JP6006501B2 - 歯磨剤 - Google Patents

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本発明は、顆粒を含有する歯磨剤に関する。
近年、虫歯や歯周病の原因となる歯垢を効率よく除去し、口腔内でその効果を触知できるような顆粒を配合した歯磨剤が知られている。これらの顆粒は、歯の表面のエナメル質や歯肉等に傷を与えないようにするために、実質的に球状凝集粒子とされ、薬剤、酵素剤、研磨剤等の機能性材料を含有させたものや、その視覚的効果を狙ったものもある。
例えば、炭酸カルシウム等の水不溶性粉末材料を含有する顆粒を用いた歯磨剤(特許文献1参照)や、一定の負荷をかけることによって崩壊するシリカ顆粒を用いた歯磨剤(特許文献2参照)が知られている。これらの顆粒は、歯を磨いている過程で一定の大きさに崩壊するので、歯面と顆粒との間に生じる摩擦力によって歯垢除去効果を発揮することができるとともに、口腔内で顆粒の存在感や効果感を触知することができる。
そのほか、例えば、歯石形成等の予防効果があることで知られるゼオライト等の水不溶性粉末材料を、コロイダルシリカ等の水不溶性無機結合剤で結着させて得られる顆粒を用いた歯磨剤(特許文献3参照)も知られている。
特開2010−173986号公報 特開2010−275260号公報 特開平1−299211号公報
しかしながら、歯磨剤用顆粒としてゼオライトを用いるにあたり、水分が多量に存在する歯磨剤において適度な強度を保持しつつ、歯を磨いている過程で良好な崩壊性を発揮するには、更なる検討を要する。また、上記いずれの歯磨剤も歯面と顆粒との間に生じる摩擦力を十分に増大させて歯垢又は汚れ除去性能を高めつつ、口腔内での良好な使用感を保持するには、依然として改良の余地がある。
したがって、本発明の課題は、従来の顆粒含有歯磨剤の歯垢又は汚れ除去性能及び、口腔内での顆粒の存在感や効果感を十分に高めることができる歯磨剤を提供することにある。
そこで本発明者は、ゼオライトと水溶性無機結合剤を含む顆粒と共にさらに特定の顆粒を併用することにより、歯を磨いている過程で歯面と顆粒との接触面積が飛躍的に増大する結果、歯面と顆粒との間に生じる摩擦力が顕著に高められ、優れた歯垢又は汚れ除去効果を発揮することをも見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の成分(A)並びに(B):
(A)ゼオライト及び水溶性無機結合剤を含む顆粒、並びに
(B)顆粒(A)よりも湿式崩壊強度の高い顆粒
を含有する歯磨剤を提供するものである。
本発明によれば、歯磨剤中では顆粒の形態や強度を良好に保持しつつ、ブラッシング時には良好な崩壊性を発揮し、特定の顆粒が混在することで歯面と顆粒との間に生じる摩擦力が顕著に高められて歯と歯の隙間の狭小な領域から歯垢や汚れが押し出され、優れた歯垢除去効果及び着色汚れ等の汚れ除去効果を発揮することができる。
また、口中で顆粒の存在感や効果感を良好に触知することができ、優れた使用感をもたらすことが可能である。
実施例1〜2及び比較例1〜4の摩擦力試験の結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の歯磨剤は、ゼオライト及び水溶性無機結合剤を含む顆粒(A)を含有する。
顆粒(A)に含まれるゼオライトとしては、天然のものは夾雑物を含み均質性に欠けるので、合成のもの、すなわち合成ゼオライトが好ましく、さらにA型ゼオライトが好ましい。
かかるゼオライト自体の粒子の大きさ、すなわち一次粒子の大きさは、好ましくは0.1〜20μmの平均粒径のものが用いられるが、より好ましくは10μm以下の平均粒径のものが用いられる。本発明の歯磨剤であれば、このように平均粒径が小さく低研摩性の粒子を造粒した顆粒(A)を含有する歯磨剤であっても、歯の表面に強く吸着した着色ペリクルを除くに十分な研摩力を生じさせて歯を白くし、顆粒の崩壊後は研摩力が減少し、長時間の歯磨き操作でも歯を傷つけない(低為害性)という特徴を付与することができ、優れた歯垢除去効果及び着色汚れ等の汚れ除去効果を発揮することができる。
一方、ゼオライトの平均粒径が小さければイオン交換能が高まり、歯垢又は汚れ除去効果、歯石予防効果がさらに高まるという利点がある。この場合、粒径が小さい程イオン交換能が高くなり、歯垢除去効果は上がるが、研摩効果との兼ね合いから、用いるゼオライトの一次粒子の平均粒径は、0.5〜10μmが好ましく、1〜8μmがより好ましく、2〜7μmがさらに好ましい。なお、この平均粒径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。
顆粒(A)に含まれる水溶性無機結合剤としては、例えば、珪酸ナトリウム、ポリアクリル酸、加工セルロース類、ポリビニルピロリドン、シリコーンが挙げられる。なかでも、本発明の効果を良好に発揮させる観点から、珪酸ナトリウムが好ましい。かかる珪酸ナトリウムとしては、メタ珪酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルト珪酸ナトリウム(Na4SiO4)、二珪酸ナトリウム(Na2Si25)、四珪酸ナトリウム(Na2Si49)及びそれらの水和物が挙げられるが、一般にNa2O・nSiO2・mH2Oの分子式で表される。係数n(SiO2・Na2Oの分子比)はモル比と呼ばれ、下記式(I)で表すことができる。
