JP2010269485A - 熱可塑性樹脂組成物とゴム組成物の積層ホース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層2と液状ポリマー組成物(b)からなる接着層3とジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層4とが、ならびに所望により補強層5および被覆層6が、この順に積層してなる積層ホースであって、該液状ポリマー組成物(b)が該熱可塑性樹脂組成物(a)中の熱可塑性樹脂が有する官能基(A)と親和性または反応性を有する官能基(B)を有し、かつ、ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である変性液状ポリブタジエンを30質量%以上含有し、ならびに該液状ポリマー組成物(b)および/または該ジエン系ゴム組成物(c)が架橋剤を含む、ことを特徴とする積層ホース。
【選択図】図1
Description
LPガス用の積層ホースの構造は、例えば、内層と外層とが接着層を介して積層されてなるものである。
内層は、例えば、ガスバリア性に優れるポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂または変性ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂組成物からなり、押出成形によって管状に成形される。
接着層は、通常、溶剤系接着剤を主成分としてなり、前記管状に成形された内層の表面に塗布される等して形成される。
外層は、例えば、柔軟で耐油性、耐摩耗性および耐老化性に優れるアクリロニトリルブタジエンゴム等のジエン系ゴム組成物からなり、前記接着層の上に被覆押出成形によって形成される。
さらに、補強層・カバーゴム層を積層して、未加硫の積層ホースが構成され、その後加硫されて、加硫済の積層ホースが製造される。
従来、内層と外層との接着には、有機溶剤を含有するゴムセメント等を使用する溶剤系接着技術が用いられてきた(特許文献1)。
そのため、積層ホースの製造工程においても、有機溶剤系接着技術から、有機溶剤を使用しない無溶剤系接着技術に移行することが求められている。
さらに、ジエン系ゴム組成物の加硫条件において熱可塑性樹脂が未溶融状態である場合、熱可塑性樹脂の分子運動性が相対的に劣るため、積層ホースの内層に使用される熱可塑性樹脂組成物と外層に使用される未変性のジエン系ゴム組成物は接着性があまり良好でない。接着性が良好でないと、負圧等によってホース閉塞が発生するおそれがある。
要件:
i)前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂が有する官能基(A)と親和性または反応性を有する官能基(B)を有する。
ii)ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である。
iii)揮発性有機化合物を含まない。
(イ)熱可塑性樹脂の官能基(A)と変性液状ブタジエンの官能基(B)との間に、化学的および/または電気的な結合が形成される。
(ロ)ジエン系ゴムの炭素−炭素二重結合と変性液状ブタジエンの側鎖の炭素−炭素二重結合との間に、加硫によって、架橋が形成される。
〔1〕 熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層と液状ポリマー組成物(b)からなる接着層とジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層とを、この順に積層してなる積層ホースであって、該液状ポリマー組成物(b)が該熱可塑性樹脂組成物(a)中の熱可塑性樹脂が有する官能基(A)と親和性または反応性を有する官能基(B)を有し、かつ、ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である変性液状ポリブタジエンを30質量%以上含有し、ならびに該液状ポリマー組成物(b)および/または該ジエン系ゴム組成物(c)が架橋剤を含む、ことを特徴とする積層ホース。
〔2〕 前記官能基(A)が、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、酸無水物基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載の積層ホース。
〔3〕 前記官能基(B)が、酸無水物基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕または〔2〕に記載の積層ホース。
〔4〕 前記熱可塑性樹脂組成物(a)が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂および変性ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を10〜100質量%以上含み、前記ジエン系ゴム組成物(c)がアクリロニトリルブタジエンゴムを20〜100質量%含有する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層ホース。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層ホースを、前記熱可塑性樹脂組成物(a)の融点より低い温度で加硫して得られる積層ホース。
