JP2006024574A - 色素増感型太陽電池モジュール - Google Patents

色素増感型太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】モジュールを構成する複数の太陽電池の構成要素を改善した高性能な色素増感型太陽電池の提供。
【解決手段】透光性基板上の透過性導電層、色素が吸着した多孔性光電変換層、電解質層、触媒層、導電層が順次積層されてなる第1光電変換素子と、透光性基板上の透過性導電層、触媒層、電解質層、色素が吸着した多孔性光電変換層、導電層が順次積層されてなる第2光電変換素子と、第1、第2光電変換素子の各導電層上に設けられる支持基板とを備え、透光性基板と支持基板の間において、第1光電変換素子と第2光電変換素子が交互に並列し、隣り合う第1光電変素子と第2光電変換素子が電気的に直列接続されており、複数の第1光電変換素子における多孔性光電変換層に同一の色素をそれぞれ吸着させ、複数の第2光電変換素子における多孔性光電変換層に 吸収波長がより長波長側にある色素をそれぞれ吸着させた色素増感型太陽電池モジュール。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池モジュールに関する。
化石燃料に代るエネルギー源として太陽光を電力に変換できる太陽電池が注目されている。現在、一部実用化され始めた太陽電池としては、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池及び薄膜シリコン太陽電池がある。しかし、前者はシリコン基板の作製コストが高いこと、後者は多種の半導体ガスや複雑な装置を用いる必要があり、依然として製造コストが高いことが問題となっている。そのため、いずれの太陽電池においても光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記問題を解決するには到っていない。
新しいタイプの太陽電池としては、特許第2664194号公報(特許文献1)に金属錯体の光誘起電子移動を応用した湿式太陽電池が示されている。この湿式太陽電池は、2枚のガラス基板にそれぞれ形成された電極間に、光電変換材料と電解質材料とを用いて光電変換層を構成したものである。この光電変換材料は、光増感色素を吸着させることで、可視光領域に吸収スペクトルをもつようになる。この湿式太陽電池において、光電変換層に光が照射されると電子が発生し、電子は外部電気回路を通って電極に移動する。電極に移動した電子は、電解質中のイオンによって運ばれて対向する電極を経由して光電変換層にもどる。このような電子の移動の繰り返しにより電気エネルギーが取り出される。
この動作原理を基本にした湿式太陽電池の低コスト製法の技術が、特開2000−91609号公報(特許文献2)に記載されている。この技術を概説すると、まず、透明導電膜(電極)を形成したガラス基板を用意する。また、巻き取り可能なフレキシブルな他の基板上に白金導電膜(電極)及び二酸化チタンコロイド発電層を形成して積層体とする。この積層体の形成時あるいは以降に、発電層に電解質液が含浸される。この技術により単一ユニットの有機太陽電池が得られるとされている。
また、国際公開第WO97/16838号パンフレット(特許文献3)には、図7に示すように、複数の色素増感型太陽電池を直列接続した色素増感型太陽電池モジュールが示されている。具体的には、個々の色素増感型太陽電池は、短冊形にパターニングを行った透明導電膜(電極)を形成したガラス基板上に、酸化チタン層、絶縁性多孔質層及び対極を順次積層した構造を有している。また、1つの色素増感型太陽電池の導電層を、隣接する色素増感型太陽電池と対極を接触するように配置することで、両太陽電池が直列接続されている。
また、色素増感型太陽電池の開発技術/技術教育出版社(編集 早瀬修二、藤嶋 昭、p.205−217、2003)(非特許文献1)では、P.M.SommelingらがW型直列接続として、図8に示す構造の色素増感型太陽電池モジュールを示している。
具体的には、個々の色素増感型太陽電池は、短冊にパターニングを行った透明電極を形成したガラス基板上に、酸化チタン層と白金層を交互に製膜したものを2つ作製し、それぞれの基板を酸化チタン層と白金層が相対するように向かい合わせた状態で重ね合わせ、重ね合わせた酸化チタン/白金層の各対の間に樹脂等の絶縁性接着剤を設置し、この絶縁性接着剤にて対向するガラス基板を接着させることにより、直列接続された色素増感太陽電池モジュールである。
しかしながら、特許文献1に記載の色素増感型太陽電池の基本構造は、2枚のガラス基板の間に電解液を注入することで色素増感型太陽電池を作り込んだものである。従って、小面積の太陽電池の試作は可能であっても、1m角のような大面積の太陽電池への適用は困難となる。このような太陽電池について、一つの太陽電池(単位セル)の面積を大きくすると、発生電流は面積に比例して増加する。しかし、電極部分に用いる透明導電性膜の横方向の抵抗成分が極端に増大し、ひいては太陽電池としての内部直列電気抵抗が増大する。その結果、光電変換時の電流電圧特性における曲線因子(フィルファクタ、FF)が低下し、光電変換効率が低くなるという問題がある。
これら問題を解決するために、アモルファスシリコン層を第一及び第二導電層で挟んだ構造のアモルファスシリコン太陽電池のモジュール等に使用されている長方形の単位セルの第一導電層と隣り合う単位セルの第二導電層を接触させる集積化構造が考えられる。しかし、この構造では、隣り合う光電変換層が接触しないように、ある一定の隙間をおいて形成させる必要がある。一般に、集積化した太陽電池のモジュールの変換効率とは、モジュール面積当たりの発電効率を意味する。そのため、隙間の面積が大きいと、隙間に当たった光は発電に寄与しないので、モジュールを構成する単位セルの変換効率が高くてもモジュール変換効率が悪くなる。したがって、隣り合う単位セル同士の隙間を小さくするため、モジュールの作製方法を工夫する必要があった。
一般に、アモルファスシリコン系太陽電池では、レーザー等によりスクライブを行い、集積パターニングを行っているが、これらの手法は色素増感型太陽電池への適用は困難である。なぜならば、色素増感型太陽電池の光電変換層は、より多くの色素を吸着させるため、多孔質体からなる。このような多孔質体にレーザー等により微細パターンが形成された部分は、強度が劣るため、微細パターンを形成することができないという問題がある。
さらには、レーザーを使用することにより製造コストが高くなる問題がある。
これら問題を解決するために、図7に示す特許文献3に記載の太陽電池のようにスクリーン印刷法を用いて多孔性光電変換層が形成されている。しかし、多孔性光電変換層を形成した後、レーザーやエアージェット等によりパターン形成を行っており、上述と同様な理由で同様な問題が生じる。なお、図7中、41は透明基板、42は透明導電膜、43は多孔性酸化チタン層、44は中間多孔性層、45は対向電極、46は絶縁層、47は電気絶縁性液体密閉用トップカバー、48と49は端子を表している。
また、図8に示す太陽電池では、一枚の透明導電膜を形成したガラス基板の面方向に酸化チタン層と光透過性の対極を形成しているため、太陽電池モジュールの表裏に関係なく受光面とすることができるが、対極側が受光面となる太陽電池セルは、対極側が受光面とならない太陽電池セルと比べて、電解液で光が吸収されるため、入射光量が低下し、電流値が低下する問題がある。そのため、太陽電池セルを直列接続することにより作製した太陽電池モジュールは、構成している太陽電池セルの性能を最大限に取り出せない問題があった。なお、図8中、31と32は透明基板、301、302、303は透明導電膜、311、312、313は電解液、321、322、323は多孔性酸化チタン層、331、332、333は触媒層、341,342、343は絶縁層である。
特許第2664194号公報 特開2000−91609号公報 国際公開第WO97/16838号パンフレット 色素増感太陽電池の開発技術/技術教育出版社(編集 早瀬修二、藤嶋昭、p.205−217、2003)
本発明は、色素増感型太陽電池モジュールに関して、モジュールを構成する複数の太陽電池セルの構成要素を改善して、従来技術より高性能な色素増感型太陽電池を提供することにより、上記課題を解決する。
かくして本発明によれば、透光性基板上の透過性導電層、色素が吸着した多孔性光電変換層、電解質層、触媒層、導電層が順次積層されてなる第1光電変換素子と、前記透光性基板上の透過性導電層、触媒層、電解質層、色素が吸着した多孔性光電変換層、導電層が順次積層されてなる第2光電変換素子と、前記第1、第2光電変換素子の各導電層上に設けられる支持基板とを備え、前記透光性基板と支持基板の間において、1つ以上の上記第1光電変換素子と1つ以上の第2光電変換素子が交互に並列し、隣り合う第1光電変素子と第2光電変換素子が電気的に直列接続されており、複数の第1光電変換素子における多孔性光電変換層に同一の一の色素をそれぞれ吸着させ、複数の第2光電変換素子における多孔性光電変換層に前記一の色素とは異なる他の一の色素をそれぞれ吸着させ、前記一の色素の吸収端波長より前記他の一の色素の吸収端波長が長波長側にあることを特徴とする色素増感型太陽電池モジュールが提供される。
本発明の色素増感型太陽電池モジュールによれば、従来技術よりも光電変換効率といったモジュールの特性を向上させることが可能である。
本発明の実施の形態の色素増感型太陽電池(以下、単に太陽電池とも称する)は、受光面側の透光性基板と、前記透光性基板上に透光性導電層、色素が吸着した多孔性光電変換層、電解質層、触媒層、導電層が順次積層されてなる第1光電変換素子と、前記透光性基板上に透光性導電層、触媒層、電解質層、色素が吸着した多孔性光電変換層、導電層が順次積層されてなる第2光電変換素子と、前記第1、第2光電変換素子の各導電層上に設けられた支持基板とを備え、前記透光性基板と支持基板の間において、1つ以上の上記第1光電変換素子と1つ以上の第2光電変換素子が交互に並列し、かつ電気的に直列接続され、さらに少なくとも第1光電変換素子と第2光電変換素子が異なることを特徴としている。
ここで、少なくとも第1光電変換素子と第2光電変換素子が異なるとは、第1光電変素子同士及び/又は第2光電変換素子同士が異なる場合も含むものと定義する。また、第1光電変換素子と第2光電変換素子が異なる具体的な構成要素としては、電解質層の組成、多孔性光電変換層の膜厚、多孔性光電変換層の幅、光電変換層に吸着させる色素、多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の平均粒径等の構成要素が挙げられる。本発明の色素増感型太陽電池モジュールは、少なくとも第1光電変換素子と第2光電変換素子において、これらの構成要素のうちの少なくとも何れか1つが異なることを特徴としている。
次に、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの基本構造を図1に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の集積化された色素増感型太陽電池モジュールを示す概略断面図である。
この太陽電池モジュールMは、受光面側の透光性絶縁基板Xと、裏面(非受光面)側の支持基板Yと、これらの基板X、Y間に1列に設けられた3個の第1光電変換素子aと、各第1光電変換素子a、a間に隣接して配置された2個の第2光電変換素子bとを備える。 第1光電変換素子aは、透光性絶縁基板X側から透光性導電層1、多孔性光電変換層2、電解質層3、触媒層4、導電層5が順次積層されてなる。第2光電変換素子bは、透光性絶縁基板X側から透光性導電層1、触媒層14、電解質層13、多孔性光電変換層12、導電層5が順次積層されてなる。また、5個の第1・第2光電変換素子a、bは、それらの透光性導電層1及び導電層5によって電気的に直列接続されており、各セル間及びセル外周部は絶縁層6(例えば絶縁性樹脂)によって充填及び封止されている。
以下、本明細書において、太陽電池ユニットセルあるいはユニットセルと称する場合は、上記第1光電変換素子又は第2光電変換素子を両側から透光性絶縁基板と支持基板とで挟持した構造のものを意味するものとする。
図2は図1の太陽電池モジュールの製造方法を説明する図であって、(a)は透光性絶縁基板X側の成膜状態を示す概略平面図であり、(b)は支持基板Y側の成膜状態を示す概略平面図である。本実施の形態の太陽電池モジュールは、以下のように製造することができる。
透光性絶縁基板Xの一表面のほぼ全面に透光性導電層1を形成し、その上に短冊状の多孔性光電変換層2と触媒層14を交互に隙間をもって形成する。そして、所定の多孔性光電変換層2−触媒層14間の透光性導電層1をスクライブする。一方、支持基板Yの一表面のほぼ全面に導電層5を形成し、その上に短冊状の触媒層4と多孔性光電変換層12を交互に隙間をもって形成する。そして、所定の触媒層4−多孔性光電変換層12間の導電層5をスクライブする。次に、透光性絶縁基板Xと支持基板Yにおいて、多孔性光電変換層2と触媒層4とをセパレータを介して対向させ、かつ触媒層4と多孔性光電変換層2とをセパレータを介して対向させ、各セル間に絶縁性接着剤を挿入して各基板X、Yを重ね合わせて接着する。その後、各触媒層4、14と各セパレータ間に電解液を注入して、第1・第2光電変換素子a、bを形成し、セル外周に絶縁性樹脂にて封止して、太陽電池モジュールMを得る。なお、さらに具体的な製造過程については後述する。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の各構成要素について説明する。
[透光性基板及び支持基板]
太陽電池の受光面を構成する透光性基板の材料としては、例えば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、結晶石英ガラス等の透明ガラス基板、耐熱透光性樹脂からなる可撓性フィルム、金属板等が挙げられる。また、透光性基板は、0.2〜5mm程度の厚さで、250℃以上の耐熱性を有するものが好ましい。
可撓性フィルム(以下、「フィルム」と略称する)としては、例えばポリエステル、ポリアクリル、ポリイミド、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等の長期耐候性のシートやフィルムが挙げられる。中でも、透光性導電層の形成時において、透光性基板は250℃程度の温度に加熱させることから、この温度以上の耐熱性を有するテフロン(登録商標)が好ましい。
また、太陽電池の非受光面を構成する支持基板の材料としては、透光性の有無は限定されないが、透光性基板の材料と同じ材料や、その他には金属板も用いることができる。金属板は、光透過性に乏しいため、非受光面側の支持基板として用いる方が好ましい。金属板の材料によっては、電解質層に用いる材料により腐食が起こる物もあるため、少なくとも、金属板表面と電解質層との接触部分に腐食に強い金属酸化物等の材料でコーティングされていることが好ましい。
これら透光性基板及び支持基板は、完成した色素増感型太陽電池を他の構造体に取り付けるときに利用することも可能である。つまり、ガラス等の基板を用いれば、ガラス基板周辺部を金属加工部品とねじを用いて他の支持体に容易に取り付けることができる。
