JP5790135B2 - 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池はエネルギー密度が高く、しかも自己放電を起こしにくいという利点がある。そこで近年、携帯電話やノートパソコン、PDA等の民生用モバイル機器用の電源その他に広く利用されている。
通常のリチウム二次電池用の電解液は、支持電解質であるリチウム塩と非水系有機溶媒を主成分とする。用いられる非水系有機溶媒は、リチウム塩を解離させるために高い誘電率を有すること、広い温度領域で高いイオン伝導度を発現させること、及び、電池中で安定であること等が要求される。これらの要求を一つの溶媒で達成するのは困難であるので、通常は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等に代表される高沸点溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点溶媒とを組み合わせて、非水溶媒として使用している。
また、リチウム二次電池は、初期容量、レート特性、サイクル特性、高温保存特性、低温特性、サイクル特性、自己放電特性、過充電防止特性等の様々な特性が必要とされ、これらの特性を改良するために種々の助剤を電解液に少量含有させる方法がこれまで数多く報告されてきた。例えば助剤として炭素−炭素三重結合を有した特定の化合物を含有させることが提案されている。
特許文献1では、2−プロピニルメチルカーボネートなどの特定のアルキン類を添加した電解液を用いることでサイクル特性が改善されることが開示されている。また特許文献2では、ジプロパルギルカーボネートなどの特定のアルキンカーボネート類を添加した電解液を用いることでサイクル特性が改善されることが開示されている。また特許文献3では、メタンスルホン酸1,1−ジエチル−2−プロピニルなどの特定のアルキン類を添加した電解液を用いることでサイクル特性が改善されることが開示されている。
更に、安全性の観点から難燃性等の特性も必要とされ、例えば、特許文献4では、溶媒としてホスファゼンを用いた電解液が開示されている。また、特許文献5では、リン酸エステルを用いた電解液が開示されている。
特開2000−195545号公報 特開2001−313072号公報 特開2002−100399号公報 特開2002−83628号公報 特開平11−317232号公報
上記のように、近年、リチウム二次電池に対する高性能化への要求はますます高くなっており、高容量、サイクル特性、高温保存特性、連続充電特性、過充電特性等の諸特性を、高い次元で共に達成することが求められているが、特許文献1〜3に開示されている技術は、高温サイクル特性を改善させるには不十分であった。更に、本発明者らは、安全性の観点から難燃性に優れるホスファゼン溶媒を用いた際には、電池特性が劣化することを
見出した。そこで、電池特性を改善すべく、特許文献1〜3に開示されている技術を採用したとしても、十分な改善効果を見出すことはできなかった。本発明は上記の課題に鑑みて創案されたものであり、ホスファゼン類及び/またはリン酸エステルを含有する電解液
を用いた際でも、保存特性などの諸特性、中でも高温サイクル特性が改善されたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表される化合物と、少なくともホスファゼン類またはリン酸エステル類の何れか1種を含有していることを特徴とする非水系電解液を用いることにより諸特性、中でも高温サイクル特性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、以下に示す通りである。
少なくともリチウム塩及び非水系有機溶媒を含有するリチウム二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が、ホスファゼン類及びリン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、更にエチニルエチレンカーボネート非水電解液の全体の質量に対して0.001質量%以上、5質量%以下の割合で有することを特徴とする非水系電解液、に存する(請求項1)。
た、ホスファゼン類及びリン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物が、下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表される化合物群から選ばれるものであることが好ましい(請求項)。
Figure 0005790135
(一般式(3)及び(4)及び(5)中、X〜X21は各種置換基を表し、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはR―O―(Rはアルキル基またはアリ
ール基を表す)の何れかを表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、m
は0以上10以下の整数を表す。)
Figure 0005790135
(一般式(6)中、X22〜X24はそれぞれ独立して、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1から20の直鎖状または分枝状のアルキル基を表す。)
また、該非水電解液が、更にモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、スルトン及びサルファイトからなる群から選ばれた少なくとも1種以上を含有することが好ましい(請求項)。
また、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が前記の非水系電解液であることを特徴とするリチウム二次電池、に存する(請求項)。
本発明によれば、リチウム二次電 池に使用した際に、電池の諸特性、中でも高温サイ
クル特性を大幅に向上させることができる安全性の高い非水系電解液及び該電解液を用いた上記諸特性が向上された安全性の高いリチウム二次電池を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明の非水系電解液はリチウム塩と非水系有機溶媒を主成分とする。また、本発明のリチウム二次電池は、非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極とを備えて構成される。また、本発明のリチウム二次電池はその他の構成要素を備えていてもよい。
[I.非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、少なくともリチウム塩及び非水系有機溶媒を含有する非水系電解液であって、該非水系電解液が、ホスファゼン類及びリン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、更に下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする非水系電解液である。
Figure 0005790135
(式中、XとZはCR 、C=O、C=N−R、C=P−R、O、S、N−R、P−Rを表し、同一であっても異っていてもよい。YはCR 、C=O、S=O、S(=O)、P(=O)―R、P(=O)−ORを表す。式中、R及びRは水素、ハロゲン、または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていてもよい。Rは官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。Rは、Li、NR または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。Rは官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていてもよい。mおよびnは0以上の整数を表す。また隣接する環内の炭素が互いに更なる結合を作り、当該炭素のRが各ひとつずつ減っていてもよい。Wは上記Rと同義であり、上記Rと同一であっても異なっていてもよい。)
[1.一般式(1)で表される化合物]
[1−1.種類]
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を非水系電解液中に含有することを特徴としている。以下、下記一般式(1)で表される化合物を適宜、「本発明における一般式(1)の化合物」ということとする。
Figure 0005790135
