JP2009073945A - インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物 - Google Patents

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JP2009073945A JP2007244604A JP2007244604A JP2009073945A JP 2009073945 A JP2009073945 A JP 2009073945A JP 2007244604 A JP2007244604 A JP 2007244604A JP 2007244604 A JP2007244604 A JP 2007244604A JP 2009073945 A JP2009073945 A JP 2009073945A
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Abstract

【課題】保存安定性が良好でありながら活性放射線の照射に対する硬化速度に優れ、硬化後の画像が優れた柔軟性、耐擦過性を有し、被記録媒体への高い密着性を示し、かつ安定したインクジェット吐出性を兼ね備えたインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供すること。
【解決手段】(A)ラジカル重合性化合物、(B)ラジカル重合開始剤、及び、(C)着色剤を含み、前記ラジカル重合性化合物が、少なくとも1種のビニルエステル化合物を含むことを特徴とするインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、前記インク組成物を用いて得られた印刷物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また、熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、且つ、廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
近年、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインク組成物(放射線硬化型インク組成物)を、インクジェットにより描画した後、紫外線などの放射線を照射して、インクを硬化する、無溶剤型のインクジェット記録方式が注目されている。
一般に、水を希釈剤として含む水性インクや有機溶剤を希釈剤として含む溶剤型インクと比較して、放射線硬化型インクによるインクジェット記録方式は、ガラス、金属、プラスチック被記録媒体といった非吸収性被記録媒体への描画が可能であり、被記録媒体の適応範囲が広い、描画画像の耐擦過性や耐溶剤性に優れる、感度が高く、生産性に優れる、揮発性の溶剤を含まないので、環境への負荷が小さいといったメリットを有する。
放射線硬化型インクの硬化機構としては、ラジカル重合型とカチオン重合型に大別されるが、ラジカル重合型は、カチオン重合型と比較して、保存安定性に優れる、安価といったメリットを有しているため、市場で広く使用されている。しかし、大気中の酸素による重合阻害に起因して、硬化速度不足となりがちであり、残存するモノマーも多くなるため、硬化後の印刷物の画像強度(耐擦過性、耐溶剤性)は十分とは言えない。また、重合時の体積収縮により被記録媒体への密着性も低いといった問題も抱えている。
多官能モノマーやオリゴマーを使用することによって、硬化速度や画像強度は改善することができる。このような多官能モノマーやオリゴマーを含有する紫外線硬化型インクジェットインク組成物としては、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等が提案されている。多官能モノマーやオリゴマーを使用することによって硬化速度や画像強度は改善することはできるものの、保存安定性、硬化膜の被記録媒体への密着性及び柔軟性は逆に劣化してしまう。さらに、インク組成物の粘度が高くなるため、インクジェットによる吐出安定性が劣化する傾向にある。
一方、単官能モノマーを主成分として使用し、多官能モノマーやオリゴマーの使用を抑制することによって被記録媒体への密着性や柔軟性を改善することができる。このような単官能モノマーを主成分とする紫外線硬化型インクジェットインク組成物として、例えば、特許文献4が提案されている。単官能モノマーを主成分として使用することによって、被記録媒体への密着性や柔軟性は改善されるものの、硬化速度や画像強度は逆に劣化してしまう。
このように、被記録媒体との接着性、画像強度、柔軟性、保存安定性、硬化速度を兼ね備え、かつ安定性したインクジェット吐出性を有するインク組成物が望まれているが、未だ提供されていないのが現状である。
特表2001−525479号公報 特開2002−179967号公報 特開2004−182930号公報 国際公開第2005/026270号パンフレット
本発明の目的は、保存安定性が良好でありながら活性放射線の照射に対する硬化速度に優れ、硬化後の画像が優れた柔軟性、耐擦過性を有し、被記録媒体への高い密着性を示し、かつ安定したインクジェット吐出性を兼ね備えたインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することにある。
本発明の上記課題は、<1>、<5>、<6>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である、<2>〜<4>と共に以下に記載する。
<1> (A)ラジカル重合性化合物、(B)ラジカル重合開始剤、及び、(C)着色剤を含み、前記ラジカル重合性化合物が、少なくとも1種のビニルエステル化合物を含むことを特徴とするインク組成物、
<2> 前記ビニルエステル化合物が、式(I)で表される化合物である上記<1>記載のインク組成物、
Figure 2009073945
(式(I)中、Rは炭素数1から40までのn価の炭化水素基を表し、nは1から8までの整数を表す。)
<3> 前記式(I)におけるRが、脂肪族環を有する炭素数3から30までのn価の炭化水素基である上記<2>記載のインク組成物、
<4> 前記式(I)におけるnが、2から4までの整数である上記<2>又は<3>記載のインク組成物、
<5> (i−1)被記録媒体上に、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(i−2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法、
<6> 上記<5>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
本発明によれば、保存安定性が良好でありながら活性放射線の照射に対する硬化速度に優れ、硬化後の画像が優れた柔軟性、耐擦過性を有し、被記録媒体への高い密着性を示し、かつ安定したインクジェット吐出性を兼ね備えたインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することができる。
(インク組成物)
本発明のインク組成物は、(A)ラジカル重合性化合物、(B)ラジカル重合開始剤、及び、(C)着色剤を含み、前記ラジカル重合性化合物が、少なくとも1種のビニルエステル化合物を含むことを特徴とする。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インク組成物として好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(A)ラジカル重合性化合物
本発明のインク組成物は、(A)ラジカル重合性化合物を含み、前記ラジカル重合性化合物が、少なくとも1種のビニルエステル化合物を含むことを特徴とする。
まず、本発明において特徴的な成分であるビニルエステル化合物について詳細に説明する。
<ビニルエステル化合物>
本発明に使用されるビニルエステル化合物としては、従来公知のカルボン酸化合物のビニルエステル化物を制限なく用いることができる。
前記カルボン酸化合物は単官能であってもよいし、2官能以上であってもよい。また、前記カルボン酸化合物が2官能以上である場合には、1つのカルボン酸基がビニルエステル化されているだけでもよいし、複数の又は全てのカルボン酸基がビニルエステル化されていてもよい。
硬化速度が速く、低粘度で良好な吐出安定性が得られることから、ビニルエステル化合物は、好ましくは2官能以上のカルボン酸化合物、より好ましくは2〜4官能のカルボン酸化合物の全てカルボン酸基がビニルエステル化されたものであることが好ましい。
本発明に用いることができるビニルエステル化合物は、脂肪族構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、脂肪族環状構造又は芳香環を有することがより好ましく、脂肪族環状構造を有することがさらに好ましい。
また、本発明に用いることができるビニルエステル化合物は、ビニルオキシカルボニル基を1〜8個有することが好ましく、1〜6個有することがより好ましく、2〜6個有することがさらに好ましく、2〜4個有することが特に好ましく、2個有することが最も好ましい。
本発明に用いることができるビニルエステル化合物は、炭素数が5〜60であることが好ましく、炭素数が6〜50であることがより好ましく、炭素数7〜50であることがさらに好ましい。
本発明に好適に用いることができるビニルエステル化合物は、式(I)で表されるビニルエステル化合物である。
Figure 2009073945
(式(I)中、Rは炭素数1から40までのn価の炭化水素基を表し、nは1から8までの整数を表す。)
式(I)におけるRは炭素数1から40までのn価の炭化水素基を表す。
炭素数1から40までのn価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい以下の炭化水素を構成する水素原子(置換基上の水素原子を含む)をn個除した炭化水素基を挙げることができる。
前記炭化水素としては、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素が例示できる。
前記脂肪族炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、オクタデカン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、スピロ[4.5]デカン、アダマンタン、ボルナン、ノルボルナン、cis−又はtrans−ヒドリンダン、cis−又はtrans−デカヒドロナフタレン、exo−又はendo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプタデセン、2−ブテン、2−ヘキセン、4−ノネン、7−テトラデセン、ブタジエン、ピペリレン、1,9−デカジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、2−ボルネン、2−ノルボルネン、exo−又はendo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−エン、オクタヒドロナフタレン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、3a,4,7,7a−テトラヒドロインデン、アセチレン、1−プロピン、2−ヘキシン等の炭素数1から40までの脂肪族炭化水素が好ましく例示できる。
前記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、アセナフチレン、トリフェニレン、インデン、フルオレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素が好ましく例示できる。
さらに、前記炭化水素基は、これらの炭化水素を2以上組み合わせた炭化水素から水素原子をn個除した炭化水素基であってもよい。
また、このような炭化水素基を構成する炭素原子は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で1個以上置換されてもよい。