モル比=質量比(SiO2質量%/Na2O質量%)×Na2Oの分子量/SiO2の分子量 ・・・(I)
珪酸ナトリウムの物性は前記モル比によって異なるが、法規(外原規)や得られる顆粒のpHの観点から、前記モル比は好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.4〜3.5、さらに好ましくは2.8〜3.5、またさらに好ましくは3.0〜3.3である。なお、mは0〜46の範囲が好ましい。
顆粒(A)は、崩壊に対する適度な耐久性を有しながら、その湿式崩壊強度は後述する顆粒(B)の湿式崩壊強度よりも低い。そのため、本発明の歯磨剤を使用した際、口腔内において顆粒(A)が先に崩壊し、その後、顆粒(A)よりも湿式崩壊強度の高い顆粒(B)が顆粒(A)崩壊物の存在下にて崩壊することとなり、歯面と顆粒との接触面積が飛躍的に増大し、歯を磨いている過程で生じる歯面と顆粒との間の摩擦力が顕著に高まり、歯垢又は汚れ除去性能を著しく向上させることができる。かかる顆粒(A)の湿式崩壊強度は、顆粒(B)と相まって歯面と顆粒との接触面積を増大させつつ、歯と歯の隙間の狭小な領域にも侵入し、かかる領域で歯垢や汚れを押し出しながら、ブラッシングの荷重によって歯面と顆粒との間に生じる摩擦力を有効に高める観点、口中で顆粒を触知でき、歯垢又は汚れ除去効果を認識できる観点、及び異物感を抑制しつつ顕著な研磨力を発揮させる観点から、好ましくは10〜55%、より好ましくは20〜50%である。
なお、顆粒(A)の湿式崩壊強度は、実施例に記載の方法により測定される。
また、顆粒(A)の崩壊強度は、1〜10gf/個(顆粒1個あたり1〜10gの荷重で崩壊)が好ましく、さらに好ましくは2〜7gf/個であり、より好ましくは3〜4gf/個である。
なお、顆粒(A)の崩壊強度は、実施例に記載の方法により測定される。
顆粒(A)の平均粒径は、十分な研磨力を有し、顆粒崩壊後は歯と歯の隙間の狭小な領域にも侵入して、かかる領域においても歯面と顆粒との間に生じる摩擦力を有効に増大させる観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは50〜400μm、より好ましくは75〜350μm、さらに好ましくは100〜300μmである。
なお、平均粒径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
顆粒(A)を配合した歯磨剤は、顆粒崩壊後の歯磨剤の10倍希釈液のpHが顆粒崩壊前の歯磨剤の10倍希釈液のpHに比べて高くなるという性質、すなわち崩壊時歯磨剤pH上昇性を有する。従って、歯磨剤用顆粒の顆粒崩壊後の歯磨剤の10倍希釈液のpHは、好ましくは8.0〜10.5であり、より好ましくは8.5〜10.5であり、さらに好ましくは9.0〜10.5である。さらに、本発明の歯磨剤用顆粒の顆粒崩壊後の歯磨剤の10倍希釈液のpHと顆粒崩壊前の歯磨剤の10倍希釈液のpHとの差(崩壊後歯磨剤pH−崩壊前歯磨剤pH)は、好ましくは0.1〜1.0であり、より好ましくは0.15〜0.8であり、さらに好ましくは0.2〜0.5である。
このpH上昇性という性質により、本発明の歯磨剤は、通常の汚れ除去効果に優れるだけでなく、特に歯垢除去効果も著しく優れるものと考えられる。その理由は、顆粒(A)が歯と歯の隙間で崩壊した時にpHが局所的に上昇するため、歯と歯の隙間に特に存在するタンパク質を含有する歯垢に対して有効に作用し、アルカリによるタンパク質含有歯垢の粘着構造破壊作用により歯垢除去効果が著しく優れるからであると考えられる。
なお、顆粒(A)の崩壊後における顆粒(A)配合歯磨剤の10倍希釈液のpH及び崩壊前における顆粒(A)配合歯磨剤の10倍希釈液のpHは、実施例に記載の方法で測定することができる。
また、顆粒(A)は、その吸水率が、歯磨剤の分離安定性向上という観点から、顆粒(A)の自重に対して、好ましくは60〜150質量%であり、より好ましくは80〜130質量%であり、さらに好ましくは100〜120質量%である。顆粒(A)は、このように多量の水を吸水しても顆粒自体は崩壊せず、口腔内で崩壊したときに内部に吸水されていたpHの高い水分が多量に放出され、タンパク質系の汚れを破壊するため非常に好ましい。なお、吸水率は、実施例に記載の方法で測定することができる。
さらに、顆粒(A)は、ブラッシングの荷重によって急速に崩壊するのではなく、形状が変化し、崩壊に対する適度な耐久性を有する。すなわち、顆粒(A)の変形率は、好ましくは3〜40%であり、より好ましくは5〜35%であり、さらに好ましくは10〜30%である。このように崩壊に対する適度な耐久性を有するため、歯間の奥の歯垢まで有効に除去することが可能である。特に、顆粒(B)と組み合わせて用いることで、歯面と顆粒との接触面積が飛躍的に増大して摩擦力が高められ、歯間の奥の歯垢まで有効に除去することが可能である。