〔6〕 樹脂マンドレル上に熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層(2)を押出成形し、その上に液状ポリマー組成物(b)からなる接着層(3)を形成し、同時にまたは逐次その上にジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層(4)を押出成形し、次いで加硫する工程を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層ホースの製造方法。
〔7〕 熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層2と、液状ポリマー組成物(b)からなる接着層3と、ジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層4とをこの順に積層してなる積層構造を有する積層ホースの製造方法であって、マンドレル上に熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層を押出成形し、液状ポリマーコーティング装置を用いて該樹脂層上に液状ポリマー組成物(b)からなる接着層を均一な厚みで形成し、該接着層上にジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層を押出成形し、その後加硫する、〔6〕に記載の積層ホースの製造方法。
〔8〕 前記液状ポリマーコーティング装置がクロスヘッドダイおよび液状ポリマー組成物供給装置を有し、該供給装置から該クロスヘッドダイに前記液状ポリマー組成物(b)が定量供給されて、前記樹脂層上に均一な厚みで押し出される、〔7〕に記載の積層ホースの製造方法。
〔9〕 前記液状ポリマーコーティング装置が塗布部位およびサイジング部位を有し、該塗布部位において、樹脂層上に液状ポリマー組成物(b)からなる接着層を形成し、次いで、該サイジング部位において、接着層の厚みを所定の厚みに均一化するためのサイジング用通過孔が設けられたゴム状弾性を有する板状体を通過させることによって、樹脂層の上に所定の厚みを有する接着層を形成する、〔7〕に記載の積層ホースの製造方法。
〔10〕 液状ポリマーコーティング装置が連続多孔質弾性体圧着部位および液状ポリマー組成物供給装置を有し、該供給装置から該連続多孔質弾性体圧着部位に液状ポリマー組成物(b)を過不足無く供給し、該連続性多孔質弾性体圧着部位において連続多孔質弾性体を樹脂層表面に圧着し、液状ポリマー組成物(b)の均一な厚みの層を形成する、〔7〕に記載の積層ホースの製造方法。
樹脂層は、後述する熱可塑性樹脂(a)を成形して形成される層である。成形方法は特に限定されないが、連続製造に適した押出成形法が好ましい。
熱可塑性樹脂は、ガスバリア性を担保でき、かつ、主鎖および/または側鎖の官能基(A)が後記する変性ブタジエンが有する官能基(B)と親和性または反応性を有すれば、特に限定されず、所望の機能・性能と加工性に応じて適宜選択することができる。
好ましい熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、またはこれらの共重合体や混合物を挙げることができる。
熱可塑性樹脂組成物(a)中に熱可塑性樹脂は、10〜100質量%、好ましくは30〜80質量%含有される。
本発明のポリアミド系樹脂としては、脂肪族系ポリアミド樹脂が好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、またはこれらの共重合体が特に好ましい。良好なガスバリア性、成形性、柔軟性を有するからである。
市販のポリアミド系樹脂としては、例えば、アミラン(登録商標、東レ社製:ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン)、リルサン(登録商標、アルケマ社製、ナイロン11、ナイロン12)を好ましく使用することができる。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸等やこれらの混合物を挙げることができる。具体的には、脂肪族ジカルボン酸として、炭素数2〜20のアジピン酸、セバシン酸、ドデカンカルボン酸等が、芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が、脂環式ジカルボン酸として、シクロヘキサンジカルボン酸等が、それぞれ例示される。
さらに、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドグリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリカプロラクトンブロック共重合体等のポリエステル系エラストマーも上記ポリエステル系樹脂に包含される。また、ポリエステル系樹脂は、無水マレイン酸、エポキシ等によって変性されたものを使用してもよい。
市販のポリエステル系樹脂としては、例えば、ハイトレル(登録商標、東レ・デュポン社製)、ボンドファーストVC−40(住友化学社製)を好ましく使用することができる。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂としては、例えば、エバール(登録商標、クラレ社製、エチレン共重合率24〜48mol%)を好ましく使用することができる。エバールの中でもエチレン共重合比率が32〜38mol%のもの(F、C、Hグレード)を特に好ましく使用することができる。
これらのポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸又はエポキシ等で変性する方法は特に限定されるものではなく、例えば、グラフト重合法等の、従来から公知の方法で行うことができる。また、変性ポリオレフィン系樹脂として市販されているものを購入して使用することもできる。
