JP5809956B2 - ハイドロゲル粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイドロゲル粒子の製造方法及びその方法で製造したハイドロゲル粒子に関する。
歯磨組成物や化粧品等に、非架橋型ハイドロゲルからなり且つ各種の有効成分を含んだハイドロゲル粒子を配合することが知られている。かかるハイドロゲル粒子として、例えば、特許文献1〜3には、カテキン類とポリビニルピロリドンとの水不溶性複合体を含んだものが開示されている。
また、特許文献4には、水溶性又は親水性ゲル形成剤、及びステアリン酸亜鉛等のフィラーを含む組成物をツインスクリューエクストルーダーで混合、混練、圧縮、及び押出して製造したゲルを化粧品に用いることが開示されている。
特開2008−24651号公報 特開2010−95518号公報 特開2011−136983号公報 特表平11−502867号公報
本発明の課題は、粒子内において水難溶性粉体が微分散したハイドロゲル粒子を製造することである。
本発明は、水に非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が溶解すると共に、脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩からなる群から選ばれる一種以上の水難溶性粉体が分散したゾルを調製するゾル調製工程と、前記ゾル調製工程で調製したゾルの液滴を形成して冷却することによりゲル化させるゲル粒子形成工程とを有するハイドロゲル粒子の製造方法であって、前記ゾル調製工程において、水に水難溶性粉体を分散させた後にゲル形成剤を溶解させる、又は水に水難溶性粉体を分散させた分散液と、水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させる製造方法である。
本発明は、前記本発明のハイドロゲル粒子の製造方法により得られるハイドロゲル粒子である。
本発明によれば、ゾル調製段階において、水に脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩からなる群から選ばれる一種以上の水難溶性粉体を分散させた後にゲル形成剤を溶解させる、又は水に水難溶性粉体を分散させた分散液と、水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させることにより、水難溶性粉体が微分散したゾルが得られるので、そのゾルの液滴を冷却してゲル化させることにより、粒子内において水難溶性粉体が微分散したハイドロゲル粒子を製造することができる。
以下、実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るハイドロゲル粒子の製造方法は、水に非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が溶解すると共に脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩からなる群から選ばれる一種以上の水難溶性粉体(以下、単に「水難溶性粉体」ともいう。)が分散したゾルを調製するゾル調製工程と、そのゾル調製工程で調製したゾルの液滴を形成して冷却することによりゲル化させるゲル粒子形成工程とを有する。そして、ゾル調製工程において、水に水難溶性粉体を分散させた後にゲル形成剤を溶解させる、又は水に水難溶性粉体を分散させた分散液と、水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させる。
ハイドロゲル粒子に含まれる各種の有効成分は、その効能を有効に発揮するために、粒子内において微分散していることが好ましい。ところが、ハイドロゲル粒子に、例えば延展剤としての効能を有する脂肪酸二価金属塩等の水難溶性粉体を含める場合、粒子内において水難溶性粉体が十分に分散せずに凝集した粗大粒子として存在してしまう場合がある。しかしながら、本実施形態に係るハイドロゲル粒子の製造方法によれば、ゾル調製段階において、水に水難溶性粉体を分散させた後にゲル形成剤を溶解させる、又は水に水難溶性粉体を分散させた分散液と、水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させることにより、水難溶性粉体が微分散したゾルが得られるので、そのゾルの液滴を冷却してゲル化させることにより、粒子内において水難溶性粉体が微分散したハイドロゲル粒子を製造することができる。
(ゾル調製工程)
ゾル調製工程では、水に非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が溶解すると共に水難溶性粉体が分散したゾルを、水に水難溶性粉体を分散させた分散液を調整する。そして、その分散液にゲル形成剤を溶解させる、又は分散液と水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させる。
<ゲル形成剤>
非架橋型ハイドロゲルを生じるゲル形成剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、ハイメトキシルペクチン等の水溶性高分子が挙げられる。ここで、本出願において「非架橋型ハイドロゲル」とは、ゲル形成剤と溶媒である水とから得られるゲルであって、ゲル形成剤が寒天である場合のようにゾル−ゲルの熱可逆性によってゲル化が生じるものをいう。また、本出願において「ゲル形成剤」とは、水溶性有機化合物であって、これを水に溶解させた水溶液(ゾル)がゲル化点を境にゾル−ゲル転移を生じるものをいう。この「溶解」とはゾル状態になることをいう。
