JP6397310B2 - ゴム補強用炭素繊維コード及びその製造方法 - Google Patents

ゴム補強用炭素繊維コード及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム補強用炭素繊維コード及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、タイヤ、ホース及びベルト等の繊維強化ゴム材料に好適に用いられるノンホルマリンタイプのゴム補強用炭素繊維コード及びその製造方法に関する。
炭素繊維は、高弾性率、高強度、寸法安定性、耐熱性及び耐薬品性等の優れた特性を有しており、この特性を活かしてタイヤ、ホース及びベルト等のゴム補強用繊維としての用途が期待されている。しかし、炭素繊維はその表面が比較的不活性であることが多く、そのままではゴムとの接着性が不十分である。
炭素繊維束内に所定の樹脂組成物を含浸させ、炭素繊維束とゴムとの接着性を向上させる方法がある(特許文献1、2)。しかし、樹脂組成物を含浸させた炭素繊維束は、均一な撚りを形成することが困難である。また、予め撚りが形成されている炭素繊維撚糸に樹脂組成物を含浸させようとしても十分な含浸性は得られない。そのため、炭素繊維束とゴムとの接着性は依然として不十分であり、炭素繊維の特性を十分に発揮することはできていない。
特開2011−236534号公報 特開2004−100113号公報
本発明の課題は、ホルマリンを使用することなく、炭素繊維とゴムとを強力に接着することができるゴム補強用炭素繊維コード(以下、単に「炭素繊維コード」ともいう)及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、所定の撚り係数を有する炭素繊維撚糸に、レーザー光散乱法による体積平均粒子径が0.01μm未満のウレタン樹脂を含んで成る第1処理剤を付与した後、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第2処理剤を付与し、次いで、熱可塑性樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第3処理剤を付与することにより製造される炭素繊維コードは、剥離接着力を100(N/25mm)以上とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載のとおりである。
〔1〕 炭素繊維撚糸に熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスが付着して成るゴム補強用炭素繊維コードであって、
下記式(1)
TC=T×(D1/2)/3031・・・式(1)
(ただし、Tは撚り数(t/m)であり、Dは炭素繊維の繊度(dtex)である)
で表される撚り係数(TC)が1.5〜3.5であり、
剥離接着力が、100(N/25mm)以上であり、
前記ゴム補強用炭素繊維コードの太さ(mm)を前記炭素繊維の繊度(g/m)で除した値が、0.92以上1.07未満であることを特徴とするノンホルマリンタイプのゴム補強用炭素繊維コード。
〔2〕 強度が、14(cN/dtex)以上である〔1〕に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
〔3〕 ベルト補強用である〔1〕に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
上記〔1〕〜〔3〕のゴム補強用炭素繊維コードは、所定の撚りが形成されており、かつゴム補強用炭素繊維コードの太さ(mm)を繊度(g/m)で除した値が所定の値である。このゴム補強用炭素繊維コードは従来ないものであり、以下の〔4〕に記載の方法により製造される。
〔4〕 下記式(1)
TC=T×(D1/2)/3031・・・式(1)
(ただし、Tは撚り数(t/m)であり、Dは炭素繊維の繊度(dtex)である)
で表される撚り係数(TC)が1.5〜3.5である炭素繊維撚糸を得、
前記炭素繊維撚糸に、レーザー光散乱法による体積平均粒子径が0.01μm未満のウレタン樹脂を含んで成る第1処理剤を付与した後、
エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第2処理剤を付与し、
次いで、熱可塑性樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第3処理剤を付与することを特徴とする〔1〕に記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
本発明の炭素繊維コードによれば、ホルマリンを用いることなく、炭素繊維束とゴムとを強力に接着することができ、優れた繊維補強ゴムを製造することができる。また、本発明の炭素繊維コードを用いて製造される繊維補強ゴムは、高い剥離接着力を有していることから、ゴムベルトの補強用として特に優れている。
