JP6877193B2 - ゴム補強用繊維コードおよびその製造方法 - Google Patents

ゴム補強用繊維コードおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族ポリアミド繊維を用いたゴム補強用繊維コードおよびその製造方法に関する。
補強用繊維を含む複合材料は、成形後に切断するとその切断面で繊維がほつれることがある。このほつれはローエッジタイプの摩擦伝導ベルトや歯付ベルトといった伝動ベルトとして用いるときに問題となる。
近年、芳香族ポリアミド繊維が、タイヤ、ホース、ベルト等のゴム補強用繊維コードの素材として期待されている。しかし、芳香族ポリアミド繊維の表面は比較的不活性であり、そのままではゴムとの接着性が不十分でありほつれが発生しやすい。このほつれの問題を解決するためには、補強繊維の中心部まで樹脂やゴムを含ませることが有効である。
すでに、撚糸した繊維コードにエポキシ化合物やイソシアネート化合物を含浸させる方法(特許文献1)が知られている。しかし、繊維コードの中心部にまで樹脂を含浸させようとすると、繊維コードの外周に必要以上の樹脂が付着してしまい、繊維コードが硬くなりすぎる。そもそも芳香族ポリアミド繊維は繊維を構成するポリマーが非常に剛直であり、繊維コードが硬く集束されて単糸が動けない状態で屈曲歪が生じると結晶構造にキンクバンドが生じ、強力が著しく低下してしまう。
他方、耐ほつれ性と耐屈曲疲労性を両立させるためには、柔軟な樹脂で繊維束を集束させる方法がある。しかし、この方法でも柔軟な樹脂層が破壊されてしまい、ゴムとの良好な接着性を得ることはできない。
これらの問題を解決するために、特許文献2および3では芳香族ポリアミド繊維を無撚の状態でポリエポキシド化合物で処理した後、撚糸処理を施し、その後レゾルシン・ホルマリン・ラテックス処理をする技術が提案されている。しかし、これらの技術では、繊維束の内部にポリエポキシド化合物が含有されることになり、繊維との接着性に優れる繊維コードが得られるものの、ポリエポキシ化合物伸縮性に乏しいため、十分な耐ほつれ性を得るために処理量を多量にする必要があり、その結果繊維コードが硬くなり耐屈曲疲労性が低下してしまう。
特許文献4および5には、上記の課題を解決するために芳香族ポリアミド繊維を無撚の状態で、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスに浸漬する技術が提案されている。しかし、芳香族ポリアミド繊維の表面とレゾルシン・ホルマリン・ラテックスとは化学的親和性が低いため、芳香族ポリアミド繊維の単糸と単糸を接着させる力が弱く、十分な耐ほつれ性が得られないばかりでなく、芳香族ポリアミド繊維表面とレゾルシン・ホルマリン・ラテックスとの接着界面が弱く、ゴムとの十分な接着力が得られない。
このため、耐ほつれ性、耐屈曲疲労性およびゴムとの接着性を鼎立させる繊維コードの開発が求められていた。
特開2000−45184号公報 特開平6−207380号公報 特開平6−330466号公報 特開2012−154362号公報 特開2012−219387号公報
本発明は、引張強度、耐ほつれ性、耐屈曲疲労性およびゴムとの接着性が改良された、ゴム補強用繊維コードを提供することを課題とする。
本発明は、エポキシ化合物で表面処理された芳香族ポリアミド繊維を撚糸してなる繊維コードであって、繊維コードはレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を繊維コードの重量全体に対して5〜15重量%含有し、さらに繊維コードの表面に樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜を備える、ゴム補強用繊維コードである。
本発明によれば、引張強度、耐ほつれ性、耐屈曲疲労性およびゴムとの接着性が改良された、ゴム補強用繊維コードを提供することができる。
〔ポリアミド繊維〕
本発明において繊維コードを構成する芳香族ポリアミド繊維は、芳香族ホモポリアミドまたは芳香族コポリアミドからなる。芳香族コポリアミドからなる場合、共重合成分の量は、例えば高々20モル%、好ましくは高々10モル%である。
芳香族コポリアミドの芳香族基はすべて同一であってもよく相異なってもよい。芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基で置換されていてもよい。
芳香族ポリアミド繊維自体は、従来から知られているものを用いることができ、知られている方法で製造することができる。例えば、特開昭49−100322号公報、特開昭47−10863号公報、特開昭58−144152号公報および特開平4−65513号公報に記載されている。
