JP2017150106A - ポリエステル繊維コード - Google Patents

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【課題】従来技術では達成できなかった、接着剤付着量を抑えた上で、繊維とゴムとの接着性が実用上十分であるポリエステル繊維コードの提供。【解決手段】レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着剤によって被覆されてなるポリエステル繊維コードであって、コード最外層を構成するモノフィラメント群2に付着している接着剤の付着量がコード付着量全体に対して30%以上であるポリエステル繊維コード及びそれを使用したゴム製品。撚り係数が200〜2000の片撚りコードであることが、好ましく、更に、コード表層のみの付着量がコード付着量全体に対して50%以上であることが好ましい、ポリエステル繊維コード。【選択図】図1

Description

本発明は、ホースなどに使用されるポリエステル繊維コードに関する。さらに詳しくは、高弾性率を有し、かつ接着剤付着量が少量でも高接着力を有するポリエステル繊維コードの製造方法に関する。
ポリエステル繊維は、優れた強度、弾性率および熱寸法安定性を有するため、タイヤ、ホース、ベルトなどのゴム製品用補強材として従来から広く使用されている。しかし、ゴムとの充分な接着力を有するには接着剤付着量を多くする必要があり、そのため高コストになることや接着剤カスの発生による工程通過性が悪化するという問題があった。
これらの問題を解決する方法として、以下の提案がされている。
特許文献1には、接着剤含浸時にニップローラーでニップする方法が開示されている。
特許文献2には、ケイ素とマグネシウムが主たる構成元素であって、このケイ素/マグネシウムの比が1/(0.1〜1.0)であるケイ酸塩化合物を接着剤マトリックス成分に配合したゴム・繊維用接着剤組成物が開示されている。
特許文献3には、脂肪族ポリエポキシド化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、ガラス転移点が−30〜0℃であるビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスの3種を含む第1処理剤によって被覆され、さらにその外層としてレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなる有機ポリエステル繊維コードであって、かつ、1浴目ホットストレッチ張力が0.05〜0.40cN/dTexで処理されてなることを特徴とする有機ポリエステル繊維コードの製造方法が開示されている。
特開平7−216755号公報 特開平8−100165号公報 特開2013−76186号公報
しかしながら特許文献1においてもいまだ接着力が充分とは言えないものだった。特許文献2によると耐疲労性は改善された。しかしながら、上記従来技術は、さらに接着剤付着量に対し十分な接着力を有するとはいい難かった。特許文献3によると接着力が充分であり耐疲労性も改善されたが、接着剤付着量が多くなり高コストになる問題があった。
そこで本発明は、上述した従来技術では達成できなかった、接着剤付着量が少なくても高接着力なポリエステル繊維コードを提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討し、コード表層に接着剤を偏在させることで少ない接着剤付着量でも充分な接着力を発現できることを突き止めた。コードの内層に染み込んだ接着剤がゴムとの接着に果たす役割は小さいためである。
即ち
(1)レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着剤によって被覆されたポリエステル繊維コードであって、コード表層の接着剤の付着量がコードの付着量全体に対して30%以上であるポリエステル繊維コード。
(2)撚り係数が200〜2000の片撚りコードである上記(1)に記載のポリエステル繊維コード。
(3)ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートである上記(1)または(2)のいずれかに記載のポリエステル繊維コード。
(4)コード表層の接着剤の付着量がコードの付着量全体に対して50%以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル繊維コード。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル繊維コードを使用したゴム製品。
本発明によれば、ゴム製品中で使用された時に少量の接着剤使用量で接着性が実用上十分である繊維コードが得られる。それから得られるゴム製品は、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に長期間の過酷な使用に耐えることができる。
図1はコード表層に付着する接着剤の量を測定する際、コード表層に付着する接着剤の面積を説明するための繊維の断面写真である。
以下に、本発明について詳述する。
本発明のポリエステル繊維コードは、ポリエステル繊維からなるコードである。本発明のポリエステル繊維コードは、ホース等のゴム部材に用い、ゴム部材の軽量化、耐久性向上を図ることができる。
上記ポリエステル繊維コードに用いるポリエステル繊維としては、マルチフィラメントの形態であることが好ましい。また、ポリエステル繊維を構成する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で好ましく、なかでもポリエチレンテレフタレートを含むことがより好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤等を配合することも可能である。
