JP6547090B1 - ゴム補強用コード及びそれを用いたゴム製品 - Google Patents

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Abstract

本発明のゴム補強用コード(12)は、少なくとも1つのストランドを備える。ストランドは、少なくとも1つのフィラメント束と、前記フィラメント束の少なくとも表面の一部を覆うように設けられた被膜とを含んでいる。前記被膜は、ポリマー及びセルロースナノファイバーを含み、かつレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まない。前記ポリマーは、ポリウレタン及びゴム成分から選ばれる少なくとも1つを含む。前記被膜において、前記ポリマー100質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが0.1〜10質量部である。前記ゴム補強用コードに占める前記被膜の割合は18体積%以上である。

Description

本発明は、ゴム補強用コードと、それを用いたゴム製品とに関する。
一般に、ゴムベルトのようなゴム製品は、マトリックスゴムと、当該マトリックスゴムに埋め込まれたゴム補強用コードとを含む。ゴムベルトの強度は、ゴム補強用コードの強度に依存する。したがって、ゴム補強用コードは、ゴムベルトの寿命を決定する重要な部材である。ゴム補強用コードは、一般に、補強用繊維(複数のフィラメントを含むフィラメント束)と、当該補強用繊維の表面を保護する被膜とによって形成されている。
例えば伝動ベルトを製造する過程において、通常、補強用コードはループ状に巻かれた状態で、伝動ベルトのマトリックスゴムに挟み込まれる。その後加熱成形され、次に切断されて、伝動ベルトが製造される。この際、切断されたベルト端面にはゴム補強用コードの切断面が露出する。そのため、伝動ベルトが使用されると、ゴム補強用コードがほつれて、切断面から繊維フィラメントが飛び出すことがある。また、ほつれた繊維フィラメントは、ベルト端面から飛び出し、ベルト使用時にプーリーへ巻きつくなどの不具合が生じ易くなることがあった。また、ほつれが生じることにより、その部分からゴムベルトの破損が進行することがあった。
ゴム補強用コードの上記のようなほつれの発生を抑えるために、例えば、特許文献1には、補強用繊維としてガラス繊維フィラメントを用い、かつこのガラス繊維フィラメントの束の撚り方向及び撚り数を適切に選定することが開示されている。また、特許文献2には、補強用繊維としてガラス繊維フィラメントを用い、ガラス繊維フィラメントの直径を比較的小さい範囲とし、さらに集束させるガラス繊維フィラメントの本数及び撚り数等を適切な範囲に設定することにより、ほつれの少ないゴム補強用コードが得られることが開示されている。
特開平6−184853号公報 特開2010−111983号公報
しかしながら、上記従来のゴム補強用コード及びゴム製品において、ほつれの発生を抑えるための上記構成は、別の不具合を生じさせる場合がある。例えば、特許文献1に記載されているように、ガラス繊維フィラメントの束の撚り数を増加させると、弾性率が低下する場合がある。また、例えば、特許文献2に記載されているように、ガラス繊維フィラメントの直径を小さい範囲に設定すると、製造の難度が高くなるため、単位時間あたりの生産量が低下して製造コストが上昇する場合がある。
そこで、本発明の目的の一つは、従来のゴム補強用コードのようなフィラメントの撚り数、撚り方向およびフィラメント径の限定とは異なる手段によって、ほつれの発生が抑制され得るゴム補強用コードを提供することである。さらに、本発明の別の目的の一つは、そのようなゴム補強用コードによって補強されることにより、ゴム補強用コードがほつれにくいゴム製品を提供することである。
本発明は、ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードであって、
前記ゴム補強用コードは、少なくとも1つのストランドを備え、
前記ストランドは、少なくとも1つのフィラメント束と、前記フィラメント束の少なくとも表面の一部を覆うように設けられた被膜と、を含んでおり、
前記被膜は、ポリマー及びセルロースナノファイバーを含み、かつレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まず、
前記ポリマーは、ポリウレタン及びゴム成分から選ばれる少なくとも1つを含み、
前記被膜において、前記ポリマー100質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが0.1〜10質量部であり、
前記ゴム補強用コードに占める前記被膜の割合が18体積%以上である、
ゴム補強用コードを提供する。
また、本発明は、上記本発明のゴム補強用コードで補強されたゴム製品を提供する。
本発明によれば、ほつれが生じにくいゴム補強用コードを提供できる。また、本発明のゴム製品は、このようなゴム補強用コードで補強されているので、ゴム補強用コードがほつれにくい。