また、芳香族ポリアミド繊維の中でも、パラ型芳香族ポリアミド繊維が耐熱性と強度に優れているので好ましい。パラ型芳香族ポリアミド繊維は、芳香族ポリアミドの延鎖結合が共軸または平行であり、かつ反対方向に向いているポリアミドの繊維である。具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(例えば、テイジンアラミドB.V.製「トワロン」)や、共重合型の芳香族ポリアミド繊維であるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(例えば、帝人(株)製「テクノーラ」)を例示することができる。特に、共重合型の芳香族ポリアミド繊維であるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(例えば、帝人(株)製「テクノーラ」)が疲労耐久性に優れるため好ましい。
〔単糸表面のエポキシ化合物〕
芳香族ポリアミド繊維は、一般的に表面が不活性であるため他の物質と接着しづらい。本発明では、十分な接着性を得るために芳香族ポリアミド繊維の単糸をエポキシ化合物で表面処理して用いる。この表面処理で、芳香族ポリアミド繊維とレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂との化学的親和性を向上させることができる。
芳香族ポリアミド繊維の単糸に対するエポキシ化合物の固形分付着量は、単糸の重量を基準として、好ましくは0.05〜5.0重量%、さらに好ましくは0.2〜2.0重量%である。付着量がこれより少ないと単糸の表面に形成されるエポキシ樹脂の層が十分でなく、芳香族ポリアミド繊維の単糸同士の密着性や、単糸とレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂との密着性を得ること困難である。他方、付着量がこれより多いとエポキシ樹脂によって単糸同士が強く集束されてしまい、結果的に繊維コードが硬くなり、耐屈曲疲労性に劣ることになり好ましくない。
表面処理に用いるエポキシ化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシドとの反応生成物、レゾルシン、ピス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノールと前記ハロゲン含有エポキシドとの反応生成物、過酢酸または過酸化水素等で不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、すなわち3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3、4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジベートを挙げることができる。
これらのうち、多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物が好ましく、多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物のようなポリエポキシド化合物と硬化剤により生成される化合物も好ましい。ポリエポキシド化合物を用いる場合には、乳化剤、例えばアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルフォサクシネートナトリウム塩を用いて、乳化液としてもよい。
ポリエポキシド化合物には、アミン系やイミダゾール系の硬化剤、ポリイソシアネートとオキシム、フェノール、カプロラクタムなどのブロック化剤との付加化合物であるブロックドポリイソシアネート、エチレンイミンとの反応化合物であるエチレン尿素を併用してもよい。
ポリエポキシ化合物を用いる場合、ポリエポキシド化合物の重量をA重量部とし、硬化剤、ブロックドポリイソシアネートおよびエチレン尿素の重量をB重量部としたときの両者の関係が、0.05≦(A)/〔(A)+(B)〕≦0.9の条件を満たすことが好ましい。この範囲であると、特に良好な接着性を得ることができる。
〔繊維コードに含有されるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂〕
本発明において、芳香族ポリアミド繊維を撚糸してなる繊維コードは、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を、繊維コードの重量全体に対して5〜15重量%の割合で含有する。このレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂は、繊維コードを構成する芳香族ポリアミド繊維の単糸の表面や単糸と単糸との間、単糸の複数本がエポキシ化合物で束ねられた繊維束の表面や繊維束と繊維束との間に存在する。このため、芳香族ポリアミド繊維が撚糸されてなる繊維コードの内部や表面に存在することになる。
