JP6542131B2 - ゴム補強用コードを形成するための水性処理剤、これを用いて形成されたゴム補強用コードおよびその製造方法、および、このゴム補強用コードを用いたゴム製品 - Google Patents

ゴム補強用コードを形成するための水性処理剤、これを用いて形成されたゴム補強用コードおよびその製造方法、および、このゴム補強用コードを用いたゴム製品 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム補強用コードを形成するための水性処理剤、これを用いて形成されたゴム補強用コードおよびその製造方法、および、このゴム補強用コードを用いたゴム製品に関する。
ゴムベルトやタイヤなどの、屈曲応力を繰り返し受けるゴム製品の補強材として、アラミド繊維などの強靭な繊維を用いたゴム補強用コードが広く用いられている。ゴム補強用コードには、優れた耐屈曲疲労特性および寸法安定性が求められる。
このような補強用コードを含むゴム製品の端面から、補強用コードのほつれが生じることがある。例えば、主に内燃機関のカムシャフト駆動に用いられるタイミングベルトなどの歯付きベルトでは、その製造工程上、当該ベルトの側面に補強用コードが露出しており、露出部分から補強用コードがほつれて、ベルトの端面において繊維が突出しやすいという問題が生じる。その結果、ゴム製品の耐久性低下などの問題が生じ得るため、ほつれの生じにくい補強用コードが検討されている。
例えば、特許文献1では、実質的に無撚りのアラミド繊維を、エポキシ化合物を含む処理液で処理し、熱処理を加えた後、加撚し、加撚後のアラミド繊維にレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックス(RFL)を含む処理液を真空・加圧条件下で含浸させ、熱処理と、RFLを含む処理液による処理とをさらに行うことで、ベルトに組み込んだ際にほつれにくいアラミド繊維コード(耐ほつれ特性に優れるアラミド繊維コード)としている。
特許文献2では、実質的に無撚りのアラミド繊維をエポキシ化合物を含む処理液で処理し、熱処理を加えた後、RFLを含む処理液を付与しながら加撚して、さらに熱処理およびRFLを含む処理液による処理を行うことで、耐ほつれ特性に優れるアラミド繊維コードとしている。
特許文献3では、アラミド繊維をイソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を含む処理液で処理した後、RFLを含む処理液を超音波振動子により振動させながらアラミド繊維をディップ処理することで、耐ほつれ特性に優れるアラミド繊維コードとしている。
特許文献4には、RFLと水溶性エポキシ化合物とを含む処理剤で、アラミド繊維の原糸を被覆または含浸する工程を含むアラミド心線の製造方法が開示されている。
特許文献5〜7には、耐ほつれ特性に優れるアラミド繊維コードの製造方法が開示されている。特許文献5ではエポキシ樹脂とゴムラテックスとを含む処理剤、特許文献6ではゴムラテックス、特許文献7ではポリエポキシドを含む処理剤を用いてそれぞれ処理した後、さらにRFLなどを含む処理剤を用いて処理している。
また、特許文献8には、無撚りのアラミド繊維に、固形分質量比にして5〜50質量%のカーボンブラックを含む水溶性接着剤を塗布した後に、前記アラミド繊維を加撚する、ゴムベルト補強用アラミド繊維コードの製造方法が開示されている。
特許文献9は、アラミド繊維コードの耐ほつれ特性に着目したものではないが、処理剤に、ジイソシアネート化合物、芳香族ニトロソ化合物およびマレイミド系架橋剤から選ばれる少なくも1つの架橋剤を含み、複数のストランドが、化学的に接着することを特徴とした技術が開示されている。
特許3187256号公報 特開平8−284069号公報 特開平11−279949号公報 特開2013−170333号公報 特開平1−207480号公報 特許第3070613号公報 特開平06−25977号公報 特開2010−1570号公報 特許第4460581号公報
しかし、特許文献1〜3に開示されている製造方法では、真空・加圧条件下での処理が要求されたり、RFLによる処理を加撚と同時に行う必要があったり、超音波振動子による振動が必要とされたりするなど、必ずしも生産性に優れるとはいえない。
一方、特許文献4〜9に開示されている発明では、生産性の面では改善されているが、得られたゴム補強用コードの耐ほつれ特性は十分とはいえず、さらに改良が必要である。
したがって、本発明は、生産性を大きく低下させることなく、ゴム補強用コードの耐ほつれ特性を向上することを目的とする。
本発明は、
被膜を有するゴム補強用コードを形成するための水性処理剤であって、
前記水性処理剤は、ゴムラテックス、架橋剤および充填材を含み、
前記架橋剤の含有量は、前記ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50質量部以上150質量部以下の範囲にあり、
前記充填材の含有量は、前記ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50質量部を超え80質量部以下の範囲にある、
水性処理剤、を提供する。
別の側面から、本発明は、
ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードであって、
