JP2015204803A - 水田作業機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】間欠供給機構70を備え、植播系作業装置による苗又は種籾の一つの供給位置を第1基準位置とし、その第1基準位置に最も近い位置の粉粒体供給装置による肥料又は薬剤の供給位置を第2基準位置として、かつ、第1基準位置から前記第2基準位置までの離間距離が、第1基準位置に対して進行方向の前後で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置から第2基準位置までの離間距離、及び第1基準位置に対して左右方向で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置から第2基準位置までの離間距離よりも短くなるように、苗又は種籾や肥料又は薬剤の供給作動を制御する。
【選択図】図12
Description
しかしながら、この構造のものでは、苗の1株が植え付けられるに連動して肥料が1度供給されるように関連づけられているが、その苗が植え付けられる箇所と肥料が点播される箇所との相対的な位置関係については特に考慮されているものではない。
このため、点播することにより、条播する場合に比べては肥料を集中的に散布することができるものではあるが、その集中的に散布された肥料の総てが、条播された場合に肥料よりも個々の苗株に対して必ずしもより有効に作用するとは限らない場合があり、結局、肥料の節減に繋がる効果を有効に発揮させられない場合がある。
しかしながら、この構造のものでは、苗が植え付けられた箇所と肥料が点播された箇所との相対的な位置関係については特に考慮されていないため、圃場全体としては適切な量の肥料が供給されたとしても、特定の植付株に対する肥料の供給量が、苗株毎にバラついて、個々の苗株に適正な量の肥料を供給するにあたり、その肥料の総和も少なくて済むように構成することは行われていなかった。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、圃場を走行移動可能な走行機体と、播種用又は苗植え付け用の植播系作業装置と、肥料又は薬剤を圃場に供給する粉粒体供給装置とを備え、前記植播系作業装置は、苗又は種籾の圃場への供給位置が前記走行機体の進行方向で所定間隔おきに点在するように構成してあり、前記粉粒体供給装置は、肥料又は薬剤の圃場への供給経路の途中に間欠供給機構が介在されていて、肥料又は薬剤の圃場への供給位置が前記走行機体の進行方向で所定間隔おきに点在するように構成され、前記植播系作業装置による苗又は種籾の圃場への供給位置と前記粉粒体供給装置による肥料又は薬剤の圃場への供給位置とは、前記植播系作業装置による苗又は種籾の一つの供給位置を第1基準位置とするとともに、その第1基準位置に最も近い位置の前記粉粒体供給装置による肥料又は薬剤の供給位置を第2基準位置として、かつ、前記第1基準位置から前記第2基準位置までの離間距離が、前記第1基準位置に対して前記進行方向の前後で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置から前記第2基準位置までの離間距離、及び前記第1基準位置に対して左右方向で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置から前記第2基準位置までの離間距離よりも短くなるように設定されていることである。
上記解決手段1にかかる発明によると、植播系作業装置による苗又は種籾の一つの供給位置を第1基準位置とし、その第1基準位置に最も近い位置の前記粉粒体供給装置による肥料又は薬剤の供給位置を第2基準位置としたときの、第1基準位置と第2基準位置との間隔が、第1基準位置に対して前後や左右で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置と、第2基準位置との間隔よりも短くなるように、間欠供給機構の供給作動が制御される。
