JP2011144354A - インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い画像濃度、高いレベルの画像の耐擦過性及び耐マーカー性、更にはインクの吐出安定性に優れるインクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】自己分散顔料及びポリウレタン樹脂を含有するインクジェット用インクであって、前記ポリウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットを有し、前記ポリウレタン樹脂が架橋構造を有しており、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット用インク、かかるインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置は画質や記録速度の向上に伴い、ビジネス分野で使用される機会が増加している。ビジネス分野に用いられるインクジェット用インクに求められる性能としては、インクの信頼性(吐出安定性など)、画質(高画像濃度など)及び画像の堅牢性(耐擦過性、耐マーカー性など)が挙げられる。これらの性能を向上するために、顔料及び分子内架橋したポリウレタン樹脂を添加したインクが検討されている(特許文献1及び2)。特許文献1には、色材及び架橋したポリウレタン樹脂分散体を含有するインクジェット用インキが開示されている。特許文献2には、水酸基を3個以上有する化合物を構成成分として含み、かつ、ポリオールなどで構成されるソフトセグメントにカルボキシ基を有するポリウレタン樹脂を含有する顔料分散体が開示されている。
特表2007−522285号公報 特開2008−179657号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、架橋ポリウレタン樹脂を含有する従来のインクは、インクの信頼性、画質及び画像の堅牢性の改善が図られてはいるものの、近年ビジネス分野で要求されるレベルを満足するまでには至っていないことが分かった。
特許文献1に記載されたインクでは、架橋したポリウレタン樹脂と色材の含有量比が約1.0とする必要があり、高い画像濃度を得るために色材の含有量を多くすると、架橋したポリウレタン樹脂の含有量も多くする必要がある。その結果、インクの吐出安定性が低下してしまう。一方で、吐出安定性を向上するために架橋したポリウレタン樹脂の含有量を低くすると、色材の含有量も低くする必要があるため、画像濃度が低下してしまう。更に、架橋したポリウレタン樹脂の酸価を50mgKOH/g以下に規定しているため、その親水性が低く、インクの吐出安定性が不十分となりやすい。従って、画像濃度とインクの吐出安定性の両立は難しい。
本発明者らの検討によると、特許文献2で開示されているように、3つ以上水酸基を有する化合物が水酸基を有する全化合物を基準として10モル%以上であるポリウレタン樹脂は、過度に剛直化してしまい、得られる画像の堅牢性が低くなることが分かった。
従って、本発明の目的は、高い画像濃度、高いレベルの画像の耐擦過性及び耐マーカー性が得られ、更にはインクの吐出安定性に優れるインクジェット用インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記本発明のインクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用インクは、自己分散顔料及びポリウレタン樹脂を含有するインクジェット用インクであって、前記ポリウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットを有し、前記ポリウレタン樹脂が架橋構造を有しており、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることを特徴とする。
本発明によれば、高い画像濃度、高いレベルの画像の耐擦過性及び耐マーカー性、更にはインクの吐出安定性に優れるインクジェット用インクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
ポリウレタン樹脂の酸価とMEKゲル分率の関係を示した図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェット用インク(以下「インク」とする)は、自己分散顔料及びポリウレタン樹脂を含有するインクであって、前記ポリウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットを有することを特徴とする。更に、前記ポリウレタン樹脂が架橋構造を有しており、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるという特徴を有する。
自己分散顔料を用いたインクにおいて、架橋構造を有しており、かつ、酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリウレタン樹脂を含有させることで、画像の耐擦過性及び耐マーカー性を特に向上することができる。この理由について、本発明者らは次のように推測している。インクが記録媒体に付与された際に、顔料近傍にポリウレタン樹脂が存在する状態となることで、画像の耐擦過性及び耐マーカー性を向上することができる。
ポリウレタン樹脂の酸価は、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合により制御することが可能である。ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上となるように酸基を有するジオールを含有させると、酸基を有するジオールと反応するポリイソシアネートの量も増加することになる。これを、更に架橋することによって得られたポリウレタン樹脂は、架橋剤を介して疎水性のポリイソシアネートユニットが密集した構造をとりやすい。つまり、ポリウレタン樹脂が架橋構造を有し、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることによって、疎水部が密集した構造が相乗的に多く存在することになる。その結果、ポリウレタン樹脂の疎水部と顔料の疎水部との間に疎水性相互作用が働き、上記顔料近傍にポリウレタン樹脂が効果的に存在する状態となると考えられる。この際、顔料が自己分散顔料であると、樹脂分散剤を添加して顔料を分散させる樹脂分散顔料を用いた場合と比較して顔料表面の立体障害が小さいため、疎水性相互作用がより働きやすく、顔料近傍にポリウレタン樹脂が存在する状態となりやすい。以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、高いレベルの画像の耐擦過性及び耐マーカー性を発現することが可能となると推測される。
尚、本発明者らは、上記のポリウレタン樹脂及び自己分散顔料を含有するインクを用いることで上記顔料近傍にポリウレタン樹脂が存在する状態となることを、以下の動的粘弾性測定によって確認することができた。
本発明者らは、上記のポリウレタン樹脂と自己分散顔料を含有するインクを乾燥させて薄膜化した後、後述の実施例に記載の方法で動的粘弾性測定を行った。その結果、ミクロ相分離構造に由来する2つのピークを確認することができた。即ち、本発明の構成を有するポリウレタン樹脂は、その疎水部(ハードセグメント)が疎水性である自己分散顔料の表面と疎水性相互作用し、一方で親水部(ソフトセグメント)が顔料粒子の間を橋渡しするような海島構造のミクロ相分離をしていると考えられる。その結果、顔料近傍にポリウレタン樹脂が存在する状態となり、上記の高いレベルの画像の耐擦過性及び耐マーカー性を発現することができると考えている。
一方、本発明の構成を1つでも満たさないポリウレタン樹脂と自己分散顔料を含有するインク、又は、本発明の構成を有するポリウレタン樹脂と自己分散顔料以外の顔料(樹脂分散顔料など)を含有するインクについて、同様に動的粘弾性測定を行った。その結果、1つのピークを示すか、又は、全くピークを示さないという結果となり、ミクロ相分離構造に由来する2つのピークは確認されなかった。また、本発明者らが上記の特許文献1及び2に記載のポリウレタン樹脂を用いたインクについて、同様の動的粘弾性測定を行ったところ、いずれにおいても2つのピークは確認されなかった。
上述の通り、動的粘弾性測定により、未知の組成のインクについて、該インクが本発明で使用するポリウレタン樹脂及び自己分散顔料を含有するか否かを簡易的に知ることができる。即ち、あるインクについて動的粘弾性測定を行った場合のピークの有無やピークの数により、本発明の構成を満足するインクであるか否かを確認することができる。
また、ポリウレタン樹脂の酸価を60mgKOH/g以上とすることにより、インクを安定に吐出するために充分な親水性をポリウレタン樹脂に付与することが可能となる。更に、ポリウレタン樹脂中の酸基の増加に伴いカウンターイオンの量も増加することになるため、インク中の総イオン量が増加し、記録媒体に付与された際の水分蒸発に伴う顔料の塩析効果が高まる。その結果、顔料の凝集スピードが速くなるため、より記録媒体表面近傍に顔料が残留しやすくなり、高い画像濃度を達成することができる。この際、顔料が自己分散顔料であると、樹脂分散剤を添加して顔料を分散させる樹脂分散顔料の場合と比較して、水分蒸発に伴う顔料の凝集スピードが速いことから、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことで、より高い画像濃度を発現すると考えられる。
一方、ポリウレタン樹脂の酸価は100mgKOH/g以下とすることが必要である。酸価を上げるために酸基を有するジオールに由来するユニットの割合を増加させると、ポリウレタン樹脂中の酸基を有さないポリオール成分由来のユニットの割合が相対的に減少する。このとき、ポリウレタン樹脂の酸価が100mgKOH/gより高くなると、ポリウレタン樹脂に柔軟性を付与する酸基を有さないポリオール成分由来のユニットの割合が充分でなく、ポリウレタン樹脂膜が非常に剛直になるため、堅牢性が低くなってしまうためである。
