JP2012238396A - 負極ペースト、負極電極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非水電解質二次電池の負極電極の製造に用いる負極ペーストであって、
(A)シリコン系負極活物質、
(B)ポリイミド樹脂、又はポリアミドイミド樹脂を含む結着剤、及び
(C)エステル化合物を含む可塑剤を含有するものであることを特徴とする負極ペースト。
【選択図】 なし
Description
(A)シリコン系負極活物質、
(B)下記一般式(1):
で示されるポリイミド樹脂、及び下記一般式(2):
で示されるポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含む結着剤、及び
(C)エステル化合物を含む可塑剤を含有するものであることを特徴とする負極ペーストを提供する。
前記本発明の負極ペーストを前記集電体に塗布し、前記集電体に塗布された負極ペーストを乾燥させることを特徴とする負極電極の製造方法を提供する。
(A)シリコン系負極活物質、
(B)下記一般式(1):
で示されるポリイミド樹脂、及び下記一般式(2):
で示されるポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含む結着剤、及び
(C)エステル化合物を含む可塑剤を含有するものであることを特徴とする負極ペーストを提供する。以下詳細に説明する。
本発明においては、負極活物質としてシリコン系負極活物質を用いる。シリコン系負極活物質とは、充放電でリチウムイオンと反応するシリコンおよびシリコン化合物を活物質として利用する負極材の総称である。
本発明における(B)結着剤は下記一般式(1)で示されるポリイミド樹脂又は下記一般式(2)で示されるポリアミドイミド樹脂を含み、ポリイミド樹脂とポリアミドイミド樹脂の両方を含むこともできる。本発明の負極ペーストにおいて(B)結着剤は、負極活物質と集電体を結着させるよう働くものである。
本発明におけるポリイミド樹脂は下記一般式(1)で示される。特に、このようなポリイミド樹脂としては、芳香族ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
本発明におけるポリアミドイミド樹脂は下記一般式(2)で示される。特に、このようなポリアミドイミド樹脂としては、芳香族ポリアミドイミド樹脂が好適に用いられる。
本発明における(C)可塑剤はエステル化合物を含む。本発明の負極ペーストにおいて(C)可塑剤は、負極ペーストを集電体に塗布、乾燥させたときにおける、結着剤の溶媒乾燥・硬化による負極ペーストの収縮を抑えることができ、これにより集電体を含む負極電極全体のカーリングを抑制する効果を果たす。
本発明における(C)可塑剤に含まれるエステル化合物は特に制限されないが、有機酸又は無機酸と水酸基含有化合物の脱水縮合によって得ることができる。このような、脱水縮合の酸成分としては、カルボン酸やスルホン酸などの有機酸や、リン酸などの無機酸が挙げられる。また、水酸基含有化合物成分としては、炭化水素の水素原子が1つ以上水酸基に置き換えられているアルコールや、芳香環に水酸基が1つ以上結合したフェノール系化合物が挙げられる。以下にエステル化合物の一例を以下に示す。しかし、本発明における(C)可塑剤に含まれるエステル化合物は下記のエステル化合物には限定されず、合成樹脂可塑剤として一般的に用いられるエステル化合物を利用することが可能である。
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル等。
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジノルマルヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸イソデシル等。
トリメリット酸トリス−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリノルマルオクチル等。
マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)等。
セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−(2−エチルヘキシル)等。
リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリノルマルブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等。
多価カルボン酸とポリオールが縮合した低分子ポリエステル等。
本発明の負極ペーストには(A)〜(C)成分に限らず、本発明の目的を妨げない範囲でその他の添加剤を配合することができる。たとえば、導電助剤としてカーボンブラックやアセチレンブラック、炭素繊維などを用いることができる。
また、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤は所望の粘度を得るために本発明の目的を妨げない範囲で適宜添加することもできる。
