JP2013001650A - 歯磨組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】露出した象牙質の表面における象牙質細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することのできる歯磨組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):(A)炭素数12〜18の飽和脂肪酸基を由来とする脂肪酸二価金属塩(A−1)、炭素数12〜18の飽和脂肪酸アシル基を由来とする脂肪酸アシルリシン(A−2)、及び炭素数12〜18の飽和脂肪酸アシル基を由来とする脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A−3)から選ばれる水難溶性粉体 0.1〜2.0質量%、(B)平均粒径50〜500μmのハイドロゲル粒子 1.5〜15質量%、(C)水、並びに(D)粘結剤を含有する歯磨組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の水難溶性粉体を含有する歯磨組成物に関する。
象牙質知覚過敏症は、歯面に機械的、温度的或いは化学的刺激が与えられた際に疼痛が誘発される疾患である。歯周炎の進行や加齢、強い歯磨処理等によって、歯肉の退縮や歯牙のエナメル質の損傷が生じ、これらに被覆されていた歯牙の象牙質が露出することが要因となる。従来より、このような象牙質知覚過敏症を予防又は治療するために種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、重炭酸カリウム及び塩化カリウムの中から選択されたカリウム塩を有効量で施用する方法が開示されており、カリウムイオンの作用によって知覚神経自体の活動の低下を図り、疼痛を緩和させるものである。
一方、再石灰化を促進して歯を元の健康な状態に戻すことも、象牙質知覚過敏症の発症を抑制するのに寄与し得る。例えば、特許文献2には、再石灰化成分として、フッ素化合物と、酸化亜鉛やクエン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の水難溶性亜鉛化合物を含有する口腔用組成物が開示されている。
他方、象牙質知覚過敏症の発症メカニズムとしては、動水力学説、すなわち、露出した象牙質の表面では象牙質細管が開口し、外部からの刺激がこの開口部から象牙質細管内の組織液へと伝達され、組織液の流動が細管内の奥端部に位置する歯髄神経に到達して、疼痛が知覚されるという説が支持されている。こうした説に基づき、象牙質知覚過敏症の発症を抑制すべく、例えば、特許文献3には、アルミニウム化合物を含有する第一液と、リン酸化合物等を含有する助剤とに分離構成した知覚過敏症用塗布剤が開示されており、第一液と助剤との反応によってアルミニウム塩を沈着させることで、象牙質細管の開口部を物理的に封鎖する試みがなされている。また、特許文献4に開示されている象牙質知覚過敏予防・治療剤は、乳酸アルミニウム等の金属塩とポリオールリン酸エステル等との反応により形成されるコロイドによって、特許文献2に開示された口腔用組成物と同様に、象牙質細管の開口部における物理的な封鎖を図っている。
特表昭61−501389号公報 特開2000−247852号公報 特開平6−116153号公報 特開平5−117157号公報
しかしながら、特許文献1に記載の知覚神経の活動を低下させる方法は、知覚神経周辺のイオンバランスを変化させて神経を鈍感にさせるため、充分に疼痛を低減できないおそれがある。また、特許文献2に記載の口腔用組成物がもたらす再石灰化は緩和な作用であるため、象牙質知覚過敏症の発症を即効的に抑制するのは困難である。
こうしたことから、象牙質知覚過敏症の発現を防止する手段として、特許文献3、4に記載の剤のように、象牙質細管の開口部を封鎖して、象牙質細管内の組織液の流動を抑制することが提案されている。しかしながら、特許文献3は乳酸アルミニウム塩を形成させるため、この塩を象牙質細管の開口部に効果的に沈着させることは難しく、特許文献4に記載のコロイドによっても、象牙質細管の開口部を充分に封鎖することは難しい。
したがって、本発明の課題は、露出した象牙質の表面における象牙質細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することのできる歯磨組成物を提供することにある。
そこで本発明者らは、特定の脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、脂肪酸アシルタウリン二価金属塩から選ばれる水難溶性粉体と、ハイドロゲル粒子を水と粘結剤とともに併用することで、象牙質細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖することのできる歯磨組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩(A−1)、炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルリシン(A−2)、及び炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A−3)から選ばれる水難溶性粉体 0.1〜2.0質量%、
(B)平均粒径50〜500μmのハイドロゲル粒子 1.5〜15質量%、
