JP2010254928A - 接着剤組成物、接着剤被覆繊維、ゴム物品及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温下及び高歪下で優れた接着力を発揮することが可能な接着剤組成物及び該接着剤組成物で表面処理された接着剤被覆繊維を提供する。
【解決手段】平均径が4〜900nmで且つ平均長さが80〜105μmである繊維(A)を含むことを特徴とする接着剤組成物であり、該接着剤組成物は、更に、脂肪族エポキシド化合物(B)、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)、水溶性高分子(D)及び熱可塑性高分子重合体(E)よりなる群から選択される少なくとも一種の成分を含むのが好ましい。また、前記繊維(A)の含有量は、接着剤組成物中0.05〜50質量%であるのが好ましい。更に、繊維2表面が接着剤層3で被覆された接着剤被覆繊維1においては、前記接着剤層3に、上述の接着剤組成物又はその接着剤液を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、接着剤組成物、該接着剤組成物で表面処理された接着剤被覆繊維、該接着剤被覆繊維を用いたゴム物品、及び該ゴム物品を用いた空気入りタイヤに関し、特に、高温下及び高歪下で優れた接着力を発揮することが可能な接着剤組成物に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリケトン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維等は、高い初期弾性率や、優れた熱時寸法安定性を有しているため、フィラメント、コード、ケーブル、コード織物、帆布等の形態で、タイヤ、ベルト、空気バネ、ゴムホース等のゴム物品の補強材として極めて有用であり、これらの繊維とゴムとの接着性を改良させるため、種々の接着剤組成物、接着方法、接着剤処理を施した繊維等が提案されている。
接着方法としては、一般に、一浴処理接着方法と二浴処理接着方法とが知られている。このうち、二浴処理接着方法としては、まず繊維表面をエポキシ化合物とブロックドイソシアネート類とを含む接着剤組成物で被覆し(第一処理)、次いでその表面をレゾルシンとホルムアルデヒドとゴムラテックスとからなる接着剤組成物(以下、RFLと称する)等の接着剤組成物で被覆する方法等が挙げられる。
この二浴処理接着方法で処理した繊維材料を用いてゴム物品を補強した場合、高温下でも高い接着力を有するゴム物品が得られるものの、該ゴム物品を高温、高歪下で使用した場合、急激な接着劣化や、繊維材料(例えば、コード)が疲労で劣化しやすいため、ゴム物品の製品寿命を低下させるおそれがある。
従って、繊維材料に用いる接着剤組成物としては、初期接着力に加えて、高温、高歪下での接着性を向上させた接着剤組成物が求められている。そして、接着剤組成物がこの要求を満たすには、(i)高温時の接着性が高く、(ii)高温下での接着力の熱劣化性が低く、(iii)高歪下での耐疲労性が良好であることが必要である。
例えば、国際公開第00/39237号(特許文献1)では、高温下で経時的に発生する接着での歪みによる接着劣化を抑え、高温下での接着性及び高歪下での疲労性に優れた接着剤組成物として、ペンダント基に架橋性官能基を含有し、アリル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を主鎖に実質的に含有しない熱可塑性高分子重合体と、水溶性高分子と、極性官能基を有する芳香族類をメチレン結合した構造を含有する化合物とを含む接着剤組成物が開示されている。
ところで、近年、タイヤの高性能化が進み、タイヤの転動によるタイヤコードへの歪や熱の入力は厳しくなっている。例えば、パンク等によりタイヤの内圧が低下した状態でも走行することが可能なランフラットタイヤが注目されているが、タイヤの内圧が低下した状態でのランフラット走行では、タイヤの変形が大きく発熱が進むため、特に歪応力が集中する場所では、非常に高い温度に達することもある。従って、構造上、歪応力が集中し易いタイヤコードに、例えば、ポリエステルやナイロン等の有機繊維コードを用いた場合、繊維を形成する樹脂が熱変形を起こすことがある。
そして、このようなタイヤコードの表面に接着剤処理が施されている場合、該タイヤコードの表面を被覆した接着剤層は、凝集破壊抗力が低くなり、高歪による剥離等の応力によって、接着剤層内部の破壊や、タイヤコードを構成する単糸フィラメントの破壊(毛羽立ち)等が混在した破壊形態が形成される。この破壊形態の形成を抑制するには、タイヤコードの表面を被覆する接着剤層の靭性を高めたり、タイヤコードの単糸フィラメントを束ねたりすることが有効である。
国際公開第00/39237号
前述の国際公開第00/39237号では、高温時の破壊靱性を向上させる手法として、水溶性高分子が改質剤として添加し、マトリックスを補強した接着剤組成物が提案されている。しかしながら、水溶性高分子が配合された接着剤組成物では、水溶性高分子の分子量を大きくすることで、破壊靱性を向上させることができるが、接着剤組成物が溶媒に溶解し難くなったり、結果として得られる接着剤層が硬過ぎ脆くなり、長時間疲労時の耐久性が低下するため、水溶性高分子による破壊靭性の向上効果には、限界があった。そして、今後益々増大する、タイヤへの高歪による剥離等の応力に対し、従来の接着剤組成物の配合では、高温、高歪下での接着力が不十分となるおそれがある。
このような状況下、本発明者らが、接着剤組成物のマトリックスの靭性を向上させる手段として、短繊維の配合を検討したところ、タイヤコードを被覆する接着剤層の厚さが、通常、数μm〜100μm程度であるのに対し、通常使用される紡糸した有機繊維の単繊維太さはμmオーダーの大きさであるため、通常使用される短繊維を接着剤組成物に配合しても、該短繊維の太さが絡み合う大きさでなく、接着性の向上効果を得ることができないことが分かった。
一方、近年、単繊維太さが4〜900nmの超々極細繊維が開発され、この単繊維太さがナノサイズである繊維の製造方法や、該繊維を配合した樹脂複合体等が検討されている。例えば、特開2008−24795号公報では、超々極細繊維を樹脂に配合した、優れた強度を有する樹脂成形体が報告されている。しかしながら、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニロン等の繊維径が通常8μm以上である合成繊維からなるタイヤコードに使用される接着剤組成物に、超々極細繊維を配合することについては、一切検討されていない。
なお、「第3版 繊維便覧」(丸善(株)、平成16年12月15日発行、53頁)によると、「合成繊維では、1dtex以下の繊維は工業的な意味で紡糸が困難となり、それ以下の太さの繊維を通常極細繊維と称する(太さ1dtexの繊維の直径はおおよそ10μm)。0.1dtex以下の繊維を超極細繊維、さらに1桁細いと超々極細繊維と称する場合がある。ちなみに、天然繊維では最も細い類の実用的繊維は絹で、その太さは約1dtexである。」と記載されている。繊度(dtex)は、(糸径(mm)/2)2×π×比重×10000で求められる値であり、繊維の原料ポリマーの比重を1.30と仮定すると、繊度が0.1dtexの場合の糸径は3μmで、繊度が0.01dtexの場合の糸径は1μmである。よって、本願では、糸径が1μm以下の繊維を超々極細繊維と称する。
