次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る作業車両としての田植機1の側面図である。この田植機1は、前輪11と、後輪12と、運転座席13と、を備える車体2を有しており、乗用式の田植機(移植機)として構成されている。
前記運転座席13の前方には操向ハンドル14が配置され、運転座席13の足元にはブレーキペダル15等のペダル類が配置される。また、運転座席13の近傍には、条止めレバー16等の各種操作レバーが配置されている。
また、田植機1は、運転座席13のすぐ後方に配置された施肥装置20と、車体2の後方に配置された植付部30と、植付部30に取り付けられた箱施用剤散布機40と、を備えている。
施肥装置20は、肥料ホッパ21と、肥料繰出部22と、図略のブロアと、肥料搬送ホース23と、を備える。肥料繰出部22は、適宜駆動されることにより肥料ホッパ21内の肥料を所定量ずつ繰り出すように構成される。肥料繰出部22から繰り出された肥料は、前記ブロアによる空気流で肥料搬送ホース23内を搬送され、後述の作溝器38に供給される。
前記植付部30は、昇降リンク機構31を介して車体2の後部に連結されている植付ケース32を備える。昇降リンク機構31は、トップリンク33、ロワーリンク34等からなる平行リンク構造から構成されており、ロワーリンク34に連結された図略の昇降シリンダを駆動することにより、植付ケース32を昇降駆動可能に構成されている。
図2に示すように、本実施形態の田植機1が備える植付部30において、植付ケース32は計4つ配設されるとともに、各植付ケース32の左右にはそれぞれ植付ユニット36が1つずつ配置されている。従って、本実施形態の田植機1は、8条用の田植機として構成されている。
各植付ユニット36は、回転ケース36aに2つの植付爪36bを備えるロータリ式植付装置として構成されている。ロータリ式植付装置の構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、回転ケース36aを回転駆動することにより、植付爪36bの先端部が所定の軌跡を描きながら上下に駆動されるように構成したものである。植付爪36bの先端部は、上から下に向かって動くときに、後述の苗載台39に載せられた苗マットの下端から1株分の苗を掻き取り、当該苗の根元を保持したまま下方に動いて地面に植えこむように構成されている。
また図1に示すように、植付部30は、フロート37と、作溝器38と、苗載台39と、を備えている。
前記フロート37は、植付部30の下部に左右対称に設けられる。これにより、植付部30の左右のバランスを良好に保ち、植付姿勢を安定させて正確な植付けを行うことができるように構成されている。作溝器38は、前記フロート37に隣接して設けられている。この作溝器38は、接地面よりも下方に向けて泥土層に入り込み、肥料を供給するための溝を形成しながら、肥料搬送ホース23を介して施肥装置20から供給される肥料を泥土層に施肥するように構成されている。
苗載台39は、前記植付ケース32の上方に配置されている。本実施形態の田植機1は8条用であるから、苗載台39は、8条分の苗マットを車体幅方向に並べて載せることができるように構成されている(図2参照)。
この苗載台39は、図略のガイドレール上を車体左右方向に往復摺動可能に支持されている。そして、植付部30は、苗マットの左右幅の範囲内で苗載台39を左右に往復駆動する図略の横送り機構を備えている。これにより、苗載台39に載せた苗マットを、植付ユニット36に対して左右に相対運動させることができる。また、苗載台39は、苗マットを、下方に向かって(即ち、植付ユニット36側に向かって)間欠的に送る苗送りベルト(縦送り機構)を備えている。以上の構成で、横送り機構と縦送り機構とを適切に連動させることにより、各植付ユニット36に対して苗を順次供給し、連続的に植付けを行うことができる。
なお、本実施形態の田植機1は、8条用の田植機として構成されており、苗載台39が車体2の左右方向にはみ出しているため、路上走行時等に邪魔になる。このため、本実施形態の田植機1は、2条分の苗載台39bを分離可能に構成するとともに、当該取り外した苗載台39bを、残った主苗載台39aの上方に載置可能に構成している。また、図2に示すように、本実施形態の田植機1は、前記取り外した苗載台39bを取付可能な支持パイプ97を、車体左右方向中央寄りの位置に備えている。
植付ケース32の上方には、箱施用剤散布機40が配置されている。箱施用剤散布機40の構成については後に詳述するが、簡単に説明すると、ホッパ45内の箱施用剤を繰出部46で繰り出し、パイプ状のシュータ(薬剤案内部材)47から苗マットの表面(苗の根元)に散布するものである。図2に示すように、繰出部46とシュータ47は条ごとに設けられている。なお、箱施用剤散布機40は植付ケース32に対して固定されている。従って、前記横送り機構と縦送り機構によって、苗マットに対してシュータ47が相対運動するので、箱施用剤を苗マットの上に満遍なく散布することができる。
次に、植付部30の条止めクラッチの構成について説明する。条止めクラッチとは、植付ケース32それぞれに設けられたクラッチ機構のことであり、植付ケース32ごとに植付ユニット36の駆動の有無を切り替えることができるように構成したものである。これにより、必要に応じて、植付けを部分的に停止することができる。
条止めクラッチは、前記条止めレバー16を操作することにより切り替えられる。条止めレバー16は、各植付ケース32に対応して計4本設けられ、それぞれが独立して操作することが可能に構成されている。
次に、条止めクラッチの構成について、図3を参照して具体的に説明する。図3に示すように、各植付ケース32内には、車体2が備える図略のPTO軸からの回転駆動力を伝える駆動伝達軸50が配置されている。この駆動伝達軸50の後端には、第1ベベルギア51が固設されている。
