JP2014214300A - 接着剤組成物、繊維、ゴム部材、空気入りタイヤ及びランフラットタイヤ - Google Patents

接着剤組成物、繊維、ゴム部材、空気入りタイヤ及びランフラットタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】接着性を損なうことなく、短繊維が接着剤中に高度に分散した接着剤組成物、該接着剤組成物を被覆した繊維、該繊維を用いたゴム部材、並びに該ゴム部材を用いた空気入りタイヤ及びランフラットタイヤを提供する。【解決手段】繊維径が2〜1000nmの超々極細繊維であり、水酸基の少なくとも一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基で修飾されたセルロース繊維(A)と、芳香族類をメチレン結合した構造を有する熱硬化性縮合物(B)と、ゴムラテックス(C)と、を含むことを特徴とする接着剤組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、接着剤組成物、該接着剤組成物で被覆された繊維、該繊維を用いたゴム部材、並びに該ゴム部材を用いた空気入りタイヤ及びランフラットタイヤに関する。
ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリケトン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維等は、高い初期弾性率や、優れた熱時寸法安定性を有しているため、フィラメント、コード、ケーブル、コード織物、帆布等の形態で、タイヤ、ベルト、空気バネ、ゴムホース等のゴム部材の補強材として極めて有用であり、これらの繊維とゴムとの接着性を改良させるため、種々の接着剤組成物、接着方法、接着剤処理を施した繊維等が提案されている。
しかし、これらのゴム部材の補強材として、ポリエチレンテレフタレート繊維あるいはポリエチレンナフタレート繊維などのポリエステル材料を使用する場合、ポリエステル材料は分子構造的に緻密であり、かつ官能基が少ないために、繊維材料とゴムとを良好に接着させる接着剤組成物が数多く提案されている。
接着剤組成物としては、被着させるゴム材料と樹脂材料を接着させるため、被着ゴム材料を接着させるためのゴムラテックスと、繊維などの樹脂材料を接着させるための熱硬化性縮合物を混合させた組成物が基本的に用いられており、この基本的な組成に、何らかの目的で添加される成分、例えば、接着改質剤、あるいは充填剤などが添加されて使用されている。
近年、上記の接着改質剤、あるいは充填剤として、糸径が1μm以下の超々極細繊維を配合して、タイヤ、タイヤコード向け接着剤組成物、樹脂コーティング材料に応用した事例が報告されている。タイヤに用いられるゴム組成物に配合する事例としては、例えば、特許文献1には、平均径0.5μm未満の短繊維の水分散液とゴムラテックスとを攪拌混合して得られるゴム/短繊維マスターバッチと製造方法、及びこのゴム/短繊維マスターバッチを配合したゴム組成物、及びこのゴム組成物を部材として適用した空気入りタイヤ、及びランフラットタイヤが開示されており、また例えば、特許文献2で、高分子ナノ繊維とジエン系エラストマーを含むタイヤが開示されている。
また特許文献3においては、空気入りタイヤに用いるゴム補強用繊維に用いる、ゴムラテックスと、高圧ホモジナイザーを用いた叩解により平均繊維径を1μm以下としたミクロフィブリル化セルロース短繊維とを混合してなる接着剤組成物が示されており、同接着剤組成物を繊維に塗布することで、繊維とゴムとの界面に高い剪断接着力を付与することができることが記載されている。
特許第3998692号公報 特開2009−144157号公報 特開2010−275642号公報
しかしながら、ミクロフィブリル化セルロース繊維を接着剤組成物に用いると、この短繊維が塊となりやすく、接着剤組成物を被覆した樹脂材料面の凹凸が大きくなり、コーティング被覆の平滑性が良くないことに起因して、接着力が低下する傾向がある、という問題がみられた。また、ゴムとの接着を行った場合、短繊維の塊がゴムの破壊起点となりやすい、という問題があった。叩解によるミクロフィブリル化によっては、繊維の太さは均一となりにくく、繊維径1μm超の繊維も残存することが、上記の現象の要因と考えられる。
また、ゴムラテックスを含有する接着剤組成物の場合、ゴムラテックスが繊維やその他樹脂と比較して剛性が低いため、ここに歪が集中し、破壊の起点となりやすい、という問題もあった。
そこで、本発明の目的は、短繊維を接着剤組成物中に高度に分散させることで、被着ゴムと被着物との接着性を損なうことなく、歪による破壊の生じにくい高い強度の接着剤層を形成し得る接着剤組成物、該接着剤組成物を被覆した繊維、該繊維を用いたゴム部材、並びに該ゴム部材を用いた空気入りタイヤ及びランフラットタイヤを提供することにある。
上記課題を解決するために提供される、本発明に係る接着剤組成物は、繊維径が2〜1000nmの極細繊維であり、水酸基の少なくとも一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基で修飾されたセルロース繊維(A)と、芳香族類をメチレン結合した構造を含有する熱硬化性縮合物(B)と、ゴムラテックス(C)と、を含むことを特徴とする。