(C)水、並びに
(D)粘結剤
を含有する歯磨組成物を提供するものである。
本発明の歯磨組成物によれば、歯ブラシ等を用いてブラッシングすることにより、露出した象牙質の表面に存在する象牙質細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖することができる。したがって、本発明の歯磨組成物を用いれば、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することが可能である。
図1(a)は、象牙質細管の開口部の殆どが露出している象牙質の表面のマイクロスコープ写真であり、図1(b)は、象牙質の開口部の殆どが封鎖されている象牙質の表面のマイクロスコープ写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の歯磨組成物は、炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩(A−1)、炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルリシン(A−2)、及び炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A−3)から選ばれる水難溶性粉体(A)を含有する。本発明で用いる水難溶性粉体(A)は、25℃において100gの水に対して溶解する量が0.1g未満である粉体であり、好ましくは溶解する量が0.05g未満である粉体、又は水に実質的に溶解しない粉体である。また、かかる水難溶性粉体(A)は、延展性に優れており、ブラッシングの際、歯ブラシ等の毛先が露出した象牙質の表面に直接的又は間接的に負荷をかけながら接触することで、歯磨組成物に含まれる水難溶性粉体(A)が象牙質細管の開口部を封鎖することができる。水難溶性粉体(A)は、延展して伸びが良いことから、本発明の歯磨組成物の使用により、象牙質細管の開口部の周辺に展着しながら延展すると考えられ、象牙質細管の開口部を効果的に封鎖することができる。
本発明の歯磨組成物は、脂肪酸二価金属塩(A−1)、脂肪酸アシルリシン(A−2)、脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A−3)から選ばれる水難溶性粉体(A)を、1種単独で含有することも2種以上で含有することも可能である。水難溶性粉体(A)の合計含有量は、象牙質細管の開口部の封鎖性及び良好な味を確保する点から、本発明の歯磨組成物中に、0.1〜2質量%であり、好ましくは0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.4〜1.2質量%である。
ここで、水難溶性粉体(A)とは、後述するハイドロゲル粒子(B)を除く歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体を意味し、ハイドロゲル粒子(B)中に含有される水難溶性粉体(水難溶性粉体(A')と称する)は除かれる。なお、歯磨組成物の基材とは、本発明の歯磨組成物を得るにあたり、ハイドロゲル粒子(B)を配合する前の、ハイドロゲル粒子(B)以外の成分が配合された予備組成物であり、かかる予備組成物にハイドロゲル粒子(B)を配合することによって本発明の歯磨組成物を得る。したがって、本発明の歯磨組成物中の水難溶性粉体(A)の含有量は、予備組成物にハイドロゲル粒子(B)を配合した後における、ハイドロゲル粒子(B)を含む本発明の歯磨組成物全質量中に占める予備組成物中の水難溶性粉体(A)の質量の割合である。
なお、後述するハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A)と同じ成分である水難溶性粉体(A')を含有させてもよいが、水難溶性粉体(A)による象牙質細管の開口部の封鎖性を向上させる点から、ハイドロゲル粒子(B)を除く歯磨組成物の基材にのみ水難溶性粉体(A)を含有させることが好ましく、歯磨組成物の基材及びハイドロゲル粒子(B)中の双方に各々水難溶性粉体(A)及び水難溶性粉体(A')を含有させることもできる。ハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A')を含有させる場合には、歯磨組成物の基材中の水難溶性粉体(A)の含有量aと、ハイドロゲル粒子(B)中の水難溶性粉体(A')の含有量bとの合計含有量(a+b)は、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.1〜2質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.4〜1.2質量%である。また、含有量aと含有量bとの合計含有量(a+b)中における含有量bの質量比(b/(a+b))は、好ましくは1/5以下であり、より好ましくは1/10以下である。
成分(A−1)の脂肪酸二価金属塩は、炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするものであり、2つの飽和脂肪酸と二価金属とから構成される。かかる飽和脂肪酸としては、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸がより好ましい。成分(A−1)を構成する2つの飽和脂肪酸は互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、二価金属としては、具体的には、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。なかでも、口腔内への適用性、延展性及びコスト面の点から、亜鉛、カルシウム、マグネシウムが好ましく、亜鉛、カルシウムがより好ましい。
