JP2010218793A - リチウムイオン二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】沸点が低く、環境上問題とならない水を溶媒として使用でき、リン酸鉄リチウムを均一に分散させることができ、耐電解液性にも優れた樹脂バインダーを用いて、正極集合体上にLiFePO4と導電材とを含む正極合剤層を積層したリチウムイオン二次電池の提供。
【解決手段】LiFePOと導電材と樹脂バインダーとしての炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールとを含む混合物からなる正極合剤層が正極集電体上に積層されてなる正極と、負極と、セパレーターと、リチウム塩の支持電解質を含む非水溶媒と、を有するリチウムイオン二次電池を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池及びその製造方法に関する。より詳しくは、樹脂バインダーとして炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いて、正極集合体上にリン酸鉄リチウムと導電材とを含む正極合剤層を積層したリチウムイオン二次電池等に関する。
従来、リチウムイオン二次電池の正極活物質には、リチウムと、コバルトやニッケル、マンガン等の遷移金属との複合酸化物、カルコゲン化合物、あるいはこれらの複合化合物や各種の添加元素を有するものが用いられている。また、近年では、酸素放出が極めて少なく、熱安定性の高いリン酸骨格構造を有し、かつ急速なリチウムイオンの吸蔵・放出がし易いように導電性を高めたカーボン膜被覆のオリビン構造形リン酸鉄リチウムが用いられるようになっている。
リチウムイオン二次電池の正極は、これらの正極活物質と導電材とを樹脂バインダーが溶解した溶媒中に分散させ、正極集電体である金属箔上に塗工・乾燥させて合剤層とすることで製造される。しかしながら、リン酸鉄リチウム(以下、「LiFePO4」と略記する)は、ナノメートルオーダーの活物質であり、表面積が大きいため、溶媒に均一に分散させ難いという問題がある。
樹脂バインダーとしては、フッ素樹脂やポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記する)が用いられており、特にフッ素樹脂であるポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略記する)や熱硬化性可塑化PVAが好適に使用されている。熱硬化性可塑化PVAは、鹸化度の高い無変性PVAにアルケニルコハク酸無水物を有機溶剤中で実質的に無水の状態で反応させて得られる化合物である(例えば、特許文献1参照)。
PVDFや熱硬化性可塑化PVA等を樹脂バインダーとして使用した場合、合剤層を積層させるための溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略記する)等のアミド類、ウレア類といった含窒素系有機溶剤が使用される(例えば、特許文献2参照)。しかし、NMP等の含窒素系有機溶剤は、乾燥時に発生する溶媒蒸気をそのまま大気に解放すると環境上問題となるので回収しなければならない。また、例えばNMPは、沸点が204℃と非常に高く、乾燥時に多くのエネルギーを必要とする。
さらに、PVDFを樹脂バインダーとして使用した場合には、電解液に対する耐性(以下、「耐電解液性」という)が低いために、電解液である非水溶媒を吸収膨潤して電解液の枯渇やバインダー樹脂としての接着性劣化を引き起こし、リチウム二次電池の充放電サイクルにおけるエネルギー容量を低下させる要因となる。
このため、LiFePOを合剤層として積層させる際に、沸点が低く、環境上問題とならない水を溶媒として使用でき、リン酸鉄リチウムを均一に分散させることができ、耐電解液性にも優れた樹脂バインダーが望まれている。
特開2003−157851号公報 特開2004−134365号公報
本発明は、沸点が低く、環境上問題とならない水を溶媒として使用でき、LiFePOを均一に分散させることができ、耐電解液性にも優れた樹脂バインダーを用いて、正極集合体上にLiFePO4と導電材とを含む正極合剤層を積層したリチウムイオン二次電池を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、LiFePOと導電材と樹脂バインダーとしての炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールとを含む混合物からなる正極合剤層が正極集電体上に積層されてなる正極と、負極と、セパレーターと、リチウム塩の支持電解質を含む非水溶媒と、を有するリチウムイオン二次電池を提供する。