なお、単糸とエポキシ化合物との界面や、単糸とゴムとの界面に介在して接着力を向上させるだけであれば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の繊維コードにおける含有量は、高々5重量%もあれば十分である。しかし、本発明においては、撚糸された繊維コードの内部にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を比較的多量に存在させることで、優れた耐ほつれ性を得る。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を用いずにエポキシ化合物の樹脂を用いたのでは伸びが乏しく、撚糸処理時の単糸の動きで樹脂層が破壊されてしまう。他方、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を用いると、繊維上に形成された樹脂層の伸度および靱性に優れ、撚糸処理後も単糸を集束させておく効果を維持する。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂としては、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1:0.6〜1:8の範囲にあるものが好ましく、1:0.8〜1:6の範囲にあるものがさらに好ましい。ホルムアルデヒドの量がこの範囲より少ないとレゾルシン・ホルマリンの縮合物の架橋密度が低下すると共に分子量の低下を招くため、樹脂層の凝集力が低下することにより接着性が低下し、耐屈曲疲労性が低下するおそれがあり好ましくない。他方、ホルムアルデヒドの量がこの範囲より多いと架橋密度上昇によりレゾルシン・ホルマリン縮合物が硬くなり、被着体のゴムとの共加硫時にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂とゴムとの相溶化が阻害され接着性が低下する傾向があり好ましくない。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂におけるレゾルシン・ホルマリンとゴムラテックスとの配合比率は、固形分重量比として、レゾルシン・ホルマリン:ゴムラテックスが、好ましくは1:3〜1:16の範囲、さらに好ましくは1:4〜1:10である。ゴムラテックスの比率がこの範囲より少ないとゴムとの共加硫成分が少ないため接着力が低下する傾向があり、他方、ゴムラテックスの比率がこの範囲より多いと接着剤皮膜として充分な強度を得ることができないため、接着力や耐久性が低下する傾向があるとともに、接着処理した繊維コードの粘着性が著しく高くなり、接着処理工程やベルト成型工程でカムアップや取り扱い性などの工程通過性が低下するおそれがある。
レゾルシンとしては、予めオリゴマー化したレゾルシン−ホルマリン初期縮合物やクロロフェノールとレゾルシンをホルマリンとオリゴマー化した多核クロロフェノール系レゾルシン−ホルマリン初期縮合物を、必要に応じて単独で、あるいは組み合わせて用いてもよい。
ゴムラテックスとしては、例えば、水素添加アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスを例示することができ、これらを単独または併用して使用することができる。繊維コードの単糸の表面のエポキシ化合物との親和性が高く、また樹脂層の強度を高めることができることから、ゴムラテックスとして、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスが好ましい。
〔レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の架橋剤〕
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂には、架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤として、アミン、エチレン尿素、ブロックドイソシアネート化合物を例示することができる。なかでも、処理剤の経時安定性がよく、前処理剤との相互作用が良好なことから、ブロックドイソシアネート化合物が好ましい。このブロックドイソシアネート化合物として、ジメチルピラゾールブロック、メチルエチルケトンオキシムブロック、カプロラクタムブロックのブロックドイソシアネートを例示することができる。これらは二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の添加量は、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス樹脂の全重量あたり、例えば0.5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。添加量を増やすと通常は接着力が向上するが、添加量が多すぎると接着剤のゴムに対する相容性が低下し、ゴムとの接着力が低下する傾向があるため、この範囲で用いることが好ましい。
〔撚糸〕
本発明のゴム補強用繊維コードの芳香族ポリアミド繊維には、撚りを掛ける撚糸処理が施されている。撚りを掛けるほど繊維コードでの単糸の配向が傾くため、初期の引張強力は低下する一方で、屈曲時に単糸に加わる応力が分散され、繊維コードの耐屈曲疲労性が向上する。
撚りの態様としては、芳香族ポリアミド繊維の単糸の1本または複数本を引き揃えて、S方向またはZ方向の片側(片撚り)に施してもよく、繊維の単糸の1本または複数本を引き揃えて、S方向またはZ方向の片側に下撚りを施した後に、それをさらに複数本引き揃えて、片撚りの方向と同じ方向の上撚り(ラング撚り)、または反対方向の上撚り(諸撚り)を施してもよい。