置換基としては水素を除く、1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−リール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(アルキル))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(アリール))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(アルキル))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(アリール))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oアルキル)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oアリール)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(Oアルキル)2)、ジアリールホスホノ基(−PO(Oアリール)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO(Oアルキル)(Oアリール))、モノアルキルホスホノ基(−PO(Oアルキル)OH)及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO(Oアリール)OH)及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(Oアルキル)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(Oアリール)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(Oアルキル)(Oアリール))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO(Oアルキル)OH)及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO(Oアリール)OH)及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(アルキル)2)、ジアリールボリル基(−B(アリール)2)、アルキルアリールボリル基(−B(アルキル)(アリール))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(アルキル)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(アリール)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。これら置換基は可能であるならば置換基同士、又は、置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基はさらに置換されていてもよい。
好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が挙げられる。
なお、前記Rにおける炭素数は、置換基を構成する炭素原子を含んで1から40である。
前記炭化水素としては、シクロヘキサン、2−メチルプロパン、p−アニソール、シクロヘキセン、ブタン、ベンゼン、アダマンタン、プロパン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、プロペン、ノルボルネン、ピリジンが好ましく、シクロヘキサン、アダマンタン、プロパン、ビシクロ[2.2.2]オクテンがより好ましく、シクロヘキサンがさらに好ましい。
式(I)におけるRは、炭素原子数3から30までのn価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数4から25までのn価の炭化水素基であることがより好ましい。
また、式(I)におけるRは、脂肪族環状構造又は芳香環を有する基であることが好ましく、脂肪族環状構造を有する基であることがより好ましい。
式(I)におけるnは、1から8までの整数を表し、1から6までの整数であることが好ましく、2から6までの整数であることがより好ましく、2から4までの整数であることがさらに好ましく、2であることが特に好ましい。
以下に本発明に用いられるビニルエステル化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、n−ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、n−オクタン酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、10−ウンデセン酸ビニル、ケイ皮酸ビニル、プロピオル酸ビニル、1,3−アセトンジカルボン酸モノビニル、1,3−アセトンジカルボン酸ジビニル、1−アセチルインドール−2−カルボン酸ビニル、アセチレンジカルボン酸モノビニル、アセチレンジカルボン酸ジビニル、1−アセチル−4−ピペリジンカルボン酸ビニル、1−アダマンタンカルボン酸ビニル、1,3−アダマンタンジカルボン酸モノビニル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジビニル、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸ビニル、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸ビニル、2−フランカルボン酸ビニル、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸ビニル、3−endo−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−endo−カルボン酸ビニル、3−exo−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−exo−カルボン酸ビニル、1−アミノシクロプロパンカルボン酸ビニル、1−アミノインダン−1,5−ジカルボン酸モノビニル、1−アミノインダン−1,5−ジカルボン酸ジビニル、trans−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、3−アミノピラジン−2−カルボン酸ビニル、3−アミノピラゾ−ル−4−カルボン酸ビニル、アントラセン−9−カルボン酸ビニル、アウリントリカルボン酸モノビニル、アウリントリカルボン酸ジビニル、アウリントリカルボン酸トリビニル、cis−アゼチジン−2,4−ジカルボン酸モノビニル、cis−アゼチジン−2,4−ジカルボン酸ジビニル、
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸モノビニル、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ジビニル、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸トリビニル、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラビニル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸モノビニル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジビニル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリビニル、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸モノビニル、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸ジビニル、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸トリビニル、ベンズイミダゾール−5−カルボン酸ビニル、ベンゾ[b]フラン−2−カルボン酸ビニル、ベンゾフェノン−2−カルボン酸ビニル、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ビニル、cis又はtrans−2−ベンゾイル−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、2−trans−ベンゾイル−5−trans−フェニル−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、diendo−3−ベンゾイルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸ビニル、3−endo−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−endo−カルボン酸ビニル、3−exo−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−exo−カルボン酸ビニル、cis−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、cis−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−4−シクロヘキセン−1−カルボン酸ビニル、2−ビベンジルカルボン酸ビニル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸ビニル、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸モノビニル、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジビニル、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸トリビニル、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸テトラビニル、2−ビフェニルカルボン酸ビニル、4−ビフェニルカルボン酸ビニル、cis又はtrans−2−(4−ブロモベンゾイル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、exo−2−ブロモ−5−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−sym−7−カルボン酸ビニル、cis−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、cis−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−シクロペンタンカルボン酸ビニル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸ビニル、trans−4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、5−ブチル−2−ピリジンカルボン酸ビニル、
cis又はtrans−2−(p−クロロベンゾイル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、exo−2−クロロ−5,5−エチレンジオキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−sym−7−カルボン酸ビニル、7−クロロ−6−フルオロ−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸ビニル、1−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)シクロペンタンカルボン酸ビニル、1−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)シクロペンタンカルボン酸ビニル、5−クロロインド−ル−2−カルボン酸ビニル、2−クロロ−6−メチル−3−ピリジンカルボン酸ビニル、exo−2−クロロ−5−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−sym−7−カルボン酸ビニル、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロブタンカルボン酸ビニル、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロペンタンカルボン酸ビニル、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロパンカルボン酸ビニル、3−クロロチオフェン−2−カルボン酸ビニル、クマリン−3−カルボン酸ビニル、
シクロブタンカルボン酸ビニル、1,1−シクロブタンジカルボン酸モノビニル、1,1−シクロブタンジカルボン酸ジビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、cis又はtrans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノビニル、cis又はtrans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸モノビニル、1,2,3、4、5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸モノビニル、1,2,3、4、5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸ジビニル、1,2,3、4、5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸トリビニル、1,2,3、4、5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸テトラビニル、1,2,3、4、5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸ヘプタビニル、1,2,3、4、5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸ヘキサビニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニル、1−シクロヘキセン−1−カルボン酸ビニル、3−シクロヘキセンカルボン酸ビニル、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸モノビニル、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジビニル、シクロペンタンカルボン酸ビニル、cis,cis,cis,cis−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸モノビニル、cis,cis,cis,cis−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸ジビニル、cis,cis,cis,cis−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸トリビニル、cis,cis,cis,cis−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸テトラビニル、
シクロプロパンカルボン酸ビニル、1,1−シクロプロパンジカルボン酸モノビニル、1,1−シクロプロパンジカルボン酸ジビニル、1,10−デカンジカルボン酸モノビニル、1,10−デカンジカルボン酸ジビニル、1−(2,4−ジクロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸ビニル、3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−4−オキソ−2H−ピラン−6−カルボン酸ビニル、4,5−ジヒドロキシアントラキノン−2−カルボン酸ビニル、4,8−ジヒドロキシキノリン−2−カルボン酸ビニル、1,12−ドデカンジカルボン酸モノビニル、1,12−ドデカンジカルボン酸ジビニル、4−エチルビフェニル−4’−カルボン酸ビニル、9H−フルオレン−4−カルボン酸ビニル、9H−フルオレン−9−カルボン酸ビニル、cis又はtrans−2−(4−フルオロベンゾイル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(2−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(4−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(2−フルオロフェニル)シクロペンタンカルボン酸ビニル、1−(3−フルオロフェニル)シクロペンタンカルボン酸ビニル、1−(4−フルオロフェニル)シクロペンタンカルボン酸ビニル、フラン−2−カルボン酸ビニル、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸ビニル、1−ヒドロキシ−1−シクロプロパンカルボン酸ビニル、
5−ヒドロキシ−2−インド−ルカルボン酸ビニル、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジン−3−カルボン酸ビニル、3−ヒドロキシ−2−メチル−4−キノリンカルボン酸ビニル、3−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボン酸ビニル、4−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボン酸ビニル、8−ヒドロキシキノリン−2−カルボン酸ビニル、3−ヒドロキシ−2−キノキサリンカルボン酸ビニル、4−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−3−キノリンカルボン酸ビニル、4,5−イミダゾ−ルジカルボン酸モノビニル、4,5−イミダゾ−ルジカルボン酸ジビニル、インド−ル−2−カルボン酸ビニル、1−イソキノリンカルボン酸ビニル、5−メトキシインド−ル−2−カルボン酸ビニル、1−(4−メトキシフェニル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(4−メトキシフェニル)−1−シクロペンタンカルボン酸ビニル、1−(4−メトキシフェニル)−1−シクロプロパンカルボン酸ビニル、2−メチル−1H−ベンズイミダゾ−ル−5−カルボン酸ビニル、
cis又はtrans−2−(p−メチルベンゾイル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、2−メチルシクロプロパンカルボン酸ビニル、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸)モノビニル、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸)ジビニル、3−メチレンシクロプロパン−trans−1,2−ジカルボン酸モノビニル、3−メチレンシクロプロパン−trans−1,2−ジカルボン酸ジビニル、1−(4−メチルフェニル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−(4−メチルフェニル)−1−シクロプロパンカルボン酸ビニル、5−メチル−2−ピラジンカルボン酸ビニル、N−メチルピロ−ル−2−カルボン酸ビニル、DL−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ビニル、3−メチル−2−チオフェンカルボン酸ビニル、5−メチル−2−チオフェンカルボン酸ビニル、
2,3−ナフタレンジカルボン酸モノビニル、2,3−ナフタレンジカルボン酸ジビニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸モノビニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジビニル、3−ノルアダマンタンカルボン酸ビニル(トリシクロ[3.3.1.03,7]ノナン−3−カルボン酸ビニル)、cis−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸モノビニル、cis−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸ジビニル、4−オキソ−4H−1−ベンゾピラン−2−カルボン酸ビニル、trans−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−フェニル−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、4−trans−フェニルシクロヘキサン−cis−1,2−ジカルボン酸モノビニル、4−trans−フェニルシクロヘキサン−cis−1,2−ジカルボン酸ジビニル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸ビニル、1−フェニル−1−シクロプロパンカルボン酸ビニル、trans−2−フェニルシクロプロパン−1−カルボン酸ビニル、3−フェニルピロリジン−2−カルボン酸ビニル、
フタル酸モノビニル、フタル酸ジビニル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸モノビニル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸ジビニル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸トリビニル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラビニル、4−n−プロピルビフェニル−4’−カルボン酸ビニル、trans−4−プロピルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、2−ピラジンカルボン酸ビニル、2,3−ピラジンジカルボン酸モノビニル、2,3−ピラジンジカルボン酸ジビニル、2,5−ピラジンジカルボン酸モノビニル、2,5−ピラジンジカルボン酸ジビニル、3,5−ピラゾ−ルジカルボン酸モノビニル、3,5−ピラゾ−ルジカルボンジ酸ビニル、4−ピリジンカルボン酸ビニル、3−ピリジンカルボン酸ビニル、2−ピリジンカルボン酸ビニル、2,5−ピリジンジカルボン酸モノビニル、2,5−ピリジンジカルボン酸ジビニル、2,5−ピリジンジカルボン酸モノビニル、2,5−ピリジンジカルボン酸ジビニル、2−ピロリジンカルボン酸ビニル、2−ピロリドン−5−カルボン酸ビニル、3−キノリンカルボン酸ビニル、
テレフタル酸モノビニル、テレフタル酸ジビニル、1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−カルボン酸ビニル、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸モノビニル、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸ジビニル、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸トリビニル、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸テトラビニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸ビニル、テトラヒドロ−5−オキソ−2−フランカルボン酸ビニル、チアゾリジン−2−カルボン酸ビニル、cis又はtrans−2−(2−チオフェンカルボニル)−1−シクロヘキサンカルボン酸ビニル、2−チオフェンカルボン酸ビニル、3,4−チオフェンジカルボン酸モノビニル、3,4−チオフェンジカルボン酸ジビニル、1−(p−トリル)−1−シクロペンタンカルボン酸ビニル、3,4,5−トリヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸ビニル。
これらの中でも、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニル、ピバリン酸ビニル、p−アニス酸ビニル、3−シクロヘキセンカルボン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジビニル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラビニル、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸テトラビニル、メタクリル酸ビニル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジビニル、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラビニル、2,5−ピリジンジカルボン酸ジビニルが好ましく、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジビニル、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸テトラビニル、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸テトラビニルがより好ましく、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニルが特に好ましい。
本発明のインク組成物におけるビニルエステル化合物の含有量は、硬化速度とインク組成物のインクジェット適性の観点から、インク組成物全体の重量に対して、5〜70重量%の範囲であることが好ましく、10〜55重量%の範囲がより好ましく、15〜40重量%の範囲がさらに好ましい。
また、ビニルエステル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<他の重合性化合物>
本発明のインク組成物には、ビニルエステル化合物以外の他のラジカル重合性化合物を含むことも好ましい。
他のラジカル重合性化合物は、目的とする諸特性、或いは、ラジカル重合開始剤との関連において適宜選択して用いればよい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
本発明のインク組成物は、ラジカル重合性化合物として、エチレン性不飽和結合及び脂環構造を有する化合物(以下、「特定脂環モノマー」ともいう。)を含有していてもよい。
本発明に用いることができる特定脂環モノマーとしては、エチレン性不飽和結合及び脂環構造を少なくとも1つずつ有する化合物であれば制限なく用いることができる。
インクジェット記録用インクとして好適な低粘度組成物とするため、及び、画像形成において柔軟な硬化膜を得ることができるという観点から、特定脂環モノマーが有するエチレン性不飽和結合の数は1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
好ましいエチレン性不飽和結合を含む官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等が挙げられ、インク組成物の硬化感度の観点から(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、アクリロイル基であることが特に好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基又はアクリロイル基を意味する。
脂環構造としては、脂肪族環状構造であればよいが、前記脂環構造を構成する環は3〜7員環であることが好ましく、4〜7員環であることがより好ましく、5〜6員環であることが最も好ましい。
前記脂環構造を形成する結合は主に単結合であることが好ましいが、二重結合を含んでいてもよい。
前記脂環構造のうち、複数の環が縮環した脂肪族縮環構造であることがより好ましい。また、前記脂環構造のなかでも、橋かけ環構造を有するものが好ましく、ビシクロ環又はトリシクロ環がより好ましく、さらに環内に二重結合を有するものが特に好ましい。