これにより、第1基準位置と第2基準位置との間隔を短くして、つまり、苗又は種籾の供給位置と肥料又は薬剤の供給位置とを極力近づけて、苗株又は種籾に対する肥料又は薬剤の効用を有効に発揮させることができ、肥料又は薬剤の供給量を節減し得る利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記粉粒体供給装置は、肥料又は薬剤を貯留する粉粒体ホッパーの下部に粉粒体繰り出し部を備え、その粉粒体繰り出し部よりも下方側へ離れた位置の供給経路に前記間欠供給機構が備えられたものであるということである。
上記の解決手段2にかかる発明によると、間欠供給機構よりも上方側に粉粒体繰り出し部が設けられていて、この粉粒体繰り出し部で粉粒体の繰り出し量が所定範囲に調節された状態で繰り出されるので、間欠供給機構の上流側の供給経路に、粉粒体ホッパー内に貯留されている大量の粉粒体が流れ込んで必要以上に堆積した状態となることを避けられる。したがって、間欠供給機構の上流側の供給経路に供給された粉粒体が自身の重量や機体振動などで密度が増して詰まりやすくなるというような事態の発生を避けやすい利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記間欠供給機構は、上下方向に沿う肥料又は薬剤の供給経路を開閉する板状の弁体を備え、前記弁体は、水平方向に沿う横軸心を有した支軸に一端側を枢支されて、他端側が揺動可能に構成されているとともに、前記他端側が前記横軸心よりも低い傾斜姿勢で前記供給経路に交差する閉塞姿勢となり、その閉塞姿勢よりも前記他端側がさらに低くなる側へ揺動するに伴って前記供給経路の開放姿勢となるように構成されているということである。
上記の解決手段3にかかる発明によると、弁体は、上面側が供給経路に対して斜めに交差する傾斜姿勢で肥料又は薬剤を受け止める閉塞姿勢となる。このため、弁体の上面側に乗った肥料又は薬剤が弁体の上面側の傾斜下方側へ流れて、供給経路内でも全体に拡散するのではなく、比較的狭い範囲に集中的に集められた状態となる。
したがって、弁体を低位側をさらに低位側へ揺動させて圃場へ落下供給するとき、肥料又は薬剤の分散を避けて圃場の所定箇所へ集中的に供給され、点播し易いという利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記弁体の横軸心は前記走行機体の進行方向で前記供給経路の前側に位置し、前記弁体の閉塞姿勢では、前記弁体の上面が後下がり傾斜となるように構成されていることである。
上記の解決手段4にかかる発明によると、弁体は、上面側が後方側ほど下方に位置する後下がり傾斜姿勢で供給経路を閉塞するように、後傾姿勢で肥料又は薬剤を受け止める閉塞姿勢となる。
このため、弁体の上面側に乗った肥料又は薬剤が弁体の上面側の傾斜下方側である後方へ流れて、供給経路内でも全体に拡散するのではなく、後方側の比較的狭い範囲に集中的に集められた状態となる。そして、弁体を低位側をさらに低位側へ揺動させて圃場へ落下供給するとき、肥料又は薬剤の分散を避けて圃場の所定箇所へ集中的に供給され、しかも、作溝器などの存在箇所から離れた後方側寄りに供給されるので、作溝器部分での付着堆積なども避けながら良好な点播を行い易いという利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記供給経路のうち、前記弁体を内装する弁装着管部分は、その弁装着管部分よりも上流側における円筒状の上流側流下管よりも大径に形成され、前記弁体が前記上流側流下管の下端に対する下側からの当接によって閉塞姿勢となるように構成されていることである。
上記の解決手段5にかかる発明によると、供給経路に対して斜めに交差する傾斜姿勢で薬剤を受け止める閉塞姿勢での弁体の上面側では、その上面の傾斜にそって流下するように肥料又は薬剤が移行し、かつ、円筒状の上流側流下管の内周面に沿って水平方向でも肥料又は薬剤が集められることになる。
したがって、肥料又は薬剤の分散をより一層避けて圃場の所定箇所へさらに集中的に供給され、良好な点播を行い易いという利点がある。
また、弁体が上流側流下管の下端に対する下側からの当接によって閉塞姿勢となるので、弁体が上流側流下管の内周面に沿う方向に移動して閉塞姿勢に切り換えられるような構造のものにくらべ、弁体の動きが上流側流下管の内周面に付着する肥料又は薬剤によって阻害されるような自体が発生する可能性が少ない点でも有利である。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記供給経路のうち、前記弁体よりも下方側に、前記供給経路の流路断面積を絞って前記肥料又は薬剤を前記供給経路の流路中心側へ集める絞り部が設けられていることである。