前記ゲル形成剤のうち寒天が好ましく、製造されるハイドロゲル粒子を例えば化粧品等に配合した場合の使用時の感触がよいという観点からは、ゼリー強度が147kPa(1500g/cm2)以下である寒天が好ましく、19.6kPa(200g/cm2)〜127kPa(1300g/cm2)である寒天がより好ましい。ここで、本出願における「寒天」とは、ガラクトースの1,3結合及び1,4結合からなるガラクターンを含むヘミセルロースをいう。また、ゼリー強度は、日寒水式法により求めることができる。具体的には、ゼリー強度は、ゲル形成剤の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器(木屋製作所社製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm2 あたりの最大質量(g)として求めることができる。
ゲル形成剤のゲル化点(凝固点)は、室温雰囲気中(大気中)で冷却してハイドロゲル粒子を製造することができるという観点から30〜50℃であることが好ましく、30〜45℃であることがより好ましい。ここで、ゲル化点は、ゲル形成剤が溶解した水溶液約10mlを中型試験管(径1.5cm×16cm)にとって温度計を挿入し、時々試験管を斜めに傾け、その表面が固定して動かないようになったときの温度として求めることができる。
ゾルには、単一種のゲル形成剤のみが含まれていてもよく、また、複数種のゲル形成剤が含まれていてもよい。ゾル中のゲル形成剤の含有量は0.1〜8.0質量%であることが好ましく、0.3〜7.0質量%であることがより好ましく、0.4〜6.0質量%であることがさらに好ましく、0.5〜5.0質量%であることが特に好ましい。
<水難溶性粉体>
水難溶性粉体は、脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩からなる群から選ばれる一種以上である。
脂肪酸二価金属塩は、脂肪酸と二価金属とから構成された塩である。脂肪酸二価金属塩は延展性に優れており、例えば、脂肪酸二価金属塩を歯磨組成物に配合した場合、ブラッシングのとき、歯ブラシ等の毛先が象牙質の露出した表面に直接的又は間接的に負荷をかけながら接触した際、歯磨組成物に含まれる脂肪酸二価金属塩が象牙質細管の開口部の周辺に展着しながら延展することにより象牙質細管の開口部を効果的に封鎖することができ、それによって象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することができると考えられる。また、特開2007−186463号公報には、脂肪酸二価金属塩を化粧品に配合した場合に延展性が良好になるということが開示されている。
脂肪酸は、炭素数12〜22の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18の飽和脂肪酸がより好ましい。炭素数12〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。これらのうちラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸がより好ましい。
二価金属としては、例えば、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、歯磨組成物に配合した場合の口腔内への適用性及び延展性並びにコストの観点から、亜鉛、カルシウム、マグネシウムが好ましく、亜鉛、カルシウムがより好ましい。
脂肪酸二価金属塩は、単一種の脂肪酸と単一種の二価金属との組合せによる単一種の脂肪酸二価金属塩であってもよく、また、単一種の脂肪酸と複数種の二価金属との組合せによる複数種の脂肪酸二価金属塩であってもよく、複数種の脂肪酸と単一種の二価金属との組合せによる複数種の脂肪酸二価金属塩であってもよく、さらに、複数種の脂肪酸と複数種の二価金属との組合せによる複数種の脂肪酸二価金属塩であってもよい。
脂肪酸アシルリシンは、脂肪酸を由来とするアシル基を分子内に有しており、なかでもN−飽和脂肪酸アシルリシンが好ましい。脂肪酸としては、前述の脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18の飽和脂肪酸アシル基を有する脂肪酸アシルリシンがさらに好ましい。かかる脂肪酸アシルリシン(A−2)としては、例えば、N−ラウロイルリシン、N−ミリストイルリシン、N−パルミトイルリシン、N−ステアロイルリシン等が挙げられる。これらのうち、感触に優れるN−ラウロイルリシンが好ましい。N−ラウロイルリシンは、市販品ではNε−ラウロイル−L−リシンとして、味の素社製の商品名アミホープLL等を入手することができる。
脂肪酸アシルタウリン二価金属塩は、脂肪酸アシルタウリンと二価金属とから構成された塩である。脂肪酸アシルタウリンは、脂肪酸を由来とするアシル基とタウリン基とからなる脂肪酸アシルタウリン基を分子内に有しており、なかでもN−飽和脂肪酸アシルタウリンが好ましい。脂肪酸としては、前述の脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18の飽和脂肪酸アシル基を有する脂肪酸アシルタウリンがさらに好ましい。かかる脂肪酸アシルタウリンとしては、例えば、N−ラウロイルタウリン、N−ミリストイルタウリン、N−パルミトイルタウリン、N−ステアリロイルタウリン等が挙げられ、歯磨組成物に配合した場合の使用感、象牙質細管の開口部封鎖性の観点からN−ラウロイルタウリン基が好ましい。二価金属としては、前述のものが好ましい。