そこで、本発明の目的は、従来と全く異なる手法により、高温下及び高歪下で優れた接着力を発揮することが可能な接着剤組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる接着剤組成物で表面処理された接着剤被覆繊維、該接着剤被覆繊維を用いたゴム物品、及び該ゴム物品を用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、平均径が4〜900nmで且つ平均長さが80〜105μmである超々極細繊維を接着剤組成物に配合することで、高温下及び高歪下で優れた接着力を発揮することが可能な接着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の接着剤組成物は、平均径が4〜900nmで且つ平均長さが80〜105μmである繊維(A)を含むことを特徴とする。
本発明の接着剤組成物の好適例においては、更に、脂肪族エポキシド化合物(B)、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)、水溶性高分子(D)及び熱可塑性高分子重合体(E)よりなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む。
本発明の接着剤組成物は、前記繊維(A)の含有量が、接着剤組成物中0.05〜50質量%であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物の他の好適例においては、前記繊維(A)が、熱可塑性高分子からなる。
本発明の接着剤組成物において、前記繊維(A)は、融点が165℃以上であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物の他の好適例においては、前記繊維(A)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアリーレン、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも一種の繊維からなる。
本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物中、前記繊維(A)の含有量が0.05〜50質量%で、前記脂肪族エポキシド化合物(B)の含有量が0〜99.05質量%で、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)の含有量が0〜99.05質量%であるのが好ましい。ここで、本発明の接着剤組成物は、更に、接着剤組成物中、前記水溶性高分子(D)の含有率が0〜70質量%で、前記熱可塑性高分子重合体(E)の含有率が0〜18質量%であるのが好ましい。
また、本発明の接着剤液は、上記の接着剤組成物と溶媒とを含むことを特徴とする。
更に、本発明の第一の接着剤被覆繊維は、繊維表面が接着剤層で被覆された接着剤被覆繊維において、前記接着剤層が、上記の接着剤組成物又は接着剤液を用いてなることを特徴とする。
また、本発明の第二の接着剤被覆繊維は、繊維表面が接着剤層で被覆された接着剤被覆繊維において、前記接着剤層が、上記の接着剤組成物又は接着剤液とゴムとを用いてなることを特徴とする。
更に、本発明の第三の接着剤被覆繊維は、繊維表面が二層以上の接着剤層で被覆された接着剤被覆繊維において、前記接着剤層の最内層が、上記の接着剤組成物又は接着剤液を用いてなり、前記接着剤層の最外層が、ゴム含有接着剤組成物又はその接着剤液を用いてなることを特徴とする。
本発明の第三の接着剤被覆繊維の好適例においては、前記接着剤層の最外層に用いるゴム含有接着剤組成物が、レゾルシン、ホルムアルデヒド及びゴムラテックスを含む。
本発明の第二及び第三の接着剤被覆繊維は、ゴム補強用繊維として好適である。
また更に、本発明のゴム物品は、上記の接着剤被覆繊維を用いたことを特徴とし、本発明の空気入りタイヤは、上記のゴム物品をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
本発明によれば、平均径が4〜900nmで且つ平均長さが80〜105μmである繊維が配合された、高温下及び高歪下で優れた接着力を発揮することが可能な接着剤組成物を提供することができる。また、かかる接着剤組成物で表面処理された、高温下及び高歪下での接着力に優れる接着剤被覆繊維を提供することができる。更に、該接着剤被覆繊維を用いたゴム物品、及び該ゴム物品を用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の接着剤被覆繊維の一例の断面模式図である。 本発明の接着剤被覆繊維の他の例の断面模式図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の接着剤組成物は、平均径が4〜900nmで且つ平均長さが80〜105μmである繊維(A)を含むことを特徴とする。上記繊維(A)を接着剤組成物に配合することで、接着剤組成物のマトリックスの伸度を高め、高温下及び高歪下で優れた接着力を発揮することができる。例えば、本発明の接着剤組成物を用いて、被着体である繊維の表面を接着剤層で被覆する場合、接着剤組成物中に含まれる繊維(A)が互いに部分的に絡み合い、繊維(A)が被着体の繊維を網目状に囲んで、被着体の繊維に対する補強効果を増大させる。また、かかる補強効果によって、被着体の繊維を被覆する接着剤層の靭性が向上し、剥離等の応力に対する接着剤層の破壊抗力をも改善されるため、高温及び高歪下での接着力を増大させることになる。
本発明の接着剤組成物に用いる繊維(A)は、平均径が4〜900nmの範囲であることを要し、10〜900nmの範囲であることが好ましい。繊維(A)の平均径が900nmを超えると、繊維(A)が互いに網目状に絡み合うことが困難になり、接着性の向上効果が十分に得られない。一方、繊維(A)の平均径が4nm未満では、繊維径が細過ぎ、剥離等の応力に対する破壊抗力が小さくなる。また、繊維(A)の平均径は、30〜300nmの範囲であることが特に好ましい。繊維(A)の平均径が30〜300nmの範囲であれば、分子径が数ナノメートルである高分子重合体を配合した場合の破壊抗力と同等の破壊抗力を得ることができる。なお、「平均径」とは、繊維径の平均値を意味し、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は偏光顕微鏡等で観察し、同一の測定深度の横断面内で無作為に抽出した50本以上の繊維長さを測定することで求められる。
本発明の接着剤組成物に用いる繊維(A)は、平均長さが80〜105μmの範囲であることを要する。繊維(A)の平均長さが80μm未満では、工業的に製造することが困難になり、一方、105μmを超えると、接着剤組成物中での繊維(A)の絡み合いが多くなりすぎ、接着剤組成物の粘度が上昇し、被着体の繊維の表面に均一に塗布できなくなったり、塗布する際に用いる装置を汚染するため、製造時の作業性が低下する。また、繊維(A)の平均長さは、300〜104μmの範囲であることが好ましい。一般に、補強用繊維として使用されるコード(例えば、フィラメント径が約8μm以上の単繊維からなるコード)の太さは100〜10000μm程度であるため、繊維(A)の平均長さが300〜104μの範囲であれば、補強用繊維を巻回した繊維(A)が単独で絡み合うことも可能となり、繊維(A)の絡み合いが起こり易くなる。この場合、繊維(A)1本当たりが被覆する補強用繊維の面積比率が大きくなるため、補強用繊維に対する補強効果や、高温及び高歪下での接着力を大幅に向上させることができる。なお、「平均長さ」とは、繊維長さの平均値を意味し、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は偏光顕微鏡等で観察し、同一の測定深度の横断面内で無作為に抽出した50本以上の繊維長さを測定することで求められる。