本発明のゴム製品の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
[ゴム補強用コード]
本実施形態のゴム補強用コードは、ゴム製品を補強するためのコードである。このゴム補強用コードは、少なくとも1つのストランドを備えている。このストランドは、少なくとも1つのフィラメント束(補強用繊維)と、フィラメント束の少なくとも表面の一部を覆うように設けられた被膜と、を含んでいる。被膜は、ポリマー及びセルロースナノファイバーを含み、かつレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まない。このポリマーは、ポリウレタン及びゴム成分から選ばれる少なくとも1つを含む。この被膜において、ポリマー100質量部に対して、セルロースナノファイバーは0.1〜10質量部である。ゴム補強用コードに占める前記被膜の割合は18体積%以上である。
以下、本実施形態の補強用コードの製造方法について、より詳しく説明する。
本実施形態のゴム補強用コードにおいて、ストランドを構成するフィラメント束は、複数のフィラメントを含む。フィラメントの材料は、特には限定されない。本実施形態におけるゴム補強用コードのフィラメントとして、例えば、炭素繊維フィラメント、ガラス繊維フィラメント、ビニロン繊維に代表されるポリビニルアルコール繊維フィラメント、ポリエステル繊維フィラメント、ナイロンやアラミド繊維(芳香族ポリアミド)などのポリアミド繊維フィラメント、又はポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維フィラメントなどを用いることができる。これらの中でも、寸法安定性、引張強度、モジュラス及び耐屈曲疲労性に優れる繊維のフィラメントを用いることが好ましい。特に、炭素繊維フィラメント及びガラス繊維フィラメントが好ましい。フィラメント束は、1種類のフィラメントで構成されていてもよいし、複数種のフィラメントで構成されていてもよい。フィラメント束が、炭素繊維フィラメント束またはガラス繊維フィラメント束であってもよい。
フィラメント束に含まれるフィラメントの数は、特に制限はない。フィラメント束は、例えば、200本〜24000本の範囲のフィラメントを含むことができる。
フィラメント束に含まれるフィラメントの表面は、接着強度を高めるための前処理が行われていていてもよい。前処理剤の好ましい一例は、エポキシ基及びアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含有する化合物である。前処理剤の例には、アミノシラン、エポキシシラン、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂などが含まれる。具体的な例としては、ナガセケムテックス社のデナコールシリーズ、DIC社のエピクロンシリーズ、及び三菱化学社のエピコートシリーズなどが挙げられる。また、前処理剤として、ポリウレタン樹脂及びイソシアネート化合物も同様に使用できる。例えば、前処理剤として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びイソシアネート化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む処理剤を用いてもよい。このような処理剤を用いて前処理することにより、フィラメント束と被膜との間に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びイソシアネート化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む樹脂層がさらに設けられる。表面が前処理されることにより、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメントといった接着が発現しにくいような繊維フィラメントを用いる場合においても、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの接着性を高めることが可能である。なお、フィラメントの前処理によってフィラメント表面に形成される前処理剤からなる被膜(前処理剤膜)は、本実施形態で特定するような、フィラメント束の表面の少なくとも一部を覆う被膜とは異なるものであり、本実施形態で特定する被膜には含まれない。
ゴム補強用コードに含まれるフィラメント束の数に限定はなく、1本であってもよいし、複数本であってもよい。フィラメント束は、フィラメント束を複数本束ねたものであってもよい。この場合、複数本のフィラメント束のそれぞれは、撚られていてもよいし、撚られていなくてもよい。また、複数本のフィラメント束が合わせられた状態で撚られていてもよいし、撚られていなくてもよい。