(式中、XとZはCR 、C=O、C=N−R、C=P−R、O、S、N−R、P−Rを表し、同一であっても異っていてもよい。YはCR 、C=O、S=O、S(=O)、P(=O)―R、P(=O)−ORを表す。式中、R及びRは水素、ハロゲン、または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていてもよい。Rは官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。Rは、Li、NR または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。Rは官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていてもよい。mおよびnは0以上の整数を表す。また隣接する環内の炭素が互いに更なる結合を作り、当該炭素のRが各ひとつずつ減っていてもよい。Wは上記Rと同義であり、上記Rと同一であっても異なっていてもよい。)
式中、XとZは、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、CR 、O、S、N−Rがより好ましい。また、Yも一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、C=O、S=O、S(=O)、P(=O)―R、P(=O)−ORがより好ましい。RとRは、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、水素、フッ素、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基が挙げられる。
およびRは、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基・芳香族ヘテロ環基が挙げられる。Rは、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、Li、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基・芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基・芳香族ヘテロ環基の、置換基としては特に限定はされないが、好ましくは、ハロゲン、カルボン酸、炭酸、スルホン酸、リン酸、亜リン酸等の置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基のエステル等が挙げられ、更に好ましくは、ハロゲン、最も好ましくはフッ素が好ましい。
好ましい飽和脂肪族炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1、2−トリフルオロエチル基、1,2、2−トリフルオロエチル基、2、2、2−トリフルオロエチル基、フェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
好ましい不飽和脂肪族炭化水素基としては、具体的には、エテニル基、1−フルオロエ
テニル基、2−フルオロエテニル基、1−メチルエテニル基、2−プロペニル基、2−フルオロ−2−プロペニル基、3−フルオロ−2−プロペニル基、エチニル基、2−フルオロエチニル基、2−プロピニル基、3−フルオロ−2プロピニル基、が好ましい。好ましい芳香族炭化水素基としては、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2、4−ジフルオロフェニル基、2、6−ジフルオロフェニル基、3、5−ジフルオロフェニル基、2、4、6−トリフルオロフェニル基、が好ましい。
好ましい芳香族ヘテロ環基としては、2−フラニル基、3−フラニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、1−メチル−2−ピロリル基、1−メチル−3−ピロリル基、が好ましい。
これらの中でも、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2、2、2−トリフルオロエチル基、エテニル基、エチニル基、フェニル基、が好ましい。更に好ましくは、メチル基、エチル基、エチニル基、が好ましい。mおよびnは一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0または1であり、更に好ましくは、m=n=1またはm=0、n=1である。また、分子量は、好ましくは50以上である。また、好ましくは500以下である。分子量が上記範囲内にあることにより、非水系電解液に対する不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果を十分に発揮することができる。
次いで、一般式(1)の更に好ましい態様について述べる。まず、その反応性と安定性の両面からRが水素、フッ素またはエチニル基であることが好ましい。上記置換基であることにより、反応性の低下を防ぎ、本発明の効果を十分に発揮することができる。また、ハロゲンの中でもフッ素であることにより、反応性が高すぎて副反応が増加することを防ぐ。
また、Rにおけるフッ素またはエチニル基の数は合わせて2つ以内で有ることが好ましい。これらの数が上記範囲内にあることにより、電解液との相溶性の悪化を防ぎ、また、反応性が高すぎて副反応が増加することを防ぐ。また、これらの中でも、一般式(1)中、m=0であることが好ましく、反応性がよく初回充電時に良好な負極保護被膜を形成しやすくなり、初期の特性を示す傾向がある。m=0、n=1であることが更に好ましく、m、nが上記の値であることにより、環のひずみから安定性が悪化し、反応性が高くなり過ぎて副反応が増加することを防ぐ。
更に、式中、XとZは、CR またはOがより好ましい。XとZが上記連結基であることにより、反応性が高すぎて副反応が増加することを防ぐ。
また、分子量は、より好ましくは100以上であり、また、より好ましくは200以下である。分子量が上記範囲内にあることにより、非水系電解液に対する一般式(1)の溶解性の低下を防ぎ、本発明の効果を十分にはっきすることができる。
これら更に好ましい化合物の具体例としては
Figure 0005790135
Figure 0005790135
Figure 0005790135
Figure 0005790135
が、挙げられる。
更に好ましくは、Rが全て水素である場合である。この場合、本発明の効果を十分に発現しつつ、副反応が抑制されやすい。また、YがC=OまたはS=Oの場合、XおよびZ
のいずれか一方がOであることが好ましい。また、YがS(=O)、P(=O)―R、P(=O)−ORの場合、XとZが共にOまたはCHであること、もしくは、XとZのいずれか一方がOであり、もう一方がCHであることが好ましい。Y、X、Zが上記組み合わせであることにより、反応性が高すぎて副反応が増加することを防ぐ。
これらの化合物として具体的には
Figure 0005790135
が挙げられる。
一方、下記一般式(2)であらわされる化合物が、工業的な製造の容易さの観点から、好ましい。
Figure 0005790135
(YはC=O、S=O、S(=O)、P(=O)―R、P(=O)−ORを表す。Rは官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。Rは、Li、NR または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。Rは官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。)
これら、好ましい条件を持つ化合物としては、具体的には
Figure 0005790135
が挙げられる。
また本発明における一般式(1)の化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
[1−2.組成]
本発明における一般式(1)の化合物の含有量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、該非水電解液の全体の質量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。含有量が上記範囲内であると、抵抗が増加して出力や負荷特性が低下することを防ぎ、発明の効果を十分に発揮することができる。
[2.非水系有機溶媒]
本発明では、ホスファゼン類及び/またはリン酸エステルを含有した非水系有機溶媒を
用いる。
[2−1.ホスファゼン類]
本発明において「ホスファゼン類」とは、―PX=N―で表わされる構造単位を有する化合物をいう( ここでX、Xは各々独立に、一価の置換基を表わす)。上述