本発明の接着剤組成物に用いる繊維(A)は、上記特定した範囲の平均径を有する繊維を紡糸できる材料である限り特に限定されるものではないが、具体例としては、熱可塑性高分子の他、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアリーレン、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン、それらの誘導体等の繊維が好適に挙げられる。これら繊維(A)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤組成物に用いる繊維(A)は、補強用繊維の接着剤組成物としての耐熱性が確保できれば特に限定されるものではなく、該繊維(A)の融点が接着剤組成物のマトリックスを構成する成分や補強用繊維によって強化される樹脂の耐熱温度以上であれば、極端に熱や応力が集中しない限り使用できるが、補強用繊維の強化対象がタイヤ用ゴム材料である場合には、該ゴム材料の耐劣化性の観点から、上記繊維(A)の融点が、165℃以上であるのが好ましく、200℃以上であるのが更に好ましい。また、温度が200℃を超えても依然として融点が観測されない繊維(A)も、200℃以上の融点を有する繊維に含まれるものとする。なお、繊維の融点は、示差走査熱量測定(DSC)法にて、繊維をそのままの状態で測定した値である。ここで、測定温度が200℃を超えても繊維が融解しない場合には、該繊維の融点を200℃以上とする。
本発明の接着剤組成物に用いる繊維(A)の製造方法は、平均径が4〜900nmの繊維を製造できる限り特に限定されるものではないが、例えば、(1)ポリマー溶液にプラスの高電圧を印加し、これをマイナスに帯電したターゲットに吹き付けるエレクトロスピニング法によって超々極細繊維を紡糸する手法や、(2)溶剤に対する溶解性が異なるポリマーからなるポリマーアロイ溶融体を、超々極細繊維が多数配列して含まれてなるように複合紡糸して延伸した後、易溶解性ポリマーを溶剤で除去する高分子相互配列体繊維法等が挙げられる。また、繊維を叩解によりリファイン(フィブリル化)する叩解法によって、繊維(A)を製造することもでき、具体的には、セルロース繊維やアラミド繊維等のフィブリル化が可能な繊維材料をリファイナー又は高圧ホモジナイザーを用いて解繊し、繊維(A)を製造することになる。繊維をフィブリル化することで、900nmを超える径の繊維を細化することができる。具体的には、フィブリル化されたセルロース繊維(以下、ミクロフィブリル化セルロース繊維ともいう)や芳香族ポリアミド繊維(以下、ミクロフィブリル化芳香族ポリアミド繊維ともいう)が挙げられる。なお、セルロース繊維については、例えば、アルカリ触媒の存在下、セルロース繊維をクロロ酢酸と反応させ、カルボキシメチルセルロースを合成することで、水溶性高分子にまで化学的に解繊する手法が知られるが、かかる方法により得られるセルロース繊維(即ち、水溶性高分子)の平均径は、上記繊維(A)の平均径から外れてしまう。また、上記繊維(A)の製造方法において、リファイナーを用いると、原料の繊維が完全に解繊されずに絡まった部分や全く解繊されなかった部分が残る場合があるが、解繊された部分の平均径が4〜900nmの範囲内で且つ平均長さが80〜105μmの範囲内であれば、本発明に係る繊維(A)に含まれるものとする。
本発明の接着剤組成物に用いる繊維(A)は、接着剤組成物中の含有量が、0.05〜50質量%の範囲であるのが好ましく、0.05〜30質量%の範囲であるのが更に好ましく、0.1〜30質量%の範囲であるのが一層好ましく、0.1〜15質量%の範囲であるのが特に好ましい。該繊維(A)の含有量が0.05質量%未満では、接着剤層の靭性の向上効果が十分に得られない場合があり、一方、50質量%を超えると、接着剤組成物の粘度が大幅に上昇するおそれがある。
本発明の接着剤組成物は、更に脂肪族エポキシド化合物(B)を含むことができる。樹脂エポキシド化合物(B)は、接着剤組成物の架橋剤として作用する化合物であって、分子中に2個以上、好ましくは4個以上のエポキシ基を有する化合物である。脂肪族エポキシド化合物(B)として、具体的には、ジエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレン・ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリチオール・ポリグリシジルエーテル、ジグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジルエーテル等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応生成物が挙げられる。脂肪族エポキシド化合物(B)の含有量は、接着剤組成物中、0〜99.05質量%の範囲が好ましく、10〜50質量%の範囲が更に好ましい。
本発明の接着剤組成物は、更に(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)を含むことができる。該化合物(C)は、接着剤組成物の被着体である樹脂材料(例えば、繊維材料)への接着を促進させる作用を有する化合物であって、極性官能基として(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。なお、「(ブロックド)イソシアネート基」とは、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。なお、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)の含有量は、接着剤組成物中、0〜99.05質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましい。
上記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含むのが好ましく、芳香族類がメチレン結合した分子構造を含むのが更に好ましい。芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、又はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等にみられる分子構造が挙げられる。
上記化合物(C)としては、芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物、水性ウレタン化合物(F)等が挙げられる。
