JP5377327B2 - 光増感太陽電池モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
この湿式太陽電池は、表面上に電極を形成した2枚のガラス基板の電極間に、光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換層と電解質層とを挟持した構造を有する。この湿式太陽電池に対して透明な電極側から光を照射すると、光電変換層に電子が発生し、発生した電子が一方の電極から外部電気回路を通って対向する電極に移動し、移動した電子が電解質中のイオンにより運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子移動の繰り返しにより電気エネルギーが取り出される。
この色素増感太陽電池は、ガラス基板11上に透明導電層12を介して増感色素を吸着した多孔性半導体層16、多孔性絶縁層14、触媒層13、導電層15およびカバー部材19がこの順に積層され、これらの積層体の周囲を封止部材にて封止して内部に電解質が充填され、ガラス基板11の受光面側に強化ガラス17が貼り付けられた構造である。
さらに、触媒層13をスクリーン印刷で形成するような場合は、触媒層13の粒子材料が多孔性絶縁層14の内部へ浸透して多孔性半導体層16へ付着することを防止するために、多孔性絶縁層14の粒子材料と触媒層13の粒子材料の各粒径を調整する必要があった。
また、特許文献5の色素増加太陽電池では、多孔性半導体層が透明基板上に積層されるため、屋外に設置する場合は透明基板上に強化ガラスを設置しなければならないという前記問題が存在すると共に、多孔性半導体層側と触媒層側をそれぞれ個別の基板上に形成し、それらを貼り合せて製造するため、生産工程が複雑になる。
また、特許文献1〜4の文献で用いられている光入射側の導電性ガラス(TCO)基板の光透過率は、300nmから長波長側であるため、無機材料の光増感素子(量子ドット)を用いた場合、量子ドットの光吸収波長である250nmから300nmでは光透過率が小さく、無機材料の光増感作用が有効に利用できないという問題があった。
相互に絶縁状態で並列した複数の第1導電層を1つの基板上に有してなる非受光面側に配置される1つの導電性基板を備えると共に、前記導電性基板の前記複数の第1導電層上に個別に少なくとも触媒層、内部に電解質を含有する多孔性絶縁層、電解質の移動を許容する第2導電層、光増感剤が吸着されかつ内部に電解質を含有する多孔性半導体層および受光面側に配置される透光性カバー部材がこの順で積層されてなる光増感太陽電池を複数備え、前記複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続した方向である直列接続方向の前記多孔性半導体層の長さが、直列接続方向の前記多孔性絶縁層の長さより長く、1つの光増感太陽電池の第2導電層が隣接する他の光増感太陽電池の第1導電層に電気的に直接接続されることにより、複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続されてなる光増感太陽電池モジュールが提供される。
1つの基板上に複数の第1導電層が相互に絶縁状態で並列してなる導電性基板を用意し、この導電性基板の前記複数の第1導電層上に個別に少なくとも触媒層、多孔性絶縁層、電解質の移動を許容する第2導電層および光増感剤が吸着された多孔性半導体層をこの順で積層して、各第1導電層上が太陽電池形成領域となる複数の積層体を形成する工程(1)と、前記積層体の前記多孔性半導体層側の表面を受光面側に配置される1つの透光性カバー部材にて被覆し、かつ前記導電性基板と透光性カバー部材の間の外周部および隣接する2つの前記太陽電池形成領域間に封止部を形成して封止する工程(2)と、前記導電性基板と前記透光性カバー部材の間の内側領域に電解質を注入して、前記多孔性半導体層および前記多孔性絶縁層の内部に前記電解質を浸透させる工程(3)とを備え、前記工程(1)において、1つの太陽電池形成領域の多孔性絶縁層の一端を、1つの太陽電池形成領域の第1導電層と隣接する他の太陽電池形成領域の第1導電層の間に配置させると共に、1つの太陽電池形成領域の第2導電層の一端を、隣接する他の太陽電池形成領域の第1導電層上に直接接触させて隣接する2つの太陽電池形成領域を電気的に直列接続し、さらに、隣接する2つの太陽電池形成領域が電気的に直列接続した方向である直列接続方向の多孔性半導体層の長さが、直列接続方向の多孔性絶縁層の長さよりも長くなるように、第2導電層上に多孔性半導体層を形成する光増感太陽電池モジュールの製造方法が提供される。
(1)発電素子となる多孔性半導体層の受光面側に透明導電膜が存在しないため、透明導電膜による光入射ロスがなく、短絡電流が増加すると共に、変換効率が向上する。特に、Cd、Pb、Sb、In、Ga、S、SeおよびAsのうちの少なくとも1つを含む無機材料の光増感素子(量子ドット)を用いる場合、量子ドットの光吸収波長は250nmから300nmであるため、300nmから長波長側で光を透過する導電性ガラス(TCO)基板を用いる場合と比べて、短絡電流が大幅に向上する。
(2)本発明の構造では、非受光面側の基板に素子を形成するため、受光面側の透光性カバー部材には様々な材料を用いることができる。よって、屋外設置用(家庭用電源用)として一般家屋の屋根へ光増感太陽電池(またはそのモジュール)を設置する場合、透光性カバー部材として強化ガラスを用いることが可能である。したがって、従来構造(図7参照)のように素子形成基板の受光面側に改めて強化ガラスを設置する必要がなくなるため、2枚のガラス基板による光入射ロスがなくなって短絡電流がより増加すると共に、光増感太陽電池(またはそのモジュール)の重量軽減およびコストダウンが可能となる。
