JP2010251189A - リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池用電極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池用電極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量の大きなリチウム二次電池用活物質と、それを用いたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含有するリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体が含有する金属元素の組成比率が、Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を満たすことを特徴とするリチウム二次電池用活物質である。上記式を満たす条件で金属元素比率を定めることにより合成時の各金属元素の価数をLi1+,Co3+,Ni2+,Mn4+,Mg2+とすることができ、Mgを含有しない場合に比べて放電容量を向上させることができるという特異な効果が奏される。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用活物質及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池には、正極活物質として主にLiCoOが用いられている。しかし、放電容量は120〜130mAh/g程度であった。
LiCoOを他の化合物と固溶体を形成させた材料が知られている。α−NaFeO型結晶構造を有し、LiCoO、LiNiO及びLiMnOの3つの成分の固溶体であるLi[Co1−2xNiMn]O(0<x≦1/2)が2001年に発表された。前記固溶体の一例であるLiNi1/2Mn1/2やLiCo1/3Ni1/3Mn1/3を活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が150〜180mAh/gとLiCoOよりも優れる。
非特許文献1〜4には、α−NaFeO型結晶構造を有し、Li[Li1/3Mn2/3]O、LiNi1/2Mn1/2及びLiCoOの3つの成分の固溶体が提案されている。この材料は、Li[Li,Mn,Ni,Co]Oと表現できるように、α−NaFeO型結晶構造を有するLiCoOにおいてCoが存在するサイトに遷移金属の他にLiが存在する。このため、より高い放電容量が期待でき、非特許文献1〜4では180〜200mAh/g程度の放電容量が報告されている。
しかしながら、放電容量がさらに大きいリチウム二次電池用活物質が求められていた。
リチウム二次電池用正極活物質に用いる遷移金属化合物の、遷移金属サイトの一部を異種元素で置換する試みは、正方晶スピネル構造のLiMnなど他の活物質における例を挙げるまでもなく多数検討されている。しかしながら、異種元素置換がもたらす効果については活物質ごとに異なっており、当該技術分野においては、異なる材料において発現した効果が別の材料においても同様に発現するかどうかについては全く予測が困難であることは論を待たない。
非特許文献5には、LiCoOのCoの一部をMgで置換した結果、室温での電子伝導度は向上した(Fig.2参照)ものの、放電容量についてはMg添加によって低下した(Fig.6,Fig.8参照)ことが記載されている。
非特許文献6には、LiCoO、LiNiO及びLiMnOの3つの成分の固溶体に相当するLiCo1/3Ni1/3Mn1/3の遷移金属サイトの一部をMgで置換した結果、やはり放電容量が低下した(Fig.8参照)ことが記載されている。
非特許文献7には、Li[Li1/3Mn2/3]O及びLiNi1/2Mn1/2の2つの成分の固溶体に相当するLi[Li0.15Ni0.275Mn0.575]Oの遷移金属サイトの一部をMgで置換した結果、繰り返し充放電に伴う容量維持率に向上がみられたものの、初期放電容量についてはやはり低下した(Fig.2参照)ことが記載されている。また、報告されている放電容量は200mAh/gを超えるものではない(同図参照)。
Electrochim.Acta, vol.51, page 5581-5586, 2006. J.Power Sources, vol.146, page 598-601, 2005. J.Electrochem.Soc., vol.152, no.1, page A171-A178, 2005. Mater.Lett., vol.58, page 3197-3200, 2004. J.Electrochem.Soc., vol.144, page 3164-3168, 1997. Solid State Ionics, vol.178, page 849-857, 2007. J.Mater.Chem., vol 13, page 319-322, 2003.