成分(A−2)の炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基は、上述のような炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を分子内に有しており、なかでもN-飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有するアシルリシンが好ましい。かかる脂肪酸アシルリシン(A−2)としては、例えば、N−ラウロイルリシン、N−ミリストイルリシン、N−パルミトイルリシン、N−ステアロイルリシン等が挙げられ、このうち、感触に優れるN−ラウロイルリシンが好ましい。N−ラウロイルリシンは、市販品ではNε−ラウロイル−L−リシンとして、商品名アミホープLL(味の素(株)製)等を入手することができる。
成分(A−3)の炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルタウリン二価金属塩は、上述のような炭素数が12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基と、タウリン基とからなる脂肪酸アシルタウリン基を分子内に有しており、なかでも脂肪酸アシルタウリン基は、N-飽和脂肪酸アシルタウリン基が好ましい。かかる脂肪酸アシルタウリン基としては、例えば、N-ラウロイルタウリン、N-ミリストイルタウリン、N-パルミトイルタウリン、N-ステアリロイルタウリン等が挙げられ、使用感、象牙質細管の開口部封鎖性の点からN-ラウロイルタウリン基が好ましい。かかる脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A−3)の二価金属としては、カルシウム、亜鉛、マグネシウム等が好ましく、使用感、象牙質細管の開口部封鎖性の点から亜鉛、カルシウムが好ましく、さらにカルシウムが好ましい。
本発明の歯磨組成物は、平均粒径50〜500μmのハイドロゲル粒子(B)を含有する。本明細書において、「ハイドロゲル」とは、水を溶媒としてゲル化形成剤を配合して形成された含水膨潤体であって、水に不溶なものをいい、ゲル形成剤としては高分子が好ましく、天然系高分子化合物が好ましい。また、ハイドロゲル粒子(B)は、好ましくはハイロドゲルを覆う皮膜のないものであって、ハイドロゲル粒子中に、上記成分(A')の水難溶性粉体を含有するものであってもよい。
本発明において、ハイドロゲル粒子(B)に用いられるゲル形成剤としては、例えば、寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ファーセレラン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻抽出物;グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、タラガム、カシアガム等の植物種子粘質物質;ペクチン、アラビノガラクタン等の植物果実粘質物;キサンタンガム、スクレログルカン、プルラン、デキストラン、ジュランガム、カードラン等の微生物産生粘質物;ゼラチン、アルブミン、カゼイン等の動物蛋白質;大豆蛋白質、小麦蛋白質等の植物蛋白質;微結晶セルロース等のセルロース及びその誘導体;澱粉、澱粉リン酸エステル、澱粉グリコール酸エステル等の澱粉及びその誘導体が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。物理的に破壊されやすい脆いゲル粒子を形成する高分子として、κ−カラギーナン、寒天、ジュランガムが好ましく、寒天がさらに好ましい。
ハイドロゲル粒子(B)中のゲル形成剤の含有量は、ハイドロゲル粒子(B)を歯磨組成物へ配合する時の壊れを防止する観点から、ハイドロゲル粒子(B)中に、好ましくは0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜12質量%であり、さらに好ましくは2〜10質量%である。
ハイドロゲル粒子(B)は、ハイドロゲル粒子中に含有する油溶性成分や粉体が乳化又は分散した状態で安定に存在するように、分散剤又は乳化剤を含有することが好ましい。また、本発明の歯磨組成物の基材に水難溶性粉体(A)を含有するとともに、ハイドロゲル粒子(B)中にも水難溶性粉体(A')を含有することができる。水難溶性粉体(A')は歯磨組成物の基材に含有される上記水難溶性粉体(A)と同じ成分であり、(A')炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩(A'−1)、炭素数12〜18の脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルリシン(A'−2)、及び炭素数12〜18の脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A'−3)から選ばれる水難溶性粉体である。ハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A')を含有する場合、良好な味を確保する点から、ハイドロゲル粒子(B)中に、好ましくは0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜2質量%である。
