JP7035565B2 - 積層シート、インナーライナー材および空気入りタイヤ - Google Patents
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また、熱可塑性フィルムを構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーと反応し得る接着剤を含む粘接着剤組成物の層を設けずに、熱可塑性フィルムとタイゴム層との接着力を強化するために、熱可塑性フィルムに粘着成分を配合すると所望のフィルム物性が得られなかったり、フィルム成形性が悪化したりし、タイゴムに熱可塑性フィルムとの十分な粘着性を付与すると、ゴムの配混合、タイゴムのシート成形性が悪化するという問題がある。
本発明は、空気入りタイヤ用インナーライナー材として用いられる熱可塑性フィルムとタイゴム層との積層シートにおいて、熱可塑性フィルムを構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーと反応し得る接着剤を含む粘接着剤組成物の層を設けずに、熱可塑性フィルムとタイゴム層との接着力に優れる積層シートを提供することを課題とする。
熱可塑性フィルム(A)とタイゴム層(B)とがタック層(C)を介して積層され、
タック層(C)は、10~100μmの厚みを有し、タック試験機により測定した粘着力が500~2000gである物質または組成物からなることを特徴とする。
[1]熱可塑性フィルム(A)とタイゴム層(B)との積層シートであって、
熱可塑性フィルム(A)とタイゴム層(B)とがタック層(C)を介して積層され、
タック層(C)は、10~100μmの厚みを有し、タック試験により測定した粘着力が500~2000gである物質または組成物からなる、積層シート。
[2]タック層(C)が粘着付与剤を含む、[1]に記載の積層シート。
[3]タック層(C)が粘着付与剤を含む水溶液または水分散液の塗布膜である、[1]または[2]に記載の積層シート。
[4]タック層(C)が粘着付与剤または粘着付与剤を含む組成物の溶融押出層である、[1]または[2]に記載の積層シート。
[5]熱可塑性フィルム(A)が熱可塑性エラストマー組成物または熱可塑性樹脂を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の積層シート。
[6]前記熱可塑性エラストマー組成物が熱可塑性樹脂成分からなるマトリックスと前記マトリックスの中に分散したエラストマー成分からなる分散相を含む、[5]に記載の積層シート。
[7]タイゴム層(B)が、ゴム成分、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物およびメチレンドナーを含む、[1]~[6]のいずれかに記載の積層シート。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の積層シートからなる空気入りタイヤ用インナーライナー材。
[9][1]~[7]のいずれかに記載の積層シートを含む空気入りタイヤ。
タック層(C)は、10~100μmの厚みを有し、タック試験により測定した粘着力が500~2000gである物質または組成物からなる。
タック層(C)の厚みは、10~100μmであり、好ましくは15~90μmであり、より好ましくは20~80μmである。タック層(C)の厚みが薄すぎるとタイヤ成形中にフィルムをタイヤ内面に保持できなくなり、厚すぎるとフィルムとの接着性が悪化する。
粘着付与剤を含む水溶液を用いる場合、水溶液中の粘着付与剤の濃度は、好ましくは5~30質量%であり、より好ましくは5~20質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%である。濃度が低すぎると均一な塗布が難しく、高すぎると厚みの制御が困難となる。
粘着付与剤を含む水分散液の具体例としては、ポリビニルアルコールとポリエステルが挙げられる。水分散液中の粘着付与剤の濃度は、好ましくは5~30質量%であり、より好ましくは5~20質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%である。濃度が低すぎると均一な塗布が難しく、高すぎると厚みを制御することが困難になる。
溶融押出の方法は、特に限定するものではないが、たとえば、溶融した粘着付与剤または溶融した粘着付与剤を含む組成物をTダイから熱可塑性フィルムの上に押し出せばよい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66(N6/66)、ナイロン6/66/12(N6/66/12)、ナイロン6/66/610(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T、ナイロン9T、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル等が挙げられる。
ポリニトリル系樹脂としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体等が挙げられる。
ポリメタクリレート系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル等が挙げられる。
ポリビニル系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等が挙げられる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
イミド系樹脂としては、芳香族ポリイミド(PI)等が挙げられる。ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
なかでも、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロンMXD6、ナイロン6Tが、耐疲労性と空気遮断性の両立という点で、好ましい。
ジエン系ゴムおよびその水添物としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)(高シスBRおよび低シスBR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR等が挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EPM)、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン-エチルアクリレート共重合体(変性EEA)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー等が挙げられる。