の構造単位の数とその結合状態によって、当該構造単位1つのみからなるモノホスファゼン、当該構造単位が環状に複数結合した環状ホスファゼン、当該構造単位が鎖状に複数結合した鎖状ホスファゼン等に分類される。ホスファゼン類の種類は特に制限されず、上記分類の何れに該当する化合物を用いることも可能であるが、中でも、下記一般式(3)〜(4)で示される環状ホスファゼン、及び/または、下記一般式(5)で示される鎖状ホスファゼンを用いることが好ましい。
Figure 0005790135
一般式(3)〜(5)中、X〜X21は各種置換基をあらわし、各々独立に、ハロゲ
ン原子またはアルキル基またはアリール基またはR―O―(Rはアルキル基またはアリー
ル基を表す)を表す。
中でも、電気化学的安定性の点で、ハロゲン原子またはRO基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素がより好ましく、電気化学的安定性と難燃効果の点で、フッ素がもっとも好ましい。一方、上記アルキル基、アリール基の炭素数に関しては特に制限はないが、RO基としては、その炭素数が大きくなると難燃効果の低下が見られることから、好ましくは炭素数10以下、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基若しくはアリール基であることが好ましく、アルキル基のみに関しては、更に炭素数3以下であることがより好ましい。また一般式(3)においてはm=0であることが好ましい。
上記Xは、粘度、電導度、電気化学的安定性、安全性といった電解液としての基本的性能を満たすものであれば、全て同一の種類の置換基でもよいが、2種以上の異なる種類の置換基を組み合わせてもよい。
これらアルキル基の具体例としては、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基(n−プロピル基)、1−フルオロプロピル基、2−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、1,2−ジフルオロプロピル基、1,3−ジフルオロプロピル基、2,2−ジフルオロプロピル基、2,3−ジフルオロプロピル基、3,3−ジフルオロプロピル基、1,1,2−トリフルオロプロピル基、1,2,2−トリフルオロプロピル基、1,1,3−トリフルオロプロピル基、1,2,3−トリフルオロプロピル基、1,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3−トリフルオロプロピル基、2,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,2,2,3−テトラフルオロプロピル基、1,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,3,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロピル基、1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、1−メチルエチル基(i−プロピル基)、1−フルオロ−1−メチルエチル基、2−フルオロ−1−メチルエチル基、1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル基、1,2−ジフルオロ−1−(フルオロメチル)エチル基、1,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル基、2,2,−ジフルオロ−1−(フルオロメチル)エチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−メチルエチル基、1,2,2−トリフルオロ−1−(フルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(フルオロメチル)エチル基、2,2−ジフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(フルオロメチル)エチル基、1,2,2−トリフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、等が挙げられる。
これらの中でも、製造の容易さから、メチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフ
ルオロエチル基、プロピル基、3−フルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、1−メチルエチル基、1−フルオロ−1−メチルエチル基、2−フルオロ−1−メチルエチル基、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基がより好ましく、更に、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、プロピル基、1−メチルエチル基が特に好ましい。
アリール基としては、無置換またはフッ素で置換されたフェニル基が好ましく、具体的にはフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、2,3,6−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、2,3,6−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
一般式(3)〜(5)で表わされる化合物としては、具体的には、
Figure 0005790135
Figure 0005790135
Figure 0005790135
Figure 0005790135
Figure 0005790135
等が挙げられ、中でも難燃性向上の観点から好ましくは、
Figure 0005790135
Figure 0005790135
Figure 0005790135
等が挙げられる。更に、沸点などの観点から好ましくは
Figure 0005790135
が挙げられる。
[2−2.リン酸エステル類]
本発明において「リン酸エステル類」とは、通常下記一般式(6)で表される化合物をいう。
Figure 0005790135
一般式(6)中、X22〜X24はそれぞれ独立して、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1から20の直鎖状または分枝状のアルキル基を表す。
リン酸エステル類(6)のX22〜X24の炭素数の和( 以下「S」という。) が小さいと電池充放電特性が劣る傾向がみられ、逆に大きすぎるとリチウム塩が溶解し難くなる傾向がみられる。従って、Sは通常1以上であり、2以上が更に好ましく、特に3以上が好ましい。またSは通常36以下であり、更に好ましくは20以下、特に12以下が好ましく、もっとも好ましくは6以下である。またアルキル基はフッ素置換されているものが好ましい。
特に好ましいリン酸エステル類として具体的には、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸ジメチルプロピル、リン酸ジエチルメチル及びリン酸メチルエチルプロピル、並びにリン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス( トリフルオロエチル)、リン酸ペンタ
フルオロプロピルジメチル、リン酸トリフルオロエチルメチルエチル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルエチル、リン酸トリフルオロエチルメチルプロピル及びリン酸トリフルオロエチルジエチル等が挙げられる。中でも好ましくは、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(
トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス(トリフルオロエチル)、リン酸ペンタフルオロプロピルジメチル、リン酸トリフルオロエチルメチルエチル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルエチルまたはリン酸トリフルオロエチルメチルプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリヘキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリウンデシル及びリン酸トリドデシル、並びにリン酸トリスペンタフルオロプロピル、リン酸ペンタフルオロジプロピル、リン酸ビス( ペンタフルオロプロピル) プロピル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルブチル、リン酸ヘプタフルオロブチルメチルブチル、リン酸ヘプタフルオロブチルエチルプロピル、リン酸ペンタフルオロプロピルエチルブチル、リン酸ヘプタフルオロブチルエチルブチル、リン酸ペンタフルオロプロピルジプロピル、リン酸ヘプタフルオロブチルジプロピル、リン酸トリフルオロエチルプロピルブチル、リン酸ペンタフルオロプロピルプロピルブチル、リン酸ヘプタフルオロブチルプロピルブチル、リン酸トリフルオロエチルジブチル、リン酸ペンタフルオロプロピルジブチル、リン酸ヘプタフルオロブチルジブチル等が挙げられ、より好ましくは、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸ジメチルプロピル、リン酸ジエチルメチル及びリン酸メチルエチルプロピル、並びにリン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(
トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス(トリフルオロエチル)、リン酸ペンタフルオロプロピルジメチル、リン酸トリフルオロエチルメチルエチル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルエチル、リン酸トリフルオロエチルメチルプロピル及びリン酸トリフルオロエチルジエチル等が挙げられる。これらの中で、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス(トリフルオロエチル)、リン酸ペンタフルオロプロピ
ルジメチル、リン酸トリフルオロエチルメチルエチル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルエチルまたはリン酸トリフルオロエチルメチルプロピル等が挙げられる。
なお、リン酸エステル類は、1種類を単独で用いても、または2種以上を併用してもよい。
[2−3.ホスファゼン類、リン酸エステル以外の有機溶媒]
本発明における非水系有機溶媒は上述した様にホスファゼン類及び/またはリン酸エス
テル類を含有するが、その他に含有する溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。これらを例示すると、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル(ラクトン化合物)、鎖状エステル(カルボン酸エステル)、鎖状エーテル、環状エーテル、含窒素有機溶媒、含硫黄有機溶媒などが挙げられる。
環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルエチレンカーボネート、ジエチルエチレンカーボネート、モノプロピルエチレンカーボネート、ジプロピルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジフェニルエチレンカーボネート、カテコールカーボネートなどのカーボネート;モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネートなどのフッ素置換カーボネートが挙げられる。これらの中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5-ジフルオロエチレンカーボ
ネート及び4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種好ましく、特にエチレンカーボネートとモノフルオロエチレンカーボネートとの組み合わせ、プロピレンカーボネートとモノフルオロエチレンカーボネートとの組み合わせ、プロピレンカーボネートと4,5-ジフルオロエチレンカーボネート
との組み合わせが、高イオン伝導性を与え、かつ好適に界面保護被膜を形成する点で特に好ましい。
鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのカーボネート;ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、メチルトリフルオロメチルカーボネート、ビス(モノフルオロエチル)カーボネート、メチルモノフルオロエチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどのフッ素置換カーボネートが挙げられる。これらの中でもジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、更にはジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが特に好ましい。
また、環状エステルの具体例を挙げると、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。これらの中でもγ−ブチロラクトンが好ましい。
また、鎖状エステルの具体例を挙げると、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類、モノフルオロ酢酸メチル、モノフルオロ酢酸エチル、モノフルオロ酢酸n-プロピル、モノフルオロ酢酸イソプロピルなどのモノフルオロ酢酸エステル類、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、ジフルオロ酢酸n-プロピル、ジフルオロ酢酸イソプロピルなどのジフルオロ酢酸エステル類、トリフルオロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸n-プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピルなどのトリフルオロ酢酸エステル類、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-プロピル、プロピオン酸イソプロピルなどのプロピオン酸エステル類、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピルなどの酪酸エステル類、等が挙げられる。
また、鎖状エーテルの具体例を挙げると、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
また、環状エーテルの具体例を挙げると、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
また、含窒素有機溶媒の具体例を挙げるとN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、アセトニトリルが挙げられる。
また、含硫黄有機溶媒の具体例を挙げるとスルホラン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホンが挙げられる。これらの中でもスルホランが好ましい。
[2−4.組成比]
本発明におけるホスファゼン類、リン酸エステルの含有量は、非水系有機溶媒全体に対して、通常1体積%以上、好ましくは5体積%以上、更に好ましくは7体積%以上、特に好ましくは9体積%以上であり、また、通常50体積%以下、好ましくは40体積%以下、更に好ましくは30体積%以下、特に好ましくは25体積%以下である。この含有量はホスファゼン類及びリン酸エステルから選ばれる化合物を2種以上用いる場合には、その合計の量を表す。含有量が上記範囲内にあることにより、本発明の効果を十分に発揮できる。また、Li塩の解離が起こりにくくなるために電解液の電導度が低下し、高負荷容量が減少することを防ぐ。
[3.リチウム塩]
リチウム塩は電解質として用いられる。リチウム塩の種類に特に制限はなく、無機リチウム塩及び有機リチウム塩のいずれを用いてもよい。 具体的には以下のものが挙げられ
る。