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、放電容量の大きなリチウム二次電池用活物質及びそれを用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明の構成及び作用効果について、技術思想を交えて説明する。但し、作用機構については推定を含んでおり、その正否は、本発明を制限するものではない。なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態若しくは実験例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
α−NaFeO型結晶構造を有し、Li[Li,Mn,Ni,Co]Oと表現できる材料は、遷移金属サイトに存在するそれぞれの金属元素の価数に留意すべきである。即ち、Li[Li,Mn,Ni,Co]Oと表現できる材料を合成するにあたって、原料に含まれる金属元素であるLi,Co,Ni及びMnの組成比率を任意に定めるのではなく、遷移金属サイトに存在する場合のそれぞれの金属元素の価数がLi1+,Mn4+,Ni2+,Co3+となる条件下においてそれぞれの金属元素の比率を定めることにより、合成された材料をリチウム二次電池用活物質として用いた場合に高い放電容量を発現できる。
それぞれの金属元素の価数がLi1+,Mn4+,Ni2+,Co3+となる条件は、Li[Li1/3Mn2/3]O、LiNi1/2Mn1/2及びLiCoOの3つの成分の固溶体を想定することで与えられる。即ち、xLi[Li1/3Mn2/3]O−yLiNi1/2Mn1/2−(1−x−y)LiCoO(但し、x>0、y>0、x+y<1)を想定し、x及びyを任意に選択することにより、理論的に、α−NaFeO型結晶構造の遷移金属サイトに存在する各金属元素の価数をLi1+,Mn4+,Ni2+,Co3+とすることができる。
本発明に係るリチウム二次電池用活物質は、Mgを含有することを特徴とするものであるが、この場合においても、遷移金属サイトに存在する金属元素の価数に留意すべきである。即ち、遷移金属サイトに存在する場合のそれぞれの金属元素の価数がLi1+,Co3+,Ni2+,Mn4+,Mg2+となる条件下においてそれぞれの金属元素の比率を定めることにより、本発明の効果が顕著に発現される。
ここで、Li1+,Mn4+,Ni2+,Co3+,Mg2+となる条件を保ったままMg比率を定めるにあたり、いくつかの考え方を採用することができる。第一の考え方は、想定したLiNi1/2Mn1/2を構成するNi2+ 1/2Mn4+ 1/2部分をMg2+ 1/2Mn4+ 1/2によって置換する思想に沿ってMg比率を定める方法であり、本願明細書において実施例1〜5として具体的に詳述する。第二の考え方は、想定したLi[Li1/3Mn2/3]Oを構成する[Li1/3Mn2/33+部分を[Mg1/2Mn1/23+によって置換する思想に沿ってMg比率を定める方法であり、本願明細書において実施例6〜10として具体的に詳述する。
上記二つの考え方のいずれを採用した場合においても、それぞれの金属元素の価数がLi1+,Mn4+,Ni2+,Co3+,Mg2+となる条件は、Li[Li1/3Mn2/3]O、LiNi1/2Mn1/2、LiCoO及びLiMg1/2Mn1/2の4つの成分の固溶体を想定することで与えられることがわかる。即ち、固溶体xLi[Li1/3Mn2/3]O−yLiNi1/2Mn1/2−zLiMg1/2Mn1/2−(1−x−y−z)LiCoO(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を想定し、x、y及びzを任意に選択することにより、理論的に、α−NaFeO型結晶構造の遷移金属サイトに存在する各金属元素の価数をLi1+,Co3+,Ni2+,Mn4+,Mg2+とすることができる。
上記式xLi[Li1/3Mn2/3]O−yLiNi1/2Mn1/2−zLiMg1/2Mn1/2−(1−x−y−z)LiCoOを変形すると、式Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)が一義的に得られる。ここに、本発明は、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含有するリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体が含有する金属元素の組成比率が、Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を満たすことを特徴とするリチウム二次電池用活物質である。
一般に、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を焼成工程を経て合成し、実際に得られた化合物を化学分析して元素組成比を求めると、原料の仕込み組成比から計算される組成に比べて若干(5%程度)変動することが事実として知られている。本発明は、その技術思想又は主要な特徴から逸脱することなく実施することができるものであって、合成によって得られたものの組成が上記組成式と厳密に一致しないことのみをもって本発明の範囲に属さないものと解釈してはならないことはいうまでもない。特に、Li量については、焼成工程で揮発されやすいことが知られている。また、酸素原子の係数についても、合成条件等によって変動しうるものであり、厳密に2の場合のみに限られるものではなく、酸素が欠損していることをもって本発明の範囲に属さないものと解釈してはならない。なお、本発明は、金属元素組成比を規定する上記式において酸素の係数は規定していない。
