JP2011065841A - 非水電解質二次電池およびこの製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびこの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の内部抵抗の上昇を抑制しつつ、不可逆容量を補償しうる手段を提供する。
【解決手段】集電体の表面に正極活物質層が形成されてなる正極と、集電体の表面に負極活物質層が形成されてなる負極とが電解質層を介して積層されてなる単電池層を含む電池要素を有する非水電解質二次電池であって、前記負極活物質層の電解質がリチウム粉末を含む、非水電解質二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は非水電解質二次電池およびこの製造方法に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で比較的高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダーを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダーを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
従来、リチウムイオン二次電池の負極には充放電サイクルの寿命やコスト面で有利な炭素、特に黒鉛系材料が用いられてきた。また、最近では、高容量の負極活物質として、リチウムと合金化しうる材料などが研究されている。例えば、Si材料は、充放電において1molあたり4.4molのリチウムイオンを吸蔵放出し、Li22Siにおいては4200mAh/g程度もの理論容量を有する。このようにリチウムと合金化しうる材料は電極のエネルギー密度を増加させることができるため、車両用途における負極材料として期待されている。
しかしながら、このような大容量を有する炭素材料やリチウムと合金化する材料を負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池の多くは、初期充放電時の不可逆容量が大きい。このため、充填された正極の容量利用率が低下し、電池のエネルギー密度が低下するという問題がある。ここで、不可逆容量とは、リチウムイオン二次電池において、初期充電で負極中に吸蔵されたリチウムの全てを放電によって放出することはできず、放電後も負極中に残留するリチウム量のことを意味する。この不可逆容量の問題は、高容量が要求される車両用途への実用化において大きな開発課題となっており、不可逆容量を抑制する試みが盛んに行われている。
このような不可逆容量に相当するリチウムを補填する技術として、特許文献1に記載の技術が挙げられる。特許文献1には、金属リチウム粉末及びバインダーの混合物を用いて、負極活物質層上にリチウムを含む膜を形成したリチウムイオン二次電池が記載されている。
特開2008−98151号公報
しかしながら、上記特許文献1の電池では、プレドープ用のリチウムを含む膜と負極とを張り合わせるのにバインダーを用いる必要がある。このバインダーが負極表面に存在することにより、電池の内部抵抗が上昇するという問題があった。
そこで本発明は、電池の内部抵抗の上昇を抑制しつつ、不可逆容量を補償しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、電池の負極活物質層の電解質がリチウム粉末を含むことで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、リチウム粉末を含む電解質が負極へ浸透することにより、電池の内部抵抗を上昇させることなく、負極にリチウムを均一にプレドープすることができ、不可逆容量を補償しうる。
本発明の代表的な一実施形態である積層型のリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。 リチウムが負極活物質層にドープされる様子を説明した模式図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
非水電解質二次電池は、たとえば、形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池などさまざまな形態・構造である。下記実施形態においても、これらの形態が適用可能であるが、ここでは積層型(扁平型)電池構造を採用した場合について説明する。もちろん、本発明そのものは、巻回型(円筒型)電池など積層型(扁平型)電池構造以外の構造のものでも実施可能である。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
非水電解質二次電池としては、非水電解質を用いる電池であれば、特に制限されるものではないが、実用性の観点から、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す模式断面図である。
図1では双極型でない積層型(内部並列接続タイプ)のリチウムイオン二次電池を例に挙げているが、これに制限されるべきものではない。例えば、双極型(内部直列接続タイプ)の積層型電池であってもよい。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。詳しくは、高分子−金属複合ラミネートシートを電池の外装として用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素21を収納し密封した構成を有している。
発電要素21は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された正極と、電解質層17と、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、正極、電解質層および負極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、本実施形態のリチウムイオン電池10は、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層12が配置されている。なお、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面のみに負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体11および負極集電体12には、各電極(正極および負極)と導通される正極タブ25および負極タブ27がそれぞれ取り付けられている。そして、これらのタブ(25、27)はそれぞれ、ラミネートシート29の端部に挟まれるようにしてラミネートシート29の外部に導出されている。正極タブ25および負極タブ27はそれぞれ、必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池はプレドープ前の二次電池である。また、本実施形態の負極活物質層の電解質にはリチウム粉末が含まれる。本実施形態においては、正極活物質層および電解質層の電解質はリチウム粉末を含まない。
[正/負極活物質層]
