JP2010184992A - スチールコード被覆用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

スチールコード被覆用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】空気入りタイヤなどの補強材料として用いられるゴム−スチールコード複合体を未加硫状態で保管した際のゴムの経時変化を抑制して加硫後の接着性の低下を抑えるとともに、剥離力を向上することができるスチールコード被覆用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対して、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドを0.3〜1.5重量部と、BET法による窒素吸着比表面積が20m/g以上の活性亜鉛華を5〜20重量部含有してなるスチールコード被覆用ゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、スチールコード被覆用ゴム組成物に関し、特に、空気入りタイヤのベルト、カーカス、チェーハー等のスチールコードを被覆するために好適に用いられるゴム組成物、及び、該ゴム組成物をスチールコードの被覆に用いた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ、特にラジアルタイヤでは、乗用車タイヤのベルト層、トラック・バス用など大型タイヤのベルト、カーカス、チェーハー層などの補強材としてスチールコードが多用されており、タイヤの使用期間が長期化する中、その補強効果を高め、耐久性を長期にわたり維持することが重要視されており、スチールコードを被覆するゴム組成物にはスチールコードとの優れた接着性が要求されている。
ゴム組成物とスチールコードとの接着性を向上させる手法としては、ゴム組成物に有機酸金属塩を配合したり、レゾルシン誘導体などのメチレン受容体とメラミン誘導体などのメチレン供与体を配合したりすることが知られている(下記特許文献1、2参照)。
一方、加硫促進剤としては、加硫速度が遅く、接着性能が良好なN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DZ)や、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ)などが用いられている(下記特許文献3参照)。
上記スチールコードはゴム圧延用のカレンダー装置を用いて、所定密度で平行配列された多数本のスチールコード両面をゴム被覆してなるトッピング反として使用されるのが一般的である。このトッピング反はポリエチレンシートや布製ライナーに巻き取り、中間材料として次工程に送られるまで保管されるが、未加硫状態のトッピング反を長期間保管すると、ゴム配合剤のブルームや湿度、温度などによる被覆ゴムの経時変化により、その加硫後の接着性が低下するという問題があり、たとえ保管中の温湿度を管理したとしても限界があった。そのため、経時変化が小さく安定した接着性を発現することができるゴム組成物が求められていた。
ところで、従来、比表面積の高い亜鉛華をゴム組成物に配合する技術が知られている。例えば、下記特許文献4には、カーカス層とベルト層との間のショルダー部に配されるクッションゴムに、硫黄分に対して所定量以上の亜鉛華を配合したゴム組成物を用いることが開示され、またその亜鉛華として、粒子が微細な活性亜鉛華を用いてもよい点が記載されている。しかしながら、この文献には、活性亜鉛華を用いることによる剥離力の向上効果については開示されていない。
特開2001−234140号公報 特開2005−255709号公報 特開2004−323662号公報 特開2008−037310号公報
本出願人は、加硫促進剤として上記従来のN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドに換えて、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドを用いることにより、未加硫状態で保管した際の接着性の低下を抑制できることを見出し、本願出願時に未公開の特願2007−218151にて提案している。
これにより、ゴム−スチールコード複合体を未加硫状態で保管した際のゴムの経時変化を抑制して、加硫後の接着性の低下を抑えることができたが、剥離力(接着力)が低下するデメリットがあることが判明した。
そこで、本発明は、空気入りタイヤなどの補強材料として用いられるゴム−スチールコード複合体を未加硫状態で保管した際のゴムの経時変化を抑制して加硫後の接着性の低下を抑えるとともに、剥離力を向上することができるスチールコード被覆用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るスチールコード被覆用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対して、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドを0.3〜1.5重量部と、BET法による窒素吸着比表面積が20m/g以上の活性亜鉛華を5〜20重量部含有してなるものである。
また、本発明に係る空気入りタイヤは、上記スチールコード被覆用ゴム組成物を、タイヤのベルト層、カーカス層、及びチェーハー層の少なくとも1つを補強するスチールコードの被覆ゴムに用いたものである。
