JP6902356B2 - 摩擦材補強用有機繊維コードおよびそれを用いたクラッチフェーシング - Google Patents

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本発明は摩擦材補強用有機繊維コードに関し、さらに詳しくは乾式クラッチのクラッチディスクに使用されるフェーシング材に使用されるコードであり、クラッチフェーシングマトリックスとの接着性、耐摩耗性が大幅に改良された摩擦材補強用有機繊維コードに関する。
自動車等の車両に用いられるクラッチにおいては、半クラッチが多用される等の高負荷領域で使用されることによって摩擦材であるクラッチフェーシングが非常に高温となるため、耐摩耗性等が問題となる場合が多い。特に、近年においては、クラッチフェーシングに対するニーズとして、エンジンの高出力化による耐磨耗性の向上と高温領域における摩擦係数の安定性が求められている。
特許文献1に記載の発明では、芳香族ポリアミド繊維と岩石繊維とガラス繊維とが撚り合わされた摩擦調整剤を含む基材を用いることで、耐摩耗特性を向上させている。芳香族ポリアミド繊維のような有機繊維が、耐摩耗特性の向上に寄与することはよく知られている。これは、耐摩耗性に優れる有機繊維がクラッチフェーシングの表面に露出することにより、周囲のマトリックスの摩耗を抑制しているものと考えられる。
しかし、芳香族ポリアミド繊維をはじめとする合成繊維はその表面が比較的不活性であることが多く、そのままではクラッチフェーシングのマトリックスとなる熱硬化性樹脂との接着性が不十分となり、結果としてクラッチフェーシングが摩耗される際に、有機繊維コードとマトリックスとの一体化が不十分となり、耐摩耗特性や摩擦係数の安定性向上への寄与が十分に発揮できない、という課題が残る。
特開昭62−292937号公報
本発明は摩擦材補強用有機繊維コードに関し、さらに詳しくは摩擦調整剤と熱硬化性樹脂を含む基材との接着性が大幅に改良され、耐摩耗特性と摩擦係数安定性を向上させることができる摩擦材補強用有機繊維コードおよびそれを用いたクラッチフェーシングを提供することにある。
糸の表面にエポキシ化合物を含む樹脂皮膜を備えることを特徴とする摩擦材補強用有機繊維コード、および、該摩擦材補強用有機繊維コードと摩擦調整剤を含む基材に、熱硬化性樹脂が含浸されていることを特徴とするクラッチフェーシングを提供する。
本発明によれば、摩擦調整剤と熱硬化性樹脂を含む基材との接着性、耐摩耗特性、摩擦係数安定性が大幅に改善され、総合的に耐久性に優れるクラッチフェーシングとして好適に用いられる有機繊維コードを製造することができる。耐久性向上により、クラッチフェーシングの寿命向上化による省エネルギー効果が期待できる。
本発明の摩擦材補強用有機繊維コードには、糸の表面にエポキシ化合物を含む樹脂皮膜が存在する。有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズオキサゾール(PBO)繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、ポリケトン繊維、セルロース繊維、パルプ繊維等の有機繊維等を挙げることができ、これらの一種を、又は二種以上を組み合わせて、使用することができる。
特に、耐摩耗性の観点から有機高分子重合体からなる樹脂を出発原料とした有機繊維であることが好ましく、特には強度、耐熱性、耐摩耗性に優れた有機繊維である芳香族ポリアミド繊維が好ましい。なかでも芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタラミド等のパラ型アラミド繊維が、強度、耐熱性、耐摩耗性等の総合的な観点から好ましい。さらにはこのようなアラミド繊維の中でも共重合型アラミド繊維が、耐摩耗性に特に優れており、好ましく用いられる。具体的に例示すると、共重合のパラ型アラミド繊維であるコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維が、他の繊維に比べても耐摩耗特性に優れて、特に好ましい。
また、耐摩耗性に優れた芳香族ポリアミド繊維のような有機繊維と、耐熱性に優れた炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維(バサルト繊維)、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維のような無機繊維を撚り合わせて用いることも好ましい。特にコスト面からガラス繊維と組み合わせることが好ましい。更に熱伝導線を向上させるために金属線を組み合わせて用いることも好ましい。これら2種以上の繊維を組み合わせて使用する場合、本発明に記載の樹脂処理は、芳香族ポリアミド繊維単独に処理した後に、他の繊維と撚り合わせても良いし、他の繊維と撚り合わせた後に処理しても良い。
