JP2011074117A - インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
現在、インクジェットプリンタにより、普通紙或いはプラスチックなど非吸水性の被記録媒体にインクを打滴して印字する際のインクの高感度化や被記録媒体への定着性、高画質化が重要な課題となっている。インクジェット記録は、インクの液滴を画像データに従って吐出し、被記録媒体上にこれら液滴にてラインを形成したり、画像を形成するものである。
本発明の目的は、顔料分散安定性に優れ、かつ、密着性及び硬化性に優れるインク組成物を提供することである。さらに本発明は、前記インク組成物を使用したインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
<1> (A)下記式(1)で表される化合物と、(B)脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物と、(C)ラジカル重合開始剤と、を含有することを特徴とするインク組成物、
<3> 式(1)中、X及びYが、Xが−O−かつYが−O−である、<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> 前記(B)脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物が式(B−2)又は式(B−3)で表される化合物である、<1>〜<3>いずれか1つに記載のインク組成物、
<7> (a)被記録媒体上に、<1>〜<6>いずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明において、ラジカル重合性化合物として、少なくとも(A)上記式(1)で表される化合物、及び、(B)脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することにより、優れた硬化性、基材密着性が得られるとともに、顔料分散安定性に優れ、経時安定性に優れたインク組成物が得られる。
なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」を意味する。すなわち、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。
また、本発明における化学構造式において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明でいう「放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させることができるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
本発明のインク組成物は、下記式(1)で表される化合物(以下、(A)式(1)で表される化合物、又は、化合物(A)ともいう。)を含有する。
式(1)中、Yは−NH−、−O−又は単結合を表す。
式(1)中、X及びYの組み合わせ(X,Y)としては、(−O−,−O−)、(−O−,単結合)、(−NH−,−NH)であることが好ましく、(−O−,−O−)、(−O−,単結合)がより好ましく、(−O−,−O−)がさらに好ましい。
X及びYが上記の組み合わせであると、良好な顔料分散安定性、基材密着性及び硬化性が得られるので好ましい。
化合物(A)の含有量は、インク組成物全体の3〜70重量%であることが好ましく、5〜60重量%であることがより好ましく、8〜50重量%であることがさらに好ましい。(A)式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲内であると、硬化性、密着性、顔料分散安定性を両立する観点で好ましい。
なお、化合物(A)として2種以上の化合物を使用する場合には、合計して上記の含有量とすることが好ましい。以下の各成分についても同様である。
本発明のインク組成物は、脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物(以下、化合物(B)ともいう。)を含有する。
脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよく、特に限定されない。
ここで、「(メタ)アクリレート化合物」との記載は、「アクリレート化合物」と「メタクリレート化合物」の一方又は双方を指す省略的な表記である。
化合物(B)は、1〜4つのアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を有していることが好ましく、1〜3つ有していることがより好ましく、1又は2つ有していることがさらに好ましく、1つ有していることが特に好ましい。すなわち、化合物(B)は、単官能アクリレート化合物又は単官能メタクリレート化合物であることが組成物の低粘度化の観点で特に好ましい。
また、化合物(B)は、硬化性の観点からアクリレート化合物であることが好ましい。
X1は単結合又は二価の連結基を表す。二価の連結基としては、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−又は−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)−)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基、又は、これらを組み合わせた二価の連結基が好ましい。
R2は一価〜三価の基であり、好ましくは一価の基であり、少なくとも1つ以上の脂肪族環状構造を有する基であり、シクロアルカン骨格、アダマンタン骨格及びノルボルナン骨格を有する脂環式炭化水素基を表す。上記の脂環式炭化水素基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。R2が二価又は三価の基の場合、R2はさらにCl、ヒドロキシル基、アルコキシ基を結合していてもよい。
また、上記O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基としては、具体的には、ピロリジニル(pyrrolidinyl)基、ピロリジンジイル(pyrrolidindiyl)基、ピロリジントリイル(pyrrolidintriyl)基、ピラゾリジニル基、ピラゾリジンジイル基、ピラゾリジントリイル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリジンジイル基、イミダゾリジントリイル基、イソオキサゾリジニル基、イソオキサゾリジンジイル基、イソオキサゾリジントリイル基、イソチアゾリジニル基、イソチアゾリジンジイル基、イソチアゾリジントリイル基、ピペリジニル基、ピペリジンジイル基、ピペリジントリイル基、ピペラジニル基、ピペラジンジイル基、ピペラジントリイル基、モルフォリニル基、モルフォリンジイル基、モルフォリントリイル基、チオモルフォリニル基、チオモルフォリンジイル基、チオモルフォリントリイル基、ジアゾーリル基、ジアゾールジイル基、ジアゾールトリイル基、トリアゾーリル基、トリアゾールジイル基、トリアゾールトリイル基、テトラゾーリル基、テトラゾールジイル基、テトラゾールトリイル基等を例示できる。