また、本発明の活物質は、Li,Co,Ni,Mn,Mg,O以外の元素を含んでいても良く、Li,Co,Ni,Mn,O以外の元素を含んでいる場合においても、本発明の活物質は、前記固溶体を構成する元素のうち、Li,Co,Ni,Mn及びMgの価数がそれぞれLi1+,Co3+,Ni2+,Mn4+,Mg2+の価数条件を満たしていることを要する。なお、電池の充放電に伴って活物質中のLi量が変化すると共に、遷移金属の価数についても変化するが、充放電深度が不明の電池から採取した活物質であっても、ICP発光分光分析、エックス線回折測定、酸素量分析等の組み合わせにより、その活物質が合成された時点におけるLiを含む金属元素比率を知ることができ、もって、その活物質が本発明の技術範囲に属するか否かを判定することが可能である。
ここで、LiCoO粉末、LiNi1/2Mn1/2粉末、Li[Li1/3Mn2/3]O粉末等が単に混合物されただけの粉体は、本発明に係る「固溶体」であるとすることができない。これらの材料の単品は、エックス線回折測定を行った場合に観察される各格子定数に対応するピーク位置がそれぞれ異なるため、これらの単なる混合物についてエックス線回折測定を行うと、それぞれの単品に対応する回折パターンが得られる。
ここで、x、yの値は、1/3<x<2/3、1/3<y<2/3の範囲の値を選択することにより、合成された材料をリチウム二次電池用活物質として用いた場合に比較的高い放電容量を発現できるため、好ましい。xやyの値は、これを採用しようとする電池がどのような電池特性が求められているかを勘案して適宜選択することができる。zの値はMg量と関連するが、後述する実施例に示すように、Mg量は極めて少量であっても、Mgを含まない場合と比べて放電容量を向上させる効果が顕著に奏される。逆に、Mgは充放電を行っても価数変化しないことから、過剰に含有させることに益がなく、多く含有させすぎないことが好ましい。zの値を種々の変化させた場合の本発明の効果の現れ方は、xやyの値によって異なるから、電池設計に応じて採用するx、yの値が決定された上で、これに対して上記技術思想に沿ってzの値を変化させ、適切なzの値を採用するとよい。なお、後述する比較例4、5に示すようにx=0である組成物に対してMgを含有させた場合や、非特許文献7に記載されているようにx+y=1である組成物に対してMgを含有させた場合には、放電容量が低下するが、このように、Mgを含有することによってMgを含有しない同組成物よりも放電容量が低下する場合は、本発明の技術範囲に属さないことはいうまでもない。
本発明によれば、放電容量の大きなリチウム二次電池用活物質を提供できる。
本発明のリチウム二次電池用活物質を製造する方法について説明する。
本発明のリチウム二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni,Mg)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mn,Mgのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mn,Mgを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶しようという試みが多数なされているが(LiNi1−xMnなど)、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。なお、このような前駆体の好ましい作製方法については、例えば、国際公開第02/086993号パンフレットの記載が参考になる。
共沈前駆体を作製するにあたって、共沈前駆体を得ようとする溶液中を不活性雰囲気とすることが極めて重要である。これは、Co,Ni,Mn,MgのうちMnは酸化されやすく、Co,Ni,Mn,Mgが2価の状態で均一に分布した共沈水酸化物を作製することが容易ではないため、Co,Ni,Mn,Mgの原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。特に本発明の組成範囲においては、Mn比率がCo,Ni比率に比べて高いので、溶液中を不活性雰囲気とすることはなおさら重要である。後述する実施例では、水溶液中に不活性ガスをバブリングして溶存酸素を除去し、さらに還元剤を同時に滴下した。
前記焼成に供する前駆体の調整方法については限定されるものではない。Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、Co化合物及びMg化合物を単に混合してもよく、溶液中で遷移金属元素を含む水酸化物を共沈させ、これとLi化合物とを混合してもよい。均一な複合酸化物を作製するためには、MnとNiとCoとMgとの共沈水酸化物とLi化合物とを混合し、焼成する方法が好ましい。
前記共沈水酸化物前駆体の作製は、MnとNiとCoとMgが均一に混合された化合物であることが好ましい。ただし前駆体は水酸化物に限定されるものではなく、他にも炭酸塩、クエン酸塩などの元素が原子レベルで均一に存在した難溶性塩であれば水酸化物と同様に使用することができる。また、錯化剤を用いた晶析反応等を用いることによって、より嵩密度の大きな前駆体を作製することもできる。その際、Li源と混合・焼成することでより高密度かつ比表面積の小さな活物質を得ることができるので電極面積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