有機繊維の単糸繊度は、0.6〜80dtex、さらに好ましくは0.6〜50dtex、より好ましくは1.5〜6.0であることが好ましい。有機繊維コード中の有機繊維の総繊度は1500dtex〜8000dtexが好ましく、さらに好ましくは3000dtex〜8000dtexが好ましい。無機繊維と組み合わせる場合、有機繊維と無機繊維の比率は体積比率で80:20〜20:80の比率が好ましい。無機繊維の比率を上げるほどコスト的に優位になることが多いが、耐摩耗性は低下する。
本発明では、表面活性に劣る芳香族ポリアミド繊維のような有機繊維表面には、繊維表面及びその他有機化合物との化学的親和性が高いエポキシ化合物が処理される。繊維の表面に処理されるエポキシ化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、レゾルシン、ピス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酢酸又は過酸化水素等で不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、即ち3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3、4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジベートなどを挙げることができる。これらのうち、特に多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物、即ち多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物のようなポリエポキシド化合物と硬化剤により生成される化合物が優れた性能を発現するので好ましい。
ポリエポキシド化合物は、通常、公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルフォサクシネートナトリウム塩などを用いて乳化液として使用する。ポリエポキシド化合物はアミン系、イミダゾール系硬化剤もしくはポリイソシアネートと公知のオキシム、フェノール、カプロラクタムなどのブロック化剤との付加化合物であるブロックドポリイソシアネートや後述のエチレンイミンとの反応化合物であるエチレン尿素などを混合使用することができる。ポリエポキシド化合物(A)及び硬化剤、ブロックドポリイソシアネートもしくはエチレン尿素(B)との混合比は0.05≦(A)/〔(A)+(B)〕≦0.9(重量比)の範囲が好ましい。
上記エポキシド化合物を繊維表面に処理する方法としては、ポリエポキシド化合物(A)及び硬化剤、ブロックドポリイソシアネートもしくはエチレン尿素(B)を含む乳化液を、繊維の製糸工程で油剤と混合して繊維に付着させ、或いは繊維製糸後、製糸工程とは別の工程で付着させる。乳化剤付着後、100〜250℃で10〜120秒間熱処理する。繊維に対する固形分付着量は、その付着量が少ないと、各単糸表面に形成されるエポキシ樹脂層が十分でなく、繊維との密着性が得られない。一方で、エポキシ化合物の処理量が多いと、形成されるエポキシ樹脂により単糸間が強く集束されてしまい、耐摩耗性に劣るコードとなる。そのため、繊維表面への付着量としては、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5.0重量%である。
またポリエポキシド化合物を含む樹脂被膜は、ゴムラテックス成分も含むことが好ましい。繊維表面の樹脂被膜が繊維束内部に一部含浸する際に、単糸間の拘束が強すぎると、単糸の自由度がなくなり耐摩耗性が低下すると考えられる。そのため、樹脂被膜中に柔軟なゴムラテックス成分を添加することで樹脂被膜を柔軟化することができる。使用するゴムラテックス成分としては、例えば水素添加アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックス(水素化ニトリルゴムラテックス)、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(ニトリルゴムラテックス)、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス等があり、これらを単独または併用して使用する。特に繊維表面との親和性が高い、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックスを併用することが最適である。樹脂被膜中のラテックス成分の量は20重量%以上であることが好ましく、最適な範囲は20〜80重量%である。