負極活物質層は、負極活物質及び電解質を含む。負極に用いられる電解質には、少なくとも電解質成分およびリチウム粉末が含まれる。以下、負極の電解質を単に電解質(1)とも称する。好適には、負極活物質層中で、電解質成分とリチウム粉末とが活物質層中で略均一的に存在する。また、好適にはリチウム粉末の一部または全体が電解質成分に取り込まれてなる(リチウム粉末が電解質中に存在する)。電解質がリチウム粉末を含む形態は、例えば後述するように、負極活物質層にリチウム粉末および電解質成分(好適にはゲル電解質)を含む電解質を含浸させることによって容易に得ることができる。
負極の電解質成分としては、電解液またはゲル電解質が挙げられる。なお、「電解質成分」とは、溶媒中に溶解した際に、陽イオンと陰イオンに電離する物質を意味する。中でも、負極に用いられる電解質成分としては、ゲル電解質であることが好ましい。リチウム粉末は、空気中では、水と反応してLiOHとなったり、二酸化炭素と反応してLiCOとなったりするため、空気中では不安定である。一方、ゲル電解質中ではかようなリチウム粉末が安定して存在することができるため好ましい。
正極活物質層は、正極活物質及び電解質を含む。正極に用いられる電解質には、少なくとも電解質成分が含まれ、好適には電解質成分のみから構成される。以下、正極の電解質を単に電解質(2)とも称する。
正極の電解質成分としては、電解液、ゲル電解質および全固体電解質のいずれを用いることもできるが、電解液またはゲル電解質を用いることが好ましい。全固体高分子電解質としては、PEO、PPOなどの全固体型高分子電解質またはセラミックなどのイオン導電性を持つ無機固体型電解質が挙げられる。全固体高分子電解質にはイオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。
(a)ゲル電解質(高分子ゲル電解質)
ゲル電解質(高分子ゲル電解質)とは、マトリックスポリマー(ホストポリマー)中に電解液を保持させたものをいう。電解質としてゲル電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。
上記ゲル電解質(高分子ゲル電解質)は、PEO、PPOなどの全固体型高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含ませることにより作製される。また、PVDF、PAN、PMMAなど、リチウムイオン伝導性をもたない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものも、ゲル電解質(高分子ゲル電解質)に含まれる。ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率は、特に限定されない。ポリマー100%を全固体高分子電解質、電解液100%を液体電解質とすると、その中間体はすべてゲル電解質(高分子ゲル電解質)の概念に含まれる。
ゲル電解質として用いるマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVDF、PVDF−HFPを用いることが望ましい。
また、ゲル電解質に用いられる電解液(可塑剤)としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。かかる電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものであり、電解質塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、スルホラン、アセトニトリルなどが挙げられる。これらのうち、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、電解液中のリチウム塩の濃度は、特に制限されないが、通常、0.5〜2.5モル/リットル程度が好ましい。
ゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、後述するような電解質(1)及び(2)の所望の50%歪み時の圧縮応力によって適宜調節しうる。なお、電解質(1)及び(2)の50%歪み時の圧縮応力は、マトリックスポリマーや電解液の種類および含有量、リチウム粉末の含有量によって異なる。
電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力は、電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力より小さいことが好ましい。なお、本明細書において、「50%歪み時の圧縮応力」とは、電解質の荷重−歪−応力を測定することにより測定され、下記実施例で測定される値を意味する。電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力が、電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力より小さいことにより、セル組立て後、リチウムの補填が負極活物質層で進行しやすくなる。より具体的に、図2を用いて説明する。図2は、リチウムが負極活物質層にドープされる様子を示した模式図である。図2(1)のように、正負極活物質層上にそれぞれゲル電解質を塗布する。その後、正極活物質層とゲル電解質(2)の上にセパレータを載せる。次いで、図2(2)のように正極側と負極側を合わせてセルを組む。この状態ではまだ負極側でリチウムのドープは進んでいない。セルを組んだ状態では、ゲル電解質が大気圧により負極に含浸され、リチウム粉末が負極と接し、ドープが進行する(図2(3)および(4))。リチウム粉末が電極と接触しないと基本的にLiドープは進行しない。電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力が、電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力より小さいと、リチウム粉末が負極と接し、ドープが進行しやすくなる。
なお、電解質(2)はリチウム粉末を含まないことが好ましい。電解質(1)および(2)の双方がリチウム粉末を含むと、正極側のリチウム粉末が電解質中に浮遊し、電極と接しないため、ドープが進行しにくい場合がある。
電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力は、0.01〜2.0MPaであることが好ましく、0.01〜1.0MPaであることが好ましい。かような範囲にあることで、電極の形態変化が少ないため、リチウム粉末を負極側の電解質中に保持でき、電解質の蒸発が少なく、リチウムの補填を確実に行うことができる。
負極活物質層の電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力に対する、正極活物質層の電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力の比は、1を超えて100以下であることが好ましい。このような範囲であれば、長期信頼性および出力特性を向上することができる。より好ましくは、負極活物質層の50%歪み時の圧縮応力に対する、正極活物質層の50%歪み時の圧縮応力の比が、1を超えて50以下、特に好ましくは1を超えて10以下である。電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力と、電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力との比が上記範囲内にあることにより、セル組立て後、リチウムの補填が負極活物質層で進行しやすくなる。