水難溶性粉体は、脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩のうちいずれかの単一種又は複数種で構成されていてもよく、また、脂肪酸二価金属塩の単一種若しくは複数種、脂肪酸アシルリシンの単一種若しくは複数種、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩の単一種若しくは複数種の組合せで構成されていてもよい。
ゾル中の水難溶性粉体の含有量は、水難溶性粉体の分散性及び安定性の観点から0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましく、0.5〜3質量%であることがさらに好ましい。
<水>
ゾル中の水の含有量は、得られるハイドロゲル粒子における適度なゲル強度又は破壊強度を実現する観点から75〜99質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることがより好ましい。
<その他の任意成分>
ゾルには、水難溶性粉体を分散させるための分散剤が含まれていることが好ましく、分散剤の存在下、水に水難溶性粉体を分散させることが好ましい。
分散剤としては、高分子乳化分散剤;非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。これらのうち高分子乳化分散剤、非イオン性界面活性剤、及びアニオン界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤及びアニオン界面活性剤がより好ましく、非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
高分子乳化分散剤としては、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(具体的には、例えば、ノベオン社製 商品名:ペムレンTR−2等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリルアミド、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物の酸化エチレン付加物などの合成高分子化合物;レシチン誘導体、澱粉誘導体、カゼイン、アラビアゴムなどの天然高分子化合物等が挙げられる。これらのうちアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(具体的には、例えば、ミリスチン酸ポリグリセリル)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。これらのうちポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸成分の炭素数が8〜16であることが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、炭素数10〜16のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル又はその塩が好ましく、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
ゾル中の分散剤の含有量は、水難溶性粉体の分散性及び安定性の観点から0.005〜15質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、1.5〜8質量%であることがさらに好ましく、2〜6質量%であることが特に好ましい。
また、水難溶性粉体1質量部に対して、分散剤は0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
ゾルには、ハンドリング性の観点から、グリセリンが含まれていることが好ましい。ゾル中のグリセリンと界面活性剤(好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル)との質量比(グリセリン/界面活性剤)は1/2〜2/1が好ましく、1/3〜3/1がより好ましい。
ゾルには、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール等の防腐剤が含まれていてもよい。ゾル中の防腐剤の含有量は例えば0.05〜5質量%である。
ゾルには、水難溶性粉体の加水分解抑制のための苛性ソーダや苛性カリ等のpH調整剤が含まれていてもよい。ゾル中のpH調整剤の含有量は、ゾルのpHを6以上、好ましくは7〜8に維持する量であり、具体的には例えば0.02〜0.06質量%である。
ゾルには、油脂類、ロウ類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、油性薬効成分、シリコーン油類等の油性成分が含まれていてもよい。従って、ゾルは、水性成分に油性成分が分散したO/W型ゾルであってもよい。また、ゾルには、その他、糖類、多価アルコール、水溶性高分子化合物などの水溶性有機化合物、香料、水溶性着色剤、酸化防止剤、水に可溶又は不溶の溶媒等が含まれていてもよい。