前記ゴム補強用コードは、少なくとも1つのストランドを備え、
前記ストランドは、少なくとも1つのフィラメントの束と、前記フィラメントの束の少なくとも表面に本発明の水性処理剤を用いて形成された第1の被膜とを有する、
ゴム補強用コード、を提供する。
別の側面から、本発明は、
(i)複数のフィラメントを束ねてフィラメントの束を作製し、前記フィラメントの束の少なくとも表面に本発明の水性処理剤を供給し、供給された前記水性処理剤を乾燥させて第1の被膜を作製して、ストランドを形成し、複数の前記ストランドを撚り合わせてコードを形成する工程、
を含む、ゴム補強用コードの製造方法、を提供する。
さらに別の側面から、本発明は、
ゴム組成物と、前記ゴム組成物に埋め込まれたゴム補強用コードとを含み、
前記ゴム補強用コードが本発明のゴム補強用コードであるゴム製品、を提供する。
本発明の水性処理剤によれば、生産性を大きく低下させることなく、ゴム補強用コードの耐ほつれ特性を向上させることができる。本発明のゴム補強用コードは、向上した耐ほつれ特性を有する。また、本発明のゴム製品は、ゴム製品に含まれるゴム補強用コードのほつれが生じにくい。
本発明のゴムベルトの一例を示す模式図
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。また、以下で説明する化合物は、特に記載がない限り、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
[水性処理剤]
本実施形態の水性処理剤は、被膜を有する補強用コードの前記被膜を形成するためのものである。以下では、被膜の形成に用いられる本実施形態の水性処理剤を「水性処理剤(A)」という場合がある。水性処理剤(A)は、ゴムラテックス、架橋剤および充填材を含み、架橋剤の含有量は、ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50質量部以上150質量部以下の範囲にあり、充填材の含有量はゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50質量部を超え80質量部以下の範囲にある。
ゴムラテックスは、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、カルボキシル変性されたニトリルゴム、およびカルボキシル変性された水素化ニトリルゴムからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つのゴムのラテックスであることが好ましい。水性処理剤(A)は、これらのゴムラテックスの1種類のみを含んでいてもよいし、これらのゴムラテックスを複数種含んでいてもよい。これらのゴムラテックスは、油による膨潤が小さく、耐油性に優れる点で好ましい。なお、本明細書において、「ニトリルゴム」という用語は、特に記載がない限り、水素化もカルボキシル変性もされていないニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム)を意味する。
水素化ニトリルゴムのヨウ素価は、120以下であってもよく、特に100以下であってもよい。一例の水素化ニトリルゴムのヨウ素価は、0〜50の範囲にある。
水性処理剤(A)は、上記のゴムラテックスに加えて、他のゴムラテックスをさらに含んでいてもよい。他のゴムラテックスの例には、ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス、ジカルボキシル化ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス、ビニルピリジン・ブタジエン・スチレンターポリマーラテックス、クロロプレンラテックス、ブタジエンラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスが含まれる。水性処理剤(A)は、これらのゴムラテックスを複数種含んでいてもよい。
架橋剤としては、例えばP−キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系架橋剤、ラウリルメタアクリレートやメチルメタアクリレートなどのメタアクリレート系架橋剤、DAF(ジアリルフマレート)、DAP(ジアリルフタレート)、TAC(トリアリルシアヌレート)およびTAIC(トリアリルイソシアヌレート)などのアリル系架橋剤、ビスマレイミド、フェニルマレイミドおよびN,N’−m−フェニレンジマレイミドなどのマレイミド系架橋剤、芳香族または脂肪族の有機ジイソシアネート、ポリイソシアネート、ブロックドイソシアネート、ブロックドポリイソシアネート、芳香族ニトロソ化合物、硫黄、および過酸化物が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらの架橋剤は、水性処理剤(A)に含まれるゴムラテックスの種類、およびゴム補強用コードが埋め込まれるマトリックスゴムの種類などを考慮して選択される。また、これらの架橋剤は、水分散体の形態で用いることが、水性処理剤(A)中に均質に存在させるためには好ましい。架橋剤は、マレイミド系架橋剤、有機ジイソシアネート、ポリイソシアネートおよび芳香族ニトロソ化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであってもよい。この架橋剤によって、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとの接着性を向上できる。
