WO2013038842A1 - 二次電池 - Google Patents
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Abstract
高温サイクル特性が良好な二次電池を提供する。 本実施形態に係る二次電池は、負極活物質を有する負極と、電解液と、を備える二次電池であって、前記負極活物質はケイ素を含み、前記電解液が、所定の式で表される環状酸無水物含有化合物を含むことを特徴とする。本実施形態の二次電池は、ケイ素を含有する負極活物質を用いた場合でも、高温環境下におけるサイクル特性に優れる。
Description
本発明に係る実施形態は、二次電池に関し、特にリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる等の利点により、ノート型パソコンや携帯電話などの電池としてすでに実用化されている。しかし、近年では電子機器の高機能化や電気自動車への利用が進み、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池の開発が求められている。また、従来の黒鉛系負極材料では求められる性能を満たすことが難しくなっているため、ケイ素やスズなどの金属系負極材料を負極活物質として応用する検討が行われている。
特許文献1には、ケイ素の酸化物またはケイ酸塩を二次電池の負極活物質に利用することが開示されている。
特許文献2には、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料粒子、リチウムと合金可能な金属粒子、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る酸化物粒子を含む活物質層を備えた二次電池用負極が開示されている。特許文献2に記載された二次電池用負極は、3種の成分の充放電電位の違いにより、リチウムを吸蔵、放出する際、負極に生じる体積変化を緩和させる効果を有する。
特許文献3には、ケイ素の微結晶がケイ素化合物に分散した構造を有する粒子の表面を炭素でコーティングした二次電池用負極材料が開示されている。特許文献3に記載された二次電池用負極材料も、負極に生じる体積変化を緩和させる効果を有する
特許文献4には、ケイ素の微結晶がケイ素化合物に分散した構造を有する粒子の表面を炭素でコーティングした二次電池用負極材料が開示されている。
また、特許文献4および特許文献5には、負極活物質がケイ素を含む場合に、負極用結着剤としてポリイミドを用いることが記載されている。
特許文献6には、非水電解液中に無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイン酸を添加することでサイクル特性が向上することが記載されている。
特許文献7には、グラファイト系負極用の添加剤として、炭素-炭素不飽和結合を有する環状酸無水物を利用することが開示されている。
特許文献8には、天然黒鉛負極用添加剤として、環状炭酸エステル及び酸無水物から選ばれる少なくとも1種の化合物と含硫黄有機化合物とを含有する電解液を用いることで、過充電時の安全性とサイクル特性が向上することが記載されている。
特許文献9には、ケイ素負極用の添加剤として、ハロゲン原子を有する環式炭酸エステルと、環式酸無水物とを含む電解液を利用することが開示されている。
特許文献10には、ケイ素負極用の添加剤として、トリフルオロメチル基が置換した炭素-炭素不飽和結合を有する環式酸無水物を利用することが開示されている。
上述のように、特許文献1~5ではケイ素を含有する負極活物質を用いた二次電池が開示されており、ケイ素を含有する負極は高エネルギー密度を有するという利点がある。しかしながら、ケイ素を含有する負極活物質を用いた二次電池を45℃以上で充放電させると、充放電サイクルに伴う容量低下が著しく大きくなる場合がある。特に、単体ケイ素やケイ素酸化物を負極活物質として用いた積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池においては、高温環境下で充放電させると二次電池が膨れる場合があり、サイクル特性の低下が問題となっていた。
特許文献6~10に示されるように、電解液中に添加物を含ませることにより、二次電池のサイクル特性を向上させる試みが行われている。しかしながら、ケイ素を含有する負極活物質を用いた二次電池において、さらなるサイクル特性の向上が望まれている。
そこでは、本実施形態は、ケイ素を含有する負極活物質を用いた二次電池において、高温環境下におけるサイクル特性に優れる二次電池を提供することを目的とする。
本実施形態は、
負極活物質を有する負極と、電解液と、を備える二次電池であって、
前記負極活物質はケイ素を含み、
前記電解液が、下記式(1)で表される環状酸無水物含有化合物を含むことを特徴とする二次電池である。
負極活物質を有する負極と、電解液と、を備える二次電池であって、
前記負極活物質はケイ素を含み、
前記電解液が、下記式(1)で表される環状酸無水物含有化合物を含むことを特徴とする二次電池である。
(式(1)において、M1は炭素数4~20の置換又は無置換の有機基を表す。)。
本実施形態によれば、ケイ素を含有する負極活物質を用いた二次電池であって、高温環境下における膨れや容量維持率のサイクル特性に優れる二次電池を提供できる。
以下、本実施形態について、詳細に説明する。
[1]負極
負極は、例えば、負極活物質が負極用結着剤によって負極集電体に結着されてなる。
負極は、例えば、負極活物質が負極用結着剤によって負極集電体に結着されてなる。
本実施形態における負極活物質はケイ素を含む。ケイ素を含む負極活物質としては、例えば、シリコンやシリコン化合物等が挙げられる。シリコンとしては、例えば、単体ケイ素が挙げられる。シリコン化合物としては、例えば、シリコン酸化物、ケイ酸塩、ニッケルシリサイドやコバルトシリサイドなどの遷移金属とケイ素との化合物等などが挙げられる。シリコン化合物には、負極活物質自体の繰り返し充放電に対する膨脹収縮を緩和する役目があり、充放電サイクル特性の観点から好ましく用いられる。さらにシリコン化合物の種類によってはシリコン間の導通を確保する役目もあり、このような観点から、シリコン化合物としてシリコン酸化物が好ましく用いられる。
シリコン酸化物は、特に限定されるものではないが、例えば、SiOx(0<x<2)で表すことができる。シリコン酸化物は、Liを含んでもよく、Liを含むシリコン酸化物は、例えばSiLiyOz(y>0、2>z>0)で表すことができる。また、シリコン酸化物は微量の金属元素や非金属元素を含んでも良い。xの範囲は、0.5≦x≦1.5が好ましい。xが0.5以上の場合、シリコン相(又はSi粒子)の量が過剰になるのを防ぎ、体積変化を抑制し易くなる。また、xが1.5以下の場合、シリコン相(Si粒子)の量が増加し、充放電容量を大きくし易くなる。シリコン酸化物は、酸化シリコン相中にシリコン相(Si粒子)が存在する構成を有することが好ましい。シリコン相を有することにより充放電容量が大きくなり、シリコン相の周りに酸化シリコン相が存在することにより体積変化が抑制される。シリコン酸化物中のSi粒子の含有量は、35~65%が好ましい。シリコン酸化物は、例えば、窒素、ホウ素およびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1~5質量%含有することができる。微量の金属元素や非金属元素を含有することで、シリコン酸化物の電気伝導性を向上させることができる。また、シリコン酸化物は結晶であってもよく、非晶質であってもよい。
