JP5627074B2 - 歯磨剤組成物 - Google Patents

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本発明は、顆粒含有歯磨剤組成物に関する。
歯磨剤には、従来から歯垢を除去する目的で研磨性粉体が配合されているが、さらに歯垢除去効果を高める目的で、種々の顆粒及びこれを配合した歯磨剤が数多く報告されている。これらの顆粒としては、研磨性粉体として使用する水不溶性粉末材料を無機結合剤で結着させて得られる崩壊強度が0.1〜10g/個のもの(特許文献1)、又は水不溶性粉末材料を油脂や高級脂肪酸等の有機結合剤で結着させて得られる崩壊強度が0.1〜50g/個のもの(特許文献2)が知られている。また、ソフトな使用感を得るために、セルロース粉末に糖類や多糖類等の水溶性物質を結合剤に用いたもの(特許文献3)がある。さらに、結合剤を含まないものとして、2種類以上の粒子径の異なる粒子を凝集させて得られるもの(特許文献4)、板状構造を有した炭酸カルシウムの一次粒子を球状に凝集させたもの(特許文献5)、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmである炭酸カルシウム微粒子を結合したもの(特許文献6)、水不溶性無機結合剤と水不溶性繊維を併用したもの(特許文献7)等が知られている。
特開平1−299211号公報 特開平4−243815号公報 特開平11−236324号公報 特表平10−506885号公報 特開平10−59716号公報 特開2002−275041号公報 特開2009−242241号公報
しかしながら、従来の研磨性粉体や上記の顆粒を配合した歯磨剤よりも、さらに汚れ除去能が高く、微小な歯表面(以下、歯面ともいう)のミクロの汚れの除去能のある歯磨剤が求められていた。
従って、本発明の課題は、歯面のミクロの汚れ除去能に優れる歯磨剤を提供することにある。
本発明者は、まず、通常の歯磨剤で歯のミクロの汚れが十分に除去できない原因について検討したところ、歯の表面には周波条と呼ばれる規則正しい間隔を持った縞模様(エナメル質の発育線)が存在し、通常の歯磨剤では、この周波条のミクロな溝にある汚れ(ミクロ汚れ)を十分に除去できないことに基づくものであることが判明した。そこで当該周波条に残存する汚れを除去することができる歯磨剤を開発すべく種々検討したところ、一定の粒子径を有する顆粒と、粘度が低く通常粘結剤としては使用されないエーテル化度が低い0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩とを組み合せて配合することにより、歯面のミクロ汚れ除去能に優れた歯磨剤組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)粒子径が20〜500μmの顆粒1〜50質量%、及び(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩0.1〜5質量%を含有する歯磨剤組成物を提供するものである。
本発明の歯磨剤組成物を用いれば、歯面のミクロ汚れを十分に除去できるため、むし歯や歯周病が防止できるだけでなく、歯の高い美白効果も得られる。
評価に用いたブラッシングマシーンの概略図を示す。 歯垢量の測定箇所を概略図で示す。 摩擦力試験結果を示す。 平面の着色汚れ除去能試験結果を示す。 歯垢除去能試験結果を示す。
本発明歯磨剤組成物は、粒子径が20〜500μmの顆粒(A)を含有する。歯磨剤組成物に配合される一般的な無水ケイ酸、重質炭酸カルシウム等の研磨性粉体(研磨剤として市販されている)の平均粒子径が10μm以下であるのに対して、ブラッシングによる摩擦力を得る点、歯垢除去力を向上させる点から、本発明は、粒子径が20〜500μmの顆粒を1〜50質量%含有し、好ましくは25〜300μmの顆粒、さらに好ましくは25〜250μmの顆粒を1〜50質量%含有する。このような顆粒と(B)エーテル化度が0.1〜0.5であるカルボキシメチルセルロース又はその塩とを併用することにより、歯面のミクロ汚れを効果的に除去できる。
本発明の(A)顆粒は、崩壊強度が1〜20g/個である崩壊性顆粒であることが好ましい。この崩壊強度の範囲は、歯ブラシでブラッシングしている過程で徐々に崩壊できる強度であり、このような崩壊強度により、口中で顆粒を触知して、歯ブラシによるブラッシングによる歯垢除去能、摩擦の効果を認識することができる。崩壊強度は、歯面への適度な摩擦力の点から、2〜15g/個が好ましく、特に5〜15g/個であるのが好ましい。ここで崩壊強度は、微小圧縮試験機(島津製作所、MCTM−500)を用いて、粒子径(180〜200μm)の顆粒を10個〜20個測定した平均値で表される。さらに顆粒が崩壊性顆粒である場合は、練り歯磨剤に配合された場合(湿潤状態)においても同様の崩壊強度を有することが好ましい。すなわち歯磨剤を使用したとき、口の中での顆粒を触知でき、効果感を認識できるにもかかわらず、異物感をほとんど感ずることなく、また歯を傷つけることなく歯垢除去力、着色汚れ除去力を有する点で1〜20g/個の湿潤強度が好ましく、特に5〜15g/個の湿潤強度が望ましい。なお、湿潤強度は、歯磨剤組成物中の顆粒を抽出して洗浄した顆粒(粒子径が180〜200μm)を、上記の微小圧縮試験機を用いて、10〜20個測定した平均値で表される。