このリチウムイオン二次電池において、炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールは、分子内に炭素数5〜30の炭化水素基を有するビニルエーテルと、ビニルエステル単位を有するモノマーとの共重合物であり、変性量がエステル単位100モル%に対して0.01〜10モル%、重合度が300〜5000、鹸化度が93〜99.99モル%とされる。
このリチウムイオン二次電池において、樹脂バインダーの量は、LiFePO100質量部に対して、2〜10質量部であることが望ましい。
また、負極活物質は、リチウム金属、リチウム合金又はリチウムイオンを吸蔵及び放出し得る炭素質材であることが望ましい。
また、本発明は、LiFePOと導電材と樹脂バインダーとしての炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールと、を水中に溶解・分散させた分散溶液を、正極集電体上に塗布、乾燥し、正極合剤層を積層する工程を含むリチウムイオン二次電池の製造方法をも提供する。
この製造方法は、さらに、分子内に炭素数5〜30の炭化水素基を有するビニルエーテルと、ビニルエステル単位を有するモノマーとを共重合し、変性量がエステル単位100モル%に対して0.01〜10モル%、重合度が300〜5000の共重合物とし、鹸化触媒にて、鹸化度93〜99.99モル%となるようエステル単位を加水分解及び/又は加アルコール分解して、炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールを得る工程を含むものである。
本発明により、沸点が低く、環境上問題とならない水を溶媒として使用でき、LiFePOを均一に分散させることができ、耐電解液性にも優れた樹脂バインダーを用いて、正極集合体上にLiFePO4と導電材とを含む正極合剤層を積層したリチウムイオン二次電池が提供される。
1.リチウムイオン二次電池
(1)概略
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、LiFePOと導電材と樹脂バインダーとしての炭化水素ビニルエーテル変性PVAとを含む混合物からなる正極合剤層を正極集電体上に積層した正極と、負極活物質を用いた負極と、セパレーターと、リチウム塩の支持電解質を含む非水溶媒と、を有して構成される。
(2)正極
(A)LiFePO
正極活物質には、カーボン膜を被覆したオリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO)を用いる。LiFePOは、3.4Vの電位で理論容量は170mAh/g程度と小さいものの、リン酸POが安定した骨格構造を形成するため、充放電時の熱安定性に優れる。
LiFePOの一次粒子の粒子径は、0.1〜500nmの微粒子が好ましく、10〜300nmがより好ましく、50〜100nmが最も好ましい。粒子径が小さいと、表面積が大きくなり、分散不良となる。また、粒子径が大きいと、比表面積が小さくなることで、リチウムの反応面積が少なくなったり、粒子内のリチウム拡散経路が大きくなったりして高出力が得られなくなる。
(B)導電材
導電材には、通常、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛粉末、各種グラファイトを単独、あるいは組み合わせて用いる。
(C)集電体
正極集電体には、通常、アルミニウムが好ましく用いられる。集電体の形状は、特に限定するものではないが、箔状、網状、エクスパンドメタル等が使用可能である。集電体の形状は、接着後の電解液保持を容易にする点から、網状やエクスパンドメタルなどの空隙面積の大きいものが好ましく、厚さは0.001〜0.03mm程度のものが好ましい。
(D)樹脂バインダー
LiFePO及び導電材を正極合剤層として集電体に積層するための樹脂バインダーには、炭化水素ビニルエーテル変性PVAを用いる。
本発明に用いる炭化水素基ビニルエーテル変性PVAは、分子内に炭素数5〜30の炭化水素基、具体的にはアルキル基、アリル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはシリル基のいずれか1種以上の基を有するビニルモノマーと、ビニルエステル単位を有するモノマーとを共重合させた後に、ケン化、洗浄、乾燥を行って得られるものである。アルキル基としては、アミルビニルエーテル、ヘキシル ビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビ ニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテルなど、シクロアルキル基としては、シクロヘキシルビニルエーテルなど、アルケニル基としては、オレイルビニルエーテル、リノリルビニルエーテルなど、アリール基としては、フェニルビニルエーテル、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、2−メチルフェニルビニルエーテル、3−メチルフェニルビニルエーテル、4−メ チルフェニルビニルエーテル、3−メト キシフェニルビニルエーテルなど、アラルキル基としては、ベンジルビニルエーテルなどがある。
