JP2020032684A - ゴムと金属の積層体の製造方法 - Google Patents

ゴムと金属の積層体の製造方法 Download PDF

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修作 友井
Shusaku Tomoi
修作 友井
栗林 延全
Nobumasa Kuribayashi
延全 栗林
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Abstract

【課題】少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法において、有機溶剤系接着剤を使用せずに、ゴム層と金属層が強固に接合した積層体を製造する方法を提供する。【解決手段】少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法であって、該方法は、金属層の表面を粗面化処理する工程、金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂層を積層する工程、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む未加硫ゴム層を、熱可塑性樹脂層の上に積層する工程、および未加硫ゴム層を加熱することにより、未加硫ゴム層を加硫してゴム層を形成するとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着させる工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴムと金属の積層体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法に関する。
ゴムと金属の接着には従来より有機溶剤系接着剤が使用されている(特開平2−11683号公報)。
特開平2−11683号公報
有機溶剤系接着剤を使用せずにゴムと金属を強固に接着することができれば、人体および環境への影響を低減できる。
本発明は、少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法において、有機溶剤系接着剤を使用せずに、ゴム層と金属層が強固に接合した積層体を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、金属層の表面を粗面化するとともに、金属層とゴム層を熱可塑性樹脂層を介して積層することにより、ゴム層と金属層が強固に接合した積層体を得ることができることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法であって、該方法は、
金属層の表面を粗面化処理する工程、
金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂層を積層する工程、
熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む未加硫ゴム層を、熱可塑性樹脂層の上に積層する工程、および
未加硫ゴム層を加熱することにより、未加硫ゴム層を加硫してゴム層を形成するとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着させる工程(以下「加熱加硫工程」という。)
を含むことを特徴とする。
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法であって、該方法は、
金属層の表面を粗面化処理する工程、
金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂層を積層する工程、
熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む未加硫ゴム層を、熱可塑性樹脂層の上に積層する工程、および
未加硫ゴム層を加熱することにより、未加硫ゴム層を加硫してゴム層を形成するとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着させる工程(以下「加熱加硫工程」という。)
を含む、積層体の製造方法。
[2]粗面化処理が金属層に対して腐食性を有する溶液を使用した化学的表面処理である、[1]に記載の積層体の製造方法。
[3]粗面化処理が塩基性水溶液または酸性水溶液を使用した化学的表面処理である、[1]または[2]に記載の積層体の製造方法。
[4]熱可塑性樹脂層が単一の熱可塑性樹脂を含み、加熱加硫工程における加熱温度が熱可塑性樹脂の融点(ただし熱可塑性樹脂が融点を有しない非晶性樹脂の場合はガラス転移温度。以下同様。)より60℃低い温度以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[5]熱可塑性樹脂層が単一の熱可塑性樹脂を含み、加熱加硫工程における加熱温度が熱可塑性樹脂の融点よりも低い、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[6]熱可塑性樹脂層が、加熱加硫工程における加熱温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂Aおよび加熱加硫工程における加熱温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂Bを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[7]熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の総量に対する熱可塑性樹脂Aの割合が10〜90質量%である、[6]に記載の積層体の製造方法。
[8]熱可塑性樹脂Aが、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリアリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[6]または[7]に記載の積層体の製造方法。
[9]熱可塑性樹脂Bが、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂Bの総量に対するポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールおよびポリビニルアルコールの総量の割合が50質量%以上である、[6]〜[8]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[10]熱可塑性樹脂層が、酸変性エラストマー、エポキシ基含有エラストマー、ハロゲン化エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーをさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[11]接着成分が、式(1)
