JP2023130816A - ゴム補強用コード - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強度、低負荷時の伸長性、高付加時の高弾性率、接着性および耐疲労性を備え、それらの物性のばらつきが小さく、信頼性の高いゴム補強用コードを提供する。【解決手段】牽切加工糸を含んでなるゴム補強コードであって、牽切加工糸の平均繊維長は30~120cmであり、該ゴム補強用コードは引張強度が8.0cN/dtex以上かつ引張強度の変動率CV%が20%以下であることを特徴とする、ゴム補強用コード。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム補強用コードに関し、詳しくはタイヤ等のゴム製品の補強に用いるゴム補強用コードに関する。
ゴムベルト、ゴムタイヤ等のゴム製品の強度や耐久性を向上させるために、補強用繊維をゴム内に埋め込むことが広く一般に行われている。従来、この補強用繊維として、ガラス繊維、ビニロン繊維に代表されるポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ナイロン、アラミド(芳香族ポリアミド)などのポリアミド繊維、カーボン繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキザール繊維等が広く用いられている。これらの中でも、高強度、高弾性率、寸法安定性、耐熱性および耐薬品性に優れる芳香族ポリアミド繊維が、特に期待されている。
しかし、これらの補強用繊維では、ゴム組成物を硬化してゴム成形物にするときの成形性と、ゴム成形物の使用時の剛性とを同時に満たすことができない。このため、改善策が提案されてきた。
例えば特許文献1には、パラ型芳香族ポリアミド繊維と脂肪族ポリアミド(ナイロン)繊維からなる複合コードを用いた低荷重領域で伸度を有するコードに関する技術が開示されている。この技術では、複合コードに占めるパラ型芳香族ポリアミド繊維の割合が決して高くなく、低強度低弾性率のナイロン繊維の比率が大きいことから、結果的に複合コードのコード径全体が太くなるだけでなく、高弾性率繊維を含めたコード全体が太くなるため、同じ曲率半径で屈曲された場合にコードの歪が大きくなり、結果として屈曲疲労耐久性が低下する問題がある。
また、そもそも芳香族ポリアミド繊維はその表面が比較的不活性であることが多く、そのままではマトリックスゴムとの接着性が不十分であり、芳香族ポリアミド繊維の特性を十分に発揮することはできない。
この接着性の改善策として、例えば特許文献2には、ゴムとの接着性と強力を両立させるために、芳香族ポリアミド繊維の牽切加工糸を用いる方法が提案されている。しかし、補強糸の均一性が悪くなり、補強糸の長さ方向に物性のばらつきが生じ、結果的にゴム補強物性にもばらつきが生じることになる。
ゴム補強物性のばらつきが大きいと、製品として信頼性の低いものとなってしまう。特に信頼性が重視されるゴムタイヤ用途には、芳香族ポリアミド繊維の牽切加工糸は高強度および高接着性を有しながらも、積極的な実用化が為されていないのが実状である。
特開2008-100365号公報 特開2010-180491号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、引張強度、低負荷時の伸長性、高付加時の高弾性率、接着性および耐疲労性を備え、それらの物性のばらつきが小さく、信頼性の高いゴム補強用コードを提供することにある。
すなわち本発明は、牽切加工糸を含んでなるゴム補強コードであって、牽切加工糸の平均繊維長は30~120cmであり、該ゴム補強用コードは引張強度が8.0cN/dtex以上かつ引張強度の変動率CV%が20%以下であることを特徴とする、ゴム補強用コードである。
本発明によれば、引張強度、低負荷時の伸長性、高付加時の高弾性率、接着性および耐疲労性を備え、それらの物性のばらつきが小さく、信頼性の高いゴム補強用コードを提供することができる。
牽切加工糸の製造装置の一例を示す概略図である。
〔牽切加工糸〕
牽切加工糸は、長繊維束を牽切して得た繊維を交絡することによって結束して得られる糸である。この牽切加工糸は、その表面に毛羽立ちを有する補強糸束構造となっており、その表面の毛羽立ちがアンカーとなることにより、高いゴムとの接着性を発現する。また、表面の毛羽立ちにより、少ない接着剤の量や低い接着剤濃度においても、繊維表面に多くの接着剤を付与することができ、高いゴム接着性を確保しつつコストの低減や環境負荷の低減に貢献できる。
これらの効果は、表面の化学構造によりゴムとの接着性が発現しにくい芳香族ポリアミド繊維やポリエステル繊維等に対して特に有効である。本発明では、これをゴム補強用コードとして用いることにより、ゴムとの接着性および耐疲労性に優れたゴムタイヤを得ることができる。