また、各植付ケース32内には、植付ユニット駆動軸52が、車体左右方向に沿って配置されている。当該植付ユニット駆動軸52の両端部は植付ケース32の左右から外部に突出しており、当該両端部に回転ケース36aがそれぞれ取り付けられている。
また、各植付ケース32内には、植付ユニット駆動軸52にスプライン嵌合された第1クラッチ部材53と、植付ユニット駆動軸52に対して相対回転自在に支持された第2クラッチ部材54と、が配置されている。
第1クラッチ部材53と第2クラッチ部材54にはそれぞれクラッチ爪が形成されており、当該クラッチ爪は植付ユニット駆動軸52の軸線方向で互いに向かい合っている。そして、第1クラッチ部材53と第2クラッチ部材54のクラッチ爪は噛み合い可能である。即ち、第1クラッチ部材53と第2クラッチ部材54によって、噛み合いクラッチ(条止めクラッチ)が構成されている。
また、第1クラッチ部材53は、前記スプライン嵌合によって、植付ユニット駆動軸52に対して相対回転不能に取り付けられている。一方、第2クラッチ部材54には第2ベベルギア55が形成されており、当該第2ベベルギア55は前記第1ベベルギア51と噛み合っている。以上の構成で、第1クラッチ部材53と第2クラッチ部材54とが噛み合った状態(クラッチ「入」の状態)では、駆動伝達軸50の駆動力が植付ユニット駆動軸52に伝達されることにより、植付ケース32左右の(2条分の)植付ユニット36を駆動することができる。
一方、第1クラッチ部材53は、植付ユニット駆動軸52に対してスプライン嵌合されているので、第2クラッチ部材54から離間する方向(即ち、クラッチ爪の噛み合いを解除する方向)に移動可能である。これにより、クラッチを「切」の状態にして、植付ケース32左右の(2条分の)植付ユニット36の駆動を停止することができる。なお、第1クラッチ部材53は、付勢バネ56によって、第2クラッチ部材54と噛み合う方向に付勢されている。従って、通常時においては、第1クラッチ部材53と第2クラッチ部材54とは噛み合った状態(クラッチ「入」の状態)に保持されている。
次に、上記のように構成されたクラッチを条止めレバー16で操作可能とするための構成について、図4を参照して説明する。図4に示すように、L字状に形成されたクラッチレバー58が、その中間部を止めピン59によって回動自在に支持された状態で、各植付ケース32の外側に取り付けられている。このクラッチレバーの一端には、ワイヤ60が接続されており、このワイヤ60は前述の条止めレバー16に接続されている。この構成で、条止めレバー16を操作することにより、止めピン59の位置を中心にしてクラッチレバー58を回動させることができるようになっている。
また、クラッチレバー58の他端には、クラッチ操作ピン57の一端が取り付けられている。クラッチ操作ピン57の他端は、植付ケース32に内挿されている。この構成で、条止めレバー16を操作することにより、クラッチ操作ピン57を植付ケース32内に押し込むことができるようになっている。一方、図3に示すように、前記第1クラッチ部材53には、カム部53aが形成されている。そして、クラッチ操作ピン57が植付ケース32内に押し込まれると、当該クラッチ操作ピン57の先端が前記カム部53aに当接し、第1クラッチ部材53を、第2クラッチ部材54から遠ざかる方向に(クラッチ「切」の状態となる方向に)移動させることができるように構成されている。
以上のように、条止めレバー16を操作することで、対応する植付ケース32の条止めクラッチを切断し、当該植付ケース32に設けられた2つの植付ユニット36の駆動を停止させ、植付けを部分的に停止することができるように構成されている。
次に、箱施用剤散布機40について詳しく説明する。図2に示すように、箱施用剤散布機40は、支持フレーム43と、支持フレーム43に支持された複数の散布ユニット44と、を備えている。
図2に示すように、前記支持フレーム43は、各植付ケース32の上部に固定された上下方向の縦フレーム41と、縦フレーム41の上端に支持され車体左右方向に配設された横フレーム42と、から主に構成される。
図1に示すように、散布ユニット44は苗載台39の後上方に配置される。また図2に示すように、複数の散布ユニット44が車体左右方向に並んだ状態で、支持フレーム43に支持されている。また、散布ユニット44は、植付ケース32に対応して設けられている。従って、本実施形態の箱施用剤散布機40は、散布ユニット44を4つ備えている。なお、図2に示すように、散布ユニット44には、散布ユニット44Rと散布ユニット44Lの2種類があるが、両者はユニット側クラッチ部材49(後述)の位置が異なるという以外はほぼ共通の構成であるので、本明細書ではもっぱら散布ユニット44Lを図示して説明する。
図5に示すように、各散布ユニット44は、ホッパ45と、繰出部46と、シュータ47と、繰出駆動軸(駆動軸)48と、丸棒部材27と、板状部材28と、ユニット側クラッチ操作レバー80と、を一体的にまとめて構成したものである。そして、各散布ユニット44は、当該散布ユニット44ごと支持フレーム43から取り外すことが可能に構成されている。
ホッパ45は、箱施用剤を入れるための容器である。ホッパ45は、その上端が開口して形成されているとともに、当該開口部を塞ぐ蓋部45bを備える。この蓋部45bを開けることにより、ホッパ45内部に箱施用剤を補給したり、ホッパ45内部を覗いて残った箱施用剤を確認したりすることができる。なお、箱施用剤は(液体ではなく)細かい粒状のものを想定している。従って、本実施形態の箱施用剤散布機40は、固形体散布機であると言うこともできる。
繰出部46は、ホッパ45内の箱施用剤を所定量ずつ繰り出してシュータ47に落下させるように構成されている。シュータ47はパイプ状の部材であり、その先端部が苗マットの表面(苗の根元)近傍に位置するように配置されている。シュータ47の先端部は、前記縦送り機構及び横送り機構によって相対運動する苗マットの苗をかき分ける役割と、繰出部46から落下してくる箱施用剤を苗マットの表面まで案内する役割と、を兼ねている。これにより、箱施用剤を苗の根元に適切に散布することができる。