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1〜12個のアルキル基である。)
で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、エポキシ化合物、エポキシ化ポリマー、アミド化合物、ポリアミド、酸変性ポリマー、ハロゲン化ポリマー、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびニトリルゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[10]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[12]接着成分が式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物である、[11]に記載の積層体の製造方法。
[13]未加硫ゴム層中の前記縮合物の含有量が、ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として、0.5〜20質量部である、[12]に記載の積層体の製造方法。
[14]前記縮合物がノボラック型縮合物であり、未加硫ゴム層が未加硫ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として0.25〜200質量部のメチレンドナーを含み、前記縮合物の含有量に対するメチレンドナーの含有量の質量比率が0.5〜10である、[12]または[13]に記載の積層体の製造方法。
本発明の方法は、ゴム層と金属層が強固に接合した積層体を製造することができる。また、本発明の方法は、有機溶剤系接着剤を使用せずに積層体を製造することができ、また本発明の方法により製造した積層体は、廃棄時に熱可塑性樹脂の融点以上の温度で容易にゴム層と金属層を分離できるので、環境への負荷が低い。
図1は、ゴム支承の模式断面図である。 図2は、タイヤの模式断面図である。
本発明は、少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法であって、該方法は、
金属層の表面を粗面化処理する工程、
金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂層を積層する工程、
熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む未加硫ゴム層を、熱可塑性樹脂層の上に積層する工程、および
未加硫ゴム層を加熱することにより、未加硫ゴム層を加硫してゴム層を形成するとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着させる工程(以下「加熱加硫工程」という。)
を含む。
金属と他の部材との接合形態の一つに、金属の粗い表面の微細な凹部の中に他の部材が入り込むことで金属と他の部材とがアンカー効果により接合するものがある。しかし、ゴムは粘度が高く、金属の粗い表面の微細な凹部の中に入り込まないため、粗い表面を有する金属とゴムは直接接合しない。そこで、流動性の高い熱可塑性樹脂を金属の粗い表面に積層して微細な凹部の中に入り込ませ、さらに熱可塑性樹脂層の上に熱可塑性樹脂と接着する接着成分を含むゴムを積層することにより、粗い表面を有する金属とゴムを強固に接合させることができる。
本発明の方法は、少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法である。
積層体の用途は、限定するものではないが、免震装置(たとえばゴム支承)やタイヤに好適に用いることができる。
積層体をゴム支承に用いる場合は、複数のゴム層と金属層が交互に積層される。ゴム層および金属層の数は、限定するものではないが、好ましくは1〜100層であり、より好ましくは2〜50層である。ゴム層の厚さは、限定するものではないが、好ましくは0.5〜100mmであり、より好ましくは1〜50mmである。金属層の厚さは、限定するものではないが、好ましくは0.5〜100mmであり、より好ましくは1〜50mmである。図1に、ゴム支承の模式断面図を示す。ゴム支承1は、複数のゴム層2と複数の金属板3が交互に積層されている。金属板3が本発明にいう金属層に該当する。
積層体をタイヤに用いる場合、積層体はベルト層またはビード層に用いられる。ベルト層およびビード層は複数の金属ワイヤーとそれを被覆するゴムからなる。金属ワイヤーが本発明にいう金属層に該当し、被覆ゴムが本発明にいうゴム層に該当する。
本発明の方法は、金属層の表面を粗面化処理する工程(以下「粗面化工程」という。)を含む。
粗面化処理としては、化学的表面処理および物理的表面処理が挙げられるが、好ましくは、化学的表面処理である。化学的表面処理としては、限定するものではないが、金属層に対して腐食性を有する溶液を使用した処理が挙げられる。金属層に対して腐食性を有する溶液(以下「腐食性溶液」という。)としては、限定するものではないが、塩基性水溶液、酸性水溶液などが挙げられる。
塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム希薄水溶液、水酸化カリウム希薄水溶液、水酸化マグネシウム懸濁水溶液、水酸化カルシウム懸濁水溶液、アンモニア水などが挙げられる。
酸性水溶液としては、希塩酸や弗化水素誘導体などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸等の希薄水溶液、有機カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸など)の水溶液、炭酸水、塩化アンモニウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液などが挙げられる。
物理的処理としては陽極酸化法が挙げられる。
化学的表面処理の方法および条件は、金属層の表面を粗面化することができる限りにおいて限定されないが、化学的表面処理の方法としては、金属板や金属ワイヤーなどの金属層を腐食性溶液に浸漬する方法、金属層の表面に腐食性溶液を塗布する方法などが挙げられる。
金属層を腐食性溶液に浸漬する方法の場合、腐食性溶液の濃度、温度、浸漬時間などの条件は、金属層の種類および腐食性溶液の種類に応じて適宜選択すればよいが、腐食性溶液の濃度は、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%であり、温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃であり、浸漬時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは3〜30分、さらに好ましくは5〜20分である。腐食性溶液の濃度が薄すぎると十分に粗面化できず接着性が低下する懸念があり、濃すぎると微細な凹部の形成の制御が難しくやはり接着性が低下する懸念がある。温度が低すぎると十分に粗面化できず接着性が低下する懸念があり、高すぎると微細な凹部の形成の制御が難しくやはり接着性が低下する懸念がある。浸漬時間が短すぎると十分に粗面化できず接着性が低下する懸念があり、長すぎると微細な凹部の形成の制御が難しくやはり接着性が低下する懸念がある。