(4)導電性基板としては、ガラス基板に透明導電膜を形成した高価なFTOガラスの代りに、安価な絶縁物基板(例えばセラミック基板など)の上にチタン、ニッケル、タンタルなどの電解液に対して腐食性を示さない金属膜を形成したものを用いることができ、光増感太陽電池(またはそのモジュール)のさらなるコストダウンを図ることができる。
2 第1導電層
2a 引出し電極
3 触媒層
4 多孔性絶縁層
5 第2導電層
6 多孔性半導体層
7 透光性カバー部材(強化ガラス)
8 封止部(セル間絶縁層)
A 導電性基板
つまり、この光増感太陽電池は、多孔性半導体層の受光面側に透明導電層を有していないことを主たる特徴としている。
多孔性絶縁層と多孔性半導体層の間に導電層を有している光増感太陽電池では、この導電層が負極となり、導電性基板が正極となる。なお、導電層が緻密な膜である場合、多孔性絶縁層と多孔性半導体層の間での電解質および発電時の電子の移動が困難となるため、多孔性絶縁層と多孔性半導体層の間での電解質および電子の移動が可能なように、導電層に複数の小孔を形成することが好ましい。
また、多孔性絶縁層と多孔性半導体層の間に導電層を有していない光増感太陽電池では、多孔性半導体層が負極となり、導電性基板が正極となる。この構造は、多孔性半導体層の電気抵抗が低いこと、あるいは多孔性半導体層の太陽電池直列接続方向の長さが短い場合に適用可能である。
図1は、本発明の光増感太陽電池の実施形態1−1を示す概略断面図である。この実施形態1−1の光増感太陽電池(以下、太陽電池と略称する場合がある)は、多孔性絶縁層4と多孔性半導体層6の間に導電層5を有するタイプである。
なお、図1〜9に示される太陽電池の各構成要素は、必ずしも絶対的なまたは相対的な縮尺率で示されている訳ではない。
次に、この太陽電池における各構成要素について説明する。
基板1としは、太陽電池を支持し得るものであれば特に限定されず、例えば、ソーダ石灰フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどのガラス、セラミックなどからなる基板を用いることができる。
基板1の厚さとしては、特に限定されないが、0.5〜8mm程度が適当である。
第1導電層2としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、透光性を有していても有していなくてもよい。
透光性の第1導電層2を構成する材料としては、例えば、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化錫にフッ素をドープしたもの(FTO)、酸化亜鉛(
ZnO)などが挙げられる。
透光性の第1導電層2は、スパッタ法、スプレー法などの公知の方法により前記基板1上に形成することができるが、基板1としてのソーダ石灰フロートガラス上に、透明導電層としてのFTOを積層した導電性基板の市販品を用いてもよい。
このような第1導電層2の膜厚としては0.02〜5μm程度が適当であり、膜抵抗としては低いほどよく、特に40Ω/sq以下が好ましい。
触媒層3を構成する材料は、当該分野で一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。
触媒層3は、例えば、白金を用いる場合には、スパッタ法、塩化白金酸の熱分解、電着などの公知の方法により第1導電層2上に形成することができる。その膜厚は、例えば、0.5nm〜1000nm程度が適当である。
また、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのカーボンを用いる場合には、溶剤に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより第1導電層2上に塗布して触媒層3を形成することができる。
触媒層3の形態としては特に限定されず、緻密な膜状、多孔質膜状あるいはクラスター状とすることができる。
多孔性絶縁層は、各タイプの光増感太陽電池を形成する際に非受光面側に必要となる。多孔性絶縁層4は、多孔性半導体層6と触媒層3を電気的に絶縁する機能を有する層であり、多孔性半導体層6の非受光面側の触媒層3上に形成される。
多孔性絶縁層4を構成する材料としては、例えば、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素(シリカガラス、ソーダガラス)、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどが挙げられ、これらの材料の1種または2種以上を選択的に用いることができる。また、粒径が100nm〜500nmの酸化チタン、ルチル型酸化チタンを用いることができる。これらの材料は粒子状であるのが好ましく、その平均粒径は5〜500nm、好ましくは10〜300nmである。
多孔性絶縁層4は、後述する多孔性半導体層6と同様にして形成することができる。すなわち、多孔性絶縁層4の形成用微粒子を適当な溶剤に分散し、さらにエチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子化合物を混合してペーストを得、得られたペーストを多孔性半導体層上に塗布し、乾燥および焼成することにより、多孔性絶縁層を得る。
第2導電層5は、多孔性半導体層6の電気抵抗値が大きい場合に多孔性半導体層6と多孔性絶縁層4との間に配置されるものである。
第2導電層5を構成する材料としては、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化錫にフッ素をドープしたもの(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン、ニッケル、タンタルなどが挙げられる。
第2導電層5は、スパッタ法、スプレー法、蒸着法などの公知の方法により、多孔性絶縁膜4上に形成することができる。第2導電層5の膜厚としては0.02〜5μm程度が適当であり、膜抵抗としては低いほどよく、特に40Ω/sq以下が好ましい。