また、本発明で用いるポリエステル繊維は、あらかじめ製糸工程においてポリエポキシド化合物が付与されたものであってもよい。本発明で使用することのできるポリエポキシド化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.1g当量以上含有する化合物を挙げることができる。具体的には、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキリレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペート、フェノールノボラック型、ハイドロキノン型、ビフェニル型、ビスフェノールS型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシフェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェノール型のポリエポキシド等の芳香族ポリエポキシド等が挙げられる。特に好ましいのは、ソルビトールグリシジルエーテル型やクレゾールノボラック型のポリエポキシドである。
これらの化合物は、通常は乳化液や溶液として使用される。溶液にするには、該化合物をそのままか水に溶かして用いる。乳化液にするには必要に応じて少量の溶媒に溶解したものを公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化して用いる。
該ポリエポキシド化合物は、ポリエステル繊維の製糸工程において紡糸油剤と共に付与される。この際の該ポリエポキシド化合物の付着量は、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。該ポリエポキシド化合物の付着量が上記範囲であれば、ポリエポキシド化合物の効果が十分に発揮され、ポリエステル繊維とゴムとの間で満足できる接着性が得られる。また、上記範囲であれば、繊維が硬くなりすぎず、次工程以降で撚糸する際に強力が低下しにくい。
本発明で用いるポリエステル繊維は、繊度、フィラメント数、断面形状等の制約を受けないが、通常、200〜5000dtex、30〜1000フィラメント、円断面糸が用いられ、250〜3000dtex、50〜500フィラメント、円断面糸が好ましい。
本発明のポリエステル繊維コードは、通常上記ポリエステル繊維を撚糸して生コード(撚りコード)とし、接着剤処理して得られる。
通常、撚りはポリエステル繊維を通常1本で撚りをかけ、または2本〜5本引き揃えて撚りをかけコードとし、コード形態のまま接着剤処理してディップコードとする。
撚りをかける場合、撚り係数Kが、200≦K≦2000であることが好ましく、より好ましくは200≦K≦1500である。撚り係数がこの範囲を外れると耐疲労性が悪化する可能性がある。
なお、撚り係数Kは下記式で表されるものである。
K=T×D1/2
(K:撚り係数、T:単位長さあたりの撚り数(回/10cm)、D:繊度dTex)
本発明におけるポリエステル繊維コードは、撚りコードをレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着剤で被覆してなるポリエステル繊維コードであって、コード表層の付着量がコード付着量全体に対して30%以上であり、好ましくは50%以上である。上限としては、理想的には100%である。
また、RFL接着剤で処理する前にポリエポキシ化合物によるプライマー処理を施すことができる。プライマー処理を施す場合、プライマー処理剤としてエポキシ化合物の他に、ブロックドイソシアネート化合物などを添加することもできる。
RFL接着剤としては、通常用いられるレゾルシン-ホルマリン初期縮合物(RF)にゴムラテックス(L)を加えたRFL処理剤を用いれば実用性のあるゴム接着性が得られる。
RFL接着剤は、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含むものである。レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスとはレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスからなる混合物である。該レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物を用いて調製することが好ましい。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルムアルデヒドを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1:0.3〜1:5、好ましくは1:0.75〜1:2.3.0の範囲のものを用いる。ホルムアルデヒドのモル比が前記範囲よりも少ないと、処理コードが粘着性を帯び、処理機の汚れを招くことがあり、一方、ホルムアルデヒドのモル比がこの範囲よりも多いと、接着力が低下することがある。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスの調製に用いるゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することができる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスは、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスの配合比を固形分重量で、2/1〜1/12にすることが好ましい。この範囲を外れると接着力が低下する可能性がある。
上記によって特徴づけられる本発明のポリエステル繊維コードは、ゴム加硫工程やゴム製品使用中、耐疲労性が著しく改善される。本発明によるポリエステル繊維コードで補強されたゴム製品は、ホースとして用いた時に長期間の過酷な使用に耐えることができる。
次に、本発明のポリエステル繊維コードの製造方法について述べる。本発明のポリエステル繊維コードは、前述のコードに前述したレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを含む接着剤を付与することによって得ることが出来る。