被膜は、フィラメント束の少なくとも表面の一部を覆うように設けられている。なお、被膜は、フィラメント束の表面上に直接設けられていてもよいし、他の層を介してフィラメント束の表面を覆っていてもよい。本実施形態のゴム補強用コードには、この被膜以外にさらなる被膜が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
被膜は、フィラメント束の表面の少なくとも一部に、後述の被膜用水性処理剤を供給し、それを熱処理によって乾燥させることによって形成される。フィラメント束の表面への水性処理剤の供給は、例えば、フィラメント束を被膜用水性処理剤に含浸させる、又は、フィラメント束の表面の少なくとも一部に被膜用水性処理剤を塗布することによって実施され得る。なお、この際の熱処理により、フィラメント自体が持つ水分及び水性処理剤の溶媒(例えば水)がほぼ除去される。なお、フィラメント束への被膜用水性処理剤の供給方法および乾燥方法は、特には限定されないが、処理剤が繊維束の内部まで含浸するように供給することが好ましい。
被膜は、ポリマー及びセルロースナノファイバーを含む。前述のとおり、ポリマーは、ポリウレタン及びゴム成分から選ばれる少なくとも1つを含む。被膜が上記ポリマー及びセルロースナノファイバーを含むことにより、被膜においてセルロースナノファイバーがポリマーと絡み合う。このセルロースナノファイバーとポリマーとの絡み合いによって、被膜が強固となる。その結果、ゴム製品の端面にゴム補強用コードの切断面が露出した場合でも、ゴム補強用コードのほつれが生じにくくなる。
被膜は、実質的に上記ポリマー及びセルロースナノファイバーからなっていてもよいし、上記ポリマー及びセルロースナノファイバーのみからなっていてもよい。被膜が実質的に上記ポリマー及びセルロースナノファイバーからなるとは、被膜における上記ポリマー及びセルロースナノファイバーの合計量が60質量%以上であることであり、望ましくは70質量%以上であることである。
被膜は、ポリウレタン、ゴム成分及びセルロースナノファイバー以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えばエポキシ樹脂、イソシアネート、コロイダルシリカ及びシランカップリング剤が挙げられる。
被膜において、セルロースナノファイバーは、上記ポリマー100質量部に対して、0.1〜10質量部である。より強固な被膜を実現するために、セルロースナノファイバーは、上記ポリマー100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましい。また、同様の理由から、セルロースナノファイバーは、上記ポリマー100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
被膜において、セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーを除く全ての成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であってもよい。
被膜において、上記の他の成分(ポリウレタン、ゴム成分及びセルロースナノファイバー以外の他の成分)の合計は、上記ポリマー100質量部に対して30質量部以下が好ましい。他の成分の合計をこのような範囲内とすることにより、より高い被膜強度が得られる。
被膜に含まれるセルロースナノファイバーは、特には限定されないが、100nm以下の平均繊維径を有することが好ましい。このような平均繊維径を有するセルロースナノファイバーは、ポリマー成分の粒子径に対して同等又は小さいので、ポリマーと十分に絡み合うことができる。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、50nm以下がより好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、例えば1nm以上である。
被膜に含まれるポリウレタンは、熱硬化性ポリウレタンであり、ポリエステル系、ポリエーテル系、及びポリカーボネート系のいずれのポリウレタンでもよく、また、これらの複合であってもよい。上記ポリウレタンのそれぞれは、ブタジエン変性、アクリル変性、又はエポキシ変性などされていてもよい。被膜形成に用いられるポリウレタンは、例えば水分散体であり、乳化剤を用いた強制乳化タイプでも、カルボキシ変性など親水基で変性された自己乳化タイプでもよい。
被膜に含まれるゴム成分としては、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体、ジカルボキシル化ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエンゴム、ジクロロブタジエン、ビニルピリジン−ブタジエン−スチレンターポリマー、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、及び水素化ニトリルゴム(H−NBR)が挙げられる。なお、水素化ニトリルゴムは、カルボキシル変性された水素化ニトリルゴムであってもよい。
