JP2011054490A - 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウム塩が非水系有機溶媒に溶解されてなる非水系電解液において、該非水系有機溶媒は、フッ素置換基及び/又は炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有し、さらに該非水系電解液が、環状酸無水物及びS=O基含有有機化合物を、該非水電解液の重量に対してそれぞれ0.001〜1.5重量%及び0.001〜10重量%含有することを特徴とする非水系電解液及びリチウム二次電池。
【選択図】 なし
Description
通常のリチウム二次電池用の電解液は、支持電解質であるリチウム塩と非水系有機溶媒を主成分とする。用いられる非水系有機溶媒は、リチウム塩を解離させるために高い誘電率を有すること、広い温度領域で高いイオン伝導度を発現させること、及び、電池中で安定であること等が要求される。これらの要求を一つの溶媒で達成するのは困難であるので、通常は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等に代表される高沸点溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点溶媒とを組み合わせて、非水溶媒として使用している。
特許文献1では、酸無水物と環状スルトン誘導体とをそれぞれ0.3〜3%添加した電解液を用いることで100℃を超える温度雰囲気中での保存特性が改善されることが開示されている。また特許文献2には、CoSnC等を活物質として含有した負極を用い、酸無水物とフルオロエチレンカーボネートを含有した電解液を用いることでサイクル特性及び高温保存特性が改善されることが開示されている。また特許文献3にはケイ素合金負極を用い、酸無水物とハロゲン原子含有カーボネートとを含有した電解液を用いることでサイクル特性において放電容量維持率が改善されることが開示されている。
即ち、本発明の要旨は、以下の(1)〜(7)に示す通りである。
(3)環状酸無水物が分子量250以下の環状酸無水物であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の非水系電解液。
(4)S=O基含有有機化合物がスルホキシド類、サルファイト類、スルホン類、スルホネート類、スルトン類及びスルフェート類からなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれか記載の非水系電解液。
(6)フッ素置換環状カーボネートが、一般式(1)で表されるカーボネートであることを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の非水系電解液。
(8)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
本発明の非水系電解液はリチウム塩と非水系有機溶媒を主成分とする。また、本発明のリチウム二次電池は、非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極とを備えて構成される。また、本発明のリチウム二次電池はその他の構成要素を備えていても良い。
本発明の非水系電解液(以下適宜、「本発明における非水系電解液」という)は、リチウム塩が非水系有機溶媒(以下適宜、「本発明における非水系有機溶媒」に溶解されてなる非水系電解液であって、該非水系有機溶媒はフッ素置換基及び/又は炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有し、さらに該非水電解液は、環状酸無水物(以下適宜、「本発明における環状酸無水物」という)及びS=O基含有有機化合物(以下適宜、「本発明におけるS=O基含有有機化合物」という)を、該非水電解液の重量に対してそれぞれ0.001〜1重量%及び0.001〜10重量%含有することを特徴とする非水系電解液である。
[1−1.種類]
本発明におけるフッ素置換基を有する環状カーボネートは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネートの分子内のいずれかの水素原子がフッ素で置換された環状カーボネートであれば特に制限はないが、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が最も好ましい。また炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリメチルフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられるが、なかでもトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基がより好ましい。
また上述した本発明におけるフッ素置換基を有する環状カーボネートは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明におけるフッ素置換基を有する環状カーボネートの含有量は、該非水系有機溶媒の全体の容量に対して、通常0.01容量%以上、好ましくは0.1容量%以上、より好ましくは1容量%以上、さらに好ましくは5容量%以上また、通常50容量%以下、好ましくは30容量%以下、より好ましくは20容量%以下である。含有量が多すぎると、高温保存特性が悪化する傾向があり、さらにはフッ素置換環状カーボネートが高価であるためにコスト高となってしまう。また含有量が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
[2−1.種類]
本発明における炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートは、分子内に炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば特に制限はなく、任意のものを用いることができる。炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの方が化学的及び電気化学的により安定であること観点から好ましい。
また、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの炭素数は通常3以上、また、通常20以下、好ましくは15以下である。さらに、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの分子量は通常80以上であり、また、通常250以下、好ましくは150以下である。炭素数や分子量が大きすぎると電解液に対する溶解性が悪くなり、本発明の効果を十分に発現できない虞がある。
本発明における炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量は、該非水系有機溶媒の全体の容量に対して、通常0.01容量%以上、好ましくは0.1容量%以上、より好ましくは1容量%以上、また、通常20容量%以下、好ましくは10容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。含有量が多すぎると、高温保存特性が悪化する傾向がある。また含有量が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
[3−1.種類]
本発明における環状酸無水物は環状の酸無水物であれば特に制限はない。これらを例示すると、無水コハク酸、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、2,3−ジメチルコハク酸無水物、2,2,3−トリメチルコハク酸無水物、2,2,3,3−テトラメチルコハク酸無水物、ビニルコハク酸無水物、2,3−ジビニルコハク酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2,3−ジフェニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水グルタル酸、無水グルタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、無水2−スルホ安息香酸、無水ヘキサフルオログルタル酸、などが挙げられる。