[透光性導電層及び導電層]
受光面側の透光性導電層の材料としては、少なくとも後述する増感色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過するものであればよく、必ずしもすべての波長域の光に対して透過性を有するものである必要はない。例えば、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛複合酸化物)フッ素ドープされた酸化スズ、ボロン、ガリウムまたはアルミニウムがドープされた酸化亜鉛、ニオブがドープされた酸化チタン等の透明導電性金属酸化物、あるいは金、銀、アルミニウム、インジウム、白金、カーボン(カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン)等の不透明材料を薄膜化したものが挙げられる。ただし、金属材料を用いる場合、電解液に腐食される材料もあるため、電解液と接触する部分に、腐食に強い材料をコーティングしても良い。
非受光面側の導電層の材料としては、透光性導電層の材料と同じものを用いることができる。なお、導電層には透光性の有無は限定されないが、不透明材料を用いる場合は薄膜化を省くことができる。さらに、電解質層にヨウ素が含まれる場合は、耐ヨウ素性材料であることが望ましい。
これら透光性導電層及び導電層は、PVD法、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等の従来技術により形成することができる。
[触媒層]
触媒層としては、後述する電解質層の酸化還元反応を活性化させるものであればよく、例えば白金、塩化白金、カーボン(カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン)が挙げられ、中でも白金が好ましい。ただし、上述の透光性導電層と同様に色素増感型太陽電池モジュールの受光面となる側、つまり第2光電変換素子の触媒層は光透過性が必要となるため、薄膜化を行う必要がある。触媒材料によって好ましい膜厚は異なるが、例えば白金を用いる場合には、好ましくは300〜0.5nmであり、さらに好ましくは、30〜1nmである。触媒層は、PVD法、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等の従来技術により形成することができる。
触媒層は透過率を上げるために、開口部を持つ形状であることが、透過率の観点から好ましい。ここで、開口部とは、導電層上の触媒層で覆われていない領域を意味する。
触媒層の形状としては、特に限定されるものではないが、例えばストライプ状、格子状、ドット状などが挙げられる。
触媒層がストライプ状である場合、ストライプ間の距離をL1、触媒層のストライプ線幅をWとすると、式1
Figure 2006024574
の関係式の開口率Pが0.4以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.8以上0.95以下である。なお、上記Pが0.4よりも小さいと、透過光が少なくなるためJscが減少し、0.95よりも大きいと触媒能の低下により、酸化還元反応がスムーズに行うことが出来ないため、FFが減少する。
この時のWは1mm以下が好ましく、さらに好ましくは、0.2mm以下である。
触媒層が格子状である場合、その格子が平行四辺形、ひし形、長方形、正方形、である場合、一辺の長さをL1、L2とし、触媒層の格子状をなす線幅をW、その二辺の間の角をθとすると、式2
Figure 2006024574
の関係式のPが0.4〜であることが好ましく、さらに好ましくは0.8〜0.95である。なお、上記Pが0.4よりも小さいと、透過光が少なくなるためJscが減少し、0.95よりも大きいと触媒能の低下により、酸化還元反応がスムーズに行うことが出来ないため、FFが減少する。
また、この時のWは0.5mm以下が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm以下である。
触媒層がドット状である場合、光透過率が限りなく100%に近いことが望ましいが、例えば70%〜80%であってもよい。また、上記光透過率の範囲内であればドット形状及び大きさは特に限定されず、例えば平面形状が円形、楕円形、多角形、不定形等自由であり適宜選択することができるが、ドットは均一に分散されたものであることが好ましい。
[多孔性光電変換層]
多孔性光電変換層は、半導体から構成され、その形態は、粒子状、膜状等の種々な形態のものを用いることができるが、膜状の形態であることが好ましい。多孔性光電変換層を構成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等の公知の半導体を1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。中でも、光電変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。
膜状の多孔性光電変換層を基板上に形成する方法としては、種々の公知の方法を使用することができる。具体的には、スクリーン印刷法、インクジェット法などにより基板上に半導体粒子を含有するペーストを塗布し、その後焼成する方法、基板上に所望の原料ガスを用いたCVD法又はMOCVD法等により成膜する方法、原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法又はゾル−ゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法等が挙げられる。これらのうち、厚膜化や製造コストの観点より、ペーストを用いたスクリーン印刷法が好ましい。スクリーン印刷を用いて,多孔性光電変換層を印刷する際、印刷後のダレを少なくするために、数回に分けて印刷しても良い。さらに、数回に分けて印刷する際、異なる材料や粒径を持つ微粒子を有するペーストを印刷しても良い。
なお、多孔性光電変換層の膜厚は、特に限定されるものではないが、光電変換効率の観点より、0.5〜50μm程度が好ましい。さらに、光電変換効率を向上させるためには、後述する増感色素を多孔性光電変換層により多く吸着させることが必要である。このため、膜状の多孔性光電変換層は比表面積が大きなものが好ましく、例えば10〜500m2/g程度、さらには10〜200m2/g程度がより好ましい。なお、本発明において、比表面積とはBET吸着法により測定した値を意味する。
上述の半導体粒子としては、市販されているもののうち適当な平均粒径、例えば1〜500nm程度の平均粒径を有する単一又は化合物半導体の粒子等が挙げられる。また、一つの多孔性光電変換層中に、粒径の異なる半導体微粒子が含有されていても良い。ここで、半導体粒子の粒径の評価方法としては、走査電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)などにより観測する方法や、X線回折スペクトルの半値幅から算出する方法などが挙げられる。本発明においては、X線回折装置にてθ/2θ測定における回折角が25.28°(アナターゼ101面に対応)のピークの半値幅を求め、その値とシェラーの式から得られる粒径を平均粒径とする。
受光面側の多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の平均粒径は、多孔性光電変換層と透光性導電層との接続を良くし、透光性導電層から電解質層へのリーク電流を低減することで開放電圧が向上するという理由で30nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以下で、8nm以上である。該多孔性光電変換層を構成する粒子が小さくなりすぎると、粒子の表面積が大きくなる割合に対して、色素吸着量が大きくなる割合が著しく小さくなる。これは、色素が吸着していない粒子表面が大きくなり、粒子表面と電解質との接触部分が増加し、粒子から電解質へ逆反応が大きくなり、性能が低下する。
一方、非受光面側の多孔性光電変換層には、粒径の小さな半導体粒子のみを用いるよりも、光散乱性を有する粒径の大きな半導体粒子を含んでいる方が、開放電圧の向上以上に短絡電流を向上させることで変換効率を向上させることができるため、100nm以上の半導体粒子が含まれていることが好ましく、より好ましくは200〜1000nmである。なお、粒子サイズが1000nm以上になると、可視光領域の光を散乱させる効果が低減されてくることに加え、多孔性光電変換効率層と導電層との接続が著しく悪くなり、短絡電流の改善以上に開放電圧が低下してしまうため好ましくない。
また、非受光面側の多孔性半導体層は、粒径の異なる半導体粒子から構成される複数の層から構成されていてもよい。その際、非受光面側の支持基板に最も近い層には粒径100nm以上の半導体粒子が含有されることが、非受光面側の多孔性光電変換層における短絡電流が向上するという理由で好ましい。さらには、粒径200〜1000nmの半導体粒子が含有されることが、可視光の散乱を増大して短絡電流をより一層向上させることができるために望ましい。その際、多孔質半導体層を構成する複数層のうち、非受光面側の支持基板から遠くに位置する層の半導体粒子は、支持基板に最も近い層を構成する半導体粒子の平均粒径よりも小さいことが、多孔質光電変換層内の電子輸送能が向上する理由で好ましい。その粒径としては30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
例えば、半導体粒子として酸化チタンを用いる場合、次の手法により作製することができる。
チタンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製)125mlを0.1Mの硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mLに滴下し加水分解をさせ、80℃で8時間加熱することにより、ゾル液の作製を行う。その後、チタン製オートクレーブにて230℃で11時間、粒子成長させ、超音波分散を30分間行うことにより、平均一次粒径15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を作製し、これに容量比2倍のエタノールを加え、5000rpmにて遠心分離を行うことにより酸化チタン粒子を作製することができる。
なお、本発明において、平均粒径とは、SEM観察により測定した値を意味する。
これらの半導体粒子を懸濁させペーストを作製するために使用される溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグライム系溶媒、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、イソプロピルアルコール/トルエン等の混合溶媒、水等が挙げられる。具体的には、以下に示す工程にてペーストを作製することができる。
上述の工程により作製した酸化チタン粒子を洗浄した後、エチルセルロース(キシダ化学株式会社製)とテルピネオール(キシダ化学株式会社製)を無水エタノールに溶解させたものを加え、攪拌することにより酸化チタン粒子を分散させる。その後、30Torrの真空下、50℃にてエタノールを蒸発させて酸化チタンペーストの作製を行った。なお、最終的な組成として、酸化チタン固体濃度20wt%、エチルセルロース10wt%、テルピネオール64wt%となるように濃度調整を行う。
上述の多孔性光電変換層の乾燥及び焼成は、使用する基板や半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気等の条件を適宜調整して行われる。そのような条件として、例えば、大気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12時間程度が挙げられる。この乾燥及び焼成は、単一の温度で1回又は温度を変化させて2回以上行うことができる。
[光増感色素]
多孔性光電変換層に吸着して光増感剤として機能する色素としては、種々の可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収をもつものが挙げられる。さらに、多孔性光電変換層に色素を強固に吸着させるためには、色素分子中にカルボキシル基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するもの(特に炭素原子1〜3を有する低級のもの)が好ましい。これらの中でも、カルボン酸基及びカルボン酸無水基がより好ましい。なお、インターロック基は、励起状態の色素と多孔性光電変換層の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
これらインターロック基を含有する色素として、例えば、ルテニウム金属錯体色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
多孔性光電変換層に色素を吸着させる方法としては、例えば透光性導電膜又は導電膜を介して基板上に形成された多孔性光電変換層を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。その際、単に室温下で吸着を行ってもよいし、吸着速度を向上させるために還流法による加熱を行ってもよい。
色素を溶解させる溶媒としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物類、クロロホルム、塩化メチル等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましく、例えば、1〜5×10-4モル/リットル以上であればよい。
[電解質層]
多孔性光電変換層と触媒層との間に充填される電解質層は、イオンを輸送できる導電性材料で構成され、液体電解質及び固体電解質を用いることができる。液体電解質としては、酸化還元種を含む液体状態のものであればよい。具体的には、酸化還元種とこれを溶解可能な溶媒からなるもの、酸化還元種とこれを溶解可能な溶融塩からなるもの、酸化還元種とこれを溶解可能な溶媒と溶融塩からなるものが挙げられるが、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。固体電解質としては、電子、ホール、イオンを輸送できる導電性材料で太陽電池の電解質として用いることができ、流動性がないものであればよい。例えば、ポリカルバゾール等のホール輸送材、テトラニトロフロオルレノン等の電子輸送材、ポリピロールポリチオフェン等の導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅、チオシアン酸銅等のp型半導体、溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などが挙げられる。