なお、顆粒(A)の変形率とは、該顆粒を荷重3.0gf/個にて圧縮した時の崩壊する形状変位から得られる式(II)で表される値を意味し、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
変形率(%)=崩壊時の顆粒の形状変位(μm)/崩壊前の顆粒の粒子径(μm)×100・・・(II)
顆粒(A)中のゼオライトの含有量は、乾燥状態及び水中での崩壊性、顆粒崩壊後の研磨力及び歯への損傷防止という観点から、好ましくは75〜99質量%であり、より好ましくは85〜98質量%であり、さらに好ましくは89〜97.5質量%であり、またさらに好ましくは93〜97質量%である。なお、顆粒(A)中の水不溶性粉末材料の含有量は、顆粒(A)を歯磨剤から抽出し、溶剤で洗浄し、水分を加熱乾燥等で除いたものを測定したものである。
顆粒(A)中の水溶性無機結合剤の含有量は、顆粒の乾燥状態及び水中での崩壊強度、歯磨剤中での安定性の観点や、顆粒(A)の局所においてpH上昇性を発揮させる観点から、1〜25質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、2.5〜11質量%がさらに好ましく、3〜7質量%がまたさらに好ましい。なお、顆粒(A)中の珪酸ナトリウムの含有量は、顆粒(A)を歯磨剤から抽出し、溶剤で洗浄し、水分を加熱乾燥等で除いたものを測定したものである。
顆粒(A)において、ゼオライトに対する水溶性無機結合剤の質量比は、顆粒の乾燥状態及び水中での崩壊強度や歯磨剤中での安定性を向上させる観点から、好ましくは0.005〜0.30であり、より好ましくは0.01〜0.28であり、さらに好ましくは0.01〜0.15であり、またより好ましくは0.02〜0.13であり、またさらに0.02〜0.10であり、0.03〜0.08がさらに好ましい。通常、顆粒の崩壊強度や歯磨剤中での安定性を高めるためには結合剤の配合量を増加させる必要がある。しかしながら、理由は定かではないものの、水溶性無機結合剤、なかでも水溶性成分である珪酸ナトリウムを用いた場合は、通常とは逆に、水溶性無機結合剤の配合量を、ゼオライトに対して特定の範囲以下にすることで、歯磨剤のような多水分組成物中での顆粒の強度がより向上し、安定性がより高められる。
顆粒(A)は、さらにゼオライト及び水溶性無機結合剤以外の他の成分、例えば、水不溶性繊維、薬用成分、着色剤も、本発明に影響を及ぼさない程度であれば含むことができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合せて用いてもよい。
上記水不溶性繊維、薬用成分、着色剤の含有量は、崩壊感触の観点から、ゼオライト及び水溶性無機結合剤の合計量100質量部に対して、合計で3質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましく、配合しないことが殊更に好ましい。
本発明で用いる顆粒(A)は、例えば、ゼオライト、水溶性無機結合剤、及び水をバッチ式、連続式、セミバッチ式等により混合して水スラリーを調製し、次いで得られた水スラリーを乾燥することにより製造される。顆粒(A)は、通常、ゼオライト、水溶性無機結合剤及び水を混合して水スラリーを調製し、これを乾燥させる工程を経ることにより製造される。かかる水溶性無機結合剤、なかでも珪酸ナトリウムは、この水スラリー乾燥時に、好ましくは水スラリーを噴霧乾燥する時に、水分の蒸発に伴って顆粒内に均一に分布し、顆粒の強度を高める機能を有する。
水溶性無機結合剤として珪酸ナトリウムを用いる場合、SiO2が28.0〜38.0質量%の水溶液であり、Na2Oが9.0〜19.0質量%であり、15℃でのボーメ度が40以上のものが好ましく、SiO2が28.0〜36.0質量%の水溶液であり、Na2Oが9.0〜15.0質量%であり、15℃でのボーメ度が40〜57のものがより好ましく、SiO2が28.0〜30.0質量%の水溶液であり、Na2Oが9.0〜10.0質量%であり、15℃でのボーメ度が40〜53のものがさらに好ましい。なお、ボーメ度は、JISZ8804(1960年9月1日制定、1994年3月1日最終改正)の記載に従って、測定することができる。
上述のような珪酸ナトリウム水溶液を用いる場合、水が含まれているため、さらに水を添加する必要がない場合もあるが、通常は、別途に水を添加することが好ましい。水の配合量は、生産性と所望の崩壊強度を得る観点から、水溶性無機結合剤水溶液の水も含めて、水スラリー中における固形分濃度が30〜60質量%になるように調整することが好ましく、40〜60質量%になるように調整することがより好ましい。
各成分の混合温度は、通常の室温程度であればよく、5〜40℃が好ましい。混合時間は固形分濃度がある程度均一になる時間であれば特に制限はないが、通常10〜300分間、好ましくは20〜180分間、好ましくは30〜120分間である。