(b)液体電解質(電解液)
電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものが挙げられる。ここで、電解質塩としては、特に制限されない。具体的には、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、溶媒もまた、特に制限されない。具体的には、溶媒としては、EC、PC、GBL、DMC、DECなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
(リチウム粉末)
リチウム粉末とは、金属リチウムが微細に粉砕されたリチウムの粉末を意味する。リチウム粉末は、初回充放電時において生じる電極の不可逆容量を補償する機能を有する。なお、リチウム粉末の形状は特に制限されず、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状など任意の構造をとりうる。
また、リチウム粉末の平均粒子径についても特に制限はないが、好ましくは1〜200μmであり、より好ましくは3〜50μmである。平均粒子径が1μm以上であれば、取り扱いが容易であるため好ましい。一方、平均粒子径が200μm以下であれば、電極の面内分散状態が良好になるという点で好ましい。リチウム粉末の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定(レーザ回折散乱法)により測定された値を採用するものとする。なお、リチウム粉末の平均粒径は、皮膜を有するリチウム粉末の場合、芯部のリチウム粉末のみの平均粒子を用いるものとする。
負極に含まれる電解質がリチウム粉末を含むことで、非水電解質二次電池の初回充放電時にリチウムイオンが負極活物質中にドープされうる。その結果、リチウムイオン二次電池における不可逆容量の補償が可能となる。この際、電解質がリチウム粉末を含むことにより、余分な第三成分を含まないため、電池の内部抵抗の上昇が抑制される。
リチウム粉末は、リチウム金属粉末の単体であってもよいし、リチウム金属粉末を安定化処理することで得られる、少なくとも大気中で安定な皮膜を有するリチウム金属粉末を使用してもよい。リチウム金属粉末を安定化処理することで、大気中、更にはキシレン等の溶媒中でも安定化し、さらに露点マイナス40℃程度のドライルームにおいてもリチウム金属粉末の変質が進行しなくなる。ここで、大気中で安定化するための皮膜を有するように、金属リチウム粉末を安定化処理するとは、金属リチウム粉末の表面に環境安定の良い物質、例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)等の有機ゴム、EVA(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)等の有機樹脂やLiCO、LiOなどの金属炭酸塩や金属酸化物等の無機化合物等で被覆(コーティング)することをいう。また金属リチウム粉末を安定化処理することで得られる、大気中で安定化するための皮膜を有する金属リチウム粉末としては、市販品として入手可能なFMC社製のSLMPやアルドリッチ社製のリチウムパウダー等がある。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも安全性の観点から炭酸塩で被覆(コーティング)されたものが特に好ましい。これら安定化処理により表面コートされたリチウム粉末は、大気中や分散媒中でも安定な皮膜を有するリチウム粉末である。したがって、反応性の高いLiが大気中や分散媒中の水分や溶媒と反応したり、失活することがない点で優れている。また、Li金属粉末表面に上記したような絶縁性の皮膜が存在することにより、Liと負極活物質とが直接電気的に接触するのを抑制できる。これにより、プレドープ時に、Liと負極活物質との間の過度な反応が抑制されるため、この反応により生じる発熱量を低減できる。その結果、バインダー等を融解させることがないため、負極の内部抵抗を上昇させることなく不可逆容量を補償することができる。
リチウム粉末の負極活物質層内の含有量は、該リチウム粉末が初回充放電において生じる電極(負極)の不可逆容量を補償するために利用されるものであるので、その含有量は負極の不可逆容量を補うだけの量以下であることが望ましい。リチウム粉末の最適な含有量は、負極活物質の量や材質によって変化し、含有量に応じて不可逆容量が減少するが、多すぎると反応に関与しない未反応なリチウムが増加し、電池の体積効率が減少するおそれがある。従って、最適なリチウム粉末の含有量は別途に負極活物質層の初期効率を求めてから定めることが好ましく、また、電池設計における負極活物質層の厚み(使用量)に応じて適宜決定すればよい。例を挙げると、リチウム粉末および電解質成分の全体に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。かような範囲であれば、負極の不可逆容量を十分に補填できる。
リチウム粉末が皮膜を有するリチウム金属粒子である場合の皮膜厚さ(平均値)は、皮膜形成目的である大気中での安定性を発現でき、尚且つプレドープ時に電解液が皮膜内に浸透可能で、該溶液に溶解したLiイオンが皮膜を介して外部に容易に放出(拡散)し得る厚さであればよい。かかる観点から、皮膜厚さは、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmであればよいが、かかる範囲に何ら制限されるものではない。Li粒子の皮膜厚さは、Li金属粒子(芯部)の平均粒径と、Li粒子(皮膜を含む)の平均粒径を、それぞれ上記した測定法により求め、Li粒子(皮膜を含む)の平均粒径からLi金属粒子(芯部)の平均粒径を差し引いた値を2で除した値を採用するものとする。
皮膜がリチウム金属粒子(芯部)を被覆する形態は特に制限されない。例えば、リチウム金属粒子の表面が完全に皮膜に被覆されている形態であってもよいし、リチウム金属粒子の表面が部分的に被覆されてその表面の一部が露出した形態であってもよい。好ましくは、完全に被覆した形態である。また、皮膜部分は、有機ゴム、有機樹脂、金属炭酸塩等の無機化合物の微粒子が表面被覆されて皮膜を形成しているのが好ましい。該微粒子間の隙間から、浸透性に優れた電解液が皮膜内に浸透でき、該溶液に溶解したLiイオンが皮膜を介して外部に容易に放出(拡散)しやすいためである。但し、有機ゴム、有機樹脂、金属炭酸塩等の無機化合物の微粒子ではなく、これらの材料の薄膜(電解液透過膜)で表面被覆されて皮膜を形成しているものであってもよい。浸透性に優れた電解液の場合、こうした薄膜状の皮膜内でも十分に浸透でき、該溶液に溶解したLiイオンが皮膜を介して外部に容易に放出(拡散)し得るためである。なお、一方、微粒子形態であれ、薄膜形態であれ、有機ゴム、有機樹脂、金属炭酸塩等の無機化合物の材料は、大気中の水分などに対しては安定であり、容易に浸透し得ないため、反応したり、失活しない。
