WO2011034160A1 - 田植機の散布装置 - Google Patents

Abstract

苗載台の後方であって、植付部に架設したフレームと、フレームに固定した散布物ホッパーと、散布物ホッパーに繰出部を介して苗載台下部の各条ごとに設けたホースと、ホースの先端に取付けたノズルとからなり、苗載台上の苗マットの床土上に散布物ホッパーの薬剤を、ノズルを介して散布する田植機の散布装置において、散布物ホッパーは、苗載台の苗マットの２条分を１の散布物ホッパーで施薬できるように複数配設するとともに、散布物ホッパーの上端部は、苗載台の高さの半分よりも低い位置に設置し、散布物ホッパーは、苗マットの２条分に応じた２もしくは１条分に応じた１のホースを備え、さらに、散布物ホッパーの底部は、左右両端部が、中央部から安息角以上の角度を有する。

Description

田植機の散布装置

本発明は、苗載台上の苗マットの床土上に散布物ホッパーの薬剤を、ノズルを介して散布する田植機の散布装置に関し、より詳細には、散布物ホッパーは、苗載台の苗マットの２条分を１の散布物ホッパーで施薬できるように複数配設した田植機の散布装置に関する。

従来の田植機には、後部に着脱可能に装着した苗載台の後方に、フレームなどを介して、苗載台上における苗マットの床土上に、防虫剤を施薬する箱施用剤散布装置を備え、移植後の苗に害虫や葉イモチ、紋枯病などの発生を抑制するもの（特許文献１および特許文献２など）がある。

特開２００２－２５３００９号公報 特開２００６－１５８３８０号公報 特開２００４－１０５１０７号公報 特開２００２－２５３００９号公報

しかし、上記のような田植機の箱施用剤散布装置では、苗載台上における苗マットの全ての条を、フレームに設置された１箱または２箱の散布物ホッパーによって施薬しているため、散布物ホッパーから各条にホースを分岐する薬剤繰出部の分岐構造が複雑になり、繰出部での薬剤詰まりのほか、散布物ホッパーの容量が大きくなり、苗載台後方への設置の際の違和感や、散布物ホッパー裏面に位置する苗マットの視認性を阻害し、作業性が悪いという問題があった。

また、例えば特許文献３は、全ての繰出部を１つの繰出軸で駆動する構成であるから、一部の繰出部のみ駆動を停止する構成を実現するためには、各繰出部と繰出軸との間にクラッチを設ける必要がある。従って、特許文献３の構成では、クラッチの数が多くなり、部品点数が増えてコストアップに繋がるという問題があった。一方、特許文献４は、複数の繰出駆動軸を備え、各繰出駆動軸をリンク機構で個別に駆動する構成である。この構成の場合、リンク機構の駆動を個別に停止することにより、対応する繰出駆動軸の駆動を停止することができるので、一部の繰出部のみ停止するためにクラッチを設ける必要ない。しかし、複数の繰出駆動軸に対応させて複数のリンク機構が必要となるため、やはり部品点数が増加してコストアップの原因となる。このように、複数の繰出部に対して駆動力を伝達しつつ、一部の繰出部への駆動力を切断できるように構成する必要がある。従って、従来の固形体散布機においては、駆動伝達機構の構成が複雑になりがちであるという問題があった。

そこで、この発明の目的は、散布物ホッパーの設置数に伴う減容化と繰出部の分岐を防ぐとともに、複数の繰出部に対して駆動力を伝達する機構を簡単な構成で実現し、作業性、安全性および生産性を向上させた田植機の散布装置を提供するものである。

このため、請求項１に記載の発明は、苗載台の後方であって、植付部に架設したフレームと、前記フレームに固定した散布物ホッパーと、前記散布物ホッパーに繰出部を介して前記苗載台下部の各条ごとに設けたホースと、前記ホースの先端に取付けたノズルとからなる散布ユニットで、前記苗載台上の苗マットの床土上に前記散布物ホッパーの薬剤を、前記ノズルを介して散布する田植機の散布装置において、前記散布物ホッパーは、前記苗載台の苗マットの２条分を１の前記散布物ホッパーで施薬できるように複数配設するとともに、前記散布物ホッパーの上端部は、前記苗載台の高さの半分よりも低い位置に設置したことを特徴とする。

請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記散布物ホッパーは、前記苗マットの２条分に応じた２もしくは１条分に応じた１の前記繰出部および前記ホースを備えることを特徴とする。

請求項３に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記散布物ホッパーの形状は、該散布物ホッパー底部であって、左右両端部を、中央部から下方に向けて安息角以上の角度で斜設したことを特徴とする。

請求項４に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記ノズルは、前記散布物ホッパーの左右各端部の近傍に設置するとともに、前記散布物ホッパー間に、前記苗マットの苗を取出可能な隙間を設け、かつ散布物ホッパーの左右両端の底部には、前記繰出部を設けることを特徴とする。

請求項５に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記ノズルは、前記苗マットの条間幅に対応して、前記苗載台の左右方向に設置位置を変更自在とする位置変更手段を備えることを特徴とする。

請求項６に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記散布装置は、前記田植機の植付部の上方に配置するとともに、前記植付部からの駆動力を、前記繰出部の駆動軸に伝達する駆動伝達機構を備え、該駆動伝達機構は、リンク部と、ワンウェイクラッチ機構と、駆動力分配機構とからなることを特徴とする。

請求項７に記載の発明は、請求項１および６に記載の田植機の散布装置において、前記散布ユニットのそれぞれには、ユニットクラッチを設け、前記リンク部は、前記田植機からの駆動力を、前記駆動力分配機構に伝達し、該駆動力分配機構は、前記リンク部から入力された駆動力を、前記各ユニットクラッチに分配し、前記各ユニットクラッチは、対応する前記散布ユニットが備える前記駆動軸と、前記駆動力分配機構との間の接続および切断を切替可能としたことを特徴とする。

請求項８に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記ユニットクラッチは、前記田植機に備えられた複数の植付ケースのそれぞれに対応して設けられており、前記植付ケースのそれぞれに設けられた条止クラッチと、前記植付ケースの位置に対応した前記ユニットクラッチとを連動させることが可能なクラッチ連動機構を備えることを特徴とする。

請求項９に記載の発明は、請求項１に記載の田植機の散布装置において、前記散布ユニットは、前記散布物ホッパー、前記繰出部および前記駆動軸を一体的にまとめた状態を保って前記フレームから取外し可能としたことを特徴とする。

請求項１０に記載の発明は、請求項１および６に記載の田植機の散布装置において、前記フレームには、前記駆動伝達機構が配置され、前記散布ユニットを、前記フレームに取付けることにより、前記駆動軸と、前記駆動伝達機構とが接続されることを特徴とする。

請求項１に記載の発明によれば、苗載台の後方であって、植付部に架設したフレームと、フレームに固定した散布物ホッパーと、散布物ホッパーに繰出部を介して苗載台下部の各条ごとに設けたホースと、ホースの先端に取付けたノズルとからなり、苗載台上の苗マットの床土上に散布物ホッパーの薬剤を、ノズルを介して散布する田植機の散布装置において、散布物ホッパーは、苗載台の苗マットの２条分を１の散布物ホッパーで施薬できるように複数配設するとともに、散布物ホッパーの上端部は、苗載台の高さの半分よりも低い位置に設置したので、各散布物ホッパーにおける繰出部の分岐をなくすことで、繰出部を簡単な構造にし、薬剤詰まりを防止できるとともに、薬剤を各条に確実に施薬することができる。また、１つの散布物ホッパーの容積を小さくすることで、散布物ホッパーをフレームに安定設置できるとともに、苗載台上の苗マットの視認性を向上させることができる。さらに、散布物ホッパーの設置位置が低いことから、作業者が薬剤補充などの作業を容易に行うことができる。従って、作業性および安全性を向上させた田植機の散布装置を提供することができる。

請求項２に記載の発明によれば、散布物ホッパーは、苗マットの２条分に応じた２もしくは１条分に応じた１の繰出部およびホースを備えるので、１つの散布物ホッパーに多数のホースを接続させる必要がなく、散布物ホッパーへの薬剤供給の頻度を抑えることができるとともに、散布物ホッパーの容積を小さくでき、フレーム上に散布物ホッパーを安定設置することができる。従って、作業性を向上させた田植機の散布装置を提供することができる。

請求項３に記載の発明によれば、散布物ホッパーの形状は、散布物ホッパーの底部は、左右両端部が、中央部から下方に向けて安息角以上の角度を有するので、散布物ホッパー内の薬剤は、散布物ホッパーの中央近傍から左右両端部へ向け、機体の振動に加えて安息角以上の斜設面により崩落し易くなり、両端部に有する繰出部に確実に薬剤を誘導することができる。従って、作業性を向上させた田植機の散布装置を提供することができる。

請求項４に記載の発明によれば、ノズルは、散布物ホッパーの左右各端部の近傍に設置するとともに、各散布物ホッパー間に、苗マットの苗を取出可能な隙間を設け、かつ散布物ホッパーの左右両端の底部には繰出部を設けるので、散布物ホッパーの間にスペースを確保し、散布物ホッパー間から苗を取り出し易くするとともに、散布物ホッパー内で二方向に分かれた薬剤を、それぞれの繰出部から各条に、薬剤を詰まらせることなく、確実かつ円滑に散布することができる。従って、作業性を向上させた田植機の散布装置を提供することができる。

請求項５に記載の発明によれば、ノズルは、苗マットの条間幅に対応して、苗載台の左右方向に設置位置を変更自在とする位置変更手段を備えるので、苗載台メーカーの違いや、条間距離の変更などによって、苗マットの条間距離が異なる場合でも、ノズルの先端位置を容易に変更でき、ノズルから苗マットの床土上に確実に薬剤を散布させることができる。従って、作業性を向上させた田植機の散布装置を提供することができる。

請求項６に記載の発明によれば、散布装置は、田植機の植付部の上方に配置するとともに、植付部からの駆動力を、繰出部の駆動軸に伝達する駆動伝達機構を備え、この駆動伝達機構は、リンク部と、ワンウェイクラッチ機構と、駆動力分配機構とからなるので、各散布装置を構成するユニットを低い位置（田植機の植付部に近い位置）に設置することが可能となり、駆動伝達機構を短くシンプルに構成することができる。