<ゾル調製操作>
ゾル調製工程では、まず、水に水難溶性粉体を分散させた分散液を調整し、その後、ゲル形成剤を溶解させる、又は、まず、水に水難溶性粉体を分散させた分散液を調整し、それと別途調整した水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させる。
ここで、「水に水難溶性粉体を分散させる」とは、水中で水難溶性粉体の分散操作を施すことをいう。なお、水には、水以外に前述の分散剤、ゲル形成剤等が含有されていてもよい。
分散操作を施す際の水難溶性粉体の量は、水100質量部に対して、水難溶性粉体が0.1〜10質量部であることが好ましく、0.3〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜3質量部であることがさらに好ましい。分散剤の存在下で水難溶性粉体を分散させる場合、水難溶性粉体と分散剤との質量比は前述の通りとすることが好ましい。
この分散操作は剪断力を与える攪拌混合処理により行うことができる。このとき用いる攪拌装置としては、特に限定されるものではなく、公知のものが適用可能であるが、例えば、高い剪断力を発揮できるホモミキサー、ラインミキサー、ディスパー等が挙げられる。これらのうち、操作性の観点からホモミキサーが好ましい。
分散の終点は、水難溶性粉体の最大粒子径(長径と短径がある場合は長径)が所定値以下(例えば250μm以下)であることを目安とすることができる。これは、デジタルマイクロスコープで0.5gの分散液を観察することにより、実施例記載の方法で判断することができる。
この分散操作では、水中に水難溶性粉体を均一に分散させる観点から、与える攪拌エネルギーは20kW×分/m3以上とすることが好ましく、一方、操作時間の長期化を避ける観点から、与える攪拌エネルギーは5000kW×分/m3以下とすることが好ましい。この攪拌エネルギーは、20〜5000kW×分/m3とすることが好ましく、40〜4500kW×分/m3とすることがより好ましく、80〜4000kW×分/m3とすることがさらに好ましい。
ここで、本出願において「攪拌エネルギー」は、特開2007−161683号公報に記載された詳細な計算式に基づいて、攪拌動力P/V(kW/m3)×時間(分)で求められる。例えば、ホモミキサーを使用したときの攪拌エネルギーの算出式は下記(I)式で示す通りとなる。
攪拌エネルギー(kW×分/m3
=〔攪拌動力P(kW)〕/〔処理液体積V(m3)〕×攪拌時間(分) (I)
前記式(I)中、攪拌動力P(kW)は下記の実験式1で算出する。
攪拌動力P(kW)=Np×n3×d5×ρ/1000 (実験式1)
Np:動力数(ホモミキサーの場合、攪拌槽容量が10L未満のホモミキサーではNp=1.5、及び攪拌槽容量が10L以上のホモミキサーではNp=1.3である。)
n:攪拌回転数(−/sec)
d:攪拌翼の直径(m)
ρ:処理液の密度(kg/m3)。
水難溶性粉体を分散させる際の液温は、特に限定されるものではないが、5〜70℃とすることが好ましく、5〜50℃とすることがより好ましく、5〜40℃とすることがさらに好ましい。
水難溶性粉体を分散させた分散液の粘度は、特に限定されるものではないが、1〜500mPa・sであることが好ましく、1〜200mPa・sであることがより好ましく、1〜100mPa・sであることがさらに好ましい。この分散液の粘度は実施例で記載するB型粘度計によって測定することができる(以下同じ)。
また、「ゲル形成剤を溶解させる」とは、水に水難溶性粉体を分散させた分散液の昇温操作を行うことにより、分散液に含まれるゲル形成剤を溶解させてゾル化させることをいう。
さらに、「ゾル溶液」とは、水にゲル形成剤を溶解させたゾルをいう。
分散液にゲル形成剤を溶解させる場合及びゾル溶液を調整する場合のいずれの場合も、ゲル形成剤を溶解させる際の液温は、ゲル形成剤の溶解温度以上且つ水の沸点以下に昇温保持する必要があり、ゲル形成剤が寒天の場合、75〜100℃とすることが好ましく、80〜100℃とすることがより好ましい。なお、このとき、ゲル形成剤の溶解を促進するために、加圧して100℃以上に昇温してもよい。
分散液にゲル形成剤を溶解させる場合及びゾル溶液を調整する場合のいずれの場合も、ゲル形成剤を溶解させる際には攪拌混合処理を行うことが好ましい。このとき用いる攪拌装置としては、特に限定されるものではなく、公知のものが適用可能であるが、例えば、アンカー式攪拌機、パドル式攪拌機、タービン式攪拌機等が挙げられ、これらのうち操作性の観点からアンカー式攪拌機が好ましい。
水難溶性粉体及びゲル形成剤を含むゾルの粘度は、特に限定されるものではないが、後述の液滴形成時の温度において10〜1000mPa・sであることが好ましく、30〜500mPa・sであることがより好ましく、30〜300mPa・sであることがさらに好ましい。
水難溶性粉体及びゲル形成剤を含むゾル中の水難溶性粉体は、製造するハイドロゲル粒子において水難溶性粉体の延展剤としての効能を有効に発揮させ、また、後述のように異物を除去するために液滴形成前のゾルをメッシュフィルターに通す際におけるメッシュフィルターの閉塞を防止する観点から、粒子径が250μm以下のもののみで構成されている、つまり、最大粒子径が250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。水難溶性粉体の最大粒子径が所定大以下であるか否かは、デジタルマイクロスコープで0.5gの分散液を観察することにより、実施例記載の方法で判断することができる。なお、脂肪酸二価金属塩の粒子径は通常は0.4mm以上である。