上記セルロース繊維(A)は、加熱により被着ゴムと被着繊維との接着を行う熱硬化性縮合物(B)及び被着ゴムと共加硫接着するためのゴムラテックス(C)を含む接着剤組成物に配合した場合において、繊維の凝集が生じにくく、高度に分散しやすい、という利点を有する。セルロース繊維(A)が接着剤組成物中に高度に分散することで、接着剤組成物は、繊維による接着剤性の補強性を奏しつつ、被着ゴムと被着繊維との優れた接着性をも有し得る。
なお、本発明の「被着繊維」は、単繊維及び繊維集合体(撚りコード、編物等)を包含するものとする。
前記セルロース繊維(A)としては、天然セルロースを、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を反応させることにより得られるセルロース繊維を使用することが好ましい。天然セルロースを、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を反応させることで、効率的に水酸基の少なくとも一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基で修飾されたセルロース繊維を得ることができる。
前記極細繊維(A)の含有量は、前記接着剤組成物に対して、1〜30質量%とすることが好ましい。この範囲とすることで、接着剤組成物付与による接着剤組成物層の強化という効果を十分に奏することができ、かつ、被着ゴムと被着物との接着性を十分に維持し得る。
前記ゴムラテックス(C)は、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスからなる群のうち少なくとも1つを含むゴムラテックスとすることが好ましい。ゴムラテックスを上記のものとすることで、共加硫接着をより確実に行うことができる。
前記熱硬化性縮合物(B)は、レゾルシンとホルムアルデヒドとをレゾール化反応させて得られるレゾール化型縮合物、レゾルシンとホルムアルデヒドとをノボラック化反応させて得られるノボラック型縮合物、及びポリイソシアネート化合物から選択することが好ましい。
これらの熱硬化性縮合物を用いることにより、より高い接着効果を奏することができる。
本発明に係る繊維は、上記のいずれかの接着剤組成物で繊維材料を被覆してなる。本発明のゴム部材は、該繊維を用いたことを特徴とする。また、本発明の空気入りタイヤは、該ゴム部材をタイヤ部材に用いたことを特徴とし、本発明のランフラットタイヤは、該ゴム部材をタイヤ部材に用いたことを特徴とする。
本発明によると、短繊維を接着剤組成物中に高度に分散させることで、被着ゴムと被着物との接着性を損なうことなく、歪による破壊の生じにくい高い強度の接着剤層を形成し得る接着剤組成物、該接着剤組成物を被覆した繊維、該繊維を用いたゴム部材、並びに該ゴム部材を用いた空気入りタイヤ及びランフラットタイヤを提供することができる。
本発明の接着剤組成物で被覆した繊維の一例の断面模式図である。 本発明の空気入りタイヤの、繊維のゴムへの走行後接着耐久性の試験方法の一例を示す模式図である。
以下に、本発明の実施形態を例示的に説明する。
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、繊維径が2〜1000nmの極細繊維であり、水酸基の少なくとも一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基で修飾されたセルロース繊維(A)と、芳香族類をメチレン結合した構造を含有する熱硬化性縮合物(B)と、ゴムラテックス(C)と、を含むことを特徴とする接着剤組成物であり、これにより、接着性を損なうことなく、短繊維が接着剤中に高度に分散した接着剤組成物を提供することが可能である。
(セルロース繊維)
本発明の接着剤組成物は、超々極細繊維として、繊維径が2〜1000nmの、水酸基の少なくとも一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基で修飾されたセルロース繊維、すなわち、前処理を施したセルロース繊維を用いる。繊維径を2nm未満とすることは技術的に困難であり、また、繊維自体の強度を保つことができない。一方、繊維径が1000nm超であると、本発明の効果を十分に奏することができない。
上記超々極細繊維は、化学的な処理条件と比較的弱い分散力により、セルロースを微細繊維化することで製造可能である。すなわち、化学的にセルロースの水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基及び/またはアルデヒド基で修飾し、セルロースが化学的に個々の繊維に分散・離解した状態を形成する。このような状態のフィラメントを、以後、「離解フィラメント」と称する。
ここで原料として使用するセルロースとしては、セルロースI型結晶構造を有する天然セルロースを好適に挙げることができる。