上記芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤とを含む化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物等が好適に挙げられる。上記ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを、イソシアネート基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした反応生成物が挙げられる。具体的には、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製)やDELION社製PAS−037等の市販のブロックドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
上記水性ウレタン化合物(F)は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造、好ましくは芳香族類がメチレン結合した分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる。また、水性ウレタン化合物(F)は、その可撓性のある分子構造から、接着改良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤として接着剤の高温時流動化を抑止する作用も有する。
なお、「水性」とは、水溶性または水分散性であることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるいは本発明の接着剤組成物の水溶液中で相分離しないことをも意味する。
また、上記水性ウレタン化合物(F)としては、例えば、下記一般式(I):
Figure 2010254928

[式中、Aは芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)の活性水素が脱離した残基を示し、Yはイソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは複数の活性水素を有する化合物(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である]で表される水性ウレタン化合物が好ましい。
上記芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)としては、メチレンジフェニルポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。また、上記複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2〜4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)としては、(i)2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2〜C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3〜C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。更に、上記イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
上記化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
水性ウレタン化合物(F)は、具体的には、特公昭63−51474号公報に記載の方法等、公知の方法で製造できる。
本発明の接着剤組成物は、更に水溶性高分子(D)を含むことができる。水溶性高分子(D)は、改質剤として接着剤組成物に添加され、接着剤組成物マトリックスと相互作用することにより接着剤組成物を補強し、接着剤組成物の延性や破壊靭性を高める。特に、水溶性高分子(D)がカルボキシル基を含有する場合は、マトリックスを構成し得る脂肪族エポキシド化合物(B)や水性ウレタン化合物(F)等の架橋性官能基との架橋反応作用により、又は金属塩や金属酸化物とのイオン的相互作用により、上記延性や破壊靭性をさらに高めることができる。なお、水溶性高分子(D)の含有量は、接着剤組成物中、0〜70質量%の範囲が好ましい。
上記水溶性高分子(D)は、水又は電解質を含む水溶液に溶解性を示し、その構造に特に制限はなく、直鎖であっても、分岐していても、あるいは二次元、三次元に架橋していてもよいが、性能の点から直鎖又は分岐鎖の構造のみの重合体であることが好ましい。
上記水溶性高分子(D)は、分子内に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、オキサゾリン基、ヒドラジノ基、及びアジド基の親水性官能基のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。また、水溶性高分子(D)は、比較的高分子量域の高分子重合体であることが好ましく、その重量平均分子量が3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることが更に好ましく、80,000以上であることが一層好ましい。
上記水溶性高分子(D)として、具体的には、ポリアクリル酸;ポリ(α-ヒドロキシカルボン酸);アクリルアミド−アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体;イソブテン−無水マレイン酸共重合体等のα-オレフィン−無水マレイン酸共重合体;メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体等のアルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体;スチレン−アクリル共重合体;α-オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体又はこれら水溶性高分子の塩基性物質による中和物が挙げられ、これらの中でも、イソブテン−無水マレイン酸共重合体又はその塩基性物質による中和物が好ましい。
本発明の接着剤組成物は、更に熱可塑性高分子重合体(E)を含むことができる。熱可塑性高分子重合体(E)は、他の接着剤組成物を構成し得る架橋成分によって、硬く脆くなりがちな接着剤組成物マトリックスの可撓性を高める目的で、改質剤として作用する。このため、熱可塑性高分子重合体(E)は、網目状に絡み合い、接着剤層の靭性を向上させる目的で使用される重合体ではなく、繊維の形態で使用されず、例えば、ポリマー粒子の形態で使用される。即ち、熱可塑性高分子重合体(E)は、上記繊維(A)の範囲から外れるものである。なお、熱可塑性高分子重合体(E)の含有量は、接着剤組成物中、0〜18質量%の範囲が好ましい。
上記熱可塑性高分子重合体(E)は、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、酢酸ビニル・エチレン系重合体等のエチレン性付加重合体、及び直鎖構造を主体とするウレタン系高分子重合体を好ましく用いることができる。また、該熱可塑性高分子重合体(E)は、ペンダント基に架橋性官能基を含有させることができる。なお、「ペンダント基」とは、高分子鎖を修飾する官能基である。また、高分子鎖へのペンダント基の導入は、ペンダントさせる基を含む単量体を重合させる方法の他、ペンダント基を高分子鎖に化学的修飾反応で導入する方法等、既知の方法で行うことができる。上記ペンダント基の架橋性官能基としては、オキサゾリン基、ヒドラジノ基、または(ブロックド)イソシアネート基が好ましい。