なお、第2導電層5の緻密な度合いが増す程(多孔度が小さくなる程)、単調にフィルファクターと共に太陽電池の性能が低下するため、所望の性能が得られない場合に前記小孔を形成すればよい。
多孔性半導体層6を構成する材料は、当該分野で一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、SrCu2O2などの半導体化合物およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、安定性および安全性の点から、酸化チタンが特に好ましい。
また、多孔性半導体層6の形成用の材料粒子としては、同一または異なる半導体化合物からなる2種類以上の粒子サイズの粒子を混合して用いてもよい。粒子サイズの大きな粒子は、入射光を散乱させ光捕捉率の向上に寄与し、粒子サイズの小さな粒子は、吸着点をより多くして色素の吸着量の向上に寄与するものと考えられる。
最も好ましい酸化チタンの半導体微粒子は、気相法、液相法(水熱合成法、硫酸法)など各種文献などに記載されている公知の方法により製造することができる。また、デグサ(Degussa)社が開発した塩化物を高温加水分解により得る方法などが挙げられる。
第2導電層5上に多孔性半導体層6を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。例えば、半導体粒子を含有する懸濁液を第2導電層5上に塗布し、乾燥および焼成の少なくとも一方を行う方法が挙げられる。
この方法では、まず、半導体微粒子を適当な溶剤に懸濁して懸濁液を得る。このような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶剤、水などが挙げられる。また、このような懸濁液の代わりに市販の酸化チタンペースト(例えば、Solaronix社製、Ti−nanoxide、D、T/SP、D/SP、)を用いてもよい。
乾燥および焼成に必要な温度、時間、雰囲気などは、第2導電層5の形成材料および多孔性半導体層6の形成用半導体粒子の種類に応じて適宜設定すればよく、例えば、大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲で10秒〜12時間程度が挙げられる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行ってもよい。
多孔性半導体層6は複数層で構成されていてもよく、このような場合には、異なる半導体粒子の懸濁液を調製し、塗布、乾燥および焼成の少なくとも一方を行う工程を2回以上繰り返せばよい。
多孔性半導体層6を形成した後、半導体微粒子同士の電気的接続の向上、多孔性半導体層6の表面積の増加、半導体微粒子上の欠陥準位の低減を目的として、例えば、多孔性半導体層6が酸化チタン膜の場合は四塩化チタン水溶液で処理してもよい。
多孔性半導体6に吸着する光増感剤としては、可視光領域や赤外光領域に吸収をもつ種々の有機色素、金属錯体色素などの増感色素および後述の光増感素子を構成する無機材料(以下、量子ドットと称する場合がある)が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を選択的に併用することができる。
有機色素としては、例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。有機色素の吸光係数は、一般に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素に比べて大きい。
金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、TA、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの金属分子が配位結合した形態のものが挙げられ、これらの中でも、フタロシアニン系色素、ルテニウム系色素が好ましく、ルテニウム系金属錯体色素が特に好ましい。
特に、次式(1)〜(3)で表されるルテニウム系金属錯体色素が特に好ましく、市販のルテニウム系金属錯体色素として、例えば、Solaronix社製の商品名Ruthenium535色素、Ruthenium535−bisTBA色素、Ruthenium620−1H3TBA色素などが挙げられる。
多孔質半導体層6に色素を吸着させる方法としては、例えば、導電性基板上に触媒層3、多孔性絶縁層4、第2導電層5および多孔性半導体層6が形成された積層体を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が代表的なものとして挙げられる。この際、色素吸着溶液を多孔性半導体層6内の微細孔奥部まで浸透させる上で、色素吸着溶液を加熱してもよい。
色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、アルコール、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶剤は、通常、精製されたものが好ましく、2種類以上を混合して用いることができる。色素吸着用溶液中の色素濃度は、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程などの条件に応じて適宜設定することができ、例えば、1×10-5モル/リットル以上が好ましい。色素吸着用溶液の調製においては、色素の溶解性を向上させるために加熱してもよい。
多孔質半導体層6に色素を吸着させる方法としては、例えば、導電性基板上に触媒層3、多孔性絶縁層4、第2導電層5および多孔性半導体層6が形成された積層体を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が代表的なものとして挙げられる。この際、色素吸着溶液を多孔性半導体層6内の微細孔奥部まで浸透させる上で、色素吸着溶液を加熱してもよい。