天然セルロース等の原料セルロースから離解フィラメントを形成する化学的処理としては、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、原料セルロースに共酸化剤を反応させる表面酸化反応が好ましい。
セルロースの酸化触媒として使用可能なN−オキシル化合物は数多く報告されているが、特に2,2,6,6‐テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(4−ヒドロキシTEMPO)、4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をエーテル化もしくはエステル化して得られる4−ヒドロキシTEMPO誘導体、又はアザアダマンタン型ニトロキシラジカル、或いはそれらの混合物等を好適に使用することができる。これらN−オキシル化合物の添加は触媒量で十分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲で反応水溶液に添加する。
前記セルロース繊維(A)は、接着剤組成物中1〜30質量%となるよう配合することが好ましい。1質量%未満では配合による効果を得ることができない。また50質量%以上であると接着剤組成物でのセルロース繊維(A)の比率が多くなりすぎ、相対的に接着剤組成物中のゴムラテックス(C)あるいは熱硬化性縮合物(B)の成分量が少なくなり、被着繊維材料やゴム材料への初期の接着が低下する。更に好ましくは、前記セルロース繊維(A)の配合量は、前記接着剤組成物中1〜20質量%であることが好ましい。特に好ましくは10〜15質量%である。特に好ましい範囲においては、上記効果の上に、さらに、繊維の切断が起こりにくく、かつ、繊維材料の疲労を軽減し得る、いう効果を奏し得る。
(熱硬化性縮合物)
本発明の芳香族類をメチレン結合した構造を含有する熱硬化性縮合物(B)は、繊維材料への接着性を促進する配合成分として含ませる。これらは、天然物由来のフェノール樹脂類あるいは、フェニル環あるいはメラミン環などの六員環芳香族類をホルムアルデヒド類で縮合させることにより得られる、芳香族をメチレン結合させて構造を含有する熱硬化性縮合物である。具体的には、フェノール樹脂、置換フェノール樹脂、メラミン系樹脂、ポリメチレンポリフェニル構造を含むブロックドイソシアネート類、ポリメチレンポリフェニル構造を含むエポキシ類などの、フェノール環あるいはメラミン環化合物をアルデヒド類でメチレン結合して、縮合あるいは共縮合することで得られる縮合物、あるいは、天然物のフェノール樹脂類としてのオイルシェール等の乾留により得られる多価フェノール混合物(アルキレース)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。なお本発明においては、天然物のフェノール樹脂についても、フェノールとホルムアルデヒド縮合反応により得られる縮合物であれば、本発明の熱硬化性縮合物に含まれるものとする。特に好ましくは、熱硬化性縮合物(B)が、レゾルシンとホルムアルデヒドとをレゾール化反応させて得られるレゾール型縮合物、レゾルシンとホルムアルデヒドとをノボラック化反応させて得られるノボラック型縮合物などのフェノール樹脂類、ポリイソシアネート化合物、の一群から選ばれる化合物を、一種、又は複数種を含むことが好ましい。
前記熱硬化性縮合物(B)の配合量は、後述の前記ゴムラテックス(C)100質量部に対し、10〜300質量部であることが好ましい。ゴムラテックス(C)100質量部に対して熱硬化性縮合物(B)が10質量部未満であると、被着する繊維材料に熱硬化性縮合物が接着する相互作用が少なくなりすぎるため好ましくなく、また300質量部超になると、被着するゴム材料とゴムラテックス(C)の共加硫による接着力が少なくなり好ましくない。特に、38〜110質量部が好ましい。なおこれらの熱硬化性縮合物を2つ以上の種類で含ませるときには、ゴムラテックス存在下でレゾルシンとホルムアルデヒドを反応させて得られるレゾール型縮合物を用いるときは、前記熱硬化性縮合物(B)の配合量は、前記ゴムラテックス(C)100質量部に対し、4〜35質量部とすることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネートまたはポリエチレンポリフェニルポリイソシアネートと、イソシアネート基の熱解離性ブロック化剤との反応生成物が好適に例示できる。特に、ポリイソシアネート化合物は、芳香族をメチレン結合した構造を有する有機ポリイソシアネート類(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基の熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる水性ウレタン化合物(I)であることが好ましい。
(ゴムラテックス)
本発明においては、被着ゴムと被着繊維とを一浴処理で接着させるのに好適な接着剤組成物を提供するため、被着ゴムと共加硫接着するためのゴムラテックス(C)を、該接着剤組成物に含ませる。本発明では一般的に接着剤組成物に用いられる、ジエン構造を含むゴムラテックスを用いて、被着ゴム材料と硫黄により共加硫反応で接着させることが好ましい。