本発明で用いる(A)顆粒は、粒子径が20〜90μmの顆粒を配合することが好ましい。粒子径20〜90μmの顆粒は、粒子径が90μm以上の顆粒、好ましくは粒子径が90〜500μmの顆粒を粉砕したものが好ましく、このような粉砕顆粒を含有することによりさらに歯垢除去能を向上させることができる。粒子径が20〜90μmの顆粒は、歯磨組成物中で(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩と複数の顆粒とが塊状になって歯垢除去能を上げる点から、平均粒子径が20〜70μmが好ましく、さらに平均粒子径が25〜50μmが好ましい。
(A)顆粒が崩壊性顆粒の場合には、口の中での顆粒を触知でき、効果感を認識できるにもかかわらず、異物感をほとんど感ずることなく、歯垢除去力及び着色汚れ除去力を有する点で、粒子径20〜500μmの顆粒の平均粒子径は90〜400μmであることが好ましく、効果的に顆粒が崩壊することを考慮すると、より好ましくは平均粒子径70〜300μmであり、さらに平均粒子径90〜250μmが好ましい。ここで、顆粒の粒子径及び平均粒子径は、ふるい分け法(音波篩、筒井理化学SW−20−AT)により測定した値をいう。
(A)顆粒が崩壊性顆粒の場合には、歯磨剤組成物中で(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩と複数の崩壊した顆粒とが塊状になって、歯垢除去効果を上げる点から、粒子径が20〜70μmまで速やかに崩壊する顆粒が好ましく、特に、水不溶性繊維を含有する顆粒が好ましい。
本発明で用いる(A)顆粒は、特に制限されないが、(A1)研磨性粉体を有機系結合剤又は無機系結合剤、及び崩壊性を上げる点から水不溶性繊維等の成分、又は必要に応じて他の成分を配合して結着させて得られる顆粒(特許文献1〜3、7)、結合剤を用いない顆粒としては(A2)炭酸カルシウム微粒子を凝集させたり複合化して得られる顆粒(特許文献4〜6)、(A3)シリカを凝集させるゲル法、沈降法などの湿式法、又は噴霧造粒により得られる顆粒などが挙げられる。
(A)顆粒の製造に用いられる研磨性粉体としては、一般的に歯の研磨剤として用いられるもの、例えば第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、シリカ(研磨性シリカ)、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ゼオライト、複合アルミノケイ酸塩、炭酸マグネシウム等が挙げられる。このうち、清掃効果が高いこと、また取り扱いのしやすさや汎用性の点から、炭酸カルシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、ゼオライトが好ましく、炭酸カルシウムが特に好ましい。これら研磨性粉体は単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
研磨性粉体の平均粒子径は、研磨性及び歯を傷つけない点から、好ましくは0.1〜15μm、さらに0.5〜10μm、特に1〜10μmが好ましい。
顆粒中の研磨性粉体の含有量は、40〜94質量%が好ましく、研磨性及び顆粒が崩壊性顆粒である場合の崩壊性の点から、50〜85質量%がより好ましく、特に60〜85質量%が好ましい。
有機系結合剤としては、油脂及び合成高分子が挙げられ、油脂としては、ワックス、パラフィン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸及びそれらの塩等が挙げられる。合成高分子としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ヒドロキシメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、マレイン酸エステル、メチルビニルエーテル、α−オレフィン等からなるホモポリマー及びそれら2種以上の共重合体が挙げられる。
無機系結合剤としては、水不溶性結合剤が好ましく、当該水不溶性無機結合剤としては、例えばコロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、水酸化アルミニウムゲル、アルミナゾル、合成ヒドロタルサイト等が挙げられる。これらのうち、ケイ素系化合物が好ましく、なかでも、噴霧造粒法での操作性などの点からコロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウムが好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。これら無機結合剤は単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