また、負極活物質は、シリコン又はシリコン酸化物に加えて、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料を含むことが好ましい。炭素材料は、シリコンやシリコン酸化物と複合化させた状態で含有させることもできる。炭素材料は、シリコン酸化物と同様に、負極活物質自体の繰り返し充放電に対する膨脹収縮を緩和し、負極活物質であるシリコン間の導通を確保する役目がある。したがって、シリコン、シリコン酸化物、及び炭素材料が共存することにより、より良好なサイクル特性が得られる。
炭素材料としては、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物を用いることができる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる正極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。負極活物質中の炭素材料の含有率は、2質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
シリコンとシリコン化合物とを含有する負極活物質の作製方法としては、シリコン化合物としてシリコン酸化物を用いる場合には、例えば、単体ケイ素とシリコン酸化物を混合し、高温減圧下にて焼結させる方法が挙げられる。また、シリコン化合物として遷移金属とケイ素との化合物を用いる場合には、例えば、単体ケイ素と遷移金属を混合、溶融させる方法や、単体ケイ素の表面に遷移金属を蒸着等により被覆する方法が挙げられる。
上記で述べた作製方法に加えて、炭素との複合化を組み合わせることもできる。例えば、高温非酸素雰囲気下で有機化合物の気体雰囲気中に単体ケイ素とシリコン化合物の混合焼結物を導入する方法や、高温非酸素雰囲気下で単体ケイ素とシリコン酸化物の混合焼結物と炭素の前駆体樹脂を混合する方法により、単体ケイ素とシリコン酸化物の核の周囲に炭素からなる被覆層を形成することができる。これにより充放電に対する体積膨張の抑制及びサイクル特性のさらなる改善効果が得られる。
本実施形態における負極活物質は、シリコン、シリコン酸化物及び炭素材料を含む複合体(以下、Si/SiO/C複合体とも称す)からなることが好ましい。さらに、シリコン酸化物は、その全部または一部がアモルファス構造を有することが好ましい。アモルファス構造のシリコン酸化物は、他の負極活物質である炭素材料やシリコンの体積膨張を抑制することができる。このメカニズムは明確ではないが、シリコン酸化物がアモルファス構造であることにより、炭素材料と電解液の界面への皮膜形成に何らかの影響があるものと推定される。また、アモルファス構造は、結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する要素が比較的少ないと考えられる。なお、シリコン酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有することは、エックス線回折測定(一般的なXRD測定)にて確認することができる。具体的には、シリコン酸化物がアモルファス構造を有しない場合には、シリコン酸化物に固有のピークが観測されるが、シリコン酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有する場合が、シリコン酸化物に固有のピークがブロードとなって観測される。
Si/SiO/C複合体において、シリコンは、その全部または一部がシリコン酸化物中に分散していることが好ましい。シリコンの少なくとも一部をシリコン酸化物中に分散させることで、負極全体としての体積膨張をより抑制することができ、電解液の分解も抑制することができる。なお、シリコンの全部または一部がシリコン酸化物中に分散していることは、透過型電子顕微鏡観察(一般的なTEM観察)とエネルギー分散型X線分光法測定(一般的なEDX測定)を併用することで確認することができる。具体的には、サンプルの断面を観察し、シリコン酸化物中に分散しているシリコン部分の酸素濃度を測定し、酸化物となっていないことを確認することができる。
Si/SiO/C複合体において、例えば、シリコン酸化物の全部または一部がアモルファス構造であり、シリコンはその全部または一部がシリコン酸化物中に分散している。このようなSi/SiO/C複合体は、例えば、特許文献3(特開2004-47404号公報)で開示されているような方法で作製することができる。すなわち、Si/SiO/C複合体は、例えば、シリコン酸化物をメタンガスなどの有機物ガスを含む雰囲気下でCVD処理を行うことで得ることができる。このような方法で得られるSi/SiO/C複合体は、シリコンを含むシリコン酸化物からなる粒子の表面がカーボンで被覆された形態となる。また、シリコンはシリコン酸化物中にナノクラスター化している。
Si/SiO/C複合体において、シリコン、シリコン酸化物および炭素材料の割合は、特に制限されるものではない。シリコンは、Si/SiO/C複合体に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。シリコン酸化物は、Si/SiO/C複合体に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上70質量%以下とすることが好ましい。炭素材料は、Si/SiO/C複合体に対し、2質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以上30質量%以下である。
また、Si/SiO/C複合体は、単体ケイ素、シリコン酸化物及び炭素材料の混合物からなることができ、単体ケイ素とシリコン酸化物と炭素材料とをメカニカルミリングで混合することでも作製することができる。例えば、Si/SiO/C複合体は、それぞれの単体ケイ素、シリコン酸化物および炭素材料が粒子状のものを混合して得ることができる。例えば、単体ケイ素の平均粒子径は、炭素材料の平均粒子径およびシリコン酸化物の平均粒子径よりも小さい構成とすることができる。このようにすれば、充放電時に伴う体積変化の小さい単体ケイ素が相対的に小粒径となり、体積変化の大きい炭素材料やシリコン酸化物が相対的に大粒径となるため、デンドライト生成および合金の微粉化がより効果的に抑制される。また、充放電の過程で大粒径の粒子、小粒径の粒子、大粒径の粒子の順にリチウムが吸蔵、放出されることとなり、この点からも、残留応力、残留歪みの発生が抑制される。単体ケイ素の平均粒子径は、例えば20μm以下とすることができ、15μm以下とすることが好ましい。また、シリコン酸化物の平均粒子径が炭素材料の平均粒子径の1/2以下であることが好ましく、単体ケイ素の平均粒子径がシリコン酸化物の平均粒子径の1/2以下であることが好ましい。さらに、シリコン酸化物の平均粒子径が炭素材料の平均粒子径の1/2以下であり、かつ単体ケイ素の平均粒子径がシリコン酸化物の平均粒子径の1/2以下であることがより好ましい。平均粒子径をこのような範囲に制御すれば、体積膨脹の緩和効果がより有効に得ることができ、エネルギー密度、サイクル寿命と効率のバランスに優れた二次電池を得ることができる。より具体的には、シリコン酸化物の平均粒子径を黒鉛の平均粒子径の1/2以下とし、単体ケイ素の平均粒子径をシリコン酸化物の平均粒子径の1/2以下とすることが好ましい。またより具体的には、単体ケイ素の平均粒子径は、例えば20μm以下とすることができ、15μm以下とすることが好ましい。