これらの脂環式炭化水素基及びヘテロ環を有する脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基、若しくはO、N、S等のヘテロ原子を含む複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
式(B−2)又は式(B−3)におけるR3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、q個存在するR3、及び、r個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。また、qが2以上である場合、複数存在するR3同士が結合して環を形成していてもよく、rが2以上である場合、複数存在するR4同士が結合して環を形成していてもよい。
q個存在するR3、及び、r個存在するR4は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
R3の置換数qは0〜5の整数を表し、また、R4の置換数rは0〜5の整数を表す。
また、式(B−2)におけるアダマンタン骨格中の一炭素原子をカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよく、式(B−3)におけるノルボルナン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
式(B−5)、式(B−6)及び式(B−7)中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換基を表し、s、t及びuはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR5、t個存在するR6、及び、u個存在するR7はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(B−5)、式(B−6)又は式(B−7)におけるR5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換基を表し、式(B−5)、式(B−6)又は式(B−7)における下記各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。R5、R6及びR7における置換基は、式(B−2)〜式(B−4)のR3及びR4における置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
これらの中でも、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート及びイソボルニルアクリレートが、顔料分散性、硬化性及び基材密着性の観点から好ましい。
脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量が上記範囲内であると、硬化性、密着性、顔料分散安定性を両立する観点で好ましい。
<N−ビニル基を有する環状モノマー>
本発明において、N−ビニル基を有し、環状構造を有する基を有する単官能ラジカル重合性モノマーを使用してもよい。中でもN−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルラクタム類を使用することが好ましく、N−ビニルラクタム類を使用することがさらに好ましい。
本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。N−ビニルラクタム類が40重量%以下の含有率であると、0℃以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インク組成物の取り扱い可能温度範囲が広くなり好ましい。
本発明において、芳香族基を有する単官能ラジカル重合性モノマーを使用してもよい。
芳香族基を有するラジカル重合性モノマーは、下記式(b−1)で表されることが好ましい。
X1bは、式(b−1)に示すエチレン性不飽和二重結合に(−C(O)O−)又は(−C(O)NH−)が結合した第1の二価の連結基を示し、この第1の二価の連結基に単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又はOC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)−)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、第1の二価の連結基のみ又は第2の二価の連結基を有する場合はエーテル結合、エステル結合及び/又は炭素数20以下のアルキレン基を有するものが好ましい。
R2bは一価〜三価の基であり、好ましくは一価の基であり、少なくとも1つ以上の単環芳香族基及び多環芳香族基を含む芳香族基を表す。上記の芳香族基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。R2が二価又は三価の基の場合、R2はさらにCl、ヒドロキシル基、アルコキシ基を結合していてもよい。
また、チアントレニル基、チアントレンジイル基、チアントレントリイル基、イソベンゾフラニル基、イソベンゾフランジイル基、イソベンゾフラントリイル基、イソクロメニル基、イソクロメンジイル基、イソクロメントリイル基、4H−クロメニル基、4H−クロメンジイル基、4H−クロメントリイル基、キサンテニル基、キサンテンジイル基、キサンテントリイル基、フェノキサチイニル基、フェノキサチインジイル基、フェノキサチイントリイル基、インドリジニル基、インドリジンジイル基、インドリジントリイル基、イソインドーリル基、イソインドールジイル基、イソインドールトリイル基、インドーリイル基、インドールジイル基、インドールトリイル基、インダゾーリイル基、インダゾールジイル基、インダゾールトリイル基、プリニル基、プリンジイル基、プリントリイル基、4H−キノリジニル基、4H−キノリジンジイル基、4H−キノリジントリイル基、イソキノリル基、イソキノリジイル基、イソキノリトリイル基、キノリノ基、キノリジイル基、キノリトリイル基、フタラジニル基、フタラジニンジイル基、フタラジントリイル基、ナフチリジニル基、ナフチリジンジイル基、ナフチリジントリイル基、キノキサリニル基、キノキサリンジイル基、キノキサリントリイル基、キナゾリニル基、キノゾリンジイル基、キノゾリントリイル基、シンノリニル基、シンノリンジイル基、シンノリントリイル基、プテリジニル基、プテリジンジイル基、プテリジントリイル基、カルバゾーリル基、カルバゾールジイル基、カルバゾールトリイル基、β−カルボリニル基、β−カルボリンジイル基、β−カルボリントリイル基、フェナントリジニル基、フェナントリジンジイル基、フェナントリジントリイル基、アクリジニル基、アクリジンジイル基、アクリジントリイル基、ペリミジニル基、ペリミジンジイル基、ペリミジントリイル基、フェナントロリニル基、フェナントロリンジイル基、フェナントロリントリイル基、フェナジニル基、フェナジンジイル基、フェナジントリイル基、フェノチアジニル基、フェノチアジンジイル基、フェノチアジントリイル基、フェノキサジニル基、フェノキサジンジイル基、フェノキサジントリイル基、ピロリジニル基(pyrrolizinyl基)、ピロリジンジイル基(pyrrolizindiyl基)、ピロリジントリイル基(pyrrolizintriyl基)等の多環芳香族複素環基が挙げられる。