上記熱可塑性高分子重合体(E)は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることが更に好ましい。また、上記熱可塑性高分子重合体(E)が水分散性であれば、水を溶剤に使用できるので、環境への汚染が少なくでき、好ましい。また、熱可塑性高分子重合体(E)のガラス転移温度は、-90℃〜180℃であることが好ましい。なお、「水分散性」とは、水中あるいは本発明の接着剤組成物の水溶液中で分散することを意味する。
本発明の接着剤組成物には、繊維(A)、脂肪族エポキシド化合物(B)、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)、水溶性高分子(D)及び熱可塑性高分子重合体(E)の他、接着剤組成物に通常使用される添加剤、例えば、金属塩、金属酸化物、ゴムラテックス等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、上記接着剤組成物は、繊維(A)に、必要に応じて適宜選択した各種添加剤を配合して、混合等することにより製造することができる。
本発明の接着剤組成物は、上記繊維(A)を含むため、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリケトン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維等の繊維に対し優れた接着性を有する。このため、タイヤ、ベルト、空気バネ、ゴムホース等のゴム物品の補強材として、かかる繊維をフィラメント、コード、ケーブル、コード織物、帆布等の形態で使用する場合、例えば、該繊維の表面に本発明の接着剤組成物を塗布し、その繊維表面を接着剤層で被覆することにより、被着体の繊維に対する補強効果が増大され、延いては、高温及び高歪下での接着力を増大できる。
次に、本発明の接着剤被覆繊維を、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の接着剤被覆繊維の一例の断面模式図であり、図2は、本発明の接着剤被覆繊維の他の例の断面模式図である。図1に示す接着剤被覆繊維1は、繊維2の表面が接着剤層3で被覆されている。なお、本発明の接着剤被覆繊維は、繊維の表面全体が接着剤層で被覆される必要はなく、少なくとも一部が接着剤層で被覆されていればよい。また、本発明の接着剤被覆繊維は、繊維中に接着剤組成物を含浸させることで、被着体の繊維2に対する補強効果を大幅に向上させることができる。なお、図1に示す接着剤被覆繊維1は、接着剤層3を一層のみ有するが、本発明の接着剤被覆繊維は、図2に示すように、接着剤層3,4を二層以上有することもできる。また、本発明の接着剤被覆繊維においては、使用する接着剤組成物の質量が、被着体の繊維の質量に対し0.2〜6.0質量%であるのが好ましい。
本発明の接着剤被覆繊維は、少なくとも接着剤層の最内層3が、本発明の接着剤組成物を用いて形成される限り特に制限されず、接着剤層の最内層3以外の接着剤層(例えば、接着剤層4)には、本発明の接着剤組成物以外の接着剤組成物を用いてもよい。即ち、繊維2の表面に接する接着剤層3に本発明の接着剤組成物が使用されることによって、被着体の繊維2に対する補強効果を大幅に向上させることができる。
また、本発明の接着剤被覆繊維は、少なくとも接着剤層の最外層が、ゴムを含有する接着剤組成物を用いて形成される場合、ゴム補強用繊維として好適である。即ち、図1に示す接着剤被覆繊維1においては、接着剤層3が一層のみからなるため、該接着剤層3は最内層であり且つ最外層となる。従って、図1に示す接着剤被覆繊維は、接着剤層3が本発明の接着剤組成物を用いてなるが、更にゴムを組み合わせて用いることができる。また、図2に示す接着剤被覆繊維1においては、接着剤層の最外層4がその最内層3と異なる層であるため、最外層4には任意のゴム含有接着剤組成物を選択することができる。なお、ゴム含有接着剤組成物とは、ゴムを含有する接着剤組成物を意味するが、該接着剤組成物には、本発明の接着剤組成物及びそれ以外の接着剤組成物が含まれる。また、本発明の接着剤被覆繊維を好適なゴム補強用繊維として使用する場合、上記ゴム含有接着剤組成物は、レゾルシン、ホルムアルデヒド及びゴムラテックスを含むのが好ましい。レゾルシンとホルムアルデヒドとゴムラテックスとを混合してなる接着剤組成物(RFL)は、一般にタイヤコードの接着剤として広く使用されている。
なお、上記ゴムとしては、特に制限はなく、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムを使用することができ、これらゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
本発明の接着剤被覆繊維を構成する繊維2としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリケトン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維等が挙げられ、フィラメント、コード、ケーブル、コード織物、帆布等の形態で使用される。また、本発明の接着剤被覆繊維を構成する繊維2は、複数の単繊維の集合体として使用することもできるが、該単繊維の平均径は、2μm以上であることが必要である。本発明の接着剤被覆繊維を構成する繊維2は、例えば、タイヤ、ベルト、空気バネ、ゴムホース等のゴム物品のコード補強材等として使用することを目的としているため、その単繊維のフィラメント平均径が2μm以上であるのが好ましく、15〜50μmの範囲が更に好ましい。
本発明の接着剤被覆繊維を、例えば、タイヤコードとして使用することを目的とする場合、該接着剤被覆繊維を構成する繊維2は複数のフィラメントを撚り合わせてなるコードの形態で使用されるのが好ましい。そして、このような撚糸コードは、下記式(II):
N1=n1×(0.125×D1/ρ)1/2×10-3 ・・・ (II)
[式中、N1は下撚り係数で、n1は下撚り数(回/10cm)で、D1は下撚り糸の表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である]で定義される下撚り係数N1が0.70以下であるのが好ましく、下記式(III):
N2=n2×(0.125×D2/ρ)1/2×10-3 ・・・ (III)
[式中、N2は上撚り係数で、n2は上撚り数(回/10cm)で、D2はコードの総表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である]で定義される上撚り係数N2が0.12〜0.90であるのが好ましい。下撚り係数N1が0.70を超えると、コードの弾性率が低くなる。該下撚り係数N1は0.15〜0.60の範囲が更に好ましい。また、上撚り係数N2が0.12未満では、コードがばらけるおそれがあり、一方、0.90を超えると、コードの弾性率が低くなる。該上撚り係数N2は0.18〜0.75の範囲が更に好ましい。
