JP2010275260A - 歯磨剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】湿式法により製造された平均粒子径が100〜300μmであるシリカ顆粒であって、顆粒の80〜100%が球形であり、顆粒1個に荷重速度1.51g/secの圧縮をかけて崩壊する時点の(式1)で表される圧縮方向の粒子径の変形率が12〜30%であるシリカ顆粒を含有する歯磨剤。
変形率=崩壊時点の圧縮方向の変位/圧縮前の粒子径(式1)
【選択図】なし
Description
これに対して、特許文献4記載の湿式法シリカ顆粒は、コロイダルシリカ粒子同士の3次元網目構造に起因する細孔を有するため、造粒法で得られた顆粒に比べて比重が軽く十分な数の顆粒を歯磨剤中に配合することができる。しかし、この湿式法シリカ顆粒を配合した歯磨剤の歯垢除去率も未だ十分満足できるものではなかった。
また、歯磨剤に配合された顆粒は、歯ブラシ等によるブラッシングにより歯と歯の隙間で崩壊すると考えられるが、崩壊強度が小さいと顆粒を触知する前に顆粒が崩壊してしまう一方、崩壊強度を上げると崩壊しにくいために歯と歯の隙間に入り違和感をもたらすという問題がある。
従って、本発明の課題は、顆粒感と崩壊性の相反する機能を有するとともに、歯表面及び歯と歯の隙間の歯垢又は汚れの除去性能の高い顆粒含有歯磨剤を提供することにある。
そこで、本発明者は、細孔の骨格強度を強く、顆粒形状が均一で、崩壊時に速やかに崩壊するのでなく一定以上の変形性を有し、変形してから崩壊するシリカ顆粒を含有する本発明の歯磨剤に至った。
変形率=崩壊時点の圧縮方向の変位/圧縮前の粒子径(式1)
(1)予めpHの調整されているシリカゾルを、これとは非親和性の油のような媒体中に懸濁させ、懸濁中にゲル化させる方法。
(2)シリカゾルを噴霧してシリカヒドロゲルとする方法、すなわちシリカゾルを空気中に一定の流速で飛散させて液滴化した後、ゲル化させる方法。
シリカヒドロゲルの球状化は、これらのどの方法によって行っても良い。
シリカヒドロゲルが乾燥収縮する際に、細孔容積の低下を最小限に抑制し、適度な細
孔容積と骨格強度を維持しながら収縮させ、顆粒感と崩壊性の相反する機能を満たすこと
ができるならば乾燥装置は限定しない。
シリカヒドロゲルの乾燥工程は、細孔容積の低下を抑制し、適度な細孔容積と骨格強度を得る点から、シリカヒドロゲルを温度100〜1000℃で1〜100秒間で急速に脱水乾燥する手法、又は、シリカヒドロゲルに含まれる水を予め揮発しやすい溶媒に置換しておき、これを60〜100℃の低温で4〜10時間乾燥する手法を用いることが好ましい。
変形率=崩壊時点の圧縮方向の変位/圧縮前の粒子径(式1)
具体的には、5〜50個の顆粒について、圧縮をかける前の粒子径Aと、圧縮をかけて顆粒が崩壊した時点の圧縮方向の長さ:粒子径Bから、(粒子径A−粒子径B)/粒子径A による変形率の平均値を求める。なお、歯磨剤に配合された顆粒の変形率は、歯磨剤から抽出し、溶剤で洗浄し、水分を加熱乾燥等で除いたものを測定する。
シリカ顆粒(180±10℃、2時間乾燥後、デシケーター内で放冷)約5gを精秤し、60mLマヨネーズ瓶に入れ、ビュレットにてイオン交換水を滴下する。滴下しながらよく瓶を振とうさせ、細孔内がイオン交換水に満たされ、もはや吸収しなくなり、顆粒の表面から吸収されずに出ている水によって顆粒同士が付着し、顆粒の流動性が失われた時を終点とする。終点の見極めは、瓶の底をゴム板にて軽くたたいた後、2、3回振り下ろし、逆さにしてから2〜3秒後に顆粒が落下する点である。この時の水の滴下量を顆粒の重さで割って求めた(式2)で表わされる単位重量当りの吸水量を細孔容積(mL/g)とした。
細孔容積(mL/g)=水の滴下量(mL)/精秤した顆粒の重さ(g) (式2)
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ソーマチン、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、アルキルグリコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体等が挙げられる。このうち、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。脂肪酸を含む非イオン界面活性剤の脂肪酸部分としては、炭素数6〜24の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
界面活性剤は、本発明の歯磨剤中に0.1〜5質量%含有することが好ましく、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
[顆粒の製造]
本発明品のシリカ顆粒A1〜A4及び比較顆粒として、一般的な湿式法(沈降法)により製造された顆粒B1を用いた。顆粒B1は、ケイ酸ナトリウムと硫酸の中和反応により生成した沈降性シリカを、ろ過・水洗により不純物を除去し脱水した後、再度スラリー化し、噴霧、乾燥することにより得たものを用いた。
顆粒A2:球状シリカヒドロゲルをpH8.5の水溶液中で90℃、8時間、水熱処理した。乾燥は、温度110℃で60秒間、気流乾燥した。
顆粒A3:球状シリカヒドロゲルをpH8.5の水溶液中で90℃、8時間、水熱処理した。乾燥は、まず含水分をメタノールで置換した後、温度70℃で5時間、真空乾燥した。