顆粒中の結合剤の含有量は、5〜35質量%が好ましく、顆粒の強度と崩壊性顆粒の場合の崩壊性とのバランスの点から、10〜35質量%がより好ましく、特に10〜30質量%が好ましい。
また、本発明で用いる顆粒には、崩壊性を上げる(崩壊強度を下げる)点から水不溶性繊維を配合するのが好ましく、水不溶性繊維としては、水不溶性食物繊維が好ましく、例えばセルロース、水不溶性ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン等が挙げられ、このうち顆粒の崩壊性、歯垢除去性、着色汚れ除去性の点からセルロースが特に好ましい。セルロースは、パルプ等を原料として粉末状の乾燥品として精製されたセルロースのほか、加工処理により結晶構造が認められる微結晶粉末セルロース等の加工処理されたものであっても良い。また、前述のセルロースのほかに、植物を原料として精製されたビートファイバー、コーンファイバー、アップルファイバー等が挙げられる。これらはセルロース、水不溶性ヘミセルロース、リグニン等からなり、水溶性繊維を含有するものもあるが、水不溶性食物繊維であれば本発明の顆粒の形成、強度、及び崩壊性に影響を与えない範囲で使用可能である。
崩壊性顆粒中の水不溶性繊維の含有量は、1〜40質量%が好ましく、顆粒の崩壊性、歯垢除去性、着色汚れ除去性の点から、さらに2〜30質量%、さらに2〜25質量%、特に2〜20質量%が好ましい。
また、本発明の顆粒には顆粒の形成、強度、及び崩壊性顆粒の場合の崩壊性に影響を与えない範囲で他の成分を含有すること可能である。例えば、本発明の顆粒に酸化チタン、群青等の着色剤も含有させることができ、着色顆粒による審美的効果を歯磨剤に付加できる。着色剤は顆粒中、0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%含有するのが適当である。
これらの顆粒のうち、研磨性粉体40〜94質量%、水不溶性無機結合剤5〜35質量%を含有する顆粒が好ましく、さらに水不溶性繊維1〜40質量%を含有する崩壊性顆粒が好ましく、粒子径が20μm以上の顆粒の平均粒子径が25〜500μmである顆粒が特に好ましい。
本発明歯磨剤組成物中の(A)顆粒の含有量は、1〜50質量%が好ましく、さらに3〜30質量%であるのが、歯垢除去効果、口中での認知性の点で好ましい。
本発明歯磨剤組成物には、(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩が含まれる。一般的に、歯磨剤には粘結剤としてカルボキシメチルセルロース又はその塩が配合されるが、粘結剤として配合されるカルボキシメチルセルロース又はその塩のエーテル化度は1.0〜1.5であり、まれに用いられる低粘度のカルボキシメチルセルロース又はその塩でもそのエーテル化度は0.6〜0.8である。例えば、エーテル化度が0.2〜0.3のカルボキシメチルセルロースナトリウムの1%水溶液の25℃における粘度は、BM型粘度計 ロータNO.1 回転数60で測定した場合に30〜100mPa・sであるため、粘結剤としての機能を示さず、歯磨剤に粘結剤として使用されない。
本発明においては、エーテル化度が0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩は(A)顆粒と併用した場合に、優れた歯面のミクロ汚れ除去能を奏する。カルボキシメチルセルロース又はその塩のより好ましいエーテル化度は0.1〜0.4である。ここでエーテル化度とは、グルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度をいう。エーテル化度は、例えばCMC工業会分析法(灰化法)に従い得ることができる。カルボキシメチルセルロースナトリウム1gを精秤し、磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gあたりの滴定量YmLを次式に入れて計算し、求めたエーテル化度を示すことができる。
エーテル化度=(162×Y)/(10,000−80×Y)
カルボキシメチルセルロースの塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。
本発明歯磨剤組成物中の(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩の含有量は、歯面のミクロ汚れ除去能の点から0.1〜5質量%、さらに0.2〜2質量%が好ましい。(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩と(A)顆粒の含有量の重量比(B:A)は、1:10〜1:100が好ましく、さらに1:20〜1:50が好ましい。
