JP7067972B2 - ゴム補強用複合繊維コード - Google Patents
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Description
(1)破断時の強度が11.0cN/dtex以上
(2)破断時の伸度が5.0%~8.0%
(3)2.0%伸長時の荷重が4.0cN/dtex以下
(4)5.0%伸長時の荷重が6.0cN/dtex以上
さらには、繊維束Aと繊維束Bが共に下撚りされ、さらに下撚り方向と逆方向に上撚りされていることや、繊維束Aの下撚りの撚り係数が1.0~3.0であり、繊維束Aと繊維束Bを併せた上撚りの撚り係数が2.0~6.0であることが好ましい。(ただし、「撚り係数=T×√D/1055」、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)、D;原糸の繊度(tex)を示す。)
また、高弾性率繊維が、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキザール繊維、芳香族ポリエステル繊維の群から選ばれたいずれか一つの繊維であることや、低弾性率繊維が、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維のいずれかであることが好ましく、さらには、ゴム成分が、カーボンブラックと酸化亜鉛を含む樹脂またはゴムであることや、内層にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂が存在するものであること、高弾性率繊維がエポキシ処理されたものであることが好ましい。
さらに本発明は、上記のゴム補強用複合繊維コードを含むゴム製品を包含する。
(1)破断時の強度が11.0cN/dtex以上
(2)破断時の伸度が5.0%~8.0%
(3)2.0%伸長時の荷重が4.0cN/dtex以下
(4)5.0%伸長時の荷重が6.0cN/dtex以上
(5)繊維束Aの下撚りの撚り係数が1.0~3.0であり、繊維束Aと繊維束Bを併せた上撚りの撚り係数が2.0~6.0である。
(ただし、「撚り係数=T×√D/1055」、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)
、D;原糸の繊度(tex)を示す。)
(ただし、「撚り係数=T×√D/1055」、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)、D;原糸の繊度(tex)を示す。)
TM = T×√D/1055
(ただし、TMは撚り係数、Tは撚り数(回/m)、Dは総繊度(tex)を表す。)
この計算式は、一般的に綿の紡績糸に使用される計算式であるK=t/√N (Kは撚係数、tは撚数t/inch(24.5mm)、Nは綿番手)において、綿の比重を芳香族ポリアミド繊維の比重に変更し、綿番手を繊度(tex)に変換して、再計算したものである。
JIS L1017に準じて測定して、コード繊度(重量)およびコード径(コードゲージ)を測定した。
繊維コードについてJIS K7017の3点曲げ装置にて測定した。応力は以下の式で計算した。エッジスパン長は25mmで試験速度は25mm/min.で実施した。
[曲げ強さ]=([曲げ荷重]×8Lv)/(π×D3)
(但し、Lvはエッジスパン長、Dはコードゲージ(コード径)を表す。)
ASTM D885に準じて引張試験を実施し、測定した。最終的な処理をした繊維コードの繊度を使用して計算した。破断伸度は、高弾性率繊維の破断時の伸度とし、高弾性率繊維の破断後に、低弾性率繊維が破断せずに残った場合の伸度は、考慮しないこととした。
剥離接着力は繊維コードとゴムとの剥離接着力を示す値である。ゴムシート表層近くに7本の繊維コードを埋め、温度150℃で30分間、1MPaのプレス圧力で加硫し、次いで両端の2本の繊維コードを取り除き、残りの5本の繊維コードをゴムシートから200mm/分の速度で剥離し、そのときに要した力を繊維コード本数で割り、繊維コード1本当たりの接着力を算出した。評価に用いるゴムとしては、下記の配合組成で作製したEPDMゴムを用いた。
(EPDMゴムの配合組成)
エチレン-プロピレン-ジエンゴム: 100重量部
カーボンブラック: 35重量部
酸化亜鉛: 5重量部
ステアリン酸: 1重量部
老化防止剤: 2重量部
シリカ: 20重量部
加硫促進剤: 2重量部
レゾルシン・ホルマリン共重合体: 2重量部
ヘキサメトキシメチロールメラミン: 2重量部
硫黄: 1重量部
繊維コードに0.4cN/dtexの荷重をかけて直径10mmφのローラーに取り付け、100rpmの往復運動をさせ、100,000回の繰返し屈曲を行ったのち、繊維コードを取り出して残強力を測定し、屈曲疲労後強力保持率を求めた。
繊維コードを埋法したゴム成型体を1°傾けた状態で切断した後、コード中央で切断された部分の断面に露出した繊維コードをサンドペーパーで10回こすった後の集束状態を目視および光学顕微鏡で観察して、耐ほつれ性を評価した。耐ほつれ性は、以下の3段階で評価判定した。評価に用いるゴムとしては、上記(4)で剥離接着力の評価に用いたEPDMゴムを用いた。
○: 繊維コードのフィラメントが集束しており外観上の異常は認められず良好。
△: 繊維コードの一部のフィラメントに集束不良箇所が見受けられる。
×: 繊維コードのフィラメントに集束不良が発生しており、集束していない。
(エポキシ処理した高弾性繊維A)
高弾性率繊維Aとして芳香族ポリアミド繊維を準備した。まず紡糸用溶液としてコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド(共重合モル比が1:1の全芳香族ポリアミド)の濃度6重量%N-メチルピロリドン(以下、NMPと称する)溶液を準備した。紡糸用溶液を、紡糸口金から吐出し、エアギャップを介して、NMP濃度30重量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴中に紡出し、凝固糸を得た後、水浴にて水洗し、乾燥を実施した。
