JP2012162688A - 光硬化インクジェットインク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(A1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(A1)
(式中、R1は−Hまたは−CH3、R2は炭素数2〜20の有機残基、R3は炭素数1〜11の有機残基。)で表されるモノマーAを40質量%以上75質量%以下と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを1質量%以上20質量%以下と、光重合開始剤と、を含有する光硬化インクジェットインク組成物。
【選択図】なし
Description
また、光硬化型インクジェットインクとして利用するには、低粘度かつ高反応性が求められ、これは、VEEAなどの低粘度かつ高反応性のモノマーを含有することで満たすことができるが(特許文献2)、印字された膜の柔軟性が不十分であるという問題があった。
(式中、R1は−Hまたは−CH3、R2は炭素数2〜20の有機残基、R3は炭素数1〜11の有機残基。)で表されるモノマーをベースとするインクジェットインクに、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを添加することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(A1)
(式中、R1は−Hまたは−CH3、R2は炭素数2〜20の有機残基、R3は炭素数1〜11の有機残基。)で表されるモノマーAを40質量%以上75質量%以下と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを1質量%以上20質量%以下と、光重合開始剤と、を含有する光硬化インクジェットインク組成物。
また、チオキサントン化合物量0.5質量%以上で増感効果が見られる。多量に添加することにより、色安定性が悪化するが、5.0質量%以下であれば添加可能である。
本発明の一実施形態は、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物に係る。当該紫外線硬化型インクジェット用インク組成物は、下記一般式(A1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(A1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(以下、「モノマーA」という。)と、(メタ)アクリル化アミン化合物と、前記(メタ)アクリル化アミン化合物以外のヒンダードアミン化合物と、光重合開始剤と、を含む。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。
本実施形態において必須の重合性化合物であるモノマーAは、上記一般式(A1)で示される。
モノマーAの含有量は40質量%未満では、粘度が高くなり、なおかつ硬化性や伸びも低下する。逆に、75質量%を超えると、相対的に他の成分の含有量が少なくなり好ましくない。例えば、重合開始剤にとって良溶媒となるフェノキシエチルアクリレートを添加できる量が少なくなり、それに伴い、含有する重合開始剤の量を減らす必要があり、硬化性が低下する場合が有る。
本発明のインク組成物は更にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールとポリイソシアネートとの付加反応により得られるウレタン基(ウレタン結合)を複数有する主骨格(上記の複数のウレタン基とそれらより連結された部分)を有し、さらに、末端及びあるいは側鎖に(メタ)アクリル基が導入された化合物である。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーはインク組成物中に1〜20質量%含有し、2〜15質量%含有することが好ましい。この含有量であると柔軟性に優れた印字物とすることができる。1%に満たない場合、硬化性が劣り、また、塗膜に十分な柔軟性を付与することができない。また、20%を越えるとインクの粘度が高くなるため、インクジェットヘッドで吐出するには好ましくない。
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
Chiba IRGACURE 819, IRGACURE 1800, IRGACURE 1870, DAROCUR TPO, DAROCUR 4265, Lambson Speedcure TPO
日本化薬 KAYAKURE DETX, Lambson Speedcure DETX, Speedcure ITX, Speedcure CTX, Speedcure CPTX
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
本実施形態のインク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ、アベシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成(株)製のディスパロンシリーズが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、高い耐擦性が得られるという有利な効果が得られるため、スリップ剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン社(BYK Japan KK)製)を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット用インク組成物は、後述するインクジェット記録方法によって、被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施形態のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水溶性インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット用インク組成物は、インクジェット記録方法に用いることができる。当該インクジェット記録方法は、被記録媒体上に、上記インク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に紫外線を照射して、上記インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体上で硬化したインク組成物により、塗膜(硬化膜)が形成される。
上記吐出工程においては、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。
インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは5〜20mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいは、インク組成物を加熱しない状態として上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、紫外線(光)の照射によって硬化する。これは、インク組成物に含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、光重合性化合物の重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
この場合、本実施形態におけるインク組成物の組成に起因して薄膜で画像形成が可能となり、塗膜の盛り上がり感が少なくなるという有利な効果が得られる。
かかるインク組成物は、前述した各種方法により得られる。
レオメーターを用いて、温度20℃、Shear Rate 200s-1における粘度を測定した。評価の指標は以下のとおりである。
◎=20mPa・s未満
○=20mPa・s以上30mPa・s未満
△=30mPa・s以上40mPa・s未満
×=40mPa・s以上
PETフィルム(ルミラー125E20(商品名;パナック社製))上に、バーコーター(第一理化社製)で厚さ2〜3μmの塗膜を成形し、UV照射LED(RX−Firefly(商品名;Phoseon社製))を用いて、ピーク波長395nmの光を1w/cm2の照射強度で照射し、硬化(タックフリー)に必要なエネルギーを測定した。光照射した塗膜を、綿棒(ジョンソン綿棒(商品名;Johnson&Johnson社製))で荷重100gで擦り、擦った跡が残らない状態をタックフリー状態とした。
◎=150mJ/cm2未満
○=150mJ/cm2以上200mJ/cm2未満
△=200mJ/cm2以上300mJ/cm2未満
×=300mJ/cm2以上
バーコーターで厚さ10μmの薄膜を成形し、メタルハライドランプを用いて、400mJ/cm2のエネルギーで効果した膜を、引っ張り試験機で引っ張り、クラックが発生した時点での伸び率を測定した。
◎=50%以上
○=30%以上50%未満
△=20%以上30%未満
×=20%未満
PEA:フェノキシエチルアクリレート (大阪有機化学社製)
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
MEHQ:p−メトキシフェノール
UAO:ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー (前記参照)
BLUE GLVO: 顔料 (BASF社製)
実施例1〜4および5〜8は、本発明において最も好ましいとされる、官能基数2以上5未満の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの、添加量による効果を検討したものである。実施例1および5のように、2質量%未満では硬化性、柔軟性ともに、最も好ましい添加量の場合に比べ劣る。逆に、実施例4および8のように、15質量%を超える添加量となると、柔軟性や硬化性は良くなるが、粘度が高くなる。しかし、比較例2や4は、インクジェットで吐出するのが非常に難しいが、実施例4や8では、吐出可能である程度の粘度である。
すなわち、VEEAをベースモノマーとするインクに、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを1質量%以上20質量%以下添加することで、アクリル基の濃度が高くなり、VEEAのビニル基の反応性が上がることにより、低粘度でありながら高反応性となるインクを提供することができた。また、官能基数2以上5以下の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとすることで、硬化膜に柔軟性も持たせることができた。
Claims (11)
- 下記一般式(A1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3・・・(A1)
(式中、R1は−Hまたは−CH3、R2は炭素数2〜20の有機残基、R3は炭素数1〜11の有機残基。)で表されるモノマーAを40質量%以上75質量%以下と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを1質量%以上20質量%以下と、光重合開始剤と、を含有する光硬化インクジェットインク組成物。 - 請求項1の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの(メタ)アクリル官能基数が、2以上4以下である光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項2のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物に、さらにフェノキシエチル(メタ)アクリレートを7質量%以上40質量%以下含有する光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物の、一般式(A1)で表されるモノマーAが、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物に、さらに色材を含有する光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載のインクの光重合開始剤が、アシルフォスフィン系化合物と、チオキサントン化合物である光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物の光重合開始剤の含有量が、アシルフォスフィン系化合物7.0質量%以上15質量%以下、チオキサントン化合物0.5質量%以上5.0質量%以下である光硬化インクジェットインク組成物。
- LEDのピーク波長が365〜405nmの範囲内にある300mJ/cm2未満の照射エネルギーの光で硬化可能な請求項1〜8の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物。
- 1〜3μmの膜厚で硬化可能な請求項1〜9の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物。
- 請求項1〜10の何れか一項に記載の光硬化インクジェットインク組成物であって、前記一般式(A1)で表されるモノマーAを、45質量%以上75質量%以下含有する光硬化インクジェットインク組成物。
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