上記の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば無水フタル酸や無水フタルイミドのように芳香族基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。
その他のラジカル重合性モノマーとして必要に応じて、下記非環状単官能モノマーや多官能モノマーを併せて使用することもできる。
非環状単官能モノマーは比較的低粘度であり、例えば、インク組成物を低粘度化する目的においても好ましく使用できる。ただし、硬化膜のべとつきを抑えることや、成形加工時にキズ等を発生させない高い膜強度を与えるという観点で、下記非環状単官能モノマーがインク組成物全体に占める割合は、20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは15重量%以下である。
非環状単官能モノマーとして、具体的には、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、具体的には、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート(以下、「プロピレンオキサイド」を「PO」ともいう。)、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラアクリレート及びPO変性テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、インク組成物中における化合物(A)及び化合物(B)、並びに、必要に応じてその他のモノマーを合わせた、ラジカル重合性モノマーの総量は、75〜99.9重量%であることが好ましく、78〜99.8重量%であることがより好ましく、80〜99.8重量%であることがさらに好ましい。ラジカル重合性モノマーの総量が上記範囲内であると、インクジェットとして用いた場合所望の色濃度を実現する上で好ましい。
本発明のインク組成物は、(C)ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明で用いることができるラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。本発明に用いることができるラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることのできるラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
これらの中でも、(a)芳香族ケトン類としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物が特に好ましい。なお、本発明において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物とは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが任意の置換基で置換された化合物を意味するものである。置換基としては、ラジカル重合開始剤としての能力を発揮し得る範囲で任意に選択することができ、具体的にはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)が例示できる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、化合物の構造中に式(7)又は式(8)の構造式を有するものが例示できる。
具体例としては、イソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、p−三級ブチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−三級ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−(三級ブチル)ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチル−シクロヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル等が挙げられる。
具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−工トキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
また、本発明のインク組成物に後述する増感剤を用いる場合、ラジカル重合開始剤の総使用量は、増感剤に対して、ラジカル重合開始剤:増感剤の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
本発明のインク組成物は、(D)着色剤を含有することが好ましい。
本発明に使用することのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ(D−1)顔料及び(D−2)油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26、
白色顔料としては、Pigment White 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
着色剤は、本発明のインク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する(B)成分や、所望により併用されるその他の重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、(B)成分を含む重合性化合物のいずれか1つ又はそれらの混合物に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
なお、本発明のインク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは、0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明のインク組成物中における着色剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク物性、着色性を考慮すれば、一般的には、インク組成物の全固形分に対し、1〜10重量%であることが好ましく、2〜8重量%含有することがより好ましい。
