JP4522689B2 - 無機系補強剤配合ゴム組成物 - Google Patents

無機系補強剤配合ゴム組成物 Download PDF

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本発明は、強化性酸化亜鉛を配合した配合ゴム組成物に関し、より詳しくは高いモジュラス、強度及び硬度を有するゴム硬化体を、成型、加硫することにより形成することが可能なゴム組成物、及び当該組成物を成型、加硫して得られる、高い強度等を有するゴム硬化体に関する。
通常、天然ゴムや一般の合成ゴムでは、引張り応力(モジュラス)、引張り破断強度(以下単に「強度」と称することがある。)、硬度等の機械的強度が乏しくそのままでは実用に耐えないため、いわゆる補強剤や充填剤を配合し、硫黄や過酸化物を加硫剤として用い加硫してゴム製品を得ている。
ゴムに、必要なモジュラスや強度を与える場合、一般的には、カーボンブラック等のカーボンブラック系補強剤を使用し、又、硬度の向上には、カーボンブラック及び増量剤である炭酸カルシウムなどの無機系材料が添加されている。
特に、タイヤやベルト、ホース、ロール、シートなど広範囲の産業分野で使用されるゴム製品においては、省資源、省エネルギー、環境保護等の観点から、これらゴム製品の軽量化、耐熱性、放熱性や製品寿命の向上及び寸法の安定性が強く求められている。
こうした特性の改善には、とりわけ、モジュラス、強度及び硬度の向上が不可欠であり、これらの特性において、より優れた特徴を有するゴム材料を創出することは、今、きわめて重要な意義を有するのである。
(カーボンブラック系材料の問題点)
カーボンブラック等カーボンブラック系材料は、ゴムの補強剤(補強性充填剤)の中で、最も重要かつ普遍的なものであって、これを配合することにより、ゴム製品のモジュラス、強度及び硬度を、大幅に向上させることができる。しかしながら、カーボンブラックを大量に配合することにより、モジュラスを上げて行けば、硬度も上がるが、ゴムの種類によっては、少ないカーボンブラックの配合部数の時点から、強度の低下現象が生じるという問題がある。
しかも、通常のゴム配合組成の混練り操作を行う、練り機(バンバリーミキサー、ニーダー、ロール機)では、この混練り作業中に、配合したカーボンブラックの分散が極度に困難になり、電力負荷の増大、ロール上での巻き付き、発熱等の問題が惹起し混練が困難になるため、実際上、基材ゴムに配合できるカーボンブラックの量は、せいぜい50〜60PHR程度であり、従って、より高いモジュラス、強度、硬度を得ることは難しい(例えば、特許文献1〜特許文献2参照。)。
その上、云うまでもなく、カーボンブラックは黒色であるため、これが配合されたゴム組成物は暗黒色であり、得られるゴム製品は、黒一色となり、赤、青、白、黄色等の色彩を付与する自由度は全く存在しない。
(増量剤系の問題)
一方、炭酸カルシウム、タルク、クレーや、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウムなどのシリカ系の増量剤(充填剤)においては、カーボンブラック系補強剤につぐ補強性を付与することが可能であり、モジュラスと硬度をある程度向上させることができるものの、強度の低下が著しいため、無水ケイ酸等を単独で使用することは実際的ではない。
従って、通常は、カーボンブラック系補強剤とシリカ系の増量剤等を併用することが行われている。
(従来における酸化亜鉛の使用)
従来から、酸化亜鉛は、ゴム基材に対し、しばしば少量添加され使用されている(非特許文献1参照。)。例えば、ゴムの基礎配合処方においては、3〜6PHR程度配合されているが、これは、加硫促進助剤(加硫促進剤(例えば、グアニジン、チオウレア、ヂチオカルバミン酸塩等)をさらに活性化し、加硫を促進する助剤)としての使用であって、ステアリン酸等の脂肪酸系加硫促進助剤とともに、用いられている(例えば、特許文献3、特許文献4を参照。)。
なお、その他、従来から酸化亜鉛は、補強助剤に分類されており、それ自体でもある程度モジュラス、強度、硬度の向上作用を奏するとされているが、実際は硬度が上がるにつれて強度が低下するなど、大きな限界があった。
さらに酸化亜鉛に、酸化アルミニウムや酸化チタンをドープした導電性酸化亜鉛は、合成樹脂等の帯電防止剤として使用されている(例えば、特許文献5を参照。)。
日本ゴム協会編,「ゴム技術の基礎」,第1版,日本ゴム協会発行,1989年4月,p.97,p.109−113,p.119,p.206−210 特開平5−98081、〔0002〕 特開2001−26679、〔0003〕 特開平5−222245、〔0002〕〜〔0003〕 特開2003−277558、〔0002〕 特公昭62−41171、特許請求の範囲第1〜7項、第2欄、第9行〜16行