本発明の摩擦材補強用有機繊維コードは、上記のエポキシ化合物を含む樹脂被膜の外層にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂皮膜が存在することがより好ましい。レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂は内層のエポキシ化合物及び摩擦材の基材である熱硬化性樹脂双方と化学的親和性が高く、有機繊維コードと摩擦材との密着性を向上することで摩擦材が摩耗される際に、耐摩耗特性に優れた有機繊維コードと摩擦材の基材を一体化させ、耐摩耗特性と摩擦係数の安定化を向上させるものである。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が、1:0.6〜1:8の範囲にあるものが好ましく使用され、より好ましくは、1:0.8〜1:6の範囲で用いられる。ホルムアルデヒドの添加量が少なすぎるとレゾルシン・ホルマリンの縮合物の架橋密度が低下すると共に分子量の低下を招くため、接着剤層凝集力が低下することにより接着性が低下するとともに屈曲疲労性が低下する恐れがあり、また、ホルムアルデヒドの添加量が多すぎると架橋密度上昇によりレゾルシン・ホルマリン縮合物が硬くなり、被着体基材との親和性が阻害され、接着性が低下する傾向がある。レゾルシン・ホルマリンとゴムラテックスとの配合比率は、固形分量比で、レゾルシン・ホルマリン:ゴムラテックス(RFL)が1:3〜1:16の範囲にあるものが好ましく使用され、特に、1:4〜1:10の範囲にあるものが好ましく使用される。ゴムラテックスの比率が少なすぎると被着体基材との接着に寄与する二重結合が少ないため接着力が低下する傾向があり、一方、ゴムラテックスの比率が多すぎると接着剤皮膜として充分な強度を得ることができないため、接着力や耐久性が低下する傾向があるとともに、接着処理した有機繊維コードの粘着性が著しく高くなり接着処理工程でカムアップや取り扱い性などの工程通過性が低下する恐れがある。用いられるレゾルシンとしては、予めオリゴマー化したレゾルシン−ホルマリン初期縮合物やクロロフェノールとレゾルシンをホルマリンとオリゴマー化した多核クロロフェノール系レゾルシン−ホルマリン初期縮合物を必要に応じて単独あるいはそれらを組み合わせて用いても良い。また、ここで用いられるゴムラテックスとしては、上述の通り、水素添加アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックス(水素化ニトリルゴムラテックス)、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(ニトリルゴムラテックス)、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス等があり、これらを単独または併用して使用する。特には繊維表面のエポキシ化合物との親和性が高く、また摩擦材の基材との親和性が高いニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスを含むレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスであることが好ましい。
また、このレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)には、架橋剤を併用することもできる。好ましく添加される架橋剤としては、アミン、エチレン尿素、ブロックドイソシアネート化合物などが例示されるが、処理剤の経時安定性、前処理剤との相互作用などを踏まえ、ブロックドイソシアネート化合物が好ましく用いることができる。イソシアネート化合物としては、芳香族系のジフェニルメタンジイソシアネートや、トルエンジイソシアネート、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート等から選択することが好ましい。さらに好ましくは、繊維表面のエポキシ化合物との背着性に優れるジフェニルメタンジイソシアネートの使用が推奨される。より具体的にはブロックドイソシアネートとして、ジメチルピラゾールブロック、メチルエチルケトンオキシムブロック、カプロラクタムブロックのブロックドイソシアネートが好ましい。また、ブロックドイソシアネート化合物は、二種類以上を組み合わせて用いても構わない。ブロックドイソシアネート化合物などの架橋剤の添加率は、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)に対して0.5〜40重量%、好ましくは、10〜30重量%の範囲であるものが好ましい。添加量を増やすことにより通常は接着力が向上するが、逆に添加量が多すぎるとレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)と架橋剤の相容性が低下し、接着力が低下する傾向がある。レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂皮膜の付着量としては1−20重量%が好ましく、より好ましくは2−10重量%が好ましい。