電解質としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物、およびテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩などのヨウ化物と、I2との組み合わせ;LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、およびテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩などの臭化物と、Br2との組み合わせ;フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体;ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物;ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどが挙げられる。これらの中でも、LiI、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドとI2との組み合わせが開放電圧の改善の点で好ましい。上記の電解質は2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、1,2−ジメチル3−プロピルイミダゾールアイオダイド(以下、「DMPII」と略称する)、エチルイミダゾールアイオダイド(以下、「EII」と略称する)、1−エチル3−メチルイミダゾールアイオダイド(以下、「EMII」と略称する)、1−メチル3−プロピルイミダゾールアイオダイド(以下、「MPII」と略称する)、1−ブチル3−メチルイミダゾールアイオダイド(以下、「BMII」と略称する)、1,2−ジメチル3−ヘキシルイミダゾールアイオダイド(以下、「DMHII」と略称する)等のイミダゾール塩を混入しても良く、中でもMPIIが好ましい。
電解質層に用いられる溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物;ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、などのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物;ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などが挙げられる。中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい。これらの溶媒は単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
ゲル電解質としては、電解質とゲル化剤を用いて作製したものを用いることができる。
ゲル化剤としては、高分子ゲル化剤が良好に用いられる。例えば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体や架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、側鎖に含窒素複素環式四級化合物塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などが挙げられる。
溶融塩ゲル電解質としては、ゲル電解質材料に常温型溶融塩を添加したものを用いることができる。常温型溶融塩としては、ピリジニウム塩類、イミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式四級アンモニウム塩化合物類が良好に用いられる。
電解質濃度としては、種々の電解質により選択されるが、0.01〜1.5モル/リットルの範囲が好ましい。ただし、本発明における色素増感型太陽電池モジュールにおいて、受光面側に触媒層がある場合、入射光が電解液を通して色素が吸着された多孔性光電変換層に達し、キャリアが励起する。そのため、受光面側に触媒層がある第2光電変換素子に用いる電解質の濃度により、性能が低下する場合がある。
本発明では、受光面側に多孔性光電変換層がある第1光電変換素子及び触媒層がある第2光電変換素子の特性と電解質濃度との関係を見出し、太陽電池特性を最大限発揮できるように構成されている。
[実施の形態1]
実施の形態1の色素増感型太陽電池は、第1光電変換素子aと第2光電変換素子bは、電解質層3、13の組成が異なることを特徴としている。
具体的には、以下の(1)〜(5)のようにして第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの電解質層3、13の組成を異ならせる。
(1)第1光電変換素子a及び第2光電変換素子bは、それぞれの電解質層3、13にヨウ素を含み、第2光電変換素子bの電解質層13のヨウ素濃度が、第1光電変換素子aの電解質層3のヨウ素濃度より低い。
このように構成することによって、太陽電池モジュールの第1光電変換層及び第2光電変換層の各ユニットセルの電流値を有効に引き出すことができる。
(2)第1光電変換素子aの電解質層3のヨウ素濃度M1と、第2光電変換素子bの電解質層13のヨウ素濃度M2との比率M1/M2が、5以下1以上である。
このように構成することによって、太陽電池モジュールの各ユニットセルの性能をより効果的に引き出すことができる。なお、上記比率M1/M2が5より大きいもしくは1より小さいと第1光電変換素子および第2光電変換素子の性能が低下する。
(3)1つ以上の第1光電変換素子及び1つ以上の第2光電変換素子において、それぞれの素子の電解質層にイミダゾール塩を含む。
このように構成することによって、イミダゾール塩を含まない場合に比してより良好な太陽電池特性を得ることができる。
(4)上記イミダゾール塩が、
一般式(I)
Figure 2006024574
(式中、R1、R2は水素原子またはメチル基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びヘキシル基のうちの何れか1つである)で表される化合物の塩である。なお、R1、R2は水素原子が好ましく、R3はメチル基が好ましい。
(5)第1光電変換素子aと第2光電変換素子bのそれぞれの電解質層3、13に含まれるイミダゾール塩は異なる。
このように構成しても、良好な太陽電池特性を得ることができる。
ここで、色素増感型太陽電池モジュールの電解質濃度に対する性能変化に関して、確認を行った。
まず、電解液組成による性能変化を確認するために、以下のように太陽電池ユニットセル(以下、単にユニットセルと称する場合もある)を作製した。
幅10mm×長さ50mm×厚み1.1mm程度のガラス基板の片面に、透光性導電層として900nmのSnO2を製膜した基板を用意し、透光性導電層上に酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、焼成後形状が幅5mm×長さ40mm×厚み12μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させる。その後、500℃の空気中で焼成することにより、基板上に透光性導電膜を介して多孔性光電変換層を作製した。次に、式(II)の構造のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620 1H3TBA)を、濃度4×10-4モル/リットルとなるようにアセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に溶解させ、さらに、デオキシコール酸(DCA、アルドリッチ製)を濃度1×10-2モル/リットルとなるように溶解させて吸着用色素溶液を作製し、この吸着用色素溶液に基板上の多孔性光電変換層を浸漬させることにより、多孔性光電変換層に色素を吸着させた。なお、色素を吸着させた多孔性光電変換層を有する基板は4枚作製された。
Figure 2006024574
一方、SnO2が成膜された別のガラス基板のSnO2側に触媒層として白金を約5nmスパッタ法により成膜した基板を4枚用意した。その後、多孔性光電変換層を有する基板と触媒層を有する基板を対向させて、色素が吸着された多孔性光電変換層と触媒層が相対するように重ね合わせ、多孔性光電変換層と触媒層の間に後述する電解液を注入し、太陽電池ユニットセルを作製した。なお、触媒層と色素が吸着された多孔性光電変換層が接触しないように、触媒層と多孔性光電変換層の間に、セパレータ(デュポン製、商品名ハイミラン、30μm)を設置している。
電解液としては、溶媒にアセトニトリルを用い、その中にイミダゾール塩としてDMPIIを0.6モル/リットル、ヨウ化リチウム(以下、「LiI」と略称する)を0.1モル/リットル、ターシャルブチルピリジン(以下、「TBP」と略称する)を0.5モル/リットルの濃度で溶解させ、ヨウ素(以下、「I2」と略称する)に関しては、0.01モル/リットル、0.02モル/リットル、0.03モル/リットル、0.05モル/リットルの濃度とし、合計4種類の電解液を作製した。
上記4種類の電解液を用いて作製した4種類の太陽電池ユニットセルについて、太陽電池測定を行った。なお、それぞれのユニットセルの多孔性光電変換層側と触媒層側に光を照射して測定を行った。照射面を多孔性光電変換層側とした場合の結果を表1、照射面を触媒層側とした場合の結果を表2に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表1と表2の結果の通り、受光面を多孔性光電変換層側とした場合、電解液のヨウ素濃度が変化しても大きな差は示さないが、受光面を触媒層とした場合、各性能値が大きく変化することがわかった。また、受光面を多孔性光電変換層側とした場合のヨウ素濃度:0.05モル/リットルのときの短絡電流密度値と、受光面を触媒層側とした場合のヨウ素濃度:0.02モル/リットルのときの短絡電流密度値が、ほぼ同等な値を示すことがわかった。受光面を触媒層とした場合、電解液部分を透過した光が色素を吸着させた多孔性光電変換層に達し、その光でキャリアが励起されているため、ヨウ素濃度の変化により、性能が大きく変化したものと考えられる。
次に、上記4種類の電解液に対する光の透過率と吸光度の測定を行い、その結果を図3に示した。測定に際しては、ガラス基板(幅25mm×長さ40mm×厚み1.0mm程度)の間に30μmのセパレータを設置したものを4セット用意し、4セットの基板間に4種類の電解液を入れて4種類の測定用セルを作製し、測定を行った。測定の結果、波長:300〜550nm程度の光は、ヨウ素濃度によって透過率及び吸光度が大きく変化しており、実際の色素増感型太陽電池において触媒層側が受光面である場合には特に変化が大きいことがわかる。これらの変化に応じて、触媒層側を受光面とする場合大きく短絡電流密度に影響を及ぼしたものである(表1、表2参照)。
上述の太陽電池ユニットセルを用いて、従来構成の色素増感型太陽電池モジュールを作製した場合、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルと触媒層側のユニットセルの各電解質層は電解液濃度は同一である。このとき、表1、2の実験結果より、ヨウ素濃度を0.05モル/リットルとした場合、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルの短絡電流値は約49.0mA、受光面が触媒層側のユニットセルの短絡電流値は約29.4mAとなることが予測される。したがって、直列の色素増感型太陽電池モジュールを作製した場合、モジュールの電流としては、受光面を触媒層側としたユニットセルの電流値29.4mAに律速され、受光面を多孔性光電変換層側とした場合のユニットセルの短絡電流を有効に利用できないものとなる。
一方、本発明では、受光面が多孔性光電変換層側と触媒層側でそれぞれヨウ素濃度を0.05モル/リットルと0.02モル/リットルとした場合、それぞれのユニットセルでの短絡電流値の差は約1mA以下となり、ほぼ同等な出力が得られる。したがって、基板間に導電層、色素を吸着させた多孔性光電変換層、電解質層、触媒層及び導電層を順次積層してなる太陽電池ユニットセルの複数個が、多孔性光電変換層と触媒層を反対向きに交互に配列し、かつ電気的に直列接続して形成された色素増感型太陽電池モジュールでは、より高い出力が得られることとなる。
また、上述の電解液では、イミダゾール塩としてDMPIIを用いて検討を行ったが、それ以外EII、EMII、MPII、BMII、DMHIIを上述の太陽電池モジュールに用いた場合も、表3に示すようなヨウ素濃度で短絡電流密度を調べたところ、受光面が多孔性光電変換層側と触媒層側(隣接するユニットセル同士)でほぼ同等であることがわかった。
Figure 2006024574
さらに、同一の太陽電池モジュールにおける隣接するユニットセルに異なるイミダゾール塩、ヨウ素濃度を用いても、隣接するユニットセル同士は同等の短絡電流が得られることが確認できた。例えば、受光面が多孔性光電変換層側:触媒層側の組み合わせを、表3中の(a):(d)の組み合わせや、(イミダゾール塩をDMPII、ヨウ素濃度0.05M):表3中の(f)などの組み合わせである。
以下、本発明の実施の形態1を製造例、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの製造例、実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に断りのない場合は、製造例の条件を用いて色素増感型太陽電池が製造される。
(実施例1及びその製造例)
図1に示した5個の太陽電池ユニットセルを直列に接続した集積化された色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。その製造工程を以下に示す。
導電層1、5が形成された支持体として53mm×65mm(基板X)、39mm×65mm(基板Y)の日本板ガラス社製のSnO2付きガラス基板を2枚用いた。図2中、Aを18mm、Bを18mm、Cを5mm、Dを7mm、Eを5mm、Fを5mmとなるように、触媒層14、4として白金をスパッタにより約5nmの膜厚で成膜した。
次に、導電層1、5上に酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、焼成後形状が幅5mm×長さ50mm×膜厚15μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させ、500℃の空気中で焼成することにより多孔性光電変換層2、12を作製した。
次に、図2中、Iが17.5mm、Jが23.5mm、Kが16.5mm、Lが10.5mmとなるように、導電層1、5であるSnO2にレーザー光(YAGレーザー・基本波長1.06μm)を照射しSnO2を蒸発させることにより、スクライブ溝21を形成した。
その後、上記式(II)のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620 1H3TBA)を、アセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に、濃度4×10-4モル/リットルで溶解させて吸着用色素溶液を作製し、この溶液に上記工程を経た基板X、Yを浸漬させることにより多孔性光電変換層2、12に色素を吸着させた。
次に、上述の工程で作製された基板X、基板Yを、絶縁層5としてデュポン社製ハイミラン1855を1mm×60mmで切り出したものを用いて、それぞれの基板のスクライブ部分21に設置し、図1の形状となるように張り合わせ、約100℃のオーブン中で10分間加熱することにより圧着した。