本発明で用いるポリエステル繊維は、撚糸して前記した撚り係数の生コードとなし、ディッピング工程に供する。
プライマー処理剤を付与する場合の方法は、ポリエステル繊維生コードを浸漬し、次いで乾燥、熱処理することによって行われる。プライマー処理剤のディップ液の総固形分濃度は、0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で使用することがよい。該固形分濃度が低すぎると接着剤表面張力が増加し、ポリエステル繊維表面に対する均一付着性が低下する可能性がある。また、該固形分濃度が高すぎると樹脂付着量が多くなり過ぎるため、RFL接着剤の付着量が少なくなり、接着力が低下する可能性がある。
プライマー処理剤の付着量はコードに対して0.1〜2.0重量%の範囲であることが接着性や耐疲労性の点から好ましい。
プライマー処理剤を付与した場合、ポリエステル繊維コードは、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥後(以下ドライ処理と呼ぶ)、180〜255℃で0.5〜5分間熱処理(以下ホット処理と呼ぶ)して繊維表面にプライマー処理剤による被膜を形成させるが、場合によっては乾燥を省略することもできる。
上記熱処理の温度が180℃未満では、接着剤の乾燥が不十分で、処理工程上でのローラーに固形分のガムアップが生じ、操業安定性が悪化することがあり、一方、255℃を越える高温では、繊維上に形成された処理剤による被膜が劣化して接着性が低下する可能性や、ポリエステル繊維が熱劣化し、強力が低下する可能性があるため、好ましくない。
該ポリエステル繊維に対するプライマー処理剤の樹脂付着量を制御するには、例えば、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧空による吹き飛ばし、吸引等の方法を使用することができるが、コード表層の接着剤付着量を調整するためには圧接ローラーを使用することが好ましい。
上記のようにプライマー処理剤を付与した場合、引き続き、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを含むRFL接着剤を付着させる。プライマー処理剤を使用しない場合は、 下撚りをかけた後のコードに直接RFL接着剤を付着させる。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックスを含むRFL接着剤は、固形分濃度が3〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜25重量%である。3重量%未満であると、2浴目のディップ液の樹脂付着量が不十分となり、接着力が十分でないことがある。固形分濃度が30重量%を超えると、該ディップ液の保存安定性が悪くなり、固形分が凝集して濃度変化がおこり、ポリエステル繊維コード表面にディップ液を均一に付着させることが困難となる可能性がある。
ポリエステル繊維コードに対する該接着剤の樹脂付着量は、0.5〜5重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜4重量%の範囲である。また、プライマー処理剤とRFL接着剤の合計の樹脂付着量は、0.5〜5重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜5.0%である。樹脂付着量が低すぎると、接着性が低下することがあり、一方樹脂付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下することがあり、また、処理工程上でのローラーに固形分のガムアップが生じ、操業安定性が悪化することがある。
コード表層に接着剤を偏在させるには、例えば、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧空による吹き飛ばし、吸引等の方法を使用することができる。本発明の範囲を満たす限り制限はないが、コード表層の接着剤量を調整しやすい点で圧接ローラーを使用することが好ましく、圧接ローラーを使用するときは、ローラー圧力を0.1〜2.0kPa/dTexとするのがよい。ローラー圧力が上記下限以上であることで、接着剤付着量をコントロールすることが可能であり、ローラー圧力が上記上限以下であることでRFLの過度の含浸を抑制することが可能であり、コード表層の接着剤量が好ましい範囲となる。樹脂を付着させる時のコード張力は0.20〜2.0cN/dTex程度がよい。コード張力が上記下限以上であることでコード表層に接着剤が偏在しやすくなり、上記上下以下であることでコード強力が低下しにくい。ローラー圧力とコード張力を上記範囲で設定し、コード表層の接着剤量を制御するが、ローラー圧力が低めのときはコード張力を高めに設定し、コード張力が低めのときはローラー圧力を高めに設定することがコード表層の接着剤量を制御しやすい点で好ましい。
RFL接着剤を付与したポリエステル繊維コードは、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥(ドライ処理)した後、200〜255℃で0.5〜5分間熱処理し(ホット処理)、続いてコード物性制御のため、200〜255℃で0.5〜5分間熱処理(以下ノルマライズ処理と呼ぶ)ことが好ましい。このようにして繊維表面に接着剤による被膜を形成できるが、場合によっては乾燥を省略することもできる。ホット処理およびノルマライズ処理の温度が200℃未満では、繊維上への接着剤による被膜の形成およびゴムとの接着が不十分となることがあり、一方、255℃を越える高温では、繊維上に形成された処理剤による被膜が劣化して接着力が低下するためや、ポリエステル繊維が熱劣化を起こし、強力低下するため、好ましくない。また、ドライ処理時のコード張力は0.2〜2.0cN/dTexが好ましい。この範囲を外れるとコード表層の接着剤付着量が好ましい範囲を外れる可能性や、強力が低下する可能性がある。
