JP2005132865A - 無機系補強剤配合ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 無機系補強剤を配合したゴム組成物において、酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、または、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成して得られるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛を、この無機系補強剤として配合する。かかる強化性酸化亜鉛配合ゴム組成物を成型、加硫して得られるゴム硬化体は、通常の酸化亜鉛を配合した場合に比較してモジュラスが110%以上、強度が150%以上、硬度が110%以上向上する。
【選択図】 なし
Description
カーボンブラック等カーボンブラック系材料は、ゴムの補強剤(補強性充填剤)の中で、最も重要かつ普遍的なものであって、これを配合することにより、ゴム製品のモジュラス、強度及び硬度を、大幅に向上させることができる。しかしながら、カーボンブラックを大量に配合することにより、モジュラスを上げて行けば、硬度も上がるが、ゴムの種類によっては、少ないカーボンブラックの配合部数の時点から、強度の低下現象が生じるという問題がある。
一方、炭酸カルシウム、タルク、クレーや、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウムなどのシリカ系の増量剤(充填剤)においては、カーボンブラック系補強剤につぐ補強性を付与することが可能であり、モジュラスと硬度をある程度向上させることができるものの、強度の低下が著しいため、無水ケイ酸等を単独で使用することは実際的ではない。
従来から、酸化亜鉛は、ゴム基材に対し、しばしば少量添加され使用されている(非特許文献1参照。)。例えば、ゴムの基礎配合処方においては、3〜6PHR程度配合されているが、これは、加硫促進助剤(加硫促進剤(例えば、グアニジン、チオウレア、ヂチオカルバミン酸塩等)をさらに活性化し、加硫を促進する助剤)としての使用であって、ステアリン酸等の脂肪酸系加硫促進助剤とともに、用いられている(例えば、特許文献3、特許文献4を参照。)。
無機系補強剤を配合したゴム組成物において、酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛を、当該無機系補強剤として配合することを特徴とする配合ゴム組成物。
無機系補強剤として、更に、カーボンブラック系充填剤及び/又はシリカ系充填剤を配合した〔1〕項に記載の配合ゴム組成物。
強化性酸化亜鉛を、基材ゴム100質量部に対し、5〜200質量部配合する〔1〕項又は〔2〕項に記載の配合ゴム組成物。
また、本発明に従えば、以下のゴム硬化体が提供される。
〔1〕項〜〔3〕項のいずれかに記載の強化性酸化亜鉛配合ゴム組成物を成型、加硫してなるゴム硬化体であって、当該硬化体の強度は、前記配合ゴム組成において、通常の酸化亜鉛、特にはJIS 1種〜3種のいずれかに規定する酸化亜鉛を、前記強化性酸化亜鉛に換えて同量配合して成型、加硫してなるゴム硬化体に比較して、モジュラスが110%以上、強度が150%以上、硬度が110%以上向上したものであることを特徴とするゴム硬化体。
〔5〕
酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛からなることを特徴とするゴム配合用無機系補強剤。
本発明において使用できる基体ゴムとしては、特に限定するものではなく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・クロロプレンゴム(SCR)、スチレン・イソプレンゴム(SIR)、ビニルピリジン・ブタジエンゴム(PBR)、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴム(PSBR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(アクリルニトリル−ブタジエンゴム)(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM,EPR、EPDB、EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM,ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム(Q)、メチルシリコーンゴム(MQ)、ビニル−メチルシリコーンゴム(VMQ)、フェニル−メチルシリコーンゴム(PMQ)、多硫化ゴム(T)、ポリスルフィドゴム(EQT)、ウレタンゴム(U)、ポリエーテルウレタンゴム(EU)、ポリエステルウレタンゴム(AU)、フッ素ゴム(FKM)等が好ましいものとして挙げられる。これらは、単独で又は二種以上のブレンドゴムとして使用することができる。
本発明においては、上記した基材ゴムに、酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成したBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛を、当該無機系補強剤として配合するものである。
なお、上記BET値に対応する強化性酸化亜鉛の1次粒子の粒径は、0.011〜0.054μm、好ましくは0.013〜0.054μm程度である。
(i)酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成したBET比表面積が20〜100m2/gのものであるか、または、