水スラリーを乾燥する方法は、生産性の観点から、噴霧乾燥機、流動層乾燥機を用いる方法が好ましく、得られる顆粒の崩壊強度や顆粒の真球度及び熱効率の観点から、向流式噴霧乾燥塔等の噴霧乾燥法がより好ましい。
本発明の歯磨剤中における顆粒(A)の含有量は、口腔内で崩壊した後に後述する顆粒(B)と相まって、ブラッシングの荷重により歯面と顆粒との接触面積を十分に増大させて摩擦力を高め、歯垢及び汚れ除去効果を向上させる観点、及び口中で顆粒の触知ができてみぞれ状の感触(シャリシャリ感)を付与する観点から、好ましくは1〜25質量%であり、より好ましくは3〜15質量%であり、さらに好ましくは5〜11質量%である。なお、歯磨剤中における顆粒(A)の含有量は、顆粒(A)を歯磨剤から抽出し、溶剤で洗浄し、水分を加熱乾燥等で除いたものを測定したものである。
本発明の歯磨剤は、上記顆粒(A)を含有するとともに、顆粒(A)よりも湿式崩壊強度の高い顆粒(B)を含有する。これにより、本発明の歯磨剤を使用した際、口腔内において湿式崩壊強度が適度に低く、かつ崩壊に対する適度な耐久性を有する顆粒(A)が先に崩壊し、その後、顆粒(A)より湿式崩壊強度の高い顆粒(B)が顆粒(A)崩壊物の存在下にて崩壊することとなり、歯面と顆粒との接触面積が飛躍的に増大し、歯を磨いている過程で生じる歯面と顆粒との間の摩擦力が顕著に高まり、歯垢又は汚れ除去性能を著しく向上させることができる。このような成分(B)の顆粒としては、水不溶性粉末材料を含み、かつ結合剤を含まない顆粒(b−1)、及び/又は水不溶性粉末材料及び水不溶性結合剤を含む顆粒(b−2)が好ましい。
顆粒(B)として用いることのできる顆粒(b−1)は、水不溶性粉末材料を含み、かつ結合剤を含まない顆粒である。かかる水不溶性粉末材料としては、シリカ、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、なかでも、顆粒(b−1)に用いられる水不溶性粉体材料としては、結合剤を含むことなく容易に顆粒状にできる観点から、シリカがより好ましい。なお、かかる結合剤とは、有機結合剤及び無機結合剤に限られず、かつ水溶性結合剤のみならず水不溶性結合剤をも意味する。
このように、結合剤を使用することなく顆粒(b−1)を製造することにより、コスト削減を図ることができるだけでなく、顆粒(A)と混在させることで、湿式崩壊強度が適度に低く且つ崩壊に対する適度な耐久性を有する顆粒(A)が先に崩壊し、その後、顆粒(A)より湿式崩壊強度の高い顆粒(B)が、顆粒(A)崩壊物の存在下にて崩壊するため、歯面と顆粒との接触面積の増大に寄与することができ、さらに口中で触知し得る程度の顆粒の硬度や大きさを容易に調整することも可能となる。
なかでも、顆粒(b−1)は、ブラッシングの荷重によって急速に崩壊するのではなく、形状が徐々に変化してから崩壊することにより、湿式崩壊強度が適度に低く、かつ崩壊に対する適度な耐久性を有する顆粒(A)が先に崩壊し、その後、顆粒(A)より湿式崩壊強度の高い顆粒(B)も徐々に変形しながら、顆粒(A)崩壊物の存在下にて崩壊するため、歯面と顆粒との接触面積を増大させ、歯面と顆粒との間に生じる摩擦力を飛躍的に高め、かつ持続させることができるものと考えられる。かかる観点から、顆粒(b−1)の変形率は、好ましくは20〜70%であり、より好ましくは30〜60%であり、さらに好ましくは40〜55である。なお、顆粒(b−1)の変形率は、顆粒(A)の変形率と同様の方法により算出される値を意味する。
顆粒(b−1)は、顆粒(b−1)の70〜100%が球形であるのが好ましく、80〜100%が球形であるのがより好ましい。球形とは、全体形状が球形と判断できない陥没部や凸部のない概ね滑らかな表面を有し、目視で縦方向と幅方向の径が概ね等しいものをいう。なお、顆粒が混合等によって欠けていると認められる場合、欠けた部分を補充した仮想表面により全体形状を判断し、全体形状が球形と判断したものを球形とする。そして、目視した複数個(50〜100個)の顆粒のうち、球形と判断される顆粒の数量比を示す。具体的には、顆粒をランダムに複数個サンプリングし、マイクロスコープ(例えば、KEYENCE、デジタル高精細マイクロスコープ)により200〜300倍で目視した場合に、表面がなめらかな球形、又は欠けていると判断され欠けた部分を仮想表面で覆った場合に球形と判断される顆粒の数が全顆粒に占める数量比を示す。なお、欠けているか否かは、欠けた部分の表面状態がなめらかでないことから判断される。
顆粒(b−1)の湿式崩壊強度は、歯磨剤に配合して使用したとき、口中で顆粒を触知でき、効果感を認識できるにもかかわらず、また歯を傷つけることなく歯垢又は汚れの除去力を有する観点から、顆粒(A)の崩壊強度より高い値であることを条件として、好ましくは51〜90%であり、より好ましくは56〜85%であり、さらに好ましく60〜80%である。なお、顆粒(b−1)の湿式崩壊強度は、顆粒(A)の湿式崩壊強度と同様の方法により測定される。