[インクジェット用インク]
以下、本発明のインクジェット用インクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
<自己分散顔料>
本発明のインクには、少なくとも1種の親水性基が直接、又は、他の原子団を介して顔料表面に結合している自己分散顔料を含有させる。尚、インク中の親水性基の形態は、その一部が解離又は全てが解離した状態のいずれの形態であってもよい。
本発明のインクに使用することのできる顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料及び有機顔料が挙げられ、インクジェット用インクに使用可能なものとして公知の顔料をいずれも使用することができる。本発明者らの検討によると、無機顔料を用いた場合の方が、ポリウレタン樹脂が顔料に対して物理吸着を起こしやすいため、有機顔料を用いた場合と比べて、画像の耐擦過性及び耐マーカー性を向上する効果が高く、より好ましい。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、更には、1.0質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。含有量が1.0質量%未満であると、画像濃度が充分に得られない場合がある。含有量が8.0質量%を超えると、耐固着性などのインクジェット特性が充分に得られない場合がある。
自己分散顔料としては、例えば、顔料粒子の表面に親水性基を導入した顔料(低分子修飾型自己分散顔料)、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を導入した顔料(樹脂結合型自己分散顔料)が挙げられる。このような自己分散顔料を用いることにより、顔料をインク中に分散するための分散剤の添加が不要となる、又は、分散剤の添加量を少量とすることができる。本発明においては、上記の低分子修飾型自己分散顔料を用いることがより好ましい。また、顔料としては、自己分散カーボンブラックを用いることが好ましい。自己分散カーボンブラックは、記録媒体に付与されてから、インクの蒸発などによりインクの状態変化(インクの粘度の上昇、色材の会合や凝集)が起こりやすいという特徴を有しており、高い画像濃度を実現するために非常に有用である。
(低分子修飾型自己分散顔料)
顔料表面に導入される親水性基としては、−COOM、−SOM、−POHM、−POなどが挙げられる。尚、式中「M」は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。本発明においては、アンモニウム又は有機アンモニウムの場合と比較して、インクの吐出安定性が良好となるため、「M」がリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属であることが好ましい。上記親水性基は、顔料表面に直接、又は、他の原子団(−R−)を介して結合していてもよい。他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換若しくは非置換のフェニレン基、又は、置換若しくは非置換のナフチレン基などが挙げられる。
(樹脂結合型自己分散顔料)
この分散方式で使用する樹脂は、インクジェット用のインクに従来から用いられているものをいずれも好ましく使用することができる。中でも、アクリル酸系樹脂が特に好ましい。顔料に結合する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000乃至12,000の範囲のものが好ましく、特には3,000乃至8,000の範囲のものが好ましい。また、樹脂はその酸価が50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の範囲のものが好ましい。特には、120mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の範囲のものが好ましい。
<ポリウレタン樹脂>
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットを有し、前記ポリウレタン樹脂が架橋構造を有しており、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。
本発明において「ポリウレタン樹脂が架橋構造を有する」こととは、ポリウレタン樹脂分子内部におけるウレタン化反応を三次元的に進行させて得られる三次元網目構造を有することを指す。つまり、ポリウレタン樹脂を構成の構造中に、3つ以上の反応性官能基を有する化合物に由来するユニットを少なくとも1種以上有する必要がある。3つ以上の反応性官能基を有する化合物としては、3官能以上のポリイソシアネート、3官能以上のポリオール及び3官能以上の鎖延長剤(3官能以上のポリアミンなど)が挙げられる。中でも、特に3官能以上のポリアミンを用いて架橋構造を形成することが好ましい。3官能以上のポリイソシアネート又は3官能以上のポリオールを用いた場合は、ウレタン結合が三次元的に生成し架橋構造を形成する。3官能以上のポリアミンを用いた場合は、尿素結合が三次元的に生成し架橋構造を形成する。尚、ウレタン結合同士、又は、ウレタン結合とポリオールの水酸基との間において生じる水素結合によって形成された三次元構造は、本発明における架橋構造ではない。また、二液反応型の架橋反応によって得られたポリウレタン樹脂は、架橋反応後にインクに添加されたものであれば本発明におけるポリウレタン樹脂に包含されるものであるが、記録媒体に付与された後に架橋反応するものは本発明における架橋構造にはあたらない。
本発明者らの検討により、あるポリウレタン樹脂が本発明における架橋構造を有しているか否かは、メチルエチルケトン(MEK)ゲル分率と、ポリウレタン樹脂の酸価の関係から判断できることが分かった。MEKゲル分率は、乾燥して得たポリウレタン樹脂フィルムをMEKによりソクスレー抽出した後の残存質量を抽出前の質量で除することで得られる。本発明者らが、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、エチレンジアミン(EDA)を用いた種々のポリウレタン樹脂について、酸価とMEKゲル分率の関係を検討したところ、図1のような結果が得られた。即ち、上記方法により求めたMEKゲル分率が下記式(1)を満たすポリウレタン樹脂は架橋構造を有すると判断することができることが分かった。
MEKゲル分率≧酸価×1.45−1.20 (1)
また、本発明においては、非コアシェル型構造のポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。ポリウレタン樹脂として、例えば、コア部に高堅牢性を達成できるウレタン樹脂を含み、シェル部にインクの吐出安定性などを向上できるアクリル/ウレタン樹脂を含むものを使用する場合を考える。このとき、吐出安定性を向上できるような高酸価の樹脂を使用すると、その酸価の高さに起因して、画像の耐擦過性及び耐マーカー性が低下する場合があることが確認された。
(ポリイソシアネート)
本発明において「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基を持つ化合物を指す。具体的に、本発明で用いられるポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどを挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明においては、上記ポリイソシアネートの中でも、特に、脂環族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。更に、脂環族ポリイソシアネートの中でも、イソホロンジイソシアネートを用いることがより好ましい。
また、ポリウレタン樹脂に架橋構造を付与するために、3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えばポリイソシアヌレート型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート又はビューレット型ポリイソシアネートのような各種のイソシアネートプレポリマーもポリイソシアネートとして好ましく使用することができる。前記した3官能以上のポリイソシアネートを用いる場合、3官能以上のポリイソシアネートに由来するユニットが占める割合が、全ポリイソシアネート化合物を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。5.0質量%未満の場合、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が小さい場合がある。また、90.0質量%より多い場合、ポリウレタン樹脂の膜物性が強靭になり、柔軟性が低くなるため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性、インクの吐出安定性の向上効果が小さい場合がある。
(2つ以上の水酸基を有する化合物)
ポリウレタン樹脂を合成する際に、上記ポリイソシアネートと反応してウレタン結合を形成する化合物として、2つ以上の水酸基を有する化合物を用いる。本発明者らは、画像の耐擦過性及び耐マーカー性、インクの吐出安定性の観点から、この2つ以上の水酸基を有する化合物種として、どの化学種が最適かを検討した。そこで、吐出安定性の低い顔料を含有するインクに、更に、2つ以上の水酸基を有する化合物が異なるポリウレタン樹脂3種をそれぞれ含有させたインクを比較検討した。前記2つ以上の水酸基を有する化合物が異なるポリウレタン樹脂としては、具体的に、ポリエーテルポリオールを導入したポリウレタン樹脂A、酸基を分子鎖内に含むポリオール(例えば、カルボン酸変性ポリカプロラクトンジオール)を導入したポリウレタン樹脂B、及び、ポリエーテルポリオールと酸基を有するジオール(例えば、ジメチロールプロピオン酸)を導入したポリウレタン樹脂Cを用いた。表1に3種のポリウレタン樹脂A〜Cの組成を示す。