特に、金属層が鋼やステンレス鋼であり、腐食性溶液が硫酸水溶液である場合は、腐食性溶液の濃度は、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは7〜15質量%であり、温度は、好ましくは30〜80℃、より好ましくは50〜70℃であり、浸漬時間は、好ましくは1〜20分、より好ましくは3〜15分である。
粗面化処理は金属層の表面の全部でもよいし、一部でもよい。金属層の表面の一部を粗面化処理するときは、少なくとも熱可塑性樹脂層を積層する部分は粗面化処理する。好ましくは、金属層の表面の全部を粗面化処理する。
金属層を構成する金属としては、限定するものではないが、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、銅、真ちゅう、鉛、亜鉛、スズなどが挙げられる。
積層体をゴム支承に用いる場合は、金属層は、好ましくは、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真ちゅう、鉛である。
積層体をタイヤに用いる場合は、金属層は、好ましくは、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真ちゅうである。
粗面化処理した後の金属層の表面の粗度は、限定するものではないが、好ましくは、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.5〜10μmであり、最大高さ粗さ(Rz)が0.1〜5μmである。
粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)とは、JIS B 0601:2013に記載の基準長さにおける輪郭曲線要素の長さの平均である。
最大高さ粗さ(Rz)とは、JIS B 0601:2013に記載の基準長さにおける輪郭曲線の山高さの最大値と谷深さの最大値との和である。
RSmは、より好ましくは1.0〜10μmである。RSmが小さすぎると、熱可塑性樹脂が凹部に入り込まない懸念がある。RSmが大きすぎると、アンカー効果による接合強度が低下する懸念がある。
Rzは、より好ましくは0.5〜5μmである。Rzが小さすぎると、アンカー効果による接合強度が低下する懸念がある。Rzが大きすぎると、熱可塑性樹脂が凹部の奥まで入り込まない懸念がある。
粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)および最大高さ粗さ(Rz)は、例えば走査型プローブ顕微鏡やレーザー顕微鏡を使用して測定することができる。
本発明の方法は、金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂層を積層する工程(以下「熱可塑性樹脂積層工程」という。)を含む。
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、限定するものではないが、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリアリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。すなわち、熱可塑性樹脂層は、単一の熱可塑性樹脂を含んでもよいし、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含んでもよい。
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂が1種類である場合すなわち熱可塑性樹脂層が単一の熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂の融点(ただし熱可塑性樹脂が融点を有しない非晶性樹脂の場合はガラス転移温度。以下同様。)は加熱加硫工程における加熱温度(以下「加硫温度」という。)より60℃高い温度以下であることが好ましい。換言すれば、加硫温度は熱可塑性樹脂の融点より60℃低い温度以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂の融点が加硫温度より60℃高い温度以下であることにより、熱可塑性樹脂と接着成分を含む未加硫ゴム層を強固に接着できる。
さらに、熱可塑性樹脂の融点は加硫温度よりも高いことが好ましい。換言すれば、加硫温度は熱可塑性樹脂の融点よりも低いことが好ましい。熱可塑性樹脂の融点が加硫温度よりも高いことにより、加硫中に熱可塑性樹脂が溶融しないため、熱可塑性樹脂の溶融に起因する積層体の加硫故障を防ぐことができる。
熱可塑性樹脂の融点(℃)をTmで表し、加硫温度(℃)をTvで表すと、より好ましくは、Tv<Tm≦Tv+60である。換言すれば、Tm−60≦Tv<Tmであることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、さらに好ましくは、加硫温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂および加硫温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂を含む。加硫温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を含むことにより、加硫耐性を付与し、加硫時の加硫故障を抑制することができる。加硫温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂を含むことにより、加硫中に当該樹脂が溶融しゴム層に含まれる接着成分との反応が促進されるため、熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が更に向上する。加硫温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を以下「熱可塑性樹脂A」という。加硫温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂を以下「熱可塑性樹脂B」という。熱可塑性樹脂層は、1種類の熱可塑性樹脂Aを含んでもよいし、2種類以上の熱可塑性樹脂Aを含んでもよい。熱可塑性樹脂層は、1種類の熱可塑性樹脂Bを含んでもよいし、2種類以上の熱可塑性樹脂Bを含んでもよい。
熱可塑性樹脂Aは、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリアリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