本発明において、繊維の表面を接着剤層で被覆する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、接着剤組成物に繊維を浸漬させる方法、接着剤組成物を繊維表面に塗布する方法、接着剤組成物を繊維に吹き付ける方法等が挙げられる。また、本発明の接着剤被覆繊維が二層以上の接着剤層を有する場合には、このような被覆処理を繰り返し行えばよい。更に、この被覆処理に際し、使用する接着剤組成物の粘度が高い場合には、接着剤組成物を単独で使用するのではなく、接着剤組成物と溶媒とを含む接着剤液を使用すればよい。なお、接着剤液には、接着剤組成物を構成する成分が溶媒中に完全に又は部分的に溶解した溶液、接着剤組成物を構成する成分が溶媒中に分布している分散液等が含まれる。
なお、上記溶媒としては、特に制限はなく、水の他、各種アルコール、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、メチルエチルケトン等の有機溶媒を使用することができ、これら溶媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。また、かかる溶媒が水であれば、環境的にも好ましい。
次に、本発明のゴム物品及び空気入りタイヤを詳細に説明する。本発明のゴム物品は、上述の接着剤被覆繊維、好ましくはゴム補強用繊維を用いたことを特徴とする。該接着剤被覆繊維は、繊維に対する補強効果や接着力が改善されているため、本発明のゴム物品は耐久性に優れる。また、本発明のゴム物品としては、特に制限はなく、タイヤ、ベルト、空気バネ、ホース等が挙げられる。なお、本発明のゴム物品は、例えば、常法に従って、上述の接着剤被覆繊維をゴムに貼り合わせたり、上述の接着剤被覆繊維をコーティングゴムで被覆することで得られる。
本発明の空気入りタイヤは、上述のゴム物品をタイヤ部材に用いたことを特徴とし、上記タイヤ部材としては、例えば、カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層、フリッパー等のベルト周り補強層等が挙げられる。なお、本発明の空気入りタイヤは、上述のゴム物品を用いる以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例中の固形分濃度は、JIS K6833−1994「接着剤の一般試験方法」における不揮発分の測定方法に準拠して測定された。
また、繊維の平均径は、繊維を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、同一の測定深度の横断面内で無作為に抽出した100本以上の繊維の単糸直径を測定することで求めた。なお、測定は少なくとも10箇所以上で行い、合計100本以上の単糸直径を測定した。
(繊維A-1)
繊維A-1を、以下に示すエレクトロスピニング法で作製した。
まず、6-ナイロン樹脂180gとギ酸820gとからなる噴霧原料を調製した。次に、噴霧原料を入れたシリンジと、該噴霧原料を押し出すシリンジポンプと、該噴霧原料が放出されるキャピラリー先端(紡糸口)とを具えるシステムを用い、連続的に噴射される噴霧原料を連続的に巻き取る回転体コレクターからなる電極に向けて、印加電圧15kV、紡糸口と電極間の距離15cm及び相対湿度25%の条件で、噴霧原料を噴射し、繊維の長さ方向と並行に配列したナイロンのナノファイバーの繊維ウェブを得た。なお、エレクトロスピニングの回転体コレクターにはドラムコレクターを使用した。回転体コレクターの回転速度は、噴射される噴霧原料の移動速度よりも速い回転速度であり、繊維の長さ方向と並行に巻き取ることができるように調整された。得られた繊維A-1は、繊維の長さ方向を揃えて、回転式ミクロトーム(ライカ社製RM2235)により、平均長さが1.0mmになるように切断された。なお、回転式ミクロトームを調整することで、種々の平均長さを有する繊維A-1を作製した。結果を表3に示す。
なお、接着剤液を調製するため、長さが調整された繊維A-1を水中に攪拌しながら分散させ、デカンテーションにより沈殿物を除き、自己分散した上澄み液を採取し、固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
また、上記水分散液に分散した繊維A-1を乾燥させて、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、繊維A-1の平均径は57nmであった。
(繊維A-1')
繊維A-1'を、以下に示すエレクトロスピニング法で作製した。
まず、6-ナイロン樹脂140gとギ酸860gとからなる噴霧原料を調製した。次に、噴霧原料を入れたシリンジと、該噴霧原料を押し出すシリンジポンプと、該噴霧原料が放出されるキャピラリー先端(紡糸口)とを具えるシステムを用い、連続的に噴射される噴霧原料を連続的に巻き取る回転体コレクターからなる電極に向けて、印加電圧25kV、紡糸口と電極間の距離25cm及び相対湿度23%の条件で、噴霧原料を噴射し、繊維の長さ方向と並行に配列したナイロンのナノファイバーの繊維ウェブを得た。なお、エレクトロスピニングの回転体コレクターにはドラムコレクターを使用した。回転体コレクターの回転速度は、噴射される噴霧原料の移動速度よりも速い回転速度であり、繊維の長さ方向と並行に巻き取ることができるように調整された。得られた繊維A-1'は、繊維の長さ方向を揃えて、回転式ミクロトーム(ライカ社製RM2235)により、平均長さが7.5mmになるように切断された。
なお、接着剤液を調製するため、長さが調整された繊維A-1'を水中に攪拌しながら分散させ、デカンテーションにより沈殿物を除き、自己分散した上澄み液を採取し、固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
また、上記水分散液に分散した繊維A-1を乾燥させて、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、繊維A-1の平均径は9nmであった。
(繊維A-2)
また、ポリイミド系ナノファイバーとして、海島構造紡糸方法で作製された群栄化学工業(株)製「GNF−I」[繊維A-2、平均径230nm、平均長さ200μm]を用いて、繊維A-2の固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。なお、該分散液は、使用前にホモジナイザーで再処理され、繊維の絡み合いを再度解いてから用いた。
(繊維A-3)
超高圧ホモジナイザー処理による強力な機械的せん断力を加えフィブリル化したミクロフィブリル化セルロース繊維[繊維A-3、平均径73nm、平均長さ183μm、ダイセル化学工業(株)製「セリッシュ FD−100」]を用い、以下に示す方法で、繊維A-3の固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
まず、東京スクリーン(株)製ステンレス試験用ふるい(JIS Z 8801)の呼び径が500μmのステンレススクリーンに繊維A-3を通し、次いで、超高圧ホモジナイザー[(株)スギノマシン製「スターバースト ラボ」]で再処理して繊維の絡み合いを解き、得られた懸濁液を遠心分離機((株)トミー精工製「TX−201」、回転数:15000rpm、換算最大遠心加速度:20880G)で遠心分離した上澄み液を使用し、風乾又は減圧乾燥によって濃度を調整し、繊維A-3の固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