Figure 2011144354
ポリウレタン樹脂Aと比較して、B及びCはいずれもインクの吐出安定性が向上した。しかし、ポリウレタン樹脂Bは、ポリウレタン樹脂Aと比較して、画像の耐擦過性及び耐マーカー性が著しく低下してしまうことが分かった。この理由は定かではないが、酸基を有するポリオールを導入することで、強靭性と柔軟性のバランスが崩れてしまったためと考えられる。一方、ポリウレタン樹脂Cは、ポリウレタン樹脂Aと比較して、画像の耐擦過性及び耐マーカー性が共に向上した。以上の検討から、ポリウレタン樹脂を合成する際に、ポリイソシアネートとウレタン結合を形成する2つ以上の水酸基を有する化合物として、酸基を有さないポリオールと酸基を有するジオールの両方を使用することが重要であるという知見を得た。
以上の検討の通り、本発明は、2つ以上の水酸基を有する化合物として、酸基を有さないポリオールと酸基を有するジオールの両方を使用することに特徴がある。即ち、酸基を有さないポリオールによってポリウレタン樹脂に強靭性と柔軟性を付与し画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上を達成し、更に酸基を有するジオールを本発明で規定した酸価に相当する量に制御して含有することで、インクの吐出安定性の向上をも達成するというものである。つまり、前述の通り、2つ以上の水酸基を有する化合物として、酸基を有するポリオールのみを加えた場合では、本発明の効果は得られない。以下、酸基を有さないポリオールと酸基を有するジオールについてそれぞれ説明をする。
(酸基を有さないポリオール)
本発明に用いられる酸基を有さないポリオールとしては、ポリエステルポリオールを用いたポリエステル系樹脂、ポリエーテルポリオールを用いたポリエーテル系樹脂、ポリカーボネートジオールを用いたポリカーボネート系樹脂、その他の酸基を有さないポリオールを用いた樹脂(例えば、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリチオエーテルなど)が挙げられる。また、これらの混合物を用いた樹脂のいずれも使用できる。本発明に用いられる酸基を有さないポリオールは炭素数が13以上250以下であることが好ましい。炭素数が13以上250以下であると、膜の柔軟性が適度となり、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が更に得られる。また、酸基を有さないポリオールのGPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。600未満であると、膜の柔軟性が低くなり、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が充分に得られない場合がある。また、4,000より高くなると、膜の柔軟性が高くなり過ぎてしまい、画像の耐擦過性及び耐マーカー性効果が充分に得られない場合がある。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、酸成分とポリアルキレングリコール、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとのエステルが挙げられる。ポリエステルポリオールを構成する酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などが挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、前記芳香族ジカルボン酸の水素添加物などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキル琥珀酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などが挙げられる。また、これらの酸成分の酸無水物、アルキルエステル若しくは酸ハライドなどの反応性誘導体などもポリエステルポリオールを構成する酸成分として用いることができる。更に、上記のポリエステルポリオールを構成する酸成分は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。前記2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどが挙げられる。前記3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコール、及び、アルキレンオキサイドと2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物が挙げられる。前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。前記2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどが挙げられる。前記3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどが挙げることができる。これらのポリエーテルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリカーボネートジオールとしては、1,6−ヘキサンジオールを基本骨格として有するものの他に、公知の方法で製造されるポリカーボネートジオールが使用できる。例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分又はホスゲンと、脂肪族ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。これらのポリカーボネートジオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
本発明においては、上記酸基を有さないポリオールの中でも、特に、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。ポリエーテルポリオールを用いることによってポリウレタン樹脂の柔軟性が適度に発現するため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上が見られる。更に、ポリエーテルポリオールは比較的親水性が高いため、インクの吐出安定性にも優れる。ポリエーテルポリオールの中でも、特にポリプロピレングリコールを用いることがより好ましい。本発明者らの検討によって、ポリプロピレングリコールを用いるとポリウレタン樹脂の親水性が向上し、インクの吐出安定性がより向上することが確認された。
また、ポリウレタン樹脂に架橋構造を付与するために、トリメチロールプロパンなどの3価以上の多価アルコールを架橋剤として更に添加することもできる。その場合、3価以上の多価アルコールに由来するユニットの占める割合が、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットの総質量を基準として、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。0.05質量%未満の場合、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が小さい場合がある。また、5.0質量%より多い場合、ポリウレタン樹脂の膜物性が強靭になり、柔軟性が低くなるため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性、インクの吐出安定性の向上効果が小さい場合がある。同様に、前記多価アルコールの使用量は、ポリウレタン樹脂を構成する水酸基を有する全化合物(多価アルコール、酸基を有さないポリオール、酸基を有するジオール)の総モル量を基準として、1モル%以上5モル%以下であることが好ましい。1モル%未満の場合、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が小さい場合がある。また、5モル%より多い場合、ポリウレタン樹脂の膜物性が強靭になり、柔軟性が低くなるため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性、インクの吐出安定性の向上効果が小さい場合がある。
(酸基を有するジオール)
本発明における「酸基を有するジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を分子内に有するジオールを指す。本発明に用いられる酸基を有するジオールは炭素数が1以上7以下であることが好ましい。酸基を有するジオールの炭素数が8以上の場合は、得られるポリウレタン樹脂が、ソフトセグメントに酸基を有する構造になりやすく、強靭性と柔軟性のバランスが崩れ、耐擦過性や耐マーカー性が十分に得られない場合がある。本発明に用いられる酸基を有するジオールとしては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。特にジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
(鎖延長剤)
鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニット中のウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。本発明のインク中に含有するポリウレタン樹脂を合成する際に使用することができる鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどが挙げられる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、ポリウレタン樹脂に架橋構造を付与するために、3官能以上の鎖延長剤を用いることができる。ポリウレタン樹脂に架橋構造を付与することができる鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが、挙げられる。上記架橋構造を付与することができる鎖延長剤の中でも、イソシアネート基との反応性に優れていることから3官能以上のポリアミンを用いることが好ましい。3官能以上のポリアミンの中でも特にジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミンを用いることが好ましい。ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンは、それぞれアミノ基が3つ又は4つであるため効率良く残存イソシアネート基と反応して架橋構造を形成し、更に適度に柔軟な分子構造を有しているためである。
3官能以上のポリアミンの使用量は、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で10%以上であることが好ましい。使用量が10%未満の場合、架橋による効果が小さいため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が小さい場合がある場合がある。特には、3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上であることがより好ましい。40%以上であることにより、ポリウレタン樹脂分子鎖中の架橋点が多くなり、その分、自己分散顔料との疎水性相互作用が働きやすくなる。その結果、顔料近傍にポリウレタン樹脂が存在しやすくなるため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性がより向上する。また、3官能以上のポリアミンの使用量の上限としては、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で85%以下であることが好ましい。使用量が85%より多い場合、架橋度が非常に高まることによって、ポリウレタン樹脂の膜が剛直になり、柔軟性が低くなるため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性、インクの吐出安定性の向上効果が小さい場合がある。
上記の3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上のポリウレタン樹脂であるか否かは、テトラヒドロフラン(THF)ゲル分率により、判断することが可能である。以下、判断方法を示す。MEKゲル分率により架橋構造を有すると判断されたポリウレタン樹脂分散体を乾燥して得たポリウレタン樹脂フィルムをTHFに浸漬し、23℃で24時間放置する。その後、THFに不溶分のポリウレタン樹脂フィルムの質量を量り取り、浸漬前の質量で除したTHFゲル分率を算出する。THFゲル分率が95%以上のものであれば、3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上のポリウレタン樹脂である、と判断することが可能である。ポリアミンで架橋されたか否かを直接的に解析することは困難であるが、本発明者らの検討によれば、ポリアミン以外の架橋剤により架橋された種々のポリウレタン樹脂を上記のTHFゲル分率により求めたところ、95%以上の値は得られないことが分かった。この要因として本発明者らは、イソシアネート基に対して、アミン基が最も反応性が高いことによると推測している。
(ポリウレタン樹脂の合成方法及び分析方法)
本発明におけるポリウレタン樹脂の合成方法は、従来、一般的に用いられている方法をいずれも用いることができる。例えば、以下の方法が挙げられる。ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、酸基を有するジオールをイソシアネート基が過剰になるような当量比で沸点が100℃以下である有機溶剤の存在下又は非存在下で反応させ、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する。その後、中和剤により、上記ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基及び/又はスルホニル基を中和する。ついで、この中和ウレタンプレポリマーを、鎖延長剤含有水溶液中に投入して反応させた後、系内に有機溶剤を含有する場合はそれを除去して得ることができる。
中和剤としては、特に制限されるものではないが、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアのような無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミンのような有機塩基が挙げられる。本発明に好適に用いられる中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属を含むものが好適に用いられる。本発明者らの検討によると、アルカリ金属を含む中和剤を使用することによって、アミン類を含む中和剤を使用したときと比較して、インクの吐出安定性が向上することが分かった。上記中和剤は、上記ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基及び/又はスルホニル基1molに対し、0.5〜1.0mol、より好ましくは0.8〜1.0mol用いることができる。上記範囲を超えると、得られた水分散体が不安定化したり、粘度が上昇したりすることで、作業性が低下する場合がある。
上記の架橋構造を有するポリウレタン樹脂を得る際に、必要に応じて有機溶剤を使用することが可能である。溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上の混合状態で用いることができる。溶剤の沸点は、水の沸点である100℃以下のものが好ましい。沸点が100℃を超える溶剤を用いるときは、最終的に得られるポリウレタン樹脂分散体中に溶剤が残存することがあるため、減圧脱溶剤などによる残存有機溶剤の除去をすること必要な場合がある。
得られたポリウレタン樹脂の組成、分子量、酸価に関しては、従来公知の方法により解析を行うことができる。即ち、インクを遠心分離し、その沈降物と上澄み液を調べることで解析することができる。顔料は有機溶剤に不溶であるため、ポリウレタン樹脂を溶剤抽出によって分離することもできる。インクの状態でも各解析は行うことができるが、ポリウレタン樹脂を抽出しておくと、精度がより高まる。具体的な手法としては、インクを80,000rpmで遠心分離し、その上澄み液を、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)で測定することで、ウレタン結合固有の吸収波長から、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオールの種類を容易に解析できる。また、上澄み液を塩酸などで酸析し、乾燥させた酸析物をクロロホルムなどに溶解し、核磁気共鳴法(NMR)により測定することで酸基を有さないポリオールの分子量を解析できる。また、ポリウレタン樹脂の酸価は滴定法により測定することができる。後述する実施例では、ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)を用いて、水酸化カリウムエタノール滴定液によって電位差滴定することで、測定することができる。また、ポリウレタン樹脂の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる。本発明におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)。
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として2.0質量%未満であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上2.0質量%未満である。0.1質量%未満であると、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が小さい場合がある。また、2.0質量%以上の場合、インクの吐出安定性の向上効果が小さい場合がある。インクには、本発明の効果を損なわない限り、上記ポリウレタン樹脂以外の樹脂を更に含有させてもよい。
前記ポリウレタン樹脂の含有量の好適な範囲(2.0質量%未満)に加えて、前記ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)が、前記自己分散顔料のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、質量比率で0.1倍以上0.9倍以下であることが好ましい。上記の質量比率で0.1倍未満の場合、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が充分でない場合がある。また、上記の質量比率で0.9倍より大きい場合、インクの吐出安定性の向上効果が充分でない場合がある。
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上60,000以下であることが好ましい。
<水性媒体>