(負極活物質)
負極活物質はリチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されず、炭素系材料、リチウムと合金化する材料が挙げられる。場合によっては、これらの負極活物質が2種以上併用されてもよい。中でもリチウムと合金化しうる元素を含むことが好ましい。リチウムと合金化しうる元素を含む形態としては、リチウムと合金化しうる元素の単体、これらの元素を含む酸化物および炭化物等が挙げられる。
リチウムと合金化する材料を用いることにより、炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量の電池を得ることが可能となる。また、Liと合金化する材料はLiのプレドープ時に急激な発熱反応を起こし、炭素材料などの他の負極活物質に比べて発熱量を増加させる。かかる急激な発熱反応により負極活物質層内のバインダー等が熱融解する虞れがある場合には、後述するように初充電時に予備吸蔵させるのではなく、電池作製後初充電前にエージングする工程を設けて予備吸蔵させるのが望ましい形態といえる。エージング処理では、電極間に電圧が印加されていない為、Li粉末からのLiイオンの放出(拡散)速度が遅く、Liと負極活物質との急激な反応を抑制することができるものといえる。必要があれば、当該エージング工程中、外装材で封止した電池を水冷するなどしてもよいといえる。あるいは、Li粉末として、大気中で安定化するための皮膜を有するLi粉末を用いることにより、予備吸蔵する際に、該Li粉末からのLiイオンの放出(拡散)速度を抑制し、Liと負極活物質との急激な反応を抑制してもよい。
リチウムと合金化しうる元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、負極活物質は、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、SiまたはSnの元素を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。酸化物としては、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、一酸化スズ(SnO)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この他、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム金属等の金属材料、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質が使用可能である。場合によっては、これらの負極活物質が2種以上併用されてもよい。
ただし、容量を向上させるためには、リチウムと合金化しうる元素を含む負極活物質を多く活物質中に含むことが好ましい。より好ましい形態において、具体的には、負極活物質中、リチウムと合金化しうる元素を含む活物質が60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%含まれる。
負極活物質の平均粒径は特に制限されないが、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは1〜20μmである。ただし、これらの範囲を外れる形態もまた、採用されうる。なお、本願において活物質の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定(レーザ回折散乱法)により測定された値を採用するものとする。
(正極活物質)
正極活物質は、特にリチウムの吸蔵放出が可能な材料であれば特に限定されず、非水電解質二次電池に通常用いられる正極活物質が利用されうる。具体的には、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物、LiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物、LiNi0.5Mn0.5などのLi−Ni−Mn系複合酸化物が挙げられる。正極活物質としてはこれらに限定されるものではなく、リチウムを含まないフッ素化合物などの化合物であってもよい。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
正/負極活物質層は、上記電解質および活物質の他、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電剤、バインダーなどをさらに含みうる。
正/負極活物質層中に含まれる成分の配合比は特に限定されず、非水電解質二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。また、活物質層の厚さについても特に制限はなく、非水電解質二次電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
(導電剤)
導電剤とは、導電性を向上させるために配合される添加物をいう。本実施形態において用いられうる導電剤は特に制限されず、従来公知の形態が適宜参照されうる。例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。導電剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
(バインダー)
バインダーとしては、以下に制限されることはないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド(PI)、およびアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂、ならびにスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などのゴム系材料が挙げられる。
[集電体]
集電体は、正極側、負極側共に導電性材料から構成される。そして正極側、負極側共に同じ材料からなってもよいし異なる材料からなってもよい。たとえば、金属や導電性高分子が採用されうる。具体的には、たとえば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウム、銅が好ましい。
なお、集電体の大きさや厚さについては特に制限はなく、電池容量に見合った大きさであり、かつ集電体としての機能を果たしうる厚さであればよい。
[電解質層]
電解質層は、正極活物質層と負極活物質層との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質成分を保持する機能をも有する。
電解質層を構成する電解質成分に特に制限はなく、液体電解質(電解液)、ゲル電解質および全固体電解質などが適宜用いられうる。
各電解質成分については、上記活物質層の欄において説明したものと同様であり、ここでは説明を割愛する。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
[正極タブおよび負極タブ]