(ii)酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩に、ドーパントを添加してから、単純に焼成するか、若しくは、還元性雰囲気下に還元焼成したBET比表面積が20〜100m2/gのものである。
本発明で用いられる強化性酸化亜鉛の製法は特に限定されるものではなく、比表面積が20〜100 m2/g、好ましくは20〜80m2/g の強化性酸化亜鉛が得られる方法であれば、酸化亜鉛または分解性亜鉛塩を原料とする、いかなる方法も用いられうるが、実施する場合は下記の方法が好ましい。
を出発原料とし、これにドーパントの添加を行わない場合は、単純焼成は好ましくなく、水素還元雰囲気で300〜1200℃、好ましくは350〜900℃程度の温度で0.1〜6時間、好ましくは0.5〜5時間程還元焼成することが望ましい。
本発明においては基材ゴムに配合する補強剤として強化性酸化亜鉛を使用するが、当該強化性酸化亜鉛とともに、従来から常用されているカーボンブラック系補強剤(補強性充填剤)またはシリカ等の充填剤を併用してもよい。
混練後における配合ゴム組成物は、タイヤやホース、シート、ベルト、ロール等の目的に応じた製品の形態に加工される。通常、シート状の加工製品は、カレンダー加工又はロールシート加工によって行われ、平板、シート、チューブ、丸棒(ロール)、複雑な形状の製品等は、押出成形加工により行われる。
以下、実施例により本発明を説明する。 但し、これらは単なる実施の態様の一例であり、本発明の技術的範囲がこれらにより何ら限定的に解釈されるものではない。
(なお、表中で「PHR」とあるのは、基材ゴム100部当たりの強化性酸化亜鉛の配合部を示す。以下、同じ。)
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
フランス法により得られた酸化亜鉛の33%水分散液1に対し、炭酸アンモニウム6%水溶液に、硫酸アルミニウム10%水溶液を10:1の割合で加え混合したもの2、の割り合いで添加し、60℃に加温し、1時間撹拌し、分散、ドープし、その後ろ過、水洗、乾燥を行い800℃で1時間水素雰囲気で焼成し、酸化亜鉛(BET値:4 m2/g)を得た。(以下当該酸化亜鉛を「23ーK」と称することがある。)この酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様な実験を行った。
結果を表1に示す。
フランス法により得られた酸化亜鉛(BET値:4 m2/g)(以下、当該酸化亜鉛を「ZnO」と称することがある。)を使用したほかは、実施例1と同様な実験を行った。
結果を表1に示す。当該酸化亜鉛は、JIS 2種の酸化亜鉛に該当するものである。
実施例2と同様の、亜鉛塩溶液とソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を反応させ沈殿させた塩基性炭酸亜鉛を、アルミニウムのドープ処理を行うことなく、水洗、乾燥後、450℃で120分で単純に焼成して得た酸化亜鉛(BET値:58 m2/g)(以下、当該酸化亜鉛を「AZO」と称することがある。)を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、基材ゴムに強化性酸化亜鉛を配合しないほかは、実施例1と同様の配合ゴム組成物を得、これを成型加硫せしめて硬化体を作成し、同様の試験を行った。
まず、本発明で規定する強化性酸化亜鉛や従来公知の酸化亜鉛がゴムに配合された加硫物(硬化体)は、比較例4の酸化亜鉛を配合しない加硫物(硬化体)に比較して、300%モジュラス、強度、硬度が高いことが理解される。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
結果を表3に示す。
結果を表3に示す。
結果を表3に示す。
結果を表4に示す。
結果を表4に示す。
結果を表4に示す。
実施例15において、基材ゴムに強化性酸化亜鉛並びにZnOを配合しないほかは、実施例15と同様な実験を行った。
結果を表4に示す。
結果を表5に示す。
結果を表5に示す。
結果を表5に示す。
実施例18において、強化性酸化亜鉛、並びにZnOを配合しないほかは、実施例18と同様な実験を行った。
結果を表5に示す。
Claims (5)
- 無機系補強剤を配合したゴム組成物において、酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛を、当該無機系補強剤として配合することを特徴とする配合ゴム組成物。
- 無機系補強剤として、更に、カーボンブラック系充填剤及び/又はシリカ系充填剤を配合した請求項1に記載の配合ゴム組成物。
- 強化性酸化亜鉛を、基材ゴム100質量部に対し、5〜200質量部配合する請求項1又は2に記載の配合ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の強化性酸化亜鉛配合ゴム組成物を成型、加硫してなるゴム硬化体であって、当該硬化体の強度は、前記配合ゴム組成において、JIS 1種〜3種のいずれかに規定する酸化亜鉛を、前記強化性酸化亜鉛に換えて同量配合して成型、加硫してなるゴム硬化体に比較して、モジュラスが110%以上、強度が150%以上、硬度が110%以上向上したものであることを特徴とするゴム硬化体。
- 酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛からなることを特徴とするゴム配合用無機系補強剤。
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