JP2013010909A - 接着剤組成物の製造方法、接着剤組成物およびそれを用いたゴム補強用コード - Google Patents

接着剤組成物の製造方法、接着剤組成物およびそれを用いたゴム補強用コード Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、保存安定性が改善された接着剤組成物およびその製造方法、ならびに該接着剤組成物を使用してなる、繊維とゴムとの良好な接着性を発現するゴム補強用コードを提供することである。
【解決手段】レゾルシンとホルムアルデヒドを含み、かつアルカリ触媒を含まない状態で、固形分濃度15〜35重量%の水溶液を0〜1時間熟成してレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得た後、該レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加して混合液とすることを特徴とする接着剤組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ、ホースおよびベルトなどの補強用繊維として使用されるゴム補強用コード、該ゴム補強用コードに適用される接着剤組成物の製造方法、接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、保存安定性の改善された接着剤組成物および繊維とゴムとの接着性を改善したゴム補強用コードに関する。
自動車タイヤ、コンベアベルト、Vベルト、ホースなどのゴム資材には、ゴム補強材料として様々な繊維材料が使用されており、なかでもポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアラミド繊維などが、寸法安定性、耐熱性および耐疲労性に優れることから広く使用されている。これら補強用の繊維材料は、ゴムとの接着性を向上させるため、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物とゴムラテックスとの混合物を含む接着剤処理液(以下RFL液と呼ぶ)を繊維表面に付与、熱処理されたものが使用されることが多い。
しかしながら、従来から使用されているRFL液は、その保存安定性に難があり、経時的に接着性能が低下することや、粘度上昇による加工性が低下するなどの問題を抱えていた。
たとえば、従来のRFL液は、常温保管で長いものでも1週間程度でゲル化し、保存安定性に劣るという問題を有していた。そのためRFL液の使用においては、長期保存せず、使用直前に必要量を調整するなどの制約がある他、使用可能期間を経過した場合は廃棄せざるを得ない等、資源の有効活用上好ましくない制約があった。また、該RFL液は、製造拠点から遠方へ輸送、例えば、工場から工場間への輸送や輸出が極めて困難である他、固形分濃度を高くした場合は保存安定性のよい商品として市場で販売することができないなど、産業上不利なものであった。
RFL液の保存安定性の改善に関して、開示されている技術として特許文献1〜4がある。
特許文献1は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合反応を7.5より高いpHで行わせた後、その反応系のpHを4.0〜7.5に下げる手法が開示されている。
特許文献2は、フェノール類にアルデヒド類をアルカリ金属水酸化物を触媒として反応させた後、アルカリ金属陽イオンをアンモニウム陽イオンで置換させる手法が開示されている。
特許文献3は、酸化マグネシウムをアルカリ固形触媒として使用し、レゾルシン・ホルマリン重縮合物を得る手法が開示されている。
特許文献4は、ブロックポリイソシアネート、ゴムラテックスおよびイソシアネート反応性の熱可塑性エラストマーを含む処理液が開示されている。
特開2000−26827号公報(特許請求の範囲) 特開昭51−116296号公報(特許請求の範囲) 特開2001−248074号公報(特許請求の範囲) 特開2005−89679号公報(特許請求の範囲)
上記特許文献技術は、従来のRFL液に比較すると、保存安定性の改善が認められるものの実用上十分でないか、プロセスが煩雑であるため生産コスト面で不利であるか、あるいはゴムとの接着性が十分でないものであった。
本発明の課題は、上述した従来技術では達成できなかった、保存安定性が改善された接着剤組成物の製造方法、接着剤組成物および、該接着剤組成物を使用してなる、繊維とゴムとの良好な接着性を発現するゴム補強用コードに関する。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)レゾルシンとホルムアルデヒドを含み、かつアルカリ触媒を含まない状態の、固形分濃度15〜35重量%の水溶液を0〜1時間熟成してレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得た後、該レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加して混合液とすることを特徴とする接着剤組成物の製造方法。
(2)レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加する際、固形分濃度20〜40重量%の混合液とし、該混合液を36時間以上熟成することを特徴とする(1)に記載の接着剤組成物の製造方法。
(3)前記ゴムラテックスが1種以上のゴムラテックスの混合物からなるものであり、少なくとも1種が、ムーニー粘度が50〜150のビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の接着剤組成物の製造方法。