請求項７に記載の発明によれば、散布ユニットのそれぞれには、ユニットクラッチを設け、リンク部は、田植機からの駆動力を、駆動力分配機構に伝達し、この駆動力分配機構は、リンク部から入力された駆動力を、各ユニットクラッチに分配し、各ユニットクラッチは、対応する散布ユニットが備える駆動軸と、駆動力分配機構との間の接続および切断を切替可能としたので、各散布ユニットに対応してユニットクラッチを備えることにより、散布ユニットごとに繰出部の駆動の有無を必要に応じて切り替えることができる。つまり、不要な固形体が散布されてしまうことを防ぐことができる。また、散布ユニットが２つの繰出部を備えている場合であっても、当該２つの繰出部は１つの駆動軸によって駆動されるため、当該２つの繰出部の駆動の有無を切り替えるためのユニットクラッチは１つで良い。従って、散布ユニットを安価に構成することができるとともに、当該クラッチを操作するための構成を簡素にすることができる。

請求項８に記載の発明によれば、ユニットクラッチは、田植機に備えられた複数の植付ケースのそれぞれに対応して設けられており、植付ケースのそれぞれに設けられた条止クラッチと、植付ケースの位置に対応したユニットクラッチとを連動させることが可能なクラッチ連動機構を備えるので、田植機の条止めクラッチ操作に応じて、散布ユニットの繰出部の駆動の有無を切り替えることができる。そして、ユニットクラッチが植付ケースに対応して設けられているため、田植機で条止めを行うと、これに連動して、条止めされた条（植え付けを行っていない条）に対応する散布ユニットの繰出部が駆動されなくなる。これにより、固形体が無駄に消費されることを防ぐことができる。

請求項９に記載の発明によれば、散布ユニットは、散布物ホッパー、繰出部および駆動軸を一体的にまとめた状態を保ってフレームから取外し可能としたので、例えば、取り外した散布ユニットをひっくり返してホッパーの内部に残った固形体を容易に排出することができる。そして、ホッパーと繰出部とを一体的にまとめて取り扱うことができるので、従来の薬剤散布装置のようにホッパを繰出部から取外し可能に構成する必要がなく、ホッパーと繰出部との間のシール性を向上させることができる。更に、散布ユニットを取り外した状態で、ユニットごとに保管しておくこともできる。

請求項１０に記載の発明によれば、フレームには、駆動伝達機構が配置され、散布ユニットを、フレームに取付けることにより、駆動軸と、駆動伝達機構とが接続されるので、散布ユニットを支持フレームに取り付ける作業を簡単に行うことができる。

本発明の一例として、田植機の全体側面図である。 同田植機の平面図である。 箱施用剤散布装置を備える苗載台の背面図である。 散布物ホッパーを含む散布ユニットの拡大斜視図である。 散布物ホッパーにおける一端の底部を拡大した断面背面図である。 蛇腹構造の延伸を示す散布物ホッパー一端の底部を拡大した断面背面図である。 散布物ホッパーの伸縮を説明する模式図である。 散布物ホッパーの拡大背面図である。 散布物ホッパーの上面部に把持部を備えた散布物ホッパーの斜視図である。 散布物ホッパーの側面部に把持部を備えた散布物ホッパーの斜視図である。 弾性ピンおよび位置決め穴からなる位置変更手段を備える搬送部の構造図である。 ノズル設置位置の変更を示す説明図である。 突起および位置決め溝からなる位置変更手段を備える搬送部の側面図である。 弾性部材で形成した位置変更手段を備える搬送部の側面図である。 植付ケース内部の様子を示す平面断面図である。 植付ケースの模式的な側面図である。 散布ユニットの側面断面図である。 駆動伝達機構の模式図である。 駆動伝達機構を説明する斜視図である。 ユニットクラッチ近傍の構成を拡大して示す斜視図である。 散布ユニットを取り外した状態の支持フレームを示す斜視図である。 散布ユニットの斜視図である。 図２２とは別の角度から見た散布ユニットの斜視図である。 取り外した苗載台を載置した様子を示す背面図である。 植付部の苗載台を折りたたむ動作を説明する図である。 図２５のＡ矢視図である。 分草板を備える植付部の側面図である。 別の例の分草板を備える植付部の側面図である。

以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図１は、この発明の一例として、田植機の全体側面図、図２は田植機の平面図である。

この例の田植機１は、図１～２に示すように、作業者が搭乗する走行車体１０の車体フレーム１１には、前部にエンジン１２と、後部にミッションケース１３とが設けられ、ミッションケース１３の前方両側にフロントアクスルケース１４を介して水田走行用前輪１５が支持されるとともに、ミッションケース１３の後部両側にリヤアクスルケース１６を介して水田走行用後輪１７が支持されている。

また、エンジン１２とその近傍の部材は、ボンネット１８で被覆され、ミッションケース１３とその近傍の部材は、ステップ１９を有する車体カバー２０によって被覆されている。そして、車体カバー２０の上部に運転席２１が取り付けられ、その運転席２１の前方に操向ハンドル２２が設けられている。

走行車体１０の後部には、多条植え用（図例では８条であるが、限定されない）の苗載台３１や複数の植付爪３２を具備する植付部３０が連らなる。この植付部３０は、トップリンク３３およびロワーリンク３４を含む３点昇降リンク機構を用いて、走行車体１０に連結されている。そして、走行車体１０の後部とロワーリンク３４との間に介設された図示しない油圧シリンダーの伸縮動作によって、昇降自在に構成されている。

また、前高後低に設置された苗載台３１は、板状の前傾式であり、下部ガイドレール３５および上部ガイドレール３６を介して、中央及び左右の植付伝動ケース３７に対して左右往復摺動自在に支持されている。その植付伝動ケース３７の下方には、中央及び左右の植付用均平フロート３８，３９が、植付深さ調節部材を介して支持されている。従って、植付部３０を降下させて、このフロート３８，３９を着地させることにより、苗載台３１上の苗マットから取り出す苗の植付深さを設定するように構成している。

次に、本願発明の特徴である箱施用剤散布装置について詳述する。図３は箱施用剤散布装置を備える苗載台の背面図、図４は散布物ホッパーを含む散布ユニットの拡大斜視図である。

図３に示すように、上述した苗載台３１には、散布装置としての箱施用剤散布装置５１が着脱自在に装着される。この箱施用剤散布装置５１は、苗載台３１の上方（機体後方）に設けられ、苗の移植と同時に苗マットに施薬するものであり、苗載台３１の苗マット載置部５２に対向して配置される。なお、苗載台３１上における苗マット載置部５２の機体進行方向１列を１条とするため、図例の苗載台３１は８条用とされる。なお、図中では苗マットおよびフロート３８，３９を省略して示した。

そして、この箱施用剤散布装置５１は、フレーム５３や、複数の散布物ホッパー５４のそれぞれに備えた繰出部５５、搬送部５６などで構成される。また、フレーム５３は、各植付部３０にステー５８を介して支持し、苗載台３１の後方を苗載台３１に対して左右幅方向に着脱自在に架設したものであり、このフレーム５３に複数の散布物ホッパー５４が左右一直線に取付けられる。このとき、フレーム５３は、各散布物ホッパー５４における蓋部５４ａの上端部位置が、苗載台３１の高さの半分よりも低い位置ａになるように、苗載台３１の両端部位置に架設される。

散布物ホッパー５４は、図示しない苗マットに施薬する薬剤を貯溜するものであり、図４に示すように、各散布物ホッパー５４のそれぞれ上部には蓋部５４ａが設けられ、この蓋５４ａを開けて散布物ホッパー５４の内部に薬剤を補充する。なお、蓋部５４ａは、散布物ホッパー５４の本体に対して図示しない留め具を用いて開閉自在に適宜取付けられるものである。

また、各散布物ホッパー５４それぞれの下部は、その左右両端部を、中央部から下方に向けて二方向に傾斜させた安息角（詳細は後述する）を有する斜設部５４ｂａ，５４ｂｂを備えるとともに、左右それぞれの下部が漏斗状になっており、左右両端底部ｂには開口部５４ｃａ，５４ｃｂがそれぞれ設けられている。従って、散布物ホッパー５４に貯溜された薬剤は、自重で散布物ホッパー５４の下端部に降下するとともに、斜設部５４ｂａ，５４ｂｂに沿って左右二方向に分岐され、各底部ｂの開口部５４ｃａ，５４ｃｂから、これら下方に接続された繰出部５５ａ，５５ｂに落下する。

なお、この箱施用剤散布装置５１が取り扱う薬剤は、移植後の苗に害虫や葉イモチ、紋枯病などの発生を抑制する防虫剤として、主に粉体の原料を粒状に成形したものであるが、これに限定されるものではない。

次いで、各繰出部５５ａ，５５ｂは、散布物ホッパー５４に貯溜された薬剤を所定量ずつ繰り出すものであり、それぞれ繰出ケース５５ａａ、５５ｂａや図示しない繰出ロール、ロール軸５５ｃなどで構成される。なお、ロール軸５５ｃは、ギア５９を介して隣設する散布物ホッパー５４における繰出部５５のロール軸５５ｃに連結されるとともに、このロール軸５５ｃの一端部または中途部には、苗載台３１の適宜位置に取付けられた図示しない駆動モータが連結される。なお、ロール軸５５ｃは、植付部３０を駆動させる不図示のＰＴＯ軸により駆動させてもよい。

そして、散布物ホッパー５４の下端部に連結される各繰出ケース５５ａａ、５５ｂａは、上下面が開口した箱状の部材であり、その内部にそれぞれ前記繰出ロールを収容する。また、繰出ケース５５ａａ、５５ｂａの内部空間は、前記繰出ロールを挟んで上半部と下半部に区画される。従って、散布物ホッパー５４から落下してきた薬剤は、繰出ケース５５ａａ、５５ｂａの上半部の空間に充填される。なお、前記繰出ロールは、略円柱形状の部材であり、その外周面には複数の溝が設けられ、この溝の長手方向は、各繰出ロールの両端面を貫通するロール軸５５ｃの長手方向（軸心方向）と略一致する。

また、ロール軸５５ｃは、前記各繰出ロールを、繰出ケース５５ａａ、５５ｂａの内部で回動可能に軸支するための軸であり、これら繰出ロールに貫設され、ロール軸５５ｃの両端は、繰出ケース５５ａａ、５５ｂａの左右側面から突出される。そして、ロール軸５５ｃを回動駆動することにより、繰出ケース５５ａａ、５５ｂａに収容された前記繰出ロールが回動される。

そして、繰出ケース５５ａａ、５５ｂａの上半部の空間に充填された薬剤の一部は、前記各繰出ロールの外周面に接触され、さらにその一部が、これら繰出ロールの外周面に設けられた溝に収容される。そして、これら繰出ロールを回動させると、この繰出ロールの溝に収容された薬剤のみが繰出ケース５５ａａ、５５ｂａの下半部の空間に移動し、この溝から下方に落下する。なお、前記繰出ロールに設けられる溝の本数、長さ、深さ、幅を変更することにより、繰り出される薬剤の量を適宜選択することができる。