本発明の目的は、従来の最も代表的なカーボンブラック系補強剤を実質的に使用することなく、高いモジュラス、強度及び硬度を有するゴム硬化体を、成型、加硫することにより形成することが可能なゴム組成物を提供すること、及び、当該ゴム組成物を成型、加硫して得られる、高い強度等を有するゴム硬化体を提供することである。
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、特定の処理操作により得られた酸化亜鉛は、意外なことに、これを基材ゴムに配合して、成型、加硫した場合、ゴム硬化体の強度等を予想以上に向上させることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされるに至ったものである。
本発明に従えば、以下の配合ゴム組成物が提供される。
〔1〕
無機系補強剤を配合したゴム組成物において、酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛を、当該無機系補強剤として配合することを特徴とする配合ゴム組成物。
〔2〕
無機系補強剤として、更に、カーボンブラック系充填剤及び/又はシリカ系充填剤を配合した〔1〕項に記載の配合ゴム組成物。
〔3〕
強化性酸化亜鉛を、基材ゴム100質量部に対し、5〜200質量部配合する〔1〕項又は〔2〕項に記載の配合ゴム組成物。
また、本発明に従えば、以下のゴム硬化体が提供される。
〔4〕
〔1〕項〜〔3〕項のいずれかに記載の強化性酸化亜鉛配合ゴム組成物を成型、加硫してなるゴム硬化体であって、当該硬化体の強度は、前記配合ゴム組成において、通常の酸化亜鉛、特にはJIS 1種〜3種のいずれかに規定する酸化亜鉛を、前記強化性酸化亜鉛に換えて同量配合して成型、加硫してなるゴム硬化体に比較して、モジュラスが110%以上、強度が150%以上、硬度が110%以上向上したものであることを特徴とするゴム硬化体。
さらに本発明に従えば、以下のゴム配合用無機系補強剤が提供される。
〔5〕
酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛からなることを特徴とするゴム配合用無機系補強剤。
本発明における強化性酸化亜鉛を配合した配合ゴム組成物は、これを、通常の酸化亜鉛を配合する場合と、実質的に同様の配合方法、練り、成型加工法等で処理してゴム硬化体を得ているのにかかわらず、通常の酸化亜鉛を使用した場合に比較して、遥かに高いモジュラス、強度、硬度を有する硬化体が得られる。
(基材ゴム)
本発明において使用できる基体ゴムとしては、特に限定するものではなく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・クロロプレンゴム(SCR)、スチレン・イソプレンゴム(SIR)、ビニルピリジン・ブタジエンゴム(PBR)、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴム(PSBR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(アクリルニトリル−ブタジエンゴム)(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM,EPR、EPDB、EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM,ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム(Q)、メチルシリコーンゴム(MQ)、ビニル−メチルシリコーンゴム(VMQ)、フェニル−メチルシリコーンゴム(PMQ)、多硫化ゴム(T)、ポリスルフィドゴム(EQT)、ウレタンゴム(U)、ポリエーテルウレタンゴム(EU)、ポリエステルウレタンゴム(AU)、フッ素ゴム(FKM)等が好ましいものとして挙げられる。これらは、単独で又は二種以上のブレンドゴムとして使用することができる。
(強化性酸化亜鉛)
本発明においては、上記した基材ゴムに、酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成するか、もしくは、これらにドーパントを添加して焼成又は還元焼成したBET比表面積が20〜100m2/gの強化性酸化亜鉛を、当該無機系補強剤として配合するものである。
当該酸化亜鉛としては、BET値が20〜100m2 /g、より好ましくは20〜80m2 /gの微粉末状のものが望ましい。BET値が20m2 /gよりあまり小さくなると、基材ゴムに配合した場合、硬化体のモジュラス、強度及び硬度が充分高くならない。また、BET値は大きい方が好ましいが、現実には、100m2 /gより大きいものは、現在の技術では収率高く製造することは困難であり、製造コストが高くなり実用的でない。よって、BET値20〜80m2 /gのものがより好ましい。