(ゴム補強用炭素繊維コード)
本発明の炭素繊維コードは、炭素繊維束に所定の撚りが形成されてなる炭素繊維撚糸に、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスが付着して成る。
炭素繊維コードの下記式(1)
TC=T×(D1/2)/3031・・・式(1)
(ただし、Tは撚り数(t/m)であり、Dは炭素繊維の繊度(dtex)である)
で表される撚り係数(TC)は1.5〜3.5であり、1.7〜3.3であることが好ましい。撚り係数が1.5未満である場合、炭素繊維コードの耐疲労性が悪くなる傾向にある。撚り係数が3.5を超える場合、強力、弾性率が低下する傾向にある。撚り係数(TC)が1.5〜3.5の範囲内にある炭素繊維コードを用いて製造する繊維補強ゴムは、ゴムと炭素繊維とが強力に接着されている。そのため、この繊維補強ゴムを用いて製造されるタイヤ、ベルト及びホース等の構造物は、強度や耐久性が優れる。
本発明の炭素繊維コードの太さ(mm)を炭素繊維の繊度(g/m)で除した値は、0.92以上1.07未満であり、0.92〜1.02であることが好ましく、0.92〜0.97であることがより好ましく、0.92〜0.95であることがさらに好ましい。0.92未満である場合、炭素繊維コードに付着している樹脂組成物の量が少な過ぎる。その結果、炭素繊維束とゴムとの接着が不十分になり易い。1.07以上である場合、炭素繊維コードに形成される撚りが不均一になり易い。
本発明の炭素繊維コードの太さ(mm)は、0.5〜4.0mmであることが好ましく、0.7〜3.0mmであることがより好ましい。0.5mm未満である場合、ゴムに対する補強効果が小さい。4.0mmを超える場合、炭素繊維コード内部への樹脂組成物の含浸が不十分となり易い。その結果、炭素繊維束とゴムとの接着が不十分になり易い。
本発明の炭素繊維コードの繊度(g/m)は、0.6〜4.0g/mであることが好ましく、0.8〜3.5g/mであることがより好ましい。0.6g/m未満である場合、ゴムに対する補強効果が不足し易い。4.0g/mを超える場合、炭素繊維コード内部への樹脂組成物の含浸が不十分となり易い。その結果、炭素繊維束とゴムとの接着が不十分になり易い。
繊維補強ゴムに対する補強効果を十分に得るためには、本発明の炭素繊維コードのフィラメント数は500フィラメント以上であることが好ましく、1万〜50万フィラメントであることがより好ましい。
本発明の炭素繊維コードは、強度に優れたPAN系炭素繊維を基材としていることが好ましい。
本発明の炭素繊維コードの剥離接着力は、100(N/25mm)以上であり、100〜140(N/25mm)であることが好ましい。本発明の炭素繊維コードの剥離接着力は、後述の実施例における方法で測定される値をいう。
本発明の炭素繊維コードの強度は、14(cN/dtex)以上であることが好ましく、14〜20(cN/dtex)であることがより好ましい。本発明の炭素繊維コードの強度は、後述の実施例における方法で測定される値をいう。
本発明の炭素繊維コードには、ウレタン樹脂からなる第1処理剤、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスから成る第2処理剤、熱可塑性樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスからなる第3処理剤が付着されている。これらの樹脂の付着量は炭素繊維コード100質量部に対して、それぞれ0.5〜10量部、1〜20質量部、2〜20質量部であることが好ましく、それぞれ0.8〜5.0質量部、2〜10質量部、4〜15質量部であることがより好ましい。なお、これらの成分については後述する。
(炭素繊維コードの製造方法)
本発明の炭素繊維コードは、以下のように製造される。
先ず、下記式(1)
TC=T×(D1/2)/3031・・・式(1)
(ただし、Tは撚り数(t/m)であり、Dは炭素繊維の繊度(dtex)である)
で表される撚り係数(TC)が1.5〜3.5である炭素繊維撚糸を得る。
次いで、この炭素繊維撚糸には、レーザー光散乱法による体積平均粒子径が0.01μm未満のウレタン樹脂を含んで成る第1処理剤が付与される(第1処理剤付与工程)。その後、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第2処理剤が付与される(第2処理剤付与工程)。次いで、熱可塑性樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第3処理剤が付与される(第3処理剤付与工程)。これにより、本発明の炭素繊維コードが製造される。