本発明の歯磨剤組成物の基剤には、さらに粘結剤を含有することが好ましい。粘結剤として、例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度0.6〜1.5)、増粘性シリカ、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体が挙げられ、これらの群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。さらに、(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩による歯面のミクロ汚れ除去能の点から、カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度0.6〜1.5)、増粘性シリカ、カラギーナン及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
粘結剤の含有量は、歯磨剤組成物全体中に、通常0.1〜3.0質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%である。
本発明歯磨剤組成物の調製は常法に従って行われ、歯磨剤組成物の基剤に通常の歯磨剤に利用される他の成分を配合することができる。例えば一般に研磨剤として用いられている研磨性粉体、湿潤剤、甘味剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、香料等が使用できる。また薬用成分としてアラントイン、トラネキサム酸、ビタミンE、ビタミンC、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、グリチルレチン酸、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、トリクロロヒドロキシフェニルエーテル(トリクロサン)などが使用できる。
歯磨剤組成物の基剤に含有する研磨性粉体としては、前述の顆粒の製造に用いられるものと同じものが挙げられる。
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、キシリトール、マルチット、ラクチット、トレハロース等が好適に用いられる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ソーマチン、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸及びその塩(リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなど)、クエン酸及びその塩(クエン酸ナトリウム等)、リンゴ酸及びその塩、グルコン酸及びその塩、マレイン酸及びその塩、アスパラギン酸及びその塩、コハク酸及びその塩、グルクロン酸及びその塩、フマル酸及びその塩、グルタミン酸及びその塩、アジピン酸及びその塩、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが含まれる。pH調整剤の含有量は、所望のpHとなる限り特に制限されないが、歯磨剤組成物全体中に、好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%程度である。本発明の歯磨剤のpHは、本発明の効果が奏される限り特に制限されないが、通常4〜10程度である。
また、発泡剤としては、アニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を配合することができる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤における疎水基のアルキル基、アシル基は炭素数6〜18、特に10〜14のものが好ましい。また、その塩としてはナトリウム塩が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、発泡性が良く、また、安価に入手可能な点からアルキル硫酸エステル塩が特に好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、アルキルグリコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体等が挙げられる。このうち、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。脂肪酸を含む非イオン界面活性剤の脂肪酸部分としては、炭素数6〜24の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