図5に示すように、各散布ユニット44は、繰出部46及びシュータ47を2つずつ備えている。この構成は、各植付ケース32が植付ユニット36を2つずつ備えているのに対応している。また、2つの繰出部は間隔を空けて配置されており、その間隔は条間ピッチと略一致している。この2つの繰出部46に対して箱施用剤を供給するために、ホッパ45の左右幅は条間ピッチよりも若干長い程度に形成されている。そして、ホッパ45の下部は2股に分かれており、その分かれた部分の下端部には、繰出部46に連通する連通部45aがそれぞれ形成されている。
また、図2に示すように、本実施形態の箱施用剤散布機40が備える4つの散布ユニット44は、隣接する散布ユニット44が備える繰出部46同士の間隔が条間ピッチと略一致するように配置されている。即ち、箱施用剤散布機40の全体として見れば、条ごとに繰出部46が設けられ、かつ、繰出部46同士の間隔が条間ピッチと略一致した構成となっている。
ここで、仮に繰出部46の数が条の数に比べて少なく構成されていると、1つの繰出部46から複数の条の苗マットに対して箱施用剤を供給しなければならないので、シュータ47の長さが長くなってしまう。この点、上記のように条ごとに繰出部46が設けられる構成とすることにより、シュータ47の長さを短く構成することができる。なお、繰出部46の数が条の数と一致していたとしても、繰出部46同士の間隔が条間ピッチと一致していない場合は、各繰出部46から苗マットまでの距離が長くなってしまう。そこで、上記のように繰出部46同士の間隔を、条間ピッチと略一致させている。
そして、シュータ47を短く構成することにより、当該シュータ47に箱施用剤が詰まりにくくすることができる。また、シュータ47を短くすることができるので、繰出部46の位置を苗マットに近付けることが可能となり、散布ユニット44全体を低い位置に配置することができる。これにより、ホッパ45への箱施用剤の補給作業等が行い易くなるだけでなく、低重心化によって田植機1全体の重量バランスを改善することができる。
また、図2に示すように、各散布ユニット44を支持フレーム43に搭載した状態において、ホッパ45同士の間隔がある程度空くようになっている。従って、作業者は、このホッパ45同士の間から手を差し込んで、苗載台39に残っている苗マットを取り除くといった作業を行い易くなっている。
次に、図6を参照して、繰出部46の構成について詳しく説明する。繰出部46は、繰出ケース24と、繰出ロール25と、ブラシ26と、を備える。
繰出ケース24は、ホッパ45に形成されている2つの連通部45aの下部にそれぞれ取り付けられている。繰出ケース24と連通部45aとによって形成される空間の内側には、繰出ロール25が配置されている。繰出ロール25は厚みのある円板状に形成されているとともに、その外周面には複数の凹部25aが所定間隔を空けて形成されている。以上により、ホッパ45内の粒状の箱施用剤を、前記各凹部25aの内部に一定量ずつ落とし込むことができるように構成されている。そして、この繰出ロール25を所定速度で回転駆動することにより、繰出ロール25がいわば水車のように機能して、ホッパ45内の箱施用剤をシュータ47に向かって所定の供給速度で繰り出すことができる。
ブラシ26は、繰出ロール25の外周面に接触するようにして配置されている。このブラシ26は、ホッパ45内の箱施用剤が、繰出ロール25と繰出ケース24との隙間を通って下方に流れ出してしまわないように、前記箱施用剤をせき止めるためのものである。
各散布ユニット44が備える繰出駆動軸48には、当該散布ユニット44が備える2つの繰出ロール25が固定されている。また、図5に示すように、繰出駆動軸48の一端にはユニット側クラッチ部材49が取り付けられている。なお、このユニット側クラッチ部材49が進行方向向かって左側に設けられているのが散布ユニット44Rであり、右側に設けられているのが散布ユニット44Lである。
このユニット側クラッチ部材49には、クラッチ爪が形成されている。そして、ユニット側クラッチ部材49が後述のフレーム側クラッチ部材76と噛み合って繰出駆動軸48に回転駆動力が入力されることにより、散布ユニット44が備える2つの(2条分の)繰出ロール25が同時に回転駆動されて、ホッパ45内の箱施用剤が繰り出される。
また、丸棒部材27と板状部材28は、散布ユニット44を支持フレーム43に乗せる際に、当該支持フレーム43が備える取付ステー87に当接して、散布ユニット44自身の姿勢を支えるための部材である。なお、取付ステー87の構成については後述する。
次に、各散布ユニット44が備える繰出駆動軸48に対して、植付ケース32からの駆動力を伝達するための構成について説明する。
まず、植付ケース32から駆動力を取り出すための構成について説明する。4つ配置された前記植付ケース32のうち何れか1つは、その後端部が開口されるとともに、当該後端部に駆動取出ケース61が取り付けられた構成となっている。本実施形態の場合、図2に示すように、左から2番目の植付ケース32の後端部に駆動取出ケース61が取り付けられている。この駆動取出ケース61内部の様子が、図3に示されている。即ち、図3は、左から2番目の植付ケース32について示したものである。
図3に示すように、駆動取出ケース61の内部には、散布機用PTO軸62が配置されている。散布機用PTO軸62の一端には前記第2ベベルギア55と噛み合う第3ベベルギア63が固設され、他端には駆動ギア64が固設される。一方、駆動取出ケース61には駆動取出軸65が回転自在に支持されており、この駆動取出軸65の先端には前記駆動ギア64と噛み合う図略の従動ギアが固設され、後端は駆動取出ケース61から後方に向かって突出している。以上の構成で、植付ケース32の後方から回転駆動力を取り出すことができる。