撚り数は、下記式の撚り係数(TM)で表される。片撚りの場合、TMが、例えば0.1〜5.0、好ましくは2.0〜4.0である。ラング撚りの場合、下撚りのTMと上撚りのTMの合計が、例えば0.1〜5.0、好ましくは2.0〜4.0である。諸撚りの場合、下撚りのTMと上撚りのTMが、それぞれ例えば0.1〜5.0、好ましくは2.0〜4.0である。これらの範囲であると引張物性と耐屈曲疲労性に優れ好ましい。
[数1]
TM = T×√D/1055
(ただし、TMは撚り係数、Tは撚り数(回/m)、Dは総繊度(tex)を表す。)
この計算式は、一般的に綿の紡績糸に使用される計算式であるK=t/√N (Kは撚係数、tは撚数t/inch、Nは綿番手)において、綿の比重を芳香族ポリアミド繊維の比重に変更し、綿番手を繊度(tex)に変換して、再計算したものである。TMが1.0に近いときに、単糸は繊維軸方向に約5.5°傾くことになり、繊維束の引き揃えをよくすることができ、引張強力が最大限に発揮される。
〔繊維コード表面の被膜〕
本発明のゴム補強用繊維コードでは、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有する繊維コードの表面に、さらに、樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜が設けられている。
この皮膜の重量は、繊維コード重量全体に対して5〜15重量%であることが好ましい。5重量%未満であるとこの被膜のゴム中への拡散が不十分となり接着力向上に寄与しない、15重量%を超えるとゴム中に拡散できない過剰な被膜層となり、この層で凝集破壊してしまうため、逆に接着力が低下する。この被膜は、カーボンブラックと酸化亜鉛とを含む塩素含有樹脂(ハロゲン含有ポリマー)であることが好ましい。塩素含有樹脂としては、塩素化天然ゴム、ポリクロロプレン、塩素化ポリクロロプレン、塩素化ポリブタジエン、ヘキサクロロペンタジエン、塩素化ブタジエンスチレン共重合体、塩素化エチレンプロピレン共重合体及びエチレン/プロピレン/非共役ジエン三元共重合体、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ(2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン)、塩素化されたポリ(塩化ビニル)等が好ましく、クロロスルホン化ポリエチレンが特に好ましい。被膜における塩素含有樹脂の含有量は、被膜の重量を基準として例えば30〜95重量%、好ましくは50〜95重量%である。この範囲であると良好な接着力を得ることができる。
被膜におけるカーボンブラックの含有量は、被膜の重量を基準として例えば0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%であり、酸化亜鉛の含有量は、被膜の重量を基準として例えば1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。
この被膜には、塩素含有樹脂、カーボンブラックおよび酸化亜鉛に加えて、繊維コードのより内層のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂との親和性を向上させるために、ブロックドポリイソシアネート化合物などの架橋剤が添加されていてもかわわない。
この被膜は、例えばゴムを有機溶剤に溶解させたゴム糊、クロロスルホン化ポリエチレンやハロゲン含有ポリマーの溶剤系接着剤または水系接着剤を用いて設けることが好ましい。この溶剤系接着剤や水系接着剤は市販されており、例えば(株)東洋化学研究所製の『メタロックF112』、LORD社の『CHEMLOK CH233X』、『CHEMLOK CH238S』、『CHEMLOK CH8216』を用いることができる。取扱い性の面では、水系接着剤であり塩素含有樹脂とカーボンブラックと酸化亜鉛を含有する『CHEMLOK CH8216』を好適に用いることができる。これを使用することで、実質的にその製造工程において有機溶剤を一切使用せずに環境負荷の少ない製造工程を実現することができる。
これらの接着剤は、被着体のゴム中に拡散および相互作用し、ゴムマトリックスの剛性や凝集力を向上させ、芳香族ポリアミド繊維コードとの剛性の差異を低減させることで、芳香族ポリアミド繊維コードとゴムマトリックスとを一体化させ、接着力を向上させる。
〔ゴム補強用途で併用するゴム〕
本発明のゴム補強用繊維コードをゴム補強用途で用いる場面で、ともに使用されるゴムとしては、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリルーブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムを例示することができる。特に、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、水素化アクリロニトリルーブタジエン(H−NBR)ゴムが好ましい。