本発明のインクには、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、アルキルエーテルアセテート類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。尚、25℃におけるインクの粘度は6cps以下であることが好ましく、例えば水性媒体の構成や含有量によって調整することができる。25℃におけるインクの粘度が6cpsより大きいと、インクの吐出安定性の向上効果が充分に得られない場合がある。
<その他の添加剤>
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体など、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。更に、本発明のインクは必要に応じて、上記ポリウレタン樹脂以外の樹脂、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有してもよい。ポリウレタン樹脂以外の樹脂を更に含有する場合、インク中における全ての樹脂の含有量の合計がインク全質量を基準として0.01質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
[インクカートリッジ]
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。更には、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、記録信号に応じて、インクジェット方式により記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であり、上記で説明した本発明のインクを使用するものである。本発明においては特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式のインクジェット記録方法が好ましい。尚、本発明における「記録」とは、光沢紙や普通紙などの記録媒体に対して本発明のインクを用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非吸液性の基材に対して本発明のインクを用いてプリントを行う態様を含む。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散体の調製>
(顔料分散体Aの調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れることで溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m/g、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌し、得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗した。これを110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散カーボンブラックを調製した。更に、得られた自己分散カーボンブラックに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C−(COONa)基が導入されてなる自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体を得た。その後、イオン交換法を用いて顔料分散体のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に−C−(COOK)基を導入した自己分散カーボンブラックが分散された顔料分散体Aを得た。
上記で調製した自己分散カーボンブラックのイオン性基密度を測定したところ、3.1μmol/mであった。イオン性基密度は、上記で調製した顔料分散体中のナトリウムイオン濃度をイオンメーター(東亜DKK製)を用いて測定し、その値から自己分散カーボンブラックのイオン性基密度に換算して求めた。
(顔料分散体Bの調製)
比表面積が220m/g、DBP吸油量が112mL/100gであるカーボンブラック500g、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン45g、蒸留水900gを反応器に入れ、温度55℃、回転数300rpmで20分間撹拌した。その後、25%の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加え、60℃で2時間反応させた。得られた反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分含有量が15.0%となるように調製した。更に、遠心分離処理及び精製処理を行い、不純物を除去して、分散液(1)を得た。分散液(1)中のカーボンブラックは、表面にアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホンの官能基が結合した状態であった。この分散液(1)中における、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を以下のようにして求めた。分散液(1)中のナトリウムイオン濃度を、プローブ式ナトリウム電極で測定し、得られた値をカーボンブラック粉末1mol当りに換算して、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めた。次に、分散液(1)をペンタエチレンヘキサミン溶液中に滴下した。この際、ペンタエチレンヘキサミン溶液を強力に撹拌しながら室温に保ち、1時間かけて分散液(1)を滴下した。このとき、ペンタエチレンヘキサミンの含有量は、先に測定したナトリウムイオンのモル数の1〜10倍とし、溶液の量は分散液(1)と同量とした。更に、この混合物を18乃至48時間撹拌した後、精製処理を行い、固形分含有量が10.0%の分散液(2)を得た。分散液(2)中のカーボンブラックは、表面にペンタエチレンヘキサミンが結合した状態であった。
次に、重量平均分子量が8,000、酸価が140mgKOH/g、多分散度Mw/Mn(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)が1.5であるスチレン−アクリル酸樹脂を190g秤量した。これに1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要な水酸化カリウムを加えて、撹拌して樹脂を溶解することで、スチレン−アクリル酸樹脂水溶液を調製した。次に、分散液(2)500gを、上記で得られたスチレン−アクリル酸樹脂水溶液中に撹拌下で滴下した。この分散液(2)及びスチレン−アクリル酸樹脂水溶液の混合物を蒸発皿に移し、150℃で15時間加熱して、乾燥させた後、乾燥物を室温に冷却した。
次いで、水酸化カリウムを用いてpHを9.0に調整した蒸留水に上記で得られた乾燥物を加えて、分散機を用いて分散し、更に撹拌下で1.0規定の水酸化カリウム水溶液を添加して、液体のpHを10乃至11に調整した。その後、脱塩、精製処理を行って不純物及び粗大粒子を除去した。上記の方法により、樹脂結合型自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体Bを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Bの固形分含有量は10.0%、pHは10.1であり、顔料の平均粒子径は130nmであった。
(顔料分散体Cの調製)
比表面積が210m/g、DBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック10部、酸価が200mgKOH/gで重量平均分子量が10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和した樹脂20部、水70部を混合した。この混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。上記の方法により、樹脂分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体Cを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Cの固形分含有量は10.0%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は120nmであった。
<ポリウレタン樹脂分散体の調製>
酸基を有さないポリオール(B部)をメチルエチルケトン中で充分撹拌溶解し、次いでポリイソシアネート(A部)、酸基を有するジオール(C部)、PU−11のみ更にトリメチロールプロパン2.0部を加え、75℃で1時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。次いで得られたウレタンプレポリマー溶液を60℃まで冷却して、水酸化カリウム水溶液を加え、カルボキシ基を中和した後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化した。乳化後、鎖延長剤(D部)を加え、鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂含有量20.0%、重量平均分子量30,000のポリウレタン樹脂分散体PU−1〜PU−19を得た。得られたポリウレタン樹脂分散体を用いて、上記の水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定によりポリウレタン樹脂の酸価を測定した。各ポリウレタン樹脂分散体の調製条件及び特性を表2に示す。
Figure 2011144354
<ゲル分率によるポリウレタン樹脂の架橋構造についての検証>