正極タブおよび負極タブは、電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に電気的に接続される。その材料は集電体と同じでもよいし、異なるものでもよい。さらには、各集電体を延長することにより正極タブおよび負極タブとしてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
集電体11とタブ(25、27)との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知の非水電解質二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[外装]
外装としては、図1に示すようなラミネートシート29が用いられうる。ラミネートシートは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。なお、場合によっては、従来公知の金属缶ケースもまた、外装として用いられうる。
以上、図1に示す形態の積層型二次電池10を例に挙げて、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、例えば、双極型リチウムイオン二次電池にも適用されうる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、負極の電解質がリチウム粉末を含むことによって、不可逆容量のリチウムの補填が可能となる。また、電池抵抗上昇の原因となりうる負極表面に存在するバインダー等の不要な成分を含むことなく、電池を製造することができる。また、電解質がリチウム粉末を含むことにより従来の電極構造を採ることができ、リチウム補填用のリチウム粉末を含む層を負極層上に設けるなど、電極を複雑な構造とする必要がない。
[非水電解質二次電池の製造方法]
本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一実施形態によれば、集電体上に負極活物質層スラリーを塗布して負極を得る工程(1)と、リチウム粉末および電解質成分を含む電解質を準備する工程(2)と、電解質を負極に含浸させる工程(3)とを含む。
工程(1)
本工程では、集電体上に負極活物質層スラリーを塗布して負極を作製する。
負極活物質層スラリーは、活物質、導電剤およびバインダーなどの電極材料をスラリー粘度調製溶媒に分散して調製することができる。
スラリー粘度調製溶媒としては、特に制限されることはないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。スラリーはホモジナイザーまたは混練装置などを用いて溶媒および固形分よりインク化される。スラリーを集電体に塗布するための塗布手段も特に限定されないが、例えば、自走型コータ、ドクターブレード法、スプレー法などの一般に用いられる手段が採用されうる。
負極に電解質を含浸させる前に、集電体の表面に形成された塗膜を乾燥させることが好ましい。これにより、塗膜中の溶媒が除去される。
乾燥前の負極スラリーにリチウム粉末も加えて製造しようとすると、負極スラリー中のNMP等の粘度調整溶媒が、SLMP等の大気中で安定な皮膜を有するリチウム金属粉末であっても、該粉末の皮膜成分(例えば、SLMPでは炭酸塩)を壊す場合がある。そのため、反応性が高いリチウム金属が露出してしまい、リチウムと水や溶媒との反応が促されてLi金属粒子が失活してしまう場合がある。その結果、Li補填効率が低下することとなる。皮膜を有しないLi金属粒子の場合には、より顕著に失活し、Li補填効率が更に低下してしまう。上記のように負極を乾燥し、溶媒を除去した後にリチウム粉末を添加すれば、反応性が高いLi粒子と水や溶媒とが反応(接触)するのを防止することができ、Li粒子の失活を抑制し、Li補填効率に優れる。
塗膜を乾燥させるための乾燥手段も特に制限されず、電極製造について従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、加熱処理が例示される。乾燥条件(乾燥時間、乾燥温度など)は、スラリーの塗布量やスラリー粘度調製溶媒の揮発速度に応じて適宜設定されうる。得られた乾燥物はプレスすることによって電極の密度や厚みが調整され、負極が得られる。
工程(2)および工程(3)
工程(2)では、上記負極の製造とは別途、負極に用いられるリチウム粉末および電解質成分を含む電解質を準備する。ここでいう電解質は、上記で説明した電解質(1)に相当する。リチウム粉末および電解質成分については、上記実施形態中で説明したとおりである。
電解質中、リチウム粉末の含有量は特に限定されるものではないが、リチウム粉末および電解質成分の全体に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。かような範囲であれば、負極の不可逆容量を十分に補填できる。
また、電解質成分がゲル電解質の場合、マトリックスポリマーの含量は、マトリックスポリマーと電解液との合計に対して、通常1〜30質量%であり、より好ましくは5〜15質量%である。
電解質がゲル電解質の場合、電解質の粘度を調整し、負極への含浸を容易にするために、別途DMCなどの溶媒を電解質に添加してもよい。この場合、負極に電解質を含浸させた後、添加した溶媒を乾燥等により除去することが好ましい。
工程(3)では、工程(1)で得られた負極に、工程(2)で得られた電解質を含浸させる。
電解質の負極への含浸の方法は特に限定されるものではないが、電解質がゲル電解質である場合には、例えば以下の方法が挙げられる;(ア)電解液を含むゲル化可能なポリマーを、必要により加温状態で使用して冷却して、負極に含浸させる方法、(イ)モノマーが含有された電解液を負極に含浸させた後、モノマーを重合させる方法。ここで、上記電解液を含むゲル化可能なポリマーおよびモノマーが含有された電解液は、それぞれリチウム粉末を含む(工程(2))。
上記方法のうち、(ア)の方法では、通常、負極活物質層表面に電解液を塗布して適度の時間放置するだけで十分であるが、活物質層の空隙に電解液が含浸する速度を高めるため、圧入や真空含浸などの操作を行ってもよい。ゲル電解質は、活物質層内の空隙を完全に充填して形成されることが好ましいが、ある程度の空隙が残留しても電池特性に大きな支障はない。電池特性が低下する程の空隙が生じる場合は、上述の様な含浸速度を高める方法を採用するのが好ましい。なお、上記(ア)で使用されるゲル化可能なポリマーは、上記実施形態で説明したマトリックスポリマーから適宜選択される。
また、上記(イ)の方法は、電解液の粘度が低いため、活物質層の空隙中に電解液を含浸させるのが容易である。活物質層の厚さは通常1mm以下であるため、電解液の含浸は速やかに完了する。また、いずれの方法による場合も塗膜にカレンダー処理を加えることにより、塗膜を圧密し活物質の充填量を高めることができる。なお、上記(イ)で使用されるモノマーは、所望のゲル電解質の種類によって適宜選択される。重合の制御が容易で且つ重合時に副生成物が発生しない付加重合により生成される高分子が好適である。特に、反応性不飽和基含有モノマーの付加重合により生成される高分子は、その生産性にも優れる。具体的には、反応性不飽和基含有モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロニトリル等が挙げられる。また、上記モノマーの重合方法としては、熱、紫外線、電子線などによる公知の方法が適用できる。生産性の観点から紫外線による方法が好ましい。この場合、反応を効果的に進行させるため、電解液に紫外線に反応する重合開始剤を配合することも出来る。紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ビアセチル、ベンゾイルパーオキザイド等が挙げられる。