ハイドロゲル粒子(B)に含有される分散剤又は乳化剤としては、高分子乳化分散剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が挙げられ、ハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A')を含有する場合には、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が好ましい。ハイドロゲル粒子(B)中の分散剤又は乳化剤の含有量は、ハイドロゲル粒子(B)中に0.005〜15質量%であることが好ましい。ハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A')を含有する場合の、ハイドロゲル粒子(B)中のアニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤の含有量は、ハイドロゲル粒子(B)における水溶解性粉体(A')の分散性及び安定性の点から、ハイドロゲル粒子(B)中に、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは1.5〜8質量%であり、さらに好ましくは2〜6質量%である。
ハイドロゲル粒子(B)に含有される高分子乳化分散剤としては、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ノベオン社製 商品名:ペムレンTR−2等:)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリルアミド、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物の酸化エチレン付加物等の合成高分子化合物、レシチン誘導体、澱粉誘導体、カゼイン、アラビアゴム等の天然高分子化合物などが挙げられる。このうち、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共合体が好ましい。
ハイドロゲル粒子(B)に含有される非イオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられ、ハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A')を含有する場合には、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸部分の炭素数が8〜16であるものが好ましい。ハイドロゲル粒子(B)に含有されるアニオン界面活性剤としては、炭素数10〜16のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル又はその塩が好ましく、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
ハイドロゲル粒子(B)中に水難溶性粉体(A')を含有する場合は、ハイドロゲル粒子(B)中の水難溶解性(A')の分散安定性の点から、さらにハイドロゲル粒子(B)中にグリセリンを含有することが好ましい。ハイドロゲル粒子(B)中にポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する場合は、さらにグリセリンを含有することが好ましい。ハイドロゲル粒子(B)中におけるグリセリンの含有量は、ハイドロゲル粒子(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキル硫酸エステルなどの界面活性剤の含有量との質量比(グリセリン:界面活性剤)が、1:0.8〜0.8:1であることが好ましい。
ハイドロゲル粒子(B)における水(C')の含有量は、適度なゲル強度を実現し、歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)の象牙質細管の開口部封鎖性を向上させる点から、ハイドロゲル粒子(B)中に、好ましくは75〜99質量%であり、より好ましくは80〜95質量%である。なお、上記水(C')の含有量は、ハイドロゲル粒子(B)全質量中に占める水(C')の割合であり、歯磨組成物の基材中の水(C)は含まれない。
ハイドロゲル粒子(B)は、水難溶性粉体(A')、分散剤又は乳化剤以外に、糖類、グリセリン以外の多価アルコール等の水溶性有機化合物や、着色剤、防腐剤、香料等の成分を含有していてもよい。
本発明におけるハイドロゲル粒子(B)の製造法は特に限定されないが、例えば、寒天等のゲル形成剤をイオン交換水と混合し、ゲル形成剤の溶解温度以上の温度に加熱して十分に溶解させる。水難溶性粉体(A')や油溶性成分を配合する場合は、ここに、水難溶性粉体(A')や油溶性成分と溶剤を混合し、分散剤又は/及び乳化剤を含め、例えばホモミキサー等で混合したゲル形成剤混合液を得た後、一般的な滴下法、噴霧法、或いは攪拌法等により、ゲル形成剤の溶解温度より冷却して固化させたハイドロゲル粒子(B)を得る。