これらのゴムには、主成分のゴムの他に、材料の改質等のため、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オイル等の軟化剤等の各種添加物が含まれていてもよい。
このようなゴム材料は、本発明のゴム補強用芳香族ポリアミド繊維コードの必要本数を引き揃え、これらをゴムで挟み込み、さらに上記加硫釜等で加圧、加熱して成形することができる。
〔繊維コードの物性〕
本発明のゴム補強用繊維コードは、JIS K7017の3点曲げ装置にて測定される曲げ強さとして、例えば20MPa以下、好ましくは10MPa以下を示すことができる。JIS K7017の3点曲げ装置にて測定される曲げ強さは、コードの硬さに繋がっており、20MPaを超えると耐屈曲疲労性が著しく劣ることとなる。
20MPa以下の曲げ強さを得るためには、単糸表面のエポキシ化合物、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂、さらにその表面に設けられる樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜の組成を選択することが効果的である他、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有させる工程やその後の撚糸工程、さらにそのうえに皮膜を設ける工程において、繊維コードに緩やかな屈曲を与えることで過剰に付着しているレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の層を破壊する柔軟化を行うことが効果的である。
本発明のゴム補強用繊維コードは、撚糸工程において発生するテンションで単糸が繊維軸方向に十分に伸張されることがないため、見掛けの引張弾性率が適度に低下し、破断伸度を向上することができる。これは繊維コードの耐屈曲疲労性を向上する観点で好ましい。本発明では、ゴム補強用繊維コードの引張強度として12〜20cN/dtexかつ引張弾性率として250〜450cN/dtexかつ破断伸度として3.5〜5.5%の引張物性を得ることができる。ここでのdtexは最終的な繊維コードの繊度である。
〔製造方法〕
本発明は、また、芳香族ポリアミド繊維をエポキシ化合物で表面処理し、その後、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有させ、さらにその後に撚糸処理を施して、繊維コードの重量全体に対して5〜15重量%のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有する繊維コードとし、さらに繊維コードの表面に、樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜を設ける、ゴム補強用繊維コードの製造方法である。
〔単糸の表面処理〕
まず、繊維コードに用いる芳香族ポリアミド繊維をエポキシ化合物で表面処理をする方法を説明する。例えば、エポキシ化合物を含む溶液を芳香族ポリアミド繊維の製糸工程で油剤と混合して繊維の単糸に付着させ、または芳香族ポリアミド繊維の製糸後、製糸工程とは別の工程でこの乳化剤を繊維の単糸に付着させ、付着後100〜250℃の温度で10〜120秒間熱処理することで、表面処理することができる。
例えば、ポリエポキシド化合物を用いて表面処理する場合、ポリエポキシド化合物と、硬化剤、ブロックドポリイソシアネートもしくはエチレン尿素とを含む乳化液を、芳香族ポリアミド繊維の製糸工程で油剤と混合して繊維の単糸に付着させ、または芳香族ポリアミド繊維の製糸後、製糸工程とは別の工程でこの乳化剤を繊維の単糸に付着させ、乳化剤の付着後100〜250℃の温度で10〜120秒間熱処理するとよい。
〔レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂〕
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を、エポキシ化合物で表面処理された芳香族ポリアミド繊維に含有させるためには、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂やその溶液を繊維にローラーで接触させる、ノズルから溶液を繊維に噴霧して塗布する、溶液に繊維を浸漬するといった手段を例えば用いる。ここでいう「含有」は、付着や含浸、塗布などの態様を含めて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂がエポキシ化合物で表面処理された芳香族ポリアミド繊維の付近に存在している状態を意味する。
芳香族ポリアミド繊維におけるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の含有量を抑制するためには、圧接ローラーによる絞り、スクレバーによるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばし、吸引、ビーターなどの手段を用いることができる。含有量を増加するためには、複数回、繊維に付着さればよい。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂は、この樹脂を含む溶液に、エポキシ化合物で表面処理された芳香族ポリアミド繊維を接触、例えば浸漬や塗布した後、例えば100℃〜250℃の温度で60〜300秒間の乾燥、熱処理を行うことで含有させることができる。芳香族ポリアミド繊維に含有させるための処理での好ましい条件は、100〜180℃の温度での60〜240秒間の乾燥、次いで200〜245℃の温度での60〜240秒間の熱処理である。