また、変性ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−グリシジルメタクリレート樹脂(E−GMA)等に例示される、オレフィン系モノマーとエポキシ基を有するモノマーとの共重合体を使用してもよい。
市販の変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、アドマー(登録商標、三井化学社製)、ボンドファースト(登録商標、住友化学社製)を好ましく使用することができる。
また、官能基(A)は、官能基(B)に対して求核性または求電子性を持つものが好ましく、求核性を持つものがより好ましい。
なお、官能基(A)を有する高分子化合物と、官能基(B)を有する高分子化合物とが、官能基(B)によって、全体として親和性または反応性を有すればよく、具体的に特定されなくともよい。
酸無水物基としては、例えば、無水マレイン酸基、無水フタル酸基等のカルボン酸無水物基を挙げることができる。
また、所望により、ゴム、熱可塑性エラストマー等の軟質成分を添加して柔軟性を与えることができる。
接着層は、後述する液状ポリマー組成物(b)を前述の熱可塑性樹脂(a)からなる樹脂層の上に形成される層である。形成方法は特に限定されないが、押出成形、塗布等の公知方法を使用することができる。また、そのような公知方法を実施することができる「ポリマーコーティング装置」を用いて層を形成することも好ましい。
本発明の液状ポリマー組成物(b)は、従来の溶剤系接着剤に代えて使用することができる。塗布量は特に限定されないが、組成物の粘度等によって適宜設定することができる。均一の厚みとなるように塗ることが好ましい。
液状ポリマー組成物(b)は、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する液状ポリマーの各種変性物を含有する組成物である。
液状ポリマーの変性は、液状ポリマー分子に官能基(B)を導入することによって行う。導入方法は特に限定されないが、グラフト付加が好ましい。
官能基(B)は、官能基(A)の種類、反応性、立体障害等の諸条件を考慮して好適なものが適宜選択される。
さらに、本発明で使用する液状ポリマー組成物は、側鎖に炭素−炭素二重結合を持つ変性液状ポリマーを単独で、または2種以上の混合物で含有してもよく、他の変性または非変性の液状ポリマーを含有してもよい。
また、本発明で使用する液状ポリマー組成物(b)は、上記の変性液状ポリマーの含有量が100質量%であってもよいが、変性液状ポリマーの他に、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を必要に応じて配合することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー等の充填剤、パラフィン系オイル等(プロセスオイル等)の軟化剤、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫助剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、接着助剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、ポリマー等が挙げられる。可塑剤を配合する場合は、可塑剤としては沸点が150℃以上のものが好ましい。
ゴム層は、前述の液状ポリマー組成物(b)からなる接着層の上に、後述するジエン系ゴム組成物(c)を成形して形成される層である。成形方法は特に限定されないが、連続製造に適した押出成形法が好ましい。
ジエン系ゴムは、硫黄加硫系配合、すなわち、加硫剤(架橋剤)としてイオウを用い、窒素原子を有する加硫促進剤と組み合わせる配合、または、イオウを用いず、イオウドナーとなりうるイオウ原子と窒素原子とを有する加硫促進剤を用いる配合により加硫されうるものであれば特に限定されない。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム)(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、ブチルゴム(IIR)、ノルボルネンゴム(NOR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム(SIBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(HNBR)、α-メチルスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(MSBR)、ビニルピリジン−ブタジエンとの状共重合体ゴム(PBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(PSBR)が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかるアクリロニトリルブタジエンゴムのムーニー粘度(ML(1+4)100℃)が35〜85のものが好ましく、また、結合アクリロニトリル量中心値としては、18〜45質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。耐久性、成形性が優れるからである。
添加剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー等の充填剤、パラフィン系オイル等(プロセスオイル等)の軟化剤、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫助剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、接着助剤、ポリマー等が挙げられる。