本発明で使用するゴムラテックス(C)は、前述の通り、従来から使用されている「ジエン構造を含むゴムラテックス」であれば特に限定されないが、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン重合体ゴムラテックス、あるいは、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスを含むものを使用することが好ましい。
(その他の成分)
本発明の接着剤組成物は、上記セルロース繊維、熱硬化性縮合物及びゴムラテックスの他に、必要に応じて他の成分を含有させることができる。好適な成分としては、脂肪族エポキシド化合物が挙げられ、接着剤組成物の架橋剤として含有させることが好ましい。脂肪族エポキシド化合物としては、脂肪酸のグリシジルエステル類、脂肪族(多価)アルコールのグリシジルエーテル類、環状脂肪族エポキシド化合物類などが挙げられる。このエポキシド化合物は、特に可撓性エポキシド樹脂である、長鎖脂肪酸のグリシジルエステルや多価アルコールのグリシジルエーテルなどが好ましく用いられる。
前記脂肪族エポキシド化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含む化合物であることが好ましい。また、前記2個以上のエポキシ基を含む化合物が、多価アルコール類とエピクロルヒドリンの反応生成物であることが好ましい。特に好ましくは、1分子中にエポキシ基が4個以上である。この理由は前記のとおり、脂肪族エポキシド化合物は接着剤組成物へ架橋剤成分として使用し、接着剤組成物の高温領域での応力によるクリープやフローを抑制するためであるが、エポキシ基が多官能であるほどこの抑制効果が高く、高温での接着力が高くなるため好ましい。
かかるポリエポキシド化合物は、水に溶解、または乳化により水に分散させて使用できる。乳化液とするには、例えば、かかるポリエポキシド化合物をそのまま水に溶解するか、あるいは必要に応じて少量の溶媒に溶解したものを、公知の乳化剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて水に乳化できる。
その他、本発明の接着剤組成物には、溶媒、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、酸化防止剤等を添加してもよい。上記溶媒としては、特に制限はなく、水の他、各種アルコール、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、メチルエチルケトン等の有機溶媒を使用することができ、これら溶媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
(線膨張率)
本発明の接着剤組成物は、その線膨張率が60ppm/℃以下、特に30ppm/℃であることが好ましい。接着剤組成物に超々極細繊維が含まれると、接着剤組成物層の線膨張率が小さくなる。これにより、例えば、タイヤ使用時の熱により被着する繊維材料と接着剤組成物が熱で膨張するが、繊維を被覆して包む接着剤組成物の線膨張率が少なくなるほど、繊維に対してこれを包む接着剤組成物の締め付けが大きくなるために好ましい。本発明において、線膨張率とは、接着剤組成物を所定の厚さ、大きさに切りだしたフィルムサンプルを用いて、熱応力歪測定分析装置(例えば、セイコー電子工業株式会社製、TMA/SS150C)により測定し算出したもの、あるいは、フィルムサンプルに代えて、被着繊維等の断面方向の切片から、接着剤組成物をサンプル採取し、顕微鏡ホットステージ(例えば、メトラー・トレド社DSCセンサー付顕微鏡加熱冷却ステージFP84HT及び温度制御コントローラー)を装着した顕微鏡下で採取サンプル長径を測定して算出したものを指し、具体的には下記式で表される。
線膨張率=(180℃時点の長さ−60℃時点の長さ)/60℃時点の長さ×100−100
<接着剤組成物で被覆した繊維(被着繊維)>
上記接着剤組成物を、タイヤコード等を構成する繊維にコーティングすることで、接着剤組成物被覆繊維を調製する。繊維材料としては、樹脂、金属等いずれも使用可能であるが、強度が高く、低コストで製造可能である、という利点を有することから、ポリエステル繊維、特に、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維を好適に使用できる。ポリエステル繊維は、ゴムとの接着性が低い、との問題があったものの、本発明の接着剤組成物を表面に被覆することにより、ゴムとの接着性が充分に向上することが見出された。これにより、高強度、低コスト、かつゴムとの接着性が良好な繊維を得ることが可能となった。
補強用に使用される繊維の単糸平均径は、1〜1000μm、特に1〜100μmが好ましい。被着繊維の径が1μm未満であると、接着破壊時に接着層部位が破壊するより先に、被着材であるフィラメントが切断してしまう「毛羽立ち破壊」が生じやすくなるためである。
本発明の接着剤組成物で被覆した繊維を、例えば、タイヤコードとして使用する場合、図1における該接着剤組成物被覆繊維1を構成する繊維2は複数のフィラメントを撚り合わせてなるコードの形態で使用されるのが好ましい。そして、このような撚糸コードは、下記式(I):
