JP2010262760A - 多孔質電極、色素増感太陽電池、および色素増感太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の多孔質電極は、基板上に、少なくとも第一多孔質層と、中間層と、第二多孔質層とをこの順に積層した多孔質電極であって、第一多孔質層、中間層、および第二多孔質層を構成する微粒子の平均粒径はそれぞれ異なり、第一多孔質層と第二多孔質層とは、同一の材料の微粒子からなり、第一多孔質層と中間層とは、異なる材料の微粒子からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、第二多孔質層を構成する微粒子の平均粒径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
また、上記の金属材料は、チタン、ニッケルおよびタンタルからなる群より選択される材料を1種以上含むことが好ましい。
図1は、本実施の形態の多孔質電極の一例を示す概略断面図である。図1に示される多孔質電極の各構成要素は、必ずしも絶対的または相対的な縮尺率で示されているわけではなく模式的な図である。
本実施の形態の多孔質電極は、図1に示されるように、基板1上に、少なくとも第一多孔質層6と、中間層4aと、第二多孔質層11とをこの順に積層した多孔質電極であって、第一多孔質層6、中間層4a、および第二多孔質層11を構成する微粒子の平均粒径はそれぞれ異なり、第一多孔質層6と第二多孔質層11とは、同一の材料の微粒子からなり、第一多孔質層6と中間層4aとは、異なる材料の微粒子からなることを特徴とする。
本実施の形態の多孔質電極において、基板1は、該多孔性電極を支持するものであれば良く、導電性は有していても有さなくてもよい。膜形成時に焼成する場合には、耐熱性を有する基板を用いることが好ましい。このような耐熱性を有する基板1としては、ソーダ石灰フロートガラス、石英ガラス等のガラス、セラミック等からなる基板を挙げることができる。
基板導電層は、基板1が導電性および透光性を必要とする場合に、基板1表面を被覆するように形成されることが好ましい。このような基板導電層は、透光性および導電性を有するものであれば特に限定されることなくいかなる材料をも使用することができる。このような材料としては、たとえばインジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化インジウムからなる群より選択される材料を1種以上を含むものであることが好ましく、これらの材料からなることがより好ましい。
本実施の形態の多孔質電極を構成する第一多孔質層6は、微粒子により形成される多孔性のものである。このような第一多孔質層6は、多孔質電極として一般的に使用される材料であれば特に限定することなく、いかなる材料をも用いることができる。このような材料としては、たとえば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステンなどの金属酸化物、金、銀、銅などの貴金属、白金、カーボンなどの触媒能が高い材料、およびこれらの材料の2種以上を組み合わせたものを挙げることができ、金属酸化物を用いることが好ましい。
本実施の形態の多孔質電極において、基板1上に第一多孔質層6を形成する方法としては、特に限定されることなくいかなる方法をも用いることができ、たとえば微粒子を適当な溶剤に懸濁して懸濁液を得た上で、当該懸濁液を基板1上に塗布し、乾燥および焼成のうちの少なくとも一方を行なう方法により行なうことができる。
本実施の形態の多孔質電極は、第一多孔質層6上に第一多孔質層6を構成する微粒子の材料とは異なる材料の微粒子からなる中間層4aを形成した後に、当該中間層4a上に第二多孔質層11を形成することを特徴とする。このように、第二多孔質層11を積層することにより、第一多孔質層6と中間層4aとの界面での剥離を防止することができる。
中間層4a上に第二多孔質層11を形成する方法としては、第一多孔質層6と同様に微粒子を溶剤に分散させた懸濁液を塗布することにより形成されることが好ましい。このような懸濁液に用いられる溶剤は、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグライム系溶剤、イソプロピルアルコール等のアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエン等のアルコール系混合溶剤、水等を挙げることができる。また、溶剤により分散した懸濁液の代わりに市販のペーストを用いてもよい。