また、顆粒(b−1)の崩壊強度は、口中で顆粒を触知でき、かつ歯を傷つけることなくブラッシングにより崩壊する観点から、0.1〜100gf/個であることが好ましく、顆粒感を得る観点から5gf/個以上であることが好ましく、さらに10gf/個以上であることが好ましく、違和感や異物感を防止する観点からは、50gf/個以下であることが好ましく、さらに35gf/個以下であることが好ましい。なお、顆粒(b−1)の崩壊強度は、顆粒(A)の崩壊強度と同様の方法により測定される。
顆粒(b−1)の平均粒径は、好ましくは100〜300μmであり、より好ましくは150〜250μmである。なお、顆粒(b−1)の平均粒径は、顆粒(A)の平均粒径と同様の方法により算出される値を意味する。
顆粒(b−1)には、さらに上記の水不溶性粉体材料のほか、水不溶性繊維、薬用成分、着色剤を含んでもよい。
顆粒(b−1)は、湿式法により製造されるのが好ましく、具体的には、沈降法又はゲル法により製造されるのが好ましく、ゲル法により製造されるのがより好ましい。例えば、不溶性粉体材料としてシリカを用いて湿式法のゲル法により製造する場合、水アルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸との中和反応により合成する方法であってもよく、一般的にはケイ酸ナトリウムと硫酸が用いられるが、いずれを用いてもよい。より具体的には、まずアルカリ金属とケイ酸塩と鉱酸を混合してシリカゾルを生成する工程と、シリカゾルをゲル化してシリカヒドロゲルを得る工程と、得られたシリカヒドロゲルを乾燥する工程によって行なわれる。シリカヒドロゲルを球状化するには、例えば、予めpHの調整されているシリカヒドロゲルをこれとは非親和性の油のような媒体中に懸濁させ、懸濁中に固化させて不純物を洗浄除去後、乾燥させる方法や、シリカヒドロゾルを空気中に噴霧させてゲル化し、不純物を洗浄除去後、乾燥する方法を用いることができる。
顆粒(B)として用いることのできる顆粒(b−2)は、水不溶性粉末材料及び水不溶性結合剤を含む顆粒である。このように、顆粒(b−2)を顆粒(A)と混在させることで、湿式崩壊強度が適度に低く、かつ崩壊に対する適度な耐久性を有する顆粒(A)が先に崩壊し、その後、顆粒(A)より湿式崩壊強度の高い顆粒(B)が、顆粒(A)崩壊物の存在下にて崩壊するため、歯面と顆粒との接触面積の増大に寄与することができ、さらに口中で触知し得る程度の顆粒の硬度や大きさを容易に調整することも可能となる。
かかる水不溶性粉体材料としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、なかでも、顆粒(b−2)に用いられる水不溶性粉体材料としては、弱アルカリ性であって歯垢除去効果に優れる観点から、炭酸カルシウムが好ましい。水不溶性粉体材料として炭酸カルシウムを用いる場合、その平均粒径は、顆粒崩壊後の歯の汚れ除去力及び異物感を感じさせないという観点から、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmである。この平均粒径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。また、炭酸カルシウムの比表面積は、汚れ除去力の観点から、1〜10m2/gが好ましく、2〜8m2/gがより好ましい。なお、この比表面積はN2ガス吸着によるBET法により求めることができる。
顆粒(b−2)に含まれる水不溶性結合剤としては、水不溶性無機結合剤や水不溶性有機結合剤等が挙げられる。なかでも、造粒時における操作性等の点から、水不溶性無機結合剤が好ましく、具体的には、コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミナゾルが挙げられ、コロイダルシリカ等の水酸基を有するケイ素系化合物がより好ましい。
かかる顆粒(b−2)は、結合剤が偏在して顆粒の外殻を形成しているため、適度な強度を有しながら良好な崩壊性を発揮することができ、湿式崩壊強度が適度に低く、かつ崩壊に対する適度な耐久性を有する顆粒(A)が先に崩壊し、その後、顆粒(A)崩壊物の存在下にて、顆粒(A)より湿式崩壊強度の高い顆粒(B)の外殻が一挙に崩壊するため、歯面と顆粒との間に生じる摩擦力を一挙に高めて優れた顆粒感を発揮することができる。
顆粒(b−2)の湿式崩壊強度は、歯磨剤に配合して使用したとき、口中で顆粒を触知でき、効果感を認識できるにもかかわらず、また歯を傷つけることなく歯垢又は汚れの除去力を有する観点から、顆粒(A)の崩壊強度より高い値であることを条件として、好ましくは40〜90%であり、より好ましくは44〜85%であり、さらに好ましく50〜80%である。なお、顆粒(b−1)の湿式崩壊強度は、顆粒(A)の湿式崩壊強度と同様の方法により測定される。
また、顆粒(b−2)の崩壊強度は、口中で顆粒を触知でき、かつ歯を傷つけることなくブラッシングにより崩壊する観点から、具体的には0.1〜10gf/個であることが好ましく、顆粒感を得る観点から7gf/個以上であることが好ましく、違和感や異物感を防止する観点からは、9gf/個以下であることが好ましい。なお、顆粒(b−2)の崩壊強度は、顆粒(A)の崩壊強度と同様の方法により測定される
顆粒(b−2)には、さらに上記水不溶性粉体材料及び水不溶性結合剤のほか、水不溶性繊維、薬用成分、着色剤を含んでもよい。