熱可塑性樹脂Bは、好ましくは、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルヘキシラールなどが挙げられるが、なかでもポリビニルブチラールが好ましい。
熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂Bの総量に対するポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールおよびポリビニルアルコールの総量の割合は、好ましくは50質量%以上(すなわち50〜100質量%)であり、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%である。割合が少なすぎると、熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が低下する。
熱可塑性樹脂Aの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の総量を基準として、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜70質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。熱可塑性樹脂Aの含有量が少なすぎると、加硫耐性が低下し加硫時の加硫故障が生じやすくなる。熱可塑性樹脂Aの含有量が多すぎると、熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が低下する。
熱可塑性樹脂Bの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の総量を基準として、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、さらに好ましくは40〜70質量%である。熱可塑性樹脂Bの含有量が少なすぎると、熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が低下する。熱可塑性樹脂Bの含有量が多すぎると、加硫耐性が低下し加硫時の加硫故障が生じやすくなる。
熱可塑性樹脂層は、好ましくは、酸変性エラストマー、エポキシ基含有エラストマーおよびハロゲン化エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーをさらに含む。酸変性エラストマー、エポキシ基含有エラストマーおよびハロゲン化エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーを含むことにより、熱可塑性樹脂どうしの相溶性を向上させ、かつ熱可塑性樹脂層を柔軟化させ、耐疲労性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂層中のエラストマーの含有量は、好ましくは0〜70質量%であり、より好ましくは5〜60質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。エラストマーの含有量が少なすぎると、熱可塑性樹脂どうしの相溶化効果が低下し、エラストマーの含有量が多すぎると、エラストマーが樹脂を取り込んでマトリックス相となるため熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が低下する。
酸変性エラストマーとしては、酸変性ポリオレフィン系エラストマー、酸変性スチレン系エラストマーなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン系エラストマーとしては、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体もしくはその誘導体などが挙げられる。不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物、エチレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸変性物、エチレン−ヘキセン共重合体の無水マレイン酸変性物、エチレン−オクテン共重合体の無水マレイン酸変性物などが挙げられる。不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−不飽和カルボン酸共重合体もしくはその誘導体としては、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−アクリル酸共重合体、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−メタクリル酸共重合体、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−アクリル酸メチル共重合体、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−メタクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。なかでも、好ましい酸変性ポリオレフィン系エラストマーは、エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物、エチレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸変性物、エチレン−オクテン共重合体の無水マレイン酸変性物である。酸変性ポリオレフィン系エラストマーは市販品を用いることができる。酸変性ポリオレフィン系エラストマーの市販品としては、三井化学株式会社製「タフマー」(登録商標)MH7010、MP7020、MP0610などが挙げられる。
酸変性スチレン系エラストマーとしては、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−イソプレン−スチレン共重合体などが挙げられるが、好ましくは無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体である。酸変性スチレン系エラストマーは市販品を用いることができる。無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体の市販品としては、旭化成株式会社製「タフテック」(登録商標)M1943、M1913、M1911、クレイトンポリマージャパン株式会社製「クレイトン」(登録商標)FG1924などが挙げられる。
エポキシ基含有エラストマーとは、エポキシ基を有するエラストマーをいう。