牽切加工糸は、芳香族ポリアミドの長繊維束を牽切して得た繊維を交絡することによって結束して得られる牽切加工糸であることが好ましい。
本発明に用いられる牽切加工糸は、例えば特開2008-163488号公報に記載された方法で製造することができる。すなわち、図1に示される工程で製造することができる。
該工程において、続長繊維束1がニップローラー2とニップローラー4の間で、該連続長繊維束の切断伸度以上に伸張されて牽切され、引き続き該牽切された繊維(以下、牽切繊維と称することがある。)がニップローラー4から吸引空気ノズル5によって吸引されて引き取られ、次いで抱合空気ノズル6によって繊維間に交絡およびまたは牽切繊維端部の捲回による結束が付与され、ニップローラー7を通して牽切加工糸8として巻き取られる。抱合空気ノズル6による牽切された繊維の抱合は、インターレース式の空気ノズルによる繊維同士の交絡、旋回流式の空気ノズルによる繊維端部による捲回のどちらであってもよい。
本発明において、牽切された単繊維の平均繊維長は30~120cmである。平均繊維長が30cm未満であると、接着性を向上させる毛羽立ちや繊維束への接着剤の浸透性の点では十分であるものの、繊維間の交絡が不十分となり引張強力が低下するため、繰返しの振動に対する耐疲労性が低下する。他方、平均繊維長が120cmを越えると、補強糸束構造がフィラメント(長繊維)に類似したものになり、繊維束への接着剤の浸透性が得られず接着性が不足する。
〔牽切加工糸の単糸繊度〕
牽切加工糸の単糸繊度は、好ましくは1.5dtex以下、さらに好ましくは1.0dtex以下である。この単糸繊度であることで、繊維束を構成する繊維本数が多いため、牽切加工による繊維強度の低下を抑制することができる。
〔強度およびその変動率CV%〕
本発明のゴム補強用コードは、牽切方式により製造された牽切加工糸を含んでなるが、この牽切加工糸はそれを構成する単繊維の繊維長が長く、従来の紡績糸に比べて繊維の配列度が高いため、高い強力を得ることができる。本発明のゴム補強用コードは、引張強度が8.0cN/dtex以上である。引張強度が8.0cN/dtex未満であると、十分なゴム製品としての強度を得ることができない。
そして、本発明のゴム補強用コードは、引張強度の変動率CV%が20%以下である。引張強度の変動率CV%が20%を超えると、成形後のゴム製品としての強度変動率が高く、またゴム接着性の変動率も高いものとなり、信頼性の低いゴム製品となってしまう。
〔長さ1~3mmの毛羽の本数〕
レーザー光を用いた毛羽検知器による測定において本発明のゴム補強用コートに観察される長さ1~3mmの毛羽の本数は、好ましくは1000本/10m以下である。これらの条件を満足すると、特にゴム接着性の変動率が低くなり、より信頼性が高くなり好ましい。
毛羽の本数の測定には、レーザー光を用いた毛羽検知器を用いる。毛羽検知器として、例えば、シキボウ社製のF-インデクステスター、計測器工業社製のレーザースポットを用いることができる。
〔直径の変動率CV%〕
レーザー光を用いた毛羽検知器による測定において、本発明のゴム補強用コードに観察される直径の変動率CV%は好ましくは9%以下である。この条件を満足すると、特に、ゴム補強用コードの強度変動率CV%が低いためゴムとしての強度変動率を低く抑えることができるため好ましい。
〔撚り糸〕
本発明のゴム補強用コードの好ましい態様では、下撚り糸の2本以上を下撚り糸の撚り方向と逆方向に上撚りして得た諸撚り糸であり、かつ下撚り糸および諸撚り糸の、下記式で表される撚り係数TMが3以上である。
TM=T×√D/1055
(ただし、TMは撚り係数、Tは撚り数(回/m)、Dは牽切加工糸の総繊度(tex)を表す。)
撚り係数TMを3以上とすることで、撚りによる表面の凹凸および単繊維の末端からなる毛羽により、高いゴムとの接着性を発現できる。
上記の態様で撚糸されていることにより、毛羽を構成する単繊維が撚糸糸条内で強く拘束されるため、容易に脱落しなくなり、その物性ばらつきが抑えられる。そして、結果的に、例えばゴムタイヤの加工工程で補強用コードがガイドや治具等に高速で接触する際の毛羽の脱落を大きく抑制することができ、優れた工程通過性と工程通過後の接着性を得ることができる。さらに、低負荷時の伸長性が向上し、単繊維に掛かる応力を分散させることができ、高い耐疲労性を得ることができる。
〔高強度高弾性率繊維〕
本発明において牽切加工糸は、引張強度が10cN/dtex以上かつJIS L 1017の初期引張抵抗度で示される弾性率が300cN/dtex以上である高強度高弾性率繊維の牽切加工糸であることが好ましい。