また、得られた水分散液を担持体上に載せて乾燥した後、それを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、繊維A-3の単糸直径は10nm〜100nmの範囲内で、その平均径は73nmであった。
なお、この繊維A-3の平均長さについては、以下の方法で測定した。
繊維A-3の固形分濃度が10質量%の水分散液に精製水を加えて、その濃度が0.001質量%となるように調整し、得られた水分散液中の繊維の画像をオリンパス(株)製の偏光顕微鏡BHAによって撮影し、(株)日本ローパー製の画像解析ソフト「Image Pro plus 6.3」によって50本の繊維A-3の長径の長さを測定したところ、平均長さ183μmであった。
(セルロース系高分子A-4)
セルロース系水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロース[セルロース系高分子A-4、ダイセル化学工業(株)製「CMCダイセル1205」(粘度が500〜1000m・Paである水溶液(固形分濃度が10質量%))]を用い、セルロース系高分子A-4の固形分濃度が1質量%の水溶液を調製した。
なお、調製された水溶液について、オリンパス(株)製の偏光顕微鏡BHAで観察したところ、繊維A-3のような繊維の形成を溶液中で観察することができず、セルロース系高分子A-4の平均径及び平均長さは検出限界を下回り、その平均径は4nm未満で且つ平均長さは80μm未満であることを示す。
(繊維A-5)
通常の溶融紡糸方法によって得た6ナイロンからなる繊維をデジタルカッター[(株)造研製「ZKC−25」]によって1mm単位でカットし、繊維A-5[平均径8.94μm、平均長さ1mm]を得た。該繊維A-5を用いて、固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
(脂肪族エポキシド化合物B-1)
ソルビトールポリグリシジルエーテル[ナガセ化成工業(株)製「デナコールEX614B」]を脂肪族エポキシド化合物B-1として用い、該脂肪族エポキシド化合物B-1の固形分濃度が10質量%の水溶液を調製した。
(ブロックドイソシアネート基含有芳香族化合物C-1)
メチレンジフェニルの分子構造を含むブロックドイソシアネート基含有芳香族化合物C-1[第一工業製薬(株)製「エラストロンBN69」(固形分濃度40質量%)]を用い、該ブロックドイソシアネート基含有芳香族化合物C-1の固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
(水性ウレタン化合物F-1)
メチレンジフェニルの分子構造を含む熱反応型水性ウレタン樹脂[第一工業製薬(株)製「エラストロンBN77」(固形分濃度31質量%)]を水性ウレタン化合物F-1として用い、該水性ウレタン化合物F-1の固形分濃度が10質量%の水溶液を調製した。
(水溶性高分子D-1)
イソブチレンと無水マレイン酸との共重合体の水溶性高分子D-1[(株)クラレ製「イソバン04」]を用い、該水溶性高分子D-1の固形分濃度が10質量%の水溶液を調製した。
詳細には、攪拌機を備えたフラスコ中で、水212.5質量部と25%アンモニア12.5質量部とを混合した溶液に、攪拌しながら、水溶性高分子D-1(25.0質量部)を加えた。90℃近傍で、該水溶性高分子D-1が溶解したため、室温まで冷却した。なお、水溶性高分子を添加すると、水和熱により溶液の温度が90℃以上に上昇する場合があるため、突沸しないよう、徐々に添加した。
(熱可塑性高分子重合体E-1)
ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス[日本エイアンドエル(株)製「PYRATEX」(固形分濃度41質量%)]を熱可塑性高分子重合体E-1として用い、該熱可塑性高分子重合体E-1の固形分濃度が10質量%の水分散液を調製した。
(接着剤液S-1〜S-6)
まず、ビーカーに水400gを量り取り、十分に攪拌しながら、必要に応じてC成分〜F成分を投入し、次いでA成分、B成分の順序で投入して混合し、表1に示す配合処方の接着剤組成物を含む接着剤液を調製した。なお、ビーカー中に各成分を投入する際、各成分の固形分濃度は10質量%又は1質量%から2質量%に調製された。
Figure 2010254928
(接着剤液T-1)
まず、水524.01質量部、レゾルシン15.12質量部、ホルマリン(37質量%)16.72質量部、及び苛性ソーダ(10質量%)4.00質量部からなる混合物を調製し、室温にて8時間熟成し、レゾルシン−ホルムアルデヒド熟成液を得た。次いで、該レゾルシン−ホルムアルデヒド熟成液556.85質量部に、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス[JSR(株)製「JSR0655」、固形分濃度41質量%]233.15質量部及びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス[JSR(株)製「JSR2108」、固形分濃度40質量%]80.00質量部を添加し、室温にて16時間熟成し、接着剤液T-1を調製した。
(接着剤被覆繊維)
(1)第一接着処理
上記接着剤液S-1〜S-6中の成分が均一に分散するよう攪拌を行った後、該接着剤液に、コード繊度1670dtex/2、下撚り数38回/10cm、上撚り数38回/10cm、下撚り係数0.45及び上撚り係数0.65のタイヤ用アラミドコード[アラミド繊維、デュポン社製「ケブラー(登録商標)」]を浸漬し、次いで、該タイヤ用アラミドコードに付着した接着剤液中の溶媒を乾燥し、加熱による接着処理を施すことで、図1に示す構造のタイヤ用アラミドコードを得た。ここで、乾燥処理条件は、ドライ温度が140℃で、ドライ時間が60秒であり、加熱による接着処理条件は、ホット温度が190℃で、ホット時間が60秒であった。また、コードを被覆する接着剤組成物の質量は、バキューム吸引等で調整され、コードの質量に対し1.3質量%であった。
(2)第二接着処理
第一接着処理が施されたタイヤ用アラミドコードを接着剤液T-1に浸漬し、次いで、該タイヤ用アラミドコードに付着した接着剤液中の溶媒を乾燥し、加熱による接着処理を施すことで、図2に示す構造のタイヤ用アラミドコードを得た。ここで、乾燥処理条件は、ドライ温度が140℃で、ドライ時間が60秒であり、加熱による接着処理条件は、ホット温度が240℃で、ホット時間が60秒であった。また、第二接着処理においてコードを被覆するために用いた接着剤組成物の質量は、コードの質量に対し約1.5〜2.5質量%になるように、バキューム吸引等で調整された。
上記第二接着処理が施された、表3に示すタイヤ用アラミドコードについて、下記の方法で、初期接着性、高温時接着性及びタイヤ耐久性能を評価した。結果を表4に示す。
(1)初期接着性