本発明におけるビシクロ環又はトリシクロ環とは、鎖式構造まで開くのに必要な環原子間結合の切断の数が3回の場合をトリシクロ環、2回の場合をビシクロ環といい、そのような環構造をトリシクロ環、ビシクロ環と称する。その構造内の環を形成する原子に制限はないが、好ましくは、酸素又は炭素からなる環が好ましく、炭素原子からなる環が更に好ましい。これらの環構造を形成する炭素原子数は6〜18であることが好ましく、7〜12であることがより好ましい。
前記脂環構造を形成する環には、導入可能な場合には置換基を有していても良く、好ましい置換基としては炭素数1〜4程度の比較的短鎖のアルキル基が挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、環を形成する構成成分として、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
前記特定脂環モノマーにおいて、脂環構造は連結基を介して重合性不飽和結合と連結されるが、脂環構造のいずれの部位が重合性不飽和結合と連結されていてもよい。
前記特定脂環モノマーは、より具体的には、式(5)で表される如き化合物、すなわち脂環構造に、所定の連結基を介して重合性二重結合が結合している化合物が好ましい。
Figure 2009073945
式(5)中、R6はメチル基又は水素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
Zは2価の連結基又は単結合を表し、酸素原子又はたアルキレン基が好ましく、炭素数1〜20のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3〜12のアルキレン基であることが特に好ましい。
前記Zで表されるアルキレン基においてメチレン基(−CH2−)からなるメチレン鎖中に、−CO−、−O−、−S−又は−NR7−から選択される2価の基を有していてもよく、メチレン基からなるアルキレン鎖中にエーテル結合(−O−)を有するものが好ましい。中でも、アルキレン基の両末端にエーテル結合(−O−)を有するものが特に好ましい。
なお、ここでR7は水素原子、アルキル基又は置換アルキル基を表す。
7は炭素数1以上のアルキル基であり、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。好ましいアルキル基としては、より具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ノニル基などが挙げられ、メチル基、エチル基及びブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
7が置換アルキル基の場合、導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が好ましく挙げられる。
また、前記Zにおけるアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が例示できる。
ここで、Zで表されるアルキレン基としては、炭素数3〜12程度のアルキレン基が特に好ましく、具体的には例えば、プロピレン基、ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。これらアルキレン基中のメチレン基からなる鎖状構造中には、上述の−CO−、−O−、−S−又は−NR7−から選択される2価の基を有していてもよい。また、これらの2価の連結基は2種以上を組み合わせて構成される2価の連結基であってもよい。
Lは脂環構造を表し、縮環構造であることが好ましく、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格又はトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格が好ましい構造として挙げられる。また、ビシクロ環、トリシクロ環構造であって、環内に二重結合を有する構造がより好ましい。
特定脂環モノマーの具体例〔例示化合物(B−1)〜(B−31)〕を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。また、各例示化合物において立体異性体が存在する場合は、それらのいずれを用いてもよく、立体異性体の混合物を用いてもよい。
Figure 2009073945
Figure 2009073945
これらのなかでも、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(B−21)、(B−22)、(B−26)、(B−27)、(B−28)、(B−29)、(B−30)、(B−31)などが好ましく、(B−21)、(B−27)、(B−29)、(B−30)、(B−31)がより好ましく、(B−29)、(B−30)が特に好ましい。
特定脂環モノマーは、例えば、米国特許3,087,962号公報、J.Chem.Soc.Chem.Commun.14巻1073〜1074頁(1986年)、米国特許4,097,677号公報、New Journal of Chemistry 17巻12号835〜841頁(1993年)等に記載されている公知の合成方法より製造することができる。また、SR423(サートマー・ジャパン社製)、SR506(サートマー・ジャパン社製)、SR535(サートマー・ジャパン社製)、SR833(サートマー・ジャパン社製)、CD406(サートマー・ジャパン社製)、A−IB(新中村化学工業(株)製)、IB(新中村化学工業(株)製)、ファンクリルFA−511A(日立化成工業(株)製)、ファンクリルFA−511A(日立化成工業(株)製)、ファンクリルFA−512A(日立化成工業(株)製)、ファンクリルFA−513A(日立化成工業(株)製)、ファンクリルFA−512M(日立化成工業(株)製)等の市販品としても入手可能である。
本発明のインク組成物が前記特定脂環モノマーを有する場合、前記特定脂環モノマーの含有量は、インク組成物全体の重量に対して、5〜50重量%の範囲であることが好ましく、15〜40重量%の範囲がより好ましく、20〜35重量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲であると、硬化速度が速くなる。
また、特定脂環モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることができるラジカル重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を有するアミド化合物(以下、「特定アミドモノマー」ともいう。)を含有していてもよい。 本発明に用いることができる特定アミドモノマーとしては、エチレン性不飽和結合がアミド基(−NR1CO−)の窒素原子又はカルボニル炭素原子に直接結合した構造を少なくとも1つ有する化合物であれば制限なく使用することができる。なお、ここでR1は水素原子、アルキル基又は置換アルキル基を表す。
1は炭素数1以上のアルキル基であり、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
好ましいアルキル基としては、より具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ノニル基などが挙げられ、メチル基、エチル基及びブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rが置換アルキル基の場合、導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が好ましく挙げられる。
保存安定性と入手性の点から、特定アミドモノマーは、エチレン性不飽和結合がアミド基(−NR1CO−)の窒素原子又はカルボニル炭素原子に直接結合した構造を、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個有する。
好ましいエチレン性不飽和結合を含む官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等が挙げられ、インク組成物の硬化感度の点から(メタ)アクリロイル基又はビニル基であることが好ましく、アクリロイル基又はビニル基であることが特に好ましい。
特定アミドモノマーとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ジフェニルメチルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジ(メタ)アクリロイル−1,2−ジヒドロキシエチレンジアミン、ケイ皮酸アミド、N−ビニルラクタム類を使用することが好ましく、N−ビニルラクタム類を使用することがさらに好ましい。
本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009073945
式(II)中、pは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、被記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の点から、pは2〜4の整数であることが好ましく、pが2又は4であることがより好ましく、pが4である、すなわち、N−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性及び硬化膜の被記録媒体への密着性が得られる。
また、前記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していてもよい。
本発明のインク組成物における特定アミドモノマーの含有量は、インク組成物全体の重量に対して、5〜40重量%の範囲であることが好ましく、10〜35重量%の範囲がより好ましく、15〜30重量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲とすることで、良好な硬化速度と基材への密着性が得られる。
また、特定アミドモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、ラジカル重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物を用いることが好ましい。
好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、Rapi−Cure DVE−3、Rapi−Cure DVE−2(いずれも、ISP Europe社製)等の市販品を用いることもできる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、接着性、表面硬度の点から、ジビニルエーテル化合物、又は、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明のインク組成物におけるビニルエーテル化合物の含有量は、インク組成物全体の重量に対して、0〜20重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜15重量%の範囲がより好ましく、1〜10重量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲とすることで、良好なインクジェット吐出安定性が得られる。
ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、他の重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらのエステル及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ポリブタジエン、不飽和ポリウレタン、エポキシ系アクリレートモノマー、オリゴマー或いはプレポリマー、ウレタン系アクリレートモノマー、オリゴマー或いはプレポリマー、ポリエステル系アクリレートモノマー、オリゴマー或いはプレポリマー等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−セチル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−フェノキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、アリル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキシド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキシド)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、サートマー社より機能性モノマーとして市販されているSR&CDシリーズ、機能性オリゴマーとして市販されているCNシリーズ等の単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等の単官能又は多官能のアリル化合物等が挙げられる。
さらに具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー社);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社);テクノネット社編「光硬化技術データブック 材料編 モノマー,オリゴマー,光重合開始剤」(2000年、テクノネット社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性又は架橋性のモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びポリマーを用いることができる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号、特表2004−514014公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる。硬化速度が速いことから、単官能又は多官能のアクリレート化合物が特に好ましい。