本実施の形態の多孔質電極を構成する中間層4aは、第一多孔質層6と第二多孔質層11との間に形成される層であり、中間層4aを構成する微粒子の材料は、第一多孔質層6を構成する微粒子の材料と異なることを特徴とする。このように中間層4aを構成する微粒子の材料を第一多孔質層6を構成する微粒子の材料と異ならしめることにより、電気的絶縁、光散乱、光吸収等の機能を多孔質電極に付加することができる。
図2は、本発明の色素増感太陽電池の一例を示す概略断面図である。なお、図2に示される色素増感太陽電池の各構成要素は、必ずしも絶対的または相対的な縮尺率で示されているわけではなく模式的な図である。以下に示される図3〜図5においても同様に模式的な断面図であり、各構成要素の実際の寸法を正確に表すものではない。
本実施の形態の色素増感太陽電池10は、図2に示されるように、基板1および基板導電層2を備える導電性基板12と、導電性基板12上に増感色素が吸着され、かつ内部に電解質を含有する第一多孔質層6と、内部に電解質を含有する中間層と、内部に電解質を含有する第二多孔質層11と、導電層5とをこの順に含み、第一多孔質層6および第二多孔質層11は、実質的に同一材料からなることを特徴とする。なお、色素増感太陽電池における中間層は「多孔性絶縁層4」としての機能を有するものである。すなわち、本実施の形態の色素増感太陽電池10は、多孔性絶縁層4の非受光面側に第二多孔質層11を形成することを特徴とする。
(1)導電性基板
本実施の形態の色素増感太陽電池10を構成する導電性基板12は、基板1の表面上に基板導電層2が形成されたものである。以下においては導電性基板12を構成する基板1および基板導電層2を説明する。
上記の導電性基板12に含まれる基板1は、色素増感太陽電池を支持することができるものであれば特に限定されることなくいかなるものをも使用することができるが、膜形成時に焼成するときは耐熱性を有する基板1を用いることが好ましい。このような耐熱性を有する基板1としては、ソーダ石灰フロートガラス、石英ガラス等のガラス、セラミック等からなる基板を挙げることができる。
上記の導電性基板12に含まれる基板導電層2の材料としては、透光性および導電性を有するものであれば特に限定されることなくいかなる材料をも使用することができる。このような材料としては、たとえばインジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化インジウムからなる群より選択される材料を1種以上を含むものであることが好ましく、これらの材料からなることがより好ましい。
本実施の形態の色素増感太陽電池10を構成する第一多孔質層6は、微粒子により形成される多孔性のものであり、増感色素が吸着されているとともに、内部に電解質を含有するものである。
本実施の形態の色素増感太陽電池において、基板導電層2上に第一多孔質層6を形成する方法としては、特に限定されることなくいかなる方法をも用いることができ、たとえば微粒子を適当な溶剤に懸濁して懸濁液を得た上で、当該懸濁液を基板導電層2上に塗布し、乾燥および焼成のうちの少なくとも一方を行なう方法により行なうことができる。
本実施の形態の色素増感太陽電池において、電解質は、第一多孔質層6、多孔性絶縁層4、および第二多孔質層11に含まれるものであり、これらの各層間の導電性を保つために設けられるものである。このような電解質は、太陽電池の分野において一般的に使用される電解質であれば特に限定されることなくいかなるものをも用いることができ、少なくとも酸化還元種を含む液状物である。なお、電解質が酸化還元種以外に溶剤と添加剤とをさらに含んでいても本発明の範囲を逸脱するものではない。
第一多孔質層6に含まれる増感色素としては、光増感剤として機能する増感色素であればどのようなものを用いてもよいが、このような増感色素の中でも可視光領域および赤外光領域に吸収領域を持つ有機色素、金属錯体色素等を用いることが好ましく、これらの増感色素を1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一多孔質層6を製造する際に、増感色素を吸着させるための代表的な色素吸着法としては、たとえば増感色素を溶解した溶液(以下においては単に「色素吸着用溶液」とも称する)に対し、導電性基板12上に第一多孔質層6、多孔性絶縁層4、触媒層3および導電層5を形成した積層体を浸漬する方法を用いることできる。
本実施の形態の色素増感太陽電池は、多孔性絶縁層4上に第二多孔質層11を形成することを特徴とする。当該第二多孔質層11は、色素増感太陽電池の光受光面から入射した光を透過させることなく反射させるために設けられる層である。このように第二多孔質層11を設けることにより、第一多孔質層6と多孔性絶縁層4との界面での剥離を防止することができる。