レゾルシン/ホルマリン(R/F)のモル比が1/0.6であるレゾルシン-ホルマリン初期縮合物(スミカノール700S、住友化学株式会社製、濃度65重量%)19.8gを、水154.5gに10%苛性ソーダ水5.0gと20%アンモニア水19.9gを加えたアルカリ水溶液に溶解し、これにビニルピリジン-スチレン-ブタジエンゴムラテックス(「ニポール2518FS」、日本ゼオン株式会社製、濃度40重量%)415gと水368.9gを添加した。この液に、37%ホルマリン水16.8g、およびメチルエチルケトンオキシムブロックジフェニルメタンジイソシアネート(「DM6400」、明成化学工業株式会社製、濃度42%)を添加し、20℃で48時間熟成して、固形分濃度20重量%のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含む水分散体(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤あるいはRFL接着剤)を調製した。
クロロスルホン化ポリエチレンゴム固形分165gと、酸化亜鉛30gと、カーボンブラック5gと、添加剤としてεカプロラクタムブロックドジフェニルメタンジイソシアネート固形分100gと、水700gとを混合し、固形分濃度30重量%の水系分散体(ゴム成分処理液)とした。
上記のエポキシ処理された1670dtex/1000フィラメントの芳香族ポリアミド繊維を、コンピュートリーター処理機(CAリッツラー製ディップコード処理機)を用いて、上記のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤中に浸漬処理した後、130℃で2分間乾燥し、引き続き235℃で1分間熱処理を行い、RFL処理された芳香族ポリアミド繊維を得た。
最後の上撚りを撚り係数3.7(180回/m)から、撚り係数2.4(115回/m)で施した以外は実施例1と同様にして複合繊維コードを得た。複合繊維コードの処理条件を表1に、得られた複合繊維コードの評価結果を表2に、まとめて示す。
芳香族ポリアミド繊維とナイロン66繊維のそれぞれの下撚りの撚り係数を2.4(200回/m)から1.8(150回/m)に変更し、さらに上撚りの撚り係数を3.7(180回/m)から、3.1(150回/m)とした以外は、実施例1と同様にして複合繊維コードを得た。複合繊維コードの処理条件を表1に、得られた複合繊維コードの評価結果を表2に、まとめて示す。
芳香族ポリアミド繊維とナイロン66繊維のそれぞれの下撚りの撚り係数を2.4(200回/m)から1.0(80回/m)に変更し、さらに上撚りの撚り係数を3.7(180回/m)から、1.7(80回/m)とした以外は、実施例1と同様にして複合繊維コードを得た。複合繊維コードの処理条件を表1に、得られた複合繊維コードの評価結果を表2に、まとめて示す。
芳香族ポリアミド繊維とナイロン66繊維のそれぞれの下撚りの撚り係数を2.4(200回/m)から4.0(330回/m)に変更し、さらに上撚りの撚り係数を3.7(180回/m)から、6.8(330回/m)とした以外は、実施例1と同様にして複合繊維コードを得た。複合繊維コードの処理条件を表1に、得られた複合繊維コードの評価結果を表2に、まとめて示す。
芳香族ポリアミド繊維の下撚り糸2本と、ナイロン66繊維の下撚り糸1本を用いる代わりに、芳香族ポリアミド繊維の下撚り糸3本のみを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様に下撚りの撚り係数を2.4(200回/m)、上撚りの撚り係数を3.8(180回/m)とする複合繊維コードを得た。複合繊維コードの処理条件を表1に、得られた複合繊維コードの評価結果を表2に、まとめて示す。
Claims (6)
- 高弾性率繊維からなる繊維束Aと、低弾性率繊維からなる繊維束Bから構成され、繊維束Aと繊維束Bの重量比率が65:35~95:5であり、ゴム成分を含有する複合繊維コードであって、高弾性率繊維がエポキシ化合物を処理し、さらにレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂を付着させた下撚り糸であり、低弾性率繊維がレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂を付着させた下撚り糸であり、繊維束Aと繊維束Bが共に下撚りされ、さらにそれらを併せて下撚り方向と逆方向に上撚りされており、下記要件を満たすことを特徴とするゴム補強用複合繊維コード。
(1)破断時の強度が11.0cN/dtex以上
(2)破断時の伸度が5.0%~8.0%
(3)2.0%伸長時の荷重が4.0cN/dtex以下
(4)5.0%伸長時の荷重が6.0cN/dtex以上
(5)繊維束Aの下撚りの撚り係数が1.0~3.0であり、繊維束Aと繊維束Bを併せた上撚りの撚り係数が2.0~6.0である。
(ただし、「撚り係数=T×√D/1055」、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)
、D;原糸の繊度(tex)を示す。) - 高弾性率繊維が、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキザール繊維、芳香族ポリエステル繊維の群から選ばれたいずれか一つの繊維である請求項1記載のゴム補強用複合繊維コード。
- 低弾性率繊維が、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維のいずれかである請求項1または2記載のゴム補強用複合繊維コード。
- ゴム成分が、カーボンブラックと酸化亜鉛を含む樹脂またはゴムである請求項1~3のいずれか1項記載のゴム補強用複合繊維コード。
- 内層にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂が存在するものである請求項1~4のいずれか1項記載のゴム補強用複合繊維コード。
- 請求項1~5のいずれか1項記載のゴム補強用複合繊維コードを含むゴム製品。
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