上記の解決手段6にかかる発明によると、供給経路に絞り部が存在することで、より一層肥料又は薬剤を集約的に点播し易いという利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記供給経路の下端部に、後方側が開放された平面視チャンネル状の作溝器を設けてあり、前記供給経路の下端部には、前記肥料又は薬剤を前記作溝器の開放された後方側へ向けて案内する後ろ下がり姿勢の傾斜ガイド面が形成されていることである。
上記の解決手段7にかかる発明によると、後ろ下がり姿勢の傾斜ガイド面によって、作溝器の開放された後方側へ向けて肥料又は薬剤を案内することができるので、肥料又は薬剤が作溝器の前壁などに付着して堆積する可能性を少なくし得る利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記供給経路の下端部には、前記傾斜ガイド面の後端よりも後方側に、前記肥料又は薬剤の左右方向への拡散を抑制する側部ガイド面が形成されていることである。
上記の解決手段8にかかる発明によると、傾斜ガイド面の後端よりもさらに後方側に側部ガイド面が形成されるので、作溝器の左右横側方の壁部に対する肥料又は薬剤の付着堆積を避けやすい点でも有利である。
図1及び図2は、本発明にかかる水田作業機の一例である乗用型直播機の全体を示す。乗用型直播機は、乗用型の4輪駆動形式に構成した走行機体1の後部に播種用の作業ユニットAを備えている。作業ユニットAは、単動型の油圧シリンダを採用した昇降シリンダ14Aの作動によって上下揺動することにより上下位置変更可能に、走行機体1に対して上下揺動式のリンク機構14を介して昇降可能に連結されている。
走行機体1の後部側には、搭乗ステップ7、前輪操舵用のステアリングホイール8、及び、前後方向に位置調節可能な運転座席9、などを配備した搭乗運転部10が設けられている。走行機体1の左右には、搭乗面積を左右に拡張する左右の拡張ステップ11が配備されている。搭乗運転部10の後方には、リンク機構14及び左右の後輪6などの上方において走行機体1の後部から作業ユニットAに向けて延出する後部ステップ12、及び、後部ステップ12に対する移動などの際に使用する手摺13が配備されている。
図1〜図5に示すように、作業ユニットAは、リンク機構14の後端部にローリング可能に連結されたユニット台枠2を備えている。このユニット台枠2に、播種用の作業装置としての6条用の播種装置15(植播系作業装置に相当する)、肥料を圃場に供給する6条用の施肥装置16、薬剤を圃場に供給する6条用の施薬装置17(粉粒体供給装置に相当する)が搭載されている。
そして、これらの播種装置15、施肥装置16、及び施薬装置17に対して駆動力を伝達する伝動装置18が備えられ、さらに作業用の前進走行時に作業対象の圃場泥面を整地する平面視T字状の3つの整地フロート19、及び、作業用の前進走行に伴って圃場に排水溝を形成する左右の溝切り具19C、などを備えてユニット化されたものである。
さらに前後フレーム21の前部上面側には、上下方向に立設された縦フレーム22Aと、その上端側で左右方向に架設された上部横フレーム22Bとで門型に形成された前部支持枠22が立設されている。前後フレーム21の後部上面側には、上下方向に立設された縦フレーム23Aと、その上端側で左右方向に架設された上部横フレーム23Bとで門型に形成された後部支持枠23が立設されている。
前部支持枠22は、上部横フレーム22Bの高さが、後部支持枠23の上部横フレーム23Bの高さよりも高い位置にあり、肥料ホッパー28を種籾ホッパー24よりも高い位置で支持している。
そして、ユニット台枠2の前部支持枠22には、その縦フレーム22Aよりも後方側に位置させた状態で施薬装置17の薬剤繰り出し部34(粉粒体繰り出し部に相当する)及び薬剤ホッパー33(粉粒体ホッパーに相当する)が取り付けられている。