本発明によれば、少ない接着剤使用量でも接着力が実用上十分であるポリエステル繊維コードが得られる。本発明によるポリエステル繊維コードで補強されたゴム製品は、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に長期間の過酷な使用に耐えることができる。
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明においてポリエステル繊維コードの物性の測定方法、評価方法は以下に示すとおりである。
(1)接着剤付着量
一定長さあたりの撚糸コードの重量(A)を予め測定しておき、接着剤処理後の同一長さのコード重量(B)を測定することで、差分としての以下の計算式の通り樹脂付着量を計算した。
樹脂付着量=[(B−A)/A]×100(%)
(2)剥離接着力
表1に示した配合組成(表中の組成は重量基準である)のEPDM系ゴムシート(5mm厚み)の上にコードを平行に並べ(打ち込み本数50本/2.0cm)、プレス加硫を行った(150℃、30分、ゴムとコードの面圧300N/cm)。放冷後、20℃の環境下で50mm/分の速度で、ゴムからコードを引き剥がす剥離試験を実施した。この時に剥離に要した力をN/2.0cmで表示した。
(3)単位付着量あたりの接着力
上記(2)で測定した剥離接着力を(1)で求めた接着剤付着量で割って計算した。
(4)コード付着量全体に対するコード表層の付着量の割合
ミクロトームを用いて処理コードをその長さ方向に対して垂直な方向に切断し、厚さ20μm厚の薄片を得た。続いて、500倍の倍率を有する光学顕微鏡を用いて、前記処理コードの断面を観察し、前記処理コードの断面でコード表層に付着するRFL接着剤の面積を測定した。続いて、下記の式を用いてコード表層に付着する接着剤の割合を算出した:
P=A×ρ×1〔m〕÷C÷D×100(%)
ここで、Pは、コード表層に付着する接着剤の割合で、Aは、処理コードの長さ方向に対して垂直な処理コードの断面でコード表層に付着する接着剤の面積〔m〕で、ρは、接着剤の密度〔g/m〕で、Cは上記(1)で求めた樹脂付着量〔%〕を1mあたりの樹脂付着量〔g/dTex〕に換算したもので、Dは、繊度〔dTex〕である。図1はコード表層に付着する接着剤の量を測定する際、コード表層に付着する接着剤の面積を説明するための繊維の断面写真である。コード表層とは、処理コードの長さ方向に対して垂直な処理コードの断面で最外郭の各モノフィラメント1の中心を連結することによって形成される多角形(部分)2の外郭よりも外側にあるモノフィラメントの表面部分(図1を参照)のことを指す。また、1m毎に3回測定した平均値を付着量の割合とした(n数=3)。
(実施例1〜6)、(比較例1〜6)
レゾルシン・ホルマリン初期縮合物(RF)とゴムラテックスを固形分で1/5の割合で混合した表1に表す固形分濃度のRFL接着剤を調製した。RFL接着剤の調製方法は以下の通りである。レゾルシン(R)とホルマリン(F)の初期縮合物(RF)は、(R/F)のモル比を1/2、固形分濃度を20重量%とし、通常用いられるアルカリ触媒下で6時間熟成したレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を使用した。その後、ゴムラテックスを添加し固形分濃度を20%とし、24時間熟成したあとに、イオン交換水を添加し目的の固形分濃度のRFL接着剤を調製した。
ポリエポキシド化合物:EX−421(ナガセケムテックス製)
ゴムラテックス:2518FS(日本ゼオン製)
あらかじめポリエポキシド化合物を付与した1670dTexのポリエステルマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”1670−288−707C)1本を、撚り数160t/mで撚糸して、未処理コードとした。
該未処理コードを、コンピュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製)を用いて前記のRFL接着剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で0.5分間熱処理(ホット処理)を行い、さらに、240℃で0.5分間熱処理(ノルマライズ処理)を行った。浸漬時のローラー圧力、コード張力、ドライ処理時のコード張力(DRY張力)を表2に示す。
得られた処理コードの樹脂付着量、コード表層の接着剤の割合、剥離接着力、付着量換算後の接着力をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
表2の結果のように、本発明による実施例1〜6の場合、従来のポリエステル繊維(比較例1〜6)よりも、付着量換算後の接着力が良好であることがわかる。
1.モノフィラメント
2.多角形(部分)

Claims (5)

  1. レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着剤によって被覆されたポリエステル繊維コードであって、コード表層の付着量がコード付着量全体に対して30%以上であるポリエステル繊維コード。
  2. 撚り係数が200〜2000の片撚りコードである請求項1に記載のポリエステル繊維コード。
  3. ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートを含む請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル繊維コード。
  4. コード表層のみの付着量がコード付着量全体に対して50%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル繊維コード。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル繊維コードを使用したゴム製品。
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