エポキシ基含有エラストマーを構成するエラストマーとしては、特に限定するものではないが、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エポキシ化天然ゴム(ENR)などが挙げられる。すなわち、エポキシ基含有エラストマーは、好ましくは、エポキシ基を有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エポキシ基を有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エポキシ基を有するエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エポキシ基を有する天然ゴムである。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などが挙げられる。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
エポキシ基含有エラストマーは、たとえば、エラストマーにグリシジルメタクリレートなどのエポキシ化合物を共重合することによって、または不飽和結合を有するエラストマーの不飽和結合の一部またはすべてをエポキシ化剤でエポキシ化することによって得ることができる。エポキシ基含有エラストマー中のエポキシ基の含有量は、好ましくは0.01〜5モル/kg、より好ましくは0.1〜1.5モル/kgである。エポキシ基の含有量が少なすぎると、熱可塑性樹脂どうしの相溶化効果が低下し、エポキシ基の含有量が多すぎると、熱可塑性樹脂層を十分に柔軟化できず耐疲労性向上が期待できない。エポキシ基含有エラストマーは、市販されており、市販品を用いることができる。市販品としては、住友化学株式会社製エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体「ボンドファースト」(登録商標)BF−2C、住友化学株式会社製エポキシ変性エチレン−アクリル酸メチル共重合体「エスプレン」(登録商標)EMA2752、株式会社ダイセル製エポキシ変性スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体「エポフレンド」(登録商標)AT501、CT310などがある。
ハロゲン化エラストマーとしては、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)や塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)などのハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソモノオレフィン−p−アルキルスチレン共重合体(たとえば臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS))、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)などが挙げられる。ハロゲン化エラストマーは、市販されており、市販品を用いることができる。市販品としては、エクソンモービル・ケミカル社製臭素化ブチルゴム「BROMOBUTYL」(登録商標)2244、エクソンモービル・ケミカル社製臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体ゴム「Exxpro」(登録商標)3745、デンカ株式会社製「デンカクロロプレン」(登録商標)M−40、昭和電工株式会社製塩素化ポリエチレン「エラスレン」(登録商標)301A、東ソー株式会社製クロロスルホン化ポリエチレン「TOSO−CSM」(登録商標)TS−530などがある。
熱可塑性樹脂層を積層する方法は、限定するものではないが、あらかじめ熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含む組成物を、インフレーション成形法、Tダイ押出成形法などにより、フィルム状に成形して、熱可塑性樹脂フィルムを作製し、その熱可塑性樹脂フィルムを金属層の粗面化処理した表面の上に貼り合せ、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱プレスもしくは熱ロールにより圧着する方法、金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含む組成物を溶融押出ラミネートする方法、金属層の粗面化処理した表面の上に射出成形の一種であるインサート成形により熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含む組成物を積層する方法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂層の厚さは、金属層とゴム層の接合に寄与する限りにおいて限定されないが、好ましくは0.5〜1000μmであり、より好ましくは1〜500μmであり、さらに好ましくは5〜300μmである。熱可塑性樹脂層の厚さが薄すぎると、金属層表面に熱可塑性樹脂が十分入り込まず、熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が低下する。熱可塑性樹脂層の厚さが厚すぎると、積層体に熱可塑性樹脂層の物性が大きく反映されてしまい、本来はゴム層によって柔軟性が望まれる積層体の物性を損なう恐れがある。
本発明の方法は、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む未加硫ゴム層を、熱可塑性樹脂層の上に積層する工程(以下「未加硫ゴム積層工程」という。)を含む。
未加硫ゴム層を構成するゴム成分としては、限定するものではないが、ジエン系ゴムおよびその水添物、オレフィン系ゴム、含ハロゲンゴム、シリコーンゴム、含イオウゴム、フッ素ゴムなどを挙げることができる。
ジエン系ゴムおよびその水添物としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)(高シスBRおよび低シスBR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性NBR、水素化NBR、カルボキシル変性SBR、水素化SBRなどが挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体(変性EEA)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマーなどが挙げられる。
含ハロゲンゴムとしては、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)や塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)などのハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソモノオレフィン−p−アルキルスチレン共重合体(たとえば臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS))、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)などが挙げられる。
シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴムなどが挙げられる。含イオウゴムとしては、ポリスルフィドゴムなどが挙げられる。フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴムなどが挙げられる。
本発明の積層体をゴム支承に用いる場合は、ゴム層を構成するゴム成分は、好ましくは、ジエン系ゴム、含ハロゲンゴムであり、さらに好ましくは天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソモノオレフィン−p−アルキルスチレン共重合体、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴムである。
本発明の積層体をタイヤに用いる場合は、ゴム層を構成するゴム成分は、好ましくは、ジエン系ゴム、含ハロゲンゴムであり、さらに好ましくは天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソモノオレフィン−p−アルキルスチレン共重合体、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴムである。
未加硫ゴム層は熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む。前記接着成分としては、限定するものではないが、式(1)
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1〜12個のアルキル基である。)
で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、エポキシ化合物、エポキシ化ポリマー、アミド化合物、ポリアミド、酸変性ポリマー、ハロゲン化ポリマー、ニトリルゴムなどが挙げられる。なかでも、好ましい接着成分は、式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(以下単に「縮合物」ともいう。)である。
未加硫ゴム層中の接着成分の含有量は、ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として、好ましくは0.5〜100質量部(ゴム成分が接着成分を兼ねる場合はゴム成分すべてが接着成分でもよい。)であり、より好ましくは1〜50質量部であり、さらに好ましくは1〜20質量部である。接着成分の含有量が少なすぎると、ゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下し、接着成分の含有量が多すぎると、ゴム層の硬度の増加、耐疲労性の低下などが生じる。
接着成分が式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物である場合、未加硫ゴム層中の縮合物の含有量は、ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として、好ましくは0.5〜20質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である。縮合物の含有量が少なすぎると、ゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下し、縮合物の含有量が多すぎると、ゴム層の硬度の増加、耐疲労性の低下などが生じる。
式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物は、ノボラック型縮合物であってもよいし、レゾール型縮合物であってもよい。
ノボラック型縮合物の場合は、未加硫ゴム層はさらにメチレンドナーを含むことが好ましい。未加硫ゴム層中のメチレンドナーの含有量は、未加硫ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として、好ましくは0.25〜200質量部であり、より好ましくは0.5〜80質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。メチレンドナーの含有量が少なすぎると、ゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下し、メチレンドナーの含有量が多すぎてもゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下する。縮合物の量に対するメチレンドナーの量の比率は、好ましくは0.5〜10であり、より好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜3である。メチレンドナーの比率が少なすぎると、ゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下し、メチレンドナーの比率が多すぎても、ゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下する。
未加硫ゴム層は、各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。添加剤としては、架橋剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、架橋促進助剤、架橋促進剤、補強剤(フィラー)、スコーチ防止剤、素練促進剤、有機改質剤、軟化剤、粘着付与剤などが挙げられる。
未加硫ゴム層を積層する方法は、限定するものではないが、あらかじめの未加硫ゴム組成物を、カレンダー法などにより、シート状に成形して、未加硫ゴムシートを作製し、その未加硫ゴムシートを熱可塑性樹脂層の表面の上に貼り合せる方法、熱可塑性樹脂層の表面の上に未加硫ゴム組成物を押出ラミネートする方法、熱可塑性樹脂層の表面の上に溶剤に溶かした未加硫ゴム組成物を塗布し乾燥させる方法などが挙げられる。
積層体をゴム支承に用いる場合は、未加硫ゴム組成物を、カレンダー法などにより、シート状に成形して、未加硫ゴムシートを作製し、その未加硫ゴムシートを熱可塑性樹脂層の表面の上に貼り合せる方法が好ましい。
積層体をタイヤのベルト層またはビード層に用いる場合は、クロスヘッドを利用した押出成形により熱可塑性樹脂層の表面の上に未加硫ゴム組成物を押出ラミネートする方法が好ましい。
積層体をゴム支承に用いる場合は、ゴム層の厚さは、好ましくは0.5〜100mmであり、より好ましくは1〜50mmである。ゴム層の厚さが薄すぎても、ゴム層の厚さが厚すぎても、ゴム支承の免震効果が低下する。
積層体をタイヤのベルト層またはビード層に用いる場合は、ゴム層の厚さは、好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは0.2〜5mmであり、さらに好ましくは0.2〜2mmである。ゴム層の厚さが薄すぎると、熱可塑性樹脂層とゴム層との接着性が低下する懸念があり、ゴム層の厚さが厚すぎると、タイヤ性能へ悪影響を与える懸念がある。