また、負極活物質として、上述のSi/SiO/C複合体の表面をシランカップリング剤によって処理したものを用いてもよい。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。これらの中でも、結着性が強いことから、ポリイミドまたはポリアミドイミドが好ましい。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、5~25質量部が好ましい。
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、およびそれらの合金が好ましく用いられる。集電体の形状としては、例えば、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。
負極は、例えば、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
[2]電解液
本実施形態における電解液は、下記式(1)で示される環状酸無水物含有化合物を有する。本実施形態における環状酸無水物含有化合物はその構造中に環状酸無水物を2つ含む。環状酸無水物含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。電解液は、下記式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種の環状酸無水物含有化合物を含む。
(式(1)において、M1は、炭素数4~20の置換又は無置換の有機基を表す。)。
本実施形態に係る環状酸無水物含有化合物における置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基として、より具体的には、例えば、炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基)、炭素数3~6のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、炭素数2~6のアルケニル基(例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基)、炭素数2~6のアルキニル基(例えば、アセチレニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基)、炭素数1~6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基)、アミノ基(ジメチルアミノ基、メチルアミノ基を含む)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、並びにハロゲン原子(例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子)等が挙げられる。
本実施形態における環状酸無水物含有化合物は、下記式(2)で示されることが好ましい。
(式(2)において、(I)M2及びM3は、5員環若しくは6員環の環状酸無水物の一部を構成する、炭素数2若しくは3の置換若しくは無置換の飽和炭化水素鎖を表し、M2のいずれか1つの炭素原子とM3のいずれか1つの炭素原子はX1を介して繋がり、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。あるいは、(II)M2及びM3は、その一部が酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を構成する、炭素数6の置換若しくは無置換の芳香族環を表し、M2のいずれか1つの炭素原子とM3のいずれか1つの炭素原子はX1を介して繋がり、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。)。
式(2)において、M2及びM3における置換基としては、例えば、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
式(2)において、X1における飽和若しくは不飽和炭化水素鎖の炭素数は、例えば、1~10であり、1~8であることが好ましく、1~6であることがより好ましく、1~4であることがさらに好ましい。飽和若しくは不飽和炭化水素鎖としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基等が挙げられる。飽和若しくは不飽和炭化水素鎖の置換基としては、アルキル基、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン原子、オキソ基が好ましい。ハロゲン含有アルキル基としては、フッ素含有アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。アルキル基又はハロゲン含有アルキル基の炭素数は、例えば1~4であり、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
また、本実施形態における環状酸無水物含有化合物は、下記式(3)で示されることがより好ましい。
(式(3)において、X1は上述と同義であり、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。)。
また、本実施形態における環状酸無水物含有化合物は、下記式(4)で示されることがより好ましい。
(式(4)において、X1は上述と同義であり、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。)。
また、式(1)において、M1は、炭素数4~20の置換若しくは無置換の芳香族環、脂肪族環又は複素環を表し、M1の一部が2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成することが好ましい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン含有アルキル基が好ましい。ハロゲン含有アルキル基としては、フッ素含有アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。アルキル基又はハロゲン含有アルキル基の炭素数は、例えば1~4であり、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
本実施形態における環状酸無水物含有化合物は、下記式(5)で示されることがより好ましい。
(式(5)において、Y,Zは、それぞれ独立に、単結合、オキシ基、チオエーテル基、置換又は無置換のメチレン基を表す。R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子若しくはアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4が連結して環構造を形成していてもよい。)。
式(5)において、メチレン基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、又は炭素数1~4のハロゲン含有アルキル基が好ましい。アルキル基、アルケニル基又はハロゲン含有アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子や塩素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。ハロゲン含有アルキル基としては、フッ素含有アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