ビニルエステル単位を有するモノマーは、特に限定されず、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等とできる。ビニルエステル単位を有するモノマーは、安定して重合を行えるという観点から、酢酸ビニルが好ましい。
炭化水素基ビニルエーテルの共重合量(変性量)は、エステル単位100モル%に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.5〜3モル%である。変性量が少ないと、LiFePO及び導電材等の分散性が悪化する。また、変性量が多いと、分散溶液の粘度が高くなり塗工時に問題となる。
炭化水素基ビニルエーテル変性PVAの加水分解率(鹸化度)は、93〜99.99モル%であり、好ましくは95〜99.99モル%、さらに好ましくは97〜99.99モル%である。鹸化度が低いと、集電体に積層される正極合剤層の耐電解液性が低下する。また、鹸化度の高いと、工業的な生産が困難となる。
炭化水素基ビニルエーテル変性PVAの重合度は、300〜5000、好ましくは1000〜3500、さらに好ましくは1500〜2500である。重合度が低いとLiFePO及び導電材等の分散性が悪化する。また、重合度が高いと、分散溶液の粘度が高くなり塗工時に問題となる。
なお、本発明において、重合度とは粘度平均重合度を意味する。ポリビニルアルコール系重合体のけん化度が99.5モル%未満の場合、重合度は、鹸化度99.5モル%以上になるまで鹸化化した後、無水酢酸とピリジンで再酢化して得られるポリ酢酸ビニルについて、JISK−6725規定の平均重合度の測定方法を用いて、極限粘度[η](g/dl)から求めた。
炭化水素基ビニルエーテル変性PVAには、炭化水素基ビニルエーテル及びビニルエステル単位を有するモノマーと共重合可能なモノマーを共重合させてもよい。共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類、またはその塩類、または炭素数1〜18のモノアルキルエステル類もしくはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩またはその4級塩などのアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類、炭素数1〜4のアルキル鎖長を有するアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール等のアリル化合物、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等がある。これら共重合可能なモノマーの使用量は、特に限定するものではないが、使用する全モノマーに対して0.001〜5モル%が好ましい。
モノマーの重合方法は、公知の重合方法が用いられ、通常、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコールなどのアルコールを溶媒とする溶液重合が行なわれる。バルク重合、乳化重合、懸濁重合を行なうことも可能である。溶液重合において、連続重合でもバッチ重合でもよく、モノマーは、分割して仕込んでもよいし、一括で仕込んでもよく、あるいは連続的にまたは断続的に添加するなど任意の手段を用いてよい。
溶液重合において使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリルなどの公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。重合反応温度は、通常30℃〜90℃程度の範囲から選択される。
共重合体のケン化は、共重合体をアルコールに溶解し、アルカリ触媒又は酸触媒の存在下で分子中のエステルを加水分解することにより行うことができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等がある。アルコール中の共重合体の濃度は、特に限定するものではないが、10〜80重量%の範囲から選ばれる。アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができ、酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。これら触媒の使用量は、共重合体に対して1〜100ミリモル当量にすることがよい。ケン化温度は、特に限定するものではないが、10〜70℃、好ましくは30〜40℃の範囲がよい。反応時間は、特に限定するものではないが、30分〜3時間にわたって行われる。
(E)正極の製造方法
正極は、LiFePOと、導電材と、樹脂バインダーとしての上記の炭化水素ビニルエーテル変性PVAと、を水中に溶解・分散させた分散溶液(以下、スラリーという)を、正極集電体上に塗布、乾燥し、正極合剤層を積層して得られる。