滴下法は、孔からゲル形成剤混合液を吐出させ、吐出されたゲル形成剤混合液がその表面張力又は界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴を空気等の気相中又は液相中で冷却固化させてハイドロゲル粒子を製造する方法である。なお、粒径の均一なハイドロゲル粒子を製造する観点から、孔から吐出されるゲル形成剤混合液に振動を与えることが好ましい。
噴霧法は、噴霧ノズルを用い、噴霧ノズルからゲル形成剤混合液を気相に噴霧させると共に、その表面張力によって液滴を形成させ、その液滴を気相で冷却固化させてハイドロゲル粒子を製造する方法である。
攪拌法は、ゲル形成剤混合液と実質的に混じり合わない性状を有し且つゲル化温度以上の温度に調整した液にゲル形成剤混合液を投入し、攪拌による剪断力によりゲル形成剤混合液を微粒化し、界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴をゲル形成剤混合液と実質的に混じり合わない液中で冷却固化させて、ハイドロゲル粒子を製造する方法である。
滴下法、噴霧法、及び攪拌法のいずれの場合も、吐出時、噴霧時、又は投入時のゲル形成剤混合液の温度を、ゲル形成剤のゲル化温度以上で且つ100℃以下の温度とすることが好ましい。また、美観に優れた球状の粒子を容易に製造することができるという観点から、このゲル形成剤混合液の温度を、ゲル形成剤のゲル化温度+10℃以上とすることが好ましく、ゲル化温度+20℃以上とすることがより好ましい。なお、この温度の上限は、水の沸点である100℃である。ここで、ゲル形成剤としてよく用いられる寒天の水への溶解温度は、一般に75℃以上、その主なものについては75〜90℃であり、寒天を水に溶解させた後、冷却したときのゲル化温度は30〜45℃である。
このようにして得られたハイドロゲル粒子(B)は、皮膜を有さず、ハイドロゲル粒子中に水難溶性粉体(A')、又は油溶性成分を含有する油滴を、ゲル形成剤及び水を含む連続相中に分散又は乳化して含有している。
本発明におけるハイドロゲル粒子(B)の平均粒径は、歯ブラシによるブラッシングによって、歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)を連れ込みつつ象牙質細管の開口を封鎖する点、及びハイドロゲル粒子(B)を歯周ポケットなどの隙間まで送達させる観点から、50〜500μmであって、100〜500μmであることがより好ましく、140〜290μmであることがさらに好ましい。ハイドロゲル粒子(B)の平均粒径が上記範囲内であることによって、歯周病等によって歯周ポケットが形成されて象牙質細管の開口が露出した場合であっても、歯周ポケットの内部にハイドロゲル粒子(B)を送達させながら歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)を連れ込みやすくなり、象牙質細管の開口を効果的に封鎖することが可能になる。ハイドロゲル粒子(B)の平均粒径は、体積基準平均粒子径であって、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製 LA-920型)を用いたレーザー回折散乱法によって、20℃においてハイドロゲル粒子を含有するスラリー液について、相対屈折率1.20(ハイドロゲル粒子の屈折率を1.60、水の屈折率を1.33)の条件にて測定することで求めることができる。
また、本発明におけるハイドロゲル粒子(B)の形状は、特に限定されないが、曲面で構成された回転体の形状を有することが好ましい。ここで、「曲面で構成された回転体」とは、仮想軸及び連続的な曲線で構成された閉じた図を仮想軸で回転させたものをいい、三角錐や円柱等の平面を有する形状は含まない。ハイドロゲル粒子(B)の形状は、美観の観点から、球状又は楕円状であることがより好ましい。
さらに、本発明で用いるハイドロゲル粒子(B)は、20℃におけるゲル強度が0.2〜1.5kgf/cm2であることが好ましく、0.4〜1.2kgf/cm2であることがより好ましく、0.4〜1.0kgf/cm2であることがさらに好ましい。このゲル強度は、ハイドロゲル粒子(B)の粒子形成前のゲル形成剤混合液を15mm×15mmの厚さ4mmの大きさに20℃で冷やし固めたゲル片をデジタルフォースゲージ(デジタルフォースゲージFGX−2 日本電産シンポ(株)製)にて測定し、破断した強度をゲル強度とする。
本発明で用いるハイドロゲル粒子(B)の含有量は、歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)による象牙質細管の開口部封鎖性を向上させる点から、本発明の歯磨組成物中に、1.5〜15質量%であり、好ましくは2〜10質量%であり、さらに好ましくは3〜8質量%である。また、水難溶性粉体(A)による象牙質細管の開口部封鎖性を向上させる点から、本発明の歯磨組成物中における成分(B)と成分(A)の質量比(B/A)、すなわち本発明の歯磨組成物中における歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)の含有量に対するハイドロゲル粒子(B)の含有量の質量比(B/A)は、好ましくは1.5〜10であって、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは3〜5である。