天然ゴム80質量部、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム20質量部、カーボンブラック37質量部、ステアリン酸2質量部、石油系軟化剤[新日本石油(株)製2号スピンドル油]10質量部、パインタール4質量部、亜鉛華5質量部、N-フェニル-β-ナフチルアミン1.5質量部、2-ベンゾチアジルジスルフィド0.75質量部、ジフェニルグアニジン0.75質量部及び硫黄2.5質量部からなる配合の未加硫状態のゴム組成物に、第二接着処理が施されたタイヤ用アラミドコードを埋め込み、これを試験片として、160℃で20分間、20kgf/cm2の加圧下で加硫した。得られた加硫物を室温まで冷却し、該加硫物からコードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力を25±1℃の室温雰囲気温度にて測定した。なお、このときの抗力を初期接着力とした。また、剥離後のコードについて、ゴムの付着状態を観察し、表2に示す基準に従ってランク付けを行った。
Figure 2010254928
(2)高温時接着性
191±1℃の高温雰囲気温度に保持されたオーブン内でコードを加硫物から剥離する時の抗力を測定した以外は、上記初期接着性の評価方法と同様にして、剥離抗力を測定し、更に、表2に示す基準に従いゴムの付着状態をランク付けした。なお、このときの抗力を高温時接着力とした。
(3)タイヤ耐久性能
上記初期接着性の評価方法にて調製されたゴム組成物に第二接着処理が施されたタイヤ用アラミドコードを埋め込み、これをカーカスプライに用い、サイズ:215/60R16の乗用車用ラジアルタイヤを常法に従って作製した。JATMA YEAR BOOK−2007規格の適用リム(標準リム)に、得られたタイヤをリム組みし、25±2℃の室内にて内圧を200kPaに調整してから、24時間放置した後、タイヤの空気圧の再調整を行い、JATMA規格の100%の荷重(荷重620kgf、空気圧200kPa)をタイヤに付加し、速度60km/時で5万kmの距離を直径約3mのドラム上にて連続走行させた。これは、第二接着処理が施されたタイヤコードに市街地走行時の疲労を与えるために行った。
次に、走行後のタイヤについて、高温及び高歪下での高速ドラム耐久試験を行った。詳細には、米国FMVSSNO.109のテスト方法に準拠し、ステップスピード方式(30分毎にスピードを増加させる方式)にて、タイヤが故障するまでドラム走行テストを行った。なお、この試験においてタイヤの故障とは、タイヤショルダー部からサイド部に位置するカーカスプライ近傍で発生したセパレーションを指す。
そして、セパレーションが発生した箇所のコードについて、ゴムの付着状態を観察し、表2に示す基準に従ってランク付けを行った。
Figure 2010254928
Figure 2010254928
実施例のタイヤコードは、第一接着処理で用いた接着剤液に繊維が含まれていない比較例1のタイヤコード及び第一接着処理で用いた接着剤液に繊維が含まれているが、繊維の平均径又は平均長さが繊維(A)の範囲から外れている比較例2〜4のタイヤコードに比べて、初期接着性、高温時接着性及びタイヤ耐久性能がいずれも優れていることが分かる。
比較例2のタイヤコードの第一接着処理で用いた接着剤液は、セルロースが水溶性高分子にまで化学的に解繊された繊維を使用しており、比較例1と比べて、わずかに初期接着力を向上させるが、高温時接着力が低下している。これに対し、比較例2と繊維の材質及び含有量が同一のA成分が配合された接着剤液を用いた実施例8のタイヤコードは、比較例1のタイヤコードと比べて、初期接着性及びタイヤ耐久性能が大幅に向上し、高温時接着力をも向上させているのが分かる。
1 接着剤被覆繊維
2 繊維
3 接着剤層
4 接着剤層

Claims (16)

  1. 平均径が4〜900nmで且つ平均長さが80〜105μmである繊維(A)を含むことを特徴とする接着剤組成物。
  2. 更に、脂肪族エポキシド化合物(B)、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)、水溶性高分子(D)及び熱可塑性高分子重合体(E)よりなる群から選択される少なくとも一種の成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記繊維(A)の含有量が、接着剤組成物中0.05〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  4. 前記繊維(A)が、熱可塑性高分子からなることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  5. 前記繊維(A)は、融点が165℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  6. 前記繊維(A)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアリーレン、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも一種の繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  7. 接着剤組成物中、前記繊維(A)の含有量が0.05〜50質量%で、前記脂肪族エポキシド化合物(B)の含有量が0〜99.05質量%で、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物(C)の含有量が0〜99.05質量%であることを特徴とする請求項2に記載の接着剤組成物。
  8. 更に、接着剤組成物中、前記水溶性高分子(D)の含有率が0〜70質量%で、前記熱可塑性高分子重合体(E)の含有率が0〜18質量%であることを特徴とする請求項7に記載の接着剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物と溶媒とを含むことを特徴とする接着剤液。
  10. 繊維表面が接着剤層で被覆された接着剤被覆繊維において、
    前記接着剤層が、請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物又は請求項9に記載の接着剤液を用いてなることを特徴とする接着剤被覆繊維。
  11. 繊維表面が接着剤層で被覆された接着剤被覆繊維において、
    前記接着剤層が、請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物又は請求項9に記載の接着剤液とゴムとを用いてなることを特徴とする接着剤被覆繊維。
  12. 繊維表面が二層以上の接着剤層で被覆された接着剤被覆繊維において、
    前記接着剤層の最内層が、請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物又は請求項9に記載の接着剤液を用いてなり、
    前記接着剤層の最外層が、ゴム含有接着剤組成物又はその接着剤液を用いてなることを特徴とする接着剤被覆繊維。
  13. 前記接着剤層の最外層に用いるゴム含有接着剤組成物が、レゾルシン、ホルムアルデヒド及びゴムラテックスを含むことを特徴とする請求項12に記載の接着剤被覆繊維。
  14. ゴム補強用繊維であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の接着剤被覆繊維。
  15. 請求項14に記載の接着剤被覆繊維を用いたことを特徴とするゴム物品。
  16. 請求項15に記載のゴム物品をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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