上記の架橋剤の中でも、マレイミド系架橋剤およびポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。マレイミド系架橋剤の中でも、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンは、水に分散したときの安定性がよく、架橋効果が高く、架橋後の耐熱性も高いので、好適に用いられる。マレイミド系架橋剤およびポリイソシアネートは、それぞれ、ゴムラテックスと組み合わせることによって、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとの接着性を特異的に高めることができる。特に、カルボキシル変性された水素化ニトリルゴムのラテックスとマレイミド系架橋剤との組み合わせは、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとの接着性をより高めることができるため好ましい。
特許文献8、特許文献9などによって、ゴムラテックスと架橋剤とを含む水性処理剤はすでに開示されている。しかし、従来の水性処理剤では、含まれる架橋剤の量はゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し40質量部以下が多い。例えば、特許文献8において使用されているフェニレンビスマレイミド(実施例6)は、ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し14質量部であり、特許文献9において使用されているビスマレイミド(実施例1)は、ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し31質量部である。
しかし、本発明者の検討により、架橋剤を特定の範囲で含む水性処理剤を用いて、フィラメントの束の少なくとも表面に被膜を形成すると、フィラメント同士および/またはストランド同士の結合力が高くなり、耐ほつれ特性が向上することが見出された。さらに、そのような水性処理剤を用いて形成されたゴム補強用コードを用いると、ゴム製品の端面、例えばベルト端面におけるゴム補強用コードの断面が平滑になることが見出された。このような効果を得るために、本実施形態における架橋剤の含有量(固形分質量比)は、ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50〜150質量部の範囲(例えば70〜140質量部の範囲)にあることが好ましく、70〜125質量部の範囲にあることがより好ましく、80〜125質量部の範囲にあることが特に好ましい。特に、100〜125質量部の範囲にあることが好ましく、110〜125質量部の範囲にあることがさらに好ましく、115〜125質量部の範囲にあることが特に好ましい。なお、本実施形態における架橋剤の含有量は、用いた架橋剤の合計含有量を示す。
水性処理剤(A)に含まれる充填材に特に限定はない。充填材の例には、カーボンブラックやシリカなどの共有結合系化合物の微粒子、難溶性塩の微粒子、金属酸化物の微粒子、金属水酸化物の微粒子、タルクなどの複合金属酸化物塩の微粒子が含まれる。これらの中でも、充填材は、カーボンブラックおよびシリカからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。
カーボンブラックの平均粒径は、5〜300nmの範囲にあることが好ましく、例えば100〜200nmの範囲にあり、より好ましくは130〜170nmの範囲にある。シリカの平均粒径は、5〜200nmの範囲にあることが好ましく、例えば7〜100nmの範囲にあり、より好ましくは7〜30nmの範囲にある。ここで平均粒径とは、50個以上の粒子について透過型電子顕微鏡を用いて粒径を測定し、その粒径の合計を測定粒子数で割った値のことである。なお粒子が球形ではない場合には、各粒子の最も長い径と最も短い径の平均を粒径とした。
充填材は、ゴム中に分散して存在することで、被膜の引張強度や引裂き強度などの特性を向上させる効果を有する。これらの効果に加え、充填材は、フィラメントと被膜との間、および、被膜とマトリックスゴムとの間において、接着成分の凝集力を高めることによって接着強度を向上させる効果も有する。なお、これらの効果には、充填材の粒径と配合量とが大きく影響する。
充填材の含有量(固形分質量比)は、ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50質量部を超え80質量部以下の範囲にあることが好ましく、55〜75質量部の範囲にあることがより好ましく、60〜70質量部の範囲にあることがさらに好ましい。この範囲の充填材を用いることによって、被膜の硬度を上昇させ、フィラメント同士および/またはストランド同士の結合力を上昇させ、ゴム補強コードの耐ほつれ特性を向上させる。なお、本実施形態における充填材の含有量は、用いた充填材の合計量を示す。