続いて、電解液として、溶媒をセトニトリルとし、その中にDMPII(四国化成工業社製)を0.6モル/リットル、LiI(アルドリッチ社製)を0.1モル/リットル、TBP(アルドリッチ社製)を0.5モル/リットル、I2(キシダ化学社製)を0.02モル/リットル溶解させたものを電解液A(ヨウ素濃度:M2)、電解液AのI2以外は同じでI2を0.05モル/リットル溶解させたものを電解液B(ヨウ素濃度:M1)として作製した。
図1に示した色素増感型太陽電池モジュールのユニットセルaに電解液B、ユニットセルbに電解液Aをキャピラリー効果により注入し、その後セル周辺部分をエポキシ樹脂にて封止することにより色素増感型太陽電池モジュールを得た。このとき、ヨウ素濃度の比率M1/M2は2.5であり、比率5〜1の範囲内である。
このように作製した実施例1の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流密度13.9mA/cm2、開放電圧値3.15V、FF0.58、モジュール変換効率5.1%であった。なお、短絡電流密度は、モジュールを構成する単一セルの面積を用いて算出している。
(実施例2〜9)
実施例1の色素増感型太陽電池モジュールにおいて、イミダゾール塩及びヨウ素濃度を変えた色素増感型太陽電池モジュールを実施例2〜9として作製し、実施例1と同様に動作特性を調べた。その結果を表4に示す。なお、電解液の濃度は、ヨウ素濃度以外は同一濃度とした。
(比較例1)
実施例1の色素増感型太陽電池モジュールにおいて、ユニットセルa、bともに電解液Bを用いた色素増感型太陽電池モジュールを比較例1として作製し、実施例1と同様に動作特性を調べた。その結果を表4に示す。
Figure 2006024574
表4から、実施例2〜9は比較例1に比して短絡電流密度が大きく、本発明の集積化された色素増感型太陽電池モジュールは、60mm×60mm程度の小さいモジュールであっても、本発明の特徴を有することで、大きな電流値が得られることがわかった。また、実施例8のように、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセル(第1光電変換素子)におけるイミダゾール塩と、受光面が触媒層側のユニットセル(第2光電変換素子)におけるイミダゾール塩が異なる場合でも、比較的大きな短絡電流密度が得られることがわかった。
[実施の形態2]
実施の形態2の色素増感型太陽電池は、上記実施の形態1と同様に、図1で示した第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの電解質層3、13の組成が異なることを特徴としている。
具体的には、以下の(6)〜(9)のようにして第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの電解質層3、13の組成を異ならせる。
(6)1つ以上の第1光電変換素子及び1つ以上の第2光電変換素子において、少なくとも1つの素子の電解質層にイミダゾール塩を含む。
(7)上記イミダゾール塩が、
一般式(I)
Figure 2006024574
(式中、R1、R2は水素原子またはメチル基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びヘキシル基のうちの何れか1つである)で表される化合物である(実施の形態1の(4)と同じ)。
(8)第1光電変換素子aと第2光電変換素子bのそれぞれの電解質層3、13に含まれるイミダゾール塩は異なる(実施の形態1の(5)と同じ)。
(9)1つ以上の第1光電変換素子aと1つ以上の第2光電変換素子bのうちの少なくとも1つの素子が、その電解質層にリチウムアイオダイドを含む。
このように構成することによって、より良好な太陽電池特性を得ることができる。
実施の形態2では、実施の形態1における太陽電池ユニットセルの電解液が異なる以外は同様の構成で、実施の形態1に準ずる方法によりユニットセルを作製した。
電解液としては、溶媒をアセトニトリルとし、その中に、電解液Aとして、DMPIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.05モル/リットルの濃度で溶解させたもの、電解液Bとして、DMPIIを0.8モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.05モル/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。
上述の電解液A、Bを用いて作製した2種類の色素増感型太陽電池の特性を測定した。なお、各太陽電池の多孔性光電変換層側と触媒層側にそれぞれ光を照射して測定を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2006024574
表5の結果より、LiIの添加の有無とDMPIIの濃度を変えることにより、電解液Aを用いた各照射面及び電解液Bを用いた各照射面において、同等な光電変換効率が得られることが確認できた。しかし、その他の各性能値(短絡電流密度、開放電圧値、FF)では大きな差を示していた。
次に、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルと受光面が触媒層側のユニットセルが2直列の色素増感型太陽電池モジュールを作製し、各ユニットセルの電解質層に電解液Aと電解液Bを用いた場合を説明する。
受光面が多孔性光電変換層側となるユニットセルに電解液B、受光面が触媒層側となるユニットセルに電解液Aを用いた場合、性能評価を行った結果、短絡電流密度が9.10(mA/cm2)、開放電圧値が1.348(V)、FFが0.680、変換効率が4.17(%)となった。
また、それぞれのユニットセルに電解液Aを用いた場合、短絡電流密度が9.00(mA/cm2)、開放電圧値が1.260(V)、FFが0.654、変換効率が3.71(%)であった。
さらに、それぞれのユニットセルに電解液Bを用いた場合、短絡電流密度が7.67(mA/cm2)、開放電圧値が1.410(V)、FFが0.682、変換効率が3.69(%)であった。
基本的に、太陽電池ユニットセルを直列接続した場合、電流値の小さいユニットセルにモジュールの電流値は律速され、電圧値は和となるものである。各ユニットセルに電解液Aを用いた場合、受光面を多孔性光電変換層側とした場合の短絡電流密度は大きいが、受光面を触媒層側とした場合の短絡電流密度が小さいため、それぞれを直列した場合のモジュールの出力としては悪くなる。
そこで、電解液Bのように、受光面を多孔性光電変換層側とした場合、短絡電流密度が比較的小さくても開放電圧値が大きくなる電解質組成と、電解液Aのような受光面を触媒層側とした場合でも比較的大きな短絡電流密度となる電解質組成をそれぞれにユニットセルで用いることにより、色素増感型太陽電池モジュールの出力が大きくなることが確認できた。
一般的に色素増感型太陽電池の開放電圧値は、電解液の酸化還元順位(上記の場合は、I3 -とI-)と多孔性光電変換層(上述の場合、酸化チタン)のフェルミ順位で決定されると言われている。上述の電解液Aと電解液Bでは、DMPIIの濃度とLiIの有無が異なっているが、一般に、LiIからのリチウムイオンは、酸化チタンの表面順位を下げるため、色素増感型太陽電池の場合、開放電圧値が下がる傾向がある。これらの現象は、使用する色素や多孔性光電変換層により異なるため、各構成材料によりそれぞれのユニットセルの電解液組成を調整することにより、従来技術より大きな出力が得られる色素増感型太陽電池モジュールの作製を行うことができる。
さらに、I3 -とI-のような電解液中の酸化還元種の割合は、DMPIIのようなイミ
ダゾール化合物の種類などにも変化する。
そこで、DMPII以外のイミダゾール化合物として、EII、EMII、MPII、HMII、イミダゾール(以下、「Imid.」と略称する場合がある)を用いて色素増感型太陽電池の作製を行い、性能評価を行った。なお、電解質濃度としては、イミダゾール化合物は0.6モル/リットル、LiIは0.1モル/リットル、I2は0.05モル/リットル、TBPは0.5モル/リットルとし、溶媒はアセトニトリルとした。
また、照射面をそれぞれの色素増感型太陽電池の導電層側と触媒層側とし測定を行った。照射面を導電層側とした場合の結果を表6、照射面を触媒層側とした場合の結果を表7に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表6及び表7より、それぞれのイミダゾール化合物により、大きく各性能値が変化することが確認できた。従って、モジュールを構成するユニットセルの電解質中のイミダゾール化合物をそれぞれ変えることにより、様々な目的に合致した色素増感型太陽電池モジュールの作製が可能となる。
例えば、電流値を大きくしたい場合、表6及び表7に示したイミダゾール化合物の中では、EMIIが大きいため、電解液AにEMIIを用いることが望ましい。また、電圧値を大きくしたい場合、Imid.が大きい値を示すため、少なくとも一方の電解液にImid.を用いることが望ましい。上述の中で、光電変換効率の観点では、電解液AにはEMII、電解液BにはHMIIを用いた場合が好ましく、実際に2直列の色素増感型太陽電池を作製した場合、短絡電流密度が9.69(mA/cm2)、開放電圧値が1.318(V)、FFが0.680、変換効率が4.34(%)であった。
以下、本発明の実施の形態2を製造例、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの製造例、実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に断りのない場合は、製造例の条件を用いて色素増感型太陽電池が製造される。
(実施例10及びその製造例)
5個のユニットセルを直列に接続した集積化された色素増感型太陽電池モジュールを、電解質層の電解液を変える以外は実施例1と同様にして作製した。以下、実施例10の製造例における実施例1とは異なる部分のみを説明する。
電解液としては、溶媒をアセトニトリルとし、その中にDMPIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.02モル/リットル溶解させたものを電解液A、DMPIIを0.8モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.05モル/リットルの濃度で溶解させたものを電解液Bとして作製した。
図1に示した構造の色素増感型太陽電池モジュールのユニットセルaに電解液B、ユニットセルbに電解液Aをキャピラリー効果により注入し、周辺部分をエポキシ樹脂で封止することにより色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。
作製した色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるようにして基板Yを25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度9.20mA/cm2、開放電圧値3.40V、FF0.681、モジュール変換効率4.26%であった。
(実施例11〜14)
実施例10の色素増感型太陽電池モジュールにおいて、イミダゾール塩を変えた色素増感型太陽電池モジュールを実施例11〜14として作製し、実施例10と同様に動作特性を調べた。その結果を表8に示す。なお、使用した電解液のイミダゾール化合物を表9に示した。また、その他の組成および濃度は実施例10と同様とした。
(比較例2)
実施例10の色素増感型太陽電池モジュールにおいて、ユニットセルa、bともに電解液Aを用いた色素増感型太陽電池モジュールを比較例2として作製し、実施例10と同様に動作特性を調べた。その結果を表8に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表8から、実施例11〜14は比較例2に比して短絡電流密度、光電変換効率等が大きく、本発明の集積化された色素増感型太陽電池モジュールは、53mm×65mm程度の小さいモジュールであっても、本発明の特徴を有することで、高性能な太陽電池特性が得られることがわかった。
[実施の形態3]
実施の形態3の色素増感型太陽電池は、図1で示した第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12の膜厚が異なることを特徴としている。
具体的には、以下の(10)、(11)のようにして第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12の膜厚を異ならせる。
(10)第1光電変換素子の多孔性光電変換層の膜厚が、第2光電変換素子の多孔性光電変換層の膜厚より薄い。
このように構成することにより、太陽電池モジュールの第1光電変換層及び第2光電変換層の各ユニットセルの電流値を有効に引き出すことができる。
(11)第1光電変換素子の短絡電流密度をJd、第2光電変換素子の短絡電流密度をJcとしたとき、(Jc/Jd)>0.7の関係式を満たす。
このように構成することによって、大きなモジュール変換効率を得ることができる。なお、(Jc/Jd)≦0.7であるとモジュール変換効率が減少するので好ましくない。
受光面側に触媒層がある場合、上述したように電解液中のヨウ素や電解質の吸収により光電変換層に到達する光量が減少する。また、複数個の色素増感型太陽電池を直列に接続すると、得られる短絡電流は一番低い増感型太陽電池の短絡電流に律速される。よって、本発明のような直列接続の方法を用いると、同じ構成からなる色素増感型太陽電池を用いた場合、受光面側に多孔性光電変換層がある太陽電池の短絡電流が受光面側に触媒層がある太陽電池の短絡電流より高いため、受光面側に多孔性光電変換層がある太陽電池の短絡電流密度を全て取り出すことができず、単一色素増感型太陽電池の光電変換効率より、モジュール変換効率が大きく低下する。
一方、色素増感太陽電池において、光電変換層の膜厚が変化すると、電圧や電流密度が変化し、膜厚が厚くなると電圧が減少し、電流密度が増加する傾向がある。例えば、光電変換層の膜厚を同一にした場合、短絡電流密度が高くなる単一色素増感型太陽電池の膜厚を薄くすることにより、短絡電流を有効に引き出せるとともに、開放電圧が上昇し、モジュール変換効率の上昇が期待できる。
実施の形態3では、実施の形態1における太陽電池ユニットセルの電解液及び多孔性光電変換層の膜厚が異なる以外は同様の構成で、実施の形態1に準ずる方法によりユニットセルを作製した。