本発明の歯磨組成物は、使用時の口腔内における水難溶性粉体(A)及びハイドロゲル粒子(B)の分散性及び象牙質細管の開口部封鎖性の点、並びに清涼感の点から、水(C)を含有する。ここで、水(C)とは、ハイドロゲル粒子(B)を除く歯磨組成物の基材に含有される水を意味し、ハイドロゲル粒子(B)中に含有される水(水(C')と称する)は除かれる。水(C)は、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは10〜55質量%含有し、より好ましくは12〜50質量%含有する。なお、上記水(C)の含有量は、予備組成物にハイドロゲル粒子(B)を配合した後における、ハイドロゲル粒子(B)を含む本発明の歯磨組成物全質量中に占める予備組成物中の水(C)の質量の割合であり、ハイドロゲル粒子(B)中に含有される水(C')は含まれない。したがって、本発明の歯磨組成物中の水(C)及び水(C')の合計含有量は、本発明の歯磨組成物中に好ましくは15〜60質量%であり、より好ましくは20〜55質量%である。
なお、歯磨組成物の水分量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業(株))を用いることができる。この装置では、歯磨組成物を5gとり、無水メタノール25gに懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を測定することができる。
本発明の歯磨組成物は、ハイドロゲル粒子(B)による歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)の象牙質細管の開口封鎖性の点から、歯磨組成物の基材に粘結剤(D)を含有する。粘結剤(D)としては、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム及びメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このうち、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガムが好ましい。また、保形性や糸引き性、及び使用感の面から2種以上、さらには3種以上を使用することができる。粘結剤(D)は、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.1〜3質量%含有し、より好ましくは0.2〜2質量%が、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%含有する。なお、上記粘結剤(D)の含有量は、予備組成物にハイドロゲル粒子(B)を配合した後における、ハイドロゲル粒子(B)を含む本発明の歯磨組成物全質量中に占める粘結剤(D)の質量の割合である。
なお、本発明の歯磨組成物は、歯ブラシによるブラッシングに適用するための良好な保形性及び使用感を確保し、ブラッシング動作とハイドロゲル粒子(B)による歯磨組成物の基材に含有される水難溶性粉体(A)の象牙質細管封鎖性の向上の点から、25℃における粘度が1000〜7000dPa・sであるものが好ましく、さらに1500〜5000dPa・sであるものが好ましい。歯磨組成物の粘度は、ヘリパス型粘度計を用いて、25℃、ロータT-C、(回転数)2.5rpm、1分間の条件で測定することができる。
本発明の歯磨組成物は、上記成分の他、本発明の効果を損なわない範囲内で、甘味剤、香料、pH調整剤、色素を適宜含有することができる。また、知覚神経周辺のイオンバランスを変化させて知覚神経の活動を低下させる脱感作剤を含有することが好ましい。脱感作剤としては、例えば、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム等が挙げられる。
本発明の歯磨組成物によれば、象牙質知覚過敏症に罹患し、歯牙の象牙質が露出したような場合にも、象牙質の表面に存在する象牙質細管の開口部を即効的にしかも充分に封鎖することができるので、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを即効的に防止することができるため、象牙質知覚過敏用の歯磨組成物として最適である。また、本発明の歯磨組成物によれば、歯周病に罹患しており、歯周ポケットが形成された場合でも、平均粒子径が50〜500μmのハイドロゲル粒子が歯周ポケットに送達され、次いで象牙質細管の表面にも送達され、象牙質細管を封鎖して象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に抑制することができる点で、歯周病による象牙質知覚過敏用の歯磨組成物として最適である。
本発明の歯磨組成物は、常法による歯磨組成物を用いたブラッシングによって、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを防止することができる。象牙質知覚過敏症に起因する痛みをより効果的に防止する観点から、歯磨組成物の使用方法は、1日1〜5回使用することが好ましく、これを1ヶ月間のうち1日以上又は1〜2週間継続して使用することが好ましい。
本発明の歯磨組成物は、象牙質細管の表面を物理的に刺激しない観点、及び象牙質細管の開口を封鎖した水難溶性粉体(A)の剥離を防止する観点から、15g/個以上の崩壊強度の顆粒、及び結晶セルロースなどの研磨性の高い粉体又は粒子の含有量は、本発明の歯磨組成物中に2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。なお、崩壊強度とは、微小圧縮試験機((株)島津製作所、MCTM−500)を用いて、粒子径(180〜200μm)の顆粒を10個〜20個測定した平均値で表される値を意味する。また、崩壊強度は歯磨組成物に含有されている湿潤状態における強度である。