本発明で用いる繊維は撚りを施したものであっても、無撚りのものであってもよい。また、該繊維を1本あるいは複数本を引き揃えてS方向、或いはZ方向の片側に撚り(片撚り)を施しても、該繊維を1本あるいは複数本を引き揃えてS方向、或いはZ方向の片側に下撚りを施した後に、上記のコードを更に複数本引き揃えて、片撚りの方向と同じ方向の上撚り(ラング撚り)、又は反対方向の上撚り(諸撚り)を施してもよい。撚りを掛けるほど、単糸の配向が傾くため、初期の引張強力は低下する一方で、繊維表面に凹凸が形成されるため接着性は向上する。ここで、撚り数は、次式(1)で表せる撚り係数(TM)で表され、片撚りの場合TM=0.1〜5.0を満たす範囲、より好ましくは0.5〜3.0が好ましく、諸撚りの場合、下撚りのTMと上撚りのTMが、それぞれ0.1〜5.0を満たす範囲、より好ましくは0.5〜3.0の範囲であることが引張物性と屈曲疲労性を満たす点で好ましい。
[数1]
TM=T×√D/1055
[但し、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)、D;総繊度(tex)を示す。]
この計算式は、一般的に、綿の紡績糸に使用される計算式、K=t/√N(K:撚係数、t:撚数t/inch、N:綿番手)について、綿の比重を芳香族ポリアミド繊維の比重に変換し、綿番手を繊度(tex)に変換して、再計算したものである。TM=1.0に近い時に、単糸が繊維軸方向に約5.5°傾き、繊維束の引き揃えを良くすることで、引張強力が最大限に発揮される。繊維に施す撚りは、エポキシ化合物を含む樹脂やレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂処理の前後何れで行っても良い。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を繊維に付着させるためには、ローラーとの接触、若しくは、ノズルからの噴霧による塗布、または、溶液への浸漬などの手段が採用できる。有機繊維コードに対する固形分付着量を制御するためには、前記と同様に、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばし、吸引、ビーターの手段により行うことができ、付着量を多くするためには複数回付着させてもよい。
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂を含む溶液に繊維を浸漬させた後、100℃〜250℃の温度で60〜300秒間の乾燥、熱処理を行うことが好ましい。より好ましくは、100〜180℃の温度範囲で60〜240秒間乾燥し、次いで200〜245℃の温度で60〜240秒間の熱処理を行う。この乾燥・熱処理温度が低すぎるとゴム類との接着が不十分となる傾向にあり、また、乾燥・熱処理温度が高すぎるとRFLが高温下での空気酸化が促進され、接着活性が低下してしまう傾向がある。
本発明の摩擦材補強用有機繊維コードは、JIS K 7017の3点曲げ装置にて測定される曲げ強さが40MPa以下であることが好ましい。より好ましくは、20MPa以下である。JIS K 7017の3点曲げ装置にて測定される曲げ強さは、コードの硬さに繋がっており、硬い樹脂の使用や、樹脂が繊維束内部に含浸し、繊維束内部の単糸が強く拘束されることになる。結果、40MPa以上の硬いコードの場合、単糸間が強く集束されてしまい、耐摩耗性に劣るコードとなる。40MPa以下の曲げ強さを得るためには、単糸表面のエポキシ化合物、その表面に処理されるレゾルシン・ホルマリン・ラテックス化合物の組成を選択することに加えて、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂の処理工程においてコードに緩やかな屈曲を与えることで過剰に付着している樹脂皮膜を破壊する柔軟化を行うことが効果的である。