次に、繰出部５５ａ，５５ｂのそれぞれには、搬送部５６ａ，５６ｂが連結される。この搬送部５６ａ，５６ｂは、これら繰出部５５ａ，５５ｂにより繰り出された薬剤を搬送し、図示しない苗マットの床土上に施薬するものである。

そして、この搬送部５６ａ，５６ｂのそれぞれは、主にホース５６ａａ，５６ｂａおよびノズル５６ａｂ，５６ｂｂなどで構成される。従って、１つの散布物ホッパー５４は、各繰出部５５ａ，５５ｂを介して２本のホース５６ａａ，５６ｂａを備える構成とされる。なお、ホース５６ａａ，５６ｂａまたはノズル５６ａｂ，５６ｂｂを伸縮自在な構造にして、ノズル５６ａｂ，５６ｂｂを、苗マット載置部５２の下端位置まで伸長し、これらノズル５６ａｂ，５６ｂｂから地面に散布物を散布させる構成にすることもできる。また、ノズル５６ａｂ，５６ｂｂは、散布物ホッパー５４の左右各端部の近傍に設置するとともに、各散布物ホッパー５４間に、前記苗マットの苗を取出可能な隙間を設けているため、各散布物ホッパー５４の間にスペースを確保し、散布物ホッパー５４間から苗を取り出し易くすることができる。

なお、本願発明の箱施用剤散布装置５１では、１つの散布物ホッパー５４は、繰出部５５ａ，５５ｂや搬送部５６ａ，５６ｂなどを一体的に構成したユニットｕをなすものであり、それぞれをユニットｕごとに一体的に着脱可能とされる。つまり、箱施用剤散布装置５１は、複数のユニットｕから構成されるものである。なお、散布物ホッパー５４の本体においても、この底部の開口部まで一体成型した構成とされる。

従って、苗載台３１の苗マット載置部５２は、例えばその両端に位置する各１条の苗マット載置部５２もしくは、左右一方の端部に位置する２条分の苗マット載置部５２を取り外して、苗載台３１の中央部に位置する苗マット載置部５２の後方に折り畳み収納する際、これら苗載台３１の中央部に位置するユニットｕをフレーム５３から脱着し、苗マット載置部５２の折り畳み収納を阻害しない位置のフレーム５３´にユニットｕごと一体的に装着することができる。

そして、繰出部５５ａ，５５ｂから繰り出された薬剤が、ホース５６ａａ，５６ｂａ内を落下して、ノズル５６ａｂ，５６ｂｂから図示しない苗マットの床土上に薬剤が散布される。なお、ノズル５６ａｂ，５６ｂｂの下端には、図示しない筒状の回転体を回動自在に外嵌し、該回転体の外周に複数の図示しない突起を設けて、前記苗マットと当接可能に配置するとともに、該回転体より突出してノズル５６ａｂ，５６ｂｂ先端内面に延設したスクレーパｓが設けられる。従って、スクレーパｓにより、この苗の移植時に薬剤が散布されると同時に苗載台３１が左右往復動し、この往復動に伴い前記回転体が苗などに当接して回転し、この回転によりノズル５６ａｂ，５６ｂｂ先端に付着した泥や薬剤などを掻き取り、ノズル５６ａｂ，５６ｂｂの詰まりを防止させることができる。

このような配置により、苗載台３１上に配列させた苗マット載置部５２の２条に対する施薬を、１つの散布物ホッパー５４により、この散布物ホッパー５４に設けられた各繰出部５５ａ，５５ｂを介して２本の各ホース５６ａａ，５６ｂａで行う構成とされる。従って、苗載台３１上における苗マット載置部５２（苗マット）が偶数条ｎを備える場合であれば、そのｎ/２個の散布物ホッパー５４が、フレーム５３に取付けられ、各条の施薬がこれらｎ/２個の散布物ホッパー５４により行われる。

また、苗マット載置部５２が奇数条ｍを備える場合であれば、（ｍ－１）/２＋１個の散布物ホッパー５４が、フレーム５３に取付けられ、各条の施薬がこれらｎ/２個の散布物ホッパー５４により行われる。なお、この場合、フレーム５３に取付けられた散布物ホッパー５４の中の１つだけは、散布物ホッパー５４の底部に、繰出部５５および搬送部５６を１箇所のみの配置とし、１つの散布物ホッパー５４から１本のホース５６により、苗マット載置部５２の１条だけに施薬する構成とされる。

従って、この散布物ホッパー５４は、底部に繰出部５５を接続するための開口部５４を１箇所設けた漏斗状の直方体や立方体などの形状であってもよいが、上述した中央部から下方に向けて二方向に傾斜させた斜設部５４ｂａ，５４ｂｂを有する形状であれば、一方の繰出部５５を塞ぎ、他方の繰出部５５のみを使用する構成としてもよい。

以上のような構成にすることで、各散布物ホッパー５４において繰出部５５を分岐させることなく、この繰出部５５を簡単な構造にし、繰出部５５の薬剤詰まりを防止できるとともに、薬剤を苗マット載置部５２の各条に確実に施薬することができる。また、苗マット載置部５２（苗マット）２条分の施薬を１つの散布物ホッパー５４で行うことから、１つの散布物ホッパー５４に多数のホースを接続させる必要がなく、散布物ホッパー５４への薬剤供給頻度を抑えることができるとともに、１つの散布物ホッパー５４の容積を小さくでき、散布物ホッパー５４をフレーム５３に安定設置できる。さらには、苗載台３１上の苗マットの視認性を向上させることができるとともに、散布物ホッパー５４の設置位置が低いことから、作業者が薬剤補充などの作業を容易に行うことができる。

次に、本願発明の散布物ホッパーでは、上下方向に伸縮可能な構成にすることができる。図５は散布物ホッパーにおける一端の底部を拡大した断面背面図、図６は蛇腹構造の延伸を示す散布物ホッパー一端の底部を拡大した断面背面図、図７は散布物ホッパーの伸縮を説明する模式図、図８は散布物ホッパーの拡大背面図である。

[規則91に基づく訂正 12.11.2010]　
この散布物ホッパー５４の本体は、プラスチックなどの合成樹脂を一体成型してなるものであるが、図５に示すように、繰出部５５ａ，５５ｂを接続する左右底部ｂの外周を、例えば、山折と谷折の繰り返し構造からなる蛇腹構造ｆで形成する。つまり、図７に示すように、例えば、散布物ホッパー５４内に少量の薬剤しか入っていない場合には、作業者が散布物ホッパー５４の適宜位置掴んで、この散布物ホッパー５４を上方に押し上げることで、図６に示すように、蛇腹構造ｆの上端が位置ｘから位置ｙまで伸張し、散布物ホッパー５４が上方の位置に摺動される。

[規則91に基づく訂正 12.11.2010]　
このような構成にすることで、散布物ホッパー５４に薬剤を供給する際、作業者の身長などに応じて、蛇腹構造ｆを延伸させることで、簡単に散布物ホッパー５４の高さ位置を上下でき、薬剤供給作業を容易に行うことができる。また、例えば、散布物ホッパー５４を定位置とする、散布物ホッパー５４の上端が位置ａ（蛇腹構造ｆの上端が位置ｘ）において、薬剤を散布物ホッパー５４の上端まで満杯に入れ過ぎた場合などには、上述のように蛇腹構造ｆを延伸することにより、散布物ホッパー５４を位置ａ´（蛇腹構造ｆの上端が位置ｙ）の高さまで上昇させる。

この結果、散布物ホッパー５４の底部ｂに、スペアスペースｓができるため、このスペアスペースｓ内に薬剤が流入し、散布物ホッパー５４上端の薬剤レベルが下がり、散布物ホッパー５４の蓋部５４ａを確実に閉じることができる。

以上のような構成により、簡単な構造で散布物ホッパー５４の高さ位置を容易に変更することができ、薬剤供給作業や蓋部の締結など作業性を向上させることができる。

また、各散布物ホッパー５４の下部は、図８に示すように、その左右両端部を、中央部から下方に向けて二方向に傾斜させた、地面の水平面に対して２０度程度の安息角αを有する斜設部５４ｂａ，５４ｂｂを備えるとともに、左右それぞれの下部が漏斗状になっており、左右両端の底部ｂには開口部５４ｃａ，５４ｃｂがそれぞれ設けられている。なお、安息角αは、２０度以上とすることができるが、散布物ホッパー５４の容積を大きく取れるように２０度程度にすることが好ましい。

このような構成により、散布物ホッパー５４内の薬剤は、散布物ホッパー５４の中央近傍から左右両端部へ向け、機体の振動に加えて安息角α以上の斜設部５４ｂａ，５４ｂｂの面により崩落し易くなり、底部ｂの両端部に有する繰出部５５ａ，５５ｂに確実に薬剤を誘導することができる。さらに、散布物ホッパー５４の左右両端の底部ｂには繰出部５５ａ，５５ｂを設けるので、散布物ホッパー５４内で二方向に分かれた薬剤を、それぞれの繰出部５５ａ，５５ｂから各条に、薬剤を詰まらせることなく、確実かつ円滑に散布することができる。

次に、本願発明の散布物ホッパーは、把持部を備えるものである。図９は、散布物ホッパーの上面部に把持部を備えた散布物ホッパーの斜視図、図１０は散布物ホッパーの側面部に把持部を備えた散布物ホッパーの斜視図である。

まず、各散布物ホッパー５４には、図９に示すように、蓋部５４ａの上面部に把持部５８が、この蓋部５４ａと一体形成により突設される。従って、把持部５８の材質は、散布物ホッパー５４と同じ汎用プラスチックなどの合成樹脂とすることができる。なお、把持部５８における上部の内周面には、指を嵌合可能とする凹凸部５８ａなどを形成してもよい。

このような構成にすることで、上述したように、１つの散布物ホッパー５４は、繰出部５５ａ，５５ｂやホース５６ａａ，５６ｂａ、ノズル５６ａｂ，５６ｂｂなどを一体的に構成した散布ユニットｕをなすものであり、作業者がメンテナンスなどでこの散布ユニットｕを着脱する際、散布物ホッパー５４に設けた把持部５８を持つことで、散布ユニットｕを落として破損させることなく確実に持つことができ、安全かつ容易に着脱作業を行うことができる。なお、把持部の設置は、上述した散布物ホッパー５４における蓋部５４ａの上面部に限定されず、図１０に示すように、散布物ホッパー５４本体の左右両側面部（左右一方の側面部でもよい）に把持部５８´として設置しても、上述同様の効果を得ることができる。さらに把持部は、図示しないが、散布物ホッパー５４における蓋部５４ａの上面部および本体左右側面部の双方に設けてもよい。