(4)レゾルシン、ホルムアルデヒド、ゴムラテックスが下記の配合比で混合されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤組成物の製造方法。
R/F=1/0.3〜1/1.0(モル比)
RF/L=1/1〜1/3(重量比)
(式中、Rはレゾルシン量、Fはホルムアルデヒド量、RFはレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物量を表す)
(5)pHが6.0〜8.0であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の接着剤組成物の製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか記載の接着剤組成物の製造方法で製造される接着剤組成物。
(7) 上記(6)記載の接着剤組成物を合成繊維に付着させてなるゴム補強用コード。
本発明によれば、上述した従来技術では達成できなかった、保存安定性が改善された接着剤組成物および繊維とゴムとの良好な接着性を発現するゴム補強用コードを得ることができる。
本発明の接着剤組成物は、レゾルシン、ホルムアルデヒドおよびゴムラテックスを用いて得られる混合液(以下RFL液と呼ぶ)であって、繊維表面に付与、熱処理されて使用され、繊維とゴムとの接着性を発現させるものである。
本発明の接着剤組成物は、レゾルシンとホルムアルデヒドを含み、かつアルカリ触媒を含まない状態の、固形分濃度15〜35重量%の水溶液を0〜1時間熟成してレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得た後、該水溶液にゴムラテックスを添加して得ることが必要である。
ここで熟成とは、レゾルシンおよびホルムアルデヒドを含む水溶液を静置または撹拌し、規定の時間(熟成時間という)経過させることを言う。また、熟成させる温度は15℃〜35℃が好ましく、より好ましくは20℃〜30℃が良い。好ましい温度範囲を外れるとゴムとの接着性が悪化することがある。
レゾルシンとホルムアルデヒドを含む水溶液を熟成させる時、アルカリ触媒を含むと、レゾルシンとホルムアルデヒドの反応が急速に進み、粘度が向上し、RFL液の保存安定性が悪化することがある。
レゾルシンとホルムアルデヒドを含む水溶液を熟成させる時の固形分濃度は15重量%〜35重量%であることが必要であり、好ましくは20重量%〜30重量%であるのが良い。15重量%未満であると、ゴムとの接着性が悪化することがあり、35重量%を超えると、RFL液の保存安定性が悪化することがある。
また、レゾルシンとホルムアルデヒドの熟成時間は0〜1時間であるが、好ましくは0〜0.5時間であり、1時間を超えると、前記同様にRFL液の保存安定性が悪化することがある。
本発明では、熟成して得られたレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加して混合液とすることにより接着剤組成物とする。前記レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物はレゾルシンとホルムアルデヒドを含む水溶液を熟成させて得られるので、通常液状で得られる。ゴムラテックスを添加する際には、かかる熟成させた反応混合物をそのまま、あるいは水で希釈して用いることができる。
レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加した後、該混合液は36時間以上熟成させることが好ましく、より好ましくは40時間以上熟成させることが良い。熟成時間が36時間未満であると、接着性が不十分になることがある。
さらに、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物とゴムラテックスの混合液を熟成させる時の固形分濃度は20重量%〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは25重量%〜40重量%、さらに好ましくは30重量%〜40重量%であるのが良い。20重量%未満であると、ゴムとの接着性が悪化することがあり、40重量%を超えると、RFL液の保存安定性が悪化することがある。ここで固形分濃度とは、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物(未反応分が存在する場合、未反応分も含む)とゴムラテックスのみの固形分を表し、その他の成分の固形分は含まない。
本発明の接着剤組成物に使用できるゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することが出来る。中でも、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスを単独、又は他のものと併用して使用することが好ましい。さらに好ましくは、ムーニー粘度が50〜150であるビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスを単独、又は他のものと併用して使用することが好ましい。
レゾルシン(以下Rと記す)とホルムアルデヒド(以下Fと記す)の混合比率は、モル比でR/F=1/0.3〜1/1であることが好ましく、より好ましくは1/0.5〜1/0.8の範囲であるのが良い。ホルムアルデヒドのモル比が前記範囲よりも少ないと、処理コードが粘着性を帯び、処理機の汚れを招くことがあり、一方、ホルムアルデヒドのモル比がこの範囲よりも多いと、ゴムとの接着性が不十分になることがある。
レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物(以下RFと記す)とゴムラテックス(以下Lと記す)の配合比率は、固形分重量比でRF/L=1/1〜1/3であることが好ましく、1/1.5〜1/2.5の範囲であることがさらに好ましい。この範囲を外れると接着性が不十分になることがある。