このような本発明の製造方法により得られる摩擦材補強用有機繊維コードは、摩擦調整剤と熱硬化性樹脂を含む基材との接着性、耐摩耗特性、摩擦係数安定性が大幅に改善された摩擦材補強用有機繊維コードであり、本摩擦材補強用有機繊維コードは、補強材として用いることにより物性の非常に優れた摩擦材を得ることができる。
このような摩擦材は、上記の摩擦材補強用有機繊維コードと摩擦調整剤を含む基材に、熱硬化性樹脂が含浸されているものである。
摩擦調整剤は、例えばカシューダスト、フィラー、珪藻土、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ粉などである。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン変性、オイル変性、カシュー変性などの変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂を使用できる。
また、摩擦材は、摩擦調整剤、熱硬化性樹脂に加えてゴム組成物を含むことが好ましい。ゴム組成物添加により摩擦係数が安定化する。また、繊維表面に処理されるエポキシ化合物を含む樹脂やレゾルシン・ホルマリン・ラテックス樹脂は、熱硬化性樹脂との接着に加えてゴムとの接着に非常に優れるため、摩擦材の基材がゴム組成物を含むことで、より有機繊維コードと摩擦材の基材が一体化し、耐摩耗性や摩擦係数の安定化が向上することになる。ゴム組成物としては、ゴムとしては、NBR(アクリロ二トリルーブタジエンーラテックス)ゴム、SBR(スチレンーブタジエンーラテックス)ゴム、天然ゴム、またはこれらの混合物等を用いることができる。また、カーボンブラック、硫黄、加硫促進剤を含むことが好ましい。
摩擦材に含まれる有機繊維コードの含有量は20〜60重量%が好ましい。また摩擦調整剤の含有量は10〜30重量%が好ましく、ゴム組成物の含有量は10〜30重量%が好ましい。
クラッチフェーシングを製造する場合は、まず、摩擦調整剤、熱硬化性樹脂、ゴム組成物等を溶剤に溶かした組成物に有機繊維コードを通し、前記の組成物を被覆させる。その後、このコードを製品形状に巻いた後、熱成型して最終的なクラッチフェーシングを得る。
このようなクラッチフェーシングは、耐摩耗特性、摩擦係数安定性が大幅に改善され、総合的に耐久性に優れるクラッチフェーシングとして好適に用いられる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、実施例は説明のためのものであって、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明の実施例における評価は下記の測定法で行った。
(1)曲げ強さ
JIS K 7017の3点曲げ装置にて実施した。応力は、以下の式で計算できる。
[数2]
曲げ強さ=曲げ荷重×8Lv/(π×D
[但し、Lv:エッジスパン長、D;コードゲージを示す。]
(2)コードの剥離接着力
摩擦材補強用有機繊維コードと摩擦材基材との剥離接着力を示すものである。有機繊維コードに対して、下記配合組成の通り摩擦材基材組成物を被覆した後、本コード30mm幅に並べた後、加圧下180℃で30分間、1MPaのプレス圧力で成形して成形サンプルを得た後、30mm幅のコードについて200mm/min.の速度で剥離するのに要した力を接着力で表示した。
(配合組成)
有機繊維コード: 50部
フェノール樹脂: 25部
炭酸カルシウム: 10部
ニトリルゴム : 10部
カーボンブラック: 2部
硫黄 : 2部
加硫促進剤 : 1部
(3)耐磨耗性、摩擦係数の安定性
オリエンテック株式会社製のスラストシリンダ型摩擦摩耗試験機に、(2)で得られた成形サンプルを配置し、荷重20Kg、周速1500rpm条件でステンレス製筒に押し当てながら回転させたときの摩耗量と摩擦係数の振れ幅を測定した。摩耗量が低い方が、耐磨耗性が良く、摩擦係数の振れ幅が小さい方が摩擦係数の安定性が高い。
[実施例1]
ソルビトール系ポリエポキシド化合物(坂本薬品工業株式会社製 SR−SEP)、εカプロラクタムブロックドMDI(明成化学工業株式会社製 S3)、及び、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス(日本エイアンドエル株式会社製 Pyratex)をそれぞれ固形分で30重量%、30重量%、40重量%の割合で混合した、総固形分量:10重量%の配合液を得た(処理剤(1))。
レゾルシン/ホルマリン(R/F)のモル比が1/0.6、固形分濃度が65重量%である初期縮合物をアルカリ条件下溶解し9重量%水溶液とする。これを、ニトリルゴムラテックスラテックス(日本ゼオン株式会社製 Nipol LX1562)と水を上記9%レゾルシン・ホルマリン水溶液57重量部に対し、それぞれ99重量部、104重量部添加する。この液にホルマリン3重量部、33重量%アセトキシムブロックドジフエニルメタンジイソシアネート分散体(明成化学工業株式会社製 DM6011)を30重量部添加し、48時間熟成した固形分濃度20重量%のRFL接着剤を得た(処理剤(2))。