色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、アルコール、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶剤は、通常、精製されたものが好ましく、2種類以上を混合して用いることができる。色素吸着用溶液中の色素濃度は、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程などの条件に応じて適宜設定することができ、例えば、1×10-5モル/リットル以上が好ましい。色素吸着用溶液の調製においては、色素の溶解性を向上させるために加熱してもよい。
光増感素子を構成する無機材料からなる量子ドットは、当該分野で一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、Cd、Pb、Sb、In、Ga、S、SeおよびAsのうちの少なくとも1つを含む。
具体的には、CdSe、PbSe、SbSe、CdS、PbS、Sb2S3、InAs、InGaAs等が挙げられる。
多孔性半導体6に光吸収体である量子ドットを担時させるために、量子ドットにインターロック基を結合させても良い。インターロック基は、量子ドットと多孔性半導体を結合するためのものであり、インターロック基中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などを2つ有するものが好ましい。一般に、インターロック基は、多孔性半導体層6に光吸収体が固定される際に介在し、励起状態の量子ドットと半導体の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する。
具体的には、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸などのジカルボン酸、または、カルボン酸とメルカプト基を有するメルカプト酢酸などが好ましい。
量子ドットを分散させる溶剤としては、具体的には、アルコール、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶剤は、通常、精製されたものが好ましく、2種類以上を混合して用いることができる。溶液中の量子ドットの濃度は、使用する量子ドット、溶媒の種類、量子ドット担持工程などの条件に応じて適宜設定することができ、例えば、1×10-5モル/リットル以上が好ましい。色素吸着用溶液の調製においては、色素の溶解性を向上させるために加熱してもよい。
また、特開2007−273984号公報記載の方法のように、量子ドットを直接多孔性半導体上に形成しても良い。
電解質は、酸化還元種を含む液状物であり、一般に電池や太陽電池などに使用される電解質であれば特に限定されない。
酸化還元種としては、I-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系、キノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。具体的には、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)の組み合わせ、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、テトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素の組み合わせ、および臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素の組み合わせが好ましく、これらの中でも、LiIとI2の組み合わせが特に好ましい。
このような添加剤としては、t−ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、ヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩が挙げられる。
電解質中の電解質(酸化還元種)濃度は、0.001〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、0.01〜0.7モル/リットルの範囲が特に好ましい。
透光性カバー部材7としては、透光性を有すると共に、少なくとも多孔性半導体層6の受光面側を被覆できるものであればよく、例えば、強化ガラス、強化ガラス以外のガラス板、透明プラスチックシートなどを用いることができ、太陽電池を屋外に設置する場合は強化ガラスが好ましい。透明プラスチックシートを用いる場合、基板1の非受光面側と多孔性半導体層6の受光面側とに2枚のプラスチックシートを配置し、それらの外周縁を熱融着することにより太陽電池全体を封止することができ、後述の封止部を省略することができる。
上述のように透光性カバー部材として強化ガラスやその他のガラス板を用いた場合、封止部8を設けることが好ましい。封止部8は、太陽電池内部の電解液の漏れを防止する機能、基板1や強化ガラス等の支持体に作用する落下物や応力(衝撃)を吸収する機能、長期にわたる使用時において支持体に作用するたわみなどを吸収する機能を有する。
さらに、本発明の太陽電池の少なくとも2つ以上を直列に接続して太陽電池モジュールを作製する場合、太陽電池間の電解液の移動を防止するために封止部8はセル間絶縁層として機能するため重要である。
紫外線硬化樹脂としては、スリーボンド社製、型番:31X−101、熱硬化性樹脂としては、スリーボンド社製、型番:31X−088や一般に市販されているエポキシ樹脂などを用いることができる。
図2は、前記実施形態1−1の太陽電池を複数個電気的に直列接続してなる太陽電池モジュールを示す概略断面図であり、図3は図2の太陽電池モジュールにおける2つの太陽電池の接続部分を示す概略断面図である。なお、図2および3において、図1中の構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付している。