電解液は、溶媒としてアセトニトリルとし、その中にHMIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I20.01モル/リットルを混入して作製したものを用いた。また、多孔性光電変換層は、膜厚を8、12、16、20μmの4種類として、4種類の色素増感型太陽電池を作製した。この4種類の太陽電池の多孔性光電変換層側と触媒層側にそれぞれ光を照射して測定を行った。照射面を多孔性光電変換層側とした場合の結果を表10、照射面を触媒層側とした場合の結果を表11に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表10及び11からわかるように、受光面を多孔性光電変換層側とした場合、多孔性光電変換層の膜厚が厚くなることにより電流密度が上昇し、開放電圧が減少した。受光面を触媒層とした場合、各性能値が大きく変化しており、受光面を多孔性光電変換層とした場合と比較すると、短絡電流密度は減少しているが、多孔性光電変換層の膜厚と電流密度、電圧の関係は受光面を多孔性光電変換層側とした場合と同様であった。これは、受光面を触媒層とした場合、電解液部分に含まれるヨウ素により光が吸収され、性能が大きく変化したものと考えられる。そこで、電解液の透過率と吸光度の測定を行った結果を図4に示す。測定は、実際の色素増感型太陽電池と同等なサイズ、形状のガラス基板に30μmのセパレータを設置し、その間に上記組成の電解液を入れ、ガラス基板に光を照射して行った。その結果、300〜550nm程度の波長の光において、波長が小さくなると透過率が概ね減少傾向にあることがわかる。この透過率の減少が触媒層側を受光面とする場合大きく短絡電流密度に影響を及ぼしたと考えられる。
上述のユニットセルを用いて、図1に示す構造の色素増感型太陽電池モジュールを作製する場合、表10、11の実験結果より、多孔性光電変換層の膜厚が12μmのとき、受光面を多孔性光電変換層側とすると短絡電流値は約29.0mA、受光面を触媒層側とすると約23.2mAとなる。そのため、直列の色素増感型太陽電池モジュールを作製した場合、モジュールの電流としては、受光面を触媒層側としたユニットセルの短絡電流値に律速され、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの短絡電流を有効に利用できず、モジュールとしての変換効率が単一色素増感型太陽電池の光電変換効率と比較して大幅に低下する。
そこで、表10、11の結果に基づいて、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を12μm、受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を20μmとして、2直列の色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。その結果、それぞれのユニットセルのみの性能は、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルでは短絡電流密度14.5(mA/cm2)、開放電圧値0.69(V)であり、受光面と触媒層側としたユニットセルでは短絡電流密度14.1(mA/cm2)、開放電圧値0.65(V)であり、2直列の色素増感型太陽電池モジュールとしては短絡電流密度14.4(mA/cm2)、開放電圧値1.33(V)であった。
このように、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚と、受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を異ならせることにより、それぞれのユニットセルの電流値を有効に利用できる結果となった。さらに、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルにおいて、受光面を触媒層側にしたユニットセルの光電変換層の膜厚と同等な膜厚(20μm)とした場合、表10より開放電圧は0.65(V)程度であるものが、膜厚を変える(12μmとする)ことにより開放電圧は0.69(V)まで増加している。よって、実施の形態3の色素増感型太陽電池モジュールの構造を用いることにより、モジュールの電流値が減少することによる光電変換効率の減少割合よりも、大きな割合で開放電圧が上昇することにより、光電変換効率を向上することができた。
さらに、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚と、受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を変化させ、それぞれのユニットセルの短絡電流密度とモジュールの光電変換効率を測定した。その結果による(Jc/Jd)とηmの関係を図5に示す。ここで、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの短絡電流密度をJd、受光面を触媒層側としたユニットセルの短絡電流密度をJc、モジュールの変換効率をηmとする。
図5からわかるように、受光面を多孔性光電変換層側とするユニットセルと受光面を触媒層側とするユニットセルの膜厚を調節して、電流値の差を小さくすればエネルギーが効率よく取り出されており、(Jc/Jd)>0.7のときにモジュール変換効率が高く、(Jc/Jd)>0.85のときにさらにモジュール変換効率が高い。
この実験において、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を8μmとし、これに対し受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を変化させてモジュール変換効率を調べた結果、受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚を8μmより厚くすると、モジュール変換効率が上昇したことがわかった。これらのことから、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚tdと、受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の膜厚をtcとすると、その膜厚の比td/tcが、1より小さく0.25より大きい範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.95〜0.3であり、さらに好ましくは0.9〜0.4であり、最も好ましくは0.85〜0.6である。
以下、本発明の実施の形態3を製造例、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの製造例、実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に断りのない場合は、製造例の条件を用いて色素増感型太陽電池が製造される。
(実施例15及びその製造例)
5個のユニットセルを直列に接続した集積化された色素増感型太陽電池モジュール(図1参照)を、電解質層の電解液及び多孔性光電変換層の膜厚を変える以外は実施例1と同様にして作製した。以下、実施例15の製造例における実施例1とは異なる部分のみを説明する。
多孔性光電変換層としての酸化チタン膜は、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルでは12μm、受光面を触媒層側としたユニットセルでは20μmとした。
電解液としては、溶媒をセトニトリルとし、その中にHMIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.01モル/リットル溶解させたものを用いた。
このように作製した実施例15の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度14.4mA/cm2、開放電圧
値3.37V、FF0.66、モジュール変換効率6.41%であった。
(実施例16)
実施例15の製造例に準じて実施例16の色素増感太陽電池モジュールを以下のようにして作製した。受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルの場合、多孔性光電変換層の形成では、先ず、透光性導電層側から酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名T/SP)を印刷し、焼成後、酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)の印刷、焼成を行い、膜厚10μmの多孔性光電変換層を形成した。受光面が触媒層側のユニットセルの場合、多孔性光電変換層の形成では、導電層側からD/SPを印刷し、焼成後、T/SPの印刷、焼成を行い、膜厚21μmの多孔性光電変換層を形成した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールに対して、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流密度15.2mA/cm2、開放電圧値3.37V、FF0
.66、モジュール変換効率6.76%であった。
(比較例3)
実施例15の製造例に準じて比較例3の色素増感太陽電池モジュールを、全ての多孔性光電変換層の膜厚が12μmとなるようにして作製した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールに対して、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流密度12.6mA/cm2、開放電圧値3.435V、FF0.674、モジュール変換効率5.82%であった。
(比較例5)
実施例15の製造例に準じて比較例5の色素増感太陽電池モジュールを、全ての多孔性光電変換層の膜厚が20μmとなるようにして作製した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールに対して、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流密度15.0mA/cm2、開放電圧値3.25V、FF0.644、モジュール変換効率6.27%であった。
以上のことから、実施例15、16の集積化された色素増感型太陽電池モジュールは、53mm×65mm程度の小さいモジュールであっても、本発明の特徴を有することで、高い変換効率が得られることがわかった。
また、以下の形態によっても、高い変換効率を得ることができる。具体的には、図1で示した第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12の幅を変えることによる受光面積が異なることを特徴としている。
[実施の形態4]
具体的には、以下の(12)、(13)、(14)のようにして第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12の受光面積を異ならせる。
(12)第1光電変換素子の多孔性光電変換層の受光面積より、第2光電変換素子の多孔性光電変換層の受光面積が大きい。
このように構成することにより、太陽電池モジュールの第1光電変換層及び第2光電変換層の各ユニットセルの電流値を有効に引き出すことができる。
(13)第1光電変換素子と第2光電変換素子のそれぞれの多孔性光電変換層の太陽電池直列接続方向の幅を異ならせる。
このように構成することによって、各ユニットセルの電流値を有効に引き出せ、導電層を移動する電子の移動距離が減少することによりフィルファクターが向上し、変換効率が向上する。さらに、面積あたりのユニットセル数を増加させることができるため、モジュールの開放電圧値が上昇する。
(14)複数の第1光電変換素子における多孔性光電変換層の受光面積をそれぞれ同じにし、複数の第2光電変換素子相互における多孔性光電変換層の受光面積をそれぞれ同じにする。
このように構成することにより、太陽電池モジュールの出力電力を最も有効に引き出すことができる。
受光面側に触媒層がある場合、上述したように電解液中のヨウ素や電解質の吸収により光電変換層に到達する光量が減少する。これにより、本発明のような直列接続の方法を用いると、同じ構成からなる色素増感型太陽電池を用いた場合、受光面側に触媒層がある太陽電池の短絡電流密度が、受光面側に多孔性光電変換層がある太陽電池の短絡電流密度より低くなり、単一色素増感型太陽電池の光電変換効率より、モジュール変換効率が大きく低下する。
一方、色素増感太陽電池において、光電変換層の受光面積が変化すると短絡電流が変化する。例えば、光電変換層の受光面積を同一にした場合に短絡電流値が高くなる色素増感型太陽電池の受光面積を小さくすることで、モジュールの短絡電流を有効に引き出すことができる。さらに、光電変換層の受光面積を同一にした場合に短絡電流値が高くなる単一色素増感型太陽電池の直列接続方向の幅を小さくすることで、モジュールの短絡電流を有効に引き出すことができるだけでなく、面積あたりのユニットセル数を増加させることができるため、開放電圧値が上昇し、モジュール変換効率の大幅な上昇が期待できる。
実施の形態4では、実施の形態1における太陽電池ユニットセルの電解液及び多孔性光電変換層の膜厚と幅が異なる以外は同様の構成で、実施の形態1に準ずる方法によりユニットセルを作製した。
電解液は、溶媒としてアセトニトリルとし、その中にDMPIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I20.01モル/リットルを混入して作製したものを用いた。また、多孔性光電変換層は、膜厚を30μm、幅を(イ)3mm、(ロ)4mm、(ハ)5mm、(ニ)6mmの4種類とし、4種類の色素増感型太陽電池を作製した。この太陽電池の(F)多孔性光電変換層側と(R)触媒層側にそれぞれ光を照射して測定を行った。照射面を多孔性光電変換層側とした場合の結果を表12、照射面を触媒層側とした場合の結果を表13に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表12及び13からわかるように、受光面を多孔性光電変換層側とした場合、多孔性光電変換層の幅が増加することにより短絡電流が上昇し、フィルファクターが低下した。受光面を触媒層とした場合、受光面を多孔性光電変換層側にした場合に比べ、すべての幅において短絡電流は減少しているが、多孔性光電変換層の幅と電流密度、電圧の関係は受光面を多孔性光電変換層側とした場合と同様であった。これは、受光面を触媒層側とした場合、電解液部分に含まれるヨウ素により光が吸収され、性能が大きく変化したものと考えられる。
上述のユニットセルを用いて、図1に示す構造の色素増感型太陽電池モジュールを作製する場合、表12、13の実験結果より、多孔性光電変換層の幅が5mmのとき、受光面を多孔性光電変換層側とすると短絡電流値は約40.0mA、受光面を触媒層側とすると約32.0mAとなる。そのため、直列の色素増感型太陽電池モジュールを作製した場合、モジュールの電流としては、受光面が多孔性光電変換層側である単一色素増感型太陽電池の光電変換効率と比較して大幅に低下する。
光電変換層の幅が5mmのユニットセルの受光面を触媒層側とし(ハR)、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の幅を(イF)3mm、(ロF)4mm、(ハF)5mm、(ニF)6mmと変えて、2直列の色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。結果を表13に示す。
Figure 2006024574