炭素繊維撚糸に形成される撚りはS撚り、Z撚りのいずれでも良い。また、片撚りや双撚り等の公知の撚り姿を採用できる。炭素繊維撚糸は、無撚糸の炭素繊維束に撚りを形成しても製造しても良いし、予め撚りが形成された前駆体繊維を炭素化することにより製造しても良い。
本発明において炭素繊維は、第1処理剤の付与が行われる前に撚糸されていることが必須である。撚糸が行われた後に第1処理剤を付与することにより、撚りが均質で剥離接着力の高い炭素繊維コードを得ることができる。
(炭素繊維)
本発明の製造方法に用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系やピッチ系、レーヨン(セルロース)系等の従来公知の炭素繊維を用いることができる。強度に優れたPAN系炭素繊維であることが好ましい。また、炭素繊維束の繊度は2000dtex以上であることが好ましく、5000〜100万dtexであることがより好ましい。また、フィラメント数は500フィラメント以上であることが好ましく、1万〜50万フィラメントであることがより好ましい。
また、本発明に用いる炭素繊維は、その表面に酸素を含む官能基(x)を有するものであることが好ましい。炭素繊維表面の官能基(x)は、炭素繊維束に対して、適宜、電解酸化処理などの表面酸化処理を行うことにより形成・増加させることができる。官能基(x)の例としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基などが挙げられる。
炭素繊維の表面の官能基(x)の量は、炭素繊維のX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度比O/Cにより定量することができる。本発明に用いる炭素繊維束のO/Cは0.05〜0.3であることが好ましい。表面酸素濃度比O/Cが0.05以上あれば、マトリクス樹脂との接着性に優れるため、複合材料の物性が向上する傾向がある。一方、表面酸素濃度比O/Cが0.3を超える場合は、炭素繊維自体の強度が低下しやすい傾向がある。炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cを上記範囲とするため、炭素繊維の製造工程において、炭素化終了後、表面処理を施すことが好ましい。
炭素繊維の表面処理方法としては、液相処理、気相処理等を挙げることができる。本発明においては、生産性、処理の均一性、安定性等の観点から、液相電解表面処理が好ましい。
(第1処理剤付与工程)
第1処理剤としては、レーザー光散乱法による体積平均粒子径が0.01μm未満のウレタン樹脂を用いる。このウレタン樹脂は、平均粒子径が小さいため、炭素繊維撚糸の撚りの形状が保持されている状態において、その内部に浸透し易い。内部に浸透したウレタン樹脂は、アンカー効果により剥離接着性を向上させる。
このようなウレタン樹脂としては、エステル系ポリウレタンが例示される。エステル系ポリウレタンを使用することにより、本発明の製造方法による炭素繊維とゴムとの接着性がより良好となる。また、このようなウレタン樹脂は市販品されているものを用いることができる。例えば、明成化学工業株式会社製のパスコールTK−2(商品名)、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックス420、スーパーフレックス126、スーパーフレックス650(商品名)が挙げられる。
第1処理剤のポリウレタンの濃度としては、1〜10質量%であることが好ましく、2〜7質量%であることがより好ましい。
第1処理剤を炭素繊維撚糸に付着せしめるには、ローラーとの接触、ノズルからの噴霧による塗布、又は溶液への浸漬などにより行うことができる。炭素繊維撚糸に対する第1処理剤の固形分付着量は、0.5〜10質量%であることが好ましく、0.8〜5.0質量%であることがより好ましい。炭素繊維撚糸に対する固形分付着量を制御するためには、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばし、吸引、ビーターによる叩き等の手段を採用することができる。また、付着量を上げるため、若しくは均一性を確保するために複数回付着せしめてもよい。
第1処理剤を付着させた後、80〜180℃で0.5〜5分間、好ましくは1〜4分間乾燥処理することが好ましい。
(第2処理剤付与工程)
第2処理剤としては、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを用いる。
エポキシ樹脂は、ブロックポリイソシアネート及び熱可塑性樹脂と相まって接着力をより向上させる。このエポキシ樹脂は、炭素繊維撚糸に対する含浸性の観点から、低分子であることが望ましい。本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリソルビトールポリグリシジルエーテルが例示される。これらの中でも、グリセロールポリグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテルは、接着性向上に特に有効である。