また上述した本発明における環状酸無水物は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明における環状酸無水物の含有量は、該非水電解液の全体の重量に対して、0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上、また1.5重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.25重量%以下、最も好ましくは0.2重量%以下である。含有量が多すぎると、負極抵抗が上昇して容量が低下する傾向がある。また、含有量が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
[4−1.種類]
本発明におけるS=O基含有有機化合物は、分子内にS=O基を含有する有機化合物であれば特に制限はない。これらを例示すると、スルホキシド類、サルファイト類、スルホン類、スルホネート類、スルトン類、スルフェート類が挙げられるが、好ましくはサルファイト類、スルホン類、スルホネート類、スルトン類である。
スルホン類を例示すると、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジビニルスルホンなどの対称鎖状スルホン類;メチルエチルスルホン、メチルプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、メチルビニルスルホン、エチルフェニルスルホン、エチルビニルスルホン、フェニルビニルスルホンなどの非対称鎖状スルホン類;スルホラン、スルホレンなどの環状スルホン類が挙げられる。これらの中でもジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルプロピルスルホン、メチルビニルスルホンなどのメチルスルホン類およびジビニルスルホンが好ましい。
また上述した本発明におけるS=O基含有有機化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明におけるS=O基含有有機化合物の含有量は、該非水電解液の全体の重量に対して、0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上、また10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。含有量が多すぎると、負極抵抗が上昇して容量が低下する傾向がある。また、含有量が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
[5−1.種類]
本発明における非水系有機溶媒は上述した様にフッ素置換基及び/又は炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有するが、その他に含有する溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。これらを例示すると、フッ素置換されておらず炭素−炭素不飽和結合も有していない環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、環状エステル(ラクトン化合物)類、鎖状エーテル類、環状エーテル類、含窒素有機溶媒、含硫黄有機溶媒などが挙げられる。なかでも高いイオン導電性を発現させる溶媒として、通常、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、環状エステル類、鎖状エーテル類、環状エーテル類、含窒素有機溶媒が好ましい。
また、環状エステル類の具体例を挙げると、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。これらの中でもγ−ブチロラクトンが好ましい。
また、環状エーテル類の具体例を挙げると、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
また、含有窒素有機溶媒の具体例を挙げるとN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、アセトニトリルが挙げられる。
本発明における非水系有機溶媒では、フッ素置換されておらず炭素−炭素不飽和結合も有していない環状カーボネート類以外の溶媒としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良いが、2種以上の溶媒が混合して使用されることが好ましい。
リチウム塩は電解質として用いられる。リチウム塩の種類に特に制限はなく、無機リチウム塩及び有機リチウム塩のいずれを用いても良い。
無機リチウム塩の例を挙げると、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6等の無機フッ化物塩;LiAlCl4等の無機塩化物塩;LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩などが挙げられる。
また、有機リチウム塩の例を挙げると、CF3SO3Li、C4F9SO3Li等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;CF3COOLi等のパーフルオロアルカンカルボン酸塩;(CF3CO)2NLi等のパーフルオロアルカンカルボンイミド塩;(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)2NLi等のパーフルオロアルカンスルホンイミド塩等の含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。
なお、リチウム塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、特にLiPF6とLiBF4との併用、あるいは、LiPF6と(CF3SO2)2NLiとの併用は、連続充電特性の改善に効果があるので好ましい。
本発明にかかる非水系電解液は、負極上に被膜を形成させ、電池特性を改善させる目的で、さらにモノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる1種を含有していることが好ましい。モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩としては、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸カリウムが好ましく、さらにはモノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが特に好ましい。
本発明における非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、非水系電解液の濡れ性、過充電特性等を改善する目的で他の助剤を含有させても良い。
助剤の例としては、酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、酢酸アリル等のカルボン酸エステル;t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ビフェニル、o−ターフェニル、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、2,4−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール、トリフルオロメチルベンゼン等の芳香族化合物及びこの芳香族化合物をフッ素原子で置換したものなどが挙げられる。また、助剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