この正極の製造工程では、樹脂バインダーとして上記の炭化水素ビニルエーテル変性PVAを用いることにより、水を溶媒としてスラリーを調製することができるため、環境への汚染がない。また、上記の炭化水素ビニルエーテル変性PVAを用いることで、LiFePOを均一に分散させ、耐電解液性に優れた正極合剤層を形成することができる。そのため、製造工程上の問題が少なく、電池のエネルギー容量の低下が少なく、高電圧下で分解が起こり難い正極を得ることが可能である。
スラリー中の樹脂バインダーの量は、LiFePO4100質量部に対して、2〜10質量部とすることが好ましい。バインダー量が少ないと、塗工液中にLiFePO4が均一に分散しなかったり、塗工後の乾燥皮膜の強度が出なかったり等の問題がある。また、バインダー量が多いと正極中の活物質量が減り、充電容量が減ってしまう。
スラリーの塗布方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることができる。そのなかでもブレード法(コンマロールまたはダイカット)、ナイフ法及びエクストルージョン法が好ましい。この際、バインダーの溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布は片面に施しても、両面に施してもよく、両面の場合、片面ずつ逐次でも両面同時でもよい。また、塗布は連続でも間欠でもストライプでもよい。スラリーの塗布厚みや長さ、巾は、電池の大きさに合わせて適宜決定すればよい。
スラリーの乾燥方法は、一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線および低温風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。本発明においては、沸点の低い水を溶媒として調製したスラリーを用いることで、60〜120℃程度の温度で乾燥を行うことができ、乾燥のためのエネルギーを少なくできる。
電極は、必要に応じてプレスすることができる。プレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やカレンダープレス法(冷間または熱間ロール)が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3t/cmが好ましい。
(3)負極
(A)負極活物質
負極活物質には、リチウム金属や、Liと、Pb・Bi・Snなどの低融点金属との合金、Li−Al合金などのリチウム合金、炭素質材料などを用いる。炭素質負極活物質としては、電池動作の主体となるリチウムイオンを吸蔵、放出できる物質ならば使用可能であり、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、ポリアセン、ポリアセチレンなどの炭素系化合物、ピレン、ペリレンなどのアセン構造を含む芳香族炭化水素化合物が好ましく用いられる。これらの活物質は、粒子状のものが用いられ、粒径としては、1〜30μmのものが使用可能であり、好ましくは3〜15μmのものである。
(B)導電材
導電材には、通常、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛粉末、各種グラファイトを単独、あるいは組み合わせて用いる。
(C)集電体
負極集電体には、通常、銅が好ましく用いられる。集電体の形状は、特に限定するものではないが、箔状、網状、エクスパンドメタル等が使用可能である。集電体の形状は、接着後の電解液保持を容易にする点から、網状やエクスパンドメタルなどの空隙面積の大きいものが好ましく、厚さは0.001〜0.03mm程度のものが好ましい。
(D)樹脂バインダー
負極活物質を電極板化するために用いられる樹脂バインダーとしては、電解液に溶解せず、電極積層体内部で電気化学反応を起こさないものであれば使用可能である。具体的にはテフロン(登録商標)、ポリエチレン、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン/ブタジエンゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリクロロプレン、ポリビニルピリジン、エチレンプロピレンジアミンゴムやフッ化ビニリデン・フッ化エチレン・アクリロニトリル・エチレンオキシドなどの単独重合体または共重合体などが使用可能である。
(E)負極の製造方法
負極の製造方法は正極と同様であるが、負極を炭素質負極とする場合は、炭素体と結着剤から湿式抄紙法を用いて作製するか、または炭素材料と結着剤を混合した塗料から集電体上に塗布、乾燥して作製する。
(4)セパレーター