水性処理剤(A)において、架橋剤の含有量がゴムラテックスに含まれる固形分質量100質量部に対し50質量部未満の場合、または、充填材の含有量がゴムラテックスに含まれる固形分質量100質量部に対し50質量部以下の場合は、フィラメント同士および/またはストランド同士の結合力が不十分となり、ベルト端面におけるゴム補強用コードの断面に凹凸が発生しやすくなる。
水性処理剤(A)において、架橋剤の含有量がゴムラテックスに含まれる固形分質量100質量部に対し150質量部より多い場合、または、充填材の含有量がゴムラテックスに含まれる固形分質量100質量部に対し80質量部より多い場合は、フィラメント同士および/またはストランド同士の結合力は十分であるが、ゴム製品の劣化などが生じやすくなる。例えば、ゴム製品がベルトの場合、ベルトの走行寿命が短くなる。すなわち、被膜の硬度が高い場合は、ゴム製品の使用環境において、ゴム補強用コードが繰り返し曲げ変形を受けた場合、ストランド間にクラックが発生したり、フィラメントが折れたりするため、ゴム補強用コードの引張強度が低下し、ゴム製品全体の引張強度の低下に繋がることがある。水性処理剤に含まれる架橋剤または充填材の含有量が多くなりすぎると、この水性処理剤を用いて得られた被膜の硬度が高くなりすぎて、ゴム補強用コードの耐ほつれ特性が低下し、ゴム製品の劣化などが生じやすくなるためと思われる。
水性処理剤(A)は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まないことが好ましい。その場合、ゴム補強用コードの製造時に、ホルムアルデヒドおよびアンモニアなどの環境負荷の大きい物質を使用しなくてもよくなるため、作業者のための環境対策が不要になる。ただし、水性処理剤(A)は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含んでもよい。
水性処理剤(A)の構成成分(溶媒を除く成分)は、溶媒中に分散または溶解される。水性処理剤(A)の溶媒は、50質量%以上の割合で水を含む水性溶媒である。水性溶媒中の水の含有率は、80質量%以上や90質量%以上や100質量%であってもよい。水性溶媒としては、取り扱い性がよく、構成成分の濃度管理が容易であり、有機溶媒と比較して環境負荷が格段に軽減されることから、水が好適に用いられる。なお、水性溶媒は、低級アルコールなどを含んでいてもよい。低級アルコールの例には、炭素数が4以下や3以下のアルコール(例えばメタノールやエタノールやプロパノール)が含まれる。ただし、水性溶媒は、低級アルコール以外の有機溶媒を含まないことが好ましい。
水性処理剤(A)は、ゴムラテックス、架橋剤および充填材に加えて、他の成分をさらに含んでいてもよい。例えば、水性処理剤(A)は、樹脂、可塑剤、老化防止剤、安定剤、充填材ではない金属酸化物などを含んでいてもよい。ただし、水性処理剤(A)は、樹脂を含まないものであってもよい。
[ゴム補強用コード]
本発明のゴム補強用コードについて説明する。本実施形態のゴム補強用コードは、ゴム製品を補強するためのコードである。この補強用コードは、少なくとも1つのストランドを備える。そのストランドは、少なくとも1つのフィラメントの束と、フィラメントの束の少なくとも表面に水性処理剤(A)を用いて形成される被膜とを有する。ストランドは被膜を介して互いに密着していることが好ましい。このようなストランドは、ストランド同士の結合が強く、フィラメントおよび/またはストランドのほつれが生じにくい。フィラメントの束は、一方向に撚られた複数のフィラメントによって構成されている。
本実施形態のゴム補強用コードの撚り数は、とくに限定されない。1本のストランドに加えられた撚り(以下、下撚りということもある)の数は、20〜160回/mの範囲や、30〜100回/mの範囲や、40〜80回/mの範囲にあってもよい。水性処理剤(A)により形成された被膜を含む複数のストランドに加えられた撚り(以下、上撚りということもある)の数も、同様に20〜160回/mの範囲や、30〜100回/mの範囲や、40〜80回/mの範囲にあってもよい。下撚り方向と上撚り方向が同じ方向のラング撚りであってもよく、下撚り方向と上撚り方向が逆方向のモロ撚りでもよいが、ゴム補強用コードの屈曲しやすいラング撚りが好ましい。撚りの方向に限定はなく、S方向であってもよいし、Z方向であってもよい。
本実施形態のゴム補強用コードにおいて、フィラメントの束はアラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、およびポリパラフェニレンベンゾオキサゾールから選ばれる少なくともいずれか1つによって構成されていることが好ましい。フィラメントの束は、実質的にアラミド繊維フィラメントによって構成されていてもよい。ここで、「実質的に」とは、発明の効果に大きな影響を与えない程度に、フィラメントの束が、アラミド繊維フィラメント以外のフィラメントを含んでもよいことを意味する。例えば、フィラメントの束は、アラミド繊維フィラメント以外のフィラメントを、断面積に占める割合が10%以下(例えば5%以下や1%以下)の割合で含んでもよい。アラミド繊維フィラメント以外のフィラメントに特に限定はなく、補強用繊維として一般的に用いられている繊維のフィラメントを用いることができる。