顆粒(b−2)の製造方法は、例えば、水不溶性粉末材料と水不溶性結合剤とをバッチ式、連続式、セミバッチ式等により混合し、水スラリーを調製した後、乾燥することにより製造される。乾燥には、生産性の点から、噴霧乾燥機、流動層乾燥機を用いるのが好ましく、噴霧乾燥機がより好ましい。次いで、顆粒(b−2)の崩壊強度を増大させる観点から、さらにエージング処理に付するのが好ましい。
本発明の歯磨剤中に用いる顆粒(B)としては、顆粒(b−1)及び顆粒(b−2)のいずれか一方のみを用いてもよく、双方を併用してもよい。なかでも、顆粒(A)と相まって、口腔内で崩壊しつつ顆粒と歯面との接触面積を効果的に増大させ、かつその状態を維持する観点から、顆粒(B)として顆粒(b−1)を用いるのが好ましい。
本発明の歯磨剤中における顆粒(B)の含有量は、口腔内で崩壊する顆粒(A)と相まって、ブラッシングの荷重により歯面と顆粒との接触面積を十分に増大させる観点から、顆粒(b−1)及び顆粒(b−2)の合計で、好ましくは0.2〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。なお、歯磨剤中における顆粒(B)の含有量は、顆粒(B)を歯磨剤から抽出し、溶剤で洗浄し、水分を加熱乾燥等で除いたものを測定したものである。
本発明の歯磨剤中における顆粒(A)の含有量と顆粒(B)の合計含有量との質量比(A:B)は、口腔内で互いの顆粒が崩壊しながら顆粒と歯面との摩擦力を効果的に高める観点から、好ましくは1.7:1〜10:1であり、より好ましくは1.5:1〜8:1であり、さらに好ましくは1.3:1〜6:1である。
本発明の歯磨剤の調製は常法により行うことができる。この際、顆粒(A)及び顆粒(B)以外の他の成分として、歯磨剤に通常使用される成分、例えば、粘結剤、湿潤剤、甘味剤、界面活性剤、防腐剤、香料、薬用成分、着色剤、賦形剤、水等を含有させることができる。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、増粘性シリカ、モンモリロナイト、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、グアガム、ペクチン等が挙げられる。本発明の歯磨剤中における粘結剤の含有量は、口腔内で崩壊する顆粒(A)と相まって、ブラッシングの荷重により歯面と顆粒との接触面積を十分に増大させる観点から、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。
湿潤剤としては、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等が挙げられ、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、タイマチン(ソーマチン)、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。本発明の歯磨剤中における湿潤剤の含有量は、口腔内で崩壊する顆粒(A)と相まって、ブラッシングの荷重により歯面と顆粒との接触面積を十分に増大させる観点から、好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは5〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。
上記成分は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の歯磨剤中における水の含有量は、歯磨剤中では顆粒の形態や強度を良好に保持しつつ、ブラッシング時には良好な崩壊性を発揮し、特定の顆粒が混在することで顆粒崩壊時に歯面と顆粒との接触面積が飛躍的に増大して摩擦力が高められて歯と歯の隙間の狭小な領域から歯垢や汚れが押し出され、優れた歯垢除去効果及び着色汚れ等の汚れ除去効果を発揮することができる点から、本発明の歯磨剤中に、好ましくは10〜65質量%であり、さらに好ましくは20〜55質量%である。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
なお、各物性値の測定は、以下の方法により行った。
(1)水不溶性粉末及び珪酸ナトリウム水溶液の固形分
赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、FD240)を用い、105℃、Autoの条件で測定した揮発自由水分を除くことで算出した。
(2)顆粒の平均粒径
JISZ8801−1(2000年5月20日制定、2006年11月20日最終改正)規定の2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μmの篩を用いて5分間振動させた後、篩分け法による篩下重量分布について50%平均径を算出し、これを平均粒径とする。
(3)顆粒の崩壊強度
微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、商品名:MCTM−500)を用いて平均粒径付近の顆粒を10個測定し、平均値で表した。