なお、複数の第1導電層2のうち、スクライブラインと直交する方向の一方端側の第1導電層2は幅を小さくして形成され、この幅の小さい第1導電層2上には太陽電池は形成されず、この第1導電層2は隣の太陽電池の第2電極層5の引出し電極2aとして利用される。
続いて、第1電極層2の外周部および第1電極層2における隣接する太陽電池形成領域間に封止材料を塗布し、封止材料上および多孔性半導体層6上に透明カバー部材7(例えば、強化ガラス)を載置し、封止材料を硬化させて封止部(およびセル間絶縁層)8を形成する。
その後、基板1に予め形成した注入孔から内部に電解液を注入して、多孔性絶縁層4および多孔性半導体層6の内部に電解液を浸透させ、前記注入孔を樹脂にて封止することにより、複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続された光増感太陽電池モジュールが完成する。
なお、この太陽電池モジュールを構成する各層の形成方法および材料の選択等は、実施形態1−1での説明に準じて行うことができる。
図4は、本発明の光増感太陽電池の実施形態2−1を示す概略断面図である。この実施形態2−1の光増感太陽電池は、実施形態1−1における多孔性絶縁層4と多孔性半導体層6の間の導電層5を有しないタイプである。なお、図4において、図1中の構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付している。
以下、実施形態2−1の実施形態1−1とは異なる点を主に説明する。
実施形態2−1における太陽電池の製造方法は、実施形態1−1の前記工程(1)において第2導電層の形成を省略すること以外は、実施形態1−1の製造方法と同様である。
図5は、前記実施形態2−1の太陽電池を複数個電気的に直列接続してなる太陽電池モジュールを示す概略断面図であり、図6は図5の太陽電池モジュールにおける2つの太陽電池の接続部分を示す概略断面図である。なお、図5および6において、図1中の構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付している。
この太陽電池モジュールの製造方法は、実施形態1−2の製造方法における第2導電層の形成工程を省略し、各多孔性絶縁層4上から隣の第1導電層2上にわたって多孔性半導体層6を形成すること以外は、実施形態1−2の製造方法と同様である。
実施例および比較例における各層の膜厚は、特に断りのない限り、株式会社東京精密製、商品名:サーフコム1400Aを用いて測定した。
図2に示される光増感太陽電池モジュールを作製した。
ガラスからなる基板上1にSnO2膜からなる第1導電層2が成膜された、70mm×70mm×厚さ4mmの導電性ガラス基板(日本板硝子株式会社製、SnO2膜付ガラス)を用意した。
<第1導電層の切断>
第1導電層2にレーザー光(YAGレーザー、基本波長:1.06μm、西進商事株式会社製)を照射しSnO2を蒸発させて、幅0.1mmのスクライブライン10を6mm間隔で6本形成した。
前記導電性ガラス基板上に、5mm×50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を用意し、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて触媒形成材料(Solaronix社製、Pt−Catalyst T/SP)を塗布し、得られた塗膜を450℃で1時間焼成してクラスター状の触媒層3を形成した。
酸化ジルコニウムの微粒子(粒径100nm、シーアイ化成株式会社製)をテルピネオールに分散させ、さらにエチルセルロースを混合してペーストを調製した。酸化ジルコニウム微粒子とテルピネオールとエチルセルロースの重量比は、65:30:5である。
6mm×54mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を用意し、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて、得られたペーストを触媒層3上に塗布し、室温で1時間レベリングを行った。
次いで、得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥し、450℃で1時間焼成して多孔性絶縁層(酸化ジルコニウム膜)4を形成した。多孔性絶縁層4の膜厚は5μmであった。
6.2mm×52mmの開口部が7個並ぶメタルマスクを用意し、多孔性絶縁層4上にチタンを電子ビーム蒸着器ei−5(アルバック株式会社製)を用いて蒸着速度5Å/Sで成膜して膜厚約500nmの第2導電層5を形成した。
5mm×50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を用意し、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:Ti−Nanoxide D/SP、平均粒径13nm)をスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて塗布し、室温で1時間レベリングを行った。
次いで、得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥した後、450℃で1時間焼成し、この工程を5回繰り返して、合計膜厚30μmの多孔性半導体層(酸化チタン膜)6を形成した。
光増感色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium620−1H3TBA)を、濃度4×10-4モル/リットルになるように、体積比1:1のアセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)とt−ブチルアルコール(Aldrich Chemical Company製)の混合溶剤に溶解させて色素吸着用溶液を得た。