表14から分かるように、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルの光電変換層の幅(受光面積)が、受光面が触媒層側のユニットセルの光電変換層の幅(受光面積よ)りも小さい場合に、特に幅が4mmの場合に、幅が5mmの場合と比べ短絡電流が低下するものの、フィルファクターが向上することにより変換効率が最も大きくなる。このように、受光面を多孔性光電変換層側としたユニットセルの光電変換層の受光面積と、受光面を触媒層側としたユニットセルの光電変換層の受光面積を異ならせることにより、導電層上の電子の移動距離が減少することによりフィルファクターが向上し、それぞれのユニットセルの出力電力を効率よく引き出せる結果となった。また、一定面積あたりのユニットセル数の増加により大きな開放電圧を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態4を製造例、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの製造例、実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に断りのない場合は、製造例の条件を用いて色素増感型太陽電池が製造される。
(実施例17及びその製造例)
5個の太陽電池ユニットセルを直列に接続した図1と同様の構成の集積化された色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。電解質層の電解液、基板X上の多孔性光電変換層の直列接続方向の幅を4.8mmに、および同一支持体上における光電変換層と触媒層との間隔を1.0mmに変える以外は実施例1と同様にして作製した。以下、実施例17の製造例における実施例1とは異なる部分のみを説明する。
導電層1、5が形成された支持体として60mm×44.4mmの日本板ガラス社製のSnO2付きガラス基板を2枚(基板X、基板Y)用いた。図2中、Aを13.8mm、Bを13.8mm、Cを5.0mm、Dを6.8mm、Eを8.0mm、Fを8.0mmとなるように、触媒層14、4として白金をスパッタにより約5nmの膜厚で成膜した。 次に、導電層1、5上に酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、焼成後形状が、基板X上では幅4.8mm×長さ50mm×膜厚15μmとなる形状で、基板Y上では幅5mm×長さ50mm×膜厚15μmとなる形状になるようにスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させ、500℃の空気中で焼成することにより多孔性光電変換層2、12を作製した。
次に、図2中、Iが13.3mm、Jが19.3mm、Kが19.3mm、Lが13.3mmとなるように、導電層1、5であるSnO2にレーザー光(YAGレーザー・基本波長1.06μm)を照射しSnO2を蒸発させることにより、スクライブ溝21を形成した。
その後、上記式(II)のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620 1H3TBA)を、アセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に、濃度4×10-4モル/リットルで溶解させて吸着用色素溶液を作製し、この溶液に上記工程を経た基板X、Yを浸漬させることにより多孔性光電変換層2、12に色素を吸着させた。
次に、上述の工程で作製された基板X、基板Yを、絶縁層5としてデュポン社製ハイミラン1855を1mm×60mmで切り出したものを用いて、それぞれの基板のスクライブ部分21に設置し、図1の形状となるように張り合わせ、約100℃のオーブン中で10分間加熱することにより圧着した。
続いて、電解液として、溶媒をセトニトリルとし、その中にDMPII(四国化成工業社製)を0.6モル/リットル、LiI(アルドリッチ社製)を0.1モル/リットル、TBP(アルドリッチ社製)を0.5モル/リットル、I2(キシダ化学社製)を0.02モル/リットル溶解させたものを電解液として作製した。
図1に示した色素増感型太陽電池モジュールのユニットセルに電解液をキャピラリー効果により注入し、その後セル周辺部分をエポキシ樹脂にて封止することにより色素増感型太陽電池モジュールを得た。
このように作製した実施例17の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度14.1mA/cm2、開放電圧値3.48V、FF0.67、モジュール変換効率6.6%であった。
(比較例6)
実施例17の製造法に準じて、比較例6の色素増感太陽電池モジュールを、基板X、基板Y上共に多孔性光電変換層の直列接続方向の幅を5.0mmになるようにして作製した。 このように作製した比較例6の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度14.0mA/cm2、開放電圧値3.48V、FF0.63、モジュール変換効率6.2%であった。
(実施例18)
実施例17の製造法に準じて、実施例18の色素増感太陽電池モジュールを、基板X上の多孔性光電変換層の直列接続方向の幅を4.4mmになるようにして作製した。
このように作製した実施例15の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度14.0mA/cm2、開放電圧値3.48V、FF0.68、モジュール変換効率6.6%であった。
(実施例19)
実施例17の製造法に準じて、実施例19の色素増感太陽電池モジュールを、増感色素として、Ruthenium535‐bisTBAを用い、基板X上の多孔性光電変換層の直列接続方向の幅を4.7mmに変える以外は実施例17と同様にして作製した。
このように作製した実施例19の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度11.9mA/cm2、開放電圧値3.38V、FF0.67、モジュール変換効率5.4%であった。
(比較例7)
実施例17の製造法に準じて、比較例7の色素増感太陽電池モジュールを、基板X、基板Y上共に多孔性光電変換層の直列接続方向の幅を5.0mmになるようにして作製した。
このように作製した比較例7の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度12.0mA/cm2、開放電圧値3.38V、FF0.62、モジュール変換効率5.0%であった。
(実施例20)
実施例17の製造法に準じて、実施例20の色素増感太陽電池モジュールを、基板X上の多孔性光電変換層の直列接続方向の幅を4.4mmになるようにして作製した。
このように作製した実施例20の色素増感型太陽電池モジュールを、基板Xが受光面となるように基板Y側を25℃に制御された黒色のステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた。その結果、短絡電流密度11.8mA/cm2、開放電圧値3.38V、FF0.68、モジュール変換効率5.4%であった。
[実施の形態5]
実施の形態5の色素増感型太陽電池は、図1で示した第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12に吸着させる色素が異なることを特徴としている。
実施の形態5では、実施の形態1における太陽電池ユニットセルの多孔性光電変換層に吸着させる色素を、受光面が多孔性光電変換層側と触媒層側で異ならせる以外は同様の構成で、実施の形態1に準ずる以下の方法によりユニットセルを作製した。
使用する色素としては、上述と同様に、インターロック基を含有する色素として、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つものを用いることができる。有機色素では、例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。
前記有機色素の中で、メロシアニン系色素がより好ましく、特に下記一般式(III)で表されるNK2684色素(林原生化学研究所製)、下記一般式(IV)で表されるNKX2311色素(林原生化学研究所製)、下記一般式(V)で表されるNKX2569色素(林原生化学研究所製)、下記一般式(VI)で表されるNKX2677色素(林原生化学研究所製)であることが好ましい。
Figure 2006024574
金属錯体色素の場合においては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの金属が用いられ、フタロシアニン系色素、ルテニウムビピリジン系色素などが好ましく用いられる。
前記増感色素の中で、ルテニウムビピリジン系色素がより好ましく、特に下記一般式(VII)で表されるN3色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium535)、下記一般式(VIII)で表されるN719色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium535−bisTBA)、前記一般式(II)で表されるBlack Dye色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium620−1H3TBA)であることが好ましい。
Figure 2006024574
次に、実施の形態5の色素増感型太陽電池モジュールを構成するユニットセルを用いて、増感色素および受光面を触媒層側とした場合の性能変化に関して、確認を行った。
まず、増感色素による性能変化を確認するために、以下のようにユニットセルを作製した。
支持体である厚み1.1mm程度のガラス基板の片面に、導電層として900nmのSnO2を製膜した基板を用意し、導電層上に酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、焼成後形状が幅8mm×長さ40mm×厚12μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させる。その後、500℃の空気中で0.5時間焼成することにより、膜厚30μmの多孔性光電変換層を作製した。
光増感色素を多孔性光電変換層に吸着させる工程において、光増感色素を含有した液体に多孔性光電変換層を浸漬して、該多孔性光電変換層表面に該光増感色素を吸着させる。
多孔性光電変換層を浸漬させる色素溶液を以下のように調整した。
NK2684色素(一般式(III)、林原生化学研究所製)、NKX2311色素(一般式(IV)、林原生化学研究所製)、NKX2569色素(一般式(V)、林原生化学研究所製)、NKX2677色素(一般式(VI)、林原生化学研究所製)、N3色素(一般式(VII)、Solaronix社製)は、濃度4×10-4モル/リットルとなるようにエタノール溶液に溶解させた。N719色素(一般式(VIII)、Solaronix社製)は、濃度4×10-4モル/リットルとなるようにアセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に溶解させた。Black Dye色素(一般式(II)、Solaronix社製)は、濃度4×10-4モル/リットルとなるようにアセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に溶解させ、さらに、デオキシコール酸(DCA、アルドリッチ製)を濃度1×10-2モル/リットルとなるように溶解させた。
上記で調整した色素溶液に、多孔性の半導体層を室温にて約1週間浸漬させることにより、多孔性半導体層に色素を吸着させた。
一方、上述したSnO2が成膜された基板のSnO2側に触媒層として白金を幅8mm、長さ40mm、膜厚約17nmとなるようにスパッタ法にて堆積したものを用意した。その後、色素が吸着された多孔性光電変換層と触媒層が相対するように重ね合わせ、電解液を間に注入した。電解液は、溶媒としてアセトニトリルとし、その中に、DMPIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.05モル/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。
なお、触媒層と色素が吸着された多孔性光電変換層が接触しないように、触媒層と導電層の間に、セパレーター(デュポン製、商品名ハイミラン、50μm厚)を設置している。
上述の電解液を用いて、色素増感型太陽電池の作製を行い、太陽電池測定を行った。なお、受光面をそれぞれの色素増感型太陽電池の多孔性光電変換層側と触媒層側とし測定を行った。その結果を表15(多孔性光電変換層側)、表16(触媒層側)に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表15、表16の結果より、IIからVIIIの色素を用いた場合には、電解液による光吸収と触媒層/導電層の光透過率の減少により、触媒層が受光面の場合には短絡電流密度が低下することが確認できる。また、これらの値は、電解液濃度、セパレーター厚、透明導電膜厚、触媒層厚、多孔性光電変換層厚などの製造条件により変化すると考えられるが、触媒層が受光面のユニットセルと多孔性光電変換層が受光面のユニットセルの短絡電流密度値がほぼ同じになるように色素を選ぶことができる。
ここで、上記検討で作製した太陽電池ユニットセルを用いて二直列の色素増感太陽電池モジュールを作製し、評価を行った。
その結果、第1光電変換素子に色素IIIを吸着させたユニットセル、第2光電変換素子に色素IVを吸着させたユニットセルを用いた場合、短絡電流密度が11.6(mA/cm2)、開放電圧値が1.22(V)、FFが0.70、変換効率が5.0(%)となった。また、それぞれのユニットセルに色素IIIを用いた場合、短絡電流密度が10.2(mA/cm2)、開放電圧値が1.26(V)、FFが0.66、変換効率が4.2(%)であった。さらに、それぞれのユニットセルに色素IVを用いた場合、短絡電流密度が12.0(mA/cm2)、開放電圧値が1.17(V)、FFが0.70、変換効率が4.9(%)であった。
基本的に、性能の異なる太陽電池を直列接続した場合、モジュール全体の電圧はユニットセルの電圧値の和となるが、電流は、低い電流値を示すユニットセルにおいて、電子の流れが悪くなるため、高い電流値を示すユニットセルの電流を外部に取り出すことはできない。また、ユニットセル間の発生電流差に起因する余剰電子の発熱によりモジュールの耐久性が低下すると考えられる。よって、各ユニットセルに同等の性能を有する色素を用いた場合、受光面を多孔性光電変換層側とした場合の短絡電流密度は大きいが、受光面を触媒層側とした場合の短絡電流密度が小さいため、それぞれを直列した場合のモジュールの出力は悪くなり、耐久性が低下する。そこで、受光面が多孔性光電変換層側であるユニットセルで用いる色素より、相対的に発生電流が大きい色素を受光面が触媒層側であるユニットセルに用いることにより、モジュールの変換効率、耐久性が向上する。
さらに、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルにおいて、開放電圧の高い色素を用いることにより、モジュール変換効率をさらに向上することが可能になる。