乾燥および熱処理の温度が上記の範囲より低いと、得らえる繊維コードと、ゴム補強の場面で使用されるゴムとの接着が不十分となる傾向にある。他方、乾燥および熱処理の温度が上記の範囲より高いと、、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂が高温下での空気酸化され、得られる繊維コードとゴム補強の場面で使用させるゴムとの接着活性が低下する傾向がある。
〔撚糸〕
本発明のゴム補強用繊維コードにおいて芳香族ポリアミド繊維には撚りが掛けられているが、このための撚糸処理は、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を芳香族ポリアミド繊維に含有させる処理の後に施す。含有させる処理の前に撚りを施すと、撚りをかけた後にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を多量に含む粘度の高い溶液に芳香族ポリアミド繊維の繊維コードに接触させることになり、撚りを掛けられた芳香族ポリアミド繊維コードの内部(単糸と単糸の間や単糸束と単糸束との間)への樹脂の含浸が困難となり、耐ほつれ性が低下してしまう。
なお、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を芳香族ポリアミド繊維に含有させる処理を行う前に、繊維の単糸の広がりを抑制し取扱い性を保つために、まず撚り係数TM=0.1以下のわずかな撚りを施し、その後にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の溶液に浸漬するなどして接触させて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有させる処理をし、その後にさらに撚りを施して繊維コードにする態様であれば、繊維コードの内部への樹脂の含浸が困難になることはなく、良好な耐ほつれ性を得ることができるので好ましい。
芳香族ポリアミド繊維の撚りについての好ましい態様は、まず芳香族ポリアミド繊維の単糸の表面をエポキシ化合物で表面処理し、その後、単糸に実質的に意図的に撚りを施すことなく、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含む溶液に浸漬処理して繊維に樹脂を含浸し、その後、繊維に撚りを施す撚糸処理を行い、繊維コードを得る態様である。
〔繊維コードの被膜〕
芳香族ポリアミド繊維の繊維コードに、樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜を設けることは、これらの成分を含む溶液に繊維コードを接触させることで行うことができる。例えば、繊維コードを浸漬しその後80〜180℃の温度で60〜300秒間の乾燥および熱処理するとよい。乾燥および熱処理の温度がこの範囲より低いと乾燥が不十分となり、工程通過性が悪化する傾向にある。他方、乾燥および熱処理の温度がこの範囲より高いと、接着成分が高温下で失活し、接着活性が低下してしまう傾向がある。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。なお、本発明の実施例における評価は下記の測定法で行った。レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂をRFLと略すことがある。
(1)コード繊度およびコード径
JIS L1017に準じて測定して、コード繊度(重量)およびコード径(コードゲージ)を測定した。
(2)曲げ強さ
繊維コードについてJIS K7017の3点曲げ装置にて測定した。応力は以下の式で計算した。
曲げ強さ = 曲げ荷重 × 8Lv / (π × D
(但し、Lvはエッジスパン長、Dはコードゲージを表す。)
(3)引張強力、引張強度、切断伸度、引張弾性率
ASTM D7269に準じて測定した。最終的な処理をした繊維コードの繊度を使用して計算した。
(4)繊維コードの剥離接着力
剥離接着力は繊維コードとゴムとの剥離接着力を示す値である。ゴムシート表層近くに7本の繊維コードを埋め、温度150℃で30分間、1MPaのプレス圧力で加硫し、次いで両端の2本の繊維コードを取り除き、残りの5本の繊維コードをゴムシートから200mm/分の速度で剥離し、そのときに要した力を繊維コード本数で割り、繊維コード1本当たりの接着力を算出した。評価に用いるゴムとしては、下記の配合組成で作製したEPDMゴムを用いた。
(EPDMゴムの配合組成)
エチレン-プロピレン-ジエンゴム: 100重量部
カーボンブラック: 35重量部
酸化亜鉛: 5重量部
ステアリン酸: 1重量部