非水系電解液は、本発明のリチウム二次電池に用いる際、通常は液体状態で存在するが、例えば、これを高分子によってゲル化して、半固体状電解質にしてもよい。ゲル化に用いる高分子は任意であるが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどが挙げられる。なお、ゲル化に用いる高分子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明における非水系電解液の製造方法は特に制限は無いが、例えば、フッ素置換基及び/又は炭素−炭素不飽和結合を含有した環状カーボネートを含有した非水系有機溶媒にリチウム塩を加え、さらに本発明における環状酸無水物及びS=O基含有有機化合物を該非水電解液の重量に対してそれぞれ0.001〜1.5重量%及び0.001〜10重量%となるように添加することにより調製することができる。
[11.メカニズム]
本発明の効果が得られるメカニズムは定かではないが、以下のように考えられる。
この問題点は、電解液中にさらに本発明におけるS=O基含有有機化合物を特定量存在させることで解決する。S=O基含有有機化合物は、初期充電時に本発明における環状酸無水物が還元される際に、その一部が反応し、負極被膜中に取り込まれる。すなわちS=O基含有有機化合物が存在することで負極上に環状酸無水物とS=O基含有有機化合物とに由来するハイブリッド被膜を形成する。このハイブリッド被膜はフッ素置換環状カーボネートを含有した溶媒に対して溶解しにくいために、負極上での反応が抑制され充電時にリチウムが析出しにくくなる。したがって連続充電を行った場合の容量劣化が少なくなる。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明の非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極とを備えて構成される。また、本発明のリチウム二次電池はその他の構成を備えていても良い。例えば、リチウム二次電池は、通常、スペーサを備えている。
正極は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
通常は、正極として、集電体上に正極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極は適宜その他の層を備えていてもよい。
正極活物質層は、正極活物質を含んで構成される。正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。例としては、Fe、Co、Ni、Mnなどの遷移金属の酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物、遷移金属の硫化物などが挙げられる。
正極活物質の比表面積は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1m2/g以上、好ましくは0.2m2/g以上であり、また、通常10m2/g以下、好ましくは5.0m2/g以下、さらに好ましくは3.0m2/g以下である。比表面積が小さすぎるとレート特性の低下、容量の低下を招く虞があり、また、大きすぎると正極活物質が非水系電解液等と好ましくない反応を引き起こし、サイクル特性を低下させる虞がある。
以下、スラリーを正極集電体に塗布・乾燥する場合について説明する。
これらの中で好ましい結着剤は、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーである。
なお、結着剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
導電性材料の具体例としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属のファイバー、箔などが挙げられる。
なお、これらの助剤等は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
スラリーを形成するための溶媒としては、活物質、結着剤、並びに必要に応じて使用される助剤等を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。
また、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるため、ローラープレス等により圧密するのが好ましい。
集電体の素材としては、公知のものを任意に使用することができるが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極の集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS(ステンレス)等が挙げられる。中でも、正極の集電体としてはアルミニウムが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
のエネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。この場合、その開口率を変更することで重量も自在に変更可能となる。また、このような穴あけタイプの集電体の両面に塗布層を形成させた場合、この穴を通しての塗布層のリベット効果により塗布層の剥離がさらに起こりにくくなる傾向にあるが、開口率があまりに高くなった場合には、塗布層と集電体との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなる。
負極は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
通常は、正極の場合と同様に、負極も集電体上に負極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極と同様に、負極も適宜その他の層を備えていてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、例えば公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金、チタン酸リチウムなどを使用することが好ましい。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、例えば、上記の炭素質材料をピッチ等の有機物で被覆した後で焼成したもの、CVD法等を用いて表面に上記炭素質材料よりも非晶質の炭素を形成したものなども、炭素質材料として好適に使用することができる。ここで、被覆に用いる有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレンヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1〜100μmに粉砕したものも使用することができる。さらに塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂なども使用することができる。
負極の集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、負極の集電体も、正極の集電体と同様に、予め粗面化処理しておくのが好ましい。
さらに、正極同様、集電体の形状も任意であり、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。また、集電体として薄膜を使用する場合の好ましい厚さも、正極の場合と同様である。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はスペーサを介在させる。スペーサの材質や形状は特に制限されないが、上述の非水系電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。
スペーサの材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン等を用いることができるが、好ましくはポリオレフィンである。