セパレーターには、電子絶縁性の多孔質膜、網、不織布等、充分な強度を有するものであればどのようなものでも使用可能である。特に、電解質溶液のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ、溶液保持に優れたものを使用するとよい。材質は特に限定しないが、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリフロンまたはこれらの層状複合体等のなどを挙げることができる。接着性および安全性の観点からポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの層状複合膜が望ましい。
(5)電解液
電解液中の電解質は、公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO、LiBF,LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、LiB(C、LiCFSO、LiCHSO、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
電解質を溶解する媒体としては、二次電池としての機能を発揮させるものであれば特に制限はないが、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピルのような炭酸ジエステルなどの無機酸エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンサルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類;等の単独もしくは二種以上の混合溶媒が使用できる。
これらの非水電解液としては、カーボネート類にLiPFを溶解した非水電解液が好ましく、電解質濃度は使用する電極、電解液によって異なるが、0.5〜3モル/lが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、以下の説明では特に断らない限り「%」、「部」は各々重量%、重量部を意味するものとする。
1.樹脂バインダーの製造と正極合剤層の耐電解液性の評価
はじめに、実施例1〜9及び比較例1〜5では、樹脂バインダーの製造と、樹脂バインダーを用いて形成したフィルムの耐電解液性の評価を行った。
<実施例1>
炭化水素基を有するビニルエーテルにドデシルビニルエーテル、ビニルエステル単位を有するモノマーに酢酸ビニルを用い、エステル単位100モル%に対する変性量が0.8モル%で、鹸化度96.2モル%、重合度1700の炭化水素ビニルエーテル変性PVA樹脂バインダーを製造した。
樹脂バインダーを12%となるように純水に溶解した溶液を、乾燥・熱処理後の膜厚が約80μmとなるように、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略す)フィルム上に均一に流延した後、80℃の熱板上で3時間常圧乾燥した後、PETフィルムから剥離してフィルムを得た。作製したフィルムについて、以下の方法により耐電解液性を評価した。
(A)耐電解液性の評価
作製したフィルムを5×5cmでカットし100℃で30分間再乾燥した後、正確に重量を計り取り、500mlガラス製の瓶中約200mlの非水電解液溶媒エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=25/60/15(重量比)混合液に浸漬させ密栓した後、60℃の恒温槽中に1週間又は2週間保管する。次いで、フィルムを非水電解液中から取り出し、エチレンカーボネートで洗浄し、フィルム表面に付着した非水電解液を乾燥紙で拭い、質量変化を求める。非水電解液に対する膨潤度を次の式から算出した。膨潤度(%)=〔(浸漬後の質量−浸漬前の質量)/浸漬前の質量〕×100
対電解液性の評価結果を、「表1」に示す。
Figure 2010218793
<実施例2〜9>
炭化水素基を有するビニルエーテルとビニルエステル単位を有するモノマーの種類、変性量、鹸化度、重合度をそれぞれ「表1」に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして変性PVA樹脂バインダーを製造し、耐電解液性の評価を行った。評価結果を、「表1」に示す。
<比較例1〜4>
変性基の種類、変性量、鹸化度、重合度をそれぞれ「表2」に示すように変えた以外は、実施例1と同様にしてPVA樹脂バインダーを作成し、耐電解液性の評価を行った。評価結果を、「表2」に示す。
Figure 2010218793
<比較例5>
PVDFを樹脂バインダーとして12%となるようにNMPに溶解した溶液を、乾燥・熱処理後の膜厚が約80μmとなるように、PETフィルム上に均一に流延した後、150℃の熱板上で3時間常圧乾燥した後、PETフィルムから剥離してフィルムを得た。作製したフィルムの耐電解液性の評価結果を、「表2」に示す。
2.正極及び二次電池の製造と性能評価
実施例10〜20及び比較例6〜12では、実施例1〜9及び比較例1〜5で製造した樹脂バインダーを用いてスラリーを調製し、活物質の分散性を評価した。さらに、調製したスラリーを用いて正電極及びリチウム二次電池を作製し、合剤層の付着性、正極の鉛筆硬度、電池性能の評価を行った。
