずれも比較例に示された汎用の脂肪族二塩基酸ジエステと比較して、非常に低臭気であることが明確である。
本発明に係る脂肪族二塩基酸ジエステルは、優れた耐寒性や柔軟性に加え、耐熱性及び低臭気性に優れた塩化ビニル系樹脂用可塑剤として使用することができ、その可塑剤を含む塩化ビニル系樹脂組成物より得られる成形体は、高度な低臭気性、耐熱性、耐寒性の要求される食品包装材用途及び医療器具用途としても非常に有用である。また、脂肪族二塩基酸ジエステルを二次可塑剤として使用しても優れた効果を発揮する点でも有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で示される脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなり、該ジエステルを構成するアルキル基が主として炭素数9のアルキル基から構成され、該アルキル基の全量に対する直鎖状のアルキル基の比率(モル比)が50〜100%であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
    Figure 2019059885
    (式中、R及びRは同一又は異なって、炭素数7〜11の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、nは整数2〜8を表す。)
  2. 前記アルキル基中の直鎖状のアルキル基の比率が、55〜95%である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  3. 前記脂肪族二塩基酸ジエステルが、コハク酸ジエステル、グルタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、ピメリン酸ジエステル、スベリン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル及びセバシン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤に使用するための脂肪族二塩基酸ジエステルの製造方法であって、脂肪族二塩基酸若しくはその酸無水物、又はそのジメチルエステルと、炭素数9の飽和脂肪族アルコールを主成分とし、直鎖状の飽和脂肪族アルコールの占める比率(モル比)が50〜100%である飽和脂肪族アルコールの混合物とをエステル化反応又はエステル交換反応することを特徴とする脂肪族二塩基酸ジエステルの製造方法。
  5. 前記飽和脂肪族アルコールの混合物が、(1)1−オクテン、一酸化炭素と水素とのヒドロホルミル化反応による炭素数9のアルデヒドを製造する工程及び(2)炭素数9のアルデヒドを水素添加してアルコールに還元する工程を具備する方法により得られたものである請求項4に記載の製造方法。
  6. 塩化ビニル系樹脂と、請求項1〜3の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤又は請求項4若しくは5に記載の製造方法により製造された脂肪族二塩基酸ジエステルを含有してなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含んでなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の塩化ビニル系樹脂組成物を原料とする塩化ビニル系樹脂成形体。
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