ただし、加硫剤(架橋剤)は、液状ポリマー組成物(b)もしくはジエン系ゴム組成物(c)のいずれかまたは両方に含まれる。
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土等が挙げられる。
これらの添加剤の詳細は、特開2003−327750号公報の段落[0015]〜[0026]に記載されている。
本発明の積層ホースの製造方法では、いわゆるVOC(揮発性有機化合物)である溶剤を含有する溶剤系接着剤を使用しないので、溶剤が揮発しない。
そのため、従来のように、従業者が溶剤に曝露することを避けるために工場の換気を頻繁に行って揮発した溶剤を工場外に排出することがなく、環境負荷が小さいという利点がある。
さらに、接着剤として使用される液状ポリマー組成物(b)は、揮発成分を含まないので、製造時に経時的な濃度変化が起こりにくくなり、従来と比較して、品質を安定させることが容易になるという利点がある。
本発明の積層ホースの製造方法は、概略を述べると、熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂チューブを成形し、その表面に液状ポリマー組成物(b)を均一に塗布し、さらにその上にジエン系ゴム組成物(c)からなるゴムチューブを成形し、その後(a)の融点よりも低温の条件で加硫することによって、本発明の積層ホースを製造する。
(1)図4は、本発明の積層ホースの製造方法の一態様のうち、接着層を押出成形法によって形成して、未加硫の積層ホースを製造する工程を表すものである。
まず、単軸の押出成形機を用いて、クロスヘッドダイ31から熱可塑性樹脂組成物(a)を樹脂マンドレル21上に押し出して樹脂層22を押出成形する。
次いで、クロスヘッドダイ32から液状ポリマー組成物(b)を樹脂層22上に被覆押出して接着層23を形成する。液状ポリマー組成物の定量供給装置35とクロスヘッドダイ32をあわせ、「液状ポリマーコーティング装置」という場合がある。
次いで、クロスヘッドダイ33からジエン系ゴム組成物(c)を接着層26上に被覆押出してゴム層24を形成する。
各層の厚みは、それぞれ規定された均一な厚みとすることが望ましい。
未加硫の積層ホースを製造した後、加硫することによって加硫済の積層ホースを製造することができる。
(2)図示していないが、2機以上の押出成形機を用いて、熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層と液状ポリマー組成物(b)からなる接着層を、マンドレル側からこの順に配置するように共押出成形し、さらにクロスヘッドダイを用いて液状ポリマー組成物(b)からなる接着層の上にジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層を押出成形し、樹脂層−接着層−ゴム層からなる積層ホース状積層構造とした後、加硫することによって加硫済の積層ホースを製造することができる。
(3)図示していないが、3機以上の押出成形機を用いて、熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層と液状ポリマー組成物(b)からなる接着層とジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層を、この順にマンドレル側から配置するように共押出成形し、樹脂層−接着層−ゴム層からなるホース状積層構造とした後、加硫することによって加硫済の積層ホースを製造することができる。
図5は、一定の厚みを有する接着層を形成する工程の一態様を示すものである。
図5(A)は斜視図を、図5(B)は断面図を、それぞれ示している。
図5(A)、(B)に示すように、まず、樹脂マンドレル41上の樹脂層42の表面に、液状ポリマー組成物(b)を塗布して接着層43を形成する。
次に、所定の外径にするためのサイジング用通過孔が設けられたゴム状弾性を有する板状体51を通過させる。
そうすると、接着層43の厚みが調製され、樹脂層31の上に所定の厚みを有する接着層44が形成される。ここで、板状体51を有し、接着層を形成する工程を行う装置を、「液状ポリマーコーティング装置」という場合がある。
その次に、図4に示したように、クロスヘッドダイを用いて、接着層44の上にジエン系ゴム組成物(c)を被覆押出成形し、加硫前の積層ホースを製造する。
その後、加硫することによって加硫済の積層ホースを製造することができる。
図6は、一定の厚みを有する接着層を形成する工程の一態様を示すものである。
図6に示すように、まず、樹脂マンドレル61上の樹脂層62の表面に、液状ポリマー組成物(b)を含浸した連続多孔質弾性体61を圧着する。
そうすると、樹脂層62の上に所定の厚みを有する接着層63が形成される。ここで、連続多孔質弾性体61を有し、接着層を形成する工程を行う装置を、「液状ポリマーコーティング装置」という場合がある。
その次に、図4に示したように、クロスヘッドダイを用いて、接着層63の上にジエン系ゴム組成物(c)を被覆押出成形し、加硫前の積層ホースを製造する。
その後、加硫することによって加硫済の積層ホースを製造することができる。
公知の方法を使用することができる。熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度であれば、温度は特に限定されない。例えば、125〜200℃(ただし、熱可塑性樹脂組成物の融点以下に限る。)で約5〜200分間、加熱加硫する。加硫方法は特に限定されないが、加硫缶加硫法を使用し、温度125℃〜160℃、圧力1〜10MPa、時間30〜90分の加硫条件とすることが好ましい。