例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAlF、LiSbF、LiTaF、LiWF等の無機リチウム塩;LiWOF等のタングステン酸リチウム類;HCOLi、CHCOLi、CHFCOLi、CHFCOLi、CFCOLi、CFCHCOLi、CFCFCOLi、CFCFCFCOLi、CFCFCFCFCOLi等のカルボン酸リチウム塩類;FSOLi、CHSOLi、CHFSOLi、CHFSOLi、CFSOLi、CFCFSOLi、CFCFCFSOLi、CFCFCFCFSOLi等のスルホン酸リチウム塩類;LiN(FCO)、LiN(FCO)(FSO)、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CFSO)(CSO)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO等のリチウムメチド塩類;リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;リチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート、リチ
ウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート等のリチウムオキサラトフォスフェート塩類;その他、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBFCF、LiBF、LiBF、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩類;等が挙げられる。
中でも、LiPF、LiBF、LiSbF、LiTaF、FSOLi、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等が出力特性やハイレート充放電特性、高温保存特性、サイクル特性等を向上させる効果がある点から特に好ましい。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPF6とLiBF4や、LiPFとFSOLi等の併用であり、負荷特性やサイクル特性を向上させる効果がある。この場合、非水系電解液全体100質量%に対するLiBF4或いはFSOLiの濃度は配合量に制限は無く、本発
明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、一方その上限は通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
また、他の一例は、無機リチウム塩と有機リチウム塩との併用であり、この両者の併用は、高温保存による劣化を抑制する効果がある。有機リチウム塩としては、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等であるのが好ましい。この場合には、非水系電解液全体100質量%に対する有機リチウム塩の割合は、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
非水系電解液中のこれらのリチウム塩の濃度は、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は特に制限されないが、電解液の電気伝導率を良好な範囲とし、良好な電池性能を確保する点から、非水系電解液中のリチウムの総モル濃度は、好ましくは0.3mol/L以上、より好ましくは0.4mol/L以上、更に好ましくは0.5mol/L以上であり、また、好ましくは3mol/L以下、より好ましくは2.5mol/L以下、更に好ましくは2.0mol/L以下である。リチウムの総モル濃度が上記範囲内にあることにより、電解液の電気伝導率が十分となり、また、粘度上昇のため電気伝導度が低下し、電池性能が低下することを防ぐ。
[4.被膜形成剤]
本発明にかかる非水系電解液は、負極上に被膜を形成させ、電池特性を改善させる目的
で、更にモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、スルトン及びサルファイトからなる群から選ばれた少なくとも1種以上を含有していることが好ましい。これらの被膜形成剤は、本発明における一般式(1)の化合物と一緒に還元されて負極被膜を強固なものとするために、電池性能の向上をもたらすこととなる。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩としては、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸カリウムが好ましく、更にはモノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが特に好ましい。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の濃度は電解液全体に対して通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の濃度が大きすぎると、負極の反応抵抗が上昇し容量が低下する傾向がある。また、濃度が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
なお、これら「モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩」は、本稿においては前記リチウム塩に含まれないものとする。
またスルトンとしては、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトンなどが挙げられる。これらの中でも1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,4−ブテンスルトンが好ましく、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトンが特に好ましい。
スルトンの濃度は電解液全体に対して通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、最も好ましくは0.3質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。スルトンの濃度が大きすぎると、負極の反応抵抗が上昇し容量が低下する傾向がある。また、濃度が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
またサルファイト類としては、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイトなどが挙げられる。これらの中でもジメチルサルファイト、エチレンサルファイトが好ましく、エチレンサルファイトが特に好ましい。
サルファイトの濃度は電解液全体に対して通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、最も好ましくは0.5質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。サルファイトの濃度が大きすぎると、負極の反応抵抗が上昇し容量が低下する傾向がある。また、濃度が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
また本発明にかかる非水系電解液においては、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを添加することも負極被膜を強固にするので有効である。炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環または炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類等が挙げられる。 ビニレンカーボネート類
としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5-ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5-ジアリルビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環または炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5-ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5-ジアリルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネートが好ましく、特にビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種以上が安定な界面保護被膜を形成するので、より好適に用いられる。
炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの濃度は電解液全体に対して通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、最も好ましくは0.3質量%以上、また、通常8質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの濃度が大きすぎると、負極の反応抵抗が上昇し容量が低下する傾向がある。また、濃度が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
[5.その他の助剤]
本発明における非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、非水系電解液の濡れ性、過充電特性等を改善する目的で他の助剤を含有させてもよい。
助剤の例としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水フェニルマレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物; フル
オロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ビフェニル、o−ターフェニル、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、2,4−ジフルオロア
ニソール、3,5−ジフルオロアニソール、ベンゾトリフルオライド等の芳香族化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。また、非水系電解液中における助剤の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。なお、助剤を2種以上併用する場合は、これらの濃度の合計が上記範囲内に収まるようにすることが好ましい。
[9.非水系電解液の状態]
非水系電解液は、本発明のリチウム二次電池に用いる際、通常は液体状態で存在するが、例えば、これを高分子によってゲル化して、半固体状電解質にしてもよい。ゲル化に用いる高分子は任意であるが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどが挙げられる。なお、ゲル化に用いる高分子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、非水系電解液を半固体状電解質として用いる場合、半固体状電解質に占める非水系電解液の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。好適な範囲としては、半固体状電解質の総量に対する非水系電解液の比率が、通常30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、また、通常99.95質量%以下、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。非水系電解液の比率が大きすぎると、電解液の保持が困難となり液漏れが生じやすくなる虞があり、逆に少なすぎると充放電効率や容量の点で不十分となることがある。
[10.非水系電解液の製造方法]
本発明における非水系電解液の製造方法は特に制限は無いが、例えば、鎖状カルボン酸エステルを含有した非水系有機溶媒にリチウム塩を加え、更に本発明における一般式(1)の化合物を添加することにより調製することができる。
非水系電解液を調製するに際しては、非水系電解液の各原料、即ち、リチウム塩、本発明におけるホスファゼン類、リン酸エステル類、他の非水系有機溶媒、及び本発明における一般式(1)の化合物及び並びに他の助剤は、予め脱水しておくことが好ましい。非水系電解液中に水が存在すると、水の電気分解、水とリチウム金属との反応、リチウム塩の加水分解などが起こる可能性があり、好ましくないからである。脱水の程度としては、水分含有率が通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下となるまで脱水することが望ましい。なお、本明細書においてppmとは、質量を基準にした比率を意味する。
脱水の手段としては特に制限はないが、例えば、脱水する対象が非水系有機溶媒などの液体の場合は、モレキュラーシーブ等を用いればよい。また脱水する対象が電解質などの固体の場合は、分解が起きる温度以下で乾燥させればよい。
[11.メカニズム]
本発明の効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように考えられる。
本発明における一般式(1)の化合物は電池作製の初期充電時にその一部が還元され、負極上に保護被膜を形成する。しかしながらこの保護被膜は通常の有機溶媒に徐々に溶解してしまうために、負極を持続的に保護できないという問題点を抱えている。被膜による保護をうけない負極においては、溶媒等の還元分解が進行して抵抗の増大を招き、充電時にリチウムが析出して容量低下へとつながる。従って、特に高温でのサイクル時において、負極において副反応が著しく起こり、電池特性が悪化する傾向であった。
これらの問題点は、本発明におけるホスファゼン類及び/またはリン酸エステル類を存
在させることで解決した。本発明における一般式(1)の化合物から形成された保護被膜がホスファゼン類及び/またはリン酸エステル類に溶解しにくいためであると推察される
。このため負極上での反応が抑制され充電時にリチウムが析出しにくくなる。従って高温サイクル試験を行った場合の容量劣化が少なくなったものと思われる。
[II.リチウム二次電池]
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明の非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極とを備えて構成される。また、本発明のリチウム二次電池はその他の構成を備えていてもよい。例えば、リチウム二次電池は、通常、スペーサを備えている。
[1.正極]
正極は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
通常は、正極として、集電体上に正極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極は適宜その他の層を備えていてもよい。
[1−1.正極活物質層]
正極活物質層は、正極活物質を含んで構成される。正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。例としては、Fe、Co、Ni、Mnなどの遷移金属の酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物、遷移金属の硫化物などが挙げられる。
遷移金属の酸化物の具体例としては、MnO、V25、V613、TiO2などが挙げられる。 また、遷移金属とリチウムとの複合酸化物の具体例としては、基本組成がLiN
iO2 等のリチウムニッケル複合酸化物;基本組成がLiCoO2等のリチウムコバルト
複合酸化物;基本組成がLiMnO2、LiMnO4等のリチウムマンガン複合酸化物などが挙げられる。更に、遷移金属の硫化物の具体例としては、TiS2,FeSなどが挙げ
られる。
なかでも、リチウムと遷移金属との複合酸化物は、リチウム二次電池の高容量と高サイクル特性とを両立させることができるため、好ましい。本発明では特にリチウムニッケル含有遷移金属酸化物が好ましく、これらを例示するとLiNiO2、LiNiMO2(M
はAl、B、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Mg、Ca及びGaから選ばれた少なくとも1種以上であり、x及びyは任意の数字を表す)が挙げられる
。Mとしては特にCo、Mn、Fe、Al,Mg、Tiが好ましく、特にMn単独、及びCo-Mn、Co-Al、Co-Al-Mgの組み合わせが熱安定性を向上させるのに有効である。
具体的にはLiNi1-a-bMnaCoO2(a,bは0以上1未満の数字を表す)、LiNi1-c-dCoaAldMgeO2(c,d,eは0以上1未満の数字を表す)が好ましく、更にはLiNi1-a-bMnaCoO2(0≦a<0.4、0≦b<0.4)、LiNi1-c-dCoaAldMgeO2(0≦c<0.3、0≦d<0.1、0≦e<0.05)が好ましく、特にLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.5Mn0.5O2 、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.85Co0.