この条件を満足する高強度高弾性率繊維として、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、カーボン繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキザール繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子量ポリエチレン繊維を例示することができる。中でも、芳香族ポリアミド繊維が好ましい。
芳香族ポリアミド繊維自体は、従来から知られているものを用いることができ、知られている方法で製造することができる。例えば、特開昭49-100322号公報、特開昭47-10863号公報、特開昭58-144152号公報および特開平4-65513号公報に記載されている。
芳香族ポリアミド繊維の中でも、パラ型芳香族ポリアミド繊維が耐熱性と強度に優れているため好ましい。パラ型芳香族ポリアミド繊維は、芳香族ポリアミドの延鎖結合が共軸または平行であり、かつ反対方向に向いているポリアミドの繊維である。具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(例えば、テイジンアラミドB.V.製「トワロン(登録商標)」)や、共重合型の芳香族ポリアミド繊維であるコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(例えば、帝人(株)製「テクノーラ(登録商標)」)を例示することができる。
特に、共重合型の芳香族ポリアミド繊維であるコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(例えば、帝人(株)製「テクノーラ(登録商標)」)が屈曲疲労耐久性に優れるため好ましい。
〔低強度低弾性率繊維〕
本発明のゴム補強用コードは、下撚り糸の2本以上を下撚り糸の撚り方向と逆方向に上撚りして得た諸撚り糸であることが好ましい。この諸撚り糸は、好ましくは一方の下撚り糸と他方の下撚り糸からなる。この諸撚り糸を構成する一方の下撚り糸は、上述の牽切加工糸を撚糸して得た下撚り糸である。
そして、諸撚り糸を構成する他方の下撚り糸は、牽切加工糸よりも強度および弾性率の低い低強度低弾性率繊維の撚糸であることが好ましい。
すなわち、本発明の好ましい態様は、平均繊維長が30~120cmである牽切加工糸および該牽切加工糸よりも強度および弾性率の低い低強度低弾性率繊維の撚糸からなるゴム補強コードであって、該ゴム補強用コードの強度が8.0cN/dtex以上であり、その強度の変動率CV%が20%以下である、ゴム補強用コードである。
低強度低弾性率繊維として、ポリウレタン繊維、ナイロン6やナイロン66、ナイロン46等で知られる脂肪族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート等で知られるポリエステル繊維、ビニロンとして知られるポリビニリアルコール繊維、レーヨン繊維を例示することができる。なかでも低弾性率であり、破断伸度が30%以上、特に100%以上あることから、ポリウレタン繊維や重合度の低いポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましい。これらの繊維を低強度低弾性率繊維の撚糸として用いると、撚糸工程での取り扱い性と、容易に低負荷時の伸張性を得ることができる。
〔接着処理〕
牽切加工糸の高強度高弾性率繊維として芳香族ポリアミド繊維束を用いる場合、高温中での接着性等の観点から、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤を芳香族ポリアミド繊維の表面に付着させることで接着処理を行ってから、ゴム補強用コードとして用いることが好ましい。
この接着処理は、本発明のゴム補強用コードを、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤の溶液に含浸させることで行ってもよい。また、牽切加工糸の高強度高弾性率繊維をレゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤の溶液に浸漬処理した後に撚りを施すことで行ってもよい。
〔レゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤〕
接着処理によるレゾルシン-ホルマリン-ラテックス接着剤の付着量は、ゴム補強用コードの重量を基準として、好ましくは5~20重量%である、接着処理後、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤は、ゴム補強用コードの表面や内部に付着している。レゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤の付着量が、ゴム補強用コードの重量を基準5~20重量%であることで、優れた接着力を得ることができる。