多孔性絶縁層4上に第二多孔質層11を形成する方法としては、第一多孔質層6と同様に半導体微粒子を溶剤に分散させた懸濁液を塗布することにより形成されることが好ましい。このような懸濁液に用いられる溶剤は、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグライム系溶剤、イソプロピルアルコール等のアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエン等のアルコール系混合溶剤、水等を挙げることができる。また、溶剤により分散した懸濁液の代わりに市販の酸化チタンペースト(商品名:Ti−nanoxide D、T/SP、D/SP(Solaronix社製))を用いてもよい。
本実施の形態の色素増感太陽電池10を構成する多孔性絶縁層4は、第一多孔質層6の非受光面側に形成される層であり、第一多孔質層6と触媒層3(または導電層5)とを電気的に絶縁するために設けられるものである。このような多孔性絶縁層4は、第一多孔質層6上からスクライブライン13の底面(基板1の表面)にわたって形成されるものである。
本実施の形態の色素増感太陽電池10に用いられる触媒層3は、電解液中のホールを還元する役割を果たす層である。このような触媒層3の材料は、当該分野で一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されることなくいかなる材料をも使用することができる。このような触媒層3の材料としては、たとえば白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等を挙げることができる。
本実施の形態の色素増感太陽電池を構成する導電層5は、外部に電流、電圧を取り出すため、色素増感太陽電池モジュールを構成する場合、隣接する色素増感太陽電池の導電性基板と直列接続するために設けられる層である。
本実施の形態の色素増感太陽電池に用いられる透光性カバー部材9は、透光性を有し、触媒層3または導電層5の非受光面側を被覆するものである。このような透光性カバー部材9としては、たとえば強化ガラス、ガラス板、透明プラスチックシート等を用いることができる。太陽電池を屋外に設置する場合、強化ガラスを用いることが好ましい。
本実施の形態の色素増感太陽電池に用いられる封止部8は、色素増感太陽電池の内部の電解液の漏れを防止する機能、基板1に作用する応力(衝撃)や落下物の衝撃を吸収する機能、および長期にわたる使用時において支持体に作用するたわみ等を吸収する機能を有するものである。
図3は、本実施の形態の色素増感太陽電池を6つ配置した構成の色素増感太陽電池モジュールを示す模式的断面図である。
本実施の形態の色素増感太陽電池モジュールは、図3に示されるように、基板1上に6つの色素増感太陽電池が形成されており、隣接する色素増感太陽電池のうちの一方の色素増感太陽電池の導電層と、他方の色素増感太陽電池の導電性基板とが接することにより、直列接続されることを特徴とする。このように色素増感太陽電池モジュール20を構成することにより、色素増感太陽電池モジュールの内部直列電気抵抗の増大を抑制することができる。
以下の各工程により実施例1の多孔質電極を作製した。図1は、本実施例により作製される多孔質電極の一例を示す模式的な断面図であり、図6は、従来の製造方法により作製される多孔質電極の一例を示す模式的な断面図である。以下においては、図1に示される多孔質電極と、図6に示す従来構造の多孔質電極とを各10個ずつ作製し、それぞれの多孔質電極の光透過率、光吸収、および電解質の輸送抵抗を測定した。
基板1を、5mm×50mmの開口部を有するスクリーン版を備えたスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))に配置し、基板1の表面上に平均粒径13nmの酸化チタンが分散された酸化チタンペースト(商品名:Ti−Nanoxide D/SP(Solaronix社製))を塗布した。当該酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型のものを90%以上含むものであった。このような結晶構造は、エックス線回折装置(XRD)を用いて測定することにより得られたものである。
次に、平均粒径100nmの酸化ジルコニウムからなる微粒子(シーアイ化成株式会社製)をテルピネオールに分散させることにより分散液を得て、当該分散液にエチルセルロースを混合することによりペーストを調製した。当該ペーストにおける、酸化ジルコニウム微粒子とテルピネオールとエチルセルロースとの重量比は、65:30:5であった。