界面活性剤は、本発明の歯磨剤組成物中に0.1〜5質量%含有することが好ましく、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、ペパーミント油、スペアミント油、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油等が挙げられる。
水の含有量は、剤形などに応じて適宜設定することができるが、歯磨剤組成物全体中に、通常0〜60質量%程度、好ましくは10〜50質量%程度である。
参考例1
(顆粒の製造)
炭酸カルシウム(平均粒子径2〜5μm、トヨホワイト(東洋電化工業(株))、コロイダルシリカ(スノーテックスSK、日産化学(株))、セルロース(KCフロック W−400G、日本製紙ケミカル(株))及び水を混合して水スラリーとし、噴霧造粒機により送風温度約200℃、排風温度80〜90℃で噴霧造粒した。得られた顆粒を90μm/500μm(粒子径90〜500μm)のふるいで分級した。噴霧乾燥後の顆粒1、顆粒4の組成を表1に示す。
また、崩壊強度は、顆粒1と顆粒4について粒子径(180〜200μm)の顆粒10個〜20個を、微小圧縮試験機(島津製作所、MCTM−500)を用いて測定して平均値を算出した。その結果を合わせて表1に示す。
顆粒2は、顆粒1を粉砕して粒子径が25〜50μmで平均粒子径が30μmの顆粒としたものである。顆粒3は、顆粒1を粉砕して粒子径が25〜90μmで平均粒子径が50μmの顆粒としたものである。
実施例1〜3、比較例1〜3
表2記載の処方の練歯磨剤を製造した。得られた歯磨剤について、摩擦力試験、歯面のミクロ汚れ除去能試験及び歯垢除去能試験を行った。
(評価方法)
(1)摩擦力試験
摩擦力は、図1に示すブラッシングマシーンの試験台の刷掃対象物をハブラシで刷掃した際の、ブラッシングマシーンの歯ブラシの保持部の上下方向の変位量、ハブラシの保持部の試験台の移動方向における変位量(図1の支点を中心としたひずみ量)を測定し、この変位量からソフトウェアNR-H7W(WAVE LOGGER)により摩擦力を求めた。
ブラッシングマシーンによる刷掃条件は、刷掃対象物を表面が平らなアクリル板とし、ハブラシはチェックスタンダード(花王)を用い、ハブラシへの荷重を200gとし、試験台の移動条件は速度90rpm、ストローク幅30mmとした。
摩擦力は、図1に示すブラッシングマシーンの試験台の刷掃対象物に実施例1、比較例1の歯磨剤1gを希釈せずに塗布して試験を行った摩擦力から、刷掃対象物に歯磨剤組成物を塗布せずに行った場合の摩擦力をひいて、それぞれの歯磨剤の摩擦力とした。
実施例1、比較例1、比較例3の平均粒子径250μmの顆粒1を含有する歯磨剤、実施例2、比較例2の平均粒子径30μmの顆粒2を含有する歯磨剤、実施例3の平均粒子径50μmの顆粒3を含有する歯磨剤について、摩擦力試験を行い、その結果を図3に示す。
(2)平面におけるモデル着色汚れ除去能試験
図1の試験台にアルミブロックを置き、アルミブロックの上面にえんぴつ硬度2Hの印刷インク(素材:カーボンブラック及びオレフィン樹脂)を厚さ10μmでシルクスクリーン印刷したビデオテープ(素材OPP、厚さ25μm)を取り付け、ビデオテープの上に実施例1、比較例1の歯磨剤を塗布し、刷掃を行う。刷掃後にビデオテープをデジタルカメラで撮影し、画像解析して評価領域における印刷インクが剥がれて印刷前のテープが露出した(白くなった)部分の面積(mm2)を計算し、汚れ除去面積とした。
刷掃条件は、荷重200g、速度120rpm、振幅30mmとし、刷掃回数120回、240回、360回、480回におけるビデオテープの印刷が剥がれた部分(白くなった部分)を確認し、汚れ除去面積を得た。歯ブラシはチェックスタンダード(花王)を使用した。
なお、ビデオテープのシルクスクリーン印刷は、平坦な面で歯ブラシのみで刷掃した場合でも所定の荷重をかければ印刷インクが剥がれて印刷前のテープが露出するものである。
(3)歯垢除去能試験
被験者3名について、実施例1、比較例1の歯磨剤を用いたブラッシングによる歯垢除去率を測定した。具体的には、被験者3名に、24時間ブラッシングを停止した後に、ブラッシング前の歯垢量とブラッシング後の歯垢量を測定した。歯垢量の測定部位は1名につき上下左右4本ずつの16歯であって(1番、4番、6番、7番の歯)、測定箇所は図2に示すように歯間に該当する4箇所と、平滑面に該当する6箇所の合計10箇所とした。歯垢量は、各測定箇所について図2に示すように歯に歯垢が付着している領域の歯肉からの高さによって定量した。ブラッシングの方法は、使用量、時間、磨き方は特定しないが、これらの条件について、各被験者について実施例と比較例の歯磨剤について同じ条件で行った。なお、ブラッシングには同じ歯ブラシ(チェックスタンダード(花王))を用いた。
歯垢除去率は(ブラッシング前の歯垢量−ブラッシング後の歯垢量)/ブラッシング前の歯垢量とし、各被験者の各歯についての歯垢除去率から平均値を求めた。
(結果)