また、スペーサの形状としては多孔性のものが好ましい。この場合、非水系電解液は、多孔性のスペーサに含浸させて用いる。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明における非水系電解液と、正極と、負極と、必要に応じて用いられるスペーサとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。さらに、本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、コイン型電池、円筒型電池、角型電池などが上げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
<試験操作の説明>
[正極の製造]
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)94重量部とポリフッ化ビニリデン(以下適宜、「PVdF」という)3重量部とアセチレンブラック3重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えてスラリー状にしたものを、アルミニウムからなる集電体の両面に塗布・乾燥して正極を得た。
負極活物質であるグラファイト粉末94重量部とPVdF6重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して負極を得た。
[リチウム二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
25℃の恒温槽中、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3Vまで放電した。これを3回繰り返し初期のフォーメーションを行なった。次いで、0.2Cで4.4VまでCCCV充電した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期放電容量を求めた。なお充電時のカット電流は0.05Cとした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価の終了した電池を60℃の恒温槽に入れ、0.2Cで4.45Vまで定電流充電し、4.45Vに到達したところで定電圧充電に切り替えた。7日間充電を行った後で通電を停止し、電池を取り出し25℃の条件下、まず0.2Cで3Vまで放電し、ついで0.2Cで4.4VまでCCCV充電(充電時のカット電流は0.05C)した後、0.2Cで3Vまで放電して、連続充電後の放電容量を求めた。また連続充電試験前後での放電容量回復率を下記計算式により求めた。
容量回復率(%)=連続充電後の放電容量(mAh/g)/初期放電容量(mAh/g)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(混合体積比10:10:70:10)に、電解質であるLiPF6を1mol/Lの割合で溶解させ、さらに無水シトラコン酸及び1,3−プロパンスルトン(PS)を電解液全体の重量に対してそれぞれ0.2重量%及び1重量%となるように添加して非水系電解液とした。
得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、容量評価試験、連続充電特性評価試験を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の代わりに無水イタコン酸を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の代わりに無水マレイン酸を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の代わりにフェニルコハク酸無水物を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の代わりに無水コハク酸を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
1,3−プロパンスルトンの代わりに1,3−プロペンスルトン(PRS)を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
1,3−プロパンスルトンの代わりにジメチルスルホン(DMS)を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の添加量を0.1重量%とした以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の添加量を0.5重量%とした以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)とビニレンカーボネート(VC)の混合溶媒(混合体積比30:69:1)に、電解質であるLiPF6を1mol/Lの割合で溶解させ、さらに無水シトラコン酸及び1,3−プロパンスルトン(PS)を電解液全体の重量に対してそれぞれ0.2重量%及び1重量%となるように添加して非水系電解液とした以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸を添加しなかった以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
1,3−プロパンスルトンを添加しなかった以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸の添加量を2重量%とした以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(混合体積比30:70)に、電解質であるLiPF6を1mol/Lの割合で溶解させ、さらに無水シトラコン酸及び1,3−プロパンスルトン(PS)を電解液全体の重量に対してそれぞれ0.2重量%及び1重量%となるように添加して非水系電解液とした以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、連続充電特性評価試験を行なった。結果を表1に示す。
無水シトラコン酸を添加しなかった以外は比較例4と同様に二次電池を作製し、連続充電特性評価試験を行なった。結果を表1に示す。
Claims (8)
- リチウム塩が非水系有機溶媒に溶解されてなる非水系電解液において、該非水系有機溶媒は、フッ素置換基及び/又は炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有し、さらに該非水系電解液が、環状酸無水物及びS=O基含有有機化合物を、該非水電解液の重量に対してそれぞれ0.001〜1.5重量%及び0.001〜10重量%含有することを特徴とする非水系電解液。
- 環状酸無水物が炭素−炭素不飽和結合を有する環状酸無水物であることを特徴とする請求項1記載の非水系電解液。
- 環状酸無水物が分子量250以下の環状酸無水物であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水系電解液。
- S=O基含有有機化合物がスルホキシド類、サルファイト類、スルホン類、スルホネート類、スルトン類及びスルフェート類からなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の非水系電解液。
- 環状酸無水物及びS=O基含有有機化合物を、該非水電解液の重量に対してそれぞれ0.001〜0.25重量%及び0.001〜5重量%含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の非水系電解液。
- 炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネート誘導体類及びビニルエチレンカーボネート誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1ないし7のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
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