10Al0.03Mg0.02O2が好ましい。
更に、上述した遷移金属とリチウムとの複合酸化物の表面をAl、B、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ca、Ga等の金属の酸化物で被覆すると、高電圧における溶媒の酸化反応が抑制されて好ましい。なかでもAl23、TiO2、ZrO2、MgOは強度が高く、安定した被覆効果を発現させるため特に好ましい

なお、これらの正極活物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質の比表面積は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0
.1m2/g以上、好ましくは0.2m2/g以上であり、また、通常10m2/g以下、好ましくは5.0m2/g以下、更に好ましくは3.0m2/g以下である。比表面積が小さすぎるとレート特性の低下、容量の低下を招く虞があり、また、大きすぎると正極活物質が非水系電解液等と好ましくない反応を引き起こし、サイクル特性を低下させる虞がある。
更に、正極活物質の平均2次粒径も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.2μm以上、好ましくは0.3μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下である。平均2次粒径が小さすぎるとリチウム二次電池のサイクル劣化が大きくなったり、取り扱いが難しくなったりする場合があり、大きすぎると電池の内部抵抗が大きくなり出力が出にくくなる場合がある。
また、正極活物質層の厚さは、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上、最も好ましくは40μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。薄すぎると塗布が困難になり均一性が確保しにくくなるだけでなく、本発明のリチウム二次電池の容量が小さくことがある。一方、厚すぎるとレート特性が低下する虞がある。
正極活物質層は、例えば、上述の正極活物質と、結着剤(バインダー)と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化して塗布液とし、その塗布液を集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。また、例えば、上述の正極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
以下、スラリーを正極集電体に塗布・乾燥する場合について説明する。
結着剤としては、非水系電解液に用いる非水溶媒や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、その種類は特に制限されないが、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等を考慮して選択するのが好ましい。具体例としては、シリケート、水ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレン等のアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン等の不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドン等の環を有するポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド等のアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニド等のCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン含有ポリマー;ポリアニリン等の導電性ポリマーなどが使用できる。
また、上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。
これらの中で好ましい結着剤は、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーである。
なお、結着剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、結着剤として樹脂を用いる場合、その樹脂の質量平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1万以上、好ましくは10万以上であり、また、通常300万以下、好ましくは100万以下である。分子量が低すぎると電極の強度が低下する傾向にある。一方、分子量が高すぎると粘度が高くなり、電極の形成が困難になることがある。
更に、結着剤の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、正極活物質(負極に用いる場合は、負極活物質。以下、正極活物質と負極活物質とを区別せずにいう場合、単に「活物質」という)100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上であり、また、通常30質量部以下、好ましくは20質量部以下である。結着剤の量が少なすぎると電極の強度が低下する傾向にあり、結着剤の量が多すぎるとイオン伝導度が低下する傾向にある。
また、電極には、上記のように各種の助剤等を含有させてもよい。助剤等の例としては、電極の導電性を高める導電性材料、電極の機械的強度を向上させる補強材などが挙げられる。
導電性材料の具体例としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属のファイバー、箔などが挙げられる。
また、補強材の具体例としては、各種の無機、有機の球状、繊維状フィラーなどが使用できる。
なお、これらの助剤等は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、活物質、結着剤、並びに必要に応じて使用される助剤等を溶解または分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられる。一方、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるため、ローラープレス等により圧密するのが好ましい。
[1−2.集電体]
集電体の素材としては、公知のものを任意に使用することができるが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極の集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS(ステンレス)等が挙げられる。中でも、正極の集電体としてはアルミニウムが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に、集電体と表面に形成された活物質層との結着効果を向上させるため、これら集電体の表面を予め粗面化処理しておくのが好ましい。表面の粗面化方法としては、ブラスト
処理や粗面ロールにより圧延するなどの方法、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシなどで集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。
また、集電体の形状は任意である。例えば、電池の質量を低減させる、即ち質量当たりのエネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。この場合、その開口率を変更することで質量も自在に変更可能となる。また、このような穴あけタイプの集電体の両面に塗布層を形成させた場合、この穴を通しての塗布層のリベット効果により塗布層の剥離が更に起こりにくくなる傾向にあるが、開口率があまりに高くなった場合には、塗布層と集電体との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなる。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。厚すぎると、電池全体の容量が低下することになり、逆に薄すぎると取り扱いが困難になる。
[2.負極]
負極は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
通常は、正極の場合と同様に、負極も集電体上に負極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極と同様に、負極も適宜その他の層を備えていてもよい。
[2−1.負極活物質]
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、例えば公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金、チタン酸リチウムなどを使用することが好ましい。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好で更に連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に、負極活物質の粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、初期効率、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で、通常1μm以上、好ましくは15μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下程度である。
また、例えば、上記の炭素質材料をピッチ等の有機物で被覆した後で焼成したもの、CVD法等を用いて表面に上記炭素質材料よりも非晶質の炭素を形成したものなども、炭素質材料として好適に使用することができる。ここで、被覆に用いる有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレン ヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を20
0〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1〜100μmに粉砕したものも使用することができる。更に塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂なども使用することができる。
負極活物質層は、例えば、上述の負極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることも可能であるが、通常は、正極活物質層の場合と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化してなる塗布液を、集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。スラリーを形成する溶媒や結着剤、助剤等としては、正極活物質について上述したものと同様のものを使用することができる。