本発明の実施の形態5を製造例、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの製造例、実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に断りのない場合は、製造例の条件を用いて色素増感型太陽電池が製造される。
(実施例21及びその製造例)
5個のユニットセルを直列に接続した集積化された色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。その製造工程を以下に示す(図1及び2参照)。
導電層が形成された支持体として53mm×65mm(X基板)、39mm×65mm(Y基板)の日本板ガラス社製のSnO2付きガラス基板を2枚(用いた。図2中、Aを18mm、Bを18mm、Cを8mm、Dを7mm、Eを5mm、Fを5mmとなるように、触媒層23として白金をスパッタにより約15nmの膜厚で成膜した。
次に、導電層上に酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、焼成後形状が幅8mm×長さ50mm×膜厚15μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させ、500℃の空気中で焼成することにより多孔性光電変換層を作製した。
次に、図2中、Iが17.5mm、Jが23.5mm、Kが16.5mm、Lが10.5mmとなるように、導電層であるSnO2にレーザー光(YAGレーザー・基本波長1.06μm)を照射しSnO2を蒸発させることにより、スクライブ溝21を形成した。
式(VIII)のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium535−bisTBA)をアセトニトリルとt−ブタノールエタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に、濃度4×10-4モル/リットルで溶解させた吸着用色素溶液に、一方の支持基板(X)を浸漬させた。また、式(II)のBlack Dye色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620−1H3TBA)は、濃度4×10-4モル/リットルとなるようにアセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に溶解させ、さらに、デオキシコール酸(DCA、アルドリッチ製)を濃度1×10-2モル/リットルとなるように溶解させた溶液に、もう一方の支持基板(Y)を浸漬させることにより多孔性光電変換層に色素を吸着させた。
上述の工程で作製されたX基板、Y基板を、絶縁層5としてデュポン社製ハイミラン1855を1mm×60mmで切り出したものを用いて、それぞれの基板のスクライブ部分21に設置し、図1の形状となるように張り合わせ、約100℃のオーブン中で10分間加熱することにより圧着した。
電解液として、溶媒をアセトニトリルとし、その中にDMPIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.02モル/リットル溶解させたものを電解液A、DMPIIを0.8モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.05モル/リットルの濃度で溶解させたものを作製した。
図1に示した色素増感型太陽電池モジュールに電解液をキャピラリー効果により注入し、周辺部分をエポキシ樹脂で封止することにより色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。
作製した色素増感型太陽電池モジュールのX基板を受光面となるように、Y基板を黒色の25℃に制御されたステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流密度16.8mA/cm2、開放電圧値3.50V、FF0.72、モジュール変換効率8.5%であった。
(比較例8)
実施例に準じて、色素増感型太陽電池モジュールの支持体X、支持体Y共に、色素7を用いて色素増感型太陽電池モジュールを作製した。作製した色素増感型太陽電池モジュールのX基板を受光面となるように、Y基板を黒色の25℃に制御されたステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流密度17.1mA/cm2、開放電圧値3.35V、FF0.70、モジュール変換効率8.0%であった。
(実施例22〜24)
実施例21準じて、吸着色素を変えて色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。その結果を表17に示す。また、それぞれの実施例で用いた色素を表18に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
(実施例25)
実施例21で作製した太陽電池モジュールと比較例8で作製した太陽電池モジュールに対し、X基板を受光面となるように、Y基板を黒色の25℃に制御されたステージに設置し、AM1.5擬似太陽光照射下にて連続照射実験を行った。150時間後に動作特性を測定した結果、実施例17の変換効率は、8.4%、比較例6の変換効率は6.8%であった。比較例8のモジュールに使用した電解液の液量が目視で減少していることが確認できた。以上のように、実施例21〜25の集積化された色素増感型太陽電池モジュールは、53mm×65mm程度の小さいモジュールであっても、本発明の構成を有することで、高性能な色素増感型太陽電池モジュールの作製が可能となるがわかった。
[実施の形態5]
実施の形態5の色素増感型太陽電池は、図1で示した第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12を構成する半導体粒子の平均粒径が異なることを特徴としている。
具体的には、以下の(15)〜(18)のようにして第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの多孔性光電変換層2、12を構成する半導体粒子の平均粒径を異ならせる。
(15)第1光電変換素子の多孔性半導体層の半導体粒子の平均粒径が、第2光電変換素子の多孔性半導体層の半導体粒子の平均粒径よりも小さい。
このように構成することにより、太陽電池モジュールの第1光電変換層及び第2光電変換層の各ユニットセルの電流値を有効に引き出すことができる。
(16)第2光電変換素子の多孔性半導体層が複数の層から構成され、支持基板に最も近い層を構成する半導体粒子の平均粒径が、支持基板から遠くに位置する他の層を構成する半導体粒子の平均粒径よりも大きい。
このように構成することにより、大きなモジュール変換効率を得ることが可能となる。(17)第1光電変換素子の多孔性半導体層を構成する半導体粒子の平均粒径が30nm以下であり、第2光電変換素子の多孔性半導体層には粒径100nm以上の半導体粒子が含まれている。
このように構成することにより、確実に大きなモジュール変換効率を得ることができる。
(18)第2光電変換素子の多孔性半導体層が複数の層から構成され、支持基板に最も近い層には粒径100nm以上の半導体粒子が含まれ、支持基板から遠くに位置する他の層は平均粒径30nm以下の半導体粒子で構成される。
このように構成することによっても、大きなモジュール変換効率を得ることができる。
実施の形態6では、実施の形態1における太陽電池ユニットセルの多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の平均粒径を、受光面が多孔性光電変換層側と触媒層側で異ならせる以外は同様の構成で、実施の形態1に準ずる以下の方法によりユニットセルを作製した。
幅10mm×長さ50mm×厚み1.1mm程度のガラス基板の片面に、透光性導電層として900nmのSnO2を製膜した基板を用意した。次に、半導体粒子の原料として粒径100nm以上の散乱粒子を含まない酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名T/SP、平均粒径:13nm)と、粒径100nm程度の散乱粒子が含有された酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP、平均粒径:約25nm)を用意した。それぞれの酸化チタンペーストを、焼成後形状が幅5mm×長さ50mm×厚さ10μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて2枚の上記基板の透光性導電層上にそれぞれ塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させた。その後、500℃の空気中で焼成することにより多孔性光電変換層を作製した。
続いて、上記式(II)のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620 1H3TBA)を、アセトニトリルとt−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に、濃度4×10-4モル/リットルで溶解させて吸着用色素溶液を作製した。この吸着用色素溶液に多孔性光電変換層を形成した2種類の基板をそれぞれ浸漬させることにより、各基板の多孔性半導体層に色素を吸着させた。
一方、SnO2が成膜された別の基板の各SnO2膜上に、触媒層として白金膜を約15nmの厚みでスパッタしたものを用意した。そして、色素が吸着された多孔性光電変換層を有する2枚の基板と、触媒層を有する2枚の基板を、多孔性光電変換層と触媒層とがセパレータ(デュポン製、商品名ハイミラン、25μm)を介して相対するように重ねて貼り合わせ、その後、貼り合わせた各基板のセパレータと触媒層の間に電解液を注入した。
電解液の溶媒には、アセトニトリル中にDMPII0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、I2を0.01モル/リットル、TBPを0.5モル/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。
このように多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の粒径が異なる2種類のセルユニットを作製し、各セルユニットの多孔性光電変換層側と触媒層側に光を照射して太陽電池特性を測定した。照射面を多孔性光電変換層側とした場合の結果を表19、照射面を触媒層側とした場合の結果を表20に示す。
Figure 2006024574
Figure 2006024574
表19、20の結果から、受光面を多孔性光電変換層側とした場合、多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の粒径を増大させると、電流密度が増大する反面、開放電圧が減少した。一方、受光面を触媒層側とした場合、多孔性光電変換層側から光を照射した場合に比べて電流密度が減少した。これは、受光面を触媒層側とした場合、触媒層及び電解液部分での光吸収により、色素を吸着させた多孔性光電変換層に達する光が減少するためと考えられる。
上述のユニットセルを用いて、従来技術の電解液組成(各ユニットセルの電解液濃度は同一)で色素増感型太陽電池モジュールを作製する場合、表19、20の実験結果より、粒径100nm以上の散乱粒子が含有される場合、受光面を多孔性光電変換層側とすると短絡電流は30.0mA、受光面を触媒層側とすると24.0mAとなる。直列モジュールの短絡電流は最も小さな短絡電流値を持つユニットセルで律速されるため、受光面を多孔性光電変換層側とした場合の電流値を有効に利用することができなくなる。
そこで、本発明の実施の形態6では、受光面を多孔性光電変換層側にした場合のユニットセルと触媒層側にした場合のユニットセルでは、多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の粒径が異なるように、粒径100nmの散乱粒子が含有されないもの(受光面:多孔性光電変換層側)と含有されるもの(受光面:触媒層側)の2種類を用いることにより、それぞれのユニットセルでの短絡電流値の差を約0.4mAに低減することができ、各ユニットセルでほぼ同等の出力を得ることができ、発電した電流値を有効に利用することができる。
以下、本発明の実施の形態6を製造例、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの製造例、実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に断りのない場合は、製造例の条件を用いて色素増感型太陽電池が製造される。
(実施例26及びその製造例)
5個のユニットセルを直列に接続した集積化された色素増感型太陽電池モジュール(図1参照)を、電解液及び多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の平均粒径を変える以外は実施例1と同様にして作製した。以下、実施例26の製造例における実施例1とは異なる部分のみを説明する。
図2に示すように、基板Xの透光性導電層1上の2箇所の触媒層形成領域、及び基板Yの導電層5上の3箇所の触媒層形成領域に、触媒層14、4として白金をメタルマスクを用いたスパッタリング法により、成膜後形状がそれぞれ幅5mm×長さ50mm×膜厚5nmとなるように成膜した。
次に、基板Xの透光性導電層1上の3箇所の多孔性半導体層形成領域に、粒径100nm以上の散乱粒子を含まない酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名T/SP、平均粒径:13nm)を用いて、焼成後形状が幅5mm×長さ50mm×厚15μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させた。その後、500℃の空気中で焼成することにより多孔性半導体層2を形成した。
一方、基板Yの導電層5上の2箇所の多孔性半導体層形成領域に、粒径100nm程度の散乱粒子が含有された酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、多孔性光電変換層2と同様の方法で、多孔性半導体層12を形成した。
電解液としては、溶媒をアセトニトリルとし、その中にDMPIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、I2を0.05モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル溶解させたものを用いた。
作製した色素増感型太陽電池モジュールについて、受光面を基板X側として、AM1.5擬似太陽光照射下の電流電圧特性を調べた結果、短絡電流密度12.2mA/cm2、開放電圧値3.3V、FF0.63、変換効率5.1%であった。
(比較例9)