含ハロゲンゴムとしては、臭素化ブチルゴム(Br-IIR)や塩素化ブチルゴム(Cl-IIR)等のハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソモノオレフィン-p-アルキルスチレン共重合体(たとえば臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体(BIMS))、ハロゲン化イソブチレン-イソプレン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M-CM)等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム等が挙げられる。含イオウゴムとしては、ポリスルフィドゴム等が挙げられる。フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム等が挙げられる。
なかでも、ハロゲン化イソモノオレフィン-p-アルキルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン-エチルアクリレート共重合体が、空気遮断性の観点から、好ましい。
タイゴム層(B)を構成するゴム組成物としては、従来より空気入りタイヤにおいてタイゴム層として用いられているゴム組成物を使用することができるが、好ましくは、ゴム成分、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物およびメチレンドナーを含むゴム組成物である。
ジエン系ゴムおよびその水添物としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)(高シスBRおよび低シスBR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR等が挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EPM)、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン-エチルアクリレート共重合体(変性EEA)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー等が挙げられる。
含ハロゲンゴムとしては、臭素化ブチルゴム(Br-IIR)や塩素化ブチルゴム(Cl-IIR)等のハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソモノオレフィン-p-アルキルスチレン共重合体(たとえば臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体(BIMS))、ハロゲン化イソブチレン-イソプレン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M-CM)等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム等が挙げられる。含イオウゴムとしては、ポリスルフィドゴム等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム等が挙げられる。
なかでも、隣接ゴム材料との共架橋性の観点から、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含ハロゲンゴムが好ましく、より好ましくは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、それらの混合物であり、さらに好ましくは、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムの組み合わせ、天然ゴムとブタジエンゴムの組み合わせ、天然ゴムとブチルゴムの組み合わせ、天然ゴムとハロゲン化ブチルゴムの組み合わせなどである。
式(1)で表される化合物のもう1つの好ましい例は、R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つが水酸基で、残りが水素または炭素原子数が1~8個のアルキル基であるものである。式(1)で表される化合物の好ましい具体例のもう1つはレソルシノール(「レゾルシン」ともいう。)である。
加硫剤としては、無機系加硫剤と有機系加硫剤があり、無機系加硫剤としては、硫黄、一塩化硫黄、セレン、テルル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられ、有機系加硫剤としては、含硫黄有機化合物、ジチオカルバミン酸塩、オキシム類、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ジニトロソ化合物、変性フェノール樹脂、ポリアミン、有機過酸化物等が挙げられる。なかでも、硫黄、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンのような有機過酸化物、臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体のような変性フェノール樹脂、酸化亜鉛、含硫黄有機化合物が好ましい。
加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、アルデヒド・アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系が挙げられ、好ましくはチアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系である。
本発明は、また、前記積層シートからなる空気入りタイヤ用インナーライナー材である。
本発明の空気入りタイヤは、常法により製造することができる。たとえば、タイヤ成形用ドラム上に、インナーライナー材として本発明の積層シートを、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物のフィルム側がタイヤ成形用ドラムの方を向くように置き、その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、成形後、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとし、次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
下記の原料を表1に示す比率で配合して熱可塑性フィルム用組成物a1およびa2を調製した。
BIMS: エクソンモービルケミカル社製臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体「EXXPRO」(登録商標)3035
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製亜鉛華3号
ステアリン酸: 新日本理化株式会社製工業用ステアリン酸
ステアリン酸亜鉛: 日油株式会社製ステアリン酸亜鉛
ナイロン6/66: 宇部興産株式会社製「UBEナイロン」5033B
変性EEA: アルケマ社製無水マレイン酸変性エチレン-エチルアクリレート共重合体「リルサン」(登録商標)BESN O TL
可塑剤: 大八化学工業株式会社製N-ブチルベンゼンスルホンアミド「BM-4」