式(5)において、R1,R2,R3、及びR4におけるアルキル基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。
式(5)において、環構造としては、例えば脂肪族環が挙げられ、シクロヘキサン構造を形成することが好ましい。
本実施形態における環状酸無水物含有化合物は、下記式(6)で示されることがさらに好ましい。
(式(6)において、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、又はハロゲン含有アルキル基である。R5及びR6が連結し、環構造を形成してもよい)。
式(6)において、R5及びR6におけるアルキル基、アルケニル基又はハロゲン含有アルキル基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。ハロゲン含有アルキル基としては、フッ素含有アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
環構造は、二重結合を含んでいてもよい。
本実施形態における環状酸無水物含有化合物は、下記式(7)で示されることがより好ましい。
(式(7)において、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基又はハロゲン含有アルキル基である。R7及びR8が連結し、環構造を形成してもよい。)。
式(7)において、R7及びR8におけるアルキル基、アルケニル基又はハロゲン含有アルキル基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。ハロゲン含有アルキル基としては、フッ素含有アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
また、式(1)において、M1は、炭素数6~20の置換若しくは無置換の多環芳香族炭化水素基を表し、その一部が2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成することが好ましい。
また、式(1)において、複素芳香族環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
本実施形態における環状酸無水物含有化合物の例として、次の化合物が挙げられる。
前記環状酸無水物の電解液中の含有量は、例えば、0.01~10質量%であり、0.1~4質量%であることが好ましい。
本実施形態で用いる電解液は、電池の動作電位において安定な非水電解溶媒を含む。非水電解溶媒の具体例としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;などの非プロトン性有機溶媒が挙げられる。非水電解溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類が好ましい。非水電解溶媒は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
電解液は、さらに、フッ素化エーテル化合物を含むことが好ましい。フッ素化エーテル化合物はSiと親和性が高く、電解液中に添加することにより、二次電池のサイクル特性(特に容量維持率)が向上する。フッ素化エーテル化合物は、非フッ素化鎖状エーテル化合物の水素の一部をフッ素で置換した構造を有するフッ素化鎖状エーテル化合物でも、非フッ素化環状エーテル化合物の水素の一部をフッ素で置換した構造を有するフッ素化環状エーテル化合物でもよい。
非フッ素化鎖状エーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルペンチルエーテル、エチルペンチルエーテル、プロピルペンチルエーテル、ブチルペンチルエーテル、ジペンチルエーテル等の非フッ素化鎖状モノエーテル化合物;1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、1,2-ジプロポキシエタン、プロポキシエトキシエタン、プロポキシメトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、ブトキシプロポキシエタン、ブトキシエトキシエタン、ブトキシメトキシエタン、1,2-ジペントキシエタン、ペントキシブトキシエタン、ペントキシプロポキシエタン、ペントキシエトキシエタン、ペントキシメトキシエタン等の非フッ素化鎖状ジエーテル化合物が挙げられる。
非フッ素化環状エーテル化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、3-メチルテトラヒドロピラン、4-メチルテトラヒドロピラン等の非フッ素化環状モノエーテル化合物;1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、2-メチル-1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、2-メチル-1,3-ジオキサン、4-メチル-1,3-ジオキサン、5-メチル-1,3-ジオキサン、2,4-ジメチル-1,3-ジオキサン、4-エチル-1,3-ジオキサン等の非フッ素化環状ジエーテル化合物が挙げられる。
フッ素化鎖状エーテル化合物は、下記式(8)で表されることが好ましい。
式(8)において、Ra及びRbは、それぞれ独立に、アルキル基又はフッ素置換アルキル基を示し、Ra及びRbの少なくとも一つはフッ素置換アルキル基である。
Ra及びRbにおいて、アルキル基の炭素数は、1~12であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~6であることがさらに好ましく、1~4であることが特に好ましい。また、式(8)において、アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のものを含むが、直鎖状であることが好ましい。
Ra及びRbの少なくとも一つはフッ素置換アルキル基である。フッ素置換アルキル基とは、無置換アルキル基のうちの少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された構造を有する置換アルキル基を表す。また、フッ素置換アルキル基は直鎖状であることが好ましい。また、Ra及びRbは、それぞれ独立に、炭素数1~6のフッ素置換アルキル基であることが好ましく、炭素数1~4のフッ素置換アルキル基であることがより好ましい。
フッ素化鎖状エーテル化合物は、安定性の観点から、下記式(9)で表されることがより好ましい。
H-(CX1X2-CX3X4)n-CH2O-CX5X6-CX7X8-H (9)
[式(9)中、nは1、2、3または4であり、X1~X8はそれぞれ独立にフッ素原子または水素原子である。ただし、X1~X4の少なくとも1つはフッ素原子であり、X5~X8の少なくとも1つはフッ素原子である。]。
式(9)において、X1~X4は、n毎にそれぞれ独立していてもよい。
式(9)において、水素原子に対するフッ素原子の原子比が1以上であることが好ましい。つまり、(フッ素原子の総数)/(水素原子の総数)≧1であることが好ましい。
また、フッ素化鎖状エーテル化合物は、安定性の観点から、下記式(10)で表されることがさらに好ましい。
H-(CF2-CF2)n-CH2O-CF2-CF2-H (10)
[式(10)中、nは1または2である。]。