上記で得られたポリウレタン樹脂分散体PU−1〜19のMEKゲル分率を測定することにより、分子内に架橋構造を有しているかの検証を行った。まず、各ポリウレタン樹脂分散体をシャーレに量り取り、35℃の環境で放置し、ポリウレタン樹脂フィルムを作成した。次に、得られたフィルムをソクスレー抽出に用いる濾紙に設置し、MEKによりソクスレー抽出を行った。抽出後の濾紙に残存したフィルムの質量を測定し、抽出前のフィルムの質量で除することによって、MEKゲル分率を算出した。その後、MEKゲル分率の値が上記式(1)を満たすものかどうかを計算し、架橋構造を有するポリウレタン樹脂かどうかの判断を行った。その結果、PU−14とPU−19以外は、架橋構造を有するポリウレタン樹脂であることが確認できた。表3に代表的なポリウレタン樹脂分散体に関して、架橋構造の有無の検証結果を示す。
Figure 2011144354
次に、上記で架橋構造を有するポリウレタン樹脂であると判定したポリウレタン樹脂分散体PU−1〜9、12〜13、15〜18について、THFゲル分率を測定した。この結果より、3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上であるポリウレタン樹脂であるか否かの検証を行った。まず、各ポリウレタン樹脂分散体をシャーレに量り取り、35℃の環境で放置し、ポリウレタン樹脂フィルムを作成した。次に、得られたフィルムをTHFに浸漬し、23℃で24時間放置後にTHFに不溶分のポリウレタン樹脂フィルムの質量を量り取り、浸漬前の質量で除したTHFゲル分率を算出し、表2に示した。THFゲル分率が95%以上であるものを、3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上であるポリウレタン樹脂と判断した。その結果、架橋構造を有するポリウレタン樹脂のうち、PU−13以外が、3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上であるポリウレタン樹脂であることが確認できた。
<インクの調製>
下記表4〜表6に示した各成分を混合し、充分に撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。実施例1〜20の各インクの25℃における粘度は、いずれも6cps以下であった。尚、表中、Cab−O−Jet400はキャボット製の自己分散顔料(顔料の含有量は15.0%)である。また、アセチレノールE−100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
Figure 2011144354
Figure 2011144354
Figure 2011144354
また、以下の方法でポリウレタン樹脂分散体PU−20〜PU−27を調製し、比較例11〜18のインクを調製した。
(比較例11)
ポリカーボネート/ポリエステルジオール(Desmophen VPLS2391;バイエル製)をアセトン及びジブチル錫ジラウレート(触媒)と一緒に反応器に加え、混合物を40℃に加熱した。これにIPDIを60分かけて添加し、アセトンリンスがこれに続いた。反応の間は、温度を52℃未満に維持した。プレポリマーのNCO値を滴定によって測定した。IPDI供給が行われた30分後に、DMPA、トリエチルアミン(TEA)及びアセトンリンス(10.3g)を加え、イソシアネート過剰と反応させた。反応は約60分で完了した(NCO滴定)。相反転のために1364.7g脱イオン水を10分かけて加えた。これに、6.25%EDA水溶液の添加と水リンス(34.5g)とが直ちに続いた。分散体を50℃で更に2時間撹拌した。40%固形分分散体を得るためにアセトンを減圧蒸留し、固形分20%のポリウレタン樹脂PU−20(酸価31.55mgKOH/g)を得た。
その後、NIPex180(デグッサ製)6.5%、グリセロール8.3%、エチレングリコール9%、1,2−ヘキサンジオール7.5%、EDTA3%、サーホニル485(エトキシル化非イオン界面活性剤;エア・プロダクツ製)1.2%、PU−20(固形分)2%、更に計100%となるように水を加えてインクを調製した。
(比較例12)
滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、及び撹拌機を備えた反応容器にイオン交換水100部を入れ、撹拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過硫酸カリウムを0.2部添加した。イオン交換水7部に、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部、スチレン15部、TDI、1,5−ペンタンジオールよりなるウレタンプレポリマー1部、ブチルメタクリレート15部及びt−ドデシルメルカプタン0.02を混合して得たモノマー溶液を、70℃で容器に滴下して反応させ、一次物質を作成した。この一次物質に、過硫酸アンモニウム10%溶液2部を添加して撹拌した。更にイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリウム0.2部、スチレン30部、アクリルアミド1部、ブチルメタクリレート15部、ジベンタエリスリトールヘキサメタクリレート1部、t−ドデシルメルカプタン0.6部よりなる反応液を70℃で撹拌しながら反応容器に添加して重合反応させた。その後反応液をアンモニアで中和してpH8.0〜8.5とし、0.3μmのフィルターでろ過して、樹脂エマルションを得た。上記で得られた樹脂エマルションは、コアシェル型構造を有する。コア部は、ウレタン結合を有する樹脂(PU−21)とスチレンとアクリル酸との共重合体との混合物からなり、これら樹脂は架橋された構造を有する。一方、シェル部は、メタクリレートとアクリルアミドとを重合させて表面にメタアクリル酸のカルボキシ基とアクリルアミドのアミド基を有する樹脂からなる。
上記樹脂エマルションを用いて以下の比較例12のインクを得た。マイクロジェットCW1(オリエント化学製)7.0%、サーフィノール104(日信化学工業製)0.2%、サーフィノール465(日信化学工業製)1.2%、樹脂エマルション2.5%、1,5−ペンタンジオール5.0%、グリセリン15.0%、ジエチレングリコール5.0%、チオジグリコール5.0%、2−ピロリドン1.0%、トリエタノールアミン2.5%、水酸化カリウム0.01%、更に計100%となるように水を加えてインクを調製した。
(比較例13)
2,2−ジメチロールプロピオン酸65部と、ポリエステルポリオール(数平均分子量:2,000)326部とメチルエチルケトン500部とをフラスコに仕込み、窒素シール下に撹拌しながら50℃まで昇温した。これにIPDI109部を投入した後、80℃まで昇温し、2時間反応させた。赤外吸収線スペクトル分析で、イソシアネート基が無くなったことを確認し、不揮発分が80%、溶液の酸価が26mgKOH/g、溶液の水酸基価26mgKOH/gで、25℃におけるガードナー粘度がZ6であるポリウレタン樹脂PU−22を得た。次に、PU−22の700部、ラーベン5000(コロンビヤンカーボン製カーボンブラック)87部、メチルエチルケトン213部を3本ロールで1分間分散させた後、取り出した。これを3回繰り返した。
次に、上記で得た分散液を67部、PU−22を136部、トリエチルアミンを11部、バーノック DN−901S(DIC製、ヘキサメチレンジイソシアネートヌレート型ポリイソシアネート樹脂;固形分換算イソシアネート基濃度17.7%)47.6部、ジブチル錫ジラウレート0.2部、メチルエチルケトン140部を均一に混合し、有機相を得た。この有機相を撹拌機により良く撹拌されている水の570部との水相に徐々に投入し、黒色の分散体が得た。次いで、この分散体に、水24部とジエチレントリアミン4.2部との水溶液を徐々に投入し、30分そのまま撹拌し、更に80℃に1時間保持した後、同温度で減圧蒸留して分散液中に含有されているメチルエチルケトンなどを除去せしめた。得られた微粒子分散体は、不揮発分25%であった。孔径1.0μmのミリポアフィルターを通した上記微粒子分散体60部に、グリセリン20部と水20部とを配合し、撹拌混合してインクを調製した。
(比較例14)
2,2−ジメチロールプロピオン酸62部と、IPDI156部と、酢酸エチル200部とをフラスコに仕込み、窒素シール下に撹拌しながら80℃まで昇温、同温度に4時間保持した。そして、イソシアネート基含有率の減少が認められなくなった後に、50℃に降温し、プラクセル212(ダイセル化学工業製、ポリカプロラクトンジオール;数平均分子量=1,250)の582部を投入し、80℃で2時間反応した。赤外吸収線スペクトル分析で、イソシアネート基が無くなったことを確認し、不揮発分が80%、溶液の酸価が26mgKOH/g、溶液の水酸基価26mgKOH/gで、25℃におけるガードナー粘度がZ6であるポリウレタン樹脂PU−23を得た。
次に、C.I.ソルベントブラック43(保土谷化学工業製)18.8部をメチルエチルケトンの136部に溶解させた後、PU−23の146部とトリエチルアミンの7.5部を混合し、更に「バーノック DN−980S」(DIC製のヘキサメチレンジイソシアネートを用いて得られるイソシアヌレート型ポリイソシアネート樹脂;イソシアネート基濃度=21.0%)の41部、及びジブチル錫ジラウレートの0.1部とを混合し有機相を得た。この有機相を撹拌機により良く撹拌されている水の628部からなる水相に徐々に投入し分散体を得た。次いで、水31部とジエチレントリアミン3.5部との水溶液を徐々に投入し、30分そのまま撹拌し、更に80℃に1時間保持した後、同温度で減圧蒸留して分散液中に含有されているメチルエチルケトンなどを除去せしめた。得られた微粒子分散体は、不揮発分25%であった。孔径1.0μmのミリポアフィルターを通した上記微粒子分散体60部に、グリセリン20部と水20部とを配合し、撹拌混合してインクを調製した。
(比較例15)