N1=n1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 ・・・ (I)
(式中、N1は下撚り係数で、n1は下撚り数(回/10cm)で、D1は下撚り糸の表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である)
で定義される下撚り係数N1が0.70以下であるのが好ましく、下記式(II):
N2=n2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 ・・・ (II)
(式中、N2は上撚り係数で、n2は上撚り数(回/10cm)で、D2はコードの総表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である)
で定義される上撚り係数N2が0.12〜0.90であるのが好ましい。下撚り係数N1が0.70を超えると、コードの弾性率が低くなる。該下撚り係数N1は0.15〜0.60の範囲が更に好ましい。また、上撚り係数N2が0.12未満では、コードがばらけるおそれがあり、一方、0.90を超えると、コードの弾性率が低くなる。該上撚り係数N2は0.18〜0.75の範囲が更に好ましい。
また、本発明においては、コードの総表示デシテックス数が2000〜4000dtexであることが好ましい。総繊度が2000dtex未満であると、コード径が細くなり、コード強力とコード剛性が著しく小さくなるため、高速走行時のタイヤ迫り出し増加に伴う高速耐久性の悪化や耐摩耗性の悪化といった問題を生じる。一方、4000dtexを超えると、ベルト補強層の厚みが過大になり、ゴム使用量も多くなるため、タイヤの重量増加し、転がり抵抗が悪化するといった問題を生じる。
接着加工においては、一液形態で接着加工可能であるとエネルギーおよびコスト面で優れる。また接着処理による接着剤組成物の付着量が厚くなるとタイヤ転動下での接着耐久性が低下する傾向がある。この理由は、被着する繊維材料の界面の接着剤組成物は、繊維材料の剛性が高いため歪による応力を負担することにより比較的に変形小さくなるが、界面から離れるに従って歪による変形が大きくなるためである。被着ゴム材料に比べて接着剤組成物は熱硬化性縮合物を多く含むため、硬くもろいことにより繰り返し歪下での接着疲労が大きくなりやすい。以上より、図1に示す接着剤組成物層3の平均厚さは50μm以下が好ましく、特に5〜20μmが好ましい。
本発明において、繊維の表面を接着剤層で被覆する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、接着剤組成物に繊維を浸漬させる方法、接着剤組成物を繊維表面に塗布する方法、接着剤組成物を繊維に吹き付ける方法等が挙げられる。また、本発明の接着剤被覆繊維が二層以上の接着剤層を有する場合には、このような被覆処理を繰り返し行えばよい。更に、この被覆処理に際し、使用する接着剤組成物の粘度が高い場合には、接着剤組成物を単独で使用するのではなく、接着剤組成物と溶媒とを含む接着剤液を使用すればよい。なお、接着剤液には、接着剤組成物を構成する成分が溶媒中に完全に又は部分的に溶解した溶液、接着剤組成物を構成する成分が溶媒中に分布している分散液等が含まれる。
なお、上記溶媒としては、特に制限はなく、水の他、各種アルコール、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、メチルエチルケトン等の有機溶媒を使用することができ、これら溶媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。また、かかる溶媒が水であれば、環境的にも好ましい。
繊維上に付与した接着剤組成物を乾燥させた後に行う熱処理は、繊維のポリマーのガラス転移温度以上、好ましくは、該ポリマーの〔融解温度−70℃〕以上、〔融解温度−20℃〕以下の温度で施すのが好ましい。ポリマーのガラス転移温度未満では、ポリマーの分子運動性が悪く、接着剤組成物のうちの、接着/粘着付与樹脂とポリマーとが十分な相互作用を行えないため、接着剤組成物と繊維の結合力が得られないためである。また、ポリマーの〔融解温度−20℃〕を越える温度では繊維材料や接着剤組成物中のゴムラテックスが劣化傾向にある。
このようにして得られた繊維を未加硫ゴムに埋設し加硫することによって該繊維とゴムを強固に接着させることができる。
<ゴム部材>
次に、本発明のゴム部材、空気入りタイヤ及びランフラットタイヤについて説明する。本発明のゴム部材は、上述の接着剤組成物被覆繊維、好ましくはゴム補強用繊維を用いたことを特徴とする。該接着剤組成物被覆繊維は、繊維に対する補強効果や、被着ゴムと被着物との接着力が改善されているため、本発明のゴム部材は耐久性に優れる。また、本発明のゴム部材としては、特に制限はなく、タイヤ、ベルト、空気バネ、ホース等が挙げられる。なお、本発明のゴム部材は、例えば、常法に従って、上述の接着剤組成物被覆繊維をゴムに貼り合わせたり、上述の接着剤組成物被覆繊維をコーティングゴムで被覆することで得られる。