鎖状フッ素化エーテル化合物としては、例えば、CF3OCH3、CF3OC2H6、F(CF2)2OCH3、F(CF2)2OC2H5、F(CF2)3OCH3、F(CF2)3OC2H5、F(CF2)4OCH3、F(CF2)4OC2H5、F(CF2)5OCH3、F(CF2)5OC2H5、F(CF2)8OCH3、F(CF2)8OC2H5、F(CF2)9OCH3、CF3CH2OCH3、CF3CH2OCHF2、CF3CF2CH2OCH3、CF3CF2CH2OCHF2、CF3CF2CH2O(CF2)2H,CF3CF2CH2O(CF2)2F、HCF2CH2OCH3,H(CF2)2OCH2CH3、H(CF2)2OCH2CF3,H(CF2)2CH2OCHF2、H(CF2)2CH2O(CF2)2H、H(CF2)2CH2O(CF2)3H、H(CF2)3CH2O(CF2)2H、(CF3)2CHOCH3、(CF3)2CHCF2OCH3、CF3CHFCF2OCH3、CF3CHFCF2OCH2CH3、CF3CHFCF2CH2OCHF2などが挙げられる。
鎖状フッ素化エーテル化合物は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。例えば、電解液は、式(8)で表される化合物から選択される少なくとも1種のフッ素化鎖状エーテル化合物を含むことができる。
フッ素化鎖状エーテル化合物の電解液中の含有量は、例えば、1~70質量%である。また、フッ素化鎖状エーテル化合物の電解液中の含有量は、2~60質量%であることが好ましく、3~55質量%であることがより好ましく、4~50質量%であることがさらに好ましい。フッ素化鎖状エーテル化合物の含有量が50質量%以下の場合、支持塩におけるLiイオンの解離が起こりやすくなり、電解液の導伝性が改善される。また、フッ素化鎖状エーテル化合物の含有量が1質量%以上の場合、電解液の負極上での還元分解を抑制し易くなると考えられる。さらに、フッ素化鎖状エーテル化合物の電解液中の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。
電解液中に含まれる支持塩の具体例としては、特にこれらに制限されるものではないが、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、LiClO4、LiBF4、LiSbF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
[3]正極
正極は、例えば、正極活物質が正極用結着剤によって正極集電体に結着されてなる。
正極は、例えば、正極活物質が正極用結着剤によって正極集電体に結着されてなる。
正極活物質としては、特に制限されるものではないが、LiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)等の層状構造を持つマンガン酸リチウムまたはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO2、LiNiO2またはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2などの特定の遷移金属が半数を超えないリチウム遷移金属酸化物;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの等が挙げられる。特に、LiαNiβCoγAlδO2(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)またはLiαNiβCoγMnδO2(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6、γ≦0.2)が好ましい。正極活物質は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものと用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2~10質量部が好ましい。
正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
[4]セパレータ
セパレータとしては、特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等の多孔質フィルムや不織布を用いることができる。また、セパレータとしては、それらを積層したものを用いることもできる。
セパレータとしては、特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等の多孔質フィルムや不織布を用いることができる。また、セパレータとしては、それらを積層したものを用いることもできる。
[5]外装体
外装体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ラミネートフィルムを用いることができる。ラミネートフィルムとしては、電解液に安定でかつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。ラミネートフィルムとしては、例えば、外装体として、アルミニウム、シリカ、アルミナをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムが好ましい。
外装体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ラミネートフィルムを用いることができる。ラミネートフィルムとしては、電解液に安定でかつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。ラミネートフィルムとしては、例えば、外装体として、アルミニウム、シリカ、アルミナをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムが好ましい。
外装体としてラミネートフィルムを用いた二次電池の場合、外装体として金属缶を用いた二次電池に比べて、ガスが発生すると電極素子の歪みが非常に大きくなる。これは、ラミネートフィルムが金属缶に比べて二次電池の内圧により変形しやすいためである。さらに、外装体としてラミネートフィルムを用いた二次電池を封止する際には、通常、電池内圧を大気圧より低くするため、内部に余分な空間がなく、ガスが発生した場合にそれが直ちに電池の体積変化や電極素子の変形につながる場合がある。
本実施形態に係る二次電池では、上記問題を克服することができる。それにより、安価かつ積層数の変更によるセル容量の設計の自由度に優れた、積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ラミネートフィルムの代表的な層構成としては、金属薄膜層と熱融着性樹脂層とが積層された構成が挙げられる。また、ラミネートフィルムの代表的な層構成としては、その他にも、金属薄膜層の熱融着樹脂層と反対側の面に、さらにポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルやナイロン等のフィルムからなる保護層が積層された構成が挙げられる。電池要素を封止する場合、熱融着性樹脂層を対向させて電池要素が包囲される。金属薄膜層としては、例えば、厚さ10~100μmの、Al、Ti、Ti合金、Fe、ステンレス、Mg合金などの箔が用いられる。熱融着性樹脂層に用いられる樹脂は、熱融着が可能な樹脂であれば特に制限はない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらの酸変成物、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体やエチレン-アクリル酸共重合体を金属イオンで分子間結合させたアイオノマー樹脂などが、熱融着性樹脂層として用いられる。熱融着性樹脂層の厚さは10~200μmが好ましく、より好ましくは30~100μmである。