次に、幅5mm×長さ50mmの開口部を有するスクリーン版を備えるスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))を用いて、平均粒径400nmの酸化チタンが分散された酸化チタンペースト(商品名:PST−400C(日揮触媒化成社製))を中間層4a上に塗布した。
比較例1では、実施例1の工程のうち、中間層の形成する前に第二多孔質層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により、図6に示される比較例1の多孔質電極を10個作製しようとした。しかしながら、そのうちの9個は作製することができず、1個のみ多孔質電極を形成することができた。
実施例2では、図2に示される色素増感太陽電池10を作製した。図2は、本実施例により作製される色素増感太陽電池の一例を示す模式的な断面図である。
幅15mm×長さ70mm×厚み4mmの外形のガラスからなる基板1上にSnO2膜からなる基板導電層2が成膜された導電性基板12(SnO2膜付ガラス(日本板硝子株式会社製))を用意した。
上記の導電性基板12に対し、基本波長が1.06μmのレーザ光を発するレーザ装置(YAGレーザ(西進商事株式会社製))に導入した。そして、ストライプ状にレーザ光を照射して部分的にSnO2膜を蒸発させることにより、幅0.1mmのスクライブライン13を1本形成した。
そして、上記の導電性基板12を、5mm×50mmの開口部を有するスクリーン版を備えたスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))に配置し、導電性基板12の表面上に平均粒径13nmの酸化チタンが分散された酸化チタンペースト(商品名:Ti−Nanoxide D/SP(Solaronix社製))を塗布した。当該酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型のものを90%以上含むものであった。このような結晶構造は、エックス線回折装置(XRD)を用いて測定することにより得られたものである。
次に、平均粒径100nmの酸化ジルコニウムからなる微粒子(シーアイ化成株式会社製)をテルピネオールに分散させることにより分散液を得て、当該分散液にエチルセルロースを混合することによりペーストを調製した。当該ペーストにおける、酸化ジルコニウム微粒子とテルピネオールとエチルセルロースとの重量比は、65:30:5であった。
次に、幅5mm×長さ50mmの開口部を有するスクリーン版を備えるスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))を用いて、平均粒径400nmの酸化チタンが分散された酸化チタンペースト(商品名:PST−400C(日揮触媒化成社製))を多孔性絶縁層4上に塗布した。
次に、幅5mm×長さ50mmの開口部を有するスクリーン版を備えるスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))を用いて、第二多孔質層11上に触媒層形成材料(商品名:Pt−Catalyst T/SP(Solaronix社製))を塗布し、得られた塗膜を450℃で1時間焼成することにより、クラスター状の触媒層3を形成した。
次に、幅6.2mm×長さ52mmの開口部を有するメタルマスクを用意し、多孔性絶縁層4上に電子ビーム蒸着器(型式:ei−5(アルバック株式会社製))を用いて蒸着速度5Å/Sでチタンを成膜することにより、厚み約500nmの導電層5を形成した(以下においては第一多孔質層6から導電層5までの積層物のことを単に「積層体」とも称する)。
アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)とt−ブチルアルコール(Aldrich Chemical Company製)とを体積比1:1で混合した溶剤に対し、増感色素としてルテニウム系金属錯体色素(商品名:Ruthenium620−1H3TBA(Solaronix社製))の濃度が4×10-4mol/lになるように、増感色素を溶解させて色素吸着用溶液を得た。
次に、基板導電層2上の周囲部(すなわち第一多孔質層6が形成されていない部分)と色素増感太陽電池の形成領域との間に、紫外線硬化材(型番:31X−101(スリーボンド社製))を塗布し、当該紫外線硬化剤を介して幅10mm×長さ70mm×厚み4.0mmの透光性カバー部材9(旭硝子株式会社製)と導電性基板12とを貼り合わせた。
電解質に含まれる酸化還元種として、アセトニトリルの溶剤にLiI(Aldrich Chemical Company製)の濃度が0.1mol/l、ヨウ素I2(東京化成工業株式会社製)の濃度が0.01mol/lとなるように溶解させるとともに、電解質に含まれる添加剤として、t−ブチルピリジン(TBP(Aldrich Chemical Company製))の濃度が0.5mol/lとなり、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII(四国化成工業株式会社製))の濃度が0.6mol/lとなるように溶解させることにより電解質を調製した。