典型的には、フィラメントの束は、アラミド繊維フィラメントのみによって構成される。
アラミド繊維フィラメントの種類は特に限定されず、パラ型、メタ型を問わず用いることができ、メタ型モノマーとパラ型モノマーとの共重合体系のアラミド繊維であってもよい。市販のアラミド繊維としては、例えばパラ型であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン社製ケブラー、帝人社製トワロン)、メタ型であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人社製コーネックス)、共重合体系であるポリ−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合体繊維(帝人社製テクノーラ)などが挙げられる。アラミド繊維フィラメントの繊維径は特に限定されない。
フィラメントの束に含まれるフィラメントの数は、特に制限はない。例えば、200本〜1000本の範囲の数のフィラメントを用いることができる。
フィラメントの表面は、サイジング剤によって処理されていてもよい。すなわち、フィラメントの表面に対して、「サイジング」と一般的に呼ばれる前処理が行われていてもよい。例えば、アラミド繊維について、サイジング剤の好ましい一例は、エポキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの官能基を含有する。このようなサイジング剤の例には、アミノシラン、エポキシシラン、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。具体的な例としては、ナガセケムテックス社のデナコールシリーズ、DIC社のエピクロンシリーズ、三菱化学社のエピコートシリーズが挙げられる。表面がサイジング処理されたアラミド繊維フィラメントを用いることによって、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの接着性を高めることが可能である。
本実施形態における被膜は、フィラメントの束の少なくとも表面に形成され、ゴムラテックスと架橋剤と充填材とを必須成分とする本実施形態の水性処理剤(A)によって形成される。本実施形態のゴム補強用コードは、フィラメント同士および/またはストランド同士がこの被膜によって化学的に結合される。この被膜は、フィラメントの束の上に直接形成されることが好ましく、各フィラメントの上に直接形成されることがより好ましい。
被膜の質量は、特に限定されず適宜調整すればよいが、フィラメントの束の質量に対し5〜35%の範囲にあってもよい。例えば、10〜25%の範囲や15〜25%の範囲にあってもよい。被膜の質量が多すぎる場合、ゴム製品内における寸法安定性の低下や、ゴム補強用コードの弾性率の低下などの不具合が発生することがある。一方、当該値が少なすぎる場合、ゴム補強用コードの耐ほつれ特性の低下や、フィラメントを保護する機能の低下が起こり、その結果、ゴム製品の寿命が低下する場合がある。
マトリックスゴムとの接着性を向上させるために、本実施形態のゴム補強用コードは、上記被膜(第1の被膜)よりも外側(ゴム補強用コードのより表面側)に設けられた第2の被膜をさらに備えてもよい。第2の被膜を形成する処理剤は、水性処理剤(A)と同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。例えば、成分や溶媒が水性処理剤(A)とは異なる処理剤を用いて第2の被膜を形成してもよい。水性処理剤(A)とは異なる構成の処理剤を用いる場合、例えば市販の接着剤を含んでいてもよく、有機溶剤をさらに含んでいてもよい。市販の接着剤の具体例としては、ケムロック233X(ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド製)、THIXONシリーズ(ダウ・ケミカル日本製)、MEGUMシリーズ(ダウ・ケミカル日本製)、メタロックシリーズ(東洋化学研究所製)、が挙げられる。
上記のとおり、本実施形態のゴム補強用コードは、第1の被膜よりも外側に設けられた第2の被膜をさらに備えていてもよい。第2の被膜は、複数のストランドを撚り合わせたコード上に第2の被膜を形成するための処理剤を供給し、当該コードに対して当該コードの長手方向に荷重を付加した状態で、コード上の処理剤を乾燥させることによって、形成されてもよい。コードに対して当該コードの長手方向に荷重を付加した状態で、複数のストランドを撚り合わせたコード上に第2の被膜を形成するための処理剤を供給し、コード上の処理剤を乾燥させることが好ましい。コードの長手方向に付加される荷重は、コードに含まれるフィラメントの種類および本数などによって変更可能である。例えばストランドがアラミド繊維フィラメントによって構成されている場合、コードに対して当該コードの長手方向に、コードの長手方向の破断強度の2〜10%の荷重を付加してもよい。破断強度は、実施例において述べる方法を用いて測定できる。別の観点からは、コードの長手方向に30〜150Nの荷重を付加することが好ましい。
別の実施形態において、フィラメントの束は、フィラメントの束を複数本束ねたものであってもよい。この場合、複数本のフィラメントの束は、撚られていてもよいし、撚られていなくてもよい。
[ゴム補強用コードの製造方法]