本願発明の散布物ホッパー５４は、ノズルの設置位置を変更可能とする位置変更手段を備えるものである。図１１は弾性ピンおよび位置決め穴からなる位置変更手段を備える搬送部の構造図、図１２はノズル設置位置の変更を示す説明図、図１３は突起および位置決め溝からなる位置変更手段を備える搬送部の側面図、図１４は弾性部材で形成した位置変更手段を備える搬送部の側面図である。

図１１に示すように、搬送部５６ａ（図中では搬送部５６の一方を示すものであり、搬送部５６ｂであってもよい）は、位置変更手段６０を備えるホース５６ａａおよびノズル５６ａｂからなり、このホース５６ａａは、ノズル５６ａｂを下端に取付ける内側回動部６１と、この内側回動部６１を回動可能に嵌入するとともに、上端部を繰出部５５ａに取付けた外側固定部６２とから構成される。この内側回動部６１における上端部の外周面には、その対向位置にバネなどの弾性体６１ｂにピン６１ｃを取付けた弾性ピン６１ａが押縮自在に設置される。

一方、外側固定部６２の上部外周面には、弾性ピン６１ａを嵌入可能とする位置決め穴６２ａが、外周面に沿って対向位置に複数貫設される。従って、搬送部５６ａは、内側回動部６１を外側固定部６２に嵌合させるとともに、各弾性ピン６１ａを外側固定部６２の対向する位置決め穴６２ａに嵌入させて、内側回動部６１を固定するとともに、ノズル５６ａｂの設置位置が固定される。

ここで、箱施用剤散布装置５１を、通常とは異なる苗載台３１に装着させるなどして、上述したノズル５６ａｂの設置位置を、図１２に示すように、苗マット載置部５２による図示しない苗マットの条間距離（条間隔）に応じて変更する場合であって、例えば、通常よりも条間距離が長い前記苗マットに対応させてノズル５６ａｂ（５６ｂｂ）を機体外方に向けて変更する際には、作業者はまず、位置決め穴６２ａから突出する各弾性ピン６１ａを、指で位置決め穴６２ａから突出しない位置まで押縮する。

次いで、作業者は、ノズル５６ａｂが機体外方に向くように内側回動部６１を回動させ、ノズル５６ａｂが前記苗マットの左（ノズル５６ｂｂの場合右）端部に位置する位置決め穴６２ａａに各弾性ピン６１ａを弾性体６１ｂの付勢により嵌入させて、内側回動部６１を固定するとともに、ノズル５６ａｂの設置位置が固定される。なお、位置決め穴６２ａの設置間隔は、前記苗マットの左右端部にノズル５６ａｂが位置する、前記苗マットの長さ幅に応じて複数形成される。

このような構成により、作業者は別途工具類を用いることなく、位置決め穴６２ａに弾性ピン６１ａを嵌入させることで、容易にノズル５６ａｂ，５６ｂｂの位置を変更でき、箱施用剤散布装置５１は、条間距離の異なる苗載台３１でも楽に装着使用することができる。なお、ノズル５６ａｂの設置位置を機体内方に変更させる場合は、上述と同じ要領で逆方向に作用させるため、説明を省略する。

次に、位置変更手段の別実施例を説明する。この場合、ホース５６ａａに備える位置変更手段６０´として、図１３に示すように、内側回動部６１´における上端部の外周面には、その対向位置に突起６１ａ´が設けられる。一方、外側固定部６２´の外周面上部には、突起６１ａ´を滑動可能とするスライドレールｌが形成されるとともに、このスライドレールｌから外周面の対向位置に沿って、スライドレールｌと同じ幅を有する複数の位置決め溝６２ａ´が、外周面の中途位置まで形成される。

従って、搬送部５６ａは、内側回動部６１´を外側固定部６２´に嵌合させるとともに、各突起６１ａ´を外側固定部６２の対向する位置決め溝６２ａ´に嵌入させて、内側回動部６１´を固定するとともに、ノズル５６ａｂの設置位置が固定される。なお、突起６１ａ´は先端に膨らみ部を設け、突起６１ａ´のスライドレールｌおよび位置決め溝６２ａ´からの抜脱を防止する構成とされる。

ここで、上述のように、ノズル５６ａｂ（５６ｂｂ）を機体外方に向けて変更する際には、作業者はまず、内側回動部６１´を上昇させて、位置決め溝６２ａ´から突出する各突起６１ａ´を、スライドレールｌ内に摺動させる。次いで、作業者は、ノズル５６ａｂが機体外方に向くようにして、各突起６１ａ´を、スライドレールｌ内に沿って、内側回動部６１´を回動させ、ノズル５６ａｂが前記苗マットの左（ノズル５６ｂｂの場合右）端部に位置する位置決め溝６２ａａ´の下端まで内側回動部６１´を下降させるとともに各突起６１ａ´を下降させて、内側回動部６１を固定し、ノズル５６ａｂの設置位置が固定される。なお、位置決め溝６２ａ´の設置間隔は、前記苗マットの左右端部にノズル５６ａｂが位置する、前記苗マットの長さ幅に応じて複数形成される。

このような構成により、作業者は別途工具類を用いることなく、該当する位置決め溝６２ａ´に突起６１ａ´を摺動させることで、容易にノズル５６ａｂ，５６ｂｂの位置を変更でき、箱施用剤散布装置５１は、条間距離の異なる苗載台３１でも楽に装着使用することができる。

さらに、位置変更手段は以下のような構成にすることもできる。この場合、ホース５６ａａに備える位置変更手段６０´´として、図１４に示すように、下部回動部６１´´における上端の外周面には、その外周面に沿って複数の下部をやや拡開させた位置決め凹部６３が設けられる。なお、位置決め凹部６３を含む上端外周面は、合成ゴムなどの弾性部材で構成される。また、位置決め凹部６３の設置間隔は、前記苗マットの左右端部にノズル５６ａｂが位置する、前記苗マットの長さ幅に応じて複数形成される。

また、上部固定部６２´下端の外周面には、位置決め凹部６３を緊合可能とし、位置決め凹部６３と同数の下方に凸とする凸部６４が形成される。なお、これら凸部６４を含む下端外周面も合成ゴムなどの弾性部材で構成される。従って、上述のように、ノズル５６ａｂ（５６ｂｂ）の位置を変更する際には、作業者はまず、下部回動部６１´´を下降させて、位置決め凹部６３と凸部６４の嵌合を解除し、ノズル５６ａｂの変更位置まで下部回動部６１´´を回動させた位置における位置決め凹部６３に凸部６４を嵌合させることで、凸部６４の押し込みにより変形した位置決め凹部６３に凸部６４が緊合し、下部回動部６１´´が固定される。

このような構成にすることで、凸部６４を位置決め凹部６３に緊合することにより、変形させた位置決め凹部６３内で凸部６４を挟持固定させるため、作業者は別途工具類を用いることなく、容易にノズル５６ａｂ，５６ｂｂの位置を変更でき、箱施用剤散布装置５１は、条間距離の異なる苗載台３１でも楽に装着使用することができる。なお、凸部６４および位置決め凹部６３は上述の形成位置に限定されず、凸部６４を下部回動部６１´´に、位置決め凹部６３を上部固定部６２´´に形成してもよい。また、凸部６４を拡開形状にしてもよい。

　次に、植付部３０の条止めクラッチの構成について説明する。この条止めクラッチとは、植付部３０における植付電動ケース３７それぞれに設けられたクラッチ機構のことであり、植付電動ケース３７ごとに植付ユニットの駆動の有無を切り替えることができるように構成したものである。これにより、必要に応じて、植付けを部分的に停止することができる。条止めクラッチは、運転席２１に備える不図示の条止めレバーを操作することにより切り替えられる。この条止めレバーは、各植付電動ケース３７に対応して計４本設けられ、それぞれが独立して操作することが可能に構成されている。

　次に、条止めクラッチの構成について具体的に説明する。図１５は植付ケース内部の様子を示す平面断面図である。この図１５に示すように、各植付電動ケース３７内には、車体１０が備える図略のＰＴＯ軸からの回転駆動力を伝える駆動伝達軸１５０が配置されている。この駆動伝達軸１５０の後端には、第１ベベルギア５１が固設されている。また、各植付電動ケース３７内には、植付部駆動軸１５２が、車体左右方向に沿って配置されている。

当該植付部駆動軸１５２の両端部は、植付電動ケース３７の左右から外部に突出しており、当該両端部に回転ケース１３６ａがそれぞれ取り付けられている。また、各植付電動ケース３７内には、植付部駆動軸１５２にスプライン嵌合された第１クラッチ部材１５３と、植付部駆動軸１５２に対して相対回転自在に支持された第２クラッチ部材１５４とが配置されている。

　第１クラッチ部材１５３と第２クラッチ部材１５４には、それぞれクラッチ爪が形成されており、当該クラッチ爪は、植付部駆動軸１５２の軸線方向で互いに向かい合っている。そして、第１クラッチ部材１５３と第２クラッチ部材１５４のクラッチ爪は噛み合い可能である。即ち、第１クラッチ部材１５３と第２クラッチ部材１５４によって、噛み合いクラッチ（条止めクラッチ）が構成されている。

　また、第１クラッチ部材１５３は、前記スプライン嵌合によって、植付部駆動軸１５２に対して相対回転不能に取り付けられている。一方、第２クラッチ部材１５４には第２ベベルギア１５５が形成されており、当該第２ベベルギア１５５は前記第１ベベルギア１５１と噛み合っている。以上の構成で、第１クラッチ部材１５３と第２クラッチ部材１５４とが噛み合った状態（クラッチ「入」の状態）では、駆動伝達軸１５０の駆動力が植付部駆動軸１５２に伝達されることにより、植付電動ケース３７左右の（２条分の）植付部３０を駆動することができる。

　一方、第１クラッチ部材１５３は、植付部駆動軸１５２に対してスプライン嵌合されているので、第２クラッチ部材１５４から離間する方向（即ち、クラッチ爪の噛み合いを解除する方向）に移動可能である。これにより、クラッチを「切」の状態にして、植付電動ケース３７左右の（２条分の）植付部３０の駆動を停止することができる。なお、第１クラッチ部材１５３は、付勢バネ１５６によって、第２クラッチ部材１５４と噛み合う方向に付勢されている。従って、通常時においては、第１クラッチ部材１５３と第２クラッチ部材１５４とは噛み合った状態（クラッチ「入」の状態）に保持されている。