本試験は実施例1〜6および比較例1〜4に関する。
<1.各成分の調製>
〈1−1〉熱可塑性樹脂組成物
熱可塑性樹脂組成物は、以下に記載の市販品をそのまま使用した。
《PA》
ポリアミド系樹脂組成物(アミラン CM6041XF、東レ社製)を使用した。
《epoxy−COPE》
エポキシ変性コポリエステル樹脂組成物(ボンドファースト VC−40、住友化学社製)を使用した。
《EVOH》
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物(エバール F101B、クラレ社製)を使用した。
《E−GMA》
エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体樹脂組成物(ボンドファースト E、住友化学社製)を使用した。
《EVA−MAH》
無水マレイン酸グラフト変性エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂組成物(HPR VR102、三井・デュポンポリケミカル社製)を使用した。
〈1−2〉液状ポリマー組成物
液状ポリマー組成物は、以下に記載の市販品をそのまま使用した。
《変性液状PB1》
無水マレイン酸基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB BN1015、日本曹達社製)を使用した(この組成物を、以下「変性液状PB1」という。)。官能基(B)は、無水マレイン酸基である。
《変性液状PB2》
エポキシ基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB JP200、日本曹達社製)を使用した(この組成物を、以下「変性液状PB2」という。)。官能基(B)は、エポキシ基である。
《変性液状PB3》
アクリレート基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB TEA−1000、日本曹達社製)を使用した(この組成物を、以下「変性液状PB3」という。)。官能基(B)は、アクリレート基である。
《変性液状PB4》
カルボキシル基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB C−1000、日本曹達社製)を使用した(この組成物を、以下「変性液状PB4」という。)。官能基(B)は、カルボキシル基である。
《変性液状NBR》
アミノ基末端アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(HYCAR ATBN 1300×16、宇部興産社製)を使用した(この組成物を、以下「変性液状NBR」という。)。官能基(B)は、アミノ基である。
〈1−3〉ジエン系ゴム組成物
《NBR系ゴム組成物》
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(Nipol 1042、日本ゼオン社製)100質量部、カーボンブラック(GPFカーボン、新日化カーボン社製)40質量部、ステアリン酸(ビーズステアリン酸NY、日本油脂社製)2質量部、老化防止剤(ノクラック224、大内新興化学工業社製)2質量部、および加硫剤(油処理イオウ、軽井沢精錬所社製)5質量部を、バンバリーミキサーを用いて100℃で混練し、ジエン系ゴム組成物(この組成物を、以下「NBR系ゴム組成物」という。)を調製した。
〈被着体1〉
前述のとおり調製した熱可塑樹脂組成物を、それぞれ、熱プレスを用いて、200〜230℃の条件下で厚さ0.5mmの熱可塑性樹脂組成物からなるシートを作成した。得られたそれぞれのシートを、縦150mm×横150mmのサイズで切り出した(切り出したシートを、以下「被着体1」という。)。
〈被着体2〉
前述のとおり調製した「NBR系ゴム組成物」を、熱プレスを用いて、100℃の条件下で厚さ2mmの未加硫のシートを得た。得られたシートを、縦150mm×横150mmのサイズで切り出した(切り出したシートを、以下「被着体2」という。)。
〈接着剤〉
前述の液状ポリマー組成物をそのまま使用した(以下、「接着剤」ともいう。)。
〈接着力評価試験用サンプル〉
被着体1(150mm×150mm×0.5mm)の片面に液状ポリマー組成物(接着剤)を塗布した(塗布量 100g/m2)。
次いで、被着体2(150mm×150mm×2mm)を貼り合わせた。
その後、加硫(148℃×45分間)行い、加硫済の積層体を作製した。
前記の積層体を25mm幅に切り出し、接着力評価用積層体サンプルを調製した。
実施例1〜6および比較例1〜4における、被着体1および2ならびに接着剤の組合せを第1表に記載して示す。
前述のとおりにして調製した接着力評価用積層体サンプルを用いて、23℃および50%RHの環境下、測定器具として引張試験機(オートグラフAGS−5kNG、(株)島津製作所製)を用いて、つかみ具移動速度50mm/分の条件で、接着力評価用積層体サンプルの180度はく離試験(JIS K 6854−2:1999)を行い、接着強度を測定した。
破壊の様式は、JIS K 6866:1999によって記載した。
接着力の判定は、接着強度3N/mm以上を優良(◎)、3N/mm未満を不良(×)とした。
接着力評価試験の結果を第1表にまとめた。
第1表から明らかなように、実施例1〜6の積層体サンプルは、比較例1〜4の積層体サン2プルに比べて接着強度が高く、いずれもその値が3N/mm以上であり、接着性に優れていた。
本試験は実施例7〜11に関する。
<1.組成物>