<実施例10>
実施例1で得た樹脂バインダー5部を水100部に溶解したものに、平均粒径D502μmのLiFePOを93.1部、導電助剤1.9部を混合し、スラリーを調製した。調製したスラリーについて、以下の方法により耐電解液性を評価した。
(B)分散性の評価
調製したスラリーを20μで正極集電体(アルミニウム箔)に塗工し、粗い粒子で塗工面に筋状の跡が付くものを「不良」、筋状の跡が付かないものを「良」、若干跡が付くものを「可」として、目視評価を行った。
次に、厚み20μmの正極集電体(アルミニウム箔)の両面に、調製したスラリーを合剤塗布量が片面ずつ140g/mとなるように塗布し、これを60℃で乾燥して合剤層を形成した。これをロールプレス機で合剤層の厚さが両面で148μmになるようにプレスし、54mm幅に切断して短冊状の合剤シートを作製した。合剤シートの端部にアルミニウム製の集電体タブを超音波溶着した後、残留溶媒や吸着水分といった揮発成分を完全に除去するため、120℃で14時間真空乾燥して正極を得た。作製した正極について、以下の方法により、合剤層の付着性と鉛筆強度を評価した。
(C)付着性の評価
作製した電極を用い、JIS K−5600に準じ、カット間隔2mmで格子パターン25マスのクロスカット法試験により、集電体と活物質間の付着性を評価した。評価は0〜5の6段階により行い、数字が少ないものほど結着性が良好であることを示す。
(D)鉛筆硬度の評価
作製した電極を用い、JIS K−5600−5−4に準じ、引っかき硬度(鉛筆法)を6Bから6Hの14段階で評価した。
続いて、作製した電極を用いてリチウム二次電池を作製した。負極活物質として人造黒鉛を98部、SBR/CMC系バインダー樹脂組成物を2部混合し、必要に応じて水を足しながら混練して負極合剤スラリーを調製した。
厚み10μmの集電体(銅箔)の両面に、負極合剤スラリーを合剤塗布量が片面ずつ70g/mとなるように塗布し、60℃で乾燥して合剤層を形成した。次いで、これをロールプレス機で銅箔負極集電体上に両面で90μmの負極活物質層となるように圧延し、56mm幅に切断して短細状の合剤シートを作製した。合剤シートの端部にニッケル製の集電体タブを超音波溶着した後、残留溶媒や吸着水分といった揮発成分を完全に除去するため、120℃で14時間真空乾燥して負極を得た。
得られた負極と正極とを組合せ、厚み25μm、幅60mmのポリエチレン微多孔膜セパレーターを介して捲回し、スパイラル状の捲回群を作製した後、これを電池缶に挿入し、予め負極集電体の銅箔に溶接しておいたニッケルタブ端子を電池缶底に溶接し、正極集電体のアルミニウム箔に溶接したアルミニウムタブ端子を蓋に溶接した。次いで、非水電解液(1Mの濃度で六フッ化リン酸リチウムを溶解したエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=25/60/15(重量比)混合液)を電池容器に5ml注入した後、この部分をかしめて密閉し、直径18mm、高さ65mmの円筒形のリチウム二次電池(3.4V−940mAh)を作製した。作製した二次電池について、以下の方法により電池性能を評価した。
(E)初回充放電効率の評価
作製した電池を、25℃において4.0V、0.2C(188mA)制限の定電流定電圧充電をした後、0.2Cの定電流で2.0Vまで放電した。このときの充電容量に対する放電容量を初回充放電効率とした。なお、1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。
(F)高率放電容量維持率の評価
次いで、放電電流を0.2C、1Cと変化させ、各放電電流に対する放電容量を測定した。各測定における回復充電は4.0V(1Cカット)の定電流定電圧充電を行った。そして、0.2C放電時に対する1C放電時の高率放電容量維持率を計算した。
(13)サイクル寿命の評価
環境温度25℃にて、充電電圧4.0V、1Cの定電流定電圧充電と、放電終止電圧2.0Vの1Cの定電流放電を行った。充電及び放電のサイクルを繰り返し行い、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の比率を求めてサイクル容量維持率とした。
合剤層の付着性、正極の鉛筆硬度、電池性能の評価結果を、「表3」に示す。
Figure 2010218793
<実施例11〜20>
樹脂バインダー種、各種正極剤の混合比をそれぞれ「表3」に示すように変えた以外は、実施例10と同様にしてスラリー、正極、2次電池を作成し、合剤層の付着性、正極の鉛筆硬度、電池性能の評価を行った。評価結果を、「表3」に示す。
<比較例6〜12>
樹脂バインダー種、溶媒種、各種正極剤の混合比をそれぞれ「表4」に示すように変えた以外は、実施例10と同様にしてスラリー、正極、2次電池を作成し、合剤層の付着性、正極の鉛筆硬度、電池性能の評価を行った。評価結果を、「表4」に示す。なお、比較例7と8では、スラリーを調製する際の活物質の分散性が悪く電池を作ることが出来なかった。