次に、植付ケース32から取り出した回転駆動力を、各散布ユニット44に伝達するための駆動伝達機構について説明する。支持フレーム43には、植付部30からの駆動力を伝達するリンク機構(リンク部)91と、ワンウェイクラッチ機構70と、駆動力分配機構92と、が設けられている。
図7及び図8に示すように、前記リンク機構91は、駆動取出軸65の後端に取り付けられたクランクプレート66と、クランクプレート66に一端を連結された縦リンク部材67と、縦リンク部材67の他端に連結された第1駆動伝達レバー68と、を備える。駆動取出軸65によって植付ケース32から取り出された回転運動は、クランクプレート66及び縦リンク部材67によって上下往復運動に変換され、第1駆動伝達レバー68に伝達される。
第1駆動伝達レバー68は、後述の第1駆動伝達軸72に対して回動可能に取り付けられている。この構成で、縦リンク部材67の上下往復運動は、前記第1駆動伝達レバー68によって、第1駆動伝達軸72の軸線を中心とした往復回動運動に変換される。
前記ワンウェイクラッチ機構70は、前記第1駆動伝達軸72に対して回動可能に取り付けられた第2駆動伝達レバー69を備え、当該第2駆動伝達レバー69が一方向に回動した場合のみ、第1駆動伝達軸72に駆動力を伝達するように構成されている。そして、第2駆動伝達レバー69は、前記第1駆動伝達レバー68と接触可能に構成されている。これにより、第1駆動伝達レバー68による往復回動運動が第2駆動伝達レバー69に伝達され、ワンウェイクラッチ機構70によって一方向への回動駆動力のみが第1駆動伝達軸72に伝達される。
以上で説明した構成により、植付部30から取り出した駆動力を第1駆動伝達軸72まで伝達し、当該第1駆動伝達軸72を一方向に間欠的に回転駆動することができる。
次に、駆動力分配機構92について説明する。駆動力分配機構92は、前記第1駆動伝達軸72と、第1駆動伝達ギア73と、第2駆動伝達ギア74と、第2駆動伝達軸75と、フレーム側クラッチ部材76と、から構成されている。
図2及び図7に示すように、第1駆動伝達軸72は散布ユニット44が並んでいる方向(車体左右方向)に配設されている。また、図7に示すように、第1駆動伝達軸72の両端には、それぞれ第1駆動伝達ギア73が固設されている。従って、本実施形態の箱施用剤散布機40は、2つの第1駆動伝達ギア73を備えている。また図7に示すように、この2つの第1駆動伝達ギア73それぞれに対応して、当該第1駆動伝達ギアと噛み合う第2駆動伝達ギア74が設けられている。従って、本実施形態の箱施用剤散布機40は、第2駆動伝達ギア74を2つ備えている。なお、第1駆動伝達ギア73及び第2駆動伝達ギア74は、ギアケース77内に収容されている。図8では、第1駆動伝達ギア73及び第2駆動伝達ギア74の構成をより良く図示するため、ギアケース77の上部を鎖線で透視的に描いている。
図7に示すように、2つの第2駆動伝達ギア74は、これに対応して配置された第2駆動伝達軸75の軸線方向中央部にそれぞれ固設されている。従って、本実施形態の箱施用剤散布機40は、第2駆動伝達軸を2本備える。前記第2駆動伝達軸75は、第1駆動伝達軸72と平行に配置されている。そして、各第2駆動伝達軸75の両端には、それぞれフレーム側クラッチ部材76が取り付けられている。即ち、本実施形態の箱施用剤散布機40は、フレーム側クラッチ部材76を4つ備えている。また、4つのフレーム側クラッチ部材76は、4つの散布ユニット44の取付位置それぞれに対応した位置に配置されている。
フレーム側クラッチ部材76には、クラッチ爪が形成されている。そして、散布ユニット44が支持フレームに取り付けられた状態では、フレーム側クラッチ部材76に形成されたクラッチ爪と、ユニット側クラッチ部材49に形成されたクラッチ爪と、が車体左右方向で向かい合うように配置されている。そして、この2つクラッチ部材49,76に形成されたクラッチ爪は、噛み合い可能に構成されている。即ち、フレーム側クラッチ部材76及びユニット側クラッチ部材49により、ユニットクラッチ(噛み合いクラッチ)78が構成されている。図7に示すように、このユニットクラッチ78は、散布ユニット44ごとに配置されていると言うことができる。
以上の構成で、1つの植付ケース32から取り出した駆動力を、1つのリンク機構91及び1つのワンウェイクラッチ機構70を介して伝達し、駆動力分配機構92によって4つのユニットクラッチ78に対して分配することができる。このように、リンク機構91及びワンウェイクラッチ機構70がそれぞれ1つで良いので、駆動伝達機構を簡単な構成とすることができる。そして、ユニットクラッチ78を「入」の状態(ユニット側クラッチ部材49とフレーム側クラッチ部材76とが噛み合った状態)とすることにより、駆動力を各散布ユニット44の繰出駆動軸48に伝達し、各散布ユニット44の繰出ロール25を回転駆動することができる。
なお、クラッチを噛み合いクラッチとして構成し、そのクラッチ部材を駆動伝達軸の端部に配置する構成とした場合、1つの駆動伝達軸には2つのクラッチ部材までしか配置することができない。即ち、2つの散布ユニットに対してしか駆動力を分配することができない。この点、上記の構成では、第1駆動伝達軸72から、駆動伝達ギア73,74を介して、複数の第2駆動伝達軸75に対して駆動力を分岐させている。従って、この複数の第2駆動伝達軸75の両端にフレーム側クラッチ部材76を取り付けることにより、3つ以上の散布ユニット44に対しても駆動力を分配することができる。また、駆動伝達ギア73,74の間に、他の駆動伝達ギアがあっても良い(即ち、駆動伝達ギア73,74同士が間接的に噛み合うようにしても良い)。これにより、第2駆動伝達軸75を比較的自由に配置することが可能となり、散布ユニット44の配置レイアウトの自由度を増大させることができる。
また前述したとおり、本実施形態においては、繰出部46を条ごとに設けることにより、各散布ユニット44を低い位置に配置する(植付ケース32に近付ける)ことが可能となっている。従って、縦リンク部材67を短く構成することが可能となり、リンク機構91をシンプルに構成することが可能となっている。