より具体的には、溶媒に電解質塩を溶解させて、電解液を調製する。この電解液に、マトリックスポリマーおよび重合開始剤を添加して、電解質前駆体溶液を調製する。次に、活物質層を上記電解質前駆体溶液に浸漬した後、余分な電解質前駆体溶液を除去することにより、含浸負極を得る。さらに、含浸活物質層の電解質を重合する。ここで、活物質層の電解質前駆体溶液への浸漬条件は、活物質層に電解質前駆体溶液が十分染み込むような条件であれば特に制限されない。具体的には、活物質層を、電解質前駆体溶液中に、15〜60℃、より好ましくは20〜50℃の温度で、1〜120分間、より好ましくは5〜60分間、浸漬することが好ましい。また、所定条件で浸漬した後は、余分な電解質前駆体溶液を除去するが、この際に使用できる方法としては、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、電解質前駆体溶液が染み込んだ活物質層を、履形フィルムで挟んだ後、ロールなどで軽くしごく方法;電解質前駆体溶液が染み込んだセパレータ基材を軽く絞る方法などが好ましく使用できる。なお、(イ)の方法において、50%歪み時の圧縮応力を測定する対象は、重合後のゲル電解質である。
なお、正極および電解質層に含有される電解質と、負極に含有される電解質とが異なる場合には、各部材(負極、正極および電解質層)に電解質を含浸させた後に正極および負極を電解質層を介して対向するように積層させ、単電池を作製すればよい。この際、上述したように、電解質(1)の50%歪み歪み時応力圧縮応力が電解質(2)の50%歪み時応力圧縮応力よりも小さいと、リチウムのドープが進行しやすいため、好ましい。
また、負極の電解質成分が電解液である場合には、セルを作成した後、注液機により電解質を注入することにより、負極に電解質を含浸させることができる。具体的には、正極および負極をセパレータを介して対向するように積層させ、単電池を作製する。そして、単電池の数が所望の数となるまでセパレータおよび電極の積層を繰り返す。そして、各正極と負極を束ねてリードを溶接して、この積層体を正負極のリードを取り出した構造にて、アルミニウムのラミネートフィルムバッグに収めた後、注液機により電解質を注入して、減圧下で端部をシールして電池とする。
上記実施形態によれば、補填用のリチウム粉末を電解質に含ませるため、Li金属をドライルームレベル(露点−40℃程度)でも使用することができる。また、Liを含んだ層などを、電極層上に貼り付けるといった工程を省くことが出来るため、工程の削減が出来る。また、電極や集電体を複雑な構造にする必要がないため、簡便な工程になる。
以上、本発明の好適な実施形態について示したが、本発明は、以上の実施形態に限られず、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。
上記実施形態の電池および上記実施形態の製造方法により得られた電池はプレドープ前の電池である。したがって、リチウムをドープするために、該電池にエージングを行うことが好ましい。エージング(静置)により、負極の保護層に存在するリチウム粒子がイオン化して、負極活物質層に存在する活物質にドープされる。エージング工程を実施することにより、活物質層における単位面積当たりのリチウムドープ量を均一化することができ、信頼性の向上した電池が得られる。
エージングの温度は、短時間でリチウムドープを完了するという観点からは、好ましくは20〜80℃であり、より好ましくは40〜60℃である。また、エージング時間は、エージング後の電池の電圧が所望のレベルとなるように適宜決定すればよいが、通常24〜180時間程度である。
エージング工程後の電池の電圧は、1.0V以上であることが好ましく、1.0〜3.2Vであることがより好ましく、1.2〜3.0Vであることがさらに好ましい。エージング工程後の電池の電圧がかような範囲内の値であれば、リチウムが活物質層に十分にドープされている。
なお、エージングは予備充電の後に行なってもよい。予備充電の条件は特に制限されない。例えば、20〜60℃で定電流方式(電流:0.5C)で10分間充電する方法を用いてもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
なお、電解質の50%歪み時の圧縮応力は、下記方法に従って測定した。
<電解質の50%歪み時の圧縮応力の測定方法>
常温にてゲル電解質の荷重−歪−応力を以下のようにして測定した。
電解質膜を、下記のとおり、作製した。
(1)シャーレに溶媒を含むゲル電解質を流し込む。
(2)シャーレをドライ環境下で加熱することにより余剰な電解分(ジメチルカーボネート(DMC))を揮発させ、ゲル電解質膜を得る。
(3)得られたゲル電解質の確認は、マイクロメーターで厚みを測定しながら4端子法でインピーダンス測定することにより得られた電気伝導度より確認した。
(4)また、(1)、(2)の方法でセパレーター(ポリオレフィン、厚み;100μm)を用いて作成したゲル電解質についても(3)の方法により電気伝導度を測定し、ゲル電解質の精度を確認した。
得られた電解質膜について、圧縮特性を、下記条件にて、評価した。荷重面積:12φmm、圧縮変位:0.01mm/secの条件で変位させた際の圧縮荷重(N)、圧縮ひずみ(%、圧縮変位を元にアンビル高さで規格化した値)、圧縮応力(MPa)を、0.5secごとに検出した。圧縮歪みが50%になった時点で測定を終了し、この際の圧縮応力(MPa)を、「50%歪み時の圧縮応力」とした。
実施例1
(1)負極の作製
負極活物質としてSiO系合金活物質(平均粒径5μm)、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)、およびバインダーとしてポリイミド(PI)を用いて、SiO系合金活物質:AB:PI=80:10:10(質量比)の組成の溶剤系のスラリーを作製した。厚さ10μmの銅箔上に、負極活物質スラリーを両面塗工し、真空下で350℃、4時間で乾燥、プレス後、片面の電極層厚みが40μmの負極を作製した。溶接するタブ部を残して、電極部サイズが36mm×26mmとなるように打ち抜きを行い、積層用の負極を作製した。
(2)正極の作製
正極活物質としてリチウムニッケル酸化物系活物質であるLiNi0.8Co0.2(平均粒径10μm)、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)、およびバインダーとしてPVDFを用いて、リチウムニッケル酸化物系活物質:AB:PVDF=86:6:8(質量比)の組成の溶剤系のスラリーを作製した。厚さ20μmのAl箔に両面塗工後、100℃ドライエアー雰囲気下で乾燥し、プレス後、片面の電極層厚みが80μmの正極を作製した。アルミ端子と溶接するタブ部を残して、電極部サイズが34mm×24mmとなるように打ち抜きを行い、積層用の正極を作製した。