本発明のインク組成物には、前記(C)ラジカル重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために増感剤を添加することができる。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基の生成を促進させるものである。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインク組成物をインクジェト記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の重量に対し、例えば、0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%の範囲である。
本発明のインク組成物はインクジェット記録用インクとして好適に使用することができる。このような使用態様における好ましい物性について説明する。
インク組成物をインクジェット記録用インクとして使用する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、20〜80℃、好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35〜200mPa・sである。
本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。さらにインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として使用されることが好ましい。
本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記本発明のインク組成物をインクジェッと記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a)被記録媒体上にインク組成物を吐出する工程、及び、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法であって、インク組成物として前記した本発明のインク組成物を用いることを特徴とする。
被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明の記録方法の(a)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明の上記インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4,000×4,000dpi、好ましくは、400×400〜1,600×1,600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる(C)ラジカル重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、重合開始種であるラジカルを発生し、その開始種の機能により前記(A)成分、(B)成分や所望により併用される他の重合性化合物の重合反応が、生起、促進されてインク組成物が硬化するためである。このとき、インク組成物において(C)ラジカル重合開始剤とともに(E)増感剤が存在すると、系中の(E)増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、(C)ラジカル重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させる。
また、本発明では、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜2,000mJ/cm2であり、さらに好ましくは、20〜1,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50〜800mJ/cm2である。
また、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
また、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明の記録方法に適用することができる。
このようにして、本発明インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化し、疎水性画像を被記録媒体表面上に形成する。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−335 D(マゼンタ顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・TIPAQUE CR−60−2(酸化チタン(白色顔料)、石原産業(株)製)
・FA−511AS(ジシクロペンテニルアクリレート、日立化成工業(株)製)
・FA−512AS(ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート日立化成工業(株)製)
・V#155(シクロヘキシルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)
・SR506(イソボルニルアクリレート、サートマー社製)
・SR339(2−フェノキシエチルアクリレート、サートマー社製)
・SR285(テトラヒドロフルフリルアクリレート、サートマー社製)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製)
・SR492(プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、サートマー社製)
・SR212(1,3−ブチレングリコールジアクリレート、サートマー社製)
・SR213(1,4−ブタンジオールジアクリレート、サートマー社製)
・SR9003(プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート)
・RAPI−CURE DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル(3,6,9,12-Tetraoxatetradeca-1,13-diene)、ISP社製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、ChemFirst Inc.製)
・IRGACURE 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製)
・IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製)
・Lucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、重合開始剤、BASF社製)