この薬剤ホッパー33は、肥料ホッパー28や種籾ホッパー24よりも容量の小さいもので構成されており、前後方向で肥料ホッパー28と種籾ホッパー24との間に位置し、上下方向でも肥料ホッパー28と種籾ホッパー24との中間的な高さ位置に配設されている。
図1〜5及び図8に示すように、播種装置15は、種籾の一例である鉄コーティング処理が施された種籾を貯留する貯留部として3条分ずつの種籾を貯留する左右の種籾ホッパー24を備えている。この種籾ホッパー24の下部には、種籾ホッパー24から所定量の種籾を間欠的に下方に繰り出すことによって点播する6つの種籾繰り出し部25が備えられている。さらに、種籾繰り出し部25が下方に繰り出した種籾を、該種籾繰り出し部25の真下に位置する整地後の圃場泥面に向けて落下供給する供給部としての6つの種籾供給部26、などを備えている。
そして、外部伝動軸27及び伝動装置18などを介して伝達される走行機体1からの作業用の動力によって各種籾繰り出し部25が作動することにより、所定量の種籾を1株分として前後方向に所定間隔をあけた状態で圃場の泥土表面に最大6条分の播種を行う6条用の泥面点播式に構成している。
図1〜8に示すように、施肥装置16は、肥料の一例である粒状の肥料を3条分ずつ貯留する左右の肥料ホッパー28、対応する肥料ホッパー28から所定量の肥料を間欠的に繰り出す6つの肥料繰り出し部29、対応する肥料繰り出し部29が繰り出した肥料を流下案内する肥料案内管としての6本の施肥ホース30、及び、対応する施肥ホース30が案内した肥料を圃場に供給する6つの肥料供給部31、などを備えている。
そして、外部伝動軸27及び伝動装置18などを介して伝達される走行機体1からの作業用の動力によって各肥料繰り出し部29が作動することにより、所定量の肥料を前後方向に所定間隔をあけた状態で最大6条分の施肥を行う6条用に構成している。
図1〜5及び図7,8に示すように、施薬装置17は、粉粒体の一例である粉状の除草剤や防病剤などの薬剤を2条分ずつ貯留する3つの薬剤ホッパー33を備えている。薬剤ホッパー33の下部には、薬剤ホッパー33から所定量の薬剤を繰り出す6つの薬剤繰り出し部34が連設されている。薬剤繰り出し部34が繰り出した薬剤を流下案内する供給経路としての6本の施薬ホース35、及び、対応する施薬ホース35が案内した薬剤を圃場に供給する6つの薬剤供給部36、などを備えている。
さらに、この施薬装置17には、供給経路としての施薬ホース35の途中箇所に、薬剤繰り出し部34から繰り出されて流下する薬剤を、薬剤繰り出し部34よりも圃場面に近い位置で、間欠的に下方に送り出すための間欠供給機構70が設けられている。
播種装置15の種籾繰り出し部25には、前述したように、外部伝動軸27及び伝動装置18などを介して伝達される走行機体1からの作業用の動力が伝達されているので、播種装置15の種籾繰り出し部25の動力を利用して駆動される薬剤繰り出し部34及び間欠供給機構70も、走行機体1からの作業用の動力によって駆動されることになる。
上記の作業ユニットAにおける動力伝達構造について説明する。
図3〜7及び図9に示すように、作業ユニットAの伝動装置18は、外部伝動軸27などを介して走行機体1からの動力が伝達される入力部46を備えている。
この入力部46に伝達された動力は、入力部46から左右に分配する動力分配軸47に伝えられる。動力分配軸47の左端部からは播種装置15の各種籾繰り出し部25に対して、低速の動力を伝達する低速伝動系48を介して伝達される。また、動力分配軸47の右端部からは施肥装置16の各肥料繰り出し部29に対して、高速の動力を伝達する高速伝動系49を介して伝達される。
これらの連動機構50及び間欠連係機構80は、それぞれが3箇所に設けられている。
つまり、施薬装置17側では、2つの薬剤繰り出し部34を一組とする3組の薬剤繰り出し部34、及び2つの間欠供給機構70を一組とする3組の間欠供給機構70が備えられている。そして、各組の薬剤繰り出し部34に対して、対応する箇所の播種装置15側における2つの種籾繰り出し部25のうちの一方が連動機構50を介して連係されている。
また、各組の間欠供給機構70に対して、対応する箇所の播種装置15側における2つの種籾繰り出し部25のうちの他方が間欠連係機構80を介して連係されている。