さらに、エポキシ樹脂は水酸基を有するものであることが好ましく、そのエポキシ樹脂の水酸基としては、脂肪族炭化水素の水素が水酸基に置換されたものであることが好ましい。脂肪族以外の、例えばフェノール性のOH基を有する化合物では、反応性の違いから有効な架橋構造が形成されにくい傾向にある。
ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート化合物とブロック化剤との付加反応生成物であり、加熱によりブロック成分が遊離して活性なポリイソシアネート化合物を生ぜしめるものである。末端のイソシアネート基は3個以上であることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネート、あるいはこれらのポリイソシアネートと活性水素原子を1個以上有する化合物とをイソシアネート基(−NCO)と水酸基(−OH)との比が1を越えるモル比で反応させて得られる末端イソシアネート基含有のポリイソシアネートが優れた性能を発現するので好ましい。ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、クレゾール、レゾルシノール等のフェノール類、ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第二級アミン類、フタル酸イミド類、カプロラクタム、バレロラクタム等のラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類及び酸性亜硫酸ソーダが挙げられる。
ゴムラテックスは、第3処理剤との親和性をより増加させる。また、ブロックイソシアネートを添加して熱処理を行うことにより、架橋構造がより形成しやすくなり、炭素繊維の周りに膜が生成して第3処理剤をより均一に付着させることが可能となる。
ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエン・コポリマーラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス、ニトリルゴムラテックス(以下、「NBRラテックス」と表記する)、水素添加ニトリルゴムラテックス(以下「H-NBRラテックス」と表記する)、クロロブレンゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーラテックスが例示される。これらは単独で使用しても良いし、併用しても良い。これらの中でも、NBRラテックスあるいはH-NBRラテックスを使用することが特に好ましい。
第2処理剤において、エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネートとの質量比は、10:90〜50:50であることが好ましい。また、ゴムラテックスと上記エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート混合物との比は、5:95〜95:5であることが好ましい。
第2処理剤を炭素繊維撚糸に付着させる方法は、第1処理剤付与工程と同様である。炭素繊維撚糸に対する第2処理剤の固形分付着量は、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
第2処理剤の総固形分濃度は、0.5〜30質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。濃度が低すぎると第2処理剤の粘度が低下したり表面張力が増加したりして、繊維表面に対する均一付着性が低下すると共に、固形分付着量が低下する。その結果、炭素繊維とゴムとの接着性が低下し易い。一方、濃度が高すぎると生産コストを上昇させるだけでなく、固形分付着量が多くなりすぎるため、炭素繊維コードが硬くなり耐疲労性が低下し易い。また、この第2処理剤の組成物を水分散物として用いる際の分散剤、すなわち、界面活性剤の適当な量は、第2処理剤の全固形分に対し、15質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましい。該界面活性剤の量が多すぎると接着性が低下し易い。
第2処理剤を付着させた後、熱処理することが好ましい。熱処理条件は第1処理剤付与工程と同じである。
(第3処理剤付与工程)
第3処理剤としては、熱可塑性樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを用いる。これらのブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスについては、既に説明したとおりである。