老化防止剤: 2重量部
シリカ: 20重量部
加硫促進剤: 2重量部
レゾルシン・ホルマリン共重合体: 2重量部
ヘキサメトキシメチロールメラミン: 2重量部
硫黄: 1重量部
(5)繊維コードの屈曲疲労後強力保持率
繊維コードに2kgの荷重をかけて直径10mmφのローラーに取り付け、100rpmの往復運動をさせ、10,000回の繰返し屈曲を行ったのち、繊維コードを取り出して残強力を測定し、屈曲疲労後強力保持率を求めた。
(6)耐ほつれ性
繊維コードを埋法したゴム成型体を1°傾けた状態で切断した後、コード中央で切断された部分の断面に露出した繊維コードをサンドペーパーで10回こすった後の集束状態を目視および光学顕微鏡で観察して、耐ほつれ性を評価した。耐ほつれ性は、以下の3段階で評価判定した。評価に用いるゴムとしては、上記(4)で剥離接着力の評価に用いたEPDMゴムを用いた。
○: 繊維コードのフィラメントが集束しており外観上の異常は認められず良好。
△: 繊維コードの一部のフィラメントに集束不良箇所が見受けられる。
×: 繊維コードのフィラメントに集束不良が発生しており、集束していない。
芳香族ポリアミド繊維の製造
紡糸用溶液としてコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド(共重合モル比が1:1の全芳香族ポリアミド)の濃度6重量%N−メチルピロリドン(以下、NMPと称する)溶液を準備した。紡糸用溶液を、紡糸口金から吐出し、エアギャップを介して、NMP濃度30重量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴中に紡出し、凝固糸を得た後、水浴にて水洗し、乾燥を実施した。最後に、温度520℃下で11倍に延伸した後、デナコールEX−313(グリセロールポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)17.5gに界面活性剤としてネオコールSW−30(ジオクチルスルフォサクシネートナトリウム塩、第一工業製薬(株)製)14.5g、ピペラジン4g、水656.2gから成る固形分濃度3.7重量%のエポキシ溶液で表面処理し、乾燥後、巻き取りを実施することにより、単糸表面にエポキシ化合物が処理されたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を得た。
得られた芳香族アラミド繊維の物性は、1670dtex、1000本のフィラメントで、引張強度24.5cN/dtex、破断伸度4.5%、引張弾性率530cN/dtexであった。
実施例1
レゾルシン/ホルマリン(R/F)のモル比が1/0.6であるレゾルシン−ホルマリン初期縮合物(スミカノール700S、住友化学(株)製、濃度65重量%)19.8gを、水154.5gに10%苛性ソーダ水5.0gと20%アンモニア水19.9gを加えたアルカリ水溶液に溶解し、これにビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(ニポール2518FS,日本ゼオン(株)製、濃度40重量%)415gと水368.9gを添加した。この液に、37%ホルマリン水16.8g、およびメチルエチルケトンオキシムブロックジフェニルメタンジイソシアネート(DM6400,明成化学工業(株)製、濃度42%)を添加し、20℃で48時間熟成して、固形分濃度20重量%のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含む水分散体(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤)を調製した。
1670dtex/1000フィラメントのコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を、コンピュートリーター処理機(CAリッツラー製ディップコード処理機)を用いて、上記のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤中に浸漬処理した後、130℃で2分間乾燥し、引き続き235℃で1分間熱処理をした。
その後、この処理糸にZ方向に撚り係数0.4(3.2回/10cm)の下撚りを掛け、この下撚りコードを2本合わせてZ方向に撚り係数2.0(12.0回/10cm)の上撚りを施して撚糸コードを得た。次いで、再度コンピュートリーター処理機(CAリッツラー製ディップコード処理機)を用いて、上記で得られた撚糸コードを、クロロスルホン化ポリエチレンゴム固形分165gと酸化亜鉛30gとカーボンブラック5gと添加剤としてεカプロラクタムブロックドジフェニルメタンジイソシアネート固形分100gと水700gを含む固形分濃度30重量%の水系分散体に浸漬した後に、定長で150℃、120秒間の乾燥を行い、被膜を有する芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
実施例2