また、本発明の接着剤組成物は、接着性を向上させる既知の各種接着助剤を混合しても良い。既知の各種接着助剤とは、例えば、エポキシ化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物、パラクロロフェノールとホルマリンおよびレゾルシンを縮合して得られるフェノール系化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に不飽和結合を有する化合物から得られる環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプが分子内に混在するエポキシ樹脂などが挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノールと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールSと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、多価アルコール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物であるポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるエポキシ樹脂、その他ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲンあるいはアルキル置換体などを使用することができる。
ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物としては、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物と、フェノール、クレゾール、レゾルシンなどのフェノール類、ε−カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類およびエチレンイミンなどのブロック化剤との反応物が挙げられる。
パラクロロフェノールとホルマリンおよびレゾルシンを縮合して得られるフェノール系化合物としては、パラクロロフェノール、オルソクロロフェノール、パラブロモフェノール、パラヨウドフェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、パラターシャルブチルフェノールおよび2,5−ジメチルフェノールなどの出発原料をアルカリ触媒存在下にホルムアルデヒドと縮合させることによって、または、出発原料を予め酸触媒の存在下で反応させ得られた縮合物をアルカリ触媒の存在下でホルムアルデヒドと反応させることによって得られるフェノール系化合物が挙げられ、より具体的には2,6−ビス(2’,4’−ジヒドロキシ−フェニルメチル)−4−クロロフェノール(トーマスワン(株)製“カサボンド”、ナガセ化成工業(株)製“デナボンド”など)が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、一般の有機化合物または有機ポリマー、オリゴマーを主骨格とした物質の末端または側鎖にオキサゾリン基(好ましくは2−オキサゾリン基)を含む化合物であり、オキサゾリン基含有物質の主鎖の骨格としては、炭化水素鎖、エチレングリコール鎖、ビスフェノールA等のビスフェノール類やフェノール樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などの初期重合物が挙げられ、それらの分子骨格中には芳香環や複素環を含む物質も挙げられる。さらに主成分モノマー及び/またはそれからなるポリマーやオリゴマーの末端や側鎖にオキサゾリン基を含有する物質も有用である。これらのモノマーとしては、スチレン、スチレン誘導体、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸、エチレン、ブタジエン、アクリルアミドなどが用いられ、これらは単独のポリマー及び/またはオリゴマーとして、さらに共重合物質としても使用される。
これら接着助剤とRFL(レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス)との配合比は、固形分の重量比で1/1〜1/5であることが好ましく、さらに好ましくは1/2〜1/4であるのがよい。接着助剤/RFL>1/1の場合はRFL液の保存安定性が悪化することがあり、接着助剤/RFL<1/5の場合は、接着助剤による接着性向上効果が発現しない場合がある。したがって上記範囲が好ましい。
本発明の接着剤組成物はpHが6.0〜8.0であることが好ましく、より好ましくはpHが6.5〜7.8であるのが良い。pHがこの範囲を外れると、RFL液の保存安定性が悪化することがある。RFLのpHの調整方法は特に限定されないが、例えば混合する接着剤組成物、特にラテックスの種類、混合量を適正化することによって該範囲のpHに調整することが可能である。
本発明のゴム補強用コードは、上記に記載の接着剤組成物が、合成繊維に付着してなるものである。本発明でいう合成繊維は、ポリアミド、ポリエステル、芳香族ポリアミドおよびポリビニルアルコールなどを素材としてなるフィラメント糸、コード、織物および織布などの形態を含むものである。