熱可塑性樹脂としては、イソシアネートに反応する基を有するものであることが必要である。イソシアネートに反応する基としては、好ましくはエラストマーのハードセグメントにフェノール性水酸基、ヒドロキシル基、アミノ基のいずれか一つの基を有するものが好ましい。具体的には、ポリブタジエンとポリウレタンとの共重合物であることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂は、ソフトセグメントがブタジエン、イソプレンなどのゴム成分と共加硫可能な成分を有する。そのため、本発明の炭素繊維コードをゴムとともに加硫して最終的な繊維補強ゴムを成形する際に強い接着力を発揮する。
第3処理剤において、熱可塑性樹脂とブロックポリイソシアネートとの質量比は、100:15〜100:100であることが好ましい。また、ゴムラテックスと熱可塑性樹脂との比は、2:1〜1:2であることが好ましい。
第3処理剤において、ブロックポリイソシアネート化合物の処理剤中の含有率としては、10〜60質量%であることが好ましい。含有率が少な過ぎると、繊維表面に対する化学的な親和性が不十分となり、接着力が不足し易い。逆に多すぎると接着剤層が硬くなり、コード強力が発現しなくなると共に、含浸ディップ並びに加工工程中で接着剤層が脱離するなどの問題が生じ易い。
第3処理剤の総固形分濃度は、1〜30質量%であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましい。第3処理剤の濃度が低すぎると接着剤の付着量低下を招き、接着性が低下し易い。逆に、第3処理剤の濃度が高すぎると固形分付着量が多くなりすぎるため、繊維が硬くなって耐疲労性が低下し易い。
第3処理剤を炭素繊維撚糸に付着させる方法は、第1処理剤付与工程と同様である。炭素繊維撚糸に対する第3処理剤の固形分付着量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜15質量%であることがより好ましい。
第3処理剤を付着させた後、熱処理することが好ましい。熱処理条件は第1処理剤付与工程と同じである。
このような炭素繊維コードは、剥離接着力が高いため、産業用ゴムベルト、タイヤなどに広く利用できる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。また、各実施例及び比較例における物性は以下の方法により評価した。
(1)撚り数、ゲージの測定方法
JIS L1017に基づいて測定を行った。
(2)繊度の測定方法
JIS R7605に基づいて測定を行った。
(3)剥離接着力の測定方法
処理コードとゴムとの接着力を示すものである。下記配合組成で作製したH−NBRゴムの未加硫ゴムシート表層近くに最密に引き揃えた。8000dtexの炭素繊維に処理を行った場合、25mm当たり16本であった。その後、180℃の温度で、15分間、50kg/cmのプレス圧力で加硫し、次いで、16本のコードをゴムシート面に対し90度の方向へ200mm/分の速度で剥離するのに要した力をN/25mmで示したものである。
(配合組成)
水素化アクリロニトリルーブタジエンゴム:100部
カーボンブラック:50部
酸化亜鉛:5部
可塑剤TOTM:5部
ステアリン酸:0.5部
抗酸化剤(ナウガード445):1.5部
老化防止剤(ノクラックMBZ):1部
(4)強力の測定方法
キャプスタン型エアーチャック(インストロン社製 2714-032)を用い、試長500mmでチャッキングし、250mm/minの引張速度で強力測定を行った。
<実施例1−2>
明成化学工業株式会社製のパスコールTK−2(商品名)(水溶性ウレタン(ポリエーテル系)、粒径:0.01μm未満)を用い、全体の固体成分濃度を5.0質量%とし、第1処理剤浴とした。
エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、EX614B)、ブロックポリイソシアネート(明成化学工業株式会社製 DM3031)、NBRラテックス(日本ゼオン株式会社製 ニッポール1562)の固体成分を20:70:10で混合し、全体の固体成分濃度を10質量%とし、第2処理剤浴とした。
ポリブタジエンとポリウレタンとの共重合物である熱可塑性エラストマー(第一工業製薬株式会社製、F2008D)、ブロックポリイソシアネート(明成化学工業製、DM6400)、H-NBRラテックス(日本ゼオン株式会社製 ZLX-B)を固体成分比50:15:50で混合し、全体の固体成分濃度を20質量%とし、第3処理剤浴とした。
炭素繊維束(東邦テナックス製のPAN系炭素繊維束“UTS50−12K”、フィラメント数12000、繊度8000dtex、引張強度4900MPa、引張弾性率240GPa)に表1に記載する撚り数でS撚り、Z撚りをそれぞれ加えて炭素繊維撚糸を作製した。