前記共沈水酸化物前駆体の原料は、Mn化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を、Mg化合物としては、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等を一例として挙げることができる。
前記共沈水酸化物前駆体の作製に用いる原料としては、アルカリ水溶液と沈殿反応を形成するものであればどのような形態のものでも使用することができるが、好ましくは溶解度の高い金属塩を用いるとよい。
本発明におけるリチウム二次電池用活物質は前記共沈水酸化物前駆体とLi化合物とを混合した後、熱処理することで好適に作製することができる。Li化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることで好適に製造することができる。
可逆容量の大きな活物質を得るにあたって、焼成温度の選択は極めて重要である。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向があり、このような材料は、活物質の可逆容量が大きく減少するので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが重要である。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とLiOH・HOを混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性も大きく低下するので好ましくない。焼成温度は少なくとも800℃以上とすることが必要である。十分に結晶化させることは結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すために重要である。結晶化の度合いの見極め方として走査型電子顕微鏡を用いた視覚的な観察が挙げられる。本発明の正極活物質について走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、試料合成温度が800℃以下ではナノオーダーの一次粒子から形成されているものであったが、さらに試料合成温度を上昇させることでサブミクロン程度まで結晶化するものであり、電極特性向上につながる大きな一次粒子を得られるものであった。
一方、もう一つ結晶化の度合いを示すものとして先に述べたエックス線回折ピークの半値幅がある。しかし、主相の回折ピークの半値幅が小さくなる合成温度を選択するだけでは、可逆容量が大きな活物質を得るには必ずしも十分ではない。というのも、回折ピークの半値幅は結晶格子の不整合の度合いを表すひずみの量と、最小のドメインである結晶子のサイズという二つの因子によって支配されるものであり、半値幅から結晶性の度合いを見極めるにはこれらを分離して捉える必要がある。発明者らは、本発明活物質の半値幅を詳細に解析することで800℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が1%以下、かつ結晶子サイズが150nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは130nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。即ち、焼成温度を上記した活物質の酸素放出温度にできるだけ近付けるように選択することにより、はじめて、可逆容量が顕著に大きい活物質を得ることができる。
上記のように、好ましい焼成温度は、活物質の酸素放出温度により異なるから、一概に焼成温度の好ましい範囲を設定することは難しいが、好ましくは900から1100℃、より好ましくは950から1050℃であれば高い特性を発揮することができる。
本発明に係るリチウム二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiSCN,LiBr,LiI,Li2SO4,Li210Cl10,NaC
lO4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO23,LiC(C25SO23,(CH34NBF4,(CH34NBr,(C254NClO4,(C254NI,(C374NBr,(n−C494
NClO4,(n−C494NI,(C254N−maleate,(C254N−benzoate,(C254N−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、
オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiBF4とLiN(C25SO22のようなパーフルオロアルキル基を有す
るリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より望ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/lである。