実施例26において、色素増感型太陽電池モジュールにおける全てのユニットセルの多孔性光電変換層の半導体粒子として、平均粒径13nmの酸化チタン粒子を含む酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名T/SP)を用いること以外は、実施例26と同様の方法で比較例9の色素増感型太陽電池モジュールを作製した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールについて、受光面を基板Xとして、AM1.5擬似太陽光照射下の電流電圧特性を調べた結果、短絡電流密度9.8mA/cm2、開放電圧値3.3V、FF0.64、変換効率4.1%であった。
実施例26と比較例9との比較から、受光面が多孔性光電変換層側のユニットセルにおける半導体粒子の粒径と、受光面が触媒層側のユニットセルにおける半導体粒子の粒径が異なるような構成とすること、特に、多孔性光電変換層側を触媒層側よりも小さくすることによって高い変換効率が得られることがわかった。
(実施例27)
実施例26において、基板Y上に形成するユニットセルbの多孔性光電変換層12を、異なる粒径を有する半導体粒子から構成される2つの層で構成すること以外は、実施例26と同様の方法で実施例27の色素増感型太陽電池モジュールを作製した。なお、実施例27の色素増感型太陽電池モジュールの概略断面図を図6に示す。なお、図6において図1と同様の要素には同一の符号を付している。以下、実施例27の製造例における実施例26とは異なる部分のみを図6を参照して説明する。
基板Yの導電層5上の2箇所の多孔性光電変換層形成領域に、粒径100nm程度の散乱粒子が含有された酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、焼成後形状が幅5mm×長さ50mm×厚7μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させ、その後、500℃の空気中で焼成することにより1層目の多孔性光電変換層12aを作製した。その後、各多孔性光電変換効率層12a上に、粒径13nmの酸化チタン粒子を含む酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名T/SP)を、焼成後形状が幅5mm×長さ50mm×厚7μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥、500℃の空気中で焼成することにより、2層目の多孔性光電変換層12bを作製した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールについて、受光面を基板Xとして、AM1.5擬似太陽光照射下の電流電圧特性を調べた結果、短絡電流密度12.5mA/cm2、開放電圧値3.4V、FF0.64、変換効率5.4%であった。
本実施例18から、受光面が触媒層側のユニットセルにおいて、多孔性光電変換層を複数層から構成し、かつ各層を異なる粒径の半導体粒子から構成することによっても、高い変換効率が得られることがわかった。
(実施例28〜30)
実施例26において、受光面側の多孔性光電変換層2の半導体粒子を、粒径20nm(実施例28)、30nm(実施例29)及び50nm(実施例30)とする以外は、実施例26と同様の方法で実施例28〜30の色素増感型太陽電池モジュールを形成した。
具体的には、実施例28では、市販の酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製、商品名スーパータイタニアF5グレード、アナターゼ型結晶、平均粒径20nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル15mlとをガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーで6時間分散させて作製した酸化チタンペーストを用い、ドクターブレード法を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥、500℃の空気中で焼成することにより多孔性半導体層2を形成した。
実施例29では、酸化チタン粒子(テイカ株式会社社製、商品名スーパータイタニアF4グレード、アナターゼ型結晶、平均粒径30nm)を用い、実施例28と同様の方法で多孔性半導体層2を形成した。実施例30では、酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製、商品名スーパータイタニアF5グレード、アナターゼ型結晶、平均粒径50nm)を用い、実施例28と同様の方法で多孔性半導体層2を形成した。
作製した実施例28〜30の色素増感型太陽電池モジュールについて、受光面を基板X側として、AM1.5擬似太陽光照射下の電流電圧特性を調べ、その結果を表21に示した。
Figure 2006024574
表21より、本発明における太陽電池モジュールは、受光面側の多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の平均粒径は、5%以上の光電変換効率が得られる30nm以下が好ましいことが判明した。
(実施例31〜33)
実施例27において、受光面側の多孔性光電変換層2を構成する半導体粒子の粒径を、20nm(実施例31)、30nm(実施例32)、50nm(実施例33)とする以外は、実施例27と同様の方法で実施例31〜33の色素増感型太陽電池モジュールを形成した。
より具体的には、実施例31では、市販の酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製、商品名スーパータイタニアF5グレード、アナターゼ型結晶、平均粒径20nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル15mlとをガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーで6時間分散させて作製した酸化チタンペーストを用い、ドクターブレード法を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥、500℃の空気中で焼成することにより多孔性半導体層2を形成した。
実施例32では、酸化チタン粒子(テイカ株式会社社製、商品名スーパータイタニアF4グレード、アナターゼ型結晶、平均粒径30nm)を用い、実施例31と同様の方法で多孔性半導体層2を形成した。
実施例33では、酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製、商品名スーパータイタニアF5グレード、アナターゼ型結晶、平均粒径50nm)を用い、実施例31と同様の方法で多孔性半導体層2を形成した。
作製した実施例31〜33の色素増感型太陽電池モジュールについて、受光面を基板X側として、AM1.5擬似太陽光照射下の電流電圧特性を調べ、その結果を表22に示した。
Figure 2006024574
表22より、本発明における太陽電池モジュールは、非受光面側の多孔性光電変換層が複数層からなる場合でも、受光面側の多孔性光電変換層を構成する半導体粒子の平均粒径は、5%以上の光電変換効率が得られる30nm以下が好ましいことが判明した。
[実施の形態7]
実施の形態7の色素増感太陽電池は、図1で示した第1光電変換素子aと第2光電変換素子bの触媒層4、14の形状が異なることにより、第2光電変換素子bの触媒層14の光透過率が、第1光電変換素子aの触媒層4の光透過率より低いことを特徴としている。
具体的には、以下の(19)〜(22)のようにして、第2光電変換素子bの触媒層14の光透過率を、第1光電変換素子aの触媒層4の光透過率より低くしている。
(19)第2光電変換素子の触媒層が開口部を有する形状である。
このように構成することにより、容易に第2光電変換素子bの触媒層14の光透過率を、第1光電変換素子aの触媒層4の光透過率より低くすることができ、その結果、大きなモジュール変換効率を得ることが可能となる。
上記開口部を有する形状は、具体的には、以下のようである。
(20)第2光電変換素子の触媒層の形状が、格子状である。
(21)第2光電変換素子の触媒層の形状が、ストライプ状である。
(22)第2光電変換素子の触媒層の形状が、ドット状である。
このように構成することによっても、大きなモジュール変換効率を得ることが可能となる。
(実施例34)
実施例34では、実施の形態1における太陽電池ユニットセルの第2光電変換素子の触媒の形状を異ならせる以外は同様の構成で、実施の形態1に準ずる以下の方法により、5個のユニットセルを直列に接続した集積化された色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。
導電層が形成された支持体として60mm×61mmの日本板ガラス社製のSnO2付きガラス基板を2枚(X基板、Y基板)用いた。図2中、Aを15mm、Bを14mm、Cを8mm、Dを10mm、Eを5mm、Fを5mmとなるように、基板Y側の触媒層4として白金をスパッタにより電極線幅Wが0.04μmの正方形格子状に成膜した。このように形成した触媒層4は、上記式2のPは0.8であった。
次に、導電層上に酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を用いて、幅8mm×長さ50mmの形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行った後、80℃のオーブン中で乾燥させ、500℃の空気中で焼成することにより多孔性光電変換層を作製した。酸化チタンの膜厚は20μmであった。
次に、図2中、Iが14.5mm、Jが22.5mm、Kが22.5mm、Lが13.5mmとなるように、導電層であるSnO2にレーザー光(YAGレーザー・基本波長1.06μm)を照射しSnO2を蒸発させることにより、スクライブ溝21を形成した。
式(1)のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium719)をアセトニトリルとn−ブタノールエタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に、濃度4×10-4モル/リットルで溶解させた吸着用色素溶液に、浸漬させることにより多孔性光電変換層に色素を吸着させた。
上述の工程で作製されたX基板、Y基板を、絶縁層5としてデュポン社製ハイミラン1855を1mm×60mmで切り出したものを用いて、それぞれの基板のスクライブ部分21に設置し、図1の形状となるように張り合わせ、約100℃のオーブン中で10分間加熱することにより圧着した。
電解液として、溶媒をセトニトリルとし、その中にHMIIを0.6モル/リットル、LiIを0.1モル/リットル、TBPを0.5モル/リットル、I2を0.01モル/リットル溶解させたものを用いて作製した。
図1に示した色素増感型太陽電池モジュールのユニットセルaおよびユニットセルbに電解液をキャピラリー効果により注入し、周辺部分をエポキシ樹脂にて封止することにより色素増感型太陽電池モジュールを得た。
作製した色素増感型太陽電池モジュールの受光面をX基板として、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流41.5mA、開放電圧値3.5V、FF0.58、モジュール変換効率4.2%であった。
(実施例35)
実施例34に準じて、第2光電変換素子bの触媒層4の形状を、電極線幅Wが0.04μmのストライプ状に形成した。この触媒層4は、上記式2のPが0.8であった。
作製した色素増感型太陽電池モジュールに対して、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流42.0mA、開放電圧値3.5V、FF0.59、モジュール変換効率4.3%であった。
(実施例36)
実施例35に準じて、第2光電変換素子bの触媒層4を、光透過率が70%となるようにドット状に形成して、実施例36の色素増感型太陽電池モジュールを作製した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールに対して、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流43.5mA、開放電圧値3.5V、FF0.58、モジュール変換効率4.4%であった。
(比較例10)
実施例35における太陽電池ユニットセルの各第2光電変換素子の触媒層が開口部を有さず、その膜厚を17nmとしたこと以外は同様の構成で、実施例35に準じて、比較例10の色素増感型太陽電池モジュールを作製した。
作製した色素増感型太陽電池モジュールに対して、AM1.5擬似太陽光照射下の動作特性を調べた結果、短絡電流37.4mA、開放電圧値3.5V、FF0.59、モジュール変換効率3.9%であった。
以上のように、実施例35及び36の集積化された色素増感型太陽電池モジュールは、60mm×60mm程度の小さいモジュールであっても、本発明の構成を有することで、高い変換効率が得られることがわかった。
本発明の集積化された色素増感型太陽電池モジュールを示す概略断面図である。 図1の太陽電池モジュールの製造方法を説明する図であって、(a)は透光性絶縁基板X側の成膜状態を示す概略平面図であり、(b)は支持基板Y側の成膜状態を示す概略平面図である。 本発明の色素増感型太陽電池モジュールに使用する電解液の波長に対する透過率と吸光度の関係を示したグラフ図である。 本発明の実施の形態3における電解液の透過率と吸光度の測定を行った結果を示すグラフ図である。 本発明の実施の形態3における(Jc/Jd)とモジュール変換効率との関係を示すグラフ図である。 本発明の実施の形態6の色素増感型太陽電池モジュールの概略断面図である。 従来の色素増感型太陽電池の断面概略図である。 従来の色素増感型太陽電池の断面概略図である。
符号の説明
1 透光性導電層
2、12 多孔性光電変換層
3、13 電解質層
4、14 触媒層
5 導電層
a 第1光電変換素子
b 第2光電変換素子
X 透光性基板
Y 支持基板

Claims (3)

  1. 透光性基板上の透過性導電層、色素が吸着した多孔性光電変換層、電解質層、触媒層、導電層が順次積層されてなる第1光電変換素子と、
    前記透光性基板上の透過性導電層、触媒層、電解質層、色素が吸着した多孔性光電変換層、導電層が順次積層されてなる第2光電変換素子と、
    前記第1、第2光電変換素子の各導電層上に設けられる支持基板とを備え、
    前記透光性基板と支持基板の間において、1つ以上の上記第1光電変換素子と1つ以上の第2光電変換素子が交互に並列し、隣り合う第1光電変素子と第2光電変換素子が電気的に直列接続されており、
    複数の第1光電変換素子における多孔性光電変換層に同一の一の色素をそれぞれ吸着させ、複数の第2光電変換素子における多孔性光電変換層に前記一の色素とは異なる他の一の色素をそれぞれ吸着させ、前記一の色素の吸収端波長より前記他の一の色素の吸収端波長が長波長側にあることを特徴とする色素増感型太陽電池モジュール。
  2. 第1光電変換素子と第2光電変換素子の開放電圧が異なる請求項1に記載の色素増感型太陽電池モジュール。
  3. 第1光電変換素子の開放電圧値が、第2光電変換素子の開放電圧値より大きい請求項2に記載の色素増感型太陽電池モジュール。
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