反応容器に、プラクセル212)の186.9部及びIPDIの100.0部を仕込んだ。これを撹拌しながら、110℃に加熱した。1時間後、80℃まで冷却し、DMPAの20.1部、ジブチル錫ジラウレートの0.3部及び酢酸エチルの76.8部を加え、80℃で2時間反応させた。ここに、バーノック DN−980S(大日本インキ化学工業製、HDIをビュレット化したポリイソシアネート、NCO含量20%)の16.2部とMEKの408部を加えた。このときのNCO基含有量は固形分換算で4.9%であった。
これを30℃以下まで冷却し、TEAの15.2部を加え、次いでイオン交換水の1293部を加えてO/W型のエマルションを得た。続いてDETA5%水溶液の234部を徐々に加え、加え終わった後60℃に昇温して30分撹拌を続けた。次いで、減圧下において、蒸留を行い、溶剤と水の一部を除去せしめた。このものは、やや乳白色を呈する半透明液体であり、少量を試験管に取ってTHFを加えると濁りを呈し、架橋して不溶解になっていることを示した。不揮発分35.6%で、粘度が340cpsで、pHが7.7であった。これをポリウレタン樹脂PU−24とする。
次に、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボアミドのカップラー液と3−アミノ−4−メトキシベンズアニリドのジアゾ液とをカップリング反応させ、pHが12の紅顔料スラリーを得た。次に、この紅顔料スラリーを5%塩酸でpHを9に調整しPU−24の16.9部を添加混合し、1時間撹拌後、pHが5以下になるまで5%塩酸を徐々に添加すると、顔料/樹脂の混合物が析出沈澱した。沈澱物を濾過、水洗し、顔料10部、樹脂6部、水25.7部からなる顔料/樹脂混合ウェットケーキ41.7部を得た。次に、得られた顔料/樹脂混合ウェットケーキ41.7部にイソプロピルアルコール10部、28%アンモニア水0.4部を加え、これをホモディスパー撹拌機で撹拌させ、析出した樹脂を再分散させることによってインクを得た。
(比較例16)
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管を設置した4つ口フラスコに、98gのプラクセル205BA(ダイセル化学工業製、カルボン酸変性ポリカプロラクトンジオール)、9gのTMP、120gのMEK、及び0.54gの1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを投入した。プラクセル205BAは、ジメチロールブタン酸をラクトン変性したカルボン酸変性ポリカプロラクトンジオールである。プラクセル205BAの酸価は110mgKOH/g、重量平均分子量は500、水酸基価は220mgKOH/gである。プラクセル205BA、TMP、MEK及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを30分間撹拌後、73gのIPDIを4つ口フラスコに投入し、室温で1時間窒素雰囲気下で撹拌後、70℃に昇温し70℃で4時間反応を行った。反応後、室温まで冷却し、濃度が60%であるウレタンプレポリマー溶液1を得た。17.7gの50%水酸化カリウム水溶液と350gのイオン交換水を四つ口フラスコ中に投入し、250gのウレタンプレポリマー溶液1とともに室温で30分間撹拌した。窒素雰囲気下で80℃に昇温後、80℃で2時間鎖延長反応を行った。反応後、ロータリーエバポレーターとアスピレーターを用いてMEKと一部の水を除去した後、回収量が429gになるようにイオン交換水を添加し、ポリウレタン樹脂濃度35%の中和剤含有水溶液(ポリウレタン樹脂PU−25)を得た。ポリウレタン樹脂PU−25における水酸基を有する全化合物中の酸基を有するポリオールの含有量は75モル%であり、水酸基を3個有する化合物の含有量は25モル%であった。また、得られたポリウレタン樹脂PU−25の酸価は74mgKOH/g、重量平均分子量は38,000であった。
カーボンブラック(三菱化学製MA−100)3kgを水10kgに混合した後、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12%)4.5kgに投入し、100〜105℃で10時間撹拌し、得られた生成物をろ過した。乾燥して得られたウェット結晶を水で洗浄した後、80℃で乾燥し、2.5kgの酸化処理カーボンブラックを得た。次に、酸化処理カーボンブラックとイオン交換水を混合しスラリーを調製した。調製したスラリーはポリメチルメタクリレート透析モジュール(東レ製、フィルトライザーB3−20A)を用いて透析を行った後に乾燥して、酸化処理カーボンブラック中のナトリウムイオンと塩素イオンの除去を行い、酸化処理カーボンブラック透析物を得た。120gの酸化処理カーボンブラック透析物、180gのトリエチレングリコールモノブチルエーテル、700gのイオン交換水と混合しホモディスパーで撹拌してスラリーを調製した。スラリーを入れたビーカーを循環式ビーズミル分散機(ウイリー・エ・バッコーフェン製、ダイノーミルKDL−A)とチューブでつなぎ、メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して1,600rpmで分散処理を3時間継続して水性ブラック顔料分散液を得た。41.7gの水性ブラック顔料分散液に、0.7gの50%水酸化カリウム水溶液、0.5gのイオン交換水及び7.1gのポリウレタン樹脂PU−25(ポリウレタン樹脂の含有量:35%)を加え、水性ブラック顔料分散液(顔料の含有量:10%、ポリウレタン樹脂の含有量:5%)を調製した。次いで、17.5gの水性ブラック顔料分散液に、25.8gのイオン交換水、3.5gのグリセリン、1.7gの2−ピロリドン、1.5gのエチレングリコールを加えインク(顔料の含有量:3.5%、ポリウレタン樹脂の含有量:1.75%)を調製した。
(比較例17)
比較例16と同様にして、102gのプラクセル205BA、7gのTMP、71gのIPDI、120gのMEK、及び0.54gの1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを用いて濃度が60%であるウレタンプレポリマー溶液を得た。
18.4gの50%水酸化カリウム水溶液と350gのイオン交換水を四つ口フラスコ中に投入し、250gのウレタンプレポリマー溶液と共に室温で30分間撹拌した。比較例16と同様にして、鎖延長反応、MEK及び一部の水の除去、イオン交換水の添加を行い、ポリウレタン樹脂濃度35%の中和剤含有水溶液(ポリウレタン樹脂PU−26)を得た。ポリウレタン樹脂PU−26における水酸基を有する全化合物中の酸基を有するポリオールの含有量は80モル%であり、水酸基を3個有する化合物の含有量は20モル%であった。また、得られたポリウレタン樹脂PU−26の酸価は76mgKOH/g、重量平均分子量は32,000であった。得られたポリウレタン樹脂PU−26と比較例16で得られた水性顔料分散液を用いて、比較例16と同様の方法でインク(顔料の含有量:3.5%、ポリウレタン樹脂の含有量:1.75%)を調製した。
(比較例18)
添加漏斗、コンデンサー、スターラーおよび窒素ガスラインが装着された無アルカリ無酸の乾燥フラスコに699.2gのデスモフェンC200、280.0gのアセトンおよび0.06gのDBTLを添加した。内容物を40℃に加熱し、充分に混合した。その後、添加漏斗を経由して40℃で60分にわたり189.14gのIPDIをフラスコに添加した。15.5gのアセトンにより一切の残留IPDIを添加漏斗からフラスコ中にリンスした。フラスコの温度を50℃に上げ、約30分にわたり保持した。添加漏斗を経由して44.57gのDMPA、その後、25.2gのTEAをフラスコに添加した。その後、添加漏斗を15.5gのアセトンでリンスした。その後、NCO%が1.14%以下になるまでフラスコの温度を再び50℃に上げた。温度が50℃で、1498.0gの脱イオン(DI)水を10分にわたり添加し、その後、添加漏斗を経由して97.5gのEDA(水中6.25%溶液として)と29.7gのTETA(水中6.25%溶液として)の混合物を5分にわたり添加した。その後、添加漏斗を80.0gの水でリンスした。混合物を50℃で1時間にわたり保持し、その後、室温に冷却した。アセトン(31.0g)を真空下で除去し、約35.0%固形分を有するポリウレタンの最終分散体を残した。ポリウレタン分散体に関して、架橋をTETAによって達成した。以上より、酸価40mgKOH/g、粘度66cps、固形分35.2%、pH7.48、平均粒径65nm、THF不溶分5%のポリウレタン樹脂PU−27分散体を得た。
以下の原料を充分に混合することによりブラック分散液を調製した。(i)210.4部の脱イオン水、(ii)80.3部の41.5%(固体)アニオン高分子分散剤および(iii)9.24部のジメチルエタノールアミン。アニオンポリマー分散剤は、米国特許出願公開第20030128246号明細書の「分散剤1の調製」により調製されたグラフトコポリマー66.3/−g−4.2/29.5POEA/−g−ETEGMA/MAAであった。モノマーの比を調節して、刊行物で示された61.6/5.8/32.6の比の代わりに66.2/4.2/29.5を得た。これに100部のブラック顔料(ニペックス180IQ、デグッサ)を徐々に添加した。顔料を導入した後、100部の脱イオン水を混合して入れて、ミルベースを形成し、それを粉砕のために媒体ミルを通して循環した。その後、55.4部の脱イオン水を希釈のために添加した。得られた15%分散液は、8.60cpsの粘度(ブルックフィールド粘度計、20℃)、約7.5のpH及び92nmの中央粒度の特性を有していた。
次に、上記で得たブラック分散液4.25%、ポリウレタン樹脂分散体:11%、ジプロピレングリコールメチルエーテル:3%、グリセロール:8%、エチレングリコール:11%、サーフィノール104E:0.2%、シルウェットL77:0.2%、更に計100%となるように水を加えてインクを調製した。
<評価>
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、Cは許容できないレベルとした。
(動的粘弾性)
上記で調製した各インクを、フィルム化したときの膜厚が0.3mm〜0.5mmになるように剥離紙上に塗布し、60℃の乾燥機中に1晩放置しフィルムを得た。次に、ダンベル型にフィルムを切断し、以下の条件にて動的粘弾性を測定し、得られた温度−貯蔵弾性率E’の曲線から屈曲点を求め、そのときの温度をガラス転移温度とした。
・測定装置:EXSTAR6000 DMS(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)
・圧縮刺激:(荷重制御 静荷重約200mN、ひずみ振幅10.0μm、正弦波)
・温度プログラム:20℃から−100℃まで5℃/分で降温させ、5分間ホールドする。次に、−100℃から200℃まで2℃/分で昇温させる。
・周波数:0.5,1.0,2.0,5.0,10.0Hz
その結果、実施例1〜19のインクから作成したフィルムにおいては、50℃以下の領域及び50℃以上の領域において各々ガラス転移温度に由来するピークを観測した。一方で、比較例1〜18のインクから作成したフィルムにおいては、測定温度領域において観測されたガラス転移温度に由来するピークは1つ、又はピークが観測されなかった。
(画像濃度)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)、PPC用紙4024(ゼロックス製)、PPC用紙ブライトホワイト(ヒューレッドパッカード製)、PPC用紙ハンマーミルジェットプリント(インターナショナルペーパー製)の4種類の記録媒体に対して、2cm×2cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を印刷した。このときの記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%、1滴あたりの吐出量:28ng±10%以内とした。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600dpi×1/600dpiの単位領域に約28ngのインクを1滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。得られたベタ画像を1日放置した後、反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を用いて画像濃度を測定し、評価を行った。画像濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表7〜10に示す。
AA:4種類の記録媒体の画像濃度の平均が1.45以上であった
A:4種類の記録媒体の画像濃度の平均が1.4以上1.45未満であった
B:4種類の記録媒体の画像濃度の平均が1.3以上1.4未満であった
C:4種類の記録媒体の画像濃度の平均が1.3未満であった。
(耐擦過性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に対して、1インチ×0.5インチのブラックのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を印刷した。得られたベタ画像の上に、シルボン紙及び面圧40g/cmの分銅を置き、ベタ画像とシルボン紙を擦り合わせた。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像の汚れ具合やシルボン紙の白地部への転写を目視により観察した。尚、上記評価は記録後10分後、及び1日後に別々のベタ画像を用いて行った。画像の耐擦過性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表7〜10に示す。
AA:10分後及び1日後において白地部の汚れが見られなかった
A:10分後において白地部の汚れが若干見られるが、1日後は白地部の汚れが見られなかった
B:10分後において白地部の汚れが見られるが目立たないレベルであり、1日後は白地部の汚れが見られなかった
C:10分後及び1日後において白地部の汚れが見られた。
(耐マーカー性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に対して、太さ1/10インチの縦罫線を記録した。得られた記録物上の縦罫線部に黄色ラインマーカー・OPTEX2(ゼブラ製)を用いてマーキングし、その後すぐに記録物上の白地部にマーキングし、マーカーのペン先の汚染及び白地部のマーキングの汚れを確認した。尚、上記評価は記録後5分後、及び1日後にそれぞれ行った。耐マーカー性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表7〜10に示す。
AA:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染がなく、白地部へマーキングしても汚れが発生しなかった
A:5分後において、マーカーのペン先に少し着色の汚染があるが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった。1日後においてはペン先に着色の汚染がなく、マーキングしても汚れが発生しなかった
B:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に少し着色の汚染があるが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった
C:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染があり、白地部へマーキングすると汚れが見られた。
(インクの吐出安定性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、A4サイズのPPC用紙GF−500(キヤノン製)に対して、19cm×26cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を、10枚印刷した。このときの5枚目及び10枚目のベタ画像の記録物を目視で観察することにより、インクの吐出安定性を評価した。インクの吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表7〜10に示す。
AA:5枚目及び10枚目において、白スジやカスレが見られなかった
A:5枚目においては白スジやカスレが見られないが、10枚目において、僅かに白スジやカスレが見られるが、ほとんど気にならないレベルであった
B:5枚目においては白スジやカスレが見られないが、10枚目において、白スジやカスレがあるが、許容できるレベルであった
C:5枚目及び10枚目において、白スジやカスレが見られた。
Figure 2011144354
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Claims (10)

  1. 自己分散顔料及びポリウレタン樹脂を含有するインクジェット用インクであって、
    前記ポリウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットを有し、前記ポリウレタン樹脂が架橋構造を有しており、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記酸基を有するジオールが、ジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸の少なくともいずれかである請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記ポリウレタン樹脂が、3官能以上のポリアミンにより架橋されたものである請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記3官能以上のポリアミンが、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンの少なくともいずれかである請求項3に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記3官能以上のポリアミンの使用量が、ウレタンプレポリマーにおける残存イソシアネート基を基準として、モル換算で40%以上である請求項3又は4に記載のインクジェット用インク。
  6. 前記酸基を有さないポリオールが、ポリエーテルポリオールである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  7. 前記ポリエーテルポリオールが、ポリプロピレングリコールである請求項6に記載のインクジェット用インク。
  8. 前記インク中の前記ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として2.0質量%未満であり、かつ、前記ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)が前記自己分散顔料のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、質量比率で0.1倍以上0.9倍以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  9. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  10. インクをインクジェット方式で吐出する工程を有するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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