負極材料としては、限定されるものではなく、リチウムイオンを析出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]Oに代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
正極活物質の粉体および負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極材料について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極においては正極活物質、負極においては負極材料)、およびその他の材料を混練し合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
リチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
(実施例1)
硫酸マンガン5水和物と硫酸ニッケル6水和物と硫酸コバルト7水和物と硫酸マグネシウム7水和物をCo、Ni、Mn、Mgの各元素が0.12500:0.18375:0.68750:0.00375の比率となるようイオン交換水に溶解させ混合水溶液を作製した。その際に、その合計濃度が0.667mol/l、体積が180mlとなるようにした。次に、1リットルのビーカーに600mlのイオン交換水を準備し、湯浴を用いて50℃に保ち、8NのNaOHを滴下することでpHを12.0に調整した。その状態でArガスを30minバブリングさせ、溶液内の溶存酸素を十分取り除いた。ビーカー内を回転速度700rpmで攪拌させ、先程の硫酸塩の混合水溶液を3ml/minのスピードで滴下した。その間、湯浴を用いて温度を一定に保ち、8NのNaOHを断続的に滴下することでpHを一定に保った。同時に、還元剤として濃度2.0mol/lのヒドラジン水溶液50mlを0.83ml/minのスピードで滴下した。両方の滴下が終了した後、攪拌を止めた状態で12h以上静止することで共沈水酸化物を十分粒子成長させた。
なお、上記の手順において、各溶液の滴下スピードが早すぎると、元素レベルで均一な前駆体が得られなくなる。例えば滴下スピードを上記の10倍とした場合は、前駆体中の元素分布が明らかに不均一となる。また、このような不均一な前駆体を用いて活物質を合成した際に、焼成後の元素の分布も不均一なものとなり、十分な電極特性を発揮できない。ちなみに、固相法によってLiOH・HO、Co(OH)、Ni(OH)、MnOOH、Mg(OH)を原料粉体として用いた場合は、より一層不均一となるため、好ましくない。
次に、吸引ろ過により共沈生成物を取り出し、空気雰囲気中、常圧下、オーブンで100℃にて乾燥させた。乾燥後、粒径を揃えるように、直径約120mmφの乳鉢で数分間粉砕し、乾燥粉末を得た。
この乾燥粉末は、エックス線回折測定により、β−Ni(OH)型の単相が確認された。また、EPMA測定により、Co,Ni,Mnは均一に分布していることが確認された。
水酸化リチウム一水和物粉末(LiOH・HO)を、金属元素(Ni+Mn+Co+Mg)に対するLi量が表1の実施例1の組成式を満たすように秤量し、混合して混合粉体を得た。
次に、混合粉体を6MPaの圧力でペレット成型した。ペレット成型に供した前駆体粉末の量は、合成後の生成物としての質量が3gとなるように換算して決定した。その結果、成型後のペレットは、直径25mmφ、厚さ約10−12mmであった。前記ペレットを全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉に入れ空気雰囲気中、常圧下1000℃で12h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、乳鉢を用いて粒径を揃える程度に粉砕した。
得られた活物質の結晶構造は、Cu(Kα)管球を用いた粉末エックス線回折測定の結果、α−NaFeO型の六方晶構造が主相として確認されると共に、一部Li[Li1/3Mn2/3]O型の単斜晶にみられる20〜30°付近の回折ピークが観察された。
(実施例2〜10)
共沈水酸化物前駆体が含有する金属元素の組成及び水酸化リチウムの混合量について、表1に実施例2〜10に示す組成式に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、本発明に係る活物質を合成した。
エックス線回折測定の結果、実施例1と同様に、α−NaFeO型の六方晶構造が主相として確認されると共に、一部Li[Li1/3Mn2/3]O型の単斜晶にみられる20〜30°付近の回折ピークが観察された。
(比較例1〜5)
共沈水酸化物前駆体が含有する遷移金属元素の組成及び水酸化リチウム一水和物の混合量について、表1に比較例1〜5に示す組成式に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、比較例に係る活物質を合成した。
(リチウム二次電池の作製及び評価)
実施例1〜10及び比較例1〜5のそれぞれの活物質をリチウム二次電池用正極活物質として用いて以下の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を重量比85:8:7の割合で混合し、分散媒としてN−メチルピロリドンを加えて混練分散し、塗布液を調製した。なお、PVdFは固形分が溶解分散された液を用い、固形重量換算した。該塗布液を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体に塗布し、正極板を作製した。なお、全ての電池において同様の試験条件となるよう電極重量、厚みは統一した。