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、上述のゴム部材をタイヤ部材に用いたことを特徴とし、上記タイヤ部材としては、例えば、カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層、フリッパー等のベルト周り補強層等が挙げられる。なお、本発明の空気入りタイヤは、上述のゴム部材を用いる以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。
<ランフラットタイヤ>
本発明のランフラットタイヤは、上述のゴム部材をタイヤ部材に用いたことを特徴とする。タイヤの内圧が低下した状態でのランフラット走行では、タイヤの変形が大きく発熱が進むため、特に歪み応力が集中する場所では繊維が熱変形するほどの高温に達し、これにより繊維とゴムとの接着が不十分となるおそれがある。したがって、ランフラットタイヤにおいて、本発明の接着剤組成物、繊維、ゴム部材を使用する利点は大きいといえる。ランフラットタイヤにおいて、上記のゴム部材を適用可能なタイヤ部材としては、例えば、カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層、フリッパー等のベルト周り補強層等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の固形分濃度は、JIS K 6833−1994「接着剤の一般試験方法」における不揮発分の測定方法に準拠して測定した。また、セルロース繊維(A)の平均径は、繊維を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、同一の測定深度の横断面内で無作為に抽出した100本以上の繊維の単糸直径を測定することで求めた。なお、測定は少なくとも10箇所以上で行い、合計100本以上の単糸直径を測定した。
(繊維A−1)
超高圧ホモジナイザー処理による強力な機械的剪断力を加えミクロフィブリル化したセルロース繊維である、ダイセル化学社商品セリッシュFD−100を以下の方法で、2質量%濃度に水希釈して用いた(比較例)。
(繊維A−2)
0.050gの2,2,6,6‐テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルを、乾燥質量で5g相当分のパルプと0.5gの臭化ナトリウムを水300mLに分散させ、その後13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、パルプ乾燥質量1gあたり2mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始する。反応終了までpHが変化するがpH10.5に保たれるように、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。反応終了後、0.5Mの塩酸水溶液でpH7に中和し、水洗を行い、2質量%で水分散した繊維A−2を得た。この分散体をグリッド上にキャストしてTEM観察を行ない、最大繊維径が830nm、数平均繊維径が19nmであり、また繊維A−2を、乾燥させて得られたフイルムの広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造を有するセルロースからなり、反射モードの赤外吸光スペクトルでカルボニル基が存在することを確認した。
(熱硬化性縮合物B−2)
温度計、撹拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応装置に、レゾルシンを100質量部、水を16.3質量部仕込み、室温で溶解後、110℃で撹拌しながら37%ホルマリン97.7質量部を0.5時間かけて滴下し、更に6.0時間撹拌を続けた後、90℃まで冷却したところで、反応を抑止するため、pH調整剤として1Nのアンモニア溶液1.3質量部を加えてpHを約4に調整し、室温まで冷却し、反適宜水添加することにより、濃度30質量%のノボラック型縮合物液を熱硬化性縮合物B−2として得た。
(熱硬化性縮合物B−3)
ポリメチレンポリフェニルの分子構造を含む熱反応型水性ウレタン樹脂(第一工業製薬(株)製「エラストロンBN77」(濃度31質量%))を水性ウレタン化合物として用い、水を添加し、固形分濃度が30質量%の水溶液を調製した(B−3)。
(熱硬化性縮合物B−4)
メチレンジフェニルの分子構造を含むブロックドイソシアネート基含有芳香族化合物として、第一工業製薬(株)製「エラストロンBN69」(濃度40質量%)を用い、水を添加し、固形分濃度が30質量%の水溶液を調製した(B−4)。
(ゴムラテックスC−1)
ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR0655、JSR(株)製、固形分濃度41%、pH実測値=10.7)をゴムラテックスC−1として用いた。
(ゴムラテックスC−2)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR2108、JSR(株)製、固形分濃度40%、pH実測値=10.6)をゴムラテックスC−2として用いた。