次に、ユニットクラッチ78の構造について詳しく説明する。図9に示すように、ユニット側クラッチ部材49は、付勢バネ79によって、フレーム側クラッチ部材76と噛み合う方向に付勢されている。即ち、付勢バネ79の付勢力により、ユニットクラッチ78が「入」の状態で保持されるように構成されている。
次に、このユニットクラッチ78を、条止めクラッチと連動させて「切」の状態に切り替えるためのクラッチ連動機構の構成について説明する。
図10に示すように、横フレーム42には、フレーム側クラッチ操作レバー(フレーム側接触部材)85が回動可能に支持されている。このフレーム側クラッチ操作レバー85は、4つの散布ユニット44に対応して設けられている。従って、本実施形態の横フレーム42には、フレーム側クラッチ操作レバー85が4つ設けられている。また、各フレーム側クラッチ操作レバー85には、それぞれクラッチ操作力伝達ワイヤ(クラッチ操作力伝達部材)86の一端が接続されている。そして、それぞれのクラッチ操作力伝達ワイヤ86の他端は、図4に示すように、対応する植付ケース32が備えるクラッチ操作ピン57に連結されている。この構成で、クラッチ操作ピン57の変位によって、フレーム側クラッチ操作レバー85を回動させることができるようになっている。
なお、ここで「対応する植付ケース32」とは、散布ユニット44の位置に対応した植付ケース32のことである。例えば、最も左の散布ユニット44に対応して設けられたフレーム側クラッチ操作レバー85は、最も左の植付ケース32が備えるクラッチ操作ピン57と、クラッチ操作力伝達ワイヤ86によって連結されている。また例えば、左から2番目の散布ユニット44に対応して設けられたフレーム側クラッチ操作レバー85は、左から2番目の植付ケース32が備えるクラッチ操作ピン57と、クラッチ操作力伝達ワイヤ86によって連結されている。
従って、4本ある条止めレバー16のうち何れかが操作されて、対応する植付ケース32のクラッチ操作ピン57が当該植付ケース32内に押し込まれると、当該クラッチ操作ピン57の変位を、これに対応するフレーム側クラッチ操作レバー85までクラッチ操作力伝達ワイヤ86が伝達し、当該フレーム側クラッチ操作レバー85を回動させることができる。即ち、条止めクラッチの操作と、フレーム側クラッチ操作レバー85の動作と、を連動させることができるように構成されている。
一方、図11及び図12に示すように、散布ユニット44の板状部材28には、ユニット側クラッチ操作レバー(ユニット側接触部材)80が回動可能に取り付けられている。ユニット側クラッチ操作レバー80は、クラッチ部材当接部81と、操作入力部82と、から構成されている。
クラッチ部材当接部81は、ユニット側クラッチ部材49の外周に形成された鍔部49aに当接可能に配置されている。操作入力部82は、板状の部位として構成されるとともに、前記クラッチ部材当接部81に固定されている。この操作入力部82を所定方向に押すことにより、ユニット側クラッチ操作レバー80を所定方向に回動させることができる。そして、ユニット側クラッチ操作レバー80が所定方向に回動することにより、クラッチ部材当接部81がユニット側クラッチ部材49を押し、当該ユニット側クラッチ部材49をフレーム側クラッチ部材76から離れる方向に変位させることができるように構成されている。これにより、ユニットクラッチ78を「切」の状態にすることができる。
図9に示すように、散布ユニット44を取り付けた状態においては、ユニット側クラッチ操作レバー80の操作入力部82と、フレーム側クラッチ操作レバー85と、が近接した位置となるように構成されている。そして、条止めレバー16が操作されると、これに対応するフレーム側クラッチ操作レバー85が回動し、このフレーム側クラッチ操作レバー85が近接するユニット側クラッチ操作レバー80の操作入力部82に接触して、当該操作入力部82を所定方向に押す。これにより、ユニット側クラッチ操作レバー80が回動してクラッチ部材当接部81がユニット側クラッチ部材49を押し、当該ユニット側クラッチ部材49の位置をフレーム側クラッチ部材76から離間する方向に変位させることで、ユニットクラッチ78を切断するように構成されている。即ち、条止めクラッチと、対応するユニットクラッチ78と、を連動させることができるように構成されている。
なお、前述したように、植付ケース32の条止めクラッチは、2条ごとに植付けを停止する構成である。一方、散布ユニット44は1つの駆動軸で2つの(2条分の)繰出ロール25を駆動する構成である。従って、1つのユニットクラッチ78で2つの(2条分の)繰出部46の駆動を停止することができる。このような構成であるから、条止めクラッチとユニットクラッチとを連動させることにより、植付け及び箱施用剤散布の有無を、2条ごとに切り替えることが可能となっているのである。また、上記のように構成することで、1つの繰出部46に対して1つのユニットクラッチを設ける構成と比べてユニットクラッチ関係の部品の数を削減でき、散布ユニット44及び駆動伝達機構をシンプルに構成することができる。
次に、散布ユニット44を支持フレーム43から取外し可能とするための構成について説明する。
前述のように、ユニットクラッチ78は、ユニット側クラッチ部材49と、フレーム側クラッチ部材76と、からなる噛み合いクラッチとして構成されている。そして、ユニット側クラッチ部材49は、フレーム側クラッチ部材76から離間させることが可能である。即ち、散布ユニット44の繰出駆動軸48を、ユニットクラッチ78の部分で、支持フレーム43側の駆動伝達機構から切り離すことができる。このように、ユニットクラッチ78を噛み合いクラッチとして構成したことにより、散布ユニット44を支持フレーム43から取り外す際に、駆動を伝達するための機構の取外し作業等が不要となるため、当該散布ユニット44を簡単に取り外すことができる。