ゴム補強用コードにレゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤を付着させるために、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含む溶液を用いてゴム補強用コードを表面処理する。この溶液の濃度は、好ましくは5~20重量%である。5重量%未満であると十分に付着させることができず好ましくなく、他方、20重量%を超えるとスカムが発生しやすくトラブルとなる可能性があり好ましくない。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂において、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は、好ましくは1:0.6~1:8、さらに好ましくは1:0.8~1:6である。ホルムアルデヒドの量がこの範囲より少ないとレゾルシン・ホルマリンの縮合物の架橋密度が低下すると共に分子量の低下を招くため、樹脂層の凝集力が低下することにより接着性が低下し、耐屈曲疲労性が低下するおそれがあり好ましくない。他方、ホルムアルデヒドの量がこの範囲より多いと架橋密度上昇によりレゾルシン・ホルマリン縮合物が硬くなり、被着体のゴムとの共加硫時にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂とゴムとの相溶化が阻害され接着性が低下する傾向があり好ましくない。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂における、レゾルシン・ホルマリンとラテックスとの配合比率は、固形分重量比として、レゾルシン・ホルマリン:ラテックスが、好ましくは1:3~1:16、さらに好ましくは1:4~1:10である。ラテックスの比率がこの範囲より少ないとゴムとの共加硫成分が少ないため接着力が低下する傾向があり好ましくなく、他方、ラテックスの比率がこの範囲より多いと接着剤皮膜として充分な強度を得ることができないため、接着力や耐久性が低下する傾向があるとともに、接着処理した複合コードの粘着性が著しく高くなり、接着処理工程やベルト成型工程でカムアップや取り扱い性などの工程通過性が低下するおそれがあり好ましくない。
レゾルシンとして、予めオリゴマー化したレゾルシン-ホルマリン初期縮合物やクロロフェノールとレゾルシンをホルマリンとオリゴマー化した多核クロロフェノール系レゾルシン-ホルマリン初期縮合物を用いることができる。これは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
ラテックスとして、水素添加アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、スチレン-ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスを例示することができる。これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。
ゴム補強用コードの単糸の表面をエポキシ化合物で表面処理してからレゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤で接着処理をする場合、その表面との親和性が高く、また樹脂層の強度を高めることができることから、ラテックスとして、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエンゴムラテックスが好ましい。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂には、架橋剤を併用してもよい。架橋剤として、アミン、エチレン尿素、ブロックドイソシアネート化合物を例示することができる。なかでも、処理剤の経時安定性がよく、前処理剤との相互作用が良好なことから、ブロックドイソシアネート化合物が好ましい。このブロックドイソシアネート化合物として、ジメチルピラゾールブロック、メチルエチルケトンオキシムブロック、カプロラクタムブロックのブロックドイソシアネートが好ましい。これらは二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
〔エポキシ化合物による表面処理〕
パラ型芳香族ポリアミド繊維をはじめとする高強度高弾性率繊維は、一般的に表面が不活性であるため他の物質と接着しづらい。
そこで、接着処理後を行う前のゴム補強用コードには、十分な接着性を得るために、エポキシ化合物を含む溶液に浸漬処理することでエポキシ化合物を含侵させる表面処理を行うことが好ましい。この表面処理で、芳香族ポリアミド繊維とレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂との化学的親和性を向上させることができる。