(1)摩擦力試験結果を図3に示す。図3から明らかなように、エーテル化度が1.0〜1.5のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した比較例1、比較例2及びエーテル化度が0.6〜0.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した比較例3に比べて、エーテル化度が0.2〜0.3のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した実施例1〜3の摩擦力は、明らかに向上していることが認められた。
(2)着色汚れ除去能試験結果を図4に示す。図4から明らかなように、エーテル化度が1.0〜1.5のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した比較例1に比べて、エーテル化度が0.2〜0.3のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した実施例1の平面の着色汚れ除去能は顕著に向上していることが判明した。
(3)歯垢除去能試験を図5に示す。図5から明らかなように、エーテル化度が1.0〜1.5のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した比較例1に比べて、エーテル化度が0.2〜0.3のカルボキシメチルセルロースナトリウムと顆粒を配合した実施例1の歯垢除去能は、歯間については約5%向上し、歯面については14%向上していることが認められた。
実施例4 練歯磨剤
顆粒1 14.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム
(エーテル化度0.2〜0.3) 0.7
カルボキシメチルセルロースナトリウム
(エーテル化度1.0〜1.5) 0.5
シリカ *1 7
ソルビトール液(70%) 35
炭酸カルシウム(平均粒子径10μm) 5
サッカリンナトリウム 1.5
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
香料 1.0
精製水 バランス
合計 100
*1:サイロピュア25(富士シリシア) 増粘性シリカ
実施例5 練歯磨剤
顆粒1 14.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム
(エーテル化度0.2〜0.3) 1.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム
(エーテル化度1.0〜1.5) 0.5
シリカ *1 7
ソルビトール液(70%) 35
炭酸カルシウム(平均粒子径10μm) 5
サッカリンナトリウム 1.5
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
香料 1.0
精製水 バランス
合計 100
*1:サイロピュア25(富士シリシア) 増粘性シリカ
実施例6 練歯磨剤
顆粒3 *2 14.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム
(エーテル化度0.2〜0.3) 1.0
シリカ *1 7.5
ソルビトール液(70%) 35
炭酸カルシウム(平均粒子径10μm) 5
サッカリンナトリウム 1.5
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
香料 1.0
精製水 バランス
合計 100
*1:サイロピュア25(富士シリシア) 増粘性シリカ
*2:表1に示す顆粒3

Claims (5)

  1. (A)粒子径が20〜500μmの顆粒1〜50質量%(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩0.1〜5質量%、並びに(C)アルギン酸ナトリウム、エーテル化度0.6〜1.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる粘結剤0.2〜3.0質量%を含有する歯磨剤組成物。
  2. (B)カルボキシメチルセルロース又はその塩のエーテル化度が0.1〜0.4である請求項1記載の歯磨剤組成物。
  3. (A)顆粒が1〜20g/個の崩壊強度を有する崩壊性顆粒である請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
  4. さらに、増粘性シリカを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の練歯磨剤組成物
  5. (B)と(A)の質量比(B:A)が1:10〜1:100である請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
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