また前述のように、ユニット側クラッチ操作レバー80と、フレーム側クラッチ操作レバー85は、(機械的に連結されているものではなく)互いに近接して配置されているだけである。従って、ユニット側クラッチ操作レバー80を、フレーム側クラッチ操作レバー85から離間させることが可能である。これにより、散布ユニット44を支持フレーム43から取り外す際に、クラッチ操作力を伝達するための機構(例えばワイヤ等)の取外し作業等が不要となるため、当該散布ユニット44を簡単に取り外すことができる。
なお、従来の箱施用剤散布機においては、支持フレーム側の駆動伝達機構から繰出部を簡単に切り離すことができなかったため、ホッパと繰出部をユニットとしてまとめて取り外すことができなかった。そこで、従来の箱施用剤散布機においては、ホッパ内に余った薬剤を容易に排出できるようにするため、ホッパのみを取外し可能な構成とされていた。この構成では、ホッパと繰出部の間を強固に連結することができず、ホッパと繰出部との間の隙間から雨水が侵入して薬剤が溶け出してしまうことがあった。また、繰出部は支持フレームから取り外すことができないため、当該繰出部内部に残った薬剤を容易に排出することができなかった。
この点、本実施形態では、散布ユニット及び駆動伝達機構を上記のように構成することにより、支持フレーム43側の駆動伝達機構から、繰出部46を容易に切り離すことができる。従って、ホッパ45、繰出部46、シュータ47等を一体的にまとめて散布ユニット44を構成し、当該散布ユニット44ごと支持フレーム43から取り外すことができるようになったのである。
従って、本実施形態の構成では、ホッパ45及び繰出部46内に余った薬剤を排出するには、散布ユニット44を取り外し、蓋部45bを開けて当該散布ユニット44ごとひっくり返せば良い。従って、従来の箱施用剤散布機のように、ホッパ45を繰出部46から簡単に分離可能に構成する必要は無い。そこで、図5等に示すように、本実施形態では、ホッパ45と繰出ケース24とはネジ止めされている。このように、ホッパ45と繰出ケース24を強固に連結することができるので、従来よりもシール性が向上し、内部に雨水等が侵入しにくくすることができる。
次に、各散布ユニット44を支持フレーム43に固定するための構成について説明する。
図10に示すように、横フレーム42には、散布ユニット44を乗せるための取付ステー87が、各散布ユニット44の取付位置にそれぞれ配置されている。各取付ステー87は、車体左右方向に並んで設けられた2本の脚部88と、脚部88の間に水平に渡された板状の水平部89と、から構成されている。
一方、図11及び図12に示すように、散布ユニット44が備える丸棒部材27及び板状部材28は、それぞれ車体左右方向に(繰出駆動軸48と平行な方向に)配設されている。この散布ユニット44を取付ステー87に乗せる際には、脚部88の上に丸棒部材27を、水平部89の上に板状部材28を、それぞれ乗せる。これより、2本の脚部88と、水平部89と、によって少なくとも3点で散布ユニット44を支持することができるので、当該散布ユニット44の姿勢を安定させることができる。
一方、図10に示すように、脚部88には、傾斜部88aと、当該傾斜部88aの下端に連続して形成されたU字部88bと、がそれぞれ形成されている。この構成で、取付ステー87に散布ユニット44を乗せる際には、丸棒部材27を傾斜部88aに当接させたまま、散布ユニット44を自重によって下方にスライドさせるように移動させる。すると、前記傾斜部88aによって丸棒部材27が自然に案内され、当該丸棒部材27がU字部88bの内側に嵌まり込むことにより、散布ユニット44が車体前後方向で位置決めされるようになっている。そして、散布ユニット44が車体前後方向で位置決めされた状態では、クラッチ部材49,76が互いに向かい合う位置となるように構成されている。
また、水平部89及び板状部材28は、それぞれ車体左右方向にある程度の長さを有している。即ち、散布ユニット44の位置が車体左右方向にある程度ズレたとしても、水平部89に板状部材28を乗せることができる。一方、2本の脚部88の間隔は、丸棒部材27の車体左右方向の長さよりも短いように構成されている。即ち、散布ユニット44の位置が車体左右方向にある程度ズレたとしても、2本の脚部88に丸棒部材27を乗せることができる。従って、脚部88に丸棒部材27を、水平部89に板状部材28を載せた状態で、散布ユニット44を車体左右方向にある程度移動させても、2本の脚部88及び水平部89によって散布ユニット44を少なくとも3点で安定して支持することができる。即ち、散布ユニット44の姿勢を保ったまま、当該散布ユニット44を車体左右方向(即ち、クラッチ部材49,76同士が接触又は離間する方向)にスライドさせることができるように構成されている。
従って、例えば、クラッチ部材49,76同士が離れた状態で、散布ユニット44を取付ステー87上に安定して仮置きすることができる。このように散布ユニット44を仮置きできるので、散布ユニット44の取付作業を楽に行うことができる。そして、この仮置きした状態(U字部88bに丸棒部材27が嵌まり込んだ状態)においては、散布ユニット44は車体前後方向で位置決めされているので、当該散布ユニット44を取付ステー87上で車体左右方向にスライドさせるだけで、クラッチ部材49,76同士を簡単に噛み合わせることができる。
なお、散布ユニット44の車体左右方向の位置決めは、板状部材28に形成された孔部28a(図12参照)に、水平部89に形成された凸部89a(図10参照)が嵌まり込むことにより行うことができる。また、取付ステー87の近傍には、固定具90が配置されている(図10参照)。この固定具90は、丸棒部材27に固定されている鉤状部材27a(図11参照)を引っ掛けて固定することができるように構成されている。そして、この固定具90は、鉤状部材27aを引っ掛けて留めた状態と、開放した状態と、をワンタッチで(例えば指一本で)簡単に切り替えることが可能に構成されている。従って、散布ユニット44を位置決めした後、鉤状部材27aに固定具90を引っ掛けて留めることにより、散布ユニット44を取付ステー87に簡単に固定することができる。