その他、本発明の負極ペーストには本発明の目的を妨げない範囲で溶剤を添加することもできる。溶剤としては、結着剤が溶解できる溶媒が適切であり、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、およびメチルエチルケトン等の有機溶媒を単独またはこれらを混合して用いることができる。
負極ペーストの調整は特に制限されず公知の方法で行うことができる。例えば、(A)シリコン系負極活物質、(B)結着剤、(C)可塑剤、及びその他の添加剤を混合した後、真空状態で脱泡したり、活物質の凝集を防ぐために超音波を付加しながら撹拌したりすることもできる。
また、本発明では、前記負極ペーストを集電体に塗布し、乾燥させた負極電極を提供する。このような負極電極はカーリングが抑制され、シリコン系負極活物質の配合割合が多く、結着剤、可塑剤の配合割合が小さいため良好なサイクル特性と大容量の電池容量を有する負極電極となる。
また、本発明では、負極ペーストを集電体に塗布し、乾燥させて、非水電解質二次電池の負極として用いる負極電極を製造する方法であって、
前記本発明の可塑剤を含有する負極ペーストを前記集電体に塗布し、前記集電体に塗布された負極ペーストを乾燥させることを特徴とする負極電極の製造方法を提供する。
さらに、本発明では、前記負極電極を負極とする非水電解質二次電池も提供する。このような非水電解質二次電池は良好なサイクル特性と大容量の電池容量を有するものとなる。正極電極、非水電解液、セパレータ等は特に制限されず公知のものを用いることができる。
<シリコン系負極活物質の調製>
平均粒子径が5μm、BET比表面積が3.5m2/gの珪素酸化物SiOx(x=1.01)100gをバッチ式加熱炉内に仕込んだ。油回転式真空ポンプで炉内を減圧しつつ炉内を1,100℃に昇温し、1,100℃に達した後にCH4ガスを0.3NL/minで流入し、5時間のカーボン被覆処理を行った。なお、この時の減圧度は800Paであった。処理後は降温し、97.5gのSiO2中にSiが分散した粒子をカーボン被覆した黒色粒子を得た。得られた黒色粒子は、平均粒子径5.2μm、BET比表面積が6.5m2/gで、黒色粒子に対するカーボン被覆量5.1質量%の導電性粒子(シリコン系負極活物質)であった。
2Lの4つ口フラスコ内に窒素ガスを流しながら、多価カルボン酸無水物としてトリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、多価イソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.0g(1.0mol)、及びNMP708gを仕込み100℃まで昇温した。3時間後に温度を120℃まで昇温しそのまま6時間反応を行った後、NMP118gにて希釈を行い、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
非水電解液として、LiPF6をエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1(体積比)の混合溶液に1.0mol/Lとなるよう溶解させた溶液を調製した。尚、電解液を調製する作業は、大気中の水分が電解液内に拡散するのを防ぐためアルゴンガスを充填したグローブボックス内で行なった。
作製したシリコン系負極活物質90.0質量部と前記ポリアミドイミド樹脂10.0質量部(固形分換算)を混合し、さらに可塑剤としてフタル酸ジエチルを0.5質量部加えた。これに対してNMPを加え本発明の負極ペーストとした。この負極ペーストを幅200mm、厚さ11μmの電解銅箔の片面に対して、塗布幅100mm、塗布厚75μmで塗布し、85度で30分真空乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成形し、この電極を350℃で2時間真空乾燥した後、直径15.858mm2の円形に打ち抜き、本発明の負極電極とした。
さらに、コバルト酸リチウム94.0質量部とアセチレンブラック3.0質量部、ポリフッ化ビニリデン3.0質量部を混合し、さらにNMPを加えて正極ペーストとし、この正極ペーストを厚さ16μmのアルミ箔に塗布し、85℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成形し、この電極を130℃で5時間真空乾燥した後、直径15.858mm2の円形に打ち抜き、正極電極とした。
作製した負極電極及び正極電極と、調製した非水電解液、厚さ20μmのポリプロピレン製微多孔質フィルムのセパレータを用いて評価用コイン型リチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)を作製した。
図4にカーリング評価を説明するための概略図を示す。図4には集電体に負極ペーストを塗布、乾燥して作製された負極電極が表わされている。負極電極は負極ペーストが塗布されていない銅箔部1と塗布されている塗工部2からなる。ここでカーリング評価は負極電極を水平な場所に置き、水平面4からの銅箔部1の高さ3で評価する。水平面4からの銅箔部1の高さ3が低いほどカーリングが抑制されており、高いほどカーリングの程度が大きいと評価する。