対極には、正極の単独挙動を観察する目的のため、リチウム金属を負極とした。リチウム金属はニッケル箔集電体に密着させた。ただし、リチウム二次電池の容量が十分正極規制となるよう調製した。
電解液にはLiPFをEC/EMC/DMCが体積比6:7:7である混合溶媒に濃度が1mol/lとなるよう溶解させたものを用いた。セパレータにはポリアクリレートで表面改質して電解質の保持性を向上させたポリプロピレン製の微孔膜を用いた。また、ニッケル板にリチウム金属箔をはりつけたものを参照極として用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、負極端子および参照極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止した。
上記のようにして作製されたリチウム二次電池は、5サイクルの初期充放電工程に供した。電圧制御は全て正極電位に対して行った。充電は、電流0.1ItA、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流0.1ItA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。全てのサイクルにおいて充電後及び放電後に30分の休止時間を設定した。
続いて、充放電サイクル試験を行った。電圧制御は全て正極電位に対して行った。充放電サイクル試験の条件は、充電電圧を4.3V(vs.Li/Li+)としたことを除いては前記初期充放電工程の条件と同一である。全てのサイクルにおいて充電後及び放電後に30分の休止時間を設定した。この充放電サイクル試験における5サイクル目の放電電気量を「放電容量(mAh/g)」として記録した。結果を表1に示す。
実施例1〜5は、固溶体xLi[Li1/3Mn2/3]O−yLiNi1/2Mn1/2−zLiMg1/2Mn1/2−(1−x−y−z)LiCoO(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を想定した上で、LiNi1/2Mn1/2を構成するNi2+ 1/2Mn4+ 1/2部分をMg2+ 1/2Mn4+ 1/2によって置換する思想に沿って、式Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を満たすようにそれぞれの金属元素比率を定めた。この結果、実に驚くべきことに、Mgを含有しない同組成物である比較例1よりも放電容量が向上した。
実施例6〜10は、同じく固溶体xLi[Li1/3Mn2/3]O−yLiNi1/2Mn1/2−zLiMg1/2Mn1/2−(1−x−y−z)LiCoO(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を想定した上で、Li[Li1/3Mn2/3]Oを構成する[Li1/3Mn2/33+部分を[Mg1/2Mn1/23+によって置換する思想に沿って、式Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を満たすようにそれぞれの金属元素比率を定めた。この結果、実に驚くべきことに、Mgを含有しない同組成物である比較例1よりも放電容量が向上した。
比較例2と比較例3は、式Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を満たさない金属組成比率を採用した例を示している。従って、比較例2や比較例3の組成はx、y、zを用いて表すことができない。この結果、各元素の係数の値は実施例1〜10と類似しているものの、Mgを含有しない比較例1よりも放電容量が低下した。このことから、本発明の効果の点で、合成時においてLi1+,Mn4+,Ni2+,Co3+,Mg2+となる条件下においてそれぞれの金属元素の比率を定めることが重要であることがわかる。
比較例5は、x=0の場合に相当するLiCo1/3Ni1/3Mn1/3の遷移金属サイトの一部をLi1+,Mn4+,Ni2+,Co3+,Mg2+となる条件下においてMgで置換した結果を示している。この場合、価数条件は保たれているものの、非特許文献6に記載されている通り、Mgを含有しない同組成物である比較例4に比べて、放電容量の低下が認められた。

Claims (3)

  1. α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含有するリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体が含有する金属元素の組成比率が、Li1+(x/3)Co1−x−y−zNiy/2Mgz/2Mn(2x/3)+(y/2)+(z/2)(x>0、y>0、z>0、x+y+z<1)を満たすことを特徴とするリチウム二次電池用活物質。
  2. 請求項1記載のリチウム二次電池用活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
  3. 請求項2記載のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
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