　次に、上記のように構成されたクラッチを条止めレバー１６で操作可能とするための構
成について説明する。図１６は植付ケースの模式的な側面図である。この図１６に示すように、Ｌ字状に形成されたクラッチレバー１５８が、その中間部を止めピン１５９によって回動自在に支持された状態で、各植付電動ケース３７の外側に取り付けられている。このクラッチレバーの一端には、ワイヤ１６０が接続されており、このワイヤ１６０は前述の条止めレバーに接続されている。この構成で、条止めレバーを操作することにより、止めピン１５９の位置を中心にしてクラッチレバー１５８を回動させることができるようになっている。

　また、クラッチレバー１５８の他端には、クラッチ操作ピン１５７の一端が取り付けられている。クラッチ操作ピン１５７の他端は、植付電動ケース３７に内挿されている。この構成で、条止めレバーを操作することにより、クラッチ操作ピン１５７を植付電動ケース３７内に押し込むことができるようになっている。一方、図１５に示したように、前記第１クラッチ部材１５３には、カム部１５３ａが形成されている。そして、クラッチ操作ピン１５７が植付電動ケース３７内に押し込まれると、当該クラッチ操作ピン１５７の先端が前記カム部１５３ａに当接し、第１クラッチ部材１５３を、第２クラッチ部材１５４から遠ざかる方向に（クラッチ「切」の状態となる方向に）移動させることができるように構成されている。

　以上のように、条止めレバーを操作することで、対応する植付電動ケース３７の条止めクラッチを切断し、当該植付電動ケース３７に設けられた２つの植付ユニット１３６の駆動を停止させ、植付けを部分的に停止することができるように構成されている。

　次に、繰出部５５の構成について詳しく説明する。図１７は散布ユニットの側面断面図である。この図１７に示すように、繰出部５５は、繰出ケース５５ａａ（５５ｂａ）と、繰出ロール１２５と、ブラシ１２６とを備える。繰出ケース５５ａａ（５５ｂａ）は、散布物ホッパー５４に形成されている２つの連通部１４５ａの下部にそれぞれ取り付けられている。繰出ケース５５ａａ（５５ｂａ）と連通部１４５ａとによって形成される空間の内側には、繰出ロール１２５が配置されている。繰出ロール１２５は厚みのある円板状に形成されているとともに、その外周面には複数の凹部１２５ａが所定間隔を空けて形成されている。

以上により、散布物ホッパー５４内の粒状の箱施用剤を、前記各凹部１２５ａの内部に一定量ずつ落とし込むことができるように構成されている。そして、この繰出ロール１２５を所定速度で回転駆動することにより、繰出ロール１２５がいわば水車のように機能して、散布物ホッパー５４内の箱施用剤をシュータ１４７に向かって所定の供給速度で繰り出すことができる。

　また、ブラシ１２６は、繰出ロール１２５の外周面に接触するようにして配置されている。このブラシ１２６は、散布物ホッパー５４内の箱施用剤が、繰出ロール１２５と繰出ケース繰出ケース５５ａａ（５５ｂａ）との隙間を通って下方に流れ出してしまわないように、前記箱施用剤をせき止めるためのものである。

　各散布ユニットｕが備える繰出駆動軸１４８には、当該散布ユニットｕが備える２つの繰出ロール１２５が固定されている。また、繰出駆動軸１４８の一端には、後述する図１８に記載の、ユニット側クラッチ部材１４９が取り付けられている。なお、このユニット側クラッチ部材１４９が進行方向に向かって左側に設けられているのが散布ユニットｕＬであり、右側に設けられているのが散布ユニットｕＲである。

このユニット側クラッチ部材１４９には、クラッチ爪が形成されている。そして、ユニット側クラッチ部材１４９が後述のフレーム側クラッチ部材１７６と噛み合って繰出駆動軸１４８に回転駆動力が入力されることにより、散布ユニットｕが備える２つの（２条分の）繰出ロール１２５が同時に回転駆動されて、散布物ホッパー５４内の箱施用剤が繰り出される。

　次に、各散布ユニットｕが備える繰出駆動軸１４８に対して、植付電動ケース３７からの駆動力を伝達するための構成について説明する。まず、植付電動ケース３７から駆動力を取り出すための構成について説明する。４つ配置された前記植付電動ケース３７のうち何れか１つは、その後端部が開口されるとともに、当該後端部に駆動取出ケース１６１が取り付けられた構成となっている。本実施形態の場合、図１５における左から２番目の植付電動ケース３７の後端部に駆動取出ケース１６１が取り付けられている。この駆動取出ケース１６１内部の様子が図１５に示されている。

　この図１５に示したように、駆動取出ケース１６１の内部には、散布機用ＰＴＯ軸１６２が配置されている。散布機用ＰＴＯ軸１６２の一端には、前記第２ベベルギア１５５と噛み合う第３ベベルギア１６３が固設され、他端には駆動ギア１６４が固設される。一方、駆動取出ケース１６１には駆動取出軸１６５が回転自在に支持されており、この駆動取出軸１６５の先端には前記駆動ギア１６４と噛み合う図略の従動ギアが固設され、後端は駆動取出ケース１６１から後方に向かって突出している。以上の構成で、植付電動ケース３７の後方から回転駆動力を取り出すことができる。

　次に、植付電動ケース３７から取り出した回転駆動力を、各散布ユニットｕに伝達するための駆動伝達機構について説明する。フレーム５３には、植付部３０からの駆動力を伝達するリンク機構（リンク部）１９１と、ワンウェイクラッチ機構１７０と、駆動力分配機構１９２とが設けられている。

　図１８は駆動伝達機構の模式図、図１９は駆動伝達機構を説明する斜視図である。これら図１８～１９に示すように、前記リンク機構１９１は、駆動取出軸１６５の後端に取り付けられたクランクプレート１６６と、クランクプレート１６６に一端を連結された縦リンク部材１６７と、縦リンク部材１６７の他端に連結された第１駆動伝達レバー１６８とを備える。駆動取出軸１６５によって植付電動ケース３７から取り出された回転運動は、クランクプレート１６６及び縦リンク部材１６７によって上下往復運動に変換され、第１駆動伝達レバー１６８に伝達される。

　第１駆動伝達レバー１６８は、後述の第１駆動伝達軸１７２に対して回動可能に取り付けられている。この構成で、縦リンク部材１６７の上下往復運動は、前記第１駆動伝達レバー１６８によって、第１駆動伝達軸１７２の軸線を中心とした往復回動運動に変換される。

　前記ワンウェイクラッチ機構１７０は、前記第１駆動伝達軸１７２に対して回動可能に取り付けられた第２駆動伝達レバー１６９を備え、当該第２駆動伝達レバー１６９が一方向に回動した場合のみ、第１駆動伝達軸１７２に駆動力を伝達するように構成されている。そして、第２駆動伝達レバー１６９は、前記第１駆動伝達レバー１６８と接触可能に構成されている。

これにより、第１駆動伝達レバー１６８による往復回動運動が第２駆動伝達レバー１６９に伝達され、ワンウェイクラッチ機構１７０によって一方向への回動駆動力のみが第１駆動伝達軸１７２に伝達される。以上の構成により、植付部３０から取り出した駆動力を第１駆動伝達軸１７２まで伝達し、当該第１駆動伝達軸１７２を一方向に間欠的に回転駆動することができる。

　次に、駆動力分配機構１９２について説明する。駆動力分配機構１９２は、前記第１駆動伝達軸１７２と、第１駆動伝達ギア１７３と、第２駆動伝達ギア１７４と、第２駆動伝達軸１７５と、フレーム側クラッチ部材１７６とから構成されている。

　図１８に示したように、第１駆動伝達軸１７２は、散布ユニットｕが並んでいる方向（車体左右方向）に配設されている。また、第１駆動伝達軸１７２の両端には、それぞれ第１駆動伝達ギア１７３が固設されている。従って、本実施形態の箱施用剤散布機４０は、２つの第１駆動伝達ギア７３を備えている。また、この２つの第１駆動伝達ギア７３それぞれに対応して、当該第１駆動伝達ギアと噛み合う第２駆動伝達ギア７４が設けられている。

従って、本実施形態の箱施用剤散布装置５１は、第２駆動伝達ギア１７４を２つ備えている。なお、第１駆動伝達ギア１７３及び第２駆動伝達ギア１７４は、ギアケース１７７内に収容されている。なお、図１９では、第１駆動伝達ギア１７３及び第２駆動伝達ギア１７４の構成をより良く図示するため、ギアケース１７７の上部を鎖線で透視的に描いている。

　２つの第２駆動伝達ギア１７４は、これに対応して配置された第２駆動伝達軸１７５の軸線方向中央部にそれぞれ固設されている。従って、本実施形態の箱施用剤散布装置５１は、第２駆動伝達軸を２本備える。前記第２駆動伝達軸１７５は、第１駆動伝達軸１７２と平行に配置されている。そして、各第２駆動伝達軸１７５の両端には、それぞれフレーム側クラッチ部材１７６が取り付けられている。即ち、本実施形態の箱施用剤散布装置５１は、フレーム側クラッチ部材１７６を４つ備えている。また、４つのフレーム側クラッチ部材１７６は、４つの散布ユニットｕの取付位置それぞれに対応した位置に配置されている。

　フレーム側クラッチ部材１７６には、クラッチ爪が形成されている。そして、散布ユニットｕが支持フレームに取り付けられた状態では、フレーム側クラッチ部材１７６に形成されたクラッチ爪と、ユニット側クラッチ部材１４９に形成されたクラッチ爪と、が車体左右方向で向かい合うように配置されている。そして、この２つクラッチ部材１４９，１７６に形成されたクラッチ爪は、噛み合い可能に構成されている。即ち、フレーム側クラッチ部材１７６及びユニット側クラッチ部材１４９により、ユニットクラッチ（噛み合いクラッチ）１７８が構成されている。このユニットクラッチ１７８は、散布ユニットｕごとに配置されていると言うことができる。

　以上の構成で、１つの植付電動ケース３７から取り出した駆動力を、１つのリンク機構１９１及び１つのワンウェイクラッチ機構１７０を介して伝達し、駆動力分配機構１９２によって４つのユニットクラッチ１７８に対して分配することができる。このように、リンク機構１９１及びワンウェイクラッチ機構１７０がそれぞれ１つで良いので、駆動伝達機構を簡単な構成とすることができる。

