JP2013253237A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクの吐出安定性、得られる画像の光学濃度及び堅牢性を高いレベルで両立するインクを提供すること。
【解決手段】 熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法に用いられるインクであって、前記インクが自己分散カーボンブラック、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂、及びポリエチレングリコールを含有することを特徴とするインク。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インク、かかるインクを有するインクカートリッジ、及びかかるインクを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置は画質や記録速度の向上に伴い、ビジネス分野で使用される機会が増加している。ビジネス分野に用いられるインクジェット用インクに求められる性能としては、インクの信頼性(吐出安定性など)、画質(高画像濃度、耐フェザリング性など)及び画像の堅牢性(耐擦過性、耐マーカー性、耐水性など)が挙げられる。これらの性能のうち、画像の光学濃度を向上するために樹脂分散顔料より自己分散顔料を用い、更に、画像の耐マーカー性を向上するためにポリウレタン樹脂を含有するインクが検討されている(特許文献1)。特許文献1には、酸基を有するポリウレタン樹脂と自己分散顔料を含有する水性インクジェットインクによって、画像の耐マーカー性が改善することが記載されている。
一方、特許文献2には、自己分散顔料、樹脂微粒子、及びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック型高分子界面活性剤を含有するインクにより、画像の光沢度や堅牢性、インクの保存安定性や吐出安定性が改善することが記載されている。
特表2005−515289号公報 特開2004−010870号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、上記特許文献1に記載のインクを、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドから吐出させるインクジェット記録方法に用いたところ、画像の耐マーカー性は高いが、ポリウレタン樹脂の酸価が20〜30mgKOH/gと低いため、十分なインクの吐出安定性が得られないことが分かった。そこで、親水性がある程度高いポリウレタン樹脂として、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂を用いて検討を行ったところ、インクの吐出安定性が改善され、画像の耐マーカー性と両立することができた。
また、本発明者らが、ビジネス分野で求められるような高画質の画像を得るために、顔料の分散方式や種類について種々検討を行ったところ、自己分散カーボンブラックを用いることが重要であることが分かった。
次いで、本発明者らは、高画質の画像が得られるような自己分散カーボンブラック、及び、画像の耐マーカー性を向上するような酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂を含有するインクを、ビジネス分野で求められるような速い記録速度で検討を行ったところ、記録物にスジが見られたり、罫線の画像が歪んだりする現象が確認され、インクの吐出安定性が低下した。
一方、特許文献2に記載のインクは、インクの吐出安定性は改善されてはいるものの、要求されるレベルを満足するまでには至っていないことが分かった。また、画像の光学濃度が低かった。
したがって、本発明の目的は、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法で、高速で記録を行った場合でも、高いインクの吐出安定性を有し、かつ、得られる画像の光学濃度及び堅牢性を高いレベルで両立するインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記本発明のインクを有するインクカートリッジ及び上記本発明のインクを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクは、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法に用いられるインクであって、前記インクが自己分散カーボンブラック、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂、及びポリエチレングリコールを含有することを特徴とする。
本発明によれば、インクの吐出安定性、得られる画像の光学濃度及び堅牢性を高いレベルで両立するインクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。 ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らはまず、自己分散カーボンブラック及び酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂を含有するインクを、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法(以下、「サーマルインクジェット記録方法」ともいう)で、速い記録速度で記録を行った場合に、インクの吐出安定性が低くなった原因について、検討を行った。
本発明者らが、自己分散カーボンブラック及び酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂を含有するインクを、サーマルインクジェット記録方法で速い記録速度で記録を行った後の、記録ヘッドのヒーターボードを光学顕微鏡で観察したところ、顔料及びポリウレタン樹脂の分解物が堆積していることが分かった。この付着物は通常の記録速度で記録を行う場合にも発生し得るが、速い記録速度で記録を行った場合にのみ、インクの吐出速度の低下を引き起こすことが分かった。このメカニズムを以下に示す。
インク滴の吐出方向は、インク滴の吐出速度と、記録速度、即ち、キャリッジの移動速度に影響を受ける。インク滴の吐出速度が十分に速ければ、キャリッジの移動速度から受ける影響は無視できるほどに小さくなるため、インク滴は吐出口面に対する垂直方向に吐出される。しかしながら、インク滴の吐出速度が遅い場合は、キャリッジの移動速度の影響を受け、インク滴の吐出方向は吐出口面に対する垂直方向からずれてしまう。上述の通り、顔料及びポリウレタン樹脂がヒーターボードに堆積すると、インクを吐出する際のエネルギーが弱まり、インク滴の吐出速度が低下してしまう。そのため、従来よりも速いキャリッジの移動速度で記録を行った場合は、インク滴の吐出方向が意図した方向からずれてしまう現象が顕著になり、記録物にスジが見られたり、罫線の画像が歪んだりする現象として認識される。
次に本発明者らは、ヒーターボードに堆積物が発生する原因及び解決方法について、以下の方法で検討を行った。
本発明者らは、樹脂(酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂、酸価が40mgKOH/g以上のアクリル樹脂)及び顔料(自己分散カーボンブラック、自己分散有機顔料)を表1に示す組合せで含有する、インクA〜Eを調製した。そして、これらのインクをインクカートリッジに充填し、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドから吐出させるインクジェット記録装置であるPIXUS iP3100(キヤノン製)をキャリッジの移動速度が2倍となるように改造したものに装着し、記録媒体に画像を記録した。そして画像の記録後に、記録ヘッドのヒーターボードを光学顕微鏡によって観察した。
インクA〜Cについては、以下の結果となった。インクAの場合、ヒーターボードには、ポリウレタン樹脂の分解物は確認されなかった。インクBの場合、ヒーターボードには、カーボンブラックの付着物は存在してはいるものの、記録物にスジが見られたり、罫線の画像が歪んだりする現象は確認されなかった。一方、インクCの場合、ヒーターボードには、カーボンブラックの堆積物だけでなくポリウレタン樹脂の堆積物も確認された。更に、インクBと比較して、ヒーターボードに存在するカーボンブラックの量が多かった。本発明者らは、このように各インクで記録ヘッドのヒーターボードにおける付着物・堆積物やインクの吐出安定性に差が生じる理由について以下のように推測している。
自己分散カーボンブラックを含有するインクに熱エネルギーが加えられた際に、熱分解温度が非常に高いカーボンブラック自体は分解しないが、カーボンブラックの分散に寄与している親水性基を有する化合物の一部が分解してしまうため、カーボンブラックは親水性を失い、ヒーターボードに付着する。その後も、インクを吐出するたびに、親水性を失ったカーボンブラックが発生する。このとき、インクBの場合は、親水性を失ったカーボンブラックは、ヒーターボードに付着したカーボンブラック上にそれ以上堆積することなく、インクと共に吐出される。これは、インクBにおいて、カーボンブラック同士の密着力は、ヒーターボードとカーボンブラックの密着力程強くないためであると考えられる。したがって、インクBの場合は、ヒーターボードの表面にのみカーボンブラックが付着するものの、それ以上、堆積されることはなく、インク滴の吐出速度にも大きな影響を与えないため、インクの吐出安定性が低下しない。
インクCの場合、親水性を失ったカーボンブラックは、インクと共に吐出されず、ヒーターボードに付着したカーボンブラック上に堆積してしまうことが分かった。これは、カーボンブラックの表面に吸着して存在するポリウレタン樹脂によって、カーボンブラック同士の密着力が高まることが原因であると考えられる。以上のようにして堆積したカーボンブラック及びポリウレタン樹脂によって、インク滴の吐出速度の低下が発生し、インクの吐出安定性が低下すると考えられる。
一方、インクD及びEについては、以下の結果となった。インクDの場合、インクBと同様に、ヒーターボードの表面にカーボンブラックの付着物が確認されたが、アクリル樹脂の分解物は確認されなかった。インクEの場合は、インクAと同様にヒーターボードには顔料及びポリウレタン樹脂の付着物や堆積物は確認されなかった。そのため、インクD及びEにおいては、記録物にスジが見られたり、罫線の画像が歪んだりする現象は確認されなかった。
インクDは、カーボンブラックを含有するため、上述の通り、親水性を失ったカーボンブラックがヒーターボードに付着する。インクDにおいても、アクリル樹脂はカーボンブラックの表面に吸着して存在するが、インクCにおけるポリウレタン樹脂のようにカーボンブラック同士を密着させる働きが強くない。この違いは、樹脂の持つ粘性の差によると考えられる。ポリウレタン樹脂は水素原子と窒素原子間の水素結合によって、分子間相互作用が強いため、アクリル樹脂と比較して粘性が高い。以上の結果、インクDにおいては、親水性を失ったカーボンブラックは、ヒーターボードに付着したカーボンブラックにそれ以上堆積することなく、インクと共に吐出される。
インクEは、有機顔料を含有する。有機顔料は、熱分解温度がカーボンブラックと比べて低いため、インクに熱エネルギーが加えられた際に一部が分解されてしまう。分解された有機顔料は非常に小さいため、インク滴と共に吐出されてしまい、記録ヘッドのヒーターボードに付着すらしない。
以上の結果から、インクCのように、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂と自己分散カーボンブラックを共に含有するインクをサーマルインクジェット記録方法によって吐出した場合に、インクの吐出安定性が低下するという技術課題が発生することが分かった。
次いで本発明者らは、特許文献2を参考に、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂と自己分散カーボンブラックを共に含有するインクに、更にエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック型高分子界面活性剤を使用したが、上述の通り、インクの吐出安定性は大きくは改善しなかった。更に、カーボンブラックに多くの高分子界面活性剤が吸着することで、記録媒体におけるカーボンブラックの凝集性が低下し、画像の光学濃度が低くなった。
そこで、本発明者らが、ポリウレタン樹脂を用いることによる画像の堅牢性が高く、更に、インクの吐出安定性及び画像の光学濃度に優れたインクについて検討を行った結果、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂と自己分散カーボンブラックを共に含有するインクに、更にポリエチレングリコールを含有する、という本発明の構成に至った。この構成により、効果が得られるメカニズムを以下に詳述する。
上述の通り、ポリウレタン樹脂は、水素原子と窒素原子間の水素結合による分子間相互作用が強いため、粘性が非常に高く、この粘性により記録ヘッドのヒーター面に付着した自己分散カーボンブラック同士を密着させることで、上記インクの吐出安定性の低下という技術課題を引き起こす。
上述の通り、ポリウレタン樹脂は、高い粘性によりカーボンブラック同士を密着させ、ヒーターボードに堆積させることで、インクの吐出安定性の低下という技術課題を引き起こす。本発明者らが検討したところ、このようなインクにポリエチレングリコールを更に含有すると、上記ポリウレタン樹脂によるカーボンブラックの密着作用が弱まり、インクの吐出安定性が向上することが分かった。これは、ポリエチレングリコールの酸素原子とポリウレタン樹脂の水素原子が水素結合することで、ポリウレタン樹脂の分子間相互作用が弱まり、ポリウレタン樹脂の粘性が低くなるためである。その結果、親水性を失ったカーボンブラックは、ヒーターボードに付着したカーボンブラックにそれ以上堆積することなく、インクと共に吐出されるため、インク滴の吐出速度に大きな影響を与えず、インクの吐出安定性が低下しないと考えられる。また、ポリエチレングリコールは親水性が高く、自己分散カーボンブラックに多く吸着はしないため、上記の高分子界面活性剤を用いた場合のように、画像の光学濃度は低下しない。
以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。
[インク]
以下、本発明のインクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
<ポリウレタン樹脂>
本発明のインクに使用するポリウレタン樹脂について、以下に詳細に示す。
(ポリイソシアネート)
本発明において、ポリウレタン樹脂はポリイソシアネートに由来するユニットを有することが好ましい。本発明において「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。本発明に用いることができるポリイソシアネートとしては、具体的に、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。ポリウレタン樹脂に占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合(質量%)は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明においては、上記ポリイソシアネートの中でも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(ポリオール)
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂は、ポリオールに由来するユニットを有することが好ましい。本発明において「ポリオール」とは、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を意味する。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、その他のポリオール(例えば、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリチオエーテルなど)が挙げられる。これらのポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明において、ポリオールは、炭素数が10以上であることが好ましい。また、分子中に酸基を有さないことが好ましい。また、ポリオールの数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。600未満であると、膜の柔軟性が低くなり、画像の堅牢性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、4,000より大きいと、膜の柔軟性が高くなり過ぎてしまい、画像の堅牢性の向上効果が十分に得られない場合がある。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、酸成分とポリアルキレングリコール、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとのエステルが挙げられる。ポリエステルポリオールを構成する酸成分として、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などが挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、前記芳香族ジカルボン酸の水素添加物などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキル琥珀酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などが挙げられる。また、これらの酸成分の酸無水物、アルキルエステル若しくは酸ハライドなどの反応性誘導体などもポリエステルポリオールを構成する酸成分として用いることができる。更に、上記のポリエステルポリオールを構成する酸成分は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
一方、前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。前記2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタンなどが挙げられる。前記3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコール、及び、アルキレンオキサイドと2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物が挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどが挙げられる。前記ポリアルキレングリコール、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとしては、上記のポリエステルポリオールを構成する成分として例示したものが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリカーボネートジオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートジオールが使用できる。例えば、ヘキサンジオール系のポリカーボネートジオールである、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールが挙げられる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分又はホスゲンと、脂肪族ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。これらのポリカーボネートジオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
本発明においては、上記ポリオールの中でも、特に、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。ポリエーテルポリオールを用いることによってポリウレタン樹脂の柔軟性が適度に発現するため、画像の堅牢性の向上が見られる。更に、ポリエーテルポリオールは比較的水溶性が高いため、インクの吐出安定性にも優れる。ポリエーテルポリオールの中でも、特にポリプロピレングリコールを用いることがより好ましい。本発明者らの検討によって、ポリプロピレングリコールを用いるとポリウレタン樹脂の水溶性が向上し、インクの吐出安定性がより向上することが確認された。また、ポリウレタン樹脂に占める、ポリオールに由来するユニットの割合(質量%)は、5.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
(酸基を有するジオール)
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂は、酸基を有するジオールに由来するユニットを有することが好ましい。本発明において、「酸基を有するジオール」とは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を有するジオールを意味する。本発明において、酸基を有するジオールは、炭素数が10未満であることが好ましい。酸基を有するジオールは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩や、アンモニア、ジメチルアミンなどの有機アミン塩などの形態で存在してもよい。酸基を有するジオールとしては、ジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。これらは、必要に応じて1種又は2種を用いることができる。ポリウレタン樹脂に占める、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合(質量%)は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
(鎖延長剤)
本発明においては、ポリウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよい。鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。鎖延長剤としては、例えば、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどが挙げられる。また、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
(ポリウレタン樹脂の特性)
本発明において、ポリウレタン樹脂の酸価は、上述の通り40mgKOH/g以上である必要がある。更には、酸価が140mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が140mgKOH/gより大きいと、ポリウレタン樹脂が剛直になり、画像の堅牢性の向上効果が十分に得られない場合がある。
本発明において、ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。更には0.5質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。0.5質量%以上とすることで、画像の堅牢性がより高いレベルで得られる。また、1.5質量%以下とすることで、インクの吐出安定性がより高いレベルで得られる。
また、インク中の前記ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)が、顔料のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、質量比率で0.05倍以上2.00倍以下であることが好ましい。より好ましくは0.1倍以上0.4倍以下とすることが好ましい。上記質量比率で0.1倍以上とすることで、画像の堅牢性がより高いレベルで得られる。また、0.4倍以下とすることで、インクの吐出安定性がより高いレベルで得られる。
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂のGPCにより得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、30,000より大きく150,000以下であることが好ましい。30,000以下であると、ポリウレタン樹脂の強度が低くなり、画像の堅牢性の向上効果が十分に得られない場合がある。150,000より大きいと、インクの粘度が上昇しやすく、インクの吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
(ポリウレタン樹脂の合成方法)
本発明におけるポリウレタン樹脂の合成方法は、従来、一般的に用いられている方法を何れも用いることができる。例えば、以下の方法が挙げられる。ポリイソシアネート、酸基を有さないポリオール、酸基を有するジオールを反応させ、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する。その後、中和剤により、上記ウレタンプレポリマー中の酸基を中和する。ついで、この中和ウレタンプレポリマーを、鎖延長剤を含有する水溶液中に投入して反応させた後、系内に有機溶剤を含有する場合はそれを除去して得ることができる。
(ポリウレタン樹脂の分析方法)
ポリウレタン樹脂の分析は、インクの状態でも行うことができるが、ポリウレタン樹脂を抽出しておくと、精度がより高まる。具体的には、インクを80,000rpmで遠心分離し、固形分以外の溶液を塩酸などで酸析し、乾燥させたサンプルを用いる。このサンプル中には、ポリウレタン樹脂が含まれるため、このサンプルを用いて、以下の方法により、ポリウレタン樹脂の組成、酸価、分子量を分析することができる。
(1)ポリウレタン樹脂の組成
上記で得られたサンプルを重水素化ジメチルスルホキシド(重DMSO)に溶解し、プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)により測定することで得られる化学シフトのピークの位置や、上記で得られたサンプルを熱分解ガスクロマトグラフィーにより測定することで、ポリウレタン樹脂の組成(ポリイソシアネート、酸基を有さないポリエーテルポリオール、酸基を有するジオールの種類)を確認できる。更に、それぞれの化学シフトのピークの積算値の比から、それぞれの組成比を算出することができる。また、上記で得られたサンプルを重DMSOに溶解し、カーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)により測定することで、酸基を有さないポリエーテルポリオールの繰り返し数を算出し、その数平均分子量を算出することができる。
(2)ポリウレタン樹脂の酸価の測定方法
ポリウレタン樹脂の酸価は滴定法により測定することができる。本発明において樹脂の酸価は、樹脂をTHFに溶解し、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)を用いて、水酸化カリウムエタノール滴定液によって電位差滴定することで測定した。
(3)ポリウレタン樹脂の平均分子量の測定方法
ポリウレタン樹脂の平均分子量はGPCにより測定することができる。本発明においてGPC測定は、装置:Alliance GPC 2695(Waters製)、カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)、検出器:RI(屈折率)を用いて行い、ポリスチレン標準試料として、PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)を用いて平均分子量を算出した。
<自己分散カーボンブラック>
本発明において、自己分散カーボンブラック(以下、単に「カーボンブラック」ともいう)としては、カーボンブラック粒子の表面に親水性基が直接又は他の原子団を介して結合しているものが挙げられる。尚、インク中において、親水性基は、その一部が乖離した状態又は全てが解離した状態の何れの状態であってもよい。
尚、本発明において、インクに含まれるカーボンブラックが自己分散カーボンブラックであるか否かを検証する方法は以下の通りである。具体的には、インクを酸析させた後、遠心分離し沈殿物を採取する。顔料分散体の場合は、顔料分散体を酸析した後、沈殿物を採取する。採取した沈殿物を、シャーレに取り水を流し込み、撹拌し再分散させる。1日放置後に、シャーレに沈殿物が生じず、顔料が分散していれば自己分散カーボンブラックであると判断する。
本発明において、インク中のカーボンブラックの含有量(質量%)は、インクの全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。更には、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
また、本発明において、インクに使用するカーボンブラックの平均粒径(体積基準の平均粒径D50)は、50nm以上150nm以下であることが好ましい。尚、後述する実施例においては、マイクロトラックUPA−EX150(日機装製)を用いて顔料の平均粒径の測定を行った。
本発明に用いるインクに使用するカーボンブラックは、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものを何れも用いることができる。具体的には、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。更に具体的には、下記に挙げるような市販のカーボンブラックを用いることができる。例えば、レイヴァン:7000、5750、5250、5000ULTRA、3500、2000、1500、1255、1250、1200、1190ULTRA−II、1170(コロンビア製);モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000(以上、キャボット製);ブラックパールズ:880、800、L(キャボット製);カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170(以上、デグッサ製);プリンテックス:85、95、140U、140V、U、V(以上、デグッサ製);スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製);No.900、No.1000、No.2200B、No.2300、No.2350、No.2400R、MCF−88(以上、三菱化学製)などが挙げられる。無論、本発明のために新たに調製したカーボンブラックを用いることもできる。
本発明において、カーボンブラック表面に直接、又は、他の原子団(−R−)を介して、化学的に結合している親水性基としては、例えば、COOM基、SOM基、POHM基、PO基、SONH基、及びSONHCOR基などが挙げられる。尚、上記式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。
カーボンブラックの表面に親水基を結合させる方法としては、カーボンブラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、水中オゾン処理でカーボンブラックを酸化する方法、オゾン処理を施した後に酸化剤により湿式酸化し、カーボンブラックの表面を改質する方法などが挙げられる。
本発明者らの検討によると、ポリウレタン樹脂を含有させたインクの吐出安定性を高めるためには、カーボンブラック表面により多くのアクリル樹脂を吸着させることが好ましいことが分かった。具体的に、カーボンブラック表面により多くのアクリル樹脂を吸着させる方法としては、酸価の小さいアクリル樹脂を用いる方法や、カーボンブラック表面に結合している親水性基の数を少なくする方法が挙げられる。POHM基、PO基のようなホスホン酸基は、他の親水性基よりも、カーボンブラック表面に結合する親水性基の数を少なくすることができるため、好ましい。
尚、自己分散カーボンブラックの親水性基がホスホン酸基であるか否かは、ICP発光分析装置により検証することができる。具体的には、ICP発光分析装置を用いて、リン元素が確認されれば、ホスホン酸基を有すると判断する。更に、ホスホン酸基が、−CQ(POの構造を有することがより好ましい。上記式中のQは、水素原子、R’、OR’、SR’、又はNR’であり、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アラルキル基、又はアリール基である。R’が炭素原子を含む基である場合、その基に含まれる炭素原子の数は1乃至18であることが好ましい。具体的に、アルキル基としてはメチル基、エチル基など;アシル基としてはアセチル基、ベンゾイル基など;アラルキル基としてはベンジル基など;アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などがそれぞれ挙げられる。本発明においては、これらの中でも、R’が水素原子である−CH(POが特に好ましい。また、前記他の原子団(−R−)としては、アミド基、アミノ基、ケトン基、エステル基、エーテル基、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換若しくは非置換のフェニレン基、又は置換若しくは非置換のナフチレン基などが挙げられる。本発明者らが検討したところ、−R−の分子量が1,000以下であることが好ましい。本発明においては、これらの中でも−R−がベンズアミド基(−C−CONH−)を含むことが好ましい。また、本発明においては、上記他の原子団(−R−)の炭素原子に、複数のホスホン酸基が結合していてもよい。具体的には、ビスホスホン酸基やトリホスホン酸基が結合した原子団が表面に結合している自己分散カーボンブラックが挙げられる。中でも、ビスホスホン酸基が結合した原子団が結合している自己分散カーボンブラックが、画像の光学濃度の観点から好ましい。
更に、本発明者らが検討を行ったところ、ビスホスホン酸基が結合した原子団が結合している自己分散カーボンブラックを用いる場合は、表面電荷量が0.60mmol/g以下であることが好ましい。より好ましくは、0.38以下mmol/g以下が良い。また、表面電荷量が低過ぎると、顔料の分散状態が不安定になり、インクの保存安定性が十分に得られない場合があるため、、表面電荷量が0.10mmol/g以上であることが好ましい。本発明において、自己分散カーボンブラックの表面電荷量はコロイド滴定により求める。後述する実施例においては、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(AT−510;京都電子工業製)を用い、電位差を利用したコロイド滴定により、顔料分散液中の顔料の表面電荷量を測定した。この際、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた。尚、インクから適切な方法により抽出した顔料を用いて表面電荷量の測定を行うことも勿論可能である。また、必要に応じて、インク中の顔料濃度を水で調整してもよい。
<ポリエチレングリコール>
本発明のインクは、ポリエチレングリコールを含有する。本発明において、インク中のポリエチレングリコールの含有量(質量%)は、インクの全質量を基準として、0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
また、インク中のポリエチレングリコールの含有量(質量%)が、ポリウレタン樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、質量比率で0.10倍以上2.00倍以下であることが好ましい。この範囲にすることで、上記ポリエチレングリコールがポリウレタン樹脂の粘性を低下させる作用がより効果的に発現する。更には、ポリエチレングリコールの数平均分子量は500以上3,000以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、インクを遠心分離し、その上澄み液を回収し、乾燥させた後、重DMSOに溶解し、カーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)により測定することで、ポリエチレングリコールの繰り返し数を算出することで測定することができる。
<ポリエチレングリコール以外の水溶性有機化合物>
本発明のインクはポリエチレングリコール以外の水溶性有機化合物を含有することができる。インク中の全ての水溶性有機化合物(ポリエチレングリコールを含む)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機化合物としては、常温で液体のものでも固体のものでもよく、従来、一般的に用いられているものを何れも用いることができる。例えば、アルコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機化合物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
<水>
本発明のインクは水を含有することができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び上記ポリウレタン樹脂以外の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。
[インクカートリッジ]
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を有し、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。更には、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドから吐出させるインクジェット記録方法であり、上記で説明した本発明のインクを使用するものである。尚、本発明における「記録」とは、記録媒体に対して本発明のインクを用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非浸透性の基材に対して本発明のインクを用いてプリントを行う態様を含む。記録媒体としては、普通紙や、透気性支持体(紙など)上に無機顔料及びバインダーを含有する多孔質性インク受容層を備えた、所謂、光沢紙が挙げられる。本発明においては、特に普通紙に対して本発明のインクを用いた場合に、特に本発明の効果が発揮されるため好ましい。
図1は、インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。給紙を行う際には、まず給紙トレイを含む給紙部において所定枚数の記録媒体が、給紙ローラと分離ローラから構成されるニップ部に送られる。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーに案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータの駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
画像形成する際には、キャリッジ部は記録ヘッドを目的の画像形成位置に配置させ、電気基板からの信号に従って、記録媒体に対してインクを吐出する。インクジェット記録装置においては、記録ヘッドにより記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。最後に、画像が形成された記録媒体は、排紙部で第1の排紙ローラM3110と拍車とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイに排出される。
図2は、ヘッドカートリッジH1000に、インクカートリッジH1900を装着する状態を示す斜視図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びグリーンの各インクによって画像を形成する。したがって、インクカートリッジH1900も7色分が独立に用意されている。上記において、少なくとも1種のインクとして、本発明のインクを用いる。そして、図2に示すように、それぞれのインクカートリッジH1900は、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。尚、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM5000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行うことができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<ポリウレタン樹脂分散体の調製>
ポリオール(B部)をメチルエチルケトン中で充分撹拌溶解し、次いでポリイソシアネート(A部)、酸基を有するジオール(C部)を加え、75℃で1時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。次いで得られたウレタンプレポリマー溶液を60℃まで冷却して、水酸化カリウム水溶液を加え、カルボキシ基を中和した後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化した。乳化後、鎖延長剤(D部)を加え、鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂含有量20.0%、重量平均分子量30,000のポリウレタン樹脂分散体を得た。得られたポリウレタン樹脂分散体を用いて、上記の水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定によりポリウレタン樹脂の酸価を測定した。各ポリウレタン樹脂分散体の調製条件及び特性を表2に示す。尚、表中の略称は以下の通りである。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2,000)
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量:2,000)
PC:ポリカーボネートポリオール(数平均分子量:2,000)
PES:ポリエステルポリオール(数平均分子量:2,000)
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
EDA:エチレンジアミン
<顔料分散体の調製>
(顔料分散体Aの調製)
比表面積が220m/gのブラックパールズ880(キャボット製)20g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウム塩11.0mmol、硝酸20.0mmol、及び純水200mLを、室温にてシルヴァーソン混合機で6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の亜硝酸ナトリウム20.0mmolを添加し、更に混合した。添加・混合により温度が60℃に達した状態で、1時間混合をし、自己分散カーボンブラック分散液を得た。その後、pHを水酸化カリウム水溶液で10.0に調整した。30分後、変性カーボンブラック分散液を、20部の純水を用いて限外濾過し、更に、得られた自己分散カーボンブラックに水を加えて顔料の含有量が10.0質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に、カウンターイオンがカリウムであるビスホスホン酸基が他の原子団を介して結合した自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体Aを得た。自己分散カーボンブラックの表面電荷量を上述の方法で測定したところ、0.38mmol/gであった。尚、上記で調製した顔料分散体Aの顔料の含有量は10.0質量%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は120nmであった。
(顔料分散体Bの調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れることで溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m/g、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌し、得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンティス製)でろ過した後、粒子を充分に水洗した。これを110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散カーボンブラックを調製した。更に、得られた自己分散カーボンブラックに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C−(COONa)基が導入されてなる自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体を得た。その後、イオン交換法を用いて顔料分散体のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に、カウンターイオンがカリウムであるベンゼンジカルボン酸基が結合した自己分散カーボンブラックが分散された顔料分散体Bを得た。自己分散カーボンブラックの表面電荷量を上述の方法で測定したところ、0.37mmol/gであった。尚、上記で調製した顔料分散体Bの顔料の含有量は10.0質量%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は120nmであった。
(顔料分散体Cの調製)
酸価が200mgKOH/gで重量平均分子量が10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10質量%水酸化カリウム水溶液で中和した。そして、比表面積が210m/g、DBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック10部、中和したスチレン−アクリル酸共重合体(固形分)20部、及び水70部を混合した。この混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。上記の方法により、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散体Cを得た。顔料分散体Cの顔料の含有量は10.0質量%、樹脂の含有量は20.0質量%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は120nmであった。
<インクの調製>
(インク1〜22の調製)
上記で得られた顔料分散体、ポリウレタン樹脂分散体を表3に示す組合せで、下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(顔料の含有量は10.0質量%) 30.0質量%
・ポリウレタン樹脂分散体(樹脂の含有量は20.0質量%) 7.5質量%
・ポリエチレングリコール 表3参照
・グリセリン 9.0質量%
・ジエチレングリコール 5.0質量%
・トリエチレングリコール 5.0質量%
・アセチレノールE100(川研ファインケミカル製) 0.1質量%
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
(インク23の調製)
下記各成分を混合した。
・顔料分散体A(顔料の含有量は10.0質量%) 30.0質量%
・ポリウレタン樹脂分散体PU−1(樹脂の含有量は20.0質量%) 7.5質量%
・グリセリン 9.0質量%
・ジエチレングリコール 5.0質量%
・トリエチレングリコール 5.0質量%
・アセチレノールE100(川研ファインケミカル製) 0.1質量%
・ニューポールPE−62(三洋化成製)
[エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック型高分子界面活性剤]
0.3質量%
・イオン交換水 43.1質量%
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、インク23を調製した。
<評価>
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、C及びDは許容できないレベルとした。尚、下記の各評価は、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)を用いて行った。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%、1滴あたりの吐出量:28ng(±10%以内)とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約28ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
(インクの吐出安定性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、キャリッジ速度が40inch/秒となるように改造した上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、4ドットで形成された縦罫線の画像を記録した(吐出試験前の画像)。そして、19cm×26cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を、10枚記録した後、4ドットで形成された縦罫線の画像を記録した(1回目の吐出試験後の画像)。更に、同様の吐出試験を行った後、4ドットで形成された縦罫線の画像を記録した(2回目の吐出試験後の画像)。1回目の吐出試験前後の画像、2回目の吐出試験前後の画像について、それぞれパーソナル画像品質評価システムPersonalIAS(Quality Engineering Associates製)を用いて、縦罫線のラジェットネス値を測定し、更に縦罫線の画像を目視で確認することで、インクの吐出安定性を評価した。尚、吐出試験前後での縦罫線のラジェットネス値の差が小さい程、インクの吐出安定性が高いと評価する。インクの吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:吐出試験前後でラジェットネス値の差が2未満であり、縦罫線の画像に全く変化がなかった
A:吐出試験前後でラジェットネス値の差が2以上4未満であり、縦罫線の画像の変化は確認できる程ではなかった
B:吐出試験前後でラジェットネス値の差が4以上6未満であり、縦罫線の画像に僅かな変化が見られた
C:吐出試験前後でラジェットネス値の差が6以上であり、縦罫線の画像に明らかな変化が見られた
D:吐出試験の際のベタ画像に白スジやカスレが見られた。
(画像の光学濃度)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)、PPC用紙4024(ゼロックス製)、PPC用紙ブライトホワイト(ヒューレッドパッカード製)、PPC用紙ハンマーミルジェットプリント(インターナショナルペーパー製)の4種類の記録媒体に対して、2cm×2cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を記録した。得られたベタ画像を1日放置した後、反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を用いて画像の光学濃度を測定し、評価を行った。画像の光学濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:4種類の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.45以上であった
A:4種類の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.4以上1.45未満であった
B:4種類の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.3以上1.4未満であった
C:4種類の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.3未満であった。
(画像の耐擦過性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、1.0インチ×0.5インチのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を記録した。記録から10分後、及び1日後に得られたベタ画像の上に、シルボン紙及び面圧40g/cmの分銅を置き、ベタ画像とシルボン紙を擦り合わせた。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像の汚れ具合やシルボン紙の白地部への転写を目視により観察した。画像の耐擦過性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:10分後及び1日後において、白地部の汚れが見られなかった
A:10分後において、白地部の汚れが若干見られた。更に、1日後において、白地部の汚れが見られなかった
B:10分後において、白地部の汚れが見られたが目立たないレベルであった。更に、1日後において、白地部の汚れが見られなかった
C:10分後及び1日後において、白地部の汚れが見られた。
(画像の耐マーカー性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、太さ1/10インチの縦罫線を記録した。記録から5分後、及び1日後に、得られた縦罫線に黄色ラインマーカー・OPTEX2(ゼブラ製)を用いてマーキングし、その後すぐに記録媒体の白地部にマーキングし、マーカーのペン先の汚染及び白地部のマーキングの汚れを確認した。画像の耐マーカー性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染がなく、白地部へマーキングしても汚れが発生しなかった
A:5分後において、マーカーのペン先に着色の汚染があったが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった。1日後においてはペン先に着色の汚染はなく、白地部へマーキングしても汚れが発生しなかった
B:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に少し着色の汚染があったが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった
C:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染があり、白地部へマーキングすると汚れた。

Claims (8)

  1. 熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法に用いられるインクであって、
    前記インクが自己分散カーボンブラック、酸価が40mgKOH/g以上のポリウレタン樹脂、及びポリエチレングリコールを含有することを特徴とするインク。
  2. 前記ポリウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール、及び酸基を有するジオールのそれぞれに由来するユニットを有する請求項1に記載のインク。
  3. 前記ポリエーテルポリオールが、ポリプロピレングリコールである請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が500以上3,000以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインク。
  5. インク全質量を基準とした、前記ポリエチレングリコールの含有量(質量%)が、前記ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.10倍以上2.00倍以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載のインク。
  6. 前記自己分散カーボンブラックが、ホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して表面に結合した自己分散カーボンブラックである請求項1乃至5の何れか1項に記載のインク。
  7. インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. 熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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