分散液にゲル形成剤を溶解させる場合、ゲル形成剤の投入は、水難溶性粉体の分散操作前の水に対して行ってもよく、また、水難溶性粉体の分散操作後の分散液に対して行ってもよい。水難溶性粉体の良好な分散性が得られるという観点からは、水にゲル形成剤を添加し、ゲル形成剤の存在下、水難溶性粉体を分散させる前者が好ましい。
なお、水難溶性粉体を分散させるための分散剤を用いる場合、分散剤の投入は、水難溶性粉体の投入前乃至投入と同時に行うことが好ましく、また、その溶解操作は、水難溶性粉体の投入前乃至分散操作と同時に行うことが好ましい。その他の成分の投入は、水難溶性粉体の分散操作前の水に対して行ってもよく、また、水難溶性粉体の分散操作後の分散液に対して行ってもよい。その他の成分の溶解又は分散操作は、水難溶性粉体の分散操作、ゲル形成剤の溶解操作、或いはゾル溶液との混合操作と同時に行ってもよい。
(ゲル粒子形成工程)
ゲル粒子形成工程では、ゾル調製工程で調製したゾルの液滴を形成し、それを冷却することによりゲル化させてハイドロゲル粒子を製造する。
このゲル粒子形成手段としては、例えば、滴下法、噴霧法、及び攪拌法が挙げられる。
前記滴下法は、孔からゾルを吐出させ、吐出されたゾルがその表面張力又は界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴を空気等の気相中又は液相中で冷却固化させてハイドロゲル粒子を形成する方法である。なお、粒径の均一なハイドロゲル粒子を形成する観点から、孔から吐出させるゾルに振動を与えることが好ましい。
前記噴霧法は、噴霧ノズルを用い、噴霧ノズルからゾルを気相(例えば、大気中)に吐出(噴霧)させると共に、その表面張力によって液滴を形成させ、その液滴を気相で冷却固化させてハイドロゲル粒子を形成する方法である。この場合、連続混合器でゾルを連続的に調製し、それを連続混合器に直結した噴霧ノズルから噴霧するようにしてもよい。このようにすれば、ゾルとしての保持時間を殆ど無くすことができるので、ゾルに分散安定性が求められず、従って、分散安定性を低下させるような有効成分であっても、その配合量を多くすることができる。
前記攪拌法は、ゾルを、それと実質的に混じり合わない性状を有し且つゲル化温度以上の温度に調製した液に投入し、そして、それに攪拌による剪断力を付与してゾルを微粒化して、界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴をゾルと実質的に混じり合わない液中で冷却固化させてハイドロゲル粒子を形成する方法である。
これらの滴下法、噴霧法、及び攪拌法のいずれの方法も、吐出時、噴霧時、或いは投入時のゾルの温度は、ゲル化温度以上で且つ100℃以下の温度とすることが好ましい。ゾルの温度は、美観に優れた球状のハイドロゲル粒子を容易に製造することができるという観点から、ゲル化温度+10℃以上とすることが好ましく、ゲル化温度+20℃以上とすることがより好ましい。なお、この温度の上限は、水の沸点である100℃である。具体的には、ゾルの温度は60〜90℃とすることが好ましく、70〜80℃とすることがより好ましい。
これらの滴下法、噴霧法、及び攪拌法のうち、ハイドロゲル粒子の製造の簡便性の観点から噴霧法が好ましい。
また、異物混入を防止する観点からは、液滴形成前のゾルをメッシュフィルターに通すことが好ましい。メッシュフィルターの目開きは、250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。メッシュフィルターは、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属製のもの、ポリエチレン樹脂などの樹脂製のもの等が挙げられる。
以上のようにして得られるハイドロゲル粒子の体積平均粒子径は、外観及び生産性の観点から、10〜800μmであることが好ましく、15〜600μmであることがより好ましく、15〜400μmであることがさらに好ましく、20〜300μmであることが特に好ましい。ここで、ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折散乱法によって実施例記載の方法により測定することができる。
ハイドロゲル粒子の形状は、特に限定されるものではないが、曲面で構成された回転体の形状を有することが好ましい。ここで、「曲面で構成された回転体」とは、仮想軸及び連続的な曲線で構成された閉じた図を仮想軸で回転させたものをいい、三角錐や円柱等の平面を有する形状は含まない。ハイドロゲル粒子の形状は、美観の観点から、球状体であることがより好ましい。
ハイドロゲル粒子は、構成成分がゾルと同一で、ゾル中の各成分の含有割合がそのまま粒子中のその成分の含有割合となり、しかも、水難溶性粉体が微分散している。従って、ハイドロゲル粒子内における水難溶性粉体の最大粒子径は250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。
なお、ハイドロゲル粒子については、必要に応じてさらに粉砕等により、微細化してもよい。
上述のようにして製造したハイドロゲル粒子は、例えば、配合成分として歯磨組成物、化粧品、制汗剤、洗顔剤、全身洗浄料、シャンプー、リンス、化粧石鹸等に含有させることができる。そして、粒子内において脂肪酸二価金属塩等の水難溶性粉体が微分散しているので、各種用途において、その延展剤としての効能を有効に発揮することができる。