(接着剤液の調製)
まず、レゾール型レゾルシンホルムアルデヒド縮合物(B−1)を調製するため、水69.5重量部、レゾルシン10.58重量部、37%ホルムアルデヒド液8.89重量部、10%水酸化ナトリウム水溶液1.4重量部を、この順に、よく攪拌しながら配合した混合物を調製した。この混合物を室温で8時間熟成して、レゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物液を得た。次に、このレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物液に、表1に示す重量部の水、ゴムラテックスC−1、ゴムラテックスC−2を表1に示す料で添加して、室温で24時間静置した後に、その他の熱硬化性縮合物(B−2、B−3、あるいはB−4)、及び、セルロース繊維(A)を添加した。
Figure 2014214300
(接着剤被覆繊維)
表1に示すタイヤ用ポリエステル繊維(コード構造1670dtex/2、平均繊維径25μmの単フィラメントを束ねた1670dtex原糸を2本撚りで撚糸したコード)に、上記で製造の接着剤液を浸漬し、次いで、該タイヤ用ポリエステル繊維に付着した接着剤液中の溶媒を乾燥し、加熱による接着処理を施すことで、図1に示す構造のタイヤ用接着剤組成物被覆ポリエステル繊維を得た。ここで、乾燥処理条件は、ドライ温度が140℃で、ドライ時間が75秒であり、加熱による接着処理条件は、ホット温度が240℃で、ホット時間が150秒であった。また、第二接着処理において繊維を被覆するために用いた接着剤組成物の平均付着率が5%程度(付着最大厚さ約40μm程度)となるよう、バキューム吸引等で調整した。
本接着剤組成物のダマ付性の他の評価として、接着剤組成物液を10質量%になるように水で薄め、縦10cm×横10cmの容器に1mLのトレーに入れて、乾燥後にドライ温度が140℃で、ドライ時間が75秒であり、加熱による接着処理条件として、ホット温度が240℃で、ホット時間が150秒で処理したのち、常温に冷却し、トレー容器の底に張り付いている箇所を、トレー容器ごと切断して、切断した膜断面で50断面を観察し、膜厚をレーザー顕微鏡で測定し、最大となる膜厚を表2に示す。これにより、おなじ接着剤組成物において、ミクロフィブリル化繊維を配合したものは最大膜厚が50μm以上となるムラ付が発生し、膜厚さ50μm以下となる、本接着剤組成物の被覆繊維の箇所で、課題が発生する事が明らかである。
Figure 2014214300
上記接着処理が施された、表1に示すタイヤ用ポリエステル繊維について、下記の方法で、繊維の接着剤組成物の付着性、初期接着性、タイヤ耐久性能、及び接着剤フイルムの線膨張率を評価した。結果を表1に示す。
(1)タイヤ用繊維の表面付着形態
タイヤ用繊維表面の目視による、ムラ付きを表1に〇×で評価した。
(2)初期接着性
天然ゴム80質量部、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム20質量部、カーボンブラック35質量部、ステアリン酸2質量部、石油系軟化剤[新日本石油(株)製2号スピンドル油]10質量部、パインタール4質量部、亜鉛華4質量部、N-フェニル-β-ナフチルアミン1.5質量部、2−ベンゾチアジルジスルフィド0.75質量部、ジフェニルグアニジン0.75質量部及び硫黄2.3質量部からなる配合の未加硫状態のゴム組成物に、第二接着処理が施されたタイヤ用繊維を埋め込み、これを試験片として、160℃で20分間、20kgf/cmの加圧下で加硫した。得られた加硫物を室温まで冷却し、該加硫物からタイヤ用繊維を掘り起こし、30cm/分の速度でタイヤ用繊維を加硫物から剥離する時の抗力を25±1℃の室温雰囲気温度にて測定した。なお、このときの抗力を初期接着力とした。また、剥離後のタイヤ用繊維について、ゴムの付着状態を観察し、表3に示す基準に従ってランク付けを行った。
(3)タイヤ耐久性能
(空気入りタイヤ)
上記初期接着性の評価方法にて調製されたゴム組成物で接着処理が施されたタイヤ用繊維を埋め込み、これをカーカスプライに用い、サイズ:205/55R16の乗用車用ラジアルタイヤを常法に従って作製した。JATMA YEAR BOOK−2007規格の適用リム(標準リム)に、得られたタイヤをリム組みし、25±2℃の室内にて内圧を200kPaに調整してから、24時間放置した後、タイヤの空気圧の再調整を行い、JATMA規格の100%の荷重(荷重620kgf、空気圧200kPa)をタイヤに負荷し、速度60km/時で5万kmの距離を直径約3mのドラム上にて連続走行させた。これは、接着処理が施されたタイヤ用繊維に市街地走行時に近い走行条件であるが、より高い荷重負荷の条件で、走行時の熱劣化と疲労を与えるために行った。このタイヤのショルダー部より、繊維を含むテスト用の試験片を切り出し、この試験片から繊維を30cm/分の速度で加硫物から剥離させ、剥離後の繊維にういて、ゴムの付着状態を観察し、表3に示す基準にしたがって、ランク付けを行った。なお、上記の試験片は、図2に示すように、繊維の軸歩行に沿って、繊維表面から0.1〜0.7mmのゴムが残存するようにゴムを切り出して作成した。図2に示すように、掘り起こした繊維を引張試験機で30cm/分の速度で試験片から剥離し、剥離後の繊維表面のゴム付着状態を観察した。