3400dtex/2000フィラメントのコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を、2本引き揃えた後、Z方向に撚り係数2.0(8.0回/10cm)の撚りを行い、撚糸コードを得た。該コードをコンビュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製、タイヤコード処理機)を用いて、前記の処理剤(1)に浸漬した後、130℃の温度で2分間乾燥し、引き続き240℃の温度で1分間の熱処理を行い、続いて処理剤(2)に浸漬した後に、170℃の温度で2分間乾燥し、引続いて240℃の温度で1分間の熱処理を行った。得られたコードには、処理剤の固形分として、処理剤(1)が4重量%、処理剤(2)が5重量%付着していた。得られた処理コードについて、曲げ強さ、摩擦材基材との剥離接着力、成型体の耐摩耗性、摩擦係数安定性を評価した。その結果を表1にまとめて示す。
[実施例2]
処理剤(2)で使用するゴムラテックスをニトリルゴムラテックスからニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス(日本エイアンドエル株式会社製 Pyratex)に変更した以外は実施例1と同様に処理を行った。得られた繊維コードの性能評価を表1にまとめて示す。
[実施例3]
処理剤(1)について、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックスを使用せず、ソルビトール系エポキシド化合物とεカプロラクタムブロックドMDIをそれぞれ50重量%、50重量%の割合で混合し処理した以外は実施例1と同様に処理を行った。得られた繊維コードの性能評価を表1にまとめて示す。
[実施例4]
処理剤(2)のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)処理をしなかった以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた繊維コードの性能評価を表1にまとめて示す。
[比較例1]
接着処理せずエポキシド化合物を含まない繊維コードを使用した場合の性能評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0006902356
本発明の実施例1〜4は、比較例に比べて、耐摩耗性と摩擦係数の安定性を満足するコードであった。
本発明によれば摩擦材基材との接着性が大幅に改良され、摩擦材の耐摩耗性、摩擦係数の安定性向上に繋がる有機繊維コードを提供することができ、従来耐久性に課題があったクラチフェーシング等の摩擦材として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 摩擦材補強用有機繊維コードと摩擦調整剤を含む基材に、熱硬化性樹脂が含浸されているクラッチフェーシングであって、該摩擦材補強用有機繊維コードは、芳香族ポリアミド繊維からなり、該芳香族ポリアミド繊維の糸の表面にエポキシ化合物を含む樹脂皮膜を備え、該エポキシ化合物を含む樹脂被膜の外層にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)樹脂皮膜が存在すること、および摩擦材であるクラッチフェーシングに含まれるゴム組成物の含有量は10〜30重量%であることを特徴とする、クラッチフェーシング。
  2. エポキシ化合物を含む樹脂被膜がゴムラテックス成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のクラッチフェーシング。
  3. レゾルシン・ホルマリン・ラテックスがニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスラテックスを含むレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスであることを特徴とする請求項1または2に記載のクラッチフェーシング。
  4. 芳香族ポリアミド繊維がコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のクラッチフェーシング。
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