芳香族ポリアミド繊維の製造時に、表面処理するエポキシ溶液の固形分濃度を10重量%とし単糸表面のエポキシ化合物付着量を増加させた以外は実施例1と同様にして、被膜を有する芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
実施例3
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤としてDM6400を使用することなく固形分濃度18.7重量%のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤で処理して、繊維コードでのレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の含有量を変更した以外は実施例1と同様にして、被膜を有する芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
比較例1
芳香族ポリアミド繊維製造時にエポキシ化合物による表面処理を施さなかった以外は実施例1と同様にして、被膜を有する芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
比較例2
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤の固形分濃度を10重量%とし、繊維でのレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の含有量を低下させた以外は実施例1と同様にして、被膜を有する芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
比較例3
撚糸処理後にカーボンブラックと酸化亜鉛を含む樹脂の被膜を設ける処理を施さなかった以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
比較例4
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理剤を実施例1と同様の処理方法で2回処理することで、繊維コードでのレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の含有量を増加させた以外は実施例1と同様にして、被膜を有する芳香族ポリアミド繊維コードを得た。得られた芳香族ポリアミド繊維コードの評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0006877193
実施例1〜3は、初期強力、耐屈曲疲労性、耐ほつれ性およびゴム接着性の全てを満足する繊維コードであった。
本発明のゴム補強用繊維コードは、耐ほつれ性、耐屈曲疲労性および初期伸びが大幅に改善されており、コードがベルト側面に露出する伝動ベルト心線として好適に用いることができる。具体的には、例えばローエッジベルト、Vリブドベルト、平ベルトといった摩擦伝導ベルトや、タイミングベルトを始めとする歯付ベルト等の伝動ベルトの用途の好適に利用できる。
本発明によれば、耐久性の向上により、伝動ベルトの長寿命化を期待できる他、伝動ベルトの小型化と細幅化により、軽量化や伝達効率を向上により省エネルギー化を期待できる。

Claims (4)

  1. エポキシ化合物で表面処理された芳香族ポリアミド繊維を撚糸してなる繊維コードであって、繊維コードはレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を繊維コードの重量全体に対して5〜15重量%含有し、該レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス樹脂は、その全重量あたり10〜30重量%のブロックドイソシアネート化合物が添加されており、さらに繊維コードの表面に樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜を備え、JIS K7017の3点曲げ装置にて測定される曲げ強さが10MPa以下であることを特徴とする、ゴム補強用繊維コード。
  2. 皮膜がカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む塩素含有樹脂からなる、請求項1に記載のゴム補強用繊維コード。
  3. ベルト側面に露出する伝動ベルト心線として用いられる、請求項1に記載のゴム補強用繊維コード。
  4. 芳香族ポリアミド繊維をエポキシ化合物で表面処理し、その後、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有させ、さらにその後に撚糸処理を施して、繊維コードの重量全体に対して5〜15重量%のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含有する繊維コードとし、さらに繊維コードの表面に、樹脂および/またはゴムからなりカーボンブラックと酸化亜鉛とを含む被膜を設ける、JIS K7017の3点曲げ装置にて測定される曲げ強さが10MPa以下であるゴム補強用繊維コードの製造方法。
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