さらにまた、上記の単官能アクリレート化合物から選択される少なくとも1種と、多官能アクリレート化合物(オリゴマー、プレポリマー及びポリマーを含む)から選択される少なくとも1種とを併用する態様が、保存安定性、硬化性、膜強度をより改善することができるという点から、好ましい態様として挙げられる。
単官能アクリレート化合物から選択される少なくとも1種、前述の特定アミドモノマーから選択される少なくとも1種、並びに、多官能アクリレート化合物(オリゴマー、プレポリマー及びポリマーを含む)から選択される少なくとも1種との併用は、保存安定性、被記録媒体への接着性、耐擦過性及び硬化速度がさらに優れるため好ましく、前述の特定脂環モノマーから選択される少なくとも1種、前述の特定アミドモノマーから選択される少なくとも1種、並びに、多官能アクリレート化合物(オリゴマー、プレポリマー及びポリマーを含む)から選択される少なくとも1種との併用が特に好ましい。
本発明において、ビニルエステル化合物を含むラジカル重合性化合物全体の含有量は、硬化速度とインクジェット吐出安定性の点から、インク組成物全体の重量に対して、50〜90重量%であることが好ましく、60〜85重量%であることがさらに好ましく、70〜80重量%であることが特に好ましい。
ラジカル重合性化合物が、ビニルエステル化合物、前述の特定脂環モノマーから選択される少なくとも1種、前述の特定アミドモノマーから選択される少なくとも1種、並びに、多官能アクリレート化合物(オリゴマー、プレポリマー及びポリマーを含む)から選択される少なくとも1種との併用である場合には、保存安定性、被記録媒体への接着性、膜強度、硬化速度及びインクジェット吐出安定性の点から、それぞれの含有量は、インク組成物全体の重量に対して、ビニルエステル化合物を5〜70重量%、前述の特定脂環モノマーを5〜50重量%、前述の特定アミドモノマーを5〜40重量%、及び、多官能アクリレート化合物を1〜40重量%であることが好ましい。
なお、本発明における重合開始剤と重合性化合物の選択に関して言えば、種々の目的に応じて(例えば、インク組成物に使用する着色剤の遮光効果による感度低下を防ぐ手段として)、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤との組み合わせの他、これらと共に、カチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤とを併用したラジカル・カチオンのハイブリッド型のインク組成物としてもよい。
本発明に用いうるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
また、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物が知られており、最近では400nm以上の可視光波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物として、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。これらも本発明のインク組成物に適用することができる。
また、本発明にカチオン重合性化合物を使用する場合、後述するラジカル重合開始剤と併用して、カチオン重合開始剤を用いてもよい。
カチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
前記カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
(C)ラジカル重合開始剤
本発明のインク組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
(a)芳香族ケトン類、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J. P. FOUASSIER J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、及び、(e)チオ化合物より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルフェニルスルフィド等が例示できる。また、チオキサントン化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が例示できる。
また、(a)芳香族ケトンとしては、α−ヒドロキシケトンが好ましく、例えば、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
これらの中でも、(a)芳香族ケトンとしては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物が特に好ましい。なお、本発明において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物とは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが任意の置換基で置換された化合物を意味するものである。置換基としては、ラジカル重合開始剤としての能力を発揮しうる範囲で任意に選択することができ、具体的にはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)が例示できる。
また、(b)アシルホスフィン化合物としては、アシルホスフィンオキサイド化合物が好ましい。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、化合物の構造中に式(7)又は式(8)の構造式を有するものが例示できる。
Figure 2009073945
Figure 2009073945
特に、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、式(9)又は式(10)の化学構造を有するものが特に好ましい。
Figure 2009073945
(式中、R6、R7、R8はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
Figure 2009073945
(式中、R9、R10、R11はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物及びビスアシルホスフィンオキサイド化合物等を使用することができ、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、公知のモノアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することができる。例えば特公昭60−8047号公報、特公昭63−40799号公報に記載のモノアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、イソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、p−三級ブチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−三級ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−(三級ブチル)ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチル−シクロヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル等が挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては公知のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が使用できる。例えば特開平3−101686号公報、特開平5−345790号公報、特開平6−298818号公報に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−工トキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、本発明において、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(DAROCUR TPO:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Lucirin TPO:BASF社製)などが好ましい。
(c)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の15、16及び17族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び同422570号の各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び同2833827号の各明細書に記載されるジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び特公昭46−42363号の各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号の各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
(d)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系の化合物が好ましい。
(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(g)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(h)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号の各明細書に記載されている化合物が挙げられる。
(i)アジニウム化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、及び特公昭46−42363号の各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(j)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物、及び、特開平1−304453号、特開平1−152109号の各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエニル−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイルアミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
(k)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び同0388343号の各明細書、米国特許3901710号、及び同4181531号の各明細書、特開昭60−198538号、及び特開昭53−133022号の各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び同0101122号の各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、及び同4431774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び特開平4−365048号の各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び特開昭59−174831号の各公報に記載される化合物等が挙げられる。
(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan、42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem.、29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、或いはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
本発明において、ラジカル重合開始剤の含有量は、保存安定性と硬化速度の点から、インク組成物全体の重量に対して、1〜25重量%であることが好ましく、3〜20重量%であることがさらに好ましく、5〜15重量%であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物に後述する増感剤を用いる場合、重合開始剤の総使用量は、それぞれ、増感剤に対して、重合開始剤:増感剤の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
(D)着色剤
本発明に使用することのできる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、油溶性染料、水溶性染料、分散染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。この中でも、着色剤としては、耐候性に優れ、色再現性に富む点から、顔料、及び/又は、油溶性染料であることが好ましく、顔料であることがより好ましい。