本発明の方法は、未加硫ゴム層を加熱することにより、未加硫ゴム層を加硫してゴム層を形成するとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着させる工程(以下「加熱加硫工程」という。)を含む。
未加硫ゴム層を加熱する方法は、限定するものではないが、金属層と未加硫ゴム層との積層体を熱プレスする方法が挙げられる。
ゴム層と金属層が交互に積層された複数のゴム層と複数の金属層からなる積層体は、両面に熱可塑性樹脂層を有する金属板と未加硫ゴムシートを交互に複数枚重ね合わせ、プレスしながら加熱加硫することにより製造することができる。
積層体をタイヤのベルト層またはビード層として使用する場合は、慣用のグリーンタイヤの加硫方法を適用することができる。すなわち、タイヤ成形用ドラムの上に、インナーライナー層、ビード層、カーカス層、ベルト層、トレッド層など順次貼り重ね、成形後、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとし、次いで、このグリーンタイヤを加熱加硫する。
加熱加硫工程における加熱温度すなわち加硫温度(たとえば熱プレス温度)は、未加硫ゴム層を加硫することができる限り限定されないが、好ましくは110〜200℃であり、より好ましくは130〜180℃である。加硫温度が低すぎると、ゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下する懸念がある。加硫温度が高すぎると、ゴム層が過加硫状態となり物性が低下する懸念がある。
加熱加硫工程における加熱時間(以下「加硫時間」という。)(たとえば熱プレス時間)は、未加硫ゴム層を加硫することができる限り限定されないが、好ましくは5〜900分であり、より好ましくは10〜600分であり、加硫の対象となる積層体の大きさにより適宜調整する。加硫時間が短すぎると、加硫不足となりゴム物性の低下およびゴム層と熱可塑性樹脂層の接着性が低下する懸念がある。加硫時間が長すぎると、ゴム層が過加硫状態となり物性が低下する懸念がある。
(1)原料
以下の実施例および比較例において使用した原料は次のとおりである。
(1−1)ゴム層の原料
NR: 天然ゴム、SIAM INDO RUBBER社製 STR20
SBR: スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン株式会社製「NIPOL」(登録商標)1502
CB: カーボンブラック、東海カーボン株式会社製「シースト」(登録商標)V
縮合物(1): レゾール型フェノール系樹脂(アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体)、日立化成株式会社製「ヒタノール」(登録商標)2501Y
縮合物(2): ノボラック型フェノール系樹脂(変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体)、田岡化学工業株式会社製 スミカノール620
メチレンドナー: 変性エーテル化メチロールメラミン、田岡化学工業株式会社製 スミカノール507AP
ENR: エポキシ化天然ゴム、Kumpulan Guthrie Beshad社製、ENR−50(エポキシ化度:50モル%)
酸変性エラストマー: マレイン酸変性α−オレフィン共重合体、三井化学株式会社製「タフマー」(登録商標)MH7010
ポリビニルアセタール: ポリビニルブチラール、積水化学工業株式会社製「エスレック」(登録商標)BL−1
クロロプレンゴム: デンカ株式会社製 デンカクロロプレン M−40
オイル: 昭和シェル石油株式会社製 デソレックス3号
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製 酸化亜鉛3種
ステアリン酸: 千葉脂肪酸株式会社製 工業用ステアリン酸
硫黄: 細井化学工業株式会社製 油処理イオウ
加硫促進剤: 大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー」(登録商標)DM
(1−2)熱可塑性樹脂層の原料
ナイロン(1): ナイロン11、アルケマ社製 Rilsan BESNO TL(融点:187℃)
ナイロン(2): ナイロン6、宇部興産株式会社製「UBEナイロン」(登録商標)1013B(融点:225℃)
EVOH(1): エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン量:48%)、日本合成化学工業株式会社製「ソアノール」(登録商標)H4815(融点:158℃)
EVOH(2): エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン量:29%)、日本合成化学工業株式会社製「ソアノール」(登録商標)D2908(融点:188℃)
ポリビニルアセタール: ポリビニルブチラール、積水化学工業株式会社製「エスレック」(登録商標)BL−1(ガラス転移温度(Tg):70℃)
ポリエステル(1): ポリブチレンテレフタレート、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ノバデュラン」(登録商標)5010R(融点:224℃)
ポリエステル(2): ポリブチレンテレフタレートエラストマー、東洋紡株式会社製「ペルプレン」(登録商標)S6001(融点:218℃)
酸変性エラストマー: マレイン酸変性α−オレフィン共重合体、三井化学株式会社「タフマー」(登録商標)MH7010(ガラス転移温度(Tg):−65℃)
(2)ゴム組成物の調製
表1に示す原料のうち加硫促進剤と硫黄を除く原料を神戸製鋼株式会社製B型バンバリーミキサー(1.8L)を用いて5分間混合した後、この混合物に加硫促進剤と硫黄を8インチの試験用練りロール機で4分間混練して、ゴム組成物R1〜R12を得た。得られたゴム組成物を8インチの試験用練りロール機で2.2mm厚のシート状に分出しした。
(3)熱可塑性樹脂フィルムの作製
表2に示す熱可塑性樹脂組成物P2〜P9は次の方法にて調製した。各原料を、表2に示す配合比率で、二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製)に投入し、235℃で3分間混練した。混練物を押出機から連続的にストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断することにより、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物P2〜P9を得た。
表2に示す熱可塑性樹脂P1およびペレット状の熱可塑性樹脂組成物P2〜P9を、Tダイシート成形装置(トミー機械工業株式会社製)を使用して235℃で押出し、金属の冷却ロール上に引き落とし、ピンチロールで引取り、巻取機で巻き取ることにより、熱可塑性樹脂フィルムP1〜P9を作製した。いずれも得られたフィルムの厚みは100μmであった。