被膜は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まない。本実施形態のゴム補強用コードの被膜は、セルロースナノファイバーを含むことにより、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まなくても、ほつれの発生を抑えることができる程度の高い強固性を実現できる。したがって、本実施形態のゴム補強用コードは、被膜がレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まないことにより、被膜を作製する際に、ホルムアルデヒド及びアンモニアなどの環境負荷の大きい物質を使用しなくてもよくなる。そのため、作業者のための環境対策が不要になる。
ゴム補強用コードに占める被膜の割合は、18体積%以上であり、23体積%以上であることが好ましい。この場合、ゴム補強用コードに占める被膜の割合は、36体積%以下であってよい。ゴム補強用コードに占める被膜の割合が上記範囲内であることにより、十分に強固な被膜を得ることができるので、ほつれの発生をより確実に抑制できる。
本実施形態のゴム補強用コードにおいて、被膜が形成されたフィラメント束であるストランドは、撚られていてもよい。撚り数は、特には限定されない。1本のストランドに加えられる撚り(以下、下撚りということもある)の数は、例えば30〜200回/mの範囲であってよい。さらに、複数のストランドに加えられた撚り(以下、上撚りということもある)の数も同様に、例えば30〜200回/mの範囲であってよい。下撚り方向と上撚り方向が同じラング撚りであってもよく、下撚り方向と上撚り方向が逆方向のモロ撚りでもよい。撚りの方向に限定はなく、S方向であってもよいし、Z方向であってもよい。
[ゴム補強用コードの製造方法]
本実施形態のゴム補強用コードの製造方法の一例を以下に説明する。なお、本実施形態のゴム補強用コードについて説明した事項は以下の製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、以下の製造方法で説明した事項は、本実施形態のゴム補強用コードに適用できる。この製造方法の一例は、以下の工程を含む。
まず、複数のフィラメントを束ねてフィラメント束を作製し、さらに被膜の作製に用いられる被膜用水性処理剤を準備する。次に、フィラメント束の表面の少なくとも一部に被膜用水性処理剤を供給する。その後、被膜用水性処理剤中の溶媒を除去するための熱処理を行う。
上記工程によって、フィラメント束の表面の少なくとも一部に被膜が形成される。被膜用水性処理剤をフィラメント束の表面の少なくとも一部に供給する方法に限定はなく、たとえば、フィラメント束の表面に被膜用水性処理剤を塗布してもよいし、フィラメント束を被膜用水性処理剤中に浸漬してもよい。
被膜用水性処理剤の溶媒を除去するための熱処理の条件は、特に限定されない。熱処理の温度は、例えば120〜300℃である。熱処理時間は、例えば1〜5分である。
被膜が形成されたフィラメント束(ストランド)は、一方向に撚られてもよい。撚る方向は、S方向であってもよいし、Z方向であってもよい。フィラメント束に含まれるフィラメントの数及びストランドの撚り数は、上述したため、説明を省略する。このようにして、本実施形態のゴム補強用コードを製造できる。なお、被膜が形成されたフィラメント束を複数形成し、それら複数のフィラメント束を束ねて上撚りを加えてもよい。上撚りの方向は、フィラメント束の撚りの方向(下撚りの方向)と同じであってもよいし、異なってもよい。また、被膜が形成されたフィラメント束を複数形成し、フィラメント束それぞれには撚りを与えず、複数のフィラメント束を束ねたものに撚りを加えてもよい。
なお、フィラメント束に撚りを加えてから被膜を形成してもよい。なお、フィラメントの種類、数、及び撚り数は、上述した通りである。
本実施形態の製造方法の好ましい一例では、フィラメント束に被膜用水性処理剤を塗布又は含浸した後、その束ねたものを一方向に撚ることによって、ゴム補強用コードを形成する。
次に、被膜用水性処理剤について説明する。
被膜用水性処理剤は、例えば、ポリウレタン及びゴム成分から選ばれる少なくとも1つを含むポリマーの水系分散体と、セルロースナノファイバーの水系分散体とを含む。被膜用水性処理剤は、さらに、被膜に含まれる他の成分を含んでいてもよい。被膜用水性処理剤に含まれる他の成分は、被膜に含まれる他の成分として上記に説明したものと同じであるため、ここでは説明を省略する。なお、これらの他の成分も、水分散体の形態で用いることが、水性処理剤中に均質に存在させるためには好ましい。
被膜用水性処理剤は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まない。
被膜用水性処理剤は、上記以外の他の成分をさらに含んでもよい。たとえば、被膜用水性処理剤は、他の成分として、樹脂、可塑剤、老化防止剤、安定剤、充填材などをさらに含んでいてもよい。
[ゴム製品]