本発明のインク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
<顔料>
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられ、また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状有機化合物や不溶性の樹脂等に分散させたもの、及び、樹脂や顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。なお、前記顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年、朝倉書店発行)、橋本勲著「有機顔料ハンドブック」(2006年、カラーオフィス発行)、W.Herbst,K.Hunger編「Industrial Organic Pigments」(1992年、Wiley−VHC発行)、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載のものが挙げられる。
前記有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
前記黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、10、65、73、74、75、97、98、111、116、130、167、205等のモノアゾ顔料、61、62、100、168、169、183、191、206、209、212等のモノアゾレーキ顔料、12、13、14、16、17、55、63、77、81、83、97、83、124、126、127、152、155、172、174、176、214、219等のジスアゾ顔料、24、108、193、199等のアントラキノン顔料、60等のモノアゾピラゾロン顔料、93、95、128、166等の縮合アゾ顔料、109、110、139、173、185等のイソインドリン顔料、120、151、154、175、180、181、194等のベンズイミダゾロン顔料、117、150、153等のアゾメチン金属錯体顔料、138等のキノフタロン顔料、213等のキノキサリン顔料が好ましい。
前記赤色又はマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド 3等のモノアゾ系顔料、193等のモノアゾレーキ顔料、38等のジスアゾ顔料、2、5、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、22、23、31、32、112、114、146、147、150、170、187、188、210、213、238、245、253、256、258、266、268、269等のナフトールAS顔料、3、4、6等のβ−ナフトール顔料、49、53、68等β−ナフトールレーキ顔料、237、239、247等のナフトールASレーキ顔料、41等のピラゾロン顔料、48、52、57、58、63、64:1、200等のBONAレーキ顔料、81:1、169、172等のキサンテンレーキ顔料、88、181等のチオインジゴ顔料、122、202(C.I.ピグメントバイオレット 19との混合物を含む)、123、149、178、179、190、224等のペリレン顔料、144、166、214、220、221、242、262等の縮合アゾ顔料、168、177、263等のアントラキノン顔料、83等のアントラキノンレーキ顔料、171、175、176、185、208等のベンズイミダゾロン顔料、207、209、262等のキナクリドン顔料、254、255、264、270、272等のジケトピロロピロール顔料、257、271等のアゾメチン金属錯体顔料が好ましい。
前記青色又はシアン顔料としては、C.I.プグメントブルー 25、26等のナフトールAS顔料、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1等のフタロシアニン顔料、1、24:1、56等の染付けレーキ顔料、60等のアントラキノン系顔料が好ましい。
前記緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン 1、4等の染付けレーキ顔料、7、36等のフタロシアニン顔料、8等のアゾメチン金属錯体顔料が好ましい。
前記橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ 1等のモノアゾ顔料、2、3、5等のβ−ナフトール顔料、4、24、38、74等のナフトールAS顔料、13、34等のピラゾロン顔料、36、60、62、64、72等のベンズイミダゾロン顔料、15、16等のジスアゾ顔料、17、46等のβ−ナフトールレーキ顔料、19等のナフタレンスルホン酸レーキ顔料、43等のペリノン顔料、48、49等のキナクリドン顔料、51等のアントラキノン系顔料、61等のイソインドリノン顔料、66等のイソインドリン系顔料、68等のアゾメチン金属錯体顔料、71、73、81等のジケトピロロピロール顔料が好ましい。
前記褐色顔料としては、C.I.ピグメントブラウン 5等のBONAレーキ顔料、23、41、42等の縮合アゾ顔料、25、32等のベンズイミダゾロン顔料が好ましい。
前記紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット 1、2、3、27等の染付けレーキ顔料、13、17、25、50等のナフトールAS顔料、5:1等のアントラキノンレーキ顔料、19等のキナクリドン顔料、23、37等のジオキサジン顔料、29等のペリレン顔料、32等のベンズイミダゾロン顔料、38等のチオインジゴ顔料が好ましい。
前記黒色顔料としては、C.I.ピグメントブラック 1等のインダジン顔料、7であるカーボンブラック、10であるグラファイト、11であるマグネタイト、20等のアントラキノン顔料、31、32等のペリレン顔料が好ましい。
前記白色顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 4である酸化亜鉛、6である酸化チタン、7である硫化亜鉛、12である酸化ジルコニウム(ジルコニウムホワイト)、18である炭酸カルシウム、19である酸化アルミニウム・酸化ケイ素(カオリンクレー)、21又は22である硫酸バリウム、23である水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、27である酸化ケイ素、28であるケイ酸カルシウムが好ましい。
白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。
中でも前記酸化チタンは、他の白色顔料と比べて比重が小さい、屈折率が大きい、隠蔽力や着色力が大きい、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れていることから、好適に使用される。なお、前記酸化チタンに加えて他の白色顔料(上述した白色顔料以外のものであってもよい)を併用してもよい。
<油溶性染料>
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
本発明に適用可能な油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
<分散染料>
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で、分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9等が挙げられる。
本発明に用いることができる(D)着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、着色剤の含有量は、着色剤の物性(比重、着色力や色味等)、インク組成物を何色組み合わせて印刷物を作製するかといった条件により適宜選択することができるが、隠蔽力や着色力の点から、インク組成物全体の重量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.2〜25重量%であることがさらに好ましく、0.3〜20重量%であることが特に好ましい。
本発明において、着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、予め汎用の有機溶剤(メチルエチルケトン、トルエン、ブタノール、酢酸ブチル等)あるいは本発明に使用するラジカル重合性化合物のような液体の媒体に添加し、分散又は溶解させた後、配合することもできる。媒体が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化及び残留するVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物に予め添加して配合することが好ましい。また、配合時の作業性を考慮すると、使用する媒体は、最も低粘度のラジカル重合性化合物を選択することがより好ましい。
本発明において、着色剤に顔料を使用する場合には、顔料と分散剤とを混合した後、ラジカル重合性化合物に添加して分散する、又は、ラジカル重合性化合物と分散剤とを混合した後、顔料を添加して分散することが好ましい。分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、ソルトミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
なお、着色剤として顔料を使用する場合には、顔料粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、顔料、分散剤、媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。平均粒径が上記の範囲であると、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化速度を維持することができる。
本発明のインク組成物において、着色剤として顔料を使用する場合には、インク組成物中に安定に顔料を分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
また、高分子分散剤の主鎖骨格は、特に制限は無いが、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリアミド骨格、ポリウレア骨格等が挙げられ、インク組成物の保存安定性の点で、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格が好ましい。また、高分子分散剤の構造に関しても特に制限は無いが、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造、星型構造等が挙げられ、同様に保存安定性の点で、ブロック構造又はくし型構造が好ましい。
高分子分散剤としては、ビックケミー社より市販されている湿潤分散剤DISPERBYKシリーズの101、102、103、106、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、108、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2096、2150、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKAシリーズの4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4402、4403、4406、4800、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、5244、ルーブリゾール社より市販されているSolsperseシリーズの3000、5000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000、53095、54000、55000、56000、71000、楠本化成社より市販されているDISPARLONシリーズの1210、1220、1831、1850、1860、2100、2150、2200、7004、KS−260、KS−273N、KS−860、KS−873N、PW−36、DN−900、DA−234、DA−325、DA−375、DA−550、DA−1200、DA−1401、DA−7301、味の素社より市販されているアジスパーシリーズのPB−711、PB−821、PB−822、PN−411、PA−111、エアープロダクツ社より市販されているサーフィノールシリーズの104A、104C、104E、104H、104S、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、420、440、DF110D、DF110L、DF37、DF58、DF75、DF210、CT111、CT121、CT131、CT136、GA、TG、TGE、日信化学工業社より市販されているオルフィンシリーズのSTG、E1004、サンノプコ社製SNスパースシリーズの70、2120、2190、ADEKA社より市販されているアデカコール及びアデカトールシリーズ、三洋化成工業社市販されているサンノニックシリーズ、ナロアクティーCLシリーズ、エマルミンシリーズ、ニューポールPEシリーズ、イオネットMシリーズ、イオネットDシリーズ、イオネットSシリーズ、イオネットTシリーズ、サンセパラー100が挙げられる。