(3)電解質(1)前駆体の作製
電解液として1M(mol/L)のLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)(90質量%)およびホストポリマーとしてPVDF−HFP(10質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌した。これに、リチウム粉末(Li金属のみの粉末状、粒子径は50〜150μm)を電解液、ホストポリマーおよびリチウム粉末の全量に対して10質量%加えて電解質(1)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液としての1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)、ホストポリマーとしてのPVDF−HFP、およびリチウム粉末の混合物を電解質(1)とする。なお、ここで使用した電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力は、0.018MPaであった。
(4)電解質(2)前駆体の作製
電解液として1MのLiPF(支持塩)含むEC:PC(1:1体積比)(87質量%)およびホストポリマーとしてPVDF−HFP(13質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌して、電解質(2)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液としての1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)およびホストポリマーとしてのPVDF−HFPの混合物を電解質(2)とする。なお、ここで使用した電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力は、0.022MPaであった。
(5)負極への電解質(1)前駆体の含浸
上記(3)で作製した電解質(1)前駆体を、上記(1)で作製した負極に塗布・含浸させた後、DMCを乾燥させた。
(6)正極への電解質(2)前駆体の含浸
上記(4)で作製した電解質(2)前駆体を、上記(2)で作製した正極に塗布・含浸させた後、DMCを乾燥させた。
(7)セパレータへの電解質(2)前駆体の含浸
40×30mmのセパレータ(ポリオレフィン製微多孔膜、厚さ:20μm)に、上記で作製したゲル電解質(2)前駆体を塗布しDMCを乾燥させることで、電解質をセパレータに含浸させた。
(8)評価用セルの作製
先付けで変性ポリプロピレンでできた樹脂をつけたニッケル箔(厚さ300μm、幅60mm、長さ50mm)を溶接した上記(5)で電解質(1)を含浸させた負極層に、上記(7)で電解質(2)を含浸させたセパレータを積層した。同様に、先付けで変性ポリプロピレンでできた樹脂をつけたアルミ箔(厚さ300μm、幅60mm、長さ50mm)に溶接した上記(6)で電解質(2)を含浸させた正極層を積層し積層セルとした。なお、正極層を負極層のタブとは反対側に正極層のタブがくるように積層し、金属箔がセルの外側にくるように積層した。それをアルミラミネート外装中に配置し、先付け樹脂部位置で真空シールして評価用セルを完成させた。
実施例2
(1)負極の作製
上記実施例1(1)と同様にして、負極を作製した。
(2)正極の作製
上記実施例1(2)と同様にして、正極を作製した。
(3)電解質(1)前駆体の作製
電解液として1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)(85質量%)およびホストポリマーとしてPVDF−HFP(15質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌した。これにリチウム粉末(Li金属のみの粉末状、粒子径は50〜150μm)を電解液、ホストポリマーおよびリチウム粉末の全量に対して10質量%加えて、電解質(1)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液として1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)、ホストポリマーとしてPVDF−HFP、およびリチウム粉末の混合物を電解質(1)とする。なお、ここで使用した電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力は、0.485MPaであった。
(4)電解質(2)前駆体の作製
電解液として1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)(83質量%)およびホストポリマーとしてPVDF−HFP(17質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌して、電解質(2)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液としての1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)およびホストポリマーとしてのPVDF−HFPの混合物を電解質(2)とする。なお、ここで使用した電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力は、0.582MPaであった。
(5)負極への電解質(1)前駆体の含浸
上記実施例1(5)と同様にして、含浸させた。
(6)正極への電解質(2)前駆体の含浸
上記実施例1(6)と同様にして、含浸させた。
(7)セパレータへの電解質(2)の含浸
上記実施例1(7)と同様にして、含浸させた。
(8)評価用セルの作製
上記実施例1(8)と同様にして、評価用セルを作製した。
実施例3
(1)負極の作製
上記実施例1(1)と同様にして、負極を作製した。
(2)正極の作製
上記実施例1(2)と同様にして、正極を作製した。
(3)電解質(1)前駆体の作製
電解液として1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)(80質量%)、ホストポリマーとしてPVDF−HFP(20質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌した。これにリチウム粉末(Li金属のみの粉末状、粒子径は50〜150μm)を電解液、ホストポリマーおよびリチウム粉末の全量に対して10質量%加えて、電解質(1)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液としての1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)、ホストポリマーとしてのPVDF−HFP、およびリチウム粉末の混合物を電解質(1)とする。なお、ここで使用した電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力は、1.564MPaであった。