本実施例に用いられる基板1には、予め電解質注入用孔が設けられたものを用いており、基板1の電解質注入用孔から電解質を注入することにより、第一多孔質層6、多孔性絶縁層4、および第二多孔質層11に電解質を含有させた。その後、樹脂を用いて基板1に設けられている電解質注入用孔を封止することにより、図2に示される色素増感太陽電池10を完成した。
<実施例3>
実施例3では、実施例2と同様の方法を用いることにより、図3に示されるような6つの色素増感太陽電池が直列接続した色素増感太陽電池モジュール20を作製した。
幅70mm×長さ70mm×厚み4mmの外形のガラスからなる基板1上にSnO2膜からなる基板導電層2が成膜された導電性基板12(SnO2膜付ガラス(日本板硝子株式会社製))を用意した。
上記の導電性基板12に対し、基本波長が1.06μmのレーザ光を発するレーザ装置(YAGレーザ(西進商事株式会社製))に導入した。そして、ストライプ状にレーザ光を照射して部分的にSnO2膜を蒸発させることにより、幅0.1mmのスクライブライン13を6mm間隔で6本形成した。
そして、上記の導電性基板12を、5mm×50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を備えるスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))に配置し、導電性基板12の表面上に平均粒径13nmの酸化チタンが分散された酸化チタンペースト(商品名:Ti−Nanoxide D/SP(Solaronix社製))を塗布した。当該酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型のものを90%以上含むものであった。このような結晶構造は、エックス線回折装置(XRD)を用いて測定することにより得られたものである。
次に、平均粒径100nmの酸化ジルコニウムからなる微粒子(シーアイ化成株式会社製)をテルピネオールに分散させることにより分散液を得て、当該分散液にエチルセルロースを混合することによりペーストを調製した。当該ペーストにおける、酸化ジルコニウム微粒子とテルピネオールとエチルセルロースとの重量比は、65:30:5であった。
次に、幅5mm×長さ50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を備えるスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))を用いて、平均粒径400nmの酸化チタンが分散された酸化チタンペースト(商品名:PST−400C(日揮触媒化成社製))を多孔性絶縁層4上に塗布した。
次に、幅5mm×長さ50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を備えるスクリーン印刷機(型式:LS−34TVA(ニューロング精密工業株式会社製))を用いて、第二多孔質層11上に触媒層形成材料(商品名:Pt−Catalyst T/SP(Solaronix社製))を塗布し、得られた塗膜を450℃で1時間焼成することにより、クラスター状の触媒層3を形成した。
次に、幅6.2mm×長さ52mmの開口部が7個並ぶメタルマスクを用意し、多孔性絶縁層4上に電子ビーム蒸着器(型式:ei−5(アルバック株式会社製))を用いて蒸着速度5Å/Sでチタンを成膜することにより、厚み約500nmの導電層5を形成した(以下においては第一多孔質層6から導電層5までの積層物のことを単に「積層体」とも称する)。
実施例2と同様の方法により得られた色素吸着用溶液を得られた色素吸着用溶液に対し、上記で得られた積層体を40℃で20時間浸漬させることにより、第一多孔質層6に増感色素を吸着させた。その後、上記の積層体をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄した後に、約80℃で約10分間乾燥させた。
次に、基板導電層2上の周囲部(すなわち第一多孔質層6が形成されていない部分)と色素増感太陽電池の形成領域との間に、紫外線硬化材(型番:31X−101(スリーボンド社製))を塗布し、当該紫外線硬化剤を介して幅50mm×長さ70mm×厚み4.0mmの透光性カバー部材9(旭硝子株式会社製)と導電性基板12とを貼り合わせた。