ゴム補強用コードの牽切加工糸の高強度高弾性率繊維として、芳香族ポリアミド繊維を用いる場合、芳香族ポリアミド繊維の単繊維に対するエポキシ化合物の固形分付着量は、単糸の重量を基準として、好ましくは0.05~5.0重量%、さらに好ましくは0.2~2.0重量%である。付着量がこれより少ないと単糸の表面に形成されるエポキシ樹脂の層が十分でなく、芳香族ポリアミド繊維の単糸同士の密着性や、単糸とレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂との密着性を得ること困難であり好ましくない。他方、付着量がこれより多いとエポキシ樹脂によって単糸同士が強く集束されてしまい、結果的に複合コードが硬くなり、耐屈曲疲労性に劣ることになり好ましくない。
表面処理に用いるエポキシ化合物として、具体的には、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシドとの反応生成物、レゾルシン、ピス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノールと前記ハロゲン含有エポキシドとの反応生成物、過酢酸または過酸化水素等で不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、すなわち3,4-エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3、4-エポキシ-6-メチル-シクロヘキシルメチル)アジベートを例示することができる。
これらのうち、多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物が好ましく、多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物のようなポリエポキシド化合物と硬化剤により生成される化合物も好ましい。
ポリエポキシド化合物を用いる場合、乳化剤、例えばアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルフォサクシネートナトリウム塩を用いて乳化液としてもよい。
ポリエポキシド化合物には、アミン系やイミダゾール系の硬化剤、ポリイソシアネートとオキシム、フェノール、カプロラクタムなどのブロック化剤との付加化合物であるブロックドポリイソシアネート、エチレンイミンとの反応化合物であるエチレン尿素を併用してもよい。
ポリエポキシ化合物を用いる場合には、ポリエポキシド化合物の重量をA重量部とし、硬化剤、ブロックドポリイソシアネートおよびエチレン尿素の重量をB重量部としたときの両者の関係が、0.05≦A/(A+B)≦0.9の条件を満たすことが好ましい。この範囲であると、特に良好な接着性を得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。
(1)平均繊維長
牽切加工糸から、200本の単繊維を切断しないようにランダムに抜き取り、単繊維の長さを伸ばした状態で測定して200本の平均値をとった。
(2)総繊度
JIS L1017に準じて、付着樹脂を含めた総繊度(重量)を測定した。
(3)引張強度およびその変動率CV%
JIS L1017に準じて補強糸の引張試験を10回測定し、その荷重―伸長曲線を算出した。引張強度は、破断時の引張強力から樹脂付着量を含めたゴム補強用コードの繊度で割って算出し、その平均値を算出した。
変動率CV%は、10回測定した引張強度の標準偏差および平均値を用い、以下の式で算出した。
変動率CV%=100×(引張強度の標準偏差)/(引張強度の平均値)
(4)長さ1~3mmの毛羽の本数
レーザー光を用いた毛羽検知器である計測器工業社製レーザースポットにて、掃引速度8m/minにて、ゴム補強用コードの長さ1~3mmの毛羽の本数を3回測定し、本数の平均値を求めた。
(5)直径の変動率CV%
計測器工業社製レーザースポットにて、掃引速度8m/minにて3回測定し、その平均値を求めた。
(6)接着剤付着率
5m単位で20箇所(全長100m)測りとって付着量を下式により求め、100mあたりの平均値(20箇所の平均値)と、20箇所のうちの最大値と最小値を測定した。
接着剤付着率=100×(ゴム付着用処理ディップ糸重量-処理前糸重量)/処理前糸重量
(7)ゴム接着性およびその変動率CV%
ゴム補強用コードとゴムとの接着力を示すものである。天然ゴムを主成分とするカーカス配合の未加硫ゴムシート表層近くに5本のコードを埋め、150℃、30分間、500N/cmのプレス圧力で加硫し、次いで、両端のコードを残し3本のコードをゴムシート面に対し90度の方向へ200mm/分の速度で剥離するのに要したカを3回測定し、その平均値を算出した。