Figure 2010218793
「表3」及び「表4」に示すように、実施例に係る2次電池では、設計計算通りに85%程度の初回充放電効率が確保されている。また、高率放電容量維持率についても、すべて100%となり劣化はなかった。さらに、サイクル寿命についても、すべて90%以上となり劣化はなかった。
これに対して、比較例に係る2次電池では、比較例9,10,11で初回充放電効率の低下がみられた。比較例の9,10では、PVAの変性モノマーを含有しなかったり、モノマーがアクリルアミドであることより初充電中に電解液中のリチウムイオンと反応してリチウム酸化物や水酸化物を生成したり、またはプロトンとリチウムの置換反応により放電に関与できなくなって効率が低下したものと思われる。また、比較例11では、PVDFバインダーの添加量が少なく、正極合剤間またはアルミ箔集電体との密着性が低下して電極板としての電子伝導抵抗が増加した結果、正極の抵抗増大として放電時の容量が特に低下して効率が低下したものと考えられる。
また、比較例に係る2次電池では、比較例6,11で高率放電容量維持率の低下がみられた。比較例6,11では、PVAバインダーの鹸化度が低いために電解液による膨潤が多く、密着力低下による電極抵抗増加を誘起したためと、PVDFバインダー量が少ないために同様に電極抵抗増加を招いたことによって放電特性が低下したものといえる。
さらに、比較例に係る2次電池では、比較例6,9,10,11,12でサイクル寿命の低下がみられた。これは、鹸化度の低いPVAやPVDFの電解液の膨潤によって電解液が枯渇したこと、または密着性低下による電極抵抗増加を招いたことで容量劣化したためと考えられる。また、比較例9,10では、充放電サイクルとともにリチウム酸化物や水酸化物の抵抗被膜が正極材表面に生成し、結果として充放電出来にくくなったと考えられる。
以上の結果は、正極活物質としてオリビン形リン酸鉄リチウムを用いた場合以外に、マンガン系複合リチウム酸化物やコバルト複合酸化物、またニッケル系複合酸化物を用いた場合にも同様であった。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、製造工程上の問題が少ない。また、電池のエネルギー容量の低下が少なく、高電圧下で分解が起こり難いため、例えば電気自動車用等の大型リチウム電池として採用され得る。

Claims (6)

  1. リン酸鉄リチウムと導電材と樹脂バインダーとしての炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールとを含む混合物からなる正極合剤層が正極集電体上に積層されてなる正極と、負極と、セパレーターと、リチウム塩の支持電解質を含む非水溶媒と、を有するリチウムイオン二次電池。
  2. 炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールが、分子内に炭素数5〜30の炭化水素基を有するビニルエーテルと、ビニルエステル単位を有するモノマーとの共重合物であり、
    変性量がエステル単位100モル%に対して0.01〜10モル%、重合度が300〜5000、鹸化度が93〜99.99モル%であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 樹脂バインダーの量が、リン酸鉄リチウム100質量部に対して、2〜10質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 負極活物質が、リチウム金属、リチウム合金又はリチウムイオンを吸蔵及び放出し得る炭素質材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. リン酸鉄リチウムと導電材と樹脂バインダーとしての炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールと、を水中に溶解・分散させた分散溶液を、正極集電体上に塗布、乾燥し、正極合剤層を積層する工程を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. さらに、分子内に炭素数5〜30の炭化水素基を有するビニルエーテルと、ビニルエステル単位を有するモノマーとを共重合し、
    変性量がエステル単位100モル%に対して0.01〜10モル%、重合度が300〜5000の共重合物とし、
    鹸化触媒にて、鹸化度93〜99.99モル%となるようエステル単位を加水分解及び/又は加アルコール分解して、炭化水素ビニルエーテル変性ポリビニルアルコールを得る工程を含む請求項5記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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