本実施形態に係るハイドロゲル粒子の製造方法及びその方法で製造したハイドロゲル粒子の概要は以下の通りである。
〔1〕水に非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が溶解すると共に、脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩からなる群から選ばれる一種以上の水難溶性粉体が分散したゾルを調製するゾル調製工程と、
前記ゾル調製工程で調製したゾルの液滴を形成して冷却することによりゲル化させるゲル粒子形成工程と、
を有するハイドロゲル粒子の製造方法であって、
前記ゾル調製工程において、水に水難溶性粉体を分散させた後にゲル形成剤を溶解させる、又は水に水難溶性粉体を分散させた分散液と、水にゲル形成剤を溶解させたゾル溶液とを混合させるハイドロゲル粒子の製造方法。
〔2〕非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が寒天である、前記〔1〕に記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
〔3〕水難溶性粉体がステアリン酸亜鉛である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
〔4〕前記ゾル調製工程において、分散剤の存在下、水に水難溶性粉体を分散させる、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
〔5〕分散剤が非イオン性界面活性剤である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
〔6〕前記ゾル調製工程において、水に脂肪酸二価金属塩を分散させる際に与える攪拌エネルギーが20〜5000kW×分/m3、好ましくは40〜4500kW×分/m3、より好ましくは80〜4000kW×分/m3である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
〔7〕前記ゾル調製工程において、ゲル形成剤の存在下、水に水難溶性粉体を分散させる、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法により得られる、ハイドロゲル粒子。
(ハイドロゲル粒子)
以下の実施例1〜3、比較例1、及び参考例のハイドロゲル粒子を作製した。なお、それぞれの構成については表1にも示す。なお、ゾルの粘度及びハイドロゲル粒子の平均粒径を以下の方法で測定した。
ゾルの粘度の測定方法:ゾルの粘度は、B型粘度計によって測定した。測定条件は、ゾルを80℃に調温し、No.2のローターを用い、回転数を60r/minとした。
ハイドロゲル粒子の平均粒径の測定方法:ハイドロゲル粒子(B)の平均粒径は、体積基準平均粒子径であって、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920型 株式会社堀場製作所製)を用いたレーザ回折散乱法によって、20℃においてハイドロゲル粒子を含有するスラリー液について、相対屈折率1.2にて測定した。
<実施例1>
ホモミキサー(プライミクス社製、商品名:T.K.ロボミックス)にイオン交換水を入れ、そこに、ゲル形成剤としての寒天1(伊那食品工業社製 商品名:UP−37)及び寒天2(伊那食品工業社製 商品名:AX−200)、分散剤としてのミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物(太陽化学社製 商品名:サンソフトQ−14YG(50))、防腐剤としてのパラオオキシ安息香酸エチル(エーピーアイコーポレーション社製)、pH調整剤としての48%苛性ソーダ(南海化学工業社製)、並びに延展剤としての脂肪酸二価金属塩であるステアリン酸亜鉛(日油社製 商品名:ステアリン酸亜鉛(植物))を投入した。このとき、イオン交換水、寒天1及び寒天2、ミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物、パラオオキシ安息香酸エチル、48%苛性ソーダ、並びにステアリン酸亜鉛の質量比を表1記載の86.36:3.00:1.00:8.50:0.10:0.04:1.00とし、また、それらの総量を3kgとした。
次いで、室温下(10〜40℃の範囲内)で、ホモミキサーを回転数15000r/minで3分間稼動させることにより、ステアリン酸亜鉛を分散させた分散液を調製した。このときの攪拌エネルギーは229kW×分/m3である。B型粘度計によって測定したこの分散液の粘度は15mPa・sであった。
続いて、この分散液をアンカー式攪拌機に移し、攪拌しながら90℃まで昇温することにより寒天1及び2を溶解させてゾルを得た。B型粘度計によって測定したこのゾルの粘度は160mPa・sであった。
次に、得られたゾルを80℃に調温し、それをメッシュフィルター(針金径160μmの平織金網、目開き250μm)に通した。
そして、噴霧ノズルを用いて、液流量30.0kg/h及び液圧力2.4MPaとして、室温下の大気中に鉛直下向きに噴霧し、噴霧ノズルの下方3.4mの位置において、噴霧により形成されたゾルの液滴が冷却されてゲル化することにより形成されたハイドロゲル粒子を回収した。このハイドロゲル粒子を実施例1とした。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 型番:LA−920)を用いてレーザ回折散乱法によって測定した実施例1の体積基準平均粒子径は159μmであった。