ゴム補強用コードの製造方法について説明する。なお、ゴム補強用コードについて説明した事項は以下の製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、以下の製造方法で説明した事項は、本発明のゴム補強用コードに適用できる。以下の実施形態では、工程(i)および(ii)を含むゴム補強用コードの製造方法を説明するが、第2の被膜が設けられないゴム補強用コードを製造する場合は、工程(ii)は実施しなくてもよい。
本実施形態のゴム補強用コードの製造方法は、以下の工程(i)および(ii)を含む。
すなわち、本実施形態のゴム補強用コードの製造方法は、
複数のフィラメントを束ねてフィラメントの束を作製し、フィラメントの束の少なくとも表面に水性処理剤(A)を供給し、供給された水性処理剤(A)を乾燥させて第1の被膜を作製して、ストランドを形成し、複数のストランドを撚り合わせてコードを形成する工程(i)、と、
工程(i)で得られたコード上に第2の被膜を形成するための処理剤を供給し、コードに対して当該コードの長手方向に荷重を付加した状態で、コード上の処理剤を乾燥させて、第1の被膜よりも外側に設けられた第2の被膜を形成する工程(ii)、とを含む。
工程(i)について説明する。まず、複数のフィラメントを束ねて、フィラメントの束を形成し、フィラメントの束の少なくとも表面に水性処理剤(A)を供給し、供給された水性処理剤(A)中の溶媒を乾燥させて第1の被膜を作製する。
上記工程(i)によって第1の被膜を有する複数のストランドを撚り合わせたコードが形成される。水性処理剤(A)を供給する方法に限定はなく、例えば、フィラメントの束を水性処理剤(A)中に浸漬してもよく、フィラメントの束に水性処理剤(A)を塗布してもよい。水性処理剤(A)を乾燥させる方法に限定はなく、例えば、乾燥炉を用いて溶媒を除去してもよい。溶媒を除去するための乾燥条件は特に限定されない。例えば、80〜300℃の雰囲気下で0.5〜2分間乾燥することによって、溶媒を除去してもよい。
工程(i)の具体例としては、まず、複数のフィラメントを引き揃えてフィラメントの束を形成し、その束の表面に水性処理剤(A)を塗布する。その後、水性処理剤(A)中の溶媒を除去する。フィラメントの束は、実質的にアラミド繊維フィラメントで構成されていてもよい。
第1の被膜が形成されたフィラメントの束は、通常、一方向に撚られる。撚る方向は、S方向であってもよいし、Z方向であってもよい。フィラメントの数および撚り数は、上述したため、説明を省略する。
工程(ii)について説明する。工程(ii)は、工程(i)で得られたコード上に第2の被膜を形成するための処理剤を供給後、コード上の処理剤をコードの長手方向にコードに荷重を付加しながら乾燥し、第1の被膜よりも外側に設けられた第2の被膜を形成する工程である。第2の被膜は第1の被膜上に直接形成されていてもよい。コードに対して当該コードの長手方向に荷重を付加した状態で、コード上の処理剤を乾燥させることで、さらに引き締まったゴム補強用コードを得ることができる。これは、高い張力がかかるため、ゴム補強用コードの引き締め効果が大きいためである。さらに、乾燥機を用いて乾燥させる場合には、上記の張力と熱とが同時にかかるため、ゴム補強用コードの引き締め効果がさらに大きくなる。そして、引き締められたゴム補強用コードは、フィラメント同士および/またはストランド同士の結合力がさらに上昇し、耐ほつれ特性がさらに優れる。
例えば、第2の被膜は、コードの長手方向に、コードの長手方向の破断強度の2〜10%の荷重を付加のもと、処理剤を乾燥させて形成してもよい。別の観点からは、第2の被膜は、コードの長手方向に30〜150Nの荷重の付加のもと、処理剤を乾燥させて形成してもよい。本工程においては、第2の被膜を形成するための処理剤の供給時にも、コードの長手方向に荷重を付加してもよい。
別の実施形態では、工程(i)において、被膜が形成された加撚されたフィラメントの束を複数形成し、それら複数のフィラメントの束を束ねて上撚りを加えて、コードを形成してもよい。上撚りの方向は、フィラメントの束の撚りの方向(下撚りの方向)と同じであってもよいし、異なってもよい。
別の実施形態では、工程(i)においてコードを形成するために、被膜が形成された無撚のフィラメントの束を複数形成し、これらのフィラメントの束を束ねたストランドを撚ってコードを形成してもよい。
さらに別の実施形態では、工程(i)において、フィラメントの束に撚りを加えてから被膜を形成し、複数のストランドを撚りあわせてコードを形成してもよい。
[ゴム製品]
本実施形態のゴム製品は、ゴム組成物(マトリックスゴム)と、ゴム組成物に埋め込まれた本実施形態のゴム補強用コードとを含む。ゴム製品は、特に限定はない。本実施形態のゴム製品の例には、自動車や自転車のタイヤ、および、伝動ベルトなどが含まれる。伝動ベルトの例には、噛み合い伝動ベルトや摩擦伝動ベルトなどが含まれる。噛み合い伝動ベルトの例には、自動車用タイミングベルトなどに代表される歯付きベルトが含まれる。摩擦伝動ベルトの例には、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどが含まれる。すなわち、本実施形態のゴム製品は、歯付ベルト、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、またはVリブドベルトであってもよい。