(ランフラットタイヤ)
上記ゴム組成物で接着処理が施されたタイヤ用繊維を埋め込み、これをカーカスプライに用い、サイズ:225/55R17のランフラットタイヤを常法に従って作製した。JATMA YEAR BOOK−2007規格の適用リム(標準リム)に、得られたタイヤをリム組みし、このタイヤに空気圧:230kPaを封入してから38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き内圧を大気圧として、荷重5.19kN(530kg)、速度89km/h、室温38℃の条件でドラム走行テストを行った。比較例6の繊維を用いたランフラットタイヤの故障発生までの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、故障発生までの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。評価結果を表1に示す。なお、この試験においてタイヤの故障とは、タイヤショルダー部からサイド部に位置するカーカスプライ近傍で発生したセパレーションを指す。そして、セパレーションが発生した箇所のタイヤ用繊維について、ゴムの付着状態を観察し、表3に示す基準に従ってランク付けを行った。
Figure 2014214300
注)通常、フィラメントが切れている状態は、剥離試験時の破壊が、接着層より繊維フィラメントに発生しており、接着がよいことを示す。
各接着剤組成物の線膨張率は、60℃〜180℃間の線膨張率を熱応力歪測定分析装置(セイコー電子工業株式会社製、TMA/SS150C)を用いて5℃/分の加熱速度、空気雰囲気で測定した。試験片のサイズを20mm(長)×5mm(幅)とし、まず室温〜200℃の温度範囲内でファーストランを行なって熱処理を行い、その後室温まで冷却し、セカンドランを行なった結果から、次式により線膨張率を計算した。
線膨張率=(180℃時点の長さ−60℃時点の長さ)/60℃時点の長さ×100−100
表1に示すように、本発明の接着剤組成物を被覆した繊維を用いた空気入りタイヤ、ランフラットタイヤにおいては、繊維のゴム付きにおいて、比較例と比して良好な結果を示したことから、本発明の接着剤組成物は、被着ゴムと被着繊維との良好な接着性を奏することが分かった。また、本発明の接着剤組成物を用いた空気入りタイヤ、ランフラットタイヤにおいては、すぐれた走行時耐久性を示し、これにより、接着剤組成物による十分な補強効果が得られることが分かった。
本発明は、空気入りタイヤ及びランフラットタイヤの製造の分野で利用可能である。また、本発明の接着剤組成物は、ゴムと繊維材料との接着を要する全ての分野において、利用可能である。
1…接着剤組成物被覆繊維、2…繊維、3…接着剤組成物層。

Claims (9)

  1. 繊維径が2〜1000nmの超々極細繊維であり、水酸基の少なくとも一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基で修飾されたセルロース繊維(A)と、
    芳香族類をメチレン結合した構造を有する熱硬化性縮合物(B)と、
    ゴムラテックス(C)と、を含むことを特徴とする接着剤組成物。
  2. 前記セルロース繊維(A)が、天然セルロースを、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を反応させることにより得られるセルロース繊維である、請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 前記ゴムラテックス(C)が、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスからなる群のうち少なくとも1つを含むゴムラテックスである、請求項1記載の接着剤組成物。
  4. 前記熱硬化性縮合物(B)が、レゾルシンとホルムアルデヒドとをレゾール化反応させて得られるレゾール化型縮合物、レゾルシンとホルムアルデヒドとをノボラック化反応させて得られるノボラック型縮合物、及びポリイソシアネート化合物からなる群のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の接着剤組成物。
  5. 前記繊維(A)が、前記接着剤組成物中1〜30質量%である、請求項1に記載の接着剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物で繊維材料を被覆してなる、ことを特徴とする繊維。
  7. 請求項6に記載の繊維を用いたことを特徴とするゴム部材。
  8. 請求項7に記載のゴム部材をタイヤ部材に用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  9. 請求項7に記載のゴム部材をタイヤ部材に用いたことを特徴とするランフラットタイヤ。
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