施薬装置17における薬剤の供給経路としての施薬ホース35の途中箇所に設けられる間欠供給機構70は次のように構成されている。
間欠供給機構70は、粉粒体としての薬剤を貯留する薬剤ホッパー33から離れた下方側に位置するように設けてあり、供給経路内で流下途中の薬剤を圃場面に近い低位置で一旦受け止め、かつ間欠的に落下供給することにより、薬剤が圃場に点播された状態とするためのものである。
このとき間欠供給機構70によって、薬剤が一旦受け止められ、かつ、その受け止め位置から落下供給を開始する薬剤の落下開始高さH1は、播種装置15の種籾繰り出し部25からの種籾の落下供給高さH2よりも所定高さH3だけ高い位置(図12参照)に設定されているが、これはほぼ同じ高さ位置に設定することも可能である。
上方連結部71aの下端側に、上流側管路35aよりも流路断面積の大きい下方連結部71bが一体に形成されていて、この下方連結部71bの内部に弁体73が操作軸72の軸心回りで揺動開閉可能に支持されている。
下部接続管74の下部側には、先細り管75(絞り部に相当する)が接続されており、この先細り管75の下部外側に作溝器37が連結されている。
先細り管75は、その下端側開口75aが上端側開口75bよりも小径に形成された先細り形状のもので構成され、かつ図14に仮想線で示すように、下端側開口75aが平面視で作溝器37の前壁及び左右の横壁から離れて、作溝器37のほぼ中央に位置した状態で設けられている。
上記のように先細り管75を用いた場合には、薬剤の供給位置は、下端側開口75aの直下に落下供給されることになるが、例えば、先細り管75を用いずに、下部接続管74の下部に作溝器37を直接的に接続した場合には、図14に仮想線で示す上流側管路35aの下端部に相当する位置から薬剤が落下供給される。
しかも、弁体73は、後述するように、後傾姿勢で薬剤を受け止めており、図13の仮想線で示すように弁体73を開くと、薬剤は上流側管路35aの中心部よりも後方側寄りに偏った状態で落下し、図14の仮想線で示す上流側管路35aの後方側寄り箇所に供給される状態となるので、作溝器37の前壁から大きく離れて前壁への付着を避けやすい状態で供給される。
これによって、弁箱部71内で弁体73は、上面側が後方側ほど下方に位置する後下がり傾斜姿勢で供給経路を閉塞するように、後傾姿勢で薬剤を受け止める閉塞姿勢となる。
弁体73の上面が弁受け部71cに下方から当接する閉塞姿勢では、図13に示すように、弁体73の上面で受け止められた薬剤が、上面の傾斜によって後方側へ移行し、かつ、上流側管路35aを構成する上方連結部71aの円弧状の後部内周面に案内されて左右方向での中央側により多く集められた状態となる。
したがって、この状態から図13に仮想線で示すように弁体73を操作軸72の軸心回りで時計回りに回転させて開放姿勢に切り換えると、弁体73の上面に乗っていた薬剤が上流側管路35aの後方側寄り箇所の延長線に沿った状態で落下し圃場へ点播状態で供給されることになる。
戻しバネ77は、自由状態で弁体73を弁受け部71c側へ押し付け付勢し、弁体73の上面側に所定量の薬剤が堆積した状態で弁体73の閉塞姿勢を維持するように、図12、13で反時計回りにアーム部材72aを回動付勢している。そして、間欠連係機構80による駆動力が作用すると、アーム部材72aの時計回りでの回動を許容して、弁体73を図13の仮想線で示すように開放姿勢に切換可能に構成されている。
この戻しバネ77、及び弁体73を備えて間欠供給機構70が構成され、この間欠供給機構70に、間欠連係機構80を介して種籾繰り出し部25の回転動力伝達されるように構成されている。
間欠連係機構80は、図9、図12、及び図15に示すように、第1中継軸52に相対回動自在に枢支された伝動ギヤ52aと噛合する入力ギヤ81を、種籾繰り出し部25の駆動軸25aに一体回動可能に軸支させている。この入力ギヤ81は、第1少数条クラッチ53を介して第1中継軸52の駆動力を断続可能に構成されている。
つまり、第1中継軸52にスプライン嵌合している第1少数条クラッチ53が入り側に操作されて伝動ギヤ52aの側面に咬合すると、その伝動ギヤ52aの外周側で常時噛合する入力ギヤ81に駆動力が伝えられる。第1少数条クラッチ53が切り側に操作されると、伝動ギヤ52aが遊転状態となり、入力ギヤ81側への動力伝達が断たれることになる。