前記工程を経て得られた積層体を色素吸着用溶液に40℃の温度条件で20時間浸漬し、増感色素を多孔質半導体層6に吸着させた。その後、積層体をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄し、約80℃で約10分間乾燥させた。
溶剤としてのアセトニトリルに、酸化還元種としてLiI(Aldrich Chemical Company製)が濃度0.1モル/リットル、I2(東京化成工業株式会社製)が濃度0.01モル/リットルとなるように、さらに添加剤としてt−ブチルピリジン(TBP、Aldrich Chemical Company製)が濃度0.5モル/リットル、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII、四国化成工業株式会社製)が濃度0.6モル/リットルとなるように添加し、溶解させて電解質を調製した。
前記第1導電層2上における周囲部と太陽電池形成領域間に、紫外線硬化材(スリーボンド社製、型番:31X−101)を塗布し、別途用意した50mm×70mm×厚さ4.0mmの強化ガラス基板7(旭硝子社製)と基板1とを貼り合せた。基板1には予め電解質注入用孔を設けておいた。次いで、紫外線照射ランプ(EFD社製、商品名:Novacure)を用いて塗布部分に紫外線を照射して紫外線硬化材を硬化させて封止部8を形成すると共に、2枚の基板1、7を固定した。
次いで、基板1の電解質注入用孔から電解質を注入し、電解質注入用孔を樹脂にて封止することにより、図2に相当する太陽電池モジュールを完成した。
導電性基板の準備を以下の工程で行ったこと以外は、実施例1と同様にして図2の構造の太陽電池モジュールを作製した。
<導電性基板の準備>
70mm×70mm×厚さ1mmのアルミナ基板を用意し、その基板上にチタンを電子ビーム蒸着器ei−5(アルバック株式会社製)を用いて蒸着速度5Å/Sで成膜して膜厚約700nmの第1導電層2を得た。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表1に示した。
実施例1において、第2導電層5を形成した後に、以下の工程にて第2導電層5に小孔を形成したこと以外は、実施例1と同様にして図2の構造の太陽電池モジュールを作製した。
<第2導電層の小孔の形成>
第2導電層5にレーザー光(YAGレーザー、基本波長:1.06μm、西進商事株式会社製)を照射し、電流値と周波数を調整して、表2で示される小孔を形成した。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表1に示した。
実施例1における第2導電層を省略し、多孔性絶縁層4上に多孔性半導体層6を形成したこと以外は、実施例1と同様にして図5に示される。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表1に示した。
図8に示される光増感太陽電池モジュールを以下のようにして作製した。
なお、この太陽電池モジュールは、図7に示した従来構造の太陽電池を直列接続したものである。図9は図8の太陽電池モジュールにおける2つの太陽電池の接続部分を示す概略断面図である。なお、図8および9において、図7中の構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付している。
<透明導電層の切断>
透明導電層12にレーザー光(YAGレーザー、基本波長:1.06μm、西進商事株式会社製)を照射しSnO2を蒸発させて、幅0.1mmのスクライブライン110を6mm間隔で6本形成した。
5mm×50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を用意し、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:Ti−Nanoxide D/SP、平均粒径13nm)をスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて塗布し、室温で1時間レベリングを行った。
次いで、得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥した後、450℃で1時間焼成し、この工程を5回繰り返して、合計膜厚30μmの多孔性半導体層(酸化チタン膜)16を形成した。
酸化ジルコニウムの微粒子(粒径100nm、シーアイ化成株式会社製)をテルピネオールに分散させ、さらにエチルセルロースを混合してペーストを調製した。酸化ジルコニウム微粒子とテルピネオールとエチルセルロースの重量比は、65:30:5である。
6mm×54mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を用意し、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて、得られたペーストを多孔性半導体層16上に塗布し、室温で1時間レベリングを行った。
次いで、得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥し、450℃で1時間焼成して多孔性絶縁層(酸化ジルコニウム膜)14を形成した。多孔性絶縁層14の膜厚は5μmであった。
5mm×50mmの開口部が7個並ぶスクリーン版を用意し、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて触媒層形成材料(Solaronix社製、Pt−Catalyst T/SP)を多孔性絶縁層14上に塗布し、得られた塗膜を450℃で1時間焼成してクラスター状の触媒層13を形成した。