上記のポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位からなる高分子量の線状ポリエステルを素材とするものが好ましく使用される。上記のポリアミド繊維としては、ナイロン6およびナイロン66などを素材とするものが使用されるが、なかでも硫酸相対粘度が3.0以上、好ましくは3.5以上の高分子量ナイロン66を素材とする繊維からなり、熱、光および酸素などによる劣化に対する耐久性を付与するため銅化合物を含む酸化防止剤を添加した超高強度ナイロン66コードが好ましく使用される。
上記の芳香族ポリアミド繊維としては、ポリ−P−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−P−フェニレン・3−4′ジフェニールエーテルテレフタルアミドおよびこれらを主体とする共重合体などを素材とするものが好ましく使用される。
上記ポリビニルアルコール繊維としては、重合度が500以上のポリビニルアルコールが好ましく、とくに重合度2000以上のポリビニルアルコールが好ましく使用される。
本発明のゴム補強用繊維コードは、上記合成繊維を撚糸して生コードとし、生コードそのまま、または生簾反に製織した後、接着剤組成物を付着させて得られる。例えば、カーカス用タイヤコードに用いる生コードは、SまたはZ方向に下撚りした後、2本または3本の下撚りコードを合わせて下撚りと反対方向に通常同数の上撚りをかけ諸撚りコードとしたものである。次いで該生コードを経糸とし、緯糸に綿糸、または合成繊維に綿糸をカバリングして緯糸とし、生簾反に製織する。次に、該生簾反を接着剤処理してディップ反が得られる。また、ホースやベルト等の用途に仕様される場合には、下撚りをかけ、下撚りコードのまま、あるいは前記と同様、2本または3本合わせて下撚りと反対方向に通常同数の上撚りをかけて諸撚りコードとし、コード形態のまま接着剤組成物を付着させてディップコードとする。
本発明のゴム補強用コードとは、上記ディップ反およびディップコードの両者を指す。本発明のゴム補強用コードにおいて、合成繊維への接着剤組成物の付着量は、繊維重量100重量%に対して1〜10重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5〜8重量%、さらに好ましくは2〜6重量%の範囲である。樹脂付着量が低すぎると、接着性が低下し、一方樹脂付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下したり、また、工程中のロールに固形分がガムアップし、操業安定性が悪化することがある。
合成繊維へ接着剤組成物を付着させる方法は特に限定されないが、例えば、接着剤組成物が水に分散されてなる処理液(以降ディップ液と呼ぶ)に浸漬した後圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧力空気による飛ばし、吸引等の方法を使用することができる。また、付着量を多くするために、複数回付着させることもできる。
ディップ液を付与した合成繊維は、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥後(以下ドライ処理と呼ぶ)、200〜255℃で0.5〜5分間熱処理(以下ホット処理と呼ぶ)して繊維表面に接着剤による被膜を形成させるが、場合によっては乾燥を省略することもできる。また、ホット処理の後に、さらに200〜255℃で0.5〜5分間熱処理(以下ノルマライズ処理と呼ぶ)を施すこともできる。
上記熱処理の温度が200℃未満では、繊維上への接着剤による被膜の形成およびゴムとの反応が不十分で、接着力が不十分となることがあり、一方、255℃を越える高温では、繊維上に形成された処理剤による被膜が劣化して接着力が低下したり、合成繊維が熱劣化し、強力が低下するため、好ましくない。
また、接着性を向上させる観点から、合成繊維に本発明の接着剤組成物を付着させる前に、公知の前処理剤を合成繊維に付着させておくことも好ましい。公知の前処理剤とは、エポキシ化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物、パラクロロフェノールとホルマリンおよびレゾルシンを縮合して得られるフェノール系化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明においてゴム補強用コードの物性の測定方法、評価方法は以下に示すとおりである。
(1)樹脂付着量
一定長さあたりの撚糸コードの重量を予め測定しておき、接着剤処理後の同一長さのコード重量を測定することで、差分としての樹脂付着量を計算した。
(2)T−初期接着力
処理コードとゴムとの接着力を示すものである。JIS L−1017(2002)の接着力−A法に従って、処理コードを未加硫ゴムに埋め込み、50kgf/cm2の加圧下で150℃、30分間プレス加硫を行い、放冷後、コードをゴムブロックから300mm/minの速度で引き抜き、その引き抜きに要した加重をN/cmで表示した。
なお、T−接着力の測定に使用したゴムコンパウンドの組成は下記のとおりである。
天然ゴム (RSS#1):80(重量部)
SBR(JSR1501):20(重量部)
RFカーボンブラック:50(重量部)
ステアリン酸:2(重量部)
硫黄:2(重量部)
亜鉛華:5(重量部)
2,2’−ジチオベンゾチアゾール:4(重量部)
ナフテン酸プロセスオイル:3(重量部)。
(3)ラテックスのムーニー粘度
ラテックスから凝固、乾燥して回収した共重合体を用いてJISK−6383(2001)に従って、100℃にて測定した。
(4)ゲル化日数
接着剤組成物サンプル200gをガラス容器に採取、密閉し、25℃±0.5の恒温槽に静置する。10日おきに、JISK6833(1980)の6.3項の測定方法により粘度を測定し、15cP以上となった日をゲル化日数とした。なお、上記粘度測定試験は25℃の環境下で、B型粘度計(芝浦システム株式会社製BL型)、回転数60rpmでNo.1ローターにより測定した。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