この入力回転体81Aのみで構成された入力ギヤ81は、図9乃至図11に示す中継ギヤ66、第1変換部60、及び第2変換部61で構成される連動機構50を介して、隣り合う位置の2つの薬剤繰り出し部34に駆動力を伝達するように構成されている。
つまり、種籾繰り出し部25の前面側に固定金具87を介して枢支ピン84が取り付けられ、この枢支ピン84の軸心回りでリンク部材83が揺動自在に枢支されている。そして、このリンク部材83には、一端側を前記固定金具87に固定されたコイルスプリングからなる付勢バネ86の他端側が係止されていて、この付勢バネ86の付勢作用により、リンク部材83の後端部83Aが入力ギヤ81側の駆動用ピン82に常時当接する側に向けて弾性付勢されている。
したがって、リンク部材83の後端部83Aは、図12に示すように、入力ギヤ81の時計回りの回転にともなって、実線に示すように一つの駆動用ピン82のカラー82aに当接した状態から、仮想線で示すように押し上げられ、これに伴ってリンク部材83の前端部83Bが連係ロッド85を引き操作して、アーム部材72aを時計回りに回動させる。これによって弁体73が開放側に揺動されて薬剤が落下供給される。
このように作動する間欠供給機構70による薬剤の点播位置は、播種装置15による播種位置との関係で次のように設定される。
図8に示すように、播種位置を基準にして考えると薬剤の点播位置は、種籾供給部26の前方側で、整地フロート19の左右中央からは少し横外側に位置する状態で施薬用の作溝器37が設けられているように、左右方向では、ほぼ重複する位置ではあるが、整地フロート19の中央からは少しだけ外側寄りの位置にある。
図8では、種籾供給部26の前方側で、整地フロート19の左右中央からは少し横内側に位置する状態で施肥用の作溝器32も設けられているが、施肥装置16は、点播ではなく連続して肥料を供給するものであるから、播種位置の横側箇所に、前後方向で連続した施肥供給ラインが形成される。
このため、本発明では、走行機体1の進行速度を予め設定した所定速度とし、所定質量の種籾と薬剤とを用い、かつ、種籾の落下距離と薬剤の落下距離とを所定の関係に設定したものにおいて、間欠連係機構80による繰り出しロールの種籾放出位置と、入力ギヤ81における駆動用ピン82との位置関係、駆動用ピン82とリンク部材83との接触位置の関係を、次のように定めている。
そして、第1基準位置P1から第2基準位置P2までの離間距離d1が、第1基準位置P1に対して進行方向の前後で隣り合う箇所の種籾の供給位置P1a,P1bから前記第2基準位置P2までの離間距離L1,L2、及び第1基準位置P1に対して左右方向で隣り合う箇所の種籾の供給位置P1c,P1dから前記第2基準位置P2までの離間距離L3,L4よりも短くなるようにしている。
実施の形態では、植播系作業装置として播種装置15を備えた構造の水田作業機を示したが、これに限られるものではない。
例えば、植播系作業装置として苗植付装置を採用した構造の水田作業機であってもよい。
また、播種装置15を採用した場合も、苗植付装置を採用した場合も、6条用に限らず、7条用以上、あるいは5条用以下のものに適用するなど、任意の条数用のものに適用することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、粉粒体供給装置として、施薬装置17を採用した構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、粉粒体供給装置として、施肥装置16を採用した構造のものであってもよい。
尚、実施の形態では、施肥装置16と施薬装置17との両方を備えて、そのうちの施薬装置17を播種装置15の点播に合わせて点播するようにしたが、これに限らず、施肥装置16と施薬装置17との両方を播種装置15の点播に合わせて点播する、あるいは苗植付装置の苗植付箇所に合わせて点播するようにしてもよい。