<実施例2>
ホモミキサーにイオン交換水を入れ、そこに、ミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物、48%苛性ソーダ、及びステアリン酸亜鉛を投入した。このとき、実施例1と同様、イオン交換水、ミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物、48%苛性ソーダ、及びステアリン酸亜鉛の質量比を86.36:8.50:0.04:1.00とした。
次いで、室温下(10〜40℃の範囲内)で、ホモミキサーを回転数15000r/minで3分間稼動させることにより、ステアリン酸亜鉛を分散させた分散液を調製した。このときの攪拌エネルギーは229kW×分/m3である。B型粘度計によって測定したこの分散液の粘度は7.5mPa・sであった。
次いで、この分散液をアンカー式攪拌機に移し、そこに、寒天1、寒天2、及びパラオオキシ安息香酸エチルを投入した。このとき、実施例1と同様、寒天1、寒天2、及びパラオオキシ安息香酸エチルの質量比を3.00:1.00:0.10とし、また、全体の総量を3kgとした。
続いて、これを攪拌しながら90℃まで昇温することにより寒天1及び2を溶解させてゾルを得た。B型粘度計によって測定したこのゾルの粘度は127mPa・sであった。
次に、得られたゾルを80℃に調温し、それをメッシュフィルター(針金径160μmの平織金網、目開き250μm)に通した。
そして、噴霧ノズルを用いて、液流量30.0kg/h及び液圧力2.4MPaとして、室温下の大気中に鉛直下向きに噴霧し、噴霧ノズルの下方3.4mの位置において、噴霧により形成されたゾルの液滴が冷却されてゲル化することにより形成されたハイドロゲル粒子を回収した。このハイドロゲル粒子を実施例2とした。実施例2の体積基準平均粒子径は155μmであった。
なお、実施例1の作製操作では、寒天1及び2の投入を、ステアリン酸亜鉛を分散させる前に行ったのに対し、この実施例2の作製操作では、寒天1及び2の投入を、ステアリン酸亜鉛を分散させた後に行った。
<実施例3>
ミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物を投入せず、総量が3kgとなるようにその分をイオン交換水で調整した、従って、イオン交換水の質量比を94.86としたことを除いて実施例1と同様の操作によりハイドロゲル粒子を作製した。このハイドロゲル粒子を実施例3とした。B型粘度計によって測定したステアリン酸亜鉛分散後の分散液の粘度は5mPa・sであった。B型粘度計によって測定した寒天溶解後のゾルの粘度は86mPa・sであった。実施例3の体積基準平均粒子径は155μmであった。
<比較例1>
アンカー式攪拌機にイオン交換水を入れ、そこに、寒天1及び寒天2、ミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物、パラオオキシ安息香酸エチル、48%苛性ソーダ、並びにステアリン酸亜鉛を投入した。このとき、イオン交換水、寒天1及び寒天2、ミリスチン酸ポリグリセリル50%とグリセリン50%の混合物、パラオオキシ安息香酸エチル、48%苛性ソーダ、並びにステアリン酸亜鉛の質量比を86.36:3.00:1.00:8.50:0.10:0.04:1.00とし、また、それらの総量を3kgとした。
次いで、これを攪拌しながら90℃まで昇温することにより寒天1及び2を溶解させてゾルを得た。B型粘度計によって測定したこのゾルの粘度は160mPa・sであった。
続いて、寒天1及び2を溶解させたゾルをホモミキサーに移し、50〜90℃で、ホモミキサーを回転数15000r/minで3分間稼動させることにより、ステアリン酸亜鉛を分散させたゾルを得た。このときの攪拌エネルギーは229kW×分/m3である。B型粘度計によって測定したこのゾルの粘度は180mPa・sであった。
次に、得られたゾルを80℃に調温し、それをメッシュフィルター(針金径160μmの平織金網、目開き250μm)に通した。
そして、噴霧ノズルを用いて、液流量30.0kg/h及び液圧力2.4MPaとして、室温下の大気中に鉛直下向きに噴霧し、噴霧ノズルの下方3.4mの位置において、噴霧により形成されたゾルの液滴が冷却されてゲル化することにより形成されたハイドロゲル粒子を回収した。このハイドロゲル粒子を比較例1とした。比較例1の体積基準平均粒子径は175μmであった。
<参考例>
比較例1のステアリン酸亜鉛の代わりに、酸化チタン(テイカ社製 商品名:TITANIX JA−C)を用いたことを除いて比較例1と同様の操作によりハイドロゲル粒子を作製した。このハイドロゲル粒子を参考例とした。B型粘度計によって測定した寒天溶解後のゾルの粘度は7.5mPa・sであった。B型粘度計によって測定したステアリン酸亜鉛分散後のゾルの粘度は130mPa・sであった。参考例の体積基準平均粒子径は160μmであった。
(試験評価方法)
実施例1〜3、比較例1、及び参考例を作製した際のメッシュフィルター上におけるステアリン酸亜鉛が凝集した粗大粒子の残留の有無を確認し、「1:残留粒子ほとんどなし」、「2:残留粒子があるものの粗大粒子(250μm以上)ではない」、及び「3:粗大粒子あり」の三段階で評価した。