本発明によれば、加硫促進剤としてN−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドを用い、かつ上記所定の比表面積を有する活性亜鉛華を配合することにより、未加硫状態で保管した際の経時変化を抑制して加硫後の接着性を改良することができるとともに、剥離力を向上することができ、これにより、耐久性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。また、未加硫状態でのゴム−スチールコード複合体の保管期間を延長できるので、工程性や生産性を損なうことがなく、材料の廃棄処理などの経費節減にも寄与することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係るゴム組成物においては、ゴム成分としてジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、及び/又はジエン系合成ゴムを用いることである。ジエン系合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)などが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか一種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。この中でも、伸長結晶化しやすく破壊特性に優れるNRを主成分とすることが好ましく、即ち、NR単独、又は、NR60重量%以上とジエン系合成ゴム40重量%以下とのブレンドを用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物には、加硫促進剤として、下記式(1)で表されるN−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミド(TBSI)が用いられる。
Figure 2010184992
N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドは遅効性の加硫促進作用をなすもので、ゴム組成物の経時変化による安定性を向上する効果がある。N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドとしては、例えば、フレキシス社から販売されている「サントキュアTBSI」が好適なものとして例示され、使用することができる。
前記N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドは、ジエン系ゴム成分100重量部に対して0.3〜1.5重量部配合することができる。0.3重量部未満ではゴム−スチールコード複合体の未加硫保管時の経時変化に基づく接着性低下を抑制する効果が不十分であり、加硫速度も遅くなる。また、1.5重量部を超えて配合すると、スコーチ性が悪化し焼けを生じやすくする。
本発明に係るゴム組成物には、BET法による窒素吸着比表面積が20m/g以上の活性亜鉛華が配合される。従来一般に使用されている亜鉛華は加硫促進助剤として作用するものであってBET法による窒素吸着比表面積が5m/g程度であるのに対し、20m/g以上の比表面積を有する微細な活性亜鉛華は接着性(剥離力)の向上にも寄与することができ、かかる活性亜鉛華を配合することで、上記特有の加硫促進剤による未加硫時の保管安定性効果を維持しつつ、加硫後の剥離力を向上することができる。窒素吸着比表面積は、40m/g以上であることがより好ましい。窒素吸着比表面積の上限は特に限定されないが、通常は120m/g以下である。BET法による窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2に準じて測定される。
上記活性亜鉛華の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して5〜20重量部である。5重量部未満では、加硫後の剥離力の向上効果が不十分であり、逆に、20重量部を超えると、十分なゴム強度が得られず、接着性が悪化する。
本発明のゴム組成物には、メチレン受容体とメチレン供与体を配合することができる。メチレン受容体の水酸基とメチレン供与体のメチレン基とが硬化反応することで、ゴムとスチールコードの接着性を高め、タイヤ走行に伴う負荷や発熱による接着性の劣化を抑制することができる。
メチレン受容体としては、フェノール類化合物、又はフェノール類化合物をホルムアルデヒドで縮合したフェノール系樹脂が用いられる。該フェノール類化合物としては、フェノール、レゾルシンまたはこれらのアルキル誘導体が含まれる。アルキル誘導体には、クレゾール、キシレノールといったメチル基誘導体の他、ノニルフェノール、オクチルフェノールといった比較的長鎖のアルキル基による誘導体が含まれる。フェノール類化合物は、アセチル基等のアシル基を置換基に含むものであってもよい。
また、フェノール類化合物をホルムアルデヒドで縮合したフェノール系樹脂には、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂(即ち、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、クレゾール樹脂(即ち、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂)等の他、複数のフェノール類化合物からなるホルムアルデヒド樹脂が含まれる。これらは、未硬化の樹脂であって、液状又は熱流動性を有するものが用いられる。
これらの中でも、ゴム成分や他の成分との相溶性、硬化後の樹脂の緻密さ及び信頼性の見地から、メチレン受容体としてはレゾルシン又はレゾルシン誘導体が好ましく、特には、レゾルシン、又はレゾルシン−アルキルフェノール−ホルマリン樹脂が好ましく用いられる。
これらメチレン受容体の配合量としては、ジエン系ゴム100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、より好ましく1〜4重量部である。