・FIRSTCURE ITX(イソプロピルチオキサントン(2−及び4−アイソマー混合物)、ChemFirst Inc.製)
・BYK−307(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、シリコン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン(株)製)
・DISPERBYK−168(高分子分散剤、ビックケミー・ジャパン(株)製)
・SOLSPERSE 32000(高分子分散剤、ルーブリゾール社製)
・SOLSPERSE 36000(高分子分散剤、ルーブリゾール社製)
シアン、イエロー、マゼンタ、ホワイトの各ミルベースを以下の組成にて混合し、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて10分撹拌した。その後、ビーズミル分散機DISPERMAT LS(VMA社製)に入れ、直径0.65mmのYTZボール((株)ニッカトー製)を用い、2,500回転/分で6時間分散を行った。
<シアンミルベースの調製>
IRGALITE BLUE GLVO 30部
RAPI−CURE DVE−3 50部
DISPERBYK−168 20部
NOVOPERM YELLOW H2G 30部
RAPI−CURE DVE−3 42部
DISPERBYK−168 28部
CINQUASIA MAGENTA RT−335 D 30部
SOLSPERSE 32000 11部
SR9003 58部
FIRSTCURE ST−1 1部
TIPAQUE CR−60−2 70部
SR339 25部
SOLSPERSE 36000 5部
インクの調製方法に関しては、下記の表3〜表9に挙げる各成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて3,000回転/分にて20分撹拌し、それぞれのインク組成物を得た。インク作製後、高速冷却遠心機SRX−201((株)トミー精工製)を用い12,000rpmで20分間遠心分離により沈降物を除去し、ダイレクトフィルトレーション用加圧タンクDF−4(アドバンテック社製)に、多用途用ディスクフィルターホルダーKS−90−UH(アドバンテック社製)を繋ぎ、99%以上の粒子捕捉性能が1.5ミクロンメートルであるフィルターTCP−015AM(アドバンテック社製)を用いてろ過を行った。その後、超音波処理をUS−600CCVP((株)日本精機製作所製)を用い20分間行い、目的とするインクを得た。
なお、表中の配合量は、各成分の重量部を表す。
<インクジェット記録方法>
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度1,200mW/cm2、に集光し、被記
録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を1,000mJ/cm2となるよう
にした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサコーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エムロン カレンダーシート(白)(森野化工(株)製)を用いた。
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、触診により、画像のべとつきの程度を評価した。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
○:画像にべとつきなし。
△:画像がややべとついている。
×:未硬化のインクが手に転写するほど固まっていない。
インク組成物を、被記録媒体としてのアクリル基材の表面に、Kハンドコーター(バーNo.2)を用いてウェット膜厚12μmとなるように塗布した。次いで、オゾンレスメタルハライドランプMAN125Lを搭載し、コンベアスピード8.7m/分、露光強度760W/cm2に設定したUVコンベア装置CSOT(ジーエス・ユアサライティング社製)内を、塗布表面の粘着性がなくなるまで繰り返し通過させ、放射線硬化させた。被記録媒体への接着性は、この硬化塗膜を用いてISO2409(クロスカット法)により下記の基準で評価した。
○:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがないか、極わずかな小さなはがれであり、クロスカット部分で影響を受けるのは、10%以下である。
△:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は、目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、10%を超えるが、35%以下である。
×:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は、数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、35%を超える。
インク作製後、インクの粘度測定を行った後に、60℃の環境下に4週間保管し、4週間経時品の粘度測定を行うことで、顔料分散安定性の評価を行った。
また、顔料分散安定性は以下の基準で評価した。
[60℃4週間経時保管品の粘度]/[インク作製後の粘度]の計算を行った際
○:1.1以下
△:1.1超〜1.2未満
×:1.2以上
Claims (7)
- 式(1)中、X及びYが、Xが−O−かつYが−O−、Xが−O−かつYが単結合、及び、Xが−NH−かつYが−NH−よりなる群から選択される、請求項1に記載のインク組成物。
- 式(1)中、X及びYが、Xが−O−かつYが−O−である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記(B)脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物が式(B−2)又は式(B−3)で表される化合物である、請求項1〜3いずれか1つに記載のインク組成物。
- (D)着色剤をさらに含有する、請求項1〜5いずれか1つに記載のインク組成物。
- (a)被記録媒体上に、請求項1〜6いずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする
インクジェット記録方法。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP2009224313A JP5530141B2 (ja) | 2009-09-29 | 2009-09-29 | インク組成物及びインクジェット記録方法 |
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Applications Claiming Priority (1)
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