(4)金属板の粗面化処理
金属板(SS400、厚み2mm)の表面を酸系エッチング剤(10%硫酸水溶液)を用いて50℃で5分間浸漬し粗面化処理を行い、洗浄し、乾燥した。処理後の金属板の表面の粗度は、RSmが3μmであり、Rzが1μmであった。
(5)積層体の作製
粗面化処理した金属板に、(3)で作成した熱可塑性樹脂フィルムP1〜P9を積層し、積層した熱可塑性樹脂の融点以上の温度にて熱プレスを行い、金属板に熱可塑性樹脂層P1〜P9を設けた。次いで、金属板の熱可塑性樹脂層を設けた面に、(2)で調製したゴム組成物R1〜R12の2.2mm厚みのシートを積層し、表3に記載の温度にて熱プレスを行い、ゴムを加硫させるとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着し、十分冷却した後、取り出して、金属板とゴム層の積層体(実施例1〜21および比較例1)を作製した。作製した積層体のゴム層の厚みは2mmであった。
(6)剥離試験(接着性の評価)
(5)で作成した積層体を、幅25mmに切断し、その短冊状試験片の剥離強度をJIS K 6256に従い測定した。剥離試験結果は、剥離強度が25N/25mm未満の場合を「不可」、25N/25mm以上100N/25mm未満の場合を「良」、100N/25mm以上の場合を「優」と格付けした。「不可」以外は良好の範囲である。剥離試験結果を表3に示す。
(7)加硫後の膨らみおよび剥がれの評価
(5)における積層体の作成時、熱プレス直後に取り出した積層体を観察し、積層体に膨らみや剥離などが生じているかを目視にて確認した。膨らみ、剥離が見られないものを「無」、わずかに発生しているものを「やや有」、顕著なものを「有」と格付けした。評価結果を表3に示す。
本発明の方法は、ゴムと金属の積層体の製造に好適に利用することができる。
1 ゴム支承
2 ゴム層
3 金属板
11 タイヤ
12 ベルト
13 ビード

Claims (14)

  1. 少なくとも1層のゴム層と少なくとも1層の金属層を含む積層体の製造方法であって、該方法は、
    金属層の表面を粗面化処理する工程、
    金属層の粗面化処理した表面の上に熱可塑性樹脂層を積層する工程、
    熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に接着する接着成分を含む未加硫ゴム層を、熱可塑性樹脂層の上に積層する工程、および
    未加硫ゴム層を加熱することにより、未加硫ゴム層を加硫してゴム層を形成するとともに、ゴム層と熱可塑性樹脂層を接着させる工程(以下「加熱加硫工程」という。)
    を含む、積層体の製造方法。
  2. 粗面化処理が金属層に対して腐食性を有する溶液を使用した化学的表面処理である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 粗面化処理が塩基性水溶液または酸性水溶液を使用した化学的表面処理である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂層が単一の熱可塑性樹脂を含み、加熱加硫工程における加熱温度が熱可塑性樹脂の融点(ただし熱可塑性樹脂が融点を有しない非晶性樹脂の場合はガラス転移温度。以下同様。)より60℃低い温度以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂層が単一の熱可塑性樹脂を含み、加熱加硫工程における加熱温度が熱可塑性樹脂の融点よりも低い、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂層が、加熱加硫工程における加熱温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂Aおよび加熱加硫工程における加熱温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂Bを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の総量に対する熱可塑性樹脂Aの割合が10〜90質量%である、請求項6に記載の積層体の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂Aが、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリアリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項6または7に記載の積層体の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂Bが、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂Bの総量に対するポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールおよびポリビニルアルコールの総量の割合が50質量%以上である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  10. 熱可塑性樹脂層が、酸変性エラストマー、エポキシ基含有エラストマーおよびハロゲン化エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  11. 接着成分が、式(1)
    (式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1〜12個のアルキル基である。)
    で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、エポキシ化合物、エポキシ化ポリマー、アミド化合物、ポリアミド、酸変性ポリマー、ハロゲン化ポリマー、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびニトリルゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  12. 接着成分が式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物である、請求項11に記載の積層体の製造方法。
  13. 未加硫ゴム層中の前記縮合物の含有量が、ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として、0.5〜20質量部である、請求項12に記載の積層体の製造方法。
  14. 前記縮合物がノボラック型縮合物であり、未加硫ゴム層が未加硫ゴム層中のゴム成分100質量部を基準として0.25〜200質量部のメチレンドナーを含み、前記縮合物の含有量に対するメチレンドナーの含有量の質量比率が0.5〜10である、請求項12または13に記載の積層体の製造方法。
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