[6]電池構成
本実施形態に係る二次電池の構成は、特に制限されるものではないが、例えば、正極および負極が対向配置された電極素子と、電解液と、が外装体に内包されている積層ラミネート型とすることができる。
本実施形態に係る二次電池の構成は、特に制限されるものではないが、例えば、正極および負極が対向配置された電極素子と、電解液と、が外装体に内包されている積層ラミネート型とすることができる。
図1は、積層ラミネート型の二次電池が有する電極素子の構造を示す模式的断面図である。この電極素子は、平面構造を有する正極cの複数および負極aの複数が、セパレータbを挟みつつ交互に積み重ねられて形成されている。各正極cが有する正極集電体eは、正極活物質に覆われていない端部で互いに溶接されて電気的に接続され、さらにその溶接箇所に正極端子fが溶接されている。各負極aが有する負極集電体dは、負極活物質に覆われていない端部で互いに溶接されて電気的に接続され、さらにその溶接箇所に負極端子gが溶接されている。
このような平面的な積層構造を有する電極素子は、Rの小さい部分(捲回構造の巻き芯に近い領域)がないため、捲回構造を持つ電極素子に比べて、充放電に伴う電極の体積変化に対する悪影響を受けにくいという利点がある。しかし、平面的な積層構造を持つ電極素子には、電極間にガスが発生した際に、その発生したガスが電極間に滞留しやすい傾向がある。この傾向は、外装体がアルミラミネートフィルムであった場合、特に顕著となる。一方、本実施形態では、上記の問題を解決することができ、高エネルギー型の負極を用いた積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池においても、長寿命駆動が可能となる。
(実施例)
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明する。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
シリコンとしての平均粒径5μmの単体ケイ素と炭素材料としての平均粒径30μmの黒鉛とを、90:10の質量比で計量し、それらをいわゆるメカニカルミリングで24時間混合して、負極活物質を得た。この負極活物質(平均粒径D50=5μm)と、負極用結着剤としてのポリイミド(PI、宇部興産株式会社製、商品名:UワニスA)とを、85:15の質量比で計量し、それらをn-メチルピロリドンと混合して、負極スラリーを得た。そして、負極スラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布した後に乾燥し、さらに窒素雰囲気300℃の熱処理を行うことで、負極を作製した。
シリコンとしての平均粒径5μmの単体ケイ素と炭素材料としての平均粒径30μmの黒鉛とを、90:10の質量比で計量し、それらをいわゆるメカニカルミリングで24時間混合して、負極活物質を得た。この負極活物質(平均粒径D50=5μm)と、負極用結着剤としてのポリイミド(PI、宇部興産株式会社製、商品名:UワニスA)とを、85:15の質量比で計量し、それらをn-メチルピロリドンと混合して、負極スラリーを得た。そして、負極スラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布した後に乾燥し、さらに窒素雰囲気300℃の熱処理を行うことで、負極を作製した。
正極活物質としてのLiNi0.80Co0.15Al0.15O2と、導電補助材としてのカーボンブラックと、正極用結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、90:5:5の質量比で計量し、それらをn-メチルピロリドンと混合して、正極スラリーとした。そして、正極スラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布した後に乾燥し、さらにプレスすることで、正極を作製した。
得られた正極の3層と負極の4層を、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質フィルムを挟みつつ交互に重ねた。正極活物質に覆われていない正極集電体および負極活物質に覆われていない負極集電体の端部をそれぞれ溶接し、さらにその溶接箇所に、アルミニウム製の正極端子およびニッケル製の負極端子をそれぞれ溶接して、平面的な積層構造を有する電極素子を得た。
一方、EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液に、さらに上記式(101)で表される環状酸無水物含有化合物を2質量%となるように混合し、電解液を得た。
上記電極素子を外装体としてのアルミニウムラミネートフィルムで包み、内部に上記電解液を注液した後、0.1気圧まで減圧しつつ封止することで、二次電池を作製した。
(実施例2~9)
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例10)
負極用結着剤としてのポリイミドの代わりにポリアミドイミド(PAI、東洋紡績株式会社製、商品名:パイロマックス(登録商標))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
負極用結着剤としてのポリイミドの代わりにポリアミドイミド(PAI、東洋紡績株式会社製、商品名:パイロマックス(登録商標))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例11~18)
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
(実施例19)
シリコンとしての平均粒径5μmの単体ケイ素と、シリコン化合物としての平均粒径13μmの非晶質酸化シリコン(SiOx、0<x≦2)と、炭素材料としての平均粒径30μmの黒鉛とを、29:61:10の質量比で計量し、それらをいわゆるメカニカルミリングで24時間混合して、Si/SiO/C複合体からなる負極活物質を得た。なお、この負極活物質において、単体ケイ素は、酸化シリコン(SiOx、0<x≦2)中に分散していた。
シリコンとしての平均粒径5μmの単体ケイ素と、シリコン化合物としての平均粒径13μmの非晶質酸化シリコン(SiOx、0<x≦2)と、炭素材料としての平均粒径30μmの黒鉛とを、29:61:10の質量比で計量し、それらをいわゆるメカニカルミリングで24時間混合して、Si/SiO/C複合体からなる負極活物質を得た。なお、この負極活物質において、単体ケイ素は、酸化シリコン(SiOx、0<x≦2)中に分散していた。
そして、このSi/SiO/C複合体からなる負極活物質(平均粒径D50=5μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例20~27)
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
(実施例28)
負極用結着剤としてのポリイミドの代わりにポリアミドイミド(PAI、東洋紡績株式会社製、商品名:パイロマックス(登録商標))を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