本発明におけるBET値とは、公知のBET法により測定された比表面積の値である。
なお、上記BET値に対応する強化性酸化亜鉛の1次粒子の粒径は、0.011〜0.054μm、好ましくは0.013〜0.054μm程度である。
本発明における強化性酸化亜鉛は、
(i)酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成したBET比表面積が20〜100m2/gのものであるか、または、
(ii)酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩に、ドーパントを添加してから、単純に焼成するか、若しくは、還元性雰囲気下に還元焼成したBET比表面積が20〜100m2/gのものである。
ここで規定した(i)、(ii)の範囲外の条件で調製された酸化亜鉛では、後記実施例、比較例において示されているように、そのゴム硬化体の強度等の向上効果を、充分奏することは出来ないのである。
例えば、BET値が上記範囲よりも小さい酸化亜鉛については、これが出発原料である酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩にドーパントを添加してさらに還元焼成して得られたものであっても、所望の効果は奏されず、また、BET値が上記規定内であっても、これが酸化亜鉛または分解性亜鉛塩を、ドーパントを添加することなく、そのまま単純に焼成して得られた酸化亜鉛では、本発明の強度等の向上効果を奏することはできないのである。
(強化性酸化亜鉛の調製)
本発明で用いられる強化性酸化亜鉛の製法は特に限定されるものではなく、比表面積が20〜100 m2/g、好ましくは20〜80m2/g の強化性酸化亜鉛が得られる方法であれば、酸化亜鉛または分解性亜鉛塩を原料とする、いかなる方法も用いられうるが、実施する場合は下記の方法が好ましい。
原料の酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩としては、例えば、亜鉛を溶融、蒸発させ気相で酸化して酸化亜鉛とするフランス法、亜鉛鉱石を仮焼・コークス還元・酸化して酸化亜鉛とするアメリカ法、亜鉛塩溶液にソーダ灰を加え(この逆でも良い)て塩基性炭酸亜鉛等の分解性亜鉛塩を沈殿させたスラリー状のもの、又は乾燥したもの、さらにはこれを仮焼して酸化亜鉛とする湿式法等のいずれでもよいが、比表面積が上記範囲のものであることが好ましい。
これらの一般的な製造方法等により製造された原料である酸化亜鉛微粒子を、例えば特公昭62ー41171号に開示されているようにして、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩及びドーパントであるアルミニウムやチタンの水溶性塩等を含む水溶液中に投入・分散処理し、ドーパントが添加された生成ケーキを水洗・乾燥した後、水素還元雰囲気で300〜1200℃、好ましくは350〜900℃程度の温度で0.1〜6時間、好ましくは1〜5時間程還元焼成するのである。または、通常の空気等の酸化性雰囲気下で300〜1200℃、好ましくは350〜900℃程度の温度で0.1〜6時間、好ましくは0.5〜5時間焼成(これを還元焼成に対し「単純焼成」と称することがある。)してもよい。
または、原料である塩基性炭酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、塩化アンモニウム亜鉛等の分解性亜鉛塩のスラリーを含む溶液に、ドーパントであるアルミニウムやチタンの水溶性塩等を投入・分散処理し、ドーパントが添加された生ケーキを水洗・乾燥し、300〜1200℃、好ましくは350〜900℃程度の温度で0.1〜6時間、好ましくは0.5〜5時間程還元焼成するか、または単純焼成してもよい。
なお、上記一般的な製造方法等で製造された酸化亜鉛微粒子や塩基性炭酸亜鉛等
を出発原料とし、これにドーパントの添加を行わない場合は、単純焼成は好ましくなく、水素還元雰囲気で300〜1200℃、好ましくは350〜900℃程度の温度で0.1〜6時間、好ましくは0.5〜5時間程還元焼成することが望ましい。
上記ドーパントの添加操作は、上記したように、ドープされるべき酸化亜鉛等を、ドーパントであるアルミニウム等の水溶性塩(硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等)の0.1%〜10%溶液、好ましくは0.5%〜4%溶液。さらに好ましくは1%〜3%溶液に、5〜30%を添加し、浸漬し、液温5〜50℃、好ましくは15〜35℃程度の温度で、0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、さらに好ましくは1.5〜3時間程度ドープさせることにより行われる。なお、撹拌下に当該浸漬を行うことはより好ましい。