6.2mm×52mmの開口部が7個並ぶメタルマスクを用意し、触媒層13上にチタンを電子ビーム蒸着器ei−5(アルバック株式会社製)を用いて蒸着速度5Å/Sで成膜して膜厚約500nmの導電層15を形成した。
光増感色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium620−1H3TBA)を、濃度4×10-4モル/リットルになるように、体積比1:1のアセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)とt−ブチルアルコール(Aldrich Chemical Company製)の混合溶剤に溶解させて色素吸着用溶液を調製した。
前記工程を経て得られた積層体を色素吸着用溶液に40℃の温度条件で20時間浸漬し、光増感色素を多孔質半導体層16に吸着させた。その後、積層体をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄し、約80℃で約10分間乾燥させた。
溶剤としてのアセトニトリルに、酸化還元種としてLiI(Aldrich Chemical Company製)が濃度0.1モル/リットル、I2(東京化成工業株式会社製)が濃度0.01モル/リットルになるように、さらに添加剤としてt−ブチルピリジン(TBP、Aldrich Chemical Company製)が濃度0.5モル/リットル、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII、四国化成工業株式会社製)が濃度0.6モル/リットルになるように添加し、溶解させて電解質を調製した。
前記透明導電層12上における周囲部と太陽電池形成領域間に、紫外線硬化材(スリーボンド社製、型番:31X−101)を塗布し、50mm×70mm×厚さ1.0mmのカバーガラス19(コーニング社製、型番:7059)と基板11とを貼り合せた。カバーガラス19には予め電解質注入用孔を設けておいた。次いで、紫外線照射ランプ(EFD社製、商品名:Novacure)を用いて塗布部分に紫外線を照射して紫外線硬化材を硬化させて封止部18を形成することにより、2枚のガラス板を固定した。
次いで、基板1の電解質注入用孔から電解質を注入し、電解質注入用孔を樹脂にて封止することにより、図8に相当する太陽電池モジュールを完成した。
レータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表1に示した。
光増感剤および電解質に関して以下のように異なる以外は実施例1と同様に図2に示される光増感太陽電池モジュールを作製した。
<光増感剤の作製>
J.Am.Chem.Soc.1993,115,8706記載の方法にて光増感剤としてCdS(量子ドット)のトリオクチルフォスフィン溶液を作製した。
CdSの最低被占軌道(HOMO)と最高空軌道(LUMO)をAC−3(理研計器株式会社製)と吸光度測定装置(UV−2000、島津製作所社製)で測定した結果を表3に示す。
その他、該実施例で使用可能な無機材料の光増感素子を表3に示す。
CdS溶液へ積層体を40℃の温度条件で12時間浸漬し、CdSを多孔性半導体層6に吸着させた。その後、積層体をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄・乾燥を行い、CdSが吸着された多孔性半導体層を得た。
純水中に、濃度2モル/リットルのNa2S(Aldrich Chemical Company製)、と濃度3モル/リットルの硫黄(Aldrich Chemical Company製)を溶解させて作製した。
導電性基板の準備を以下の工程で行ったこと以外は、実施例12と同様にして図2の構造の太陽電池モジュールを作製した。
<導電性基板の準備>
70mm×70mm×厚さ1mmのアルミナ基板を用意し、その基板上にチタンを電子ビーム蒸着器ei−5(アルバック株式会社製)を用いて蒸着速度5Å/Sで成膜して膜厚約700nmの第1導電層2を得た。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表4に示した。
実施例12において、第2導電層5を形成した後に、以下の工程にて第2導電層5に小孔を形成したこと以外は、実施例12と同様にして図5の構造の実施例14の太陽電池モジュールを作製した。
<第2導電層の小孔の形成>
第2導電層5にレーザー光(YAGレーザー、基本波長:1.06μm、西進商事株式会社製)を照射し、電流値と周波数を調整して小孔を形成した。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表4に示した。
実施例12における第2導電層を省略し、多孔性絶縁層4上に多孔性半導体層6を形成したこと以外は、実施例1と同様にして図5の構造の実施例15の光増感太陽電池モジュールを作製した。但し、2mm×50mmの大きさの多孔性半導体層6が16個並ぶように素子を形成した。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表4に示した。
図5に示される光増感太陽電池モジュールを以下のようにして作製した。
この太陽電池モジュールは、光増感剤、光増感剤の多孔性半導体層への吸着および電解質に関して実施例12と同様であること以外は、比較例1と同様である。
得られた太陽電池モジュールに、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、各種太陽電池特性を測定し、その結果を表4に示した。
Claims (12)
- 相互に絶縁状態で並列した複数の導電層を1つの基板上に有してなる非受光面側に配置される1つの導電性基板を備えると共に、前記導電性基板の前記複数の導電層上に個別に少なくとも触媒層、内部に電解質を含有する多孔性絶縁層、光増感剤が吸着されかつ内部に電解質を含有する多孔性半導体層および受光面側に配置される透光性カバー部材がこの順で積層されてなる光増感太陽電池を複数備え、