顆粒A4:球状リカヒドロゲルをpH8.5で90℃、8時間、水熱処理した。
乾燥は、温度180℃で2時間、箱型乾燥装置によって行った。
圧縮試験機(島津製作所、MCTM−500)を用いて、粒子径(185〜215μm)の顆粒を荷重速度1.51gf/秒で圧縮し、10個測定した平均値を示す。
(球形率)
ランダムに50個の顆粒をサンプリングし、マイクロスコープ(KEYENCE、デジタル高精細マイクロスコープVH−7000)により200倍で目視した場合に、球形である顆粒の数の割合を示す。
(変形率)
歯磨剤へ配合前のシリカ顆粒(粒子径185〜215μm)を用い、1個の顆粒に圧縮試験機(島津製作所、MCTM−500)によって、荷重速度1.51g/secの圧縮をかけたときに、顆粒が崩壊したときの圧縮方向の粒子径の変位を、圧縮をかける前の粒子径で割って求めた変形率(式1によって求めた変形率)の10個の平均値を表1に示す。
(細孔容積)
シリカ顆粒(180±10℃、2時間乾燥後、デシケーター内で放冷)約5gを精秤し、60mLマヨネーズ瓶に入れて蓋をし、ビュレットにてイオン交換水を滴下する。滴下しながらこれをよく振とうさせ、瓶を逆さにした際、顆粒が瓶の底に付着し始めた点を終点とする。この時の水の滴下量を精秤した顆粒の重さで割り、算出した単位重量当りの吸水量(mL/g)を細孔容積とし、表1に示す。
(平均粒子径)
シリカ顆粒の平均粒子径は、JIS標準ふるいの目開き、75、106、150、212、250、300、500μmを使用して、ふるい分け法(音波ふるい機)によって重量積算分布の50%値を算出し、表1に示す。
製造例の顆粒A1、A2、及び顆粒B1を用いて表2の処方で歯磨剤を調製した。得られた歯磨剤について、歯垢又は汚れ除去効果を以下の評価モデルにより評価した。また、顆粒感の以下の評価基準による評価を表2に示す。顆粒感の評価は4名によって評価し、4名の評価のうち人数の多い評価を採用し、2名ずつ評価がわれた場合には平均値を採用した。
顆粒感の評価
2:顆粒感を感じる
1:やや顆粒感を感じる
0:顆粒感を感じない
表2に示すように、歯磨剤に含有された顆粒は、比較品1に用いた顆粒B1は顆粒感を感じられないが、本発明の顆粒A1〜A4は顆粒感を感じる結果が得られた。なお、顆粒A4はやや顆粒感が強く、顆粒A1、A2は適度な顆粒感を感じる結果が得られた。
(方法)
(1)
φ4mmのガラス管を5本並べて接着剤(長時間固化タイプ)で固定し、歯間モデを作成した。
(2)ガラス管の溝にモデル歯垢又は汚れとして赤い口紅(オーブ ルージュドレシャスRD305(花王))を塗り込む。
(3)余分な塗布口紅を食器用洗浄剤(研磨剤を含まない)でブラッシング洗浄(歯ブラシ「毛先が球」レギュラーサイズ、ふつう(花王))を赤色が出なくなるまで行う。
(4)各種歯磨剤2gを口紅の上に塗布する。
(5)口紅が落ちなくなるまでブラッシング(歯ブラシは(3)と同じ)する。
(6)洗水で歯磨剤と口紅を落とす。
(7)エタノール100mLに歯間モデルを漬け、10分間超音波洗浄(モデル歯間部の奥より残存口紅溶出)する。
(8)(7)で得られたエタノール溶液について、540nmにて吸光度を測定(Abs)する。
なお、コントロール(初期値)は上記(3)の処理後、(7)(8)の処理を行ったものを用いた。評価モデル1の歯垢又は汚れ除去率は、コントロールの吸光度(A0)に対する各歯磨剤での評価後の吸光度(A)の減少率((A0−A)/A0)×100)から算出した。
本発明品1及び比較品1を用いて、健康な20〜40歳の女性10名に歯磨きをしてもらい使用感を評価した。
〔評価〕
歯磨き中の顆粒の感じについて、顆粒の存在を感じるか否かで評価した。顆粒の存在を感じた人は、本発明品1については(8人/10人)であるが、比較品1に関しては(3人/10人)であり、本発明品1について高い顆粒感が認められた。
Claims (5)
- 湿式法により製造された平均粒子径が100〜300μmであるシリカ顆粒であって、顆粒の70〜100%が球形であり、顆粒1個に荷重速度1.51g/secの圧縮をかけて崩壊する時点の(式1)で表される圧縮方向の粒子の変形率が12〜30%であるシリカ顆粒を含有する歯磨剤。
変形率=崩壊時点の圧縮方向の変位/圧縮前の粒子径(式1) - 乾燥状態のシリカ顆粒の見掛比重が、0.2〜0.7g/cm3である請求項1に記載の歯磨剤。
- シリカ顆粒の崩壊強度が5〜50gf/個である請求項1又は2に記載の歯磨剤。
- シリカ顆粒を1〜5質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯磨剤。
- シリカ顆粒が、アルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸を混合してシリカゾルを生成する工程と、シリカゾルからシリカヒドロゲルを得る工程と、シリカヒドロゲルを乾燥する工程とを含む製造方法であって、
前記シリカヒドロゲルを得る工程の後であって、前記乾燥工程前に、80℃以上でpH8.0〜pH9.5のアルカリ水溶液中で水熱処理工程を行う製造方法により得られたものである請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨剤。
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