上記メチレン供与体としては、ヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体が用いられる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、メチロールメラミンの部分エーテル化物、メラミンとホルムアルデヒドとメタノールの縮合物等が用いられ、その中でもヘキサメトキシメチルメラミンが特に好ましい。
メチレン供与体の配合量としては、ジエン系ゴム100重量部に対して0.2〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8重量部である。
本発明に係るゴム組成物には、有機酸金属塩を配合してもよい。有機酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、ホウ酸コバルト、マレイン酸コバルトなどの有機酸コバルト塩の他に、有機酸ニッケル塩、有機酸モリブデン塩などが挙げられ、この中でも加工性の点からナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトが特に好ましい。
有機酸金属塩の配合量としては、ジエン系ゴム100重量部に対し、金属分換算で0.03〜1.0重量部であることが好ましい。0.03重量部未満であると初期接着性向上の効果が小さく、逆に、1.0重量部を超えると加硫速度が速くなり初期接着性が悪化し、また酸化促進作用が大きくなり耐湿熱接着や熱老化性が低下するようになる。
本発明に係るゴム組成物には、補強剤としてカーボンブラック、シリカなどのフィラーを配合することができる。
前記カーボンブラックとしては、特に制限されることはなく、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF級のカーボンブラックが使用でき、それらの2種以上をブレンド使用してもよい。カーボンブラックの配合量は、特に限定されないが、ジエン系ゴム100重量部に対し20〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは40〜80重量部である。
前記シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、表面処理シリカなどが挙げられる。シリカを配合する場合、その配合量は、特に限定しないが、ジエン系ゴム100重量部に対し40重量部以下であることが好ましく、より好ましくは20重量部以下である。
本発明に係るゴム組成物には、加硫剤としての硫黄が通常配合される。硫黄の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8重量部である。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、オイル処理硫黄などが挙げられ、特に限定されない。
本発明のゴム組成物において、加硫促進剤としては、上記N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドを単独で用いてもよく、あるいは他の加硫促進剤を併用してもよい。併用する加硫促進剤は、特に限定されず、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤を挙げることができる。
スルフェンアミド系加硫促進剤を併用する場合、加硫促進剤の合計量はゴム成分100重量部に対して0.5〜1.5重量部が好ましい。該合計量が1.5重量部を超えるとゴム加工工程や保管中にスコーチしたり、加硫速度が速くなりめっき表面の反応層が厚く生成し耐湿熱接着性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、この場合、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドの含有率がスルフェンアミド系加硫促進剤との合計量の50重量%以上を占めることが好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤が多くなりすぎると保管時の接着性低下の抑制効果が低下する。
なお、上記スルフェンアミド加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ、JIS略号:CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(NS、JIS略号:BBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DPBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DZ、JIS略号:DCBS)等を挙げることができる。
本発明に係るゴム組成物には、上記各成分の他、スチールコード被覆用ゴム組成物に一般に配合される各種配合剤を任意に配合することができる。そのような配合剤としては、例えば、ステアリン酸、ワックス、オイル、老化防止剤、加工助剤などが挙げられ、本発明の目的に反しない範囲で適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダなどの混合機を用いて混練し作製することができ、各種スチールコードを被覆するためのゴム組成物として用いることができる。特には、空気入りタイヤのベルト層、カーカス層、チェーハー層などの補強材として使用されるスチールコードの被覆(トッピング)ゴムとして好ましく用いられ、常法に従いスチールカレンダーなどのトッピング装置によりスチールコードトッピング反を製造し、これをタイヤ補強部材として用いて、常法に従い成形加硫することにより空気入りラジアルタイヤを製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記表1に記載の配合に従って、実施例及び比較例の各ゴム組成物を、密閉式バンバリーミキサーを用いて、常法に従い混練し調製した。表1の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3、