本実施形態のゴム製品は、本実施形態のゴム補強用コードをゴム組成物に埋め込むことによって形成されている。ゴム補強用コードをマトリックスゴム内に埋め込む方法は特に限定されず、公知の方法を適用してもよい。そのため、本実施形態のゴム製品は、高い耐屈曲疲労性を備えている。したがって、本実施形態のゴム製品は、車輌用エンジンのタイミングベルトなどの用途に特に適している。
ゴム組成物のゴムの種類は、特に限定されず、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、水素化ニトリルゴムなどであってもよい。水素化ニトリルゴムは、アクリル酸亜鉛誘導体(例えばメタクリル酸亜鉛)を分散させた水素化ニトリルゴムであってもよい。耐水性および耐油性の観点から、水素化ニトリルゴムおよびアクリル酸亜鉛誘導体を分散させた水素化ニトリルゴムから選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。マトリックスゴムは、さらに、カルボキシル変性された水素化ニトリルゴムを含んでもよい。なお、ゴム補強用コードの被膜とゴム製品のゴム組成物とが同じ種類のゴムを含むか、または、同じ種類のゴムからなることが、接着性の点で好ましい。
ゴム製品の一実施形態として、歯付ベルトを図1に示す。図1に示す歯付ベルト1は、ベルト本体11および複数のゴム補強用コード12を含む。ベルト本体11は、ベルト部13と、一定間隔でベルト部13から突き出した複数の歯部14とを含む。ゴム補強用コード12は、ベルト部13の内部に、ベルト部13の長手方向と平行となるように埋め込まれている。ゴム補強用コード12は、本発明のゴム補強用コードである。
本発明の製造方法について、実施例を用いてより詳細に説明する。本発明は以下に示す実施例に限定されない。
(実施例1〜11、比較例1〜8)
まず、アラミド繊維フィラメント1000本を束ねて、フィラメントの束とした。アラミド繊維フィラメントには、帝人社製テクノーラ1670dtexを用いた。
フィラメントの束を、以下の表1の実施例1に示す組成の水性処理剤(A)に浸漬した後、200℃で1分間乾燥させた。このフィラメントの束を3本束ねて40回/mの割合で一方向に撚り(Z撚りに下撚り)をかけてストランドを形成し、さらに得られたストランドを3本束ねて40回/mの割合で同一方向に撚り(Z撚りに上撚り)をかけてコードを形成した。次に、マトリックスゴムとの接着性を向上させるために、以下の表3に示す組成を有する処理剤を上記第1の被膜の上に塗布して乾燥することによって、第2の被膜を形成した。また、この第2の被膜を形成する工程において、第2の被膜を形成する処理剤の塗布前から乾燥後までの間、コードの長手方向に100Nの張力をかけた。このコードに付加した張力は、コードの長手方向の破断強度の3.7%に該当する。このようにして、実施例1のゴム補強用コードを得た。
なお、破断強度は、ASTM7269に準拠して測定した。
水性処理剤(A)の組成を以下の表1に示す組成に変えることを除いて実施例1と同様の条件で、実施例2〜11のゴム補強用コードを作製した。水性処理剤(A)の組成を以下の表2に示す組成に変えることを除いて実施例1と同様の条件で、比較例1〜8のゴム補強用コードを作製した。
表1、表2に示す各組成は以下の通りである。
成分A1 Zetpol Latex(カルボキシル変性且つ水素化タイプ:日本ゼオン株式会社製)
成分A2 Nipol Latex(カルボキシル変性タイプ:日本ゼオン株式会社製)
成分B1 4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
成分B2 ポリイソシアネート
成分C1 カーボンブラック(Columbian Chemicals Company製)
成分C2 コロイダルシリカ(日本化学工業株式会社製)
表3に示す、ケムロック233Xは、ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド社製である。
Figure 0006542131
Figure 0006542131
Figure 0006542131
サンプルの耐ほつれ特性は、以下のようにして評価した。
まず、サンプルを長さ200mmに切断し、シート状(25mm×200mm×3mm厚さ)のマトリックスゴム前駆体(ゴムの種類はH−NBR系)の表面に、サンプル長手方向とマトリックスゴム前駆体の長辺方向とが一致し、かつ、隣り合うサンプルが互いに平行になるように隙間なく配置した。次に、上記マトリックスゴム前駆体上に、上記マトリックスゴム前駆体と同サイズの別のシート状マトリックスゴム前駆体を、上記のとおり配置したサンプルを挟持するようにさらに重ねた。
次に、サンプルを挟持した上記一対の前駆体を、その両面から150℃で20分間熱プレスした。マトリックスゴム前駆体に加硫剤が含まれており、熱プレスにより加硫されたマトリックスゴムとなり、アラミド繊維コードサンプルが埋め込まれたゴムサンプルが作製された。