そして、ユニットクラッチ１７８を「入」の状態（ユニット側クラッチ部材１４９とフレーム側クラッチ部材１７６とが噛み合った状態）とすることにより、駆動力を各散布ユニットｕの繰出駆動軸１４８に伝達し、各散布ユニットｕの繰出ロール１２５を回転駆動することができる。

　なお、クラッチを噛み合いクラッチとして構成し、そのクラッチ部材を駆動伝達軸の端
部に配置する構成とした場合、１つの駆動伝達軸には２つのクラッチ部材までしか配置す
ることができない。即ち、２つの散布ユニットに対してしか駆動力を分配することができ
ない。この点、上記の構成では、第１駆動伝達軸１７２から、駆動伝達ギア１７３，１７４を介して、複数の第２駆動伝達軸１７５に対して駆動力を分岐させている。

従って、この複数の第２駆動伝達軸１７５の両端にフレーム側クラッチ部材１７６を取り付けることにより、３つ以上の散布ユニットｕに対しても駆動力を分配することができる。また、駆動伝達ギア１７３，１７４の間に、他の駆動伝達ギアがあっても良い（即ち、駆動伝達ギア１７３，１７４同士が間接的に噛み合うようにしても良い）。これにより、第２駆動伝達軸１７５を比較的自由に配置することが可能となり、散布ユニットｕの配置レイアウトの自由度を増大させることができる。

　また前述したとおり、本実施形態においては、繰出部５５を条ごとに設けることにより
、各散布ユニットｕを低い位置に配置する（植付電動ケース３７に近付ける）ことが可能と
なっている。従って、縦リンク部材１６７を短く構成することが可能となり、リンク機構１９１をシンプルに構成することが可能となっている。

　次に、ユニットクラッチ１７８の構造について詳しく説明する。図２０はユニットクラッチ近傍の構成を拡大して示す斜視図である。この図２０に示すように、ユニット側クラッチ部材１４９は、付勢バネ１７９によって、フレーム側クラッチ部材１７６と噛み合う方向に付勢されている。即ち、付勢バネ１７９の付勢力により、ユニットクラッチ１７８が「入」の状態で保持されるように構成されている。

　次に、このユニットクラッチ７８を、条止めクラッチと連動させて「切」の状態に切り
替えるためのクラッチ連動機構の構成について説明する。図２１は散布ユニットを取り外した状態の支持フレームを示す斜視図である。この図２１に示すように、フレーム５３には、フレーム側クラッチ操作レバー（フレーム側接触部材）１８５が回動可能に支持されている。このフレーム側クラッチ操作レバー１８５は、４つの散布ユニットｕに対応して設けられている。

従って、本実施形態のフレーム５３には、フレーム側クラッチ操作レバー１８５が４つ設けられている。また、各フレーム側クラッチ操作レバー１８５には、それぞれクラッチ操作力伝達ワイヤ（クラッチ操作力伝達部材）１８６の一端が接続されている。そして、それぞれのクラッチ操作力伝達ワイヤ１８６の他端は、図１６に示すように、対応する植付電動ケース３７が備えるクラッチ操作ピン１５７に連結されている。この構成で、クラッチ操作ピン１５７の変位によって、フレーム側クラッチ操作レバー１８５を回動させることができるようになっている。

　なお、ここで「対応する植付電動ケース３７」とは、散布ユニットｕの位置に対応した植付電動ケース３７のことである。例えば、最も左の散布ユニットｕに対応して設けられたフレーム側クラッチ操作レバー１８５は、最も左の植付電動ケース３７が備えるクラッチ操作ピン１５７と、クラッチ操作力伝達ワイヤ１８６によって連結されている。また例えば、左から２番目の散布ユニットｕに対応して設けられたフレーム側クラッチ操作レバー１８５は、左から２番目の植付電動ケース３７が備えるクラッチ操作ピン１５７と、クラッチ操作力伝達ワイヤ１８６によって連結されている。

　従って、４本ある条止めレバーのうち何れかが操作されて、対応する植付電動ケース３７のクラッチ操作ピン１５７が当該植付電動ケース３７内に押し込まれると、当該クラッチ操作ピン１５７の変位を、これに対応するフレーム側クラッチ操作レバー１８５までクラッチ操作力伝達ワイヤ１８６が伝達し、当該フレーム側クラッチ操作レバー１８５を回動させることができる。即ち、条止めクラッチの操作と、フレーム側クラッチ操作レバー１８５の動作とを連動させることができるように構成されている。

　また、図２２は散布ユニットの斜視図、図２３は図２２とは別の角度から見た散布ユニットの斜視図である。これら図２２～２３に示すように、散布ユニットｕの板状部材１２８には、ユニット側クラッチ操作レバー（ユニット側接触部材）１８０が回動可能に取り付けられている。ユニット側クラッチ操作レバー１８０は、クラッチ部材当接部１８１と、操作入力部１８２とから構成されている。

　クラッチ部材当接部１８１は、ユニット側クラッチ部材１４９の外周に形成された鍔部１４９ａに当接可能に配置されている。操作入力部１８２は、板状の部位として構成されるとともに、前記クラッチ部材当接部１８１に固定されている。この操作入力部１８２を所定方向に押すことにより、ユニット側クラッチ操作レバー１８０を所定方向に回動させることができる。

そして、ユニット側クラッチ操作レバー１８０が所定方向に回動することにより、クラッチ部材当接部１８１がユニット側クラッチ部材１４９を押し、当該ユニット側クラッチ部材１４９をフレーム側クラッチ部材１７６から離れる方向に変位させることができるように構成されている。これにより、ユニットクラッチ７８を「切」の状態にすることができる。

　図２０でも示したように、散布ユニットｕを取り付けた状態においては、ユニット側クラッチ操作レバー１８０の操作入力部１８２と、フレーム側クラッチ操作レバー１８５とが近接した位置となるように構成されている。そして、条止めレバーが操作されると、これに対応するフレーム側クラッチ操作レバー１８５が回動し、このフレーム側クラッチ操作レバー１８５が近接するユニット側クラッチ操作レバー１８０の操作入力部１８２に接触して、当該操作入力部１８２を所定方向に押す。

これにより、ユニット側クラッチ操作レバー１８０が回動してクラッチ部材当接部１８１がユニット側クラッチ部材１４９を押し、当該ユニット側クラッチ部材１４９の位置をフレーム側クラッチ部材１７６から離間する方向に変位させることで、ユニットクラッチ１７８を切断するように構成されている。即ち、条止めクラッチと、対応するユニットクラッチ１７８とを連動させることができるように構成されている。

　なお、前述したように、植付電動ケース３７の条止めクラッチは、２条ごとに植付けを停止する構成である。一方、散布ユニットｕは１つの駆動軸で２つの（２条分の）繰出ロール１２５を駆動する構成である。従って、１つのユニットクラッチ１７８で２つの（２条分の）繰出部５５の駆動を停止することができる。

このような構成であるから、条止めクラッチとユニットクラッチとを連動させることにより、植付け及び箱施用剤散布の有無を、２条ごとに切り替えることが可能となっているのである。また、上記のように構成することで、１つの繰出部５５に対して１つのユニットクラッチを設ける構成と比べてユニットクラッチ関係の部品の数を削減でき、散布ユニットｕ及び駆動伝達機構をシンプルに構成することができる。

　次に、散布ユニットｕをフレーム５３から取外し可能とするための構成について説明する。前述のように、ユニットクラッチ１７８は、ユニット側クラッチ部材１４９と、フレーム側クラッチ部材１７６とからなる噛み合いクラッチとして構成されている。そして、ユニット側クラッチ部材１４９は、フレーム側クラッチ部材１７６から離間させることが可能である。

即ち、散布ユニットｕの繰出駆動軸１４８を、ユニットクラッチ１７８の部分で、フレーム５３側の駆動伝達機構から切り離すことができる。このように、ユニットクラッチ１７８を噛み合いクラッチとして構成したことにより、散布ユニットｕをフレーム５３から取り外す際に、駆動を伝達するための機構の取外し作業等が不要となるため、当該散布ユニットｕを簡単に取り外すことができる。

　また、前述のように、ユニット側クラッチ操作レバー１８０と、フレーム側クラッチ操作レバー１８５は、（機械的に連結されているものではなく）互いに近接して配置されているだけである。従って、ユニット側クラッチ操作レバー１８０を、フレーム側クラッチ操作レバー１８５から離間させることが可能である。これにより、散布ユニットｕをフレーム５３から取り外す際に、クラッチ操作力を伝達するための機構（例えばワイヤ等）の取外し作業等が不要となるため、当該散布ユニットｕを簡単に取り外すことができる。

　なお、従来の箱施用剤散布機においては、フレーム側の駆動伝達機構から繰出部を簡単に切り離すことができなかったため、散布物ホッパーと繰出部をユニットとしてまとめて取り外すことができなかった。そこで、従来の箱施用剤散布機においては、散布ホッパー内に余った薬剤を容易に排出できるようにするため、散布ホッパーのみを取外し可能な構成とされていた。この構成では、散布ホッパーと繰出部の間を強固に連結することができず、散布ホッパーと繰出部との間の隙間から雨水が侵入して薬剤が溶け出してしまうことがあった。また、繰出部はフレームから取り外すことができないため、当該繰出部内部に残った薬剤を容易に排出することができなかった。

　この点、本実施形態では、散布ユニット及び駆動伝達機構を上記のように構成すること
により、フレーム５３側の駆動伝達機構から、繰出部５５を容易に切り離すことができる。従って、散布物ホッパー５４、繰出部５５、シュータ１４７等を一体的にまとめて散布ユニットｕを構成し、当該散布ユニットｕごとフレーム５３から取り外すことができるようになったのである。

　従って、本実施形態の構成では、散布物ホッパー５４及び繰出部５５内に余った薬剤を排出するには、散布ユニットｕを取り外し、蓋部５４ａを開けて当該散布ユニットｕごとひっくり返せば良い。従って、従来の箱施用剤散布機のように、散布物ホッパーを繰出部から簡単に分離可能に構成する必要は無い。そこで、本実施形態では、散布物ホッパー５４と繰出ケース５５ａａ（５５ａｂ）とはネジ止めされている。このように、散布物ホッパー５４と繰出ケース５５ａａ（５５ａｂ）を強固に連結することができるので、従来よりもシール性が向上し、内部に雨水等が侵入しにくくすることができる。

　次に、各散布ユニットｕをフレーム５３に固定するための構成について説明する。図２１に示したように、フレーム５３には、散布ユニットｕを乗せるための取付ステー１８７が、各散布ユニットｕの取付位置にそれぞれ配置されている。各取付ステー１８７は、車体左右方向に並んで設けられた２本の脚部１８８と、脚部１８８の間に水平に渡された板状の水平部１８９とから構成されている。