・カーボンブラック:HAF、東海カーボン(株)製「シースト300」、
・老化防止剤:フレキシス社製「サントフレックス6PPD」
・ステアリン酸コバルト:(株)ジャパンエナジー製「ステアリン酸コバルト」(Co含有率9.5重量%)、
・フェノール系樹脂:レゾルシン−アルキルフェノール−ホルマリン樹脂、田岡化学(株)「スミカノール620」、
・ヘキサメトキシメチルメラミン:三井サイテック(株)「サイレッツ963L」。
・亜鉛華3号:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華3号」(BET法による窒素吸着比表面積=5m/g)、
・活性亜鉛華A:井上石灰工業(株)製「METAZ−102」(BET法による窒素吸着比表面積=25m/g)、
・活性亜鉛華B:ランクセス社製「Zinkoxyd aktiv」(BET法による窒素吸着比表面積=45m/g)、
・活性亜鉛華C:正同化学工業(株)製「AZO」(BET法による窒素吸着比表面積=60m/g)。
・不溶性硫黄:フレキシス社製「ミュークロンHS OT−20」(80重量%が硫黄分)、
・加硫促進剤DZ:N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDZ−G」、
・加硫促進剤NS:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−P」、
・加硫促進剤TBSI:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミド、フレキシス社製「サントキュアTBSI」。
得られた各ゴム組成物を用いて、ゴム−スチールコード複合体の未加硫試料を作製した。詳細には、ベルト用スチールコード(3×0.20+6×0.35mm構造、銅/亜鉛=64/36、付着量5g/kgの真鍮めっき)を12本/25mmの打ち込み密度で平行配列したものの両面を、上記各ゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを用いて被覆し、この2枚をコードが平行になるように積層した剥離接着試験用の未加硫試料を作製した。得られた未加硫試料を用いて、初期接着性と初期剥離力と未加硫保管後接着性を下記方法により評価した。結果を表1に示す。
[初期接着性]
上記未加硫試料を作製後、室温にて24時間放置した後、150℃×30分の条件で加硫し、島津製作所(株)製オートグラフ「DCS500」を用いて2層のスチールコード間の剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察し、0〜100%で評価した。数値が大きいほど初期接着性が良好である。
[初期剥離力]
上記初期接着性の測定時における幅25mm当たりの平均剥離力を求め、比較例1の値を100とした指数で表示した。数値が大きいほど剥離力が高く良好である。
[未加硫保管後接着性]
上記未加硫試料を作製後、40℃×95%RHの恒温恒湿槽中に7日間放置した後、150℃×30分の条件で加硫し、上記と同様、島津製作所(株)製オートグラフ「DCS500」を用いて剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察した。数値が大ほど未加硫保管時の接着安定性が良好である。
Figure 2010184992
結果は表1に示す通りであり、比較例3では、加硫促進剤としてTBSIを用いたことにより、DZを用いた比較例1やNSを用いた比較例2に対して未加硫保管時の接着安定性は改善されたものの、比較例1に比べて初期剥離力が低下していた。
また、亜鉛華につき、従来一般的な亜鉛華3号を活性亜鉛華に代えたものの、加硫促進剤としてDZやNSを用いた比較例4,5では、初期剥離力の向上効果は認められたものの、未加硫保管時の接着安定性は改善されなかった。
これに対し、加硫促進剤としてTBSIとともに、活性亜鉛華を組み合わせた実施例1〜5であると、比較例1に対し、初期接着性を維持し、また未加硫保管時の接着安定性を改善しながら、初期剥離力を大幅に向上することができた。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物は、空気入りタイヤの補強材であるスチールコード被覆用ゴムとして有用であり、このゴム組成物を用いたゴム−スチールコード複合体は、乗用車用タイヤのベルト層、トラック・バス用などの大型タイヤのベルト、カーカス、チェーハー層などに使用することができる。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対して、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミドを0.3〜1.5重量部と、BET法による窒素吸着比表面積が20m/g以上の活性亜鉛華を5〜20重量部含有してなるスチールコード被覆用ゴム組成物。
  2. 前記ジエン系ゴム100重量部に対して、メチレン受容体を1〜10重量部と、メチレン供与体を0.2〜20重量部と、有機酸金属塩を金属分換算で0.03〜1.0重量部含有する、請求項1記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2記載のスチールコード被覆用ゴム組成物を、タイヤのベルト層、カーカス層、及びチェーハー層の少なくとも1つを補強するスチールコードの被覆ゴムに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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