グリセロールポリグリシジルエーテル(“デナコール”EX313(ナガセ化成社製))、を水で希釈し総固形分量5.0重量%の接着剤を得た(前処理剤)。
レゾルシン(試薬特級(和光純薬工業製))とホルマリン(試薬1級(和光純薬工業製))を表1に示すモル比の割合で、アルカリ触媒を含まない条件下で混合し(比較例2のみアルカリ触媒として水酸化ナトリウム(試薬1級(和光純薬工業製))を、レゾルシンとホルマリンの合計重量対比3重量%含む)、表1に示す固形分濃度に調整し、所定の時間25℃で静置(熟成)することで、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得た。次にこの縮合物(RF)と、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス(L)を、RF/Lの固形分重量比を表1の割合で混合し、表1に示す固形分濃度に調整し、上記(4)ゲル化日数測定の測定方法に従って25℃で静置(熟成)した。10日後、pHを測定し、また、該接着剤を少量取り分けて水で希釈し、固形分重量15%の接着剤を調整し、下記の接着力評価に供した。残りの接着剤は再び25℃で静置し、以後10日おきに上記(4)ゲル化日数測定の測定方法に従ってゲル化日数を評価した。
なお上記ラテックス「ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(L)」のムーニー粘度は次のとおりであった。
L1:ピラテックスHM(日本エイアンドエル(株)製、ムーニー粘度:95)
L2:JSR0650(JSR(株)製:3℃、ムーニー粘度:20)
1100dTexのポリエステルマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”1100−240−705M)2本を、下撚り47回/10cm、上撚り47回/10cmの撚り数で撚糸して、未処理コードとした。
該未処理コードをコンピュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製)を用いて、前記の前処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で1分間の熱処理(ホット処理)を行った。前処理剤の樹脂付着量は、繊維重量100重量部に対して1.0%であった。続いて、固形分重量15%に調整した本発明の接着剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で0.5分間熱処理(ホット処理)を行い、さらに、240℃で0.5分間熱処理(ノルマライズ処理)を行った。接着剤の樹脂付着量は、繊維重量100重量部に対して3%であった。
得られた処理コードを未加硫ゴムに埋め込み加硫を行った後、T−初期接着力を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013010909
表1の結果のように、本発明による実施例1〜5の場合、従来の接着剤よりも、保存安定性に優れることがわかる。

Claims (7)

  1. レゾルシンとホルムアルデヒドを含み、かつアルカリ触媒を含まない状態で、固形分濃度15〜35重量%の水溶液を0〜1時間熟成してレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得た後、該レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加して混合液とすることを特徴とする接着剤組成物の製造方法。
  2. レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物にゴムラテックスを添加する際、固形分濃度20〜40重量%の混合液とし、該混合液を36時間以上熟成することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物の製造方法。
  3. 前記ゴムラテックスが1種以上のゴムラテックスの混合物からなるものであり、少なくとも1種が、ムーニー粘度が50〜150のビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスであることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物の製造方法。
  4. レゾルシン、ホルムアルデヒド、ゴムラテックスが下記の配合比で混合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物の製造方法。
    R/F=1/0.3〜1/1.0(モル比)
    RF/L=1/1〜1/3(重量比)
    (式中、Rはレゾルシン量、Fはホルムアルデヒド量、RFはレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物量を表す)
  5. pHが6.0〜8.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の接着剤組成物の製造方法で製造される接着剤組成物。
  7. 請求項6記載の接着剤組成物を合成繊維に付着させてなるゴム補強用コード。
JP2011145915A 2011-06-30 2011-06-30 接着剤組成物の製造方法、接着剤組成物およびそれを用いたゴム補強用コード Active JP5938857B2 (ja)

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