本発明の歯磨組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で研磨剤を含有することができる。研磨剤としては、例えばリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ピロリン酸カルシウム、無水ケイ酸(研磨性シリカ:JIS K5101−13−2に準ずる方法により測定される吸油量が、50〜150mL/100g)等が挙げられる。研磨剤は、RDA値(Radioactive Dentine Abrasion values、ISO11609研磨性の試験方法 付随書Aにより測定される値)が20〜250のものが一般に用いられる。研磨剤の含有量は、本発明の歯磨組成物中に0〜20質量%であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましい。上記RDA値が250を超える研磨剤の含有量は、本発明の歯磨組成物中に1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[ハイドロゲル粒子A、B及びC]
表1の組成のハイドロゲル粒子A〜Cを噴霧法により製造した。イオン交換水に寒天を溶解させて調整した水溶液(85℃)に、ステアリン酸亜鉛、界面活性剤を配合し、ホモミキサーによって、回転数60rpmで混合して分散液を得て、これを気相中に噴霧することによって、表1に示す組成のハイドロゲル粒子A〜Cを得た。ハイドロゲル粒子A〜Cの平均粒径(体積平均粒径)は170μmであり(株式会社堀場製作所製 LA−920型 レーザー回折散乱式粒度分布測定装置、温度20℃、相対屈折率1.20(ハイドロゲル粒子の屈折率:1.60、水の屈折率:1.33)の条件で測定)、20℃におけるゲル強度は0.6kgf/cm2あった。なお、ハイドロゲル粒子A〜Cは、歯磨組成物への配合分散性から、キサンタガム等の粘結剤を含有するゲル水溶液中に分散させ、ハイドロゲル粒子のスラリーとして製造した。
*1 伊那寒天 CS-670(伊那食品工業(株))
*2 伊那寒天 CS-420(伊那食品工業(株))
*3 サンソフトQ-14Y(太陽化学(株))
*4 ケルデント(DSP五協フード&ケミカル)
[実施例1〜6、比較例1〜4]
表2に示す組成の歯磨組成物を常法にしたがって調製し、製造工程の最後にハイドロゲル粒子Cスラリー又はハイドロゲル粒子Aスラリーを配合して混合した。得られた各歯磨組成物を用い、下記に示す象牙質細管の開口部封鎖状態の評価を行った。評価結果を表2にそれぞれ示す。表3に示す組成の歯磨組成物を表2の歯磨組成物と同様に調製した。表3に示す歯磨組成物について、下記に示す象牙質知覚過敏に起因する痛み改善の評価を行った。
なお、実施例1、2、比較例1、2の歯磨組成物の粘度は、調製1ヶ月後25℃で3500〜4500dPa・sであった(測定条件:ヘリパス粘度計、ロータT-C、(回転数)2.5rpm、1分間)。
[象牙質細管の開口部封鎖状態の評価]
牛歯の象牙質を試料とし、試料を0.5%リン酸水溶液にて室温で30分脱灰し、砥粒サイズ40μmのサンドペーパー、及び砥粒サイズ3μmのサンドペーパーで表面を研磨処理した。この試料の表面を、実施例、比較例の歯磨組成物1gを歯ブラシ(ディープクリーン超コンパクト 普通・花王(株)製)を用いて5往復ブラッシングし、試料を蒸留水で30秒間洗浄した。洗浄後の試料の表面における象牙質細管の開口部をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、(株)キーエンス社製)を用いて倍率2000倍で観察し、目視で象牙質細管の開口状態を確認した。図1(a)は、比較例4の歯磨組成物で処理した後の試料の状態を示すマイクロスコープ写真である。図1(a)に示すように、象牙質細管の開口部のほぼ全てが黒く、開口していることが認められる。図1(b)は、実施例1の歯磨組成物で処理した後の試料の状態を示すマイクロスコープ写真である。図1(b)に示すように、象牙質細管の開口部のほぼ全てが白く、開口部を歯磨組成物が封鎖している状態が認められる。
歯磨組成物による象牙質細管の開口部の封鎖状態の評価は、図1(a)の状態を5、図1(b)の状態を1とし、図1(b)に比べて一部の象牙質細管の開口が開いていると認められる状態を2、さらに象牙質細管の開口が開いていると認められる状態を3、図1(a)に比べて一部の象牙質細管の開口が封鎖されていると認められる状態、又は過半数の象牙質細管の開口が封鎖されていない状態を4として評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
[象牙質知覚過敏症に起因する痛み改善の評価]
表3の歯磨組成物について使用直後と使用から2時間後の象牙質知覚過敏症に起因する痛み防止、又は抑制の程度を評価した。評価対象者は最近1ヶ月の間で歯がしみるのが毎日である者、又は週に数回である者をパネラーとした。評価方法は、パネラー3名に各歯磨組成物を使用してもらい、使用直後と使用から2時間後に冷水を口に含み、象牙質知覚過敏症に起因する痛みの評価を行った。評価は、3:しみない、2:ややしみる、1:しみる、の3つの中から回答を得た。パネラーの回答の合計値を象牙質知覚過敏症に起因する痛みの評価として表3に示す。この評価は、数値が大きいほど、象牙質知覚過敏症に起因する痛みが防止又は低減されたことを意味する。