以上のように、固定具90で留めるだけで、散布ユニット44の取付けを完了することができる。そして、散布ユニット44を支持フレーム43に取り付けるだけで、クラッチ部材49,76同士を噛み合った状態(繰出駆動軸48と駆動伝達機構とが接続された状態)とすることができるのである。このように、ネジ止めしたり、駆動伝達機構やクラッチの操作機構を取り付けたりする手間をかけることなく、散布ユニット44の取付け及び取外しを簡単に行うことができる。
次に、取り外した苗載台39bを載置するための構成について説明する。
前述のように、本実施形態においては、2条分の苗載台39bを主苗載台39aから分離可能に構成されている。一方、図10等に示すように、横フレーム42には、散布ユニット44を載置して固定可能な仮置きステー96が設けられている。図7に示すように、仮置きステー96は2つ設けられており、横フレーム42の車体左右端部寄りにそれぞれ配置されている。
苗載台39bを主苗載台39aから分離させる際には、まず、4つの散布ユニット44のうち、車体左右方向中央寄りの2つの散布ユニット44を、それぞれ仮置きステー96上に移動させて固定する。これにより、車体左右方向中央寄りの位置にスペースを空けることができる。そして、苗載台39bを主苗載台39aから分離し、前記支持パイプ97に取り付ける。このときの様子を、図13に示す。図13に示すように、支持パイプ97に取り付けられた苗載台39bは、中央の2つの散布ユニット44を仮置きステー96上に移動させることにより形成されたスペースに配置される。
支持パイプ97に取り付けられた苗載台39bの位置を、図1の側面図に2点鎖線で示す。図1に示すように、分離された苗載台39bは、支持パイプ97に取り付けられることにより、残った主苗載台39aの上方に配置される。そして、図1に示すように、苗載台39bは、散布ユニット44と側面視でオーバーラップする位置となっている。ここで仮に、散布ユニット44を移動させてスペースを空けることができない場合は、苗載台39bと散布ユニット44が側面視でオーバーラップしないように配置する必要がある(苗載台39bと散布ユニット44とが干渉しないようにするため)。従って、この場合は、散布ユニット44を避けて苗載台39bの取付位置を高い位置にせざるを得ず、当該苗載台39bを支持パイプ97に取り付ける作業等が困難となる。
この点、本実施形態では、上記のように散布ユニット44を移動させてスペースを形成することにより、苗載台39bを低い位置に取り付けることが可能になる。また、車体中央部にスペースが空いているため、当該苗載台39bの取付作業時に散布ユニット44が邪魔になることがない。そして、このような構成は、散布ユニット44を支持フレーム43から簡単に取外し可能に構成することにより、初めて可能となったのである。
以上で説明したように、本実施形態の田植機1には、箱施用剤散布機40が搭載されている。この箱施用剤散布機40は、複数の散布ユニット44と、各散布ユニット44を支持する支持フレーム43と、を備える。散布ユニット44のそれぞれは、ホッパ45と、前記ホッパ45内の薬剤を繰り出す繰出部46と、繰出部46を回転駆動するための繰出駆動軸48と、を備える。ホッパ45及び繰出駆動軸48は、各散布ユニット44に1つずつ設けられる。また各散布ユニット44には、前記繰出部46が2つ設けられる。そして、各散布ユニット44は、ホッパ45、繰出部46及び繰出駆動軸48を一体的にまとめた状態を保って支持フレーム43から取外し可能である。
このように、散布ユニット44を取り外すことができるので、例えば、取り外した散布ユニット44をひっくり返してホッパ45の内部に残った薬剤を容易に排出することができる。そして、ホッパ45と繰出部46とを一体的にまとめて取り扱うことができるので、従来の薬剤散布装置のようにホッパを繰出部から取外し可能に構成する必要がなく、ホッパ45と繰出部46との間のシール性を向上させることができる。更に、散布ユニット44を取り外した状態で、ユニットごとに保管しておくこともできる。
また本実施形態の箱施用剤散布機40においては、ホッパ45の上部は開放可能であるとともに、当該ホッパ45の下部と繰出部46とが連通している。
これにより、散布ユニット44を取り外してホッパ45の上部を開放した状態であれば、繰出部46の内部を覗き込んで、当該繰出部46内部の薬剤の詰まりの有無を容易に確認できる。また、ホッパ45と繰出部46とが連通しているので、取り外した散布ユニット44をひっくり返すことにより、ホッパ45内部のみならず、繰出部46内部に残った薬剤についても落下させて容易に排出することができる。
また本実施形態の箱施用剤散布機40においては、各散布ユニット44を支持フレーム43に取り付けた状態において、ホッパ45同士の間隔が空いている。
これにより、例えば、作業者がホッパ45同士の間から手を差し込み、散布ユニット44の向こう側にある苗マットを取ることができる。また、ホッパ45の間を空けることにより、散布ユニット44の取付け及び取外しの作業性を向上させることができる。
また本実施形態の箱施用剤散布機40において、支持フレーム43には、田植機1から取り出した駆動力を各散布ユニットの近傍まで伝達する駆動伝達機構が配置されており、散布ユニット44を支持フレーム43に取り付けることにより、繰出駆動軸48と駆動伝達機構とが接続される。
これにより、散布ユニット44を支持フレーム43に取り付けることにより繰出駆動軸48が駆動伝達機構に接続されるので、散布ユニット44を支持フレーム43に取り付ける作業を簡単に行うことができる。