本実施形態のゴム製品は、本実施形態のゴム補強用コードで補強されたゴム製品である。ゴム製品に特に限定はない。本実施形態のゴム製品の例には、自動車や自転車のタイヤ、伝動ベルト、及び搬送用ベルトなどが含まれる。伝動ベルトの例には、噛み合い伝動ベルトや摩擦伝動ベルトなどが含まれる。噛み合い伝動ベルトの例には、自動車用タイミングベルトなどに代表される歯付きベルトが含まれる。摩擦伝動ベルトの例には、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどが含まれる。すなわち、本実施形態のゴム製品は、歯付ベルト、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、又はVリブドベルトであってもよい。
本実施形態のゴム製品は、本実施形態のゴム補強用コードをゴム組成物(マトリックスゴム)に埋め込むことによって形成されている。ゴム補強用コードをマトリックスゴム内に埋め込む方法は特に限定されず、公知の方法を適用してもよい。本実施形態のゴム製品(たとえばゴムベルト)には、本実施形態のゴム補強用コードが埋め込まれている。そのため、本実施形態のゴム製品は、高い耐屈曲疲労性を備えている。したがって、本実施形態のゴム製品は、車輌用エンジンのタイミングベルトや、車輌用の補機駆動用ベルトなどの用途に特に適している。
本実施形態のゴム補強用コードが埋め込まれるゴム組成物に含まれるゴムは、特に限定されないが、ウレタンゴムを含むことが望ましい。本実施形態のゴム補強用コードがウレタンゴムを含むマトリックスゴムと組み合わされて使用された場合に、接着性を向上させることができるからである。
ゴム製品の一例として、歯付きベルトを図1に示す。図1に示す歯付ベルト1は、ベルト本体11と、複数のゴム補強用コード12とを含む。ベルト本体11は、ベルト部13と、一定間隔でベルト部13から突き出した複数の歯部14とを含む。ゴム補強用コード12は、ベルト部13の内部に、ベルト部13の長手方向と平行となるように埋め込まれている。ゴム補強用コード12は、本実施形態のゴム補強用コードである。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。
[ゴム補強用コードの製造]
(実施例1〜5)
炭素繊維フィラメント(平均直径7μm)6000本を束ねて、フィラメント束を作製した。このフィラメント束に、固形分の組成の質量比(固形分質量比)が以下の表1に示すとおりである水性処理剤を塗布したのち、150℃に設定した乾燥炉内で1分間乾燥した。このようにしてストランドを形成した。このようにして得られたストランドに、40回/mの割合で一方向に撚りをかけた。得られたゴム補強用コードに占める被膜の割合は、18体積%であった。実施例1〜5に用いられた水性処理剤は、それぞれ、表1に示された水性処理剤W1〜W5であった。このようにして、実施例1〜5のゴム補強用コードを得た。
(実施例6〜10)
実施例6〜10のゴム補強用コードは、フィラメント束としてガラス繊維フィラメント束を用いた点以外は、実施例1〜5とそれぞれ同様の方法で作製された。得られたコードに占める被膜の割合は、18体積%であった。実施例6〜10で用いられたガラス繊維フィラメント束は、次のように作製された。ガラス繊維フィラメント(Eガラス組成、平均直径9μm)を200本集束したガラス繊維を用意した。このガラス繊維を3本引き揃えた束(フィラメント束)に、固形分の組成の質量比(固形分質量比)が以下の表1に示すとおりである水性処理剤を塗布したのち、150℃に設定した乾燥炉内で1分間乾燥した。このようにしてストランドを形成した。このようにして得られたストランドを、80回/mの割合で下撚りした。そして、下撚りしたストランドを11本引き揃え、80回/mの割合で上撚りした。
(比較例1〜4)
被膜の形成に、固形分の組成の質量比(固形分質量比)が以下の表2に示すとおりである水性処理剤を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1〜4の補強用コードを得た。比較例1〜4に用いられた水性処理剤は、それぞれ、表2に示された水性処理剤WR1〜WR4であった。
(比較例5及び6)
比較例5及び6のゴム補強用コードは、得られたゴム補強用コードに占める被膜の割合をそれぞれ17体積%及び14体積%とした点以外は、実施例1と同様の方法で作製された。
(比較例7〜10)
比較例7〜10のゴム補強用コードは、フィラメント束としてガラス繊維フィラメント束を用いた点以外は、比較例1〜4とそれぞれ同様の方法で作製された。得られたゴム補強用コードに占める被膜の割合は、18体積%であった。比較例7〜10で用いられたガラス繊維フィラメント束は、実施例6〜10で作製されたものと同じであった。
(比較例11及び12)
比較例11及び12のゴム補強用コードは、フィラメント束としてガラス繊維フィラメント束を用いた点以外は、比較例5及び6とそれぞれ同様の方法で作製された。得られたゴム補強用コードに占める被膜の割合は、比較例11では17体積%、比較例12では14体積%であった。比較例11及び12で用いられたガラス繊維フィラメント束は、実施例6〜10で作製されたものと同じであった。