*5:アミホープLL(味の素(株))
*6:サイロピュア25(富士シリシア化学(株)) 吸油量:310ml/100g
*7:ソーボシル AC77(PT PQ Sillicas Indonesia) RDA値:125
*8:サンローズF35SH(日本製紙ケミカル(株)) エーテル化度1.0〜1.15
*6:サイロピュア25(富士シリシア化学(株)) 吸油量:310ml/100g
*7:ソーボシル AC77(PT PQ Sillicas Indonesia) RDA値:125
*8:サンローズF35SH(日本製紙ケミカル(株)) エーテル化度1.0〜1.15
表2に示すように、本発明の水難溶性粉体(A)とハイドロゲル粒子(B)とを含有する実施例1、2は、象牙質細管の開口がほぼ封鎖されている、又は概ね封鎖されていることが認められた。一方、水難溶性粉体(A)又は成分(B)を含有しない比較例1〜2は、象牙質細管の開口が殆ど封鎖されていないか、封鎖状態が不十分であることが認められた。また、水難溶性粉体であるが、本願の粉体(A)ではない酸化亜鉛を含有する比較例3についても、象牙質細管の開口が封鎖されていないことが認められた。
表3に示すように、充分に象牙質細管が封鎖されている実施例1は、使用後に象牙質知覚過敏症に起因する痛みが抑制されている評価が得られたが、比較例2は象牙質細管の開口の封鎖が一部であるため、象牙質知覚過敏症に起因する痛みはやや抑制されている程度であり、比較例4の象牙質細管の開口が殆ど封鎖されていない歯磨組成物については、象牙質知覚過敏症に起因する痛みが殆ど抑制されていない評価が得られた。この結果より、象牙質細管の封鎖状態は、象牙質知覚過敏症に起因する痛み抑制との間に相関関係があると認められ、象牙質細管の封鎖性の高い本発明の実施例は、象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果が高いと判断できる。

Claims (8)

  1. 次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
    (A)炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩(A−1)、炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルリシン(A−2)、及び炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A−3)から選ばれる水難溶性粉体 0.1〜2.0質量%、
    (B)平均粒径50〜500μmのハイドロゲル粒子 1.5〜15質量%、
    (C)水、並びに
    (D)粘結剤
    を含有する歯磨組成物。
  2. 成分(B)の20℃におけるゲル強度が、0.2〜1.5kgf/cm2である請求項1に記載の歯磨組成物。
  3. 成分(B)と成分(A)の質量比(B/A)が、1.5〜10である請求項1又は2に記載の歯磨組成物。
  4. 成分(B)中に、(A')炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩(A'−1)、炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルリシン(A'−2)、及び炭素数12〜18の飽和脂肪酸を由来とするアシル基を有する脂肪酸アシルタウリン二価金属塩(A'−3)から選ばれる水難溶性粉体を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
  5. 成分(A−1)又は成分(A−3)の二価金属が、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムから選ばれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
  6. 成分(A−2)が、N-ラウロイルリシン、N-ミリストイルリシン、N-パルミトイルリシン及びN-ステアロイルリシンから選ばれる請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
  7. さらに、(D)粘結剤を0.1〜3質量%含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
  8. 象牙質知覚過敏用歯磨組成物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2013118896A1 (ja) * 2012-02-09 2015-05-11 味の素株式会社 塩基性アミノ酸誘導体
JP2015124216A (ja) * 2013-12-27 2015-07-06 花王株式会社 象牙質知覚過敏用口腔用組成物
JP2016037478A (ja) * 2014-08-08 2016-03-22 和光堂株式会社 口腔用組成物及び口腔用製剤

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