(4)顆粒の湿式崩壊強度
まず、JISZ8801−1規定の500、355、250、180、150、125、90、63、45μmの篩を用いて5分間振動させた後、150〜180μm粒度の顆粒をサンプル(崩壊前の顆粒)として秤量した。次に、スクリュー管(株式会社マルエム製、No.6)に、ステンレス球(直径4mm)を15g、顆粒サンプルを3g、イオン交換水を30mL投入し、1度逆さにした。その後、30分間静置し、錠剤摩損試験機(萱垣医理科工業株式会社製)にて、75r/minで2分30秒間回転させた。
得られた顆粒サンプル(崩壊後の顆粒)を150μmの篩で濾過し、105℃、30分間乾燥した後、デシケーターで常温に冷まし、150μmの篩をミクロ型電磁振動機(筒井理化学器械株式会社製、ミクロ型電磁振動ふるい器、M−2)にて振動強度5.5、1分間振盪させ、その後秤量した。以下の計算式にて算出した値を湿式崩壊強度とした。
湿式崩壊強度(%)=150μm篩に残留する崩壊後の顆粒質量÷崩壊前の顆粒質量×100
(5)顆粒の崩壊前後におけるpHの変化
顆粒(A)を2g取り、イオン交換水を20mL投入し、得られた液をpHメーターで測定し、安定した(約1分程度)時点の値を顆粒崩壊前のpH(10%希釈液)の値とした。その後、スターラーピースを投入し、30分間撹拌した後、上記同様な条件で測定した値を顆粒崩壊後のpH(10%希釈液)の値とした。
(6)顆粒の吸水量
8gの顆粒を50mLビーカーに測り取り、イオン交換水を少量ずつ滴下、顆粒表面に離水が発生した時点の水の質量を秤量した。以下の計算式にて算出した値を吸水率とした。
吸水率(%)=(顆粒表面に離水が発生した時点の水の質量(g)÷8(g)×100
(7)顆粒の変形率
微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、商品名:MCTM−500)を用い、平均粒径付近の顆粒を荷重3.0gf/個にて圧縮した時に得られた崩壊までの形状変位値を崩壊時の顆粒の形状変位とし、以下の計算式(II)にて算出した値を変形率とした。
変形率(%)=崩壊時の顆粒の形状変位(μm)÷崩壊前の顆粒の粒子径(μm)×100・・・(II)
なお、本発明の歯磨剤に配合された顆粒(A)の顆粒組成、顆粒の平均粒径、顆粒の崩壊強度、顆粒の湿式崩壊強度、顆粒の吸水量、及び変形率は、歯磨剤から抽出し、溶剤で洗浄し、水分を加熱乾燥等で除いたものを測定したものである。
[製造例1]
表1に示す配合割合で、ゼオライト(ゼオビルダー株式会社製、商品名:ゼオライト(パウダー)、固形分91.9%、平均粒径約3μm)と、珪酸ナトリウム水溶液(富士化学株式会社製、商品名:3号珪酸ソーダ(前記式(I)で表されるモル比:3.0〜3.3、ボーメ度:40〜53)、固形分:54.3%)と、水とを、ディスパー翼(アシザワ・ニロアトマイザー株式会社製、型式:HS−P3)で混合し、固形分が47.8%の水スラリーを得た。なお、水スラリー調製は、先ず混合槽に水を投入し、次いで珪酸ナトリウム水溶液を投入し、次にゼオライトを添加し、混合することによって行った。
得られた水スラリーを、送風温度190℃で噴霧乾燥した後、室温条件下に置き、珪酸ナトリウムを4質量%含有する、表2に示す顆粒特性を有する顆粒(A)を得た。
[製造例2]
湿式法(ゲル法)により顆粒(b−1)を調製した。具体的には、まず、珪酸ナトリウムと硫酸とを混合してシリカゾルを生成し、これを空気中に噴霧させてゲル化させて球状化した。次いで、得られた球状シリカヒドロゲルを水洗により不純物を除去し、pH9.0の水溶液中で90℃、8時間、水熱処理した後、ろ過し、温度110℃で90秒間、気流乾燥し、分級(150〜500μm)して、表2に示す顆粒特性を有する顆粒(b−1)を得た。
[製造例3]
炭酸カルシウム(東洋電化工業株式会社製、商品名:トヨホワイト、固形分99.7%、平均粒径約2μm、比表面積約4m2/g)と、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックスS、固形分:30.5%)と、セルロース(日本製紙ケミカル株式会社製:KCフロック、固形分:95.0%)と、水とを、表1に示すスラリー組成割合でディスパー翼にて混合し、水スラリーを得た。なお、水スラリー調製は、先ず混合槽に水を投入し、次いでコロイダルシリカを投入し、次に炭酸カルシウムを添加し、更にセルロースを添加し、混合することによって行った。
得られた水スラリーを送風温度190℃で噴霧乾燥し、ポリエチレンのチャック付き袋(商品名:ユニパック)に入れ、温度30℃の条件下で7日保管して、表2に示す顆粒特性を有する顆粒(b−2)を得た。
[実施例1〜2、比較例1〜4]
製造例1〜3で得られた顆粒を用い、表3に示す組成の歯磨剤を製造して、下記方法にしたがって、顆粒と歯面との摩擦力の測定、顆粒感、歯垢除去効果及び顆粒配合の有無における歯磨剤のpHの変化の評価を行った。結果を表4に示す。
(1)顆粒と歯面との摩擦力の測定方法