(4)電解質(2)前駆体の作製
電解液は支持塩として1MのLiPFを含むEC:PC(1:1体積比)(79質量%)、ホストポリマーとしてPVDF−HFP(21質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌し、電解質(2)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液としての1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)およびホストポリマーとしてPVDF−HFPの混合物を電解質(2)とする。なお、ここで使用した電解質(2)の50%歪み時の圧縮応力は、1.877MPaであった。
(5)負極への電解質(1)前駆体の含浸
上記実施例1(5)と同様にして、含浸させた。
(6)正極への電解質(2)前駆体の含浸
上記実施例1(6)と同様にして、含浸させた。
(7)セパレータへの電解質(2)の含浸
上記実施例1(7)と同様にして、含浸させた。
(8)評価用セルの作製
上記実施例1(8)と同様にして、評価用セルを作製した。
比較例1
(1)負極の作製
上記実施例1(1)と同様にして、負極を作製した。
(2)正極の作製
上記実施例1(2)と同様にして、正極を作製した。
(3)電解質(1)前駆体の作製
電解液として1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)(90質量%)およびホストポリマーとしてPVDF−HFP(15質量%)を混合し、前記混合物に対して、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を加えて十分に撹拌して、電解質(1)前駆体を得た。DMCは後に乾燥により除去されるため、電解液としての1MのLiPF(支持塩)を含むEC:PC(1:1体積比)およびホストポリマーとしてPVDF−HFPの混合物を電解質(1)とする。なお、ここで使用した電解質(1)の50%歪み時の圧縮応力は、0.018MPaであった。
(4)電解質(2)前駆体の作製
上記比較例1(3)と同様に作製した。
(5)負極への電解質(1)前駆体の含浸
上記実施例1(5)と同様にして、含浸させた。
(6)負極への電解質(1)前駆体の含浸
上記実施例1(6)と同様にして、含浸させた。
(7)セパレータへの電解質(2)前駆体の含浸
上記実施例1(7)と同様にして、含浸させた。
(8)評価用セルの作製
上記実施例1(8)と同様にして、評価用セルを作製した。
比較例2:負極活物質層上にLi粉末含有層が形成されてなる形態
(1)負極の作製
上記実施例1(1)と同様にして、負極を作製した。
(2)正極の作製
上記実施例1(2)と同様にして、正極を作製した。
(3)Li含有層の作製
リチウム粉末(Li金属のみの粉末状、粒子径は50〜150μm)、アセチレンブラック(AB)(導電助剤)、PVDF(バインダー)を用いて下記組成のスラリーを作製した。リチウムパウダー:AB:PVDF=20:10:1(質量比)とし、これにモレキュラーシーブスで脱水したN−メチルピロリドンを加えてスラリーとした。
(4)Li含有層の塗布
上記比較例1(1)で作製した負極の銅箔の他面(後述するセパレータに接する側)に上記(3)で作製したスラリーを塗布し、100℃で1時間真空乾燥して、負極層とした。
(5)電解液の作製
電解液は支持塩として1MのLiPFを含むEC:PC(1:1体積比)を調製した。
(6)評価用セルの作製
先付けで変性ポリプロピレンでできた樹脂をつけたニッケル箔(厚さ300μm、幅60mm、長さ50mm)を溶接した上記(4)で作製した負極層に、40×30mmのセパレータ(ポリオレフィン製微多孔膜、厚さ:20μm)を積層し、同様に、先付けで変性ポリプロピレンでできた樹脂をつけたアルミ箔(厚さ300μm、幅60mm、長さ50mm)に溶接した上記(2)で作製した正極層を積層し積層セルとした。なお、上記作製した負極層と正極層のタブとは反対側に負極層タブがくるように積層した。それをアルミラミネート外装中に配置し、上記(5)で調製した電解液を注液して、先付け樹脂部位置で真空シールして評価用セルを完成させた。
(評価)
上記実施例1〜3、および比較例1〜2で得られた評価用セルについて、初期及び耐久試験後の放電容量・抵抗について評価した。
なお、各評価用セルは、25℃、1週間の条件でエージング処理を施した。
(1)放電容量測定(初期、耐久試験後)
充電:0.1Cの一定電流で4.2Vまで充電後、その後4.2Vで保持した。(充電トータル12時間)。
Figure 2011065841
初期、及び下記(3)の耐久試験後に測定を行った。実施例1の初期放電容量を100としたときの、容量の変化を相対値で示した。
(2)抵抗測定(初期、耐久試験後)
0.1Cの一定電流で4.2Vまで充電、その後4.2Vで保持した(充電トータル12時間)のち、5Cで放電し10s後の電圧降下より抵抗を算出した。
初期、及び下記(3)の耐久試験後に測定を行った。実施例1の初期抵抗値を100としたときの、抵抗値の変化を相対値で示した。
(3)耐久試験
下記の条件でサイクル試験を行った。サイクルは100回行った。
Figure 2011065841
結果を下記表1に示す。
Figure 2011065841
上記表1の結果から実施例1〜3の電池は、負極電解質にリチウム粉末を含むことにより、リチウムの補填が十分に行われ、初期および耐久試験後の放電容量に優れる。また、負極電解質にリチウム粉末を含むことにより、余分な部材や第三成分を含まないため、初期および耐久試験後の電池抵抗の上昇を抑制することができる。
10 リチウムイオン二次電池
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 ラミネートシート。

Claims (5)

  1. 集電体の表面に正極活物質層が形成されてなる正極と、集電体の表面に負極活物質層が形成されてなる負極とが電解質層を介して積層されてなる単電池層を含む電池要素を有する非水電解質二次電池であって、
    前記負極活物質層の電解質がリチウム粉末を含む、非水電解質二次電池。
  2. 前記負極活物質層の電解質の50%歪み時の圧縮応力が、前記正極活物質層の電解質の50%歪み時の圧縮応力より小さい、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記負極活物質層の電解質の50%歪み時の圧縮応力が、0.01〜2.0MPaである、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 集電体上に負極活物質層スラリーを塗布して負極を得る工程と、
    リチウム粉末および電解質成分を含む電解質を準備する工程と、
    前記電解質を負極に含浸させる工程と、
    を含む、非水電解質二次電池の製造方法。
  5. 前記負極活物質層スラリー中の溶媒を除去した後、前記電解質を負極に含浸させる、請求項4に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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