Figure 0006547090
Figure 0006547090
[ほつれの数の測定方法]
実施例及び比較例で作製されたゴム補強用コードについて、ほつれの数を測定した。ゴム補強用コードを、幅30mm、長さ80mm、深さ22mmのアルミ容器の中に3本並べた。この容器の中に、エポキシ樹脂エマルジョン(ナガセケムテックス株式会社製、「デナコール」)を12g注ぎ、ジアミン(株式会社T&K TOKA製、「フジキュアー」)を1.2g添加した。エポキシ樹脂を110℃、20分で硬化させて、ゴム補強用コードを含んだ、エポキシ樹脂固形物を得た。この固形物をカッターナイフで、ゴム補強用コードの長手方向に沿って分割し、カット端面に露出する繊維のほつれの数を測定した。なお、固形物は、ゴム補強用コードが長手方向と直行する方向において2分割されるように、ゴム補強用コードの長手方向に沿って分割された。結果は、表3〜6に示されている。
[弾性率の測定方法]
30cm×30cmの正方形で、深さ5mmのテフロン(登録商標)製の容器に、表1及び2に示された水性処理剤を流し込み、40℃で24時間乾燥させてフィルムを得た。得られたフィルムを、100℃、30分、圧力100kg/cmで架橋させた。架橋されたフィルムをダンベル状(3号型 JIS K 6251)に切り抜き、試験片を得た。引張試験機を用いて、この試験片の伸び率と引張強度との関係を得た。引張強度測定は、100mm/分で測定した。100%伸び時の荷重をS100とし、200%伸び時の荷重をS200とした。これらの結果から、フィルムの弾性率を次の式で計算した。結果は、表3〜6に示されている。
弾性率=(S200−S100)/(200%−100%)
Figure 0006547090
Figure 0006547090
Figure 0006547090
Figure 0006547090
実施例1〜10のゴム補強用コードは、ほつれの数が全て0であった。これに対し、比較例1〜12のゴム補強用コードには、ほつれが確認された。具体的には、ポリマー(ここではポリウレタン)100質量部に対してセルロースナノファイバーの量が0.1質量部以上10質量部以下の範囲内である水性処理剤のフィルム弾性率は高く、このような水性処理剤を用いて形成された被膜を備えたゴム補強用コードは、被膜の体積比率が18体積%以上でほつれの数が0となることが確認された。
本発明は、ゴム製品を補強するためのゴム補強用コード、及びそれを用いたゴム製品に利用できる。

Claims (7)

  1. ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードであって、
    前記ゴム補強用コードは、少なくとも1つのストランドを備え、
    前記ストランドは、少なくとも1つのフィラメント束と、前記フィラメント束の少なくとも表面の一部を覆うように設けられた被膜と、を含んでおり、
    前記被膜は、ポリマー及びセルロースナノファイバーを含み、かつレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まず、
    前記ポリマーは、ポリウレタン及びゴム成分から選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記被膜において、前記ポリマー100質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが0.1〜10質量部であり、
    前記ゴム補強用コードに占める前記被膜の割合が18体積%以上である、
    ゴム補強用コード。
  2. 前記被膜において、前記セルロースナノファイバーを除く全ての成分の総量100質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが0.1〜10質量部である、
    請求項1に記載のゴム補強用コード。
  3. 前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が、100nm以下である、
    請求項1又は2に記載のゴム補強用コード。
  4. 前記フィラメント束に含まれるフィラメントが、炭素繊維フィラメント又はガラス繊維フィラメントである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム補強用コード。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム補強用コードで補強されたゴム製品。
  6. マトリックスゴムと、前記マトリックスゴムに埋設された前記ゴム補強用コードと、を含むゴムベルトである、
    請求項5に記載のゴム製品。
  7. 前記マトリックスゴムが、ウレタンゴムを含む、
    請求項6に記載のゴム製品。
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