ブラッシングマシーンの試験台の刷掃対象物をハブラシで刷掃した際の、ブラッシングマシーンの歯ブラシの保持部の上下方向の変位量、ハブラシの保持部の試験台の移動方向における変位量(図1の支点を中心としたひずみ量)を測定することにより、顆粒と歯面との間に生じる摩擦力を求めた。刷掃条件としては、刷掃対象物を表面が平らなアクリル板とし、ハブラシはチェックスタンダード(花王(株)製)を用い、ハブラシへの荷重を100gとし、試験台の移動条件は速度60rpm、ストローク幅30mmとした。
具体的には、ブラッシングマシーンの試験台の刷掃対象物に各歯磨剤1gを希釈せずに塗布して試験を行った摩擦力から、刷掃対象物に各歯磨剤を塗布せずに行った場合の摩擦力を引いた値を、顆粒と歯面との間に生じる摩擦力とした。
なお、顆粒と歯面との摩擦力の測定結果について、比較例1の歯磨剤における値を100とした指数で表し、グラフ化した結果を図1に示す。
(2)顆粒感の評価方法
パネラー:10名により、1種類ずつ渡して評価項目をモナディック評価する。
使用方法:いつもの歯磨剤に変え、評価サンプルを一定量取りブラッシングする。
評価項目:
1.全体評価
2.粒の感じ
3.粒硬さの感じ
4.歯がツルツルする感じ
5.汚れが落ちた感じ
(良い評価〜悪い評価:5点、4点、3点、2点、1点)
上記10名の評価の合計点数を表記する。
(3)歯垢又は汚れ除去効果の評価方法
歯間モデル(φ4のパスツールピペットを5本並べ接着固定)の溝に赤い口紅(オーブ:RD305、(花王(株)製))を塗り込む。その後、余分な口紅をハブラシ(毛先が球(登録商標):ふつう)と食洗でブラッシング洗浄(赤色が出なくなるまで)した。各種歯磨きサンプルをモデルの上に一定量取り、口紅が落ちなくなるまで刷掃行った。モデルに残った口紅をエタノール90mLで10分間超音波洗浄し、注出液を540nmにて吸光度測定(Abs)した。
なお、コントロール(初期値)として、上記ブラッシング洗浄後、エタノール90mLで10分間超音波洗浄した注出液を用いた。評価モデル1の歯垢又は汚れ除去率(%)は、コントロールの吸光度(X0)に対する各歯磨剤での評価後の吸光度(X)の減少率((X0−X)/X0)×100)から算出した。
(4)顆粒の崩壊前後における歯磨剤のpHの変化
各歯磨剤を2g取り、イオン交換水を20mL投入し、30分間撹拌した後、得られた液をpHメーターで測定し、安定した(約1分程度)時点の値を顆粒崩壊後の歯磨剤のpH(10倍希釈)の値とした。
また、JISZ8801−1規定の45μmの篩を用いて各歯磨剤をろ過した後、得られた歯磨剤を2g取り、上記同様の条件で測定した値を顆粒崩壊前の歯磨剤のpH(10倍希釈)の値とした。
図1及び表4の結果によれば、顆粒(A)と顆粒(b−1)又は顆粒(b−2)とを併用した実施例1〜2は、各々の顆粒を単独で用いた比較例1〜3、及び顆粒(b−1)又は顆粒(b−2)とを併用した比較例4に比べ、顆粒と歯面との摩擦力が顕著に高まり、優れた歯垢除去効果を発揮するとともに、良好な顆粒感を有することがわかる。また、顆粒(A)は、崩壊時に歯磨剤のpHを増加させる作用があることもわかる。

Claims (6)

  1. 次の成分(A)並びに(B):
    (A)ゼオライト及び珪酸ナトリウムを含み、ゼオライトの含有量が75〜99質量%であり、ゼオライトに対する珪酸ナトリウムの質量比が0.005〜0.30であり、かつ湿式崩壊強度が10〜55%の顆粒、並びに
    (B)顆粒(A)よりも湿式崩壊強度が高く、水不溶性粉末材料を含み結合剤を含まず、かつ湿式崩壊強度が51〜90%の顆粒(b−1)、及び/又は顆粒(A)よりも湿式崩壊強度が高く、水不溶性粉末材料及び水不溶性結合剤を含み、かつ湿式崩壊強度が40〜90%の顆粒(b−2)である顆粒
    を含有する歯磨剤。
  2. 成分(A)と成分(B)の質量比(A:B)が、1.7:1〜10:1である請求項1に記載の歯磨剤。
  3. 顆粒(b−1)に含まれる水不溶性粉末材料が、シリカ、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、又は硫酸カルシウムである請求項1又は2に記載の歯磨剤。
  4. 顆粒(b−1)は、70〜100%が球形である請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯磨剤。
  5. 顆粒(b−1)の崩壊強度が、0.1〜100gf/個である請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯磨剤。
  6. 成分(b−1)の顆粒において、該顆粒を荷重3.0gf/個にて圧縮した時の崩壊時の形状変位から得られる式(II)で表される粒子の変形率が、51〜90%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯磨剤。
    変形率(%)=崩壊時の顆粒の形状変位(μm)/崩壊前の顆粒の粒子径(μm)×100・・・(II)
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