熱可塑性樹脂組成物(a)として、ポリアミド系樹脂組成物(PA)、エポキシ変性コポリエステル樹脂組成物(epoxy−COPE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物(EVOH)、およびエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体樹脂組成物(E−GMA)を選択し、使用した。
また、液状ポリマー組成物(b)として、ベースポリマーが「1,2−ポリブタジエン」であって、官能基(B)が無水マレイン酸基である「変性液状PB1」または官能基(B)がエポキシ基である「変性液状PB2」を選択し、使用した。
ジエン系ゴム組成物(c)は、前述の「NBR系ゴム組成物」を使用した。
〈2−1〉積層ホース
直径16mmの樹脂マンドレル上に、樹脂用押出し機およびクロスヘッドダイからなる被覆装置を用いて厚さ0.5mmで熱可塑性樹脂組成物を押出しチューブ状に成形した。
次に、その外側に液状ポリマー組成物を塗布して接着層を形成した(塗布量 100g/m2)。
その次に、ゴム用押出し機およびクロスヘッドダイからなるゴム組成物被覆装置を用いて、厚さ1.5mmでジエン系ゴム組成物を被覆し、3層構造からなる未加硫の積層ホースを製造した。
その後、加硫缶を用い、前記の未加硫の積層ホースを、150℃、45分間加熱し、加硫済の積層ホースを作製した。
〈2−2〉積層ホースサンプル
加硫積層ホースから樹脂マンドレルを引き抜き、長手方向に半分に切断し、幅25mm×長さ150mmの接着力評価用積層ホースサンプルを調製した。
実施例7〜11の各試験用サンプルの内層、接着層および外層に用いた組成物は、第2表に示すとおりである。
前述のとおりにして調製した接着力評価用積層ホースサンプルを用いて、23℃および50%RHの環境下、測定器具として引張試験機(オートグラフAGS−5kNG、(株)島津製作所製)を用いて、つかみ具移動速度50mm/分の条件で、接着力評価用積層体サンプルの180度はく離試験(JIS K 6854−2:1999)を行い、接着強度を測定した。接着力の判定は、接着強度3N/mm以上を優良(◎)、3N/mm未満を不良(×)とした。
第2表に実施例7〜11の各試験サンプルについての接着力評価試験結果を示す。
第2表から明らかなように、実施例7〜11の積層ホースサンプルは、いずれもそのはく離強度が3N/mm以上であり、接着性が良好であった。
2,22,42,62 樹脂層
3,7,23,43,44,63 接着層
4,8,24 ゴム層
5,12 補強層
6 カバーゴム層
10 補強材料
21,41,61 樹脂マンドレル
31,32,33 クロスヘッドダイ
34 熱可塑性樹脂組成物(a)の定量供給装置
35 液状ポリマー組成物(b)の定量供給装置
36 ジエン系ゴム組成物(c)の定量供給装置
51 板状体
71 連続多孔質弾性体
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層と液状ポリマー組成物(b)からなる接着層とジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層とを、この順に積層してなる積層ホースであって、該液状ポリマー組成物(b)が該熱可塑性樹脂組成物(a)中の熱可塑性樹脂が有する官能基(A)と親和性または反応性を有する官能基(B)を有し、かつ、ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である変性液状ポリブタジエンを30質量%以上含有し、ならびに該液状ポリマー組成物(b)および/または該ジエン系ゴム組成物(c)が架橋剤を含む、ことを特徴とする積層ホース。
- 前記官能基(A)が、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、酸無水物基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の積層ホース。
- 前記官能基(B)が、酸無水物基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の積層ホース。
- 前記熱可塑性樹脂組成物(a)が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂および変性ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を10〜100質量%以上含み、前記ジエン系ゴム組成物(c)がアクリロニトリルブタジエンゴムを20〜100質量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層ホース。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の積層ホースを、前記熱可塑性樹脂組成物(a)の融点より低い温度で加硫して得られる積層ホース。
- 樹脂マンドレル上に熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層を押出成形し、その上に液状ポリマー組成物(b)からなる接着層を形成し、同時にまたは逐次その上にジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層を押出成形し、次いで加硫する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の積層ホースの製造方法。
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