次に、作製したゴムサンプルを、裁断機を用いて、サンプルの長さ方向に平行な方向に切断し、その端面の状態を目視により評価した。評価は5段階とし、切断面が平滑であり、かつ、アラミド繊維が切断面でほつれていない状態を「5」、切断面は平滑だが、数本のアラミド繊維が切断面でほつれている状態を「4」、切断面が平滑だが、数本のアラミド繊維が切断面でほつれており、かつ、ストランド間にクラックがある状態を「3」、切断面が平滑だが、数十本のアラミド繊維がほつれて切断面から突出している、もしくは、ストランド間にクラックがあり、ストランド単位で切断面から突出している状態を「2」、切断面の平滑性自体が得られていない状態を「1」とした。
以下の表4に耐ほつれ特性の評価結果を示す。
Figure 0006542131
表4に示すように、実施例では耐ほつれ特性が高く、比較例では耐ほつれ特性が低い結果となった。すなわち、水性処理剤(A)の架橋剤合計量と充填材合計量とが共に本発明で特定している範囲を満たすことにより、耐ほつれ特性を改善できることが確認された。
本発明は、ゴム補強用コードの形成に用いる水性処理剤、ゴム製品を補強するためのゴム補強用コード、ゴム補強用コードを用いたゴム製品に利用できる。

Claims (15)

  1. 被膜を有するゴム補強用コードを形成するための水性処理剤であって、
    前記水性処理剤は、ゴムラテックス、架橋剤および充填材を含み、
    前記架橋剤の含有量は、前記ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し110質量部以上125質量部以下の範囲にあり、
    前記充填材の含有量は、前記ゴムラテックスに含まれる固形分100質量部に対し50質量部を超え80質量部以下の範囲にある、
    水性処理剤。
  2. 前記ゴムラテックスは、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、カルボキシル変性されたニトリルゴム、およびカルボキシル変性された水素化ニトリルゴムからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つのゴムのラテックスである、
    請求項1に記載の水性処理剤。
  3. 前記架橋剤は、マレイミド系架橋剤およびポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つである、
    請求項1に記載の水性処理剤。
  4. 前記充填材は、シリカおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つである、
    請求項1に記載の水性処理剤。
  5. 前記水性処理剤は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物を含まない、
    請求項1に記載の水性処理剤。
  6. ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードであって、
    前記ゴム補強用コードは、少なくとも1つのストランドを備え、
    前記ストランドは、少なくとも1つのフィラメントの束と、前記フィラメントの束の少なくとも表面に請求項1に記載の水性処理剤を用いて形成された第1の被膜とを有する、
    ゴム補強用コード。
  7. 前記第1の被膜の質量が、前記フィラメントの束の質量に対し5〜35質量%の範囲にある、
    請求項6に記載のゴム補強用コード。
  8. 前記フィラメントの束が、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、およびポリパラフェニレンベンゾオキサゾールから選ばれる少なくともいずれか1つによって構成されている、
    請求項6に記載のゴム補強用コード。
  9. 前記フィラメントの束がアラミド繊維によって構成されている、請求項8に記載のゴム補強用コード。
  10. (i)複数のフィラメントを束ねてフィラメントの束を作製し、前記フィラメントの束の少なくとも表面に請求項1に記載の水性処理剤を供給し、供給された前記水性処理剤を乾燥させて第1の被膜を作製して、ストランドを形成し、複数の前記ストランドを撚り合わせてコードを形成する工程、
    を含む、ゴム補強用コードの製造方法。
  11. (ii)工程(i)で得られた前記コード上に第2の被膜を形成するための処理剤を供給し、前記コードに対して当該コードの長手方向に荷重を付加した状態で、前記コード上の前記処理剤を乾燥させて、前記第1の被膜よりも外側に設けられた第2の被膜を形成する工程、
    をさらに含む、請求項10に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  12. ゴム組成物と、前記ゴム組成物に埋め込まれたゴム補強用コードとを含み、
    前記ゴム補強用コードが請求項6に記載のゴム補強用コードであるゴム製品。
  13. 伝動ベルトである、請求項12に記載のゴム製品。
  14. 噛み合い伝動ベルトまたは摩擦伝動ベルトである、請求項13に記載のゴム製品。
  15. 歯付ベルト、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、またはVリブドベルトである、請求項14に記載のゴム製品。
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