また本実施形態の箱施用剤散布機40は、以下のように構成されている。即ち、各散布ユニット44は、繰出駆動軸48の一端に固定されたユニット側クラッチ部材49を備える。支持フレーム43には、駆動伝達機構が伝達してきた駆動力を出力するフレーム側クラッチ部材76が散布ユニット44ごとに配置される。ユニット側クラッチ部材49とフレーム側クラッチ部材76とが噛み合うことにより、繰出駆動軸48と駆動伝達機構とが接続される。そして、ユニット側クラッチ部材49は、フレーム側クラッチ部材76から離間することが可能である。
以上のように、各散布ユニット44に対応してクラッチを設けることにより、散布ユニット44ごとに繰出部46の駆動の有無を切り替えることができる。そして、クラッチを噛み合いクラッチとして構成することにより、ユニット側クラッチ部材49とフレーム側クラッチ部材76の噛み合い部分で散布ユニット44を支持フレーム43から切り離すことができるので、ユニットを取り外す際に駆動伝達機構を取り外すような手間がなく、当該取外し作業を容易に行うことができる。また、噛み合いクラッチは、クラッチ部材49,76同士を近接させるだけで駆動力を伝達することができるので、散布ユニット44を支持フレーム43に取り付けただけで繰出駆動軸48と駆動伝達機構とが接続される構成を簡単に実現することができる。
また本実施形態の箱施用剤散布機40は、以下のように構成されている。即ち、支持フレーム43は、各散布ユニット44を乗せるための取付ステー87を備える。取付ステー87は、散布ユニット44の姿勢を保ったまま、ユニット側クラッチ部材49がフレーム側クラッチ部材76に対して近接又は離間する方向に当該散布ユニット44をスライド可能に支持する。そして、支持フレーム43は、ユニット側クラッチ部材49とフレーム側クラッチ部材76とが噛み合った状態で散布ユニット44を固定することが可能な固定具90を備える。
これにより、取付ステー87をガイドとして散布ユニット44をスライドさせて、当該散布ユニット44を取り付け又は取り外すことができるので、クラッチ部材49,76同士の位置合わせ等を容易に行うことができる。そして、固定具90によって散布ユニット44を固定することにより、ユニット側クラッチ部材49とフレーム側クラッチ部材76とが噛み合った状態(駆動伝達機構に対して繰出駆動軸48を接続した状態)とすることができる。また、取付ステー87によって、取付け途中又は取外し途中の散布ユニット44の姿勢を保持することができるので、取付け又は取外し作業中に散布ユニット44が倒れないように手で支える必要が無い。また、例えば取付け作業の前に取付ステー87の上に散布ユニット44をいったん仮置きするということもできる。これにより、散布ユニット44の取付け又は取外しを更に容易に行うことができる。
また本実施形態の箱施用剤散布機40は、以上のように構成されている。即ち、各散布ユニット44は、ユニット側クラッチ操作レバー80を備える。支持フレーム43には、フレーム側クラッチ操作レバー85と、クラッチの操作力を伝達するクラッチ操作力伝達ワイヤ86と、が配置されている。フレーム側クラッチ操作レバー85は、クラッチ操作力伝達ワイヤ86と連動するように構成される。フレーム側クラッチ操作レバー85及びユニット側クラッチ操作レバー80接触部材は、前記フレーム側クラッチ操作レバー85がクラッチ操作力伝達ワイヤ86によって所定方向に変位させられる際に、互いに接触して前記ユニット側クラッチ部材49を変位させる。
これにより、クラッチの操作力に応じてユニット側クラッチ部材49を変位させ、クラッチを切り替えることができる。更に、ユニット側クラッチ操作レバー80とフレーム側クラッチ操作レバー85との接触部分を境にして、散布ユニット44と支持フレーム43とを分離することができる。これにより、散布ユニット44を取り外す際にクラッチを操作するための機構を取り外すような手間がなく、当該取外し作業を容易に行うことができる。
また本実施形態の田植機1は、以下のように構成されている。即ち、この田植機1は、苗載台39を備える。箱施用剤散布機40は、取付位置から取り外した散布ユニット44を一時的に乗せることが可能な仮置きステー96を備える。苗載台39は、その一部を分離させることが可能に構成される。そして、散布ユニット44を仮置きステー96に乗せることで形成されたスペースに、分離させた苗載台39bを配置することが可能である。
上記のように、散布ユニット44をいったん取り外し、仮置きステー96に載せることで、当該散布ユニット44が元あった場所にスペースを空けることができる。そして、この空いたスペースに、分離させた苗載台39bを配置することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように構成することができる。
上記実施形態では、田植機は8条用の田植機として構成したが、これに限らず、3条以上の田植機であれば、本発明の構成を適用することができる。
また上記実施形態では、各散布ユニット44は繰出部46を2つずつ備える構成としたが、繰出部が1つのみの散布ユニットがあっても良い。特に、田植機が奇数条用の場合、繰出部が2つの散布ユニットを1つ以上と、繰出部が1つの散布ユニットを1つ設けることにより、条の数と繰出部の数とを一致させることができる。
本発明の構成は、箱施用剤散布機に限らず、固形体を散布するための固形体散布機全般に適用することができる。例えば、本発明の構成を、粒状の肥料を散布するための施肥機に適用することができる。
また、上記のように施肥機に本発明の構成を適用する場合、以下のように構成しても良い。即ち、図14に示すように、上記実施形態の構成のシュータ47の代わりに、苗載台39を貫通して設地面近傍まで延びるフレキシブルチューブ93を繰出部46の下部に接続する。そして、図15に示すように、このフレキシブルチューブ93の下端を作溝器38に接続して、ホッパ45内に肥料を供給することにより、施肥機95として機能させることができる。これにより、施肥機と箱施用剤散布機の部品を共通化することができる。
また、作業車両は田植機に限らない。例えば、本発明の固形体散布機を、トラクタに搭載される土壌改質材散布機として構成しても良い。