1つの光増感太陽電池の多孔性半導体層が隣接する他の光増感太陽電池の導電層に電気的に直接接続されることにより、複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続されてなることを特徴とする光増感太陽電池モジュール。 - 相互に絶縁状態で並列した複数の第1導電層を1つの基板上に有してなる非受光面側に配置される1つの導電性基板を備えると共に、前記導電性基板の前記複数の第1導電層上に個別に少なくとも触媒層、内部に電解質を含有する多孔性絶縁層、電解質の移動を許容する第2導電層、光増感剤が吸着されかつ内部に電解質を含有する多孔性半導体層および受光面側に配置される透光性カバー部材がこの順で積層されてなる光増感太陽電池を複数備え、
前記複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続した方向である直列接続方向の前記多孔性半導体層の長さが、直列接続方向の前記多孔性絶縁層の長さより長く、
1つの光増感太陽電池の第2導電層が隣接する他の光増感太陽電池の第1導電層に電気的に直接接続されることにより、複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続されてなることを特徴とする光増感太陽電池モジュール。 - 前記複数の光増感太陽電池が電気的に直列接続した方向である直列接続方向の前記多孔性半導体層の長さが、直列接続方向の前記多孔性絶縁層の長さより長い請求項1に記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記光増感剤が、有機色素と金属錯体色素の少なくとも一方を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記光増感剤が、Cd、Pb、Sb、In、Ga、S、SeおよびAsのうちの少なくとも1つを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記導電層が、金属材料または金属酸化物材料からなる請求項2または3に記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記金属材料が、チタン、ニッケルおよびタンタルのうちの少なくとも1つを含んでなる請求項6に記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記金属酸化物材料が、酸化錫、フッ素がドープされた酸化錫、酸化亜鉛および酸化インジウムのうちの少なくとも1つを含んでなる請求項6に記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記透光性カバー部材が強化ガラスである請求項1〜8のいずれか1つに記載の光増感太陽電池モジュール。
- 前記導電性基板が、絶縁性基板と、この絶縁性基板上に形成されて前記触媒層と接触する金属層とを有してなる請求項1〜9のいずれか1つに記載の光増感太陽電池モジュール。
- 1つの基板上に複数の導電層が相互に絶縁状態で並列してなる導電性基板を用意し、この導電性基板の前記複数の導電層上に個別に少なくとも触媒層、多孔性絶縁層および光増感剤が吸着された多孔性半導体層をこの順で積層して、各導電層上が太陽電池形成領域となる複数の積層体を形成する工程(1)と、
前記積層体の前記多孔性半導体層側の表面を受光面側に配置される1つの透光性カバー部材にて被覆し、かつ前記導電性基板と透光性カバー部材の間の外周部および隣接する2つの前記太陽電池形成領域間に封止部を形成して封止する工程(2)と、
前記導電性基板と前記透光性カバー部材の間の内側領域に電解質を注入して、前記多孔性半導体層および前記多孔性絶縁層の内部に前記電解質を浸透させる工程(3)とを備え、
前記工程(1)において、1つの太陽電池形成領域の多孔性絶縁層の一端を、1つの太陽電池形成領域の導電層と隣接する他の太陽電池形成領域の導電層の間に配置させると共に、1つの太陽電池形成領域の多孔性半導体層の一端を、隣接する他の太陽電池形成領域の導電層上に直接接触させて電気的に直列接続することを特徴とする光増感太陽電池モジュールの製造方法。 - 1つの基板上に複数の第1導電層が相互に絶縁状態で並列してなる導電性基板を用意し、この導電性基板の前記複数の第1導電層上に個別に少なくとも触媒層、多孔性絶縁層、電解質の移動を許容する第2導電層および光増感剤が吸着された多孔性半導体層をこの順で積層して、各第1導電層上が太陽電池形成領域となる複数の積層体を形成する工程(1)と、
前記積層体の前記多孔性半導体層側の表面を受光面側に配置される1つの透光性カバー部材にて被覆し、かつ前記導電性基板と透光性カバー部材の間の外周部および隣接する2つの前記太陽電池形成領域間に封止部を形成して封止する工程(2)と、
前記導電性基板と前記透光性カバー部材の間の内側領域に電解質を注入して、前記多孔性半導体層および前記多孔性絶縁層の内部に前記電解質を浸透させる工程(3)とを備え、
前記工程(1)において、1つの太陽電池形成領域の多孔性絶縁層の一端を、1つの太陽電池形成領域の第1導電層と隣接する他の太陽電池形成領域の第1導電層の間に配置させると共に、1つの太陽電池形成領域の第2導電層の一端を、隣接する他の太陽電池形成領域の第1導電層上に直接接触させて隣接する2つの太陽電池形成領域を電気的に直列接続し、さらに、隣接する2つの太陽電池形成領域が電気的に直列接続した方向である直列接続方向の多孔性半導体層の長さが、直列接続方向の多孔性絶縁層の長さよりも長くなるように、第2導電層上に多孔性半導体層を形成することを特徴とする光増感太陽電池モジュールの製造方法。
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