負極用結着剤としてのポリイミドの代わりにポリアミドイミド(PAI、東洋紡績株式会社製、商品名:パイロマックス(登録商標))を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
(実施例29~36)
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
環状酸無水物含有化合物としてそれぞれ上記式(102)~(109)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
(実施例37~72)
EC/PC/DMC/EMC/DEC/フッ素化エーテル化合物=10/10/10/10/10/50(体積比)からなる溶媒を前記カーボネート系非水電解溶媒として用いたこと以外は、それぞれ実施例1~36と同様にして二次電池を作製した。フッ素化エーテル化合物としては、H-CF2CF2-CH2O-CF2CF2-Hを用いた。
EC/PC/DMC/EMC/DEC/フッ素化エーテル化合物=10/10/10/10/10/50(体積比)からなる溶媒を前記カーボネート系非水電解溶媒として用いたこと以外は、それぞれ実施例1~36と同様にして二次電池を作製した。フッ素化エーテル化合物としては、H-CF2CF2-CH2O-CF2CF2-Hを用いた。
(比較例1)
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(比較例2)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(比較例3)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(比較例4)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(比較例5)
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
(比較例6)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
(比較例7)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
(比較例8)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製した。
(比較例9)
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
(比較例10)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
(比較例11)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
(比較例12)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例19と同様にして二次電池を作製した。
(比較例13)
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
EC/DEC=30/70(体積比)からなるカーボネート系非水電解溶媒に支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた液を電解液として用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
(比較例14)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水コハク酸を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
(比較例15)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水フタル酸を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
(比較例16)
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
上記式(101)の環状酸無水物含有化合物の代わりに無水安息香酸を用いたこと以外は、実施例28と同様にして二次電池を作製した。
<評価>
実施例1~72および比較例1~16で作製した二次電池について、高温環境下におけるサイクル特性を評価した。
実施例1~72および比較例1~16で作製した二次電池について、高温環境下におけるサイクル特性を評価した。
具体的には、二次電池に対し、60℃に保った恒温槽中で2.5Vから4.1Vの電圧範囲で50回充放電を繰り返す試験を行った。そして、(50サイクル目の放電容量)/(5サイクル目の放電容量)(単位:%)を維持率として算出した。また、(50サイクル目の電池体積)/(サイクル前の電池体積)(単位:%)を膨れ率として算出した。その結果を表1~3に示す。電池の体積は、サンプルの空気中重量と水中重量を測定することにより測定した(アルキメデス法)。
なお、維持率については、75%以上で「◎」、50%以上75%未満で「○」、25%以上50%未満で「△」、25%未満で「×」と判定した。膨れ率については、5%未満で「◎」、5%以上10%未満で「○」、10%以上20%未満で「△」、20%以上で「×」と判定した。
(付記1)
負極活物質を有する負極と、電解液と、を備える二次電池であって、
前記負極活物質はケイ素を含み、
前記電解液が、下記式(1)で表される環状酸無水物含有化合物を含むことを特徴とする二次電池;
負極活物質を有する負極と、電解液と、を備える二次電池であって、
前記負極活物質はケイ素を含み、
前記電解液が、下記式(1)で表される環状酸無水物含有化合物を含むことを特徴とする二次電池;
(式(1)において、M1は炭素数4~20の置換又は無置換の有機基を表す。)。
(付記2)
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(2)で表される化合物である付記1に記載の二次電池;
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(2)で表される化合物である付記1に記載の二次電池;
(式(2)において、(I)M2及びM3は、5員環若しくは6員環の環状酸無水物の一部を構成する、炭素数2若しくは3の置換若しくは無置換の飽和炭化水素鎖を表し、M2のいずれか1つの炭素原子とM3のいずれか1つの炭素原子はX1を介して繋がり、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。あるいは、(II)M2及びM3は、その一部が酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を構成する、炭素数6の置換若しくは無置換の芳香族環を表し、M2のいずれか1つの炭素原子とM3のいずれか1つの炭素原子はX1を介して繋がり、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。)。
(付記3)
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(3)又は(4)で表される化合物である付記1又は2に記載の二次電池;
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(3)又は(4)で表される化合物である付記1又は2に記載の二次電池;
(式(3)において、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。)、