変動率CV%は、3回測定したゴム接着性の標準偏差および平均値を用い、以下の式で算出した。
変動率CV%=100×(ゴム接着性の標準偏差)/(ゴム接着性の平均値)
(8)耐疲労性およびその変動率CV%
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含むゴム補強コードに1.6cN/dtexの荷重をかけて直径10mmφのローラーに取り付け、100rpmの往復運動をさせ、100,000回の繰返し屈曲を行ったのち、複合コードを取り出して、残強力を3回測定し、その平均値および繰返し屈曲前の強力からその強力保持率を求めた。
変動率CV%は、3回測定した繰返し屈曲後の残強力の標準偏差および平均値を用いて、以下の式で算出した。
変動率CV%=(屈曲疲労後残強力の標準偏差)/(屈曲疲労後残強力の平均値)×100
(9)JIS L 1017の初期引張抵抗度で示される弾性率
引張強度と同様の引張試験を行い、その荷重―伸長曲線から、原点の近くで伸長変化に対する荷重変化の最大点(接線角の最大点)の接線の傾きから算出した。
〔実施例1〕
図1に示すような牽切糸条の製造装置を使用して、連続長繊維束1として、全繊度1100dtex、単繊維繊度0.8dtex、引張強度24cN/dtex、JIS L 1017の初期引張抵抗度で示される弾性率が530cN/dtexの、捲縮を有しないパラ型アラミド繊維(テクノーラ:帝人(株)製)を1本用い、該連続長繊維束をニップローラー2とニップローラー4の間で6.7倍の牽切比(ニップローラー4の表面速度/ニップローラー2の表面速度)、ニップローラー4の表面速度300m/分で牽切し、引き続き該牽切繊維束をニップローラー4から吸引空気ノズル5によって吸引して取り出すと共に、該繊維束をZ撚りが掛かる方向の旋回流を有した抱合空気ノズル6に通して該繊維束に交絡および牽切繊維端部による捲回を付与して結束し、次いでニップローラー7を経て、巻き取り装置9で巻き取り、総繊度440dtex、平均繊維長45cm、引張強度22cN/dtexの牽切加工糸8が得られた。この時のニップローラー2とニップローラー4の間の距離(牽切長)は、100cmに設定した。
この牽切加工糸をリング撚糸機によって550t/mのZ方向の撚糸を施して下撚り糸とした。
また、低強度低弾性率繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維(帝人株式会社製テトロン(登録商標)P903BZ 560dtex)を用い、リング撚糸処理において550t/mのZ方向の撚糸を施して、下撚り糸とした。牽切加工糸の下撚り糸2本とポリエチレンテレフタレート繊維の下撚り糸1本を用いて、550t/mのS方向の撚糸を施して、繊維コードとした。
この繊維コードを用いて以下の処理を行った。一浴目の処理液として、ピペラジン0.5gを水978.5gに分散させ、ネオコールSW-30(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、第一工業製薬株式会社製)1g(固形成分濃度:30重量%)を添加し、次いでポリエポキシド化合物(デナコールEX314、ナガセケムテックス株式会社製)20gを分散させた処理液(固形成分2重量%)を用意した。
この一浴目の処理液に、前記繊維コードを浸漬し、150℃で2分間乾燥させた後、240℃で1分間熱処理を行い、一浴処理後繊維コードとした。得られた一浴処理後繊維コードについて、一浴目の処理剤の繊維コードへの付着量を測定すると0.5重量%であった。
次いで、二浴目の処理液を調製した。まずは、苛性ソーダ水溶液に、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物、スミカノールS700(住友化学(株)製、65重量%水溶液)を添加して十分に攪拌し分散させた。これにホルマリンをR/F比が1/0.5(モル比)になるように添加して均一に混合し、温度25℃で6時間熟成させた。
次に、ニッポール2518FS(日本ゼオン(株)製、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス)及びニッポールLX-111A(日本ゼオン(株)製、ポリブタジエンゴムラテックス)を混合したもの(ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス/ポリブタジエンゴムラテックス=75/25(重量比))を、前記レゾルシン・ホルマリン初期縮合物分散液と固形分比率(RF/L比)で1/9の重量割合(処理液濃度10重量%)で混合し、温度25℃で24時間熟成した。得られた処理液を二浴目の処理液とした。