また、施肥装置16と施薬装置17とのいずれか一方のみを備えて、その備えた施肥装置16又は施薬装置17を粉粒体供給装置として点播するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、間欠供給機構70として、板状の弁体73を揺動開閉可能に構成した構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。例えば、弁体73として、間欠回転するロータリ弁を用いるなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、間欠供給機構70として、板状の弁体73を用いて、その上面側が後方側ほど下方に位置する後下がり傾斜姿勢で供給経路を閉塞するように構成された構造のものを例示したがこれに限られるものではない。
例えば弁体73を水平姿勢供給経路を閉塞するように構成したもの、あるいは、前下がり傾斜姿勢で供給経路を閉塞して、前下がり揺動で供給経路を開放する、あるいは、後下がり揺動で供給経路を開放するように構成された構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、薬剤の落下開始高さH1が、播種装置15の種籾繰り出し部25からの種籾の落下供給高さH2よりも所定高さH3だけ高い位置に設定された構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、薬剤の落下開始高さH1と種籾の落下供給高さH2とを同一高さ位置に設定する、あるいは、逆に薬剤の落下開始高さH1を種籾の落下供給高さH2よりも低く設定してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、播種装置15側における1つの種籾繰り出し部25と、施薬装置17側における2つの薬剤繰り出し部34とを連動連結する連動機構50と、播種装置15側における1つの種籾繰り出し部25と、施薬装置17側における2つの間欠供給機構70とを連動連結する間欠連係機構80とが備えられた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、播種装置15側における1つの種籾繰り出し部25に対して、施薬装置17側における1つの薬剤繰り出し部34と、施薬装置17側における1つの間欠供給機構70との両方を接続して、1つの種籾繰り出し部25の作動で、1つの施薬装置17側における薬剤繰り出し部34と間欠供給機構70との両方を駆動するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、間欠供給機構70の駆動を間欠連係機構80によって行う構造のものを示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、図示はしないが間欠供給機構70の弁体73を、電動モータの回転動力で揺動駆動させるようにしても良い。この場合、電動モータ自体を正逆転させるもの、あるいは、電動モータで弁体73を開放側、もしくは閉塞側の一方向にだけ揺動駆動し、逆方向は戻しバネを用いるなどして作動させるようにしてもよい。
この場合、電動モータの駆動タイミングを、植播系作業装置の作動タイミングとの関係で調節するように制御して、間欠供給機構70による点播位置を植播系作業装置の点播位置とが所定の位置関係となるように調節すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、粉粒体供給経路を構成する施薬ホース35として、その下端部が鉛直方向に沿う直線状に形成された構造のものを示したがこれに限られるものではない。
例えば図17に示すように、施薬ホース35の下端側の先細り管75の下端側を後方側へ屈曲させて、下端部近くに後下がり傾斜面75c(傾斜ガイド面に相当する)が形成されるようにしてもよい。
さらに、先細り管75の下端側で、先細り管75の後方向きの下側と上側とを切除して、先細り管75の横側方に、後端75dよりも後方側へ突出する側部ガイド面となる横側片部75eを形成し、後端75dから落下する薬剤が横側方へ拡散し難いように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、播種装置15による種籾として鉄コーティング処理が施された種籾を採用した構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、カルパーコーティング処理を施した種籾、コーティング処理を施していない種籾、又は、麦や野菜などの種籾を圃場に播くように構成したものであってもよい。