この炭素繊維撚糸をコンビュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製、タイヤコード処理機)を用いて、前記の第1処理剤浴に浸漬し、100℃で3分間乾燥した。続いて、第2処理剤浴に浸漬し、130℃で3分間乾燥した後、200℃で1分間の熱処理を行った。さらに、第3処理剤浴に浸漬し、130℃で3分間乾燥した後、200℃で1分間の熱処理を行った。得られた炭素繊維コードには、処理剤の固形分として、第1処理剤が1.5質量%、第2処理剤が5.0質量%、第3処理剤が10.0質量%付着していた。得られた炭素繊維コードをPO加硫H−NBRゴム中に埋め込み、180℃の温度で15分間処理して炭素繊維強化ゴム材料を得た。この炭素繊維強化ゴム材料の評価結果を表1に示した。
<比較例1>
第1処理剤として、パスコールTK−2に代えて、吉村油化学株式会社製のユカレジンMP−1943−DS改(粒径:0.7μmのマレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー)を用いた他は実施例1と同様に炭素繊維コード及び炭素繊維強化ゴム材料を製造した。得られた炭素繊維コードには、処理剤の固形分として、第1処理剤が3.0質量%、第2処理剤が5.0質量%、第3処理剤が10質量%付着していた。評価結果は表2に示した。
<比較例2、4>
撚りを加えていない炭素繊維束をコンビュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製、タイヤコード処理機)を用いて、前記の第1処理剤浴に浸漬し、100℃で3分間乾燥した。その後、この炭素繊維束に表2に記載する撚り数でS撚り、Z撚りをそれぞれ加えて炭素繊維撚糸を作製した。続いて、第2処理剤浴に浸漬し、130℃で3分間乾燥した後、200℃で1分間の熱処理を行った。さらに、第3処理剤浴に浸漬し、130℃で3分間乾燥した後、200℃で1分間の熱処理を行った。得られた炭素繊維コードには、処理剤の固形分として、第1処理剤が2.0質量%、第2処理剤が5.0質量%、第3処理剤が10質量%付着していた。得られた炭素繊維コードをPO加硫H−NBRゴム中に埋め込み、180℃の温度で15分間処理して炭素繊維強化ゴム材料を得た。この炭素繊維強化ゴム材料の評価結果を表2に示した。
<比較例3>
第1処理剤を付与しない他は、実施例1と同様に炭素繊維コード及び炭素繊維強化ゴム材料を製造した。得られた炭素繊維コードには、処理剤の固形分として、第2処理剤が5.5質量%、第3処理剤が10質量%付着していた。評価結果は表2に示した。
Figure 0006397310
Figure 0006397310

Claims (4)

  1. 炭素繊維撚糸に熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスが付着して成るゴム補強用炭素繊維コードであって、
    下記式(1)
    TC=T×(D1/2)/3031・・・式(1)
    (ただし、Tは撚り数(t/m)であり、Dは炭素繊維の繊度(dtex)である)
    で表される撚り係数(TC)が1.5〜3.5であり、
    剥離接着力が、100(N/25mm)以上であり、
    前記ゴム補強用炭素繊維コードの太さ(mm)を前記炭素繊維の繊度(g/m)で除した値が、0.92以上1.07未満であることを特徴とするノンホルマリンタイプのゴム補強用炭素繊維コード。
  2. 強度が、14(cN/dtex)以上である請求項1に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  3. ベルト補強用である請求項1に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  4. 下記式(1)
    TC=T×(D1/2)/3031・・・式(1)
    (ただし、Tは撚り数(t/m)であり、Dは炭素繊維の繊度(dtex)である)
    で表される撚り係数(TC)が1.5〜3.5である炭素繊維撚糸を得、
    前記炭素繊維撚糸に、レーザー光散乱法による体積平均粒子径が0.01μm未満のウレタン樹脂を含んで成る第1処理剤を付与した後、
    エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第2処理剤を付与し、
    次いで、熱可塑性樹脂、ブロックポリイソシアネート及びゴムラテックスを含んで成る第3処理剤を付与することを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
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