作製したコイン型リチウムイオン二次電池を、一晩室温で放置した後、二次電池充放電試験装置(アスカ電子(株)製)を用いて充放電を行なった。コインセルの電圧が4.2Vに達するまで0.5CmA相当の定電流で充電を行い、セル電圧が4.2Vに達したら電圧を保ちながら電流を減少させて充電を行い、電流値が0.1CmA相当を下回った時点で充電を終了した。放電は0.5CmA相当の定電流で行い、セル電圧が2.5Vに達した時点で放電を終了した。
可塑剤として、フタル酸ジエチルを0.01質量部(結着剤に対して0.1質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤として、フタル酸ジエチルを0.1質量部(結着剤に対して1質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤として、フタル酸ジエチルを2.0質量部(結着剤に対して20質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤として、フタル酸ジエチルを5.0質量部(結着剤に対して50質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤として、トリメリット酸トリス−(2−エチルヘキシル)を0.5質量部(結着剤に対して5質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤として、フタル酸ジエチルを0.25質量部、およびトリメリット酸トリス−(2−エチルヘキシル)を0.25質量部(結着剤に対して5質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
結着剤としてポリイミド樹脂(U−ワニスA:宇部興産株式会社製)を10.0質量部(固形分換算)、可塑剤としてフタル酸ジエチルを0.5質量部(結着剤に対して5質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整し、かつ集電体に塗布された負極ペーストの真空乾燥を400℃2時間で行う以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
結着剤として実施例1で合成したポリアミドイミド樹脂を5.0質量部(固形分換算)およびポリイミド樹脂(U−ワニスA:宇部興産株式会社製)を5.0質量部(固形分換算)、可塑剤としてフタル酸ジエチルを0.5質量部(結着剤に対して5質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤として、フタル酸ジエチルを10.0質量部(結着剤に対して100質量%)用いて本発明の負極ペーストを調整した以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
可塑剤を加えない以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
結着剤としてポリフッ化ビニリデン樹脂(KFポリマー#9210:株式会社クレハ製)を10.0質量部(固形分換算)用いかつ、集電体に塗布された負極ペーストの乾燥温度を130℃5時間で行う以外は実施例1と同じ条件で負極電極および非水電解質二次電池を作製し、各評価を行った。
Claims (6)
- 非水電解質二次電池の負極電極の製造に用いる負極ペーストであって、
(A)シリコン系負極活物質、
(B)下記一般式(1):
で示されるポリイミド樹脂、及び下記一般式(2):
で示されるポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含む結着剤、及び
(C)エステル化合物を含む可塑剤を含有するものであることを特徴とする負極ペースト。 - 前記(C)可塑剤は、有機酸又は無機酸と、水酸基含有化合物とが脱水縮合したエステル化合物を含む可塑剤であることを特徴とする請求項1に記載の負極ペースト。
- 前記(C)可塑剤は、前記(B)結着剤を100質量%として0.1〜50質量%含まれるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負極ペースト。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の負極ペーストを集電体に塗布し、乾燥させたものであることを特徴とする負極電極。
- 請求項4に記載の負極電極を負極とするものであることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 負極ペーストを集電体に塗布し、乾燥させて、非水電解質二次電池の負極として用いる負極電極を製造する方法であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の負極ペーストを前記集電体に塗布し、前記集電体に塗布された負極ペーストを乾燥させることを特徴とする負極電極の製造方法。
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