かくして、ドーパント添加を行った場合の強化性酸化亜鉛は、当該酸化亜鉛の結晶格子中に、ドーパントである、Al3+、Ga3+、In3+、Ti4+、Sn4+などがドーピングされているものである。これらドーパントは、酸化亜鉛中、通常0.01〜5%、好ましくは0.1〜1%、さらに好ましくは0.2〜0.5%程度である。なお、ドーパントとしては、ドーピング性能及びコストの面で、アルミニウムが最も好ましい。
本発明において、強化性酸化亜鉛は微粒子状のものであるが、その形状は、球状、燐片状、薄片状、板状、破砕状、不定形状、柱状、針状等のいずれであっても構わない。
強化性酸化亜鉛は、基材ゴム100質量部に対し、1〜400質量部、好ましくは5〜200質量部、さらに好ましくは5〜150質量部配合する事が望ましい。
(他の補強剤)
本発明においては基材ゴムに配合する補強剤として強化性酸化亜鉛を使用するが、当該強化性酸化亜鉛とともに、従来から常用されているカーボンブラック系補強剤(補強性充填剤)またはシリカ等の充填剤を併用してもよい。
カーボンブラック系補強剤としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、フレームブラック、アセチレンブラック、アークブラック、CKHブラック等のいずれであっても構わないが、ファーネスブラックが最も好ましい。なお、例えば、ASTM D 1765−67には、カーボンブラックの種々の物性とともに、多数のカーボンブラックがASTMコードを付与されて登録されているので、所望の物性のものを選択、配合することができる。
また、シリカ系充填剤は、カーボンブラックに次ぐ補強性を有するもので、例えば、無水ケイ酸(シリカ)、含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が使用可能である。さらにその他、カオリナイト、クレー、ケイ藻土、ハロサイト等のカオリン、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ等も使用することができる。
これらカーボンブラックやシリカ(沈降シリカ、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)等いずれでもよい。)などの補強性充填剤等を本発明の強化性酸化亜鉛と併用する場合は、強化性酸化亜鉛100質量部に対し、50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下であることが好ましい。
基材ゴムには、本発明の強化性酸化亜鉛とともに、常法に従って、ゴム薬品が配合される。かかるゴム薬品としては、通常のゴムの配合剤が好適に使用され、例えば加硫剤(硬化剤)、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、増量剤、着色剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、難燃剤等があげられる。
ここで加硫剤としては、従来公知の例えば硫黄、無機系硫黄化合物、有機系硫黄化合物、無機系過酸化物、有機系過酸化物、金属酸化物が用いられ、特に硫黄又は硫黄化合物を用いた場合は、架橋反応が安定、かつ、強固に進み、モジュラス、強度、硬度をより向上させることができるため好ましい。これらの添加量は、基材ゴム100部に対して0.1〜5質量部程度である。
基材ゴムには、本発明で規定する強化性酸化亜鉛及び種々のゴム薬品が配合されて混練され、配合ゴム組成物(コンパウンド)が形成される。具体的には、当該混練は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス、ロール機等従来公知の装置において、基材ゴム、強化性酸化亜鉛及び所望のゴム薬品を投入して行われる。
(成形・加硫)
混練後における配合ゴム組成物は、タイヤやホース、シート、ベルト、ロール等の目的に応じた製品の形態に加工される。通常、シート状の加工製品は、カレンダー加工又はロールシート加工によって行われ、平板、シート、チューブ、丸棒(ロール)、複雑な形状の製品等は、押出成形加工により行われる。
上記のごとくしてカレンダー、ロール、押出加工等により得られた当該配合ゴム成形体を、硫黄等の架橋剤の存在下で加熱して架橋を起こさしめることにより、実質的な弾性体であるゴム製品(硬化体)が得られる。
加硫装置は、配合ゴム成形体を収容することのできる加熱装置又は加熱加圧装置であることが好ましく、ゴム製品の形状に応じてそれぞれ適当な装置が使用され、例えばゴム製品がタイヤである場合は、バッグオマチックプレスやオートクレーブが、ロール状製品等では加硫缶が、シートやベルト製品では、連続加硫機がそれぞれ代表的なものとして使用される。