(式(4)において、X1は、単結合、置換若しくは無置換の飽和若しくは不飽和炭化水素鎖、カルボニル基、又はスルホニル基を表す。)。
(付記4)
前記式(1)において、M1は、炭素数4~20である、置換若しくは無置換の芳香族環、脂肪族環又は複素環を表し、M1の一部が式(1)中の2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成する付記1に記載の二次電池。
前記式(1)において、M1は、炭素数4~20である、置換若しくは無置換の芳香族環、脂肪族環又は複素環を表し、M1の一部が式(1)中の2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成する付記1に記載の二次電池。
(付記5)
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(5)で表される化合物である付記1又は4に記載の二次電池;
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(5)で表される化合物である付記1又は4に記載の二次電池;
(式(5)において、Y,Zは、それぞれ独立に、単結合、オキシ基、チオエーテル基、置換又は無置換のメチレン基を表す。R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、若しくはアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4が連結して環構造を形成していてもよい。)。
(付記6)
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(6)で表される化合物である付記1、4及び5のいずれかに記載の二次電池;
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(6)で表される化合物である付記1、4及び5のいずれかに記載の二次電池;
(式(6)において、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、又はハロゲン含有アルキル基である。R5及びR6が連結し、環構造を形成してもよい)。
(付記7)
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(7)で表される化合物である付記1又は4に記載の二次電池;
前記環状酸無水物含有化合物が下記式(7)で表される化合物である付記1又は4に記載の二次電池;
(式(7)において、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基又はハロゲン含有アルキル基である。R7及びR8が連結し、環構造を形成してもよい。)。
(付記8)
前記式(1)において、M1は、炭素数6~20の置換若しくは無置換の多環芳香族炭化水素基を表し、その一部が式(1)中の2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成する付記1に記載の二次電池。
前記式(1)において、M1は、炭素数6~20の置換若しくは無置換の多環芳香族炭化水素基を表し、その一部が式(1)中の2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成する付記1に記載の二次電池。
(付記9)
前記環状酸無水物含有化合物の電解液中の含有量が0.1~4質量%である付記1乃至8のいずれかに記載の二次電池。
前記環状酸無水物含有化合物の電解液中の含有量が0.1~4質量%である付記1乃至8のいずれかに記載の二次電池。
(付記10)
前記負極活物質が、シリコン、シリコン酸化物及び炭素材料を含むSi/SiO/C複合体である付記1乃至9のいずれかに記載の二次電池。
前記負極活物質が、シリコン、シリコン酸化物及び炭素材料を含むSi/SiO/C複合体である付記1乃至9のいずれかに記載の二次電池。
(付記11)
前記負極は、前記負極活物質が負極用結着剤を用いて負極集電体に結着されてなり、
前記負極用結着剤がポリイミドまたはポリアミドイミドである付記1乃至10のいずれかに記載の二次電池。
前記負極は、前記負極活物質が負極用結着剤を用いて負極集電体に結着されてなり、
前記負極用結着剤がポリイミドまたはポリアミドイミドである付記1乃至10のいずれかに記載の二次電池。
(付記12)
少なくとも前記負極と前記電解液とを内包する外装体を備え、
前記外装体がラミネートフィルムである付記1乃至11のいずれかに記載の二次電池。
少なくとも前記負極と前記電解液とを内包する外装体を備え、
前記外装体がラミネートフィルムである付記1乃至11のいずれかに記載の二次電池。
(付記13)
前記負極と正極がセパレータを介して積層配置された電極素子を有する積層ラミネート型である付記12に記載の二次電池。
前記負極と正極がセパレータを介して積層配置された電極素子を有する積層ラミネート型である付記12に記載の二次電池。
(付記14)
前記電解液は、さらに下記式(8)で表されるフッ素化鎖状エーテル化合物を含む付記1乃至13のいずれかに記載の二次電池。
前記電解液は、さらに下記式(8)で表されるフッ素化鎖状エーテル化合物を含む付記1乃至13のいずれかに記載の二次電池。
式(8)において、Ra及びRbは、それぞれ独立に、アルキル基又はフッ素置換アルキル基を示し、Ra及びRbの少なくとも一つはフッ素置換アルキル基である。
(付記15)
前記フッ素化鎖状エーテル化合物の前記電解液中の含有量は、1~70質量%である付記16に記載の二次電池。
前記フッ素化鎖状エーテル化合物の前記電解液中の含有量は、1~70質量%である付記16に記載の二次電池。
本実施形態は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両を含む、電車や衛星や潜水艦などの移動・輸送用媒体の電源;UPSなどのバックアップ電源;太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備;などに、利用することができる。
この出願は、2011年9月12日に出願された日本出願特願2011-198619を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
a 負極
b セパレータ
c 正極
d 負極集電体
e 正極集電体
f 正極端子
g 負極端子
b セパレータ
c 正極
d 負極集電体
e 正極集電体
f 正極端子
g 負極端子
Claims (10)
- 前記環状酸無水物含有化合物が下記式(2)で表される化合物である請求項1に記載の二次電池;
- 前記式(1)において、M1は、炭素数4~20である、置換若しくは無置換の芳香族環、脂肪族環又は複素環を表し、M1の一部が式(1)中の2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成する請求項1に記載の二次電池。
- 前記式(1)において、M1は、炭素数6~20の置換若しくは無置換の多環芳香族炭化水素基を表し、その一部が式(1)中の2つの酸無水物構造とともに5員環若しくは6員環の環状酸無水物を2つ構成する請求項1に記載の二次電池。
- 前記環状酸無水物含有化合物の電解液中の含有量が0.1~4質量%である請求項1乃至8のいずれかに記載の二次電池。
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