　一方、図２２及び図２３に示すように、散布ユニットｕが備える丸棒部材１２７及び板状部材１２８は、それぞれ車体左右方向に（繰出駆動軸１４８と平行な方向に）配設されている。この散布ユニットｕを取付ステー１８７に乗せる際には、脚部１８８の上に丸棒部材１２７を、水平部１８９の上に板状部材１２８をそれぞれ乗せる。これより、２本の脚部１８８と、水平部１８９とによって少なくとも３点で散布ユニットｕを支持することができるので、当該散布ユニットｕの姿勢を安定させることができる。

　一方、図２１に示したように、脚部１８８には、傾斜部１８８ａと、当該傾斜部１８８ａの下端に連続して形成されたＵ字部１８８ｂとがそれぞれ形成されている。この構成で、取付ステー１８７に散布ユニットｕを乗せる際には、丸棒部材１２７を傾斜部１８８ａに当接させたまま、散布ユニットｕを自重によって下方にスライドさせるように移動させる。

すると、前記傾斜部１８８ａによって丸棒部材１２７が自然に案内され、当該丸棒部材１２７がＵ字部１８８ｂの内側に嵌まり込むことにより、散布ユニットｕが車体前後方向で位置決めされるようになっている。そして、散布ユニットｕが車体前後方向で位置決めされた状態では、クラッチ部材１４９，１７６が互いに向かい合う位置となるように構成されている。

　また、水平部１８９及び板状部材１２８は、それぞれ車体左右方向にある程度の長さを有している。即ち、散布ユニットｕの位置が車体左右方向にある程度ズレたとしても、水平部１８９に板状部材１２８を乗せることができる。一方、２本の脚部１８８の間隔は、丸棒部材１２７の車体左右方向の長さよりも短いように構成されている。即ち、散布ユニットｕの位置が車体左右方向にある程度ズレたとしても、２本の脚部１８８に丸棒部材１２７を乗せることができる。

従って、脚部１８８に丸棒部材１２７を、水平部１８９に板状部材１２８を載せた状態で、散布ユニットｕを車体左右方向にある程度移動させても、２本の脚部１８８及び水平部１８９によって散布ユニットｕを少なくとも３点で安定して支持することができる。即ち、散布ユニットｕの姿勢を保ったまま、当該散布ユニットｕを車体左右方向（即ち、クラッチ部材１４９，１７６同士が接触又は離間する方向）にスライドさせることができるように構成されている。

　従って、例えば、クラッチ部材１４９，１７６同士が離れた状態で、散布ユニットｕを取付ステー１８７上に安定して仮置きすることができる。このように散布ユニットｕを仮置きできるので、散布ユニットｕの取付作業を楽に行うことができる。そして、この仮置
きした状態（Ｕ字部１８８ｂに丸棒部材１２７が嵌まり込んだ状態）においては、散布ユニットｕは車体前後方向で位置決めされているので、当該散布ユニットｕを取付ステー１８７上で車体左右方向にスライドさせるだけで、クラッチ部材１４９，１７６同士を簡単に噛み合わせることができる。

　なお、散布ユニットｕの車体左右方向の位置決めは、板状部材１２８に形成された孔部
１２８ａ（図２３参照）に、水平部１８９に形成された凸部１８９ａ（図２１参照）が嵌まり込むことにより行うことができる。また、取付ステー１８７の近傍には、固定具１９０が配置されている（図２１参照）。この固定具１９０は、丸棒部材１２７に固定されている鉤状部材１２７ａ（図２２参照）を引っ掛けて固定することができるように構成されている。

そして、この固定具１９０は、鉤状部材１２７ａを引っ掛けて留めた状態と、開放した状態とをワンタッチで（例えば指一本で）簡単に切り替えることが可能に構成されている。従って、散布ユニットｕを位置決めした後、鉤状部材１２７ａに固定具１９０を引っ掛けて留めることにより、散布ユニットｕを取付ステー１８７に簡単に固定することができる。

　以上のように、固定具１９０で留めるだけで、散布ユニットｕの取付けを完了すること
ができる。そして、散布ユニットｕをフレーム５３に取り付けるだけで、クラッチ部材１４９，１７６同士を噛み合った状態（繰出駆動軸１４８と駆動伝達機構とが接続された状
態）とすることができるのである。このように、ネジ止めしたり、駆動伝達機構やクラッ
チの操作機構を取り付けたりする手間をかけることなく、散布ユニットｕの取付け及び取外しを簡単に行うことができる。

　次に、取り外した苗載台３１ａを載置するための構成について説明する。図２４は取り外した苗載台を載置した様子を示す背面図である。前述のように、本実施形態においては、２条分の苗載台３１ａを主苗載台３１から分離可能に構成されている。一方、図２１などに示したように、フレーム５３には、散布ユニットｕを載置して固定可能な仮置きステー１９６が設けられている。また、図１８に示したように、仮置きステー１９６は２つ設けられており、フレーム５３の車体左右端部寄りにそれぞれ配置されている。

　苗載台３１ａを主苗載台３１から分離させる際には、まず、４つの散布ユニットｕのうち、車体左右方向中央寄りの２つの散布ユニットｕを、それぞれ仮置きステー１９６上に移動させて固定する。これにより、車体左右方向中央寄りの位置にスペースを空けることができる。そして、苗載台３１ａを主苗載台３１から分離し、前記支持パイプ１９７に取り付ける。そして、図２４のように、支持パイプ１９７に取り付けられた苗載台３１ａは、中央の２つの散布ユニットｕを仮置きステー１９６上に移動させることにより形成されたスペースに配置される。

　分離された苗載台３１ａは、支持パイプ１９７に取り付けられることにより、残った主苗載台３１の上方に配置される。そして、苗載台３１ａは、散布ユニットｕと側面視でオーバーラップする位置となる。ここで仮に、散布ユニットｕを移動させてスペースを空けることができない場合は、苗載台３１ａと散布ユニットｕが側面視でオーバーラップしないように配置する必要がある（苗載台３１ａと散布ユニットｕとが干渉しないようにするため）。従って、この場合は、散布ユニットｕを避けて苗載台３１ａの取付位置を高い位置にせざるを得ず、当該苗載台３１ａを支持パイプ１９７に取り付ける作業等が困難となる。

　この点、本実施形態では、上記のように散布ユニットｕを移動させてスペースを形成することにより、苗載台３１ａを低い位置に取り付けることが可能になる。また、車体中央部にスペースが空いているため、当該苗載台３１ａの取付作業時に散布ユニットｕが邪魔になることがない。そして、このような構成は、散布ユニットｕをフレーム５３から簡単に取外し可能に構成することにより、初めて可能となったのである。

　以上説明したように、散布ユニットｕを取り外すことができるので、例えば、取り外した散布ユニットｕをひっくり返して散布物ホッパー５４の内部に残った薬剤を容易に排出することができる。そして、散布物ホッパー５４と繰出部５５とを一体的にまとめて取り扱うことができるので、従来の薬剤散布装置のように散布物ホッパーを繰出部から取外し可能に構成する必要がなく、散布物ホッパー５４と繰出部５５との間のシール性を向上させることができる。更に、散布ユニットｕを取り外した状態で、ユニットごとに保管しておくこともできる。

　また、本実施形態の箱施用剤散布装置５１において、フレーム５３には、田植機１から取り出した駆動力を各散布ユニットｕの近傍まで伝達する駆動伝達機構が配置されており、散布ユニットｕをフレーム５３に取り付けることにより、繰出駆動軸１４８と駆動伝達機構とが接続される。これにより、散布ユニットｕをフレーム５３に取り付けることにより繰出駆動軸１４８が駆動伝達機構に接続されるので、散布ユニットｕをフレーム５３に取り付ける作業を簡単に行うことができる。

　また、本実施形態の箱施用剤散布装置５１では、各散布ユニットｕは、繰出駆動軸１４８の一端に固定されたユニット側クラッチ部材１４９を備える。フレーム５３には、駆動伝達機構が伝達してきた駆動力を出力するフレーム側クラッチ部材１７６が散布ユニットｕごとに配置される。ユニット側クラッチ部材１４９とフレーム側クラッチ部材１７６とが噛み合うことにより、繰出駆動軸１４８と駆動伝達機構とが接続される。そして、ユニット側クラッチ部材１４９は、フレーム側クラッチ部材１７６から離間することが可能である。

　以上のように、各散布ユニットｕに対応してクラッチを設けることにより、散布ユニットｕごとに繰出部５５の駆動の有無を切り替えることができる。そして、クラッチを噛み合いクラッチとして構成することにより、ユニット側クラッチ部材１４９とフレーム側クラッチ部材１７６の噛み合い部分で散布ユニットｕをフレーム５３から切り離すことができるので、ユニットを取り外す際に駆動伝達機構を取り外すような手間がなく、当該取外し作業を容易に行うことができる。

また、噛み合いクラッチは、クラッチ部材１４９，１７６同士を近接させるだけで駆動力を伝達することができるので、散布ユニットｕをフレーム５３に取り付けただけで繰出駆動軸１４８と駆動伝達機構とが接続される構成を簡単に実現することができる。

　また、取付ステー１８７をガイドとして散布ユニットｕをスライドさせて、当該散布ユニットｕを取付け又は取外すことができるので、クラッチ部材１４９，１７６同士の位置合わせ等を容易に行うことができる。そして、固定具１９０によって散布ユニットｕを固定することにより、ユニット側クラッチ部材１４９とフレーム側クラッチ部材１７６とが噛み合った状態（駆動伝達機構に対して繰出駆動軸１４８を接続した状態）とすることができる。

また、取付ステー１８７によって、取付け途中又は取外し途中の散布ユニットｕの姿勢を保持することができるので、取付け又は取外し作業中に散布ユニットｕが倒れないように手で支える必要が無い。また、例えば取付け作業の前に取付ステー１８７の上に散布ユニットｕをいったん仮置きするということもできる。これにより、散布ユニットｕの取付け又は取外しを更に容易に行うことができる。

　また、本実施形態の箱施用剤散布装置５１では、クラッチの操作力に応じてユニット側クラッチ部材１４９を変位させ、クラッチを切り替えることができる。更に、ユニット側クラッチ操作レバー１８０とフレーム側クラッチ操作レバー１８５との接触部分を境にして、散布ユニットｕとフレーム５３とを分離することができる。これにより、散布ユニットｕを取り外す際にクラッチを操作するための機構を取り外すような手間がなく、当該取外し作業を容易に行うことができる。