また、実施例1〜3、比較例1、及び参考例を作製するのに用いたメッシュフィルターを通す前の80℃のゾルをそれぞれスライドガラスの上に1〜2滴垂らし、その上にカバーガラスを被せたサンプルを作成した。そして、その形態をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 商品名:VHX−500)を用いて倍率450倍で観察した。
(試験評価結果)
試験評価結果を表2に示す。
メッシュフィルター上におけるステアリン酸亜鉛の粗大粒子の残留の有無の評価は、実施例1が1、実施例1及び2が1、実施例3が2、比較例1が3、及び参考例が1であった。
寒天1及び2を溶解させてゾルを形成する前にステアリン酸亜鉛を分散させる操作を行った実施例1〜3では、ゾル中に脂肪酸2価金属塩であるステアリン酸亜鉛が、最大粒子径が250μm以下の粒子として微分散していることが分かる。特に、実施例1では、メッシュフィルター上の残留粒子もほとんどなかった。
一方、寒天1及び2を溶解させてゾルを形成した後にステアリン酸亜鉛を分散させる操作を行った比較例1では、ゾル中に粒子径が250μmよりも大きなステアリン酸亜鉛の粗大粒子が多数存在することが分かる。
なお、ステアリン酸亜鉛に代えて酸化チタンを用いた参考例では、比較例1と同様の製造方法であるが、酸化チタンは、最大粒子径が250μm以下の粒子として微分散していることが分かる。
本発明は、ハイドロゲル粒子の製造方法及びその方法で製造したハイドロゲル粒子について有用である。

Claims (7)

  1. 水に非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が溶解すると共に、水難溶性粉体が分散し、且つ分散剤が含まれたゾルを調製するゾル調製工程と、
    前記ゾル調製工程で調製した前記ゾルの液滴を形成して冷却することによりゲル化させるゲル粒子形成工程と、
    を有するハイドロゲル粒子の製造方法であって、
    前記非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が、寒天、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、及びハイメトキシルペクチンのうちの1種又は2種以上であると共に、前記ゾル中の前記ゲル形成剤の含有量が0.5〜5.0質量%であり、
    前記水難溶性粉体が、炭素数12〜18の飽和脂肪酸の亜鉛塩及び/又はカルシウム塩であると共に、前記ゾル中の前記水難溶性粉体の含有量が0.5〜3質量%であり、
    前記分散剤が非イオン性界面活性剤であると共に、前記ゾル中の前記分散剤の含有量が2〜10質量%であり、
    前記ゾル調製工程において、前記ゲル形成剤及び前記分散剤の存在下、20〜5000kW×分/m の攪拌エネルギーを与えて前記水に前記水難溶性粉体を分散させた後に前記ゲル形成剤を溶解させることにより、前記ゾル中の前記水難溶性粉体の最大粒子径を250μm以下にするハイドロゲル粒子の製造方法。
  2. 前記非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤が寒天である、請求項1に記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
  3. 前記水難溶性粉体がステアリン酸亜鉛である、請求項1又は2に記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
  4. 前記ゾル中の前記分散剤の含有量が、前記水難溶性粉体の含有量1質量部に対して0.1〜20質量部である、請求項1乃至3のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
  5. 前記ゾルには、グリセリンが含まれており、前記ゾル中の前記グリセリンと前記分散剤の非イオン性界面活性剤との質量比が1/3〜3/1である、請求項1乃至4のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
  6. 前記ゾル調製工程において、ホモミキサー、ラインミキサー、又はディスパーを用いて前記水に前記水難溶性粉体を分散させる、請求項1乃至5のいずれかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
  7. 非架橋型ハイドロゲルに水難溶性粉体が分散すると共に分散剤が含まれたハイドロゲル粒子であって、
    前記非架橋型ハイドロゲルが、寒天、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、及びハイメトキシルペクチンのうちの1種又は2種以上をゲル形成剤とするゲルであると共に、前記ハイドロゲル粒子中の前記ゲル形成剤の含有量が0.5〜5.0質量%であり、
    前記水難溶性粉体が、炭素数12〜18の飽和脂肪酸の亜鉛塩及び/又はカルシウム塩であると共に、前記ハイドロゲル粒子中の前記水難溶性粉体の含有量が0.5〜3質量%であり、
    前記分散剤が非イオン性界面活性剤であると共に、前記ハイドロゲル粒子中の前記分散剤の含有量が2〜10質量%であり、
    前記ハイドロゲル粒子中の前記水難溶性粉体の最大粒子径が250μm以下であるハイドロゲル粒子。
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