15 植播系作業装置(播種装置)
16 施肥装置
17 粉粒体供給装置(施薬装置)
24 種籾ホッパー
25 種籾繰り出し部
33 粉粒体ホッパー
34 粉粒体繰り出し部
35a 上流側流下管
50 繰り出し用連係機構(連動機構)
53 少数条クラッチ
70 間欠供給機構
71 弁装着管部分(弁箱部)
72 支軸(操作軸)
72a 操作アーム
73 弁体
75 絞り部
75c 傾斜ガイド面
75e 側部ガイド面
80 連係機構(間欠連係機構)
81 入力ギヤ
82 駆動用ピン
83 リンク部材
P1 第1基準位置
P2 第2基準位置
d1 離間距離
L1,L2 離間距離
L3,L4 離間距離
Claims (8)
- 圃場を走行移動可能な走行機体と、
播種用又は苗植え付け用の植播系作業装置と、
肥料又は薬剤を圃場に供給する粉粒体供給装置とを備え、
前記植播系作業装置は、苗又は種籾の圃場への供給位置が前記走行機体の進行方向で所定間隔おきに点在するように構成してあり、
前記粉粒体供給装置は、肥料又は薬剤の圃場への供給経路の途中に間欠供給機構が介在されていて、肥料又は薬剤の圃場への供給位置が前記走行機体の進行方向で所定間隔おきに点在するように構成され、
前記植播系作業装置による苗又は種籾の圃場への供給位置と前記粉粒体供給装置による肥料又は薬剤の圃場への供給位置とは、前記植播系作業装置による苗又は種籾の一つの供給位置を第1基準位置とするとともに、その第1基準位置に最も近い位置の前記粉粒体供給装置による肥料又は薬剤の供給位置を第2基準位置として、かつ、前記第1基準位置から前記第2基準位置までの離間距離が、前記第1基準位置に対して前記進行方向の前後で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置から前記第2基準位置までの離間距離、及び前記第1基準位置に対して左右方向で隣り合う箇所の苗又は種籾の供給位置から前記第2基準位置までの離間距離よりも短くなるように設定されている水田作業機。 - 前記粉粒体供給装置は、肥料又は薬剤を貯留する粉粒体ホッパーの下部に粉粒体繰り出し部を備え、その粉粒体繰り出し部よりも下方側へ離れた位置の供給経路に前記間欠供給機構が備えられたものである請求項1記載の水田作業機。
- 前記間欠供給機構は、上下方向に沿う肥料又は薬剤の供給経路を開閉する板状の弁体を備え、
前記弁体は、水平方向に沿う横軸心を有した支軸に一端側を枢支されて、他端側が揺動可能に構成されているとともに、
前記他端側が前記横軸心よりも低い傾斜姿勢で前記供給経路に交差する閉塞姿勢となり、その閉塞姿勢よりも前記他端側がさらに低くなる側へ揺動するに伴って前記供給経路の開放姿勢となるように構成されている請求項1又は2記載の水田作業機。 - 前記弁体の横軸心は前記走行機体の進行方向で前記供給経路の前側に位置し、前記弁体の閉塞姿勢では、前記弁体の上面が後下がり傾斜となるように構成されている請求項3記載の水田作業機。
- 前記供給経路のうち、前記弁体を内装する弁装着管部分は、その弁装着管部分よりも上流側における円筒状の上流側流下管よりも大径に形成され、前記弁体が前記上流側流下管の下端に対する下側からの当接によって閉塞姿勢となるように構成されている請求項3又は4記載の水田作業機。
- 前記供給経路のうち、前記弁体よりも下方側に、前記供給経路の流路断面積を絞って前記肥料又は薬剤を前記供給経路の流路中心側へ集める絞り部が設けられている請求項3〜5のいずれか一項記載の水田作業機。
- 前記供給経路の下端部に、後方側が開放された平面視チャンネル状の作溝器を設けてあり、前記供給経路の下端部には、前記肥料又は薬剤を前記作溝器の開放された後方側へ向けて案内する後ろ下がり姿勢の傾斜ガイド面が形成されている請求項1〜6のいずれか一項記載の水田作業機。
- 前記供給経路の下端部には、前記傾斜ガイド面の後端よりも後方側に、前記肥料又は薬剤の左右方向への拡散を抑制する側部ガイド面が形成されている請求項7記載の水田作業機。
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