　また、本実施形態の田植機１では、散布ユニットｕをいったん取り外し、仮置きステー１９６に載せることで、当該散布ユニットｕが元あった場所にスペースを空けることができる。そして、この空いたスペースに、分離させた苗載台３１ａを配置することができる。

なお、苗載台は、次のように折りたたみ収納させることもできる。図２５は植付部の苗載台を折りたたむ動作を説明する図、図２６は図２５のＡ矢視図である。この図２５に示すように、例えば、苗載台３１Ａ～３１Ｈを４つのユニットにグループ分けする。すなわち、苗載台３１Ａ，３１Ｂは第１ユニット、苗載台３１Ｃ，３１Ｄは第２ユニット、苗載台３１Ｅ，３１Ｆは第３ユニット、苗載台３１Ｇ，３１Ｈは第４ユニットである。

なお、苗載台３１Ａ～３１Ｈは、それぞれの縁部に２つずつ備える連結レバー（ロックレバー）をロック状態にすることで連結されている。また、苗載台３１Ｅの左縁部と苗載台３１Ｆの右縁部には後述するパイプ状のスタンドＳを固設する。さらに、苗載台３１Ａの左側端部裏面と、苗載台３１Ｂの右側端部裏面にはスタンドＳの先端に嵌合するピン（突起部）Ｒをそれぞれ備える。このピンＲとスタンドＳの先端にはさらにパッチン錠を備え、このパッチン錠にてロックされるようになっている。

また、各散布ユニットｕを構成する散布ユニット７３Ａ～７３Ｄは、一連のフレーム５３上に載置され、パッチン錠などで固定されている。このフレーム５３は、４つの植付伝動ケース３７から立ち上がって設けられたブラケットに支持される。このフレーム５３には上述したステー１９６同様の保持部５３ａを備える。この保持部５３ａは、一時的に各散布ユニット７３Ａ～７３Ｄを載置するためのものである。

次に、田植え作業が終了した後、苗載台３１Ａ～３１Ｈの第１ユニット（苗載台３１Ａ，３１Ｂ）を折りたたんで苗載台３１の幅を狭くする方法を説明する。第３ユニット（苗載台３１Ｅ，３１Ｆ）の前にあるホッパーユニット７３Ｃをフレーム５３から外して、そのフレーム５３の（ホッパーユニット７３Ｄの下方にある）保持部５３ａに載置して、パッチン錠で固定する。

そして、苗載台３１Ａと苗載台３１Ｂとが連結された状態で、苗載台３１Ｂと苗載台３１Ｃとの連結を解除する。詳しくは、苗載台３１Ｂの縁部に備える２つの連結レバーを解除する方向に回動させ、苗載台３１Ｂと苗載台３１Ｃとの連結を解除する。次に、第１ユニット（苗載台３１Ａ，３１Ｂ）の両端にあるハンドルを把持して第１ユニットを移動させる。

そして、第１ユニットを第３ユニット（苗載台３１Ｅ，３１Ｆ）上に重ねる。詳しくは、第３ユニットに設けられた１対のスタンドＳの先端に、第１ユニットに備える２つのピンＲをそれぞれ嵌めこむ（図２６）。次に、不図示のパッチン錠にてロックする。そして、第３ユニットの左側端部に備えるかぎ状の固定ピンの先端を、第１ユニットの裏面に形成された孔に掛け止める。次に、第１ユニットを載置していた部分の苗取出板を折りたたむ。このようにすることで、田植機１の幅が走行車体１０の車幅以下となる。そして、走行車体１０と田植機１とが連結された状態で、トラックなどに積み込まれて搬送される。

なお、上述の手順を逆に行うことで第１ユニットを折りたたみ状態から広げることができる。したがって、詳細な説明は省略する。

次に、苗載台３１には、この苗載台３１の幅方向全域にわたって分草板６０が備えられている。図２７は分草板を備える植付部の側面図、図２８は別の例の分草板を備える植付部の側面図である。この分草板６０は、詳しくは図２７（ａ），（ｂ）に示すように、矩形で一定の厚みを有する金属板（平板）で構成される（分草板６０は金属板であることに限定されず、プラスチック板のようなものであってもよい）。この分草板６０の両端部は、苗載台３１の外縁部３１Ｅに固設されたブラケット６１の上端部にピン６２などで固定する。

なお、分草板６０は、苗載台３１に載置された苗Ｓの長手方向Ｄに対して、角度αをもって設けられることが望ましい（いいかえると、苗Ｓの移動方向と反対側に角度αをもって傾けて設ける）。この角度αは、分草板６０が苗Ｓの根元を開放し、薬剤Ｐを苗Ｓの根元に補給しやすい角度、好ましくは３０～６０度とする。

また、分草板６０の幅Ｗは、苗載台３１に載置する多種の苗Ｓの背丈の違いによって適宜、設定することが望ましい。たとえば、徒長苗と通常の生育の苗との差を考慮して、Ｗ＝５０ｍｍの分草板６０とする。このようにすることで、生育状況の異なる苗を混在させた状態でも確実に分草板６０が苗Ｓの上部に当接して、苗Ｓの根元を開放し、薬剤を苗Ｓの根元に供給することができる。

次に、このように構成された田植機で苗に薬剤を散布する動作を説明する。苗載台３１に載置された苗Ｓは、搬送ベルトＢによって下方に搬送され、分草板６０に当接すると上部が搬送方向後方へ撓んで根元部分に空間が形成される。この空間を介して各散布ユニットｕより薬剤Ｐが苗Ｓの根元へと供給される。

そして、撓んだ苗Ｓは、その先端部分が分草板６０の下端から離れると元の起立した状態に戻る。このようにして、苗載台３１上の苗Ｓが次々に下方に搬送され、分草板６０に当接したものから順次撓んで、その根元に空間を形成していく。そして、薬剤Ｐがその根元に供給される。

図２８（ａ），（ｂ）には、この発明の別の例を示す。この例では、前述の例のような一枚の分草板に代えて、２本の分草棒８０Ａ，８０Ｂを一定の間隔Ｌをもって平行に備えるものである（分草棒は２本に限定されるものではなく、３本以上であってもよい）。なお、２本の分草棒８０Ａ，８０Ｂの間隔Ｌは、Ｌ＝５０ｍｍ程度とする。分草板６０を分草棒８０Ａ，８０Ｂに代えることで、同様の効果で軽量化された植付部を提供することができる。

この例では、苗載台３１の外縁部３１Ｅに固設されたブラケット８１に分草棒８０Ａ，８０Ｂの両端を溶接などにより固設する。なお、苗Ｓに薬剤Ｐを散布する動作については、前述の例と同様であるので説明を省略する。

　３０　　植付部
　３１　　苗載台
　３７　　植付電動ケース
　５１　　箱施用剤散布装置
　５３　　フレーム
　５４　　散布物ホッパー
　５５　　繰出部
　５６　　搬送部
１５０　　駆動伝達軸
１５２　　植付部駆動軸
１５３　　第１クラッチ部材
１５４　　第２クラッチ部材
１７２　　第１駆動伝達軸
１７３　　第１駆動伝達ギア
１７４　　第２駆動伝達ギア
１７５　　第２駆動伝達軸
１７６　　フレーム側クラッチ部材
１７８　　ユニットクラッチ
　１９１　　リンク機構（リンク部）
１７０　　ワンウェイクラッチ機構
１９２　　駆動力分配機構
α　　安息角
ｕ，ｕＬ，ｕＲ　　散布ユニット　

Claims (10)

1. 苗載台の後方であって、植付部に架設したフレームと、
   前記フレームに固定した散布物ホッパーと、
   前記散布物ホッパーに繰出部を介して前記苗載台下部の各条ごとに設けたホースと、
   前記ホースの先端に取付けたノズルと、
   からなる散布ユニットで、前記苗載台上の苗マットの床土上に前記散布物ホッパーの薬剤を、前記ノズルを介して散布する田植機の散布装置において、
   　前記散布物ホッパーは、前記苗載台の苗マットの２条分を１の前記散布物ホッパーで施薬できるように複数配設するとともに、前記散布物ホッパーの上端部は、前記苗載台の高さの半分よりも低い位置に設置したことを特徴とする田植機の散布装置。
2. 　前記散布物ホッパーは、前記苗マットの２条分に応じた２もしくは１条分に応じた１の前記繰出部および前記ホースを備えることを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
3. 前記散布物ホッパーの形状は、該散布物ホッパー底部であって、左右両端部を、中央部から下方に向けて安息角以上の角度で斜設したことを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
4. 前記ノズルは、前記散布物ホッパーの左右各端部の近傍に設置するとともに、前記散布物ホッパー間に、前記苗マットの苗を取出可能な隙間を設け、かつ散布物ホッパーの左右両端の底部には、前記繰出部を設けることを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
5. 前記ノズルは、前記苗マットの条間幅に対応して、前記苗載台の左右方向に設置位置を変更自在とする位置変更手段を備えることを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
6. 前記散布装置は、前記田植機の植付部の上方に配置するとともに、前記植付部からの駆動力を、前記繰出部の駆動軸に伝達する駆動伝達機構を備え、該駆動伝達機構は、リンク部と、ワンウェイクラッチ機構と、駆動力分配機構とからなることを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
7. 　前記散布ユニットのそれぞれには、ユニットクラッチを設け、
   　前記リンク部は、前記田植機からの駆動力を、前記駆動力分配機構に伝達し、該駆動力分配機構は、前記リンク部から入力された駆動力を、前記各ユニットクラッチに分配し、
   前記各ユニットクラッチは、対応する前記散布ユニットが備える前記駆動軸と、前記駆動力分配機構との間の接続および切断を切替可能としたことを特徴とする、請求項１および６に記載の田植機の散布装置。
8. 　前記ユニットクラッチは、前記田植機に備えられた複数の植付ケースのそれぞれに対応して設けられており、
   前記植付ケースのそれぞれに設けられた条止クラッチと、前記植付ケースの位置に対応した前記ユニットクラッチとを連動させることが可能なクラッチ連動機構を備えることを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
9. 前記散布ユニットは、前記散布物ホッパー、前記繰出部および前記駆動軸を一体的にまとめた状態を保って前記フレームから取外し可能としたことを特徴とする、請求項１に記載の田植機の散布装置。
10. 前記フレームには、前記駆動伝達機構が配置され、前記散布ユニットを、前記フレームに取付けることにより、前記駆動軸と、前記駆動伝達機構とが接続されることを特徴とする、請求項１および６に記載の田植機の散布装置。
    　　　　

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