さらに、分散時には、分散剤に加えて、一般にシナジストと呼ばれる分散助剤(例えば、ルーブリゾール社より市販されているSolsperseシリーズの5000、12000、22000、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKA6745等)や、各種界面活性剤、消泡剤を添加して、顔料の分散性、濡れ性を向上させることも好ましい。
本発明において、顔料に対する分散剤の重量比は、インク組成物中における顔料の重量をAと、インク組成物中における分散剤の重量Dとした場合、その重量比(D/A)が、0.5<D/A≦15であることが好ましく、1≦D/A≦10であることがより好ましく、1.2≦D/A≦8であることがさらに好ましい。上記範囲であると、顔料の凝集・沈降、インク粘度上昇が生じず、保存安定性に優れるインク組成物が得られ、インク粘度が低粘度で吐出安定性にも優れるインク組成物が得られる。
<増感剤>
本発明のインク組成物には、ラジカル重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために、増感剤を添加することができる。
増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基の生成を促進させるものである。
増感剤は、インク組成物に使用されるラジカル重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよい。一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられ、多核芳香族類及びチオキサントン類が好ましい類として挙げられる。
より好ましい増感剤の例としては、下記式(I)〜(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009073945
式(I)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
Figure 2009073945
式(II)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。Wは式(I)に示したものと同義である。
Figure 2009073945
式(III)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
Figure 2009073945
式(IV)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
Figure 2009073945
式(V)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又は=NR67を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
式(I)〜(V)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2009073945
Figure 2009073945
<共増感剤>
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−54735号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインク組成物をインクジェト記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインク組成物が放射線硬化型インク組成物であることに鑑み、インク組成物着弾直後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、溶剤を含まないことが好ましい。しかし、インク組成物の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。本発明において、溶剤としては、有機溶剤、水が使用できる。特に、有機溶剤は、被記録媒体(紙などの支持体)との接着性を改良するために添加され得る。有機溶剤を添加すると、VOCの問題が回避できるので有効である。
有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の重量に対し、例えば、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
この他に、必要に応じて、公知の化合物を本発明のインク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への接着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
(インク組成物の性質)
本発明のインク組成物の好ましい物性について説明する。
本発明のインク組成物は、吐出性を考慮し、吐出時の温度(好ましくは40〜80℃、より好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは10〜50mPa・s、より好ましくは12〜40mPa・sである。
本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。さらにインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、より好ましくは23〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下がより好ましい。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法、及び前記インクジェット記録方法に適用しうるインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、(i−1)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(i−2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(i−1)及び(i−2)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法における(i−1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置が用いることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(i−1)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いた、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは40〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは7〜30mPa・s、より好ましくは7〜25mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sであるものを用いると、大きな効果を得ることができるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(i−2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれるラジカル重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの開始種を発生し、その開始種の機能により、ラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物においてラジカル重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、ラジカル重合開始剤と接触することによってその分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。特に電子線、紫外線、可視光線のいずれかであることが好ましい。活性放射線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物に適用される重合開始系は、低出力の活性放射線であっても充分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜2,000mJ/cm2であることがより好ましく、20〜1,000mJ/cm2であることがさらに好ましく、50〜800mJ/cm2であることが特に好ましい。
さらに、活性放射線は、露光面照度が、好ましくは10〜2,000mW/cm2、より好ましくは20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件及び基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられる。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際出願第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、接着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物により、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に高精細で、高強度の画像を形成することができる。また、被記録媒体との接着性に優れた画像を形成することができる。
さらに、本発明のインク組成物は、好適な低粘度組成物であり、前記インク組成物を用いることにより、画像形成において柔軟な硬化膜を得ることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
本発明インク組成物で使用した素材は下記に示す通りである。
・IRGALITTE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−335 D(マゼンタ顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・TIPAQUE CR−60−2(ホワイト顔料、石原産業社製)
・DISPERBYK−168(顔料分散剤、固形分30%、BYK Chemie社製)
・SOLSPERSE 5000(顔料分散剤、Lubrizol社製)
・SOLSPERSE 32000(顔料分散剤、Lubrizol社製)
・SOLSPERSE 36000(顔料分散剤、Lubrizol社製)
・RAPI−CURE DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、ISP社製)
・FA−512AS(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、日立化成工業社製)
・FA−512A(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、日立化成工業社製)
・SR339A(2−フェノキシエチルアクリレート、SARTOMER社製)
・SR238F(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、SARTOMER社製)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、SARTOMER社製)
・SR9003(プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコール プロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、SARTOMER社製)
・SR351S(トリメチロールプロパントリアクリレート、SARTOMER社製)
・KAYARAD DPCA−60(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製)
・EBECRYL 230(脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック社製)
・CN964A85(ウレタンアクリレートオリゴマー、SARTOMER社製)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤)
・IRGACURE 184(光開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE 819(光開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE 369(光開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・DAROCUR EBD(エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・FIRSTCURE ITX(イソプロピルチオキサントン、Chem First社製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、Chem First社製)
・TINUVIN 770 DF(ヒンダードアミン系光安定剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・BYK−307(シリコーン系界面活性剤、BYK Chemie社製)
・KF−353(シリコーン系界面活性剤、信越化学社製)
・TEGORAD 2100(シリコーンアクリレート、TEGO社製)
(ミルベースの調製)
シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック、ホワイトの各ミルベースを以下の組成にて混合し、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて10分撹拌した。その後、ビーズミル分散機DISPERMAT LS(VMA社製)に入れ、直径0.65mmのYTZボール(ニッカトー社製)を用い、2,500回転/分で6時間分散を行った。
<シアンミルベース>
IRGALITTE BLUE GLVO 30部
RAPI−CURE DVE−3 25部
アジピン酸ジビニル 25部
DISPERBYK−168 20部
<イエローミルベース>
NOVOPERM YELLOW H2G 30部
RAPI−CURE DVE−3 21部
アジピン酸ジビニル 21部
DISPERBYK−168 28部
<マゼンタミルベース>
CINQUASIA MAGENTA RT−335 D 30部
SOLSPERSE 32000 11部
SR9003 38部
アジピン酸ジビニル 20部
FIRSTCURE ST−1 1部
<ブラックミルベース>
SPECIAL BLACK 250 40部
SR9003 30部
アジピン酸ジビニル 12部
SOLSPERSE 32000 15部
SOLSPERSE 5000 2部
FIRSTCURE ST−1 1部
<ホワイトミルベース>
TIPAQUE CR−60−2 70部
SR339A 25部
SOLSPERSE 36000 5部
<比較シアンミルベース>
IRGALITTE BLUE GLVO 30部
RAPI−CURE DVE−3 50部
DISPERBYK−168 20部
(実施例1)
以下の成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌して、シアン色の放射線硬化型インク組成物1を得た。
東機産業(株)製TVE−22LTを用いて測定した45℃における粘度は14.2mPa・s、協和界面科学(株)社製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定した25℃における表面張力は26.7mN/mであった。
シアンミルベース 10.0部
FA−512AS 30.0部
SR508 24.3部
SR351S 1.0部
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニル 20.0部
FIRSTCURE ST−1 0.1部
IRGACURE 819 4.0部
IRGACURE 369 2.0部
Lucirin TPO 5.5部
FIRSTCURE ITX 3.0部
BYK−307 0.1部
(インク組成物の評価)
<保存安定性>
インク組成物1をガラス製バイアル瓶に入れ、60℃、4週間保管後の粘度の上昇率を評価した。上昇率が小さいものほど保存安定性は良好であり、概ね20%以下であれば実用上の問題を生じない。
上昇率(%)=(保管後の粘度−保管前の粘度)/保管後の粘度×100
<硬化速度>
インク組成物1を、被記録媒体としてのポリ塩化ビニル(厚み220μm)の表面に、Kハンドコーター(バーNo.1)を用いてウェット膜厚6μmとなるように塗布した。次いで、オゾンレスメタルハライドランプMAN125Lを搭載し、コンベアスピード20m/分、露光強度1,800W/cm2に設定したUVコンベア装置CSOT(ジーエス・ユアサライティング製)内を、塗布表面の粘着性が無くなるまで繰り返し通過させ、放射線硬化させた。硬化速度は、下記基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:通過回数1回でタックフリーになった。硬化速度は極めて速い。
○:通過回数2回でタックフリーになった。硬化速度は速い。
△:通過回数3回でタックフリーになった。硬化時間はやや遅い。
×:通過回数4回以上でタックフリーになった。硬化時間は遅い。
<被記録媒体への密着性>
インク組成物1を、被記録媒体としてのポリ塩化ビニル(厚み220μm)の表面に、Kハンドコーター(バーNo.1)を用いてウェット膜厚6μmとなるように塗布した。次いで、オゾンレスメタルハライドランプMAN125Lを搭載し、コンベアスピード20m/分、露光強度1,800W/cm2に設定したUVコンベア装置CSOT(ジーエス・ユアサライティング製)内を、塗布表面の粘着性が無くなるまで繰り返し通過させ、放射線硬化させた。被記録媒体への接着性は、この硬化塗膜を用いてISO2409(クロスカット法)により下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、5%を上回ることはない。
2:塗膜のカットの縁に沿って、及び/又は、交差点においてはがれる。クロスカット部分で影響を受けるのは、5%を超えるが、15%を上回ることはない。
3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、15%を超えるが、35%を上回ることはない。
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、35%を超えるが、65%を上回ることはない。
<柔軟性>
インク組成物1を、被記録媒体としてのポリ塩化ビニル(厚み220μm)の表面に、Kハンドコーター(バーNo.1)を用いてウェット膜厚6μmとなるように塗布した。次いで、オゾンレスメタルハライドランプMAN125Lを搭載し、コンベアスピード20m/分、露光強度1,800W/cm2に設定したUVコンベア装置CSOT(ジーエス・ユアサライティング製)内を5回繰り返し通過させ、放射線硬化させた。柔軟性の評価は、この硬化塗膜の同じ場所を5回往復して折り曲げた後に、塗膜に生じた亀裂の程度を下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:全く亀裂を生じなかった。柔軟性は極めて高い。
○:わずかに亀裂を生じた。柔軟性は高い。
△:やや大きな亀裂を生じた。柔軟性はやや低い。
×:完全に亀裂を生じた。柔軟性は低い。
<耐擦過性>
インク組成物1を、被記録媒体としてのポリ塩化ビニル(厚み220μm)の表面に、Kハンドコーター(バーNo.1)を用いてウェット膜厚6μmとなるように塗布した。次いで、オゾンレスメタルハライドランプMAN125Lを搭載し、コンベアスピード20m/分、露光強度1,800W/cm2に設定したUVコンベア装置CSOT(ジーエス・ユアサライティング製)内を5回繰り返し通過させ、放射線硬化させた。強度は、この硬化塗膜を用いてISO15184(引っかき硬度−鉛筆法)により下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:4H以上、耐擦過性は極めて良い。
○:F以上3H以下、耐擦過性は良い。
△:3B以上HB以下、耐擦過性はやや悪い。
×:4B以下、耐擦過性は悪い。
<インクジェット吐出性>
インクジェットプリントヘッドCA3(東芝テック製)を搭載したJetLyzer(ミマキエンジニアリング社製)を吐出電圧22V、吐出ドロップ数7ドロップに設定し、インク組成物1を45℃にて60分間連続吐出して、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:正常に打滴されていた。インクジェット吐出性は極めて良い。
○:わずかにミストの発生が見られた。インクジェット吐出性は良い。
△:ミストの発生が見られた。インクジェット吐出性はやや悪い。
×:全く吐出しなくなった。インクジェット吐出性は悪い。
(実施例2〜5)
インク組成物1中のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物の量を表1記載の通りに変更した以外は、インク組成物1と同様にしてインク組成物2〜5を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2009073945
Figure 2009073945
(実施例6〜13及び比較例1〜3)
インク組成物1中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニルを表3記載の化合物に変更した以外は、インク組成物1と同様にしてインク組成物6〜13を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
また、インク組成物1中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニルを表3記載の化合物に変更し、さらにシアンミルベースを比較シアンミルベースに変更した以外は、インク組成物1と同様にして比較インク組成物1〜3作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 2009073945
Figure 2009073945
(実施例14)
以下の成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌して、イエロー色の放射線硬化型インク組成物14を得た。このインク組成物14を用いて実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
イエローミルベース 13.0部
N−ビニル−ε−カプロラクタム 17.5部
FA−512AS 30.2部
SR339A 7.3部
KAYARAD DPCA−60 1.9部
メタクリル酸ビニル 16.0部
FIRSTCURE ST−1 0.3部
p−メトキシフェノール 1.5部
Lucirin TPO 9.0部
ベンゾフェノン 3.2部
KF−353 0.1部
(実施例15)
以下の成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌して、マゼンタ色の放射線硬化型インク組成物15を得た。このインク組成物15を用いて実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
マゼンタミルベース 11.0部
N−ビニル−ε−カプロラクタム 20.0部
SR238F 4.0部
SR339A 26.8部
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジビニル 15.9部
FIRSTCURE ST−1 0.2部
IRGACURE 184 1.9部
Lucirin TPO 8.0部
FIRSTCURE ITX 1.2部
ベンゾフェノン 2.8部
DAROCUR EBD 1.7部
CN964A85 6.4部
BYK−307 0.1部
(実施例16)
以下の成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌して、ブラック色の放射線硬化型インク組成物16を得た。このインク組成物16を用いて実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
ブラックミルベース 5.3部
SR238F 24.0部
SR508 20.5部
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラビニル 25.5部
FIRSTCURE ST−1 0.3部
IRGACURE 184 1.9部
Lucirin TPO 8.2部
ベンゾフェノン 2.9部
EBECRYL 230 2.2部
CN964A85 8.7部
TEGORAD 2100 0.5部
(実施例17)
以下の成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌して、ホワイト色の放射線硬化型インク組成物17を得た。このインク組成物17を用いて実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
ホワイトミルベース 25.6部
N−ビニル−ε−カプロラクタム 14.1部
FA−512A 21.5部
SR339A 15.0部
KAYARAD DPCA−60 1.9部
2,5−ピリジンジカルボン酸ジビニル 10.0部
FIRSTCURE ST−1 0.3部
TINUVIN 770 DF 0.1部
IRGACURE 184 2.9部
Lucirin TPO 8.1部
KF−353 0.5部
Figure 2009073945

Claims (6)

  1. (A)ラジカル重合性化合物、
    (B)ラジカル重合開始剤、及び、
    (C)着色剤を含み、
    前記ラジカル重合性化合物が、少なくとも1種のビニルエステル化合物を含むことを特徴とする
    インク組成物。
  2. 前記ビニルエステル化合物が、式(I)で表される化合物である請求項1記載のインク組成物。
    Figure 2009073945
    (式(I)中、Rは炭素数1から40までのn価の炭化水素基を表し、nは1から8までの整数を表す。)
  3. 前記式(I)におけるRが、脂肪族環を有する炭素数3から30までのn価の炭化水素基である請求項2記載のインク組成物。
  4. 前記式(I)におけるnが、2から4までの整数である請求項2又は3記載のインク組成物。
  5. (i−1)被記録媒体上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
    (i−2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
  6. 請求項5に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
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