[2−2.集電体]
負極の集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、負極の集電体も、正極の集電体と同様に、予め粗面化処理しておくのが好ましい。
更に、正極同様、集電体の形状も任意であり、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。また、集電体として薄膜を使用する場合の好ましい厚さも、正極の場合と同様である。
[3.スペーサ]
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はスペーサを介在させる。スペーサの材質や形状は特に制限されないが、上述の非水系電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。
スペーサの材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン等を用いることができるが、好ましくはポリオレフィンである。
また、スペーサの形状としては多孔性のものが好ましい。この場合、非水系電解液は、多孔性のスペーサに含浸させて用いる。
スペーサの厚さは、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、また、通常50μm以下、好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。スペーサが薄すぎると、絶縁性や機械的強度が悪化することがあり、厚すぎるとレート特性等の電池性能が悪化する虞があるばかりでなく、電池全体としてのエネルギー密度が低下する虞がある。
また、スペーサとして多孔性の膜を用いる場合、スペーサの空孔率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20%以上、好ましくは35%以上、更に好ましくは45%以上であり、通常90%以下、好ましくは85%以下、更に好ましくは75%以下である。空孔率が小さすぎると膜抵抗が大きくなりレート特性が悪化する傾向にある。また大きすぎると膜の機械的強度が低下し絶縁性が低下する傾向にある。
更に、スペーサとして多孔性の膜を用いる場合、スペーサの平均孔径も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下であり、通常0.05μm以上である。あまりに大きいと短絡が生じやすくなり、小さすぎると膜抵抗が大きくなりレート特性が低下する虞がある。
[4.二次電池の組立]
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明における非水系電解液と、正極と、負極と、必要に応じて用いられるスペーサとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。更に、本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、コイン型電池、円筒型電池、角型電池などが上げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
<試験操作の説明>
[正極の製造]
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/32)94質量部とポリフッ化ビニリデン(以下適宜、「PVdF」という)3質量部とアセチレンブラック3質量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えてスラリー状にしたものを、アルミニウムからなる集電体の両面に塗布・乾燥して正極を得た。
[負極の製造]
負極活物質であるグラファイト粉末94質量部とPVdF6質量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して負極を得た。
[リチウム二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
[容量評価試験]
25℃の恒温槽中、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3Vまで放電した。これを3回繰り返し初期のフォーメーションを行なった。次いで、0.2Cで4.2VまでCCCV充電した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期放電容量を求めた。なお充電時のカット電流は0.05Cとした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[サイクル特性評価試験]
容量評価の終了した電池を60℃の恒温槽に入れ、2Cで4.2Vまで定電流充電後、2Cで定電流放電する過程を1サイクルとして、100サイクル実施した。そして(100サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100の計算式から、放電容量維持率を求めた。
<実施例1>
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびホスファゼン類(上述の一般式(3) において置換基X1
〜X6 がフッ素原子と、R がフェニル基のR O基とからなり、フッ素原子/ R O 基の比率が5 / 1 である化合物( フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、以下PhPFPN))との混合溶媒(混合体積比3:3:3:1)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ、更にエチニルエチレンカーボネート(EE
C)を電解液全体の質量に対して0.3質量%となるように添加して非水系電解液とした。
得られた非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、容量評価試験、サイクル特性評価試験を行なった。結果を表1に示す。
<実施例2>
PhPFPNの代わりに、上述の一般式(3) において置換基X1〜X6 がフッ素原
子と、R がエチル基のRO基とからなり、フッ素原子/ R O 基の比率が5 / 1 で
ある化合物( エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、以下EtPFPN))
を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
<実施例3>
PhPFPNの代わりに、上述の一般式(6) において置換基X22〜X24 がトリフルオロエチル基である化合物( リン酸トリス( トリフルオロエチル)、以下TTFEP))を用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
<比較例1>
混合体積比が3:3:4:0である以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
<比較例2>
EECを添加しない以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
<比較例3>
EECの代わりにビニレンカーボネート(VC)を0.3%添加した以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0005790135
表1より、本発明にかかる実施例1の非水系電解液を用いると、一般式(1)の化合物とホスファゼン類が添加されていない場合(比較例1および2)と比べ、高温サイクル試験前後での放電容量維持率が大幅に向上することがわかる。また比較例3からは、一般式(1)の化合物以外を添加してもホスファゼン類を含む電解液においては効果が小さく、化合物(1)とホスファゼン類を含有した場合に飛躍的に容量維持率が向上することがわかる。
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが
可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCDプレイヤー、ミニディスクプレイヤー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等を挙げることができる。

Claims (4)

  1. 少なくともリチウム塩及び非水系有機溶媒を含有するリチウム二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が、ホスファゼン類及びリン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、更にエチニルエチレンカーボネート非水電解液の全体の質量に対して0.001質量%以上、5質量%以下の割合で有することを特徴とする非水系電解液。
  2. ホスファゼン類及びリン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物が、下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表される化合物群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
    Figure 0005790135
    (一般式(3)及び(4)及び(5)中、X〜X21は各種置換基を表し、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはR―O―(Rはアルキル基またはアリ
    ール基を表す)の何れかを表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、m
    は0以上10以下の整数を表す。)
    Figure 0005790135
    (一般式(6)中、X22〜X24はそれぞれ独立して、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1から20の直鎖状または分枝状のアルキル基を表す。)
  3. 該非水電解液が、更にモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、スルトン及びサルファイトからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解液。
  4. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1ないしの何れか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
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