粘着付与剤: ヤスハラケミカル株式会社製テルペンフェノール樹脂「YSポリスターT100」
下記の原料を表2に示す比率で配合し、タイゴム層用組成物b1およびb2を調製した。
スチレンブタジエンゴム: 日本ゼオン株式会社製「Nipol 1502」
天然ゴム: SIR-20
カーボンブラック: 東海カーボン株式会社製「シーストV」
ステアリン酸: 新日本理化株式会社製工業用ステアリン酸
アロマオイル: 昭和シェル石油株式会社製「デソレックス3号」
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製亜鉛華3号
変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体: 田岡化学工業株式会社製「スミカノール620」
メチレンドナー: 田岡化学工業株式会社製変性エーテル化メチロールメラミン「スミカノール507AP」
粘着付与剤: ヤスハラケミカル株式会社製テルペンフェノール樹脂「YSポリスターT100」
硫黄: 鶴見化学工業株式会社製5%油展処理硫黄
加硫促進剤: 大内新興化学工業株式会社製ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド「ノクセラーDM」
下記の原料を表3に示す比率で配合し、2種類のタック層用組成物c1およびc2を調製した。
NH-18: 日本合成化学工業株式会社製『ゴーセノールNH-18』
タフプレンA: 旭化成株式会社製『タフプレンA』
YSポリスターT100: ヤスハラケミカル株式会社製テルペンフェノール樹脂系粘着付与剤
スーパーエステルE-720: 荒川化学工業株式会社製『スーパーエステルE-720』
熱可塑性フィルム用組成物a1をインフレーション成形装置で成形し、厚さ0.1mmの熱可塑性フィルムA1を作製した。タイゴム層用組成物b1を、カレンダー加工によりシート状に成形し、厚さ0.7mmのタイゴム層B1を作製した。作製した熱可塑性フィルムA1にタック層用組成物C1を塗布し、乾燥し、厚さ80μmのタック層C1を設けた。次いで、タック層C1側にタイゴム層B1を積層し、積層シートを作製した。得られた積層シートについて、タイヤ成形性を評価した。評価結果を表4に示す。
実施例1で作製した熱可塑性フィルムA1にタック層用組成物c2を溶融押出し、厚さ80μmのタック層C2を設けた。次いで、タック層C1側に、実施例1で作製したタイゴム層B1を積層し、積層シートを作製した。得られた積層シートについて、タイヤ成形性を評価した。評価結果を表4に示す。
熱可塑性フィルムA1とタイゴム層B1とを、タック層を設けずに積層し、積層シートを作製した。得られた積層シートについて、タイヤ成形性を評価した。評価結果を表4に示す。タック層を設けないと、タイヤ成形性が悪い。
タイゴム層用組成物b2をカレンダー加工によりシート状に成形し、厚さ0.7mmのタイゴム層B2を作製したが、タイゴム層用組成物b2をバンバリーミキサーから取り出すのが難しく、かつ、タイゴム層用組成物b2がカレンダーロールにくっついて、取るのが難しかった。実施例1で作製した熱可塑性フィルムA1とタイゴム層B2を、タック層を設けずに積層し、積層シートを作製した。得られた積層シートについて、タイヤ成形性を評価した。評価結果を表4に示す。タイゴム層に粘着付与剤を添加した場合は、タック層を設けなくても、タイヤ成形性は良好であるが、粘着付与剤を添加したタイゴム層用組成物は加工性が悪い。
熱可塑性フィルム用組成物a2をインフレーション成形装置で成形し、厚さ0.1mmの熱可塑性フィルムA2を作製したが、インフレーション成形が非常に難しかった。熱可塑性フィルムA2と実施例1で作製したタイゴム層B1を、タック層を設けずに積層し、積層シートを作製した。得られた積層シートについて、タイヤ成形性を評価した。評価結果を表4に示す。熱可塑性フィルムに粘着付与剤を添加した場合は、タック層を設けなくても、タイヤ成形性は良好であるが、粘着付与剤を添加した熱可塑性フィルム用組成物は成形性が悪い。
比較例3で作製した熱可塑性フィルムA2と比較例2で作製したタイゴム層B2を、タック層を設けずに積層し、積層シートを作製した。得られた積層シートについて、タイヤ成形性を評価した。評価結果を表4に示す。熱可塑性フィルムおよびタイゴム層に粘着付与剤を添加した場合は、タック層を設けなくても、タイヤ成形性は良好であるが、粘着付与剤を添加した熱可塑性フィルム用組成物は成形性が悪く、粘着付与剤を添加したタイゴム層用組成物は加工性が悪い。
東洋精機株式会社製PICMAタックテスターを使用し、室温25℃、湿度60%の雰囲気下で圧着速度500mm/min条件で粘着力を測定した。
熱可塑性フィルム用組成物をインフレーション成形装置で成形し、熱可塑性フィルムを作製する際に、支障なく成形を実施できた場合を〇で示し、インフレーション成形が困難であった場合を×で示す。
タイゴム層用組成物をバンバリーミキサーで混錬し、カレンダー加工によりシート状に成形する際に、支障なく成形を実施することができた場合を〇で示し、タイゴム層用組成物をバンバリーミキサーから取り出すのが困難であったり、タイゴム層用組成物がカレンダーロールにくっついて、取るのが困難であったりした場合を×で示す。
準備した積層体を用いてタイヤを20本作製し、フィルム成形からタイヤの加硫までの間に密着過多による成形不良あるいは密着不足による加硫前のゴム/フィルム層間エアの確認、もしくはフィルムのタイヤ内面からの剥がれが確認されなかったものを〇で示し、確認されたものを×で示す。
Claims (6)
- 熱可塑性フィルム(A)とタイゴム層(B)との積層シートであって、
熱可塑性フィルム(A)とタイゴム層(B)とがタック層(C)を介して積層され、
タック層(C)は、10~100μmの厚みを有し、ポリビニルアルコールおよびロジンエステルを含む、積層シート。 - 熱可塑性フィルム(A)が熱可塑性エラストマー組成物または熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の積層シート。
- 前記熱可塑性エラストマー組成物が熱可塑性樹脂成分からなるマトリックスと前記マトリックスの中に分散したエラストマー成分からなる分散相を含む、請求項2に記載の積層シート。
- タイゴム層(B)が、ゴム成分、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物およびメチレンドナーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層シート。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の積層シートからなる空気入りタイヤ用インナーライナー材。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の積層シートを含む空気入りタイヤ。
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