本実施例に用いられる基板1には、予め電解質注入用孔が設けられたものを用いており、当該電解質注入用孔から実施例2で調製した電解質を注入することにより、第一多孔質層6、多孔性絶縁層4、および第二多孔質層11に電解質を含有させた。その後、樹脂を用いて基板1に設けられている電解質注入用孔を封止することにより、図3に示される色素増感太陽電池モジュール20を完成した。
実施例4の色素増感太陽電池モジュールは、実施例3の色素増感太陽電池モジュールの製造方法において、触媒層3と導電層5との形成順序を逆にした以外は、実施例3と同様の工程により色素増感太陽電池モジュールを作製した。
実施例5の色素増感太陽電池モジュールは、実施例4の色素増感太陽電池モジュールの製造方法において、導電層5を形成した後に、導電層5に小孔を形成したこと以外は、実施例4と同様の工程により太陽電池モジュールを作製した。
比較例2の色素増感太陽電池モジュール120は、第二多孔質層11と多孔性絶縁層4との形成順序を逆にする以外は、実施例3と同様にして図5に示される色素増感太陽電池モジュールを作製した。ここで、第一多孔質層と第二多孔質層とは同一材料を用いて連続して形成されることから、図4の第一多孔質層と第二多孔質層との境界を表しておらず、実質的に第一多孔質層106のみが形成されたものともみなしている。
本実施の形態の多孔質電極は、図1に示されるように、基板1上に、少なくとも第一多孔質層6と、中間層4aと、第二多孔質層11とをこの順に積層した多孔質電極であって、第一多孔質層6と第二多孔質層11とは、同一の材料の微粒子からなり、第一多孔質層6と中間層4aとは、異なる材料の微粒子からなることを特徴とする。第一多孔質層6、および第二多孔質層11を構成する微粒子の平均粒径はそれぞれ異なることが好ましい。
Claims (11)
- 基板上に、少なくとも第一多孔質層と、中間層と、第二多孔質層とをこの順に積層した多孔質電極であって、
前記第一多孔質層、前記中間層、および前記第二多孔質層を構成する微粒子の平均粒径はそれぞれ異なり、
前記第一多孔質層と前記第二多孔質層とは、同一の材料の微粒子からなり、
前記第一多孔質層と前記中間層とは、異なる材料の微粒子からなる、多孔質電極。 - 前記第二多孔質層を構成する微粒子の平均粒径は、前記中間層を構成する微粒子の平均粒径よりも大きい、請求項1に記載の多孔質電極。
- 前記微粒子は、金属酸化物からなる、請求項1または2に記載の多孔質電極。
- 前記第二多孔質層を構成する微粒子の平均粒径は、100nm以上500nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質電極。
- 導電性基板と、
前記導電性基板上に、少なくとも増感色素が吸着され、かつ内部に電解質を含有する前記第一多孔質層と、
内部に電解質を含有し、かつ前記第一多孔質層と異なる材料からなる前記中間層と、
内部に電解質を含有する前記第二多孔質層と、
導電層とをこの順に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池。 - 前記中間層は、多孔質絶縁層であり、
前記多孔質絶縁層は、前記第一多孔質層と前記第二多孔質層との間の電荷の移動を抑止する材料からなる、請求項5に記載の色素増感太陽電池。 - 前記第一多孔質層および前記第二多孔質層はいずれも、酸化チタンからなり、
前記多孔性絶縁層は、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、および酸化アルミニウムからなる群より選択された1種以上の金属酸化物または前記金属酸化物を1種以上含む混合体からなる、請求項6に記載の色素増感太陽電池。 - 前記導電層は、金属材料または金属酸化物材料からなる、請求項5〜7のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
- 前記金属材料は、チタン、ニッケルおよびタンタルからなる群より選択される材料を1種以上含む、請求項8に記載の色素増感太陽電池。
- 前記金属酸化物材料は、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化インジウムからなる群より選択される材料を1種以上含む、請求項8に記載の色素増感太陽電池。
- 請求項5〜10のいずれかに記載の色素増感太陽電池が、同一の導電性基板上に2以上形成され、
隣接する色素増感太陽電池のうちの一方の色素増感太陽電池の前記導電層と他方の色素増感太陽電池の前記導電性基板とを接触させることにより、隣接する色素増感太陽電池を電気的に直列接続する、色素増感太陽電池モジュール。
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