このようにして、選択した加熱装置又は加熱加圧装置に、当該配合ゴム成形体をセットし、水蒸気、熱風、赤外線、電気、マイクロ波等の加熱源で加熱すればよい。
加硫温度は、基材ゴムや加硫剤等の種類によって変りうるが、通常120〜200℃程度である。また、加硫時間は通常キュラストメーターやレオメーターと言った測定器で、時間に対するトルク変化を元にして計算された時間をもって決定しているが、通常は5〜60分程度である。
なお、複雑な形状の製品、又は複雑な成型体の製品である場合は、金型を使用したり、直接金型の中空部(キャビティ)に配合ゴム組成物を流し込み、型付けした状態で加硫する。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を説明する。 但し、これらは単なる実施の態様の一例であり、本発明の技術的範囲がこれらにより何ら限定的に解釈されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例において、部は質量部を示し、硬化体のモジュラス、強度、硬度は、以下の様にして測定した。
(a)モジュラス(300%モジュラス)と強度は、JIS K6251に準じて、3号ダンベル状試験片を上島製作所社製の引っ張り試験機(TS−2540)で測定して、求めた。
(b)硬度は、JIS K6253(ISO048)に従い、スプリング硬さ(Hs)A型のデュロメーターを使用して測定した。
(1)強化性酸化亜鉛として、フランス法により得られた酸化亜鉛を水に分散させて二酸化炭素ガスを吹き込んで生成させた塩基性炭酸亜鉛粒子を電気炉中で350℃で3時間加熱分解させて得た酸化亜鉛原体をベースとし、これをアルミニウムの水溶性塩(硫酸アルミニウム)の3%水溶液中に投入して50℃で2時間撹拌、分散処理して、当該アルミニウム塩を酸化亜鉛原体中にドープせしめ、生成ケーキを水洗、乾燥後、水素雰囲気下に350℃で120分還元焼成して強化性酸化亜鉛(BET値:56 m2/g)を得た(以下、当該強化性酸化亜鉛を「CR」と称することがある。)。
(2)基材ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下「EPDM」と称することがある。)(JSR社製、商品名:EP−21)を使用した。
当該基材ゴム100部に対し、上記強化性酸化亜鉛100部と、ステアリン酸(加硫促進助剤)(ミヨシ油脂社製)を2部を添加し、ラボプラストミル(東洋精機社製、BR600型、内容積600mL)で混練りし、一定時間熟成後、加硫剤(硫黄:硫黄ミュクロンS.OT.10F、四国化成社製)1.75部と、加硫促進剤(EP−50、大内新興化学工業社製)1部を加え、再度混練を行い、混練した配合ゴム組成物をロール機に掛け、厚さ2.3mmのシートに成型した。
(3)当該シートをロール機に掛け、成型した配合ゴム組成物のシートを厚さ2mmの金型にいれ、加硫機にセットし、圧力9.8Mpa、温度160℃で加熱し加硫した。なお、加硫時間としては、各々の配合ゴム組成物をレオメーターで測定したT90値(レオメーター測定の最大トルクと最小トルクを100等分した時の90の値まで達する時間)の1.5倍の時間で加硫した。
(4)以上のごとくして得られた硬化体(加硫ゴム又はゴム成型体)のモジュラス、強度、硬度の測定結果を表1に示す。
(なお、表中で「PHR」とあるのは、基材ゴム100部当たりの強化性酸化亜鉛の配合部を示す。以下、同じ。)
強化性酸化亜鉛として、亜鉛塩溶液とソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を反応させ沈殿させた塩基性炭酸亜鉛原体をアルミニウムの水溶性塩(硝酸アルミニウム)の3%水溶液中に投入して、撹拌下に30℃で3時間分散処理して、当該アルミニウム塩を塩基性炭酸亜鉛原体中にドープせしめ、生成ケーキを水洗、乾燥後、水素雰囲気下に400℃で3時間水素還元焼成して、強化性酸化亜鉛(BET値:54 m2/g)を得た。(以下、当該強化性酸化亜鉛を「AR」と称することがある。)当該酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表1に示す。
強化性酸化亜鉛として、実施例2と同様に亜鉛塩溶液とソーダ灰を反応させ沈殿させた塩基性炭酸亜鉛原体をアルミニウムの水溶性塩(硝酸アルミニウム)の3%水溶液中に投入して、撹拌下に30℃で3時間分散処理して、当該アルミニウム塩を塩基性炭酸亜鉛原体中にドープせしめ、生成ケーキを水洗、乾燥後、400℃で3時間で焼成して強化性酸化亜鉛(BET値:55 m2/g)を得た。(以下、当該強化性酸化亜鉛を「AB」と称することがある。)当該酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表1に示す。
強化性酸化亜鉛として、実施例2と同様に亜鉛塩溶液とソーダ灰を反応させ沈殿させた塩基性炭酸亜鉛原体を、アルミニウムのドープ処理を行うことなく、水洗、乾燥後、400℃で3時間で水素還元焼成して強化性酸化亜鉛(BET値:53 m2/g)を得た。(以下、当該強化性酸化亜鉛を「AZR」と称することがある。)この酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
フランス法により得られた酸化亜鉛の33%水分散液1に対し、炭酸アンモニウム6%水溶液に、硫酸アルミニウム10%水溶液を10:1の割合で加え混合したもの2、の割り合いで添加し、60℃に加温し、1時間撹拌し、分散、ドープし、その後ろ過、水洗、乾燥を行い800℃で1時間水素雰囲気で焼成し、酸化亜鉛(BET値:4 m2/g)を得た。(以下当該酸化亜鉛を「23ーK」と称することがある。)この酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様な実験を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例2〕
フランス法により得られた酸化亜鉛(BET値:4 m2/g)(以下、当該酸化亜鉛を「ZnO」と称することがある。)を使用したほかは、実施例1と同様な実験を行った。
結果を表1に示す。当該酸化亜鉛は、JIS 2種の酸化亜鉛に該当するものである。
〔比較例3〕
実施例2と同様の、亜鉛塩溶液とソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を反応させ沈殿させた塩基性炭酸亜鉛を、アルミニウムのドープ処理を行うことなく、水洗、乾燥後、450℃で120分で単純に焼成して得た酸化亜鉛(BET値:58 m2/g)(以下、当該酸化亜鉛を「AZO」と称することがある。)を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
実施例1において、基材ゴムに強化性酸化亜鉛を配合しないほかは、実施例1と同様の配合ゴム組成物を得、これを成型加硫せしめて硬化体を作成し、同様の試験を行った。
Figure 0004522689
表1に示した実施例1〜4及び比較例1〜4から以下のことが理解される。
まず、本発明で規定する強化性酸化亜鉛や従来公知の酸化亜鉛がゴムに配合された加硫物(硬化体)は、比較例4の酸化亜鉛を配合しない加硫物(硬化体)に比較して、300%モジュラス、強度、硬度が高いことが理解される。
また、実施例1〜4に示す様に、BET値が高く本発明で規定する範囲内のものであり、アルミニウムのドープ処理を行ったもの(実施例1〜3)、若しくは、水素還元焼成されたもの(実施例4)は、単にBET値が高い酸化亜鉛を、ドープ処理を行うことなく、しかも単純に焼成したもの(比較例3)や、BET値が本発明の規定より低く、水素還元焼成されたもの(比較例1)、さらにフランス法酸化亜鉛(比較例2)に比較して、より一層300%モジュラス、強度、硬度(以下「強度等」と称することがある。)が高く、優れていることが解る。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量を、EP−21(EPDMゴム)の100部に対し、5部配合するほかは、実施例1と同様な実験を行って硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した、酸化亜鉛〔ZnO〕を同じく5部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量をEP−21の100部に対し、25部を添加するほかは、実施例1と同様な実験を行い硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を、同じく25部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量をEP−21の100部に対し、50部を添加する他は、実施例1と同様な実験を行い硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を、同じく50部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量をEP−21の100部に対し、75部を添加する他は、実施例1と同様な実験を行い硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を、同じく75部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量をEP−21の100部に対し、125部を添加する他は、実施例1と同様な実験を行い硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を、同じく125部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量をEP−21の100部に対し、150部を添加する他は、実施例1と同様な実験を行い硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を、同じく150部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
実施例1において基材ゴムに配合する強化性酸化亜鉛〔BET値:56 m2/g(CR)〕の添加量をEP−21の100部に対し、200部を添加する他は、実施例1と同様な実験を行い硬化体を得、その強度等を、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を、同じく200部配合して硬化体としたものの強度等に対する比として百分率で示した。
結果を表2に示す。
Figure 0004522689
表2より、実施例1及び実施例5〜11において、強化性酸化亜鉛(CR)をEP−21に5〜200部まで配合して得た硬化体の300%モジュラス、強度、硬度の各値を、ZnOを配合して得た硬化体のそれとの対比で見た場合(それぞれの配合量同水準のレベルで比較)、配合部数が高くなればなるほど、その強度等の向上効果は、より大きくなる傾向があることが理解される。
実施例2と同様にして、亜鉛塩溶液とソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を反応させたものを、沈降速度で分離した。すなわち、沈降速度が遅い塩基性炭酸亜鉛のみを集め(より微細な粒子のみを分集し)、これを原体としてアルミニウムの水溶性塩(硝酸アルミニウム)の3%水溶液中に投入して、撹拌下に30℃で3時間分散処理して、当該アルミニウム塩を塩基性炭酸亜鉛原体中にドープせしめ、生成ケーキを水洗、乾燥後、400℃で3時間焼成して強化性酸化亜鉛を得た。(BET値:74 m2/g)(以下、当該強化性酸化亜鉛を「AB1」と称することがある。)この酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
実施例3と同様にして、亜鉛塩溶液とソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を反応させたものを、アルミニウムの水溶性塩(硝酸アルミニウム)の3%水溶液中に投入して、撹拌下に30℃で3時間分散処理して、当該アルミニウム塩を塩基性炭酸亜鉛原体中にドープせしめ、生成ケーキを水洗、乾燥後、500℃で、3時間焼成して強化性酸化亜鉛(BET値:44 m2/g)を得た。(以下、当該強化性酸化亜鉛を「AB2」と称することがある。)この酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
実施例3と同様にして、亜鉛塩溶液とソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を反応させたものを、アルミニウムの水溶性塩(硝酸アルミニウム)の3%水溶液中に投入して、以下実施例と13と同様として、撹拌下に30℃で3時間分散処理して、当該アルミニウム塩を塩基性炭酸亜鉛原体中にドープせしめ、生成ケーキを水洗、乾燥後、600℃で、4時間焼成して強化性酸化亜鉛(BET値:28 m2/g)を得た。(以下、当該強化性酸化亜鉛を「AB3」と称することがある。)この酸化亜鉛を使用したほかは、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
Figure 0004522689
表3は、沈降速度で分離した粒径の異なる塩基性炭酸亜鉛に、アルミニウムをドープ処理し、ケーキを水洗、乾燥、400℃で3時間焼成し、作成したもの、及び、実施例3で得られた強化性酸化亜鉛[AB]を、さらに焼成条件を変えて、BET値の異なる強化性酸化亜鉛とし、これを配合して得た硬化体について強度等を測定した結果を、実施例3の数値とともに示したものである。これより、BET値が高い強化性酸化亜鉛を配合した硬化体であるほど、300%モジュラス、強度、硬度が高いものであることが理解される。
基材ゴムとしてアクリルニトリルーブタジエンゴム(NBR)(JSR社製NBR、商品名: N232S)を100部使用し、これに、強化性酸化亜鉛として実施例2のBET値が54m2 /gのもの(AR)を、当該基材ゴムに対し50部を配合し、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を同じく50部配合し、さらに加硫促進剤(ノクセラーