JP2011076891A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Zr、MgとCoとを含む酸溶液にアルカリを加えて、異種金属元素が添加された四酸化三コバルトを共沈させる工程と、前記四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合、加熱し、焼成物中に残存する水溶性アルカリ量を0.03質量%以下に規制した複合酸化物〔A〕を作製する工程と、前記四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合、加熱し、焼成物中に残存する水溶性アルカリ量を0.04質量%以上0.15質量%以下に規制した複合酸化物〔B〕を作製する工程とを備え、前記複合酸化物〔A〕と複合酸化物〔B〕を混合して正極活物質となす事を特徴とする。該複合酸化物は、LiCo1-xMxO2(Mは少なくともZr,Mgの両方を含み、0<x<0.1)で表される。
【選択図】なし
Description
リチウムイオンを吸蔵放出する正極活物質を製造する工程を含む非水電解質二次電池の製造方法において、前記正極活物質を製造する工程は、ZrとMgとコバルトを含む金属元素含有酸溶液にアルカリを加えて、異種金属元素が添加された四酸化三コバルトを共沈させる工程と、前記四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合し、加熱焼成して、焼成物中に残存する水溶性アルカリ量が0.03質量%以下に規制されたリチウムコバルト系複合酸化物〔A〕を作製する合成反応工程と、前記四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合し、加熱焼成して、焼成物中に残存する水溶性アルカリ量が0.04質量%以上0.15質量%以下に規制されたリチウムコバルト系複合酸化物〔B〕を作製する合成反応工程と、前記リチウムコバルト系複合酸化物〔A〕に前記リチウムコバルト系複合酸化物〔B〕を10〜90%の質量割合で混合し正極活物質となす工程と、を備え、前記合成反応工程で作製されるリチウムコバルト系複合酸化物〔A〕及び〔B〕が、LiCo1-xMxO2 (但し、Mは少なくともZr,Mgの両方を含み、xは0<x<0.1)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物であることを特徴とする。
第1実験群(No.1〜5)では、反応生成物の水溶性アルカリ量及びBET比表面積の異なる2種類のリチウムコバルト系複合酸化物〔A1〕、〔B1〕を作製した。そして、〔A1〕と〔B1〕とを、[100:0〜0:100]の範囲で混合し正極活物質となし、この正極活物質を用いて実験例電池No.1〜5を作製した。これら実験例電池の放電負荷特性(%)と60℃サイクル維持率(%)(以下、単に電池特性ということあり)を調べ、〔A1〕/〔B1〕混合割合と電池特性の関係を明らかにした。
第1実験群用の正極活物質を組成するリチウムコバルト系複合酸化物〔A1〕、〔B1〕を次のようにして作製した。
目的とする組成比となるように元素量を調整したコバルト(Co)を含む酸溶液と、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)を含む酸溶液とを混合し、この混合溶液(以下、金属元素含有酸溶液という)に炭酸水素ナトリウムを加え、Zr、Mg、Alを含有した炭酸コバルトを共沈させた。この共沈物を熱分解反応して、Zr・Mg・Al含有四酸化三コバルトを得た。
上記コバルト源とリチウム源とを、Coに対するLiのモル比(Li/Co)が1.05〜1.40となるように混合し、リチウムコバルト系複合酸化物〔A1〕の場合よりも焼成温度及び焼成時間を短くしたことを除き、上記と同様にして、水溶性アルカリ量が0.4質量%、BET比表面積が0.7m2/gのリチウムコバルト系複合酸化物を作製した。
上記で作製したリチウムコバルト系複合酸化物〔A1〕及び〔B1〕を混合したもの(表1参照)を正極活物質とし、これを85質量部、導電剤としての炭素粉末を10質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末を5質量部となるよう混合し、これをn−メチルピロリドン(NMP)溶液に混合してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布して、正極集電体の両面に活物質層を形成した。その後,圧縮ローラーを用いて160μmに圧縮し、短辺の長さが55mm、長辺の長さが500mmの正極を作製した。
天然黒鉛粉末が95質量部と、ポリフッ化ビニリデン粉末が5質量部となるよう混合し、これをNMP溶液と混合してスラリーを調製し、このスラリーを厚さ18μmの銅製の集電体の片面にドクターブレード法により塗布して活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて155μmに圧縮し、短辺の長さが57mm、長辺の長さが550mmの負極を作製した。
非水溶媒としてのエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比50:50(25℃、1気圧)で混合し、この混合溶媒に電解質塩としてのLiPF6を1 mol/L溶解して、非水電解質となした。
上記正極及び負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン製微多孔膜を挟み、巻回して電極体となし、これを高さ65mm、直径18mmの有底円筒缶に収容した後、上記非水電解質を注液した。このようにして、表1に示す第1実験例電池No.1〜5を作製した。
実験例電池を室温環境下(25℃)で、定電流1600mAの定電流で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が32mAとなるまで充電した。この後、定電流1600mAで電圧が2.75Vとなるまで放電した。この後、再度同様のパターンで充電し、定電流4000mAで電圧が2.75Vとなるまで放電した。得られた結果から、下記の式により放電負荷特性(%)を算出した。
放電負荷特性(%)=定電流4000mA放電容量÷定電流1600mA放電容量×100
実験例電池を60℃の温度環境で、1600mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、この後、4.2Vの定電圧で電流値が32mAになるまで充電した。次いで、同様な温度環境下において電流値1600mAで3.0Vまで放電した。このような充放電サイクルを300回繰り返した。そして、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の比率を、60℃サイクル維持率(%)とした。
第2実験群では、リチウムコバルト系複合酸化物[LiCo1-xMxO2 ]を合成する際に使用するリチウム源としての炭酸リチウム添加量を増減して、水溶性アルカリ量を0.04質量%、0.03質量%、0.01質量%とし、BET比表面積を0.40m2/g(共通)とした3通りのリチウムコバルト系複合酸化物(No.6、3、7)と、水溶性アルカリ量を0.03質量%(共通)とし、BET比表面積を0.50m2/g、0.20m2/gとした2通りのリチウムコバルト系複合酸化物(No.8、9)の合わせて5通りのリチウムコバルト系複合酸化物〔Ax〕を作製した。
第3実験群では、上記第2実験群における結果を踏まえ、上記他方のリチウムコバルト系複合酸化物を水溶性アルカリ量0.03質量%、BET比表面積0.40m2/g(共通)とし、上記一方のリチウムコバルト系複合酸化物の水溶性アルカリ量とBET比表面積を変化させた。具体的には、水溶性アルカリ量を0.20質量%、0.15質量%、0.10質量%、0.04質量%、0.025質量%とし、BET比表面積を0.70m2/g共通としたリチウムコバルト系複合酸化物〔Bx〕と、前記したリチウムコバルト系複合酸化物〔A1〕とを50質量%同士で混合した正極活物質(No.3、10〜13)を作製した。
第4実験群では、共沈物を作製する際に使用する金属元素含有酸溶液の組成を変えることにより、リチウムコバルト系複合酸化物[LiCo1-xMxO2 ]の異種元素(Zr、Mg、Al、Ti)の組成を異ならせ、かつ水溶性アルカリ量を0.03質量%、BET比表面積を0.40m2/gに規制したリチウムコバルト系複合酸化物(〔A〕)と、水溶性アルカリ量を0.10質量%、BET比表面積を0.70m2/gに規制したリチウムコバルト系複合酸化物(〔B〕)とをそれぞれ作製した。そして上記〔A〕と〔B〕とを等質量%で混合して正極活物質となした。これを用いて実験例電池No.3、No.16、No.17、No.18を作製し、実験群1等と同様にして電池特性を調べた。なお、No.3電池は表1の実験例電池No.3と同一である。
Claims (2)
- リチウムイオンを吸蔵放出する正極活物質を製造する工程を含む非水電解質二次電池の製造方法において、
前記正極活物質を製造する工程は、
ZrとMgとコバルトを含む金属元素含有酸溶液にアルカリを加えて、異種金属元素が添加された四酸化三コバルトを共沈させる工程と、
前記四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合し、加熱焼成して、焼成物中に残存する水溶性アルカリ量が0.03質量%以下に規制されたリチウムコバルト系複合酸化物〔A〕を作製する合成反応工程と、
前記四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合し、加熱焼成して、焼成物中に残存する水溶性アルカリ量が0.04質量%以上0.15質量%以下に規制されたリチウムコバルト系複合酸化物〔B〕を作製する合成反応工程と、
前記リチウムコバルト系複合酸化物〔A〕に前記リチウムコバルト系複合酸化物〔B〕を10〜90%の質量割合で混合し正極活物質となす工程と、を備え、
前記合成反応工程で作製されるリチウムコバルト系複合酸化物〔A〕及び〔B〕が、LiCo1-xMxO2 (但し、Mは少なくともZr,Mgの両方を含み、xは0<x<0.1)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法において、
前記リチウムコバルト系複合酸化物〔A〕のBET比表面積を0.40g/m2以下に規制し、
前記リチウムコバルト系複合酸化物〔B〕のBET比表面積を0.60g/m2以上に規制する、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
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