一浴処理後繊維コードを、前記二浴目の処理液に浸漬し、150℃で2分間乾燥させた後、240℃で1分間熱処理を行った。得られたゴム補強用コードの結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1の牽切加工糸に対し、リング撚糸処理による撚糸を900t/mのZ方向の撚糸に変更して下撚り糸を得た。この下撚り糸2本を用いて、900t/mのS方向の撚糸を施して繊維コードとした。この繊維コードを用いて、実施例1と同様にしてゴム補強用コードを得た。評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1の牽切加工糸に対し、リング撚糸処理による撚糸を600t/mのZ方向の撚糸に変更して下撚り糸を得た。この下撚り糸を用いて、600t/mのS方向の撚糸を施して繊維コードとした。この繊維コードを用いて、実施例1と同様にしてゴム補強用コードを得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1の牽切加工糸に対し、リング撚糸処理による撚糸を200t/mのZ方向の撚糸に変更して下撚り糸を得た。この下撚り糸を2本用いて、200t/mのS方向の撚糸を施して繊維コードとした。この繊維コードを用いて、実施例1と同様にしてゴム補強用コードを得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
全繊度440dtex、単繊維繊度0.8dtex、強度24cN/dtexの捲縮を有しないパラ型アラミド繊維(テクノーラ)を1本用いて、牽切加工処理を実施せずそのままリング撚糸処理を実施した以外は、実施例1と同様にしてゴム補強用コードを得た。評価結果を表1に示す。
実施例で得られたゴム補強用コードは、その強度およびゴム接着性、疲労性において、比較例で得られたゴム補強用コードよりも優れており、またその変動率CV%が低い結果となった。
本発明のゴム補強用コードは、ゴムの補強に用いることができ、特にゴムタイヤの補強に用いることができる。本発明のゴム補強用コードによって、優れたタイヤ特性を有しながら、他のゴム補強用コードよりもそのゴム層の厚みを薄くすることができ、燃費の向上等に貢献することができる。
1 連続長繊維束
2、4、7 ニップローラー
3 牽切中の繊維束の乱れを防止するガイド
5 吸引空気ノズル
6 抱合付与空気ノズル
8 牽切加工糸
9 巻取り装置

Claims (10)

  1. 牽切加工糸を含んでなるゴム補強コードであって、牽切加工糸の平均繊維長は30~120cmであり、該ゴム補強用コードは引張強度が8.0cN/dtex以上かつ引張強度の変動率CV%が20%以下であることを特徴とする、ゴム補強用コード。
  2. レーザー光を用いた毛羽検知器による測定においてゴム補強用コードに観察される長さ1~3mmの毛羽の本数が1000本/10m以下である、請求項1に記載のゴム補強用コード。
  3. レーザー光を用いた毛羽検知器による測定において観察されるゴム補強用コードの直径の変動率CV%が9%以下である、請求項1に記載のゴム補強用コード。
  4. ゴム補強用コードが、下撚り糸の2本以上を下撚り糸の撚り方向と逆方向に上撚りして得た諸撚り糸であり、かつ下撚り糸および諸撚り糸の、下記式で表される撚り係数TMが3以上である、請求項1に記載のゴム補強用コード。
    TM=T×√D/1055
    (ただし、TMは撚り係数、Tは撚り数(回/m)、Dは牽切加工糸の総繊度(tex)を表す。)
  5. 諸撚り糸を構成する下撚り糸の一方が、牽切加工糸を撚糸して得た下撚り糸である、請求項1に記載のゴム補強用コード。
  6. 諸撚り糸を構成する下撚り糸の他方が、牽切加工糸よりも強度および弾性率の低い低強度低弾性率繊維の撚糸である、請求項5に記載のゴム補強用コード。
  7. 牽切加工糸が、引張強度が10cN/dtex以上かつJIS L 1017の初期引張抵抗度で示される弾性率が300cN/dtex以上である高強度高弾性率繊維の牽切加工糸である、請求項5に記載のゴム補強用コード。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のゴム補強用コード、およびそれに付着したレゾルシン-ホルマリン-ラテックス接着剤からなり、レゾルシン-ホルマリン-ラテックス接着剤の付着量がゴム補強用コードの重量を基準として5~20重量%である、ゴム補強用コード。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載のゴム補強用コードを、レゾルシン-ホルマリン-ラテックス接着剤を5~20重量%の濃度で含有する処理剤に浸漬する工程を含む、ゴム補強用コードの製造方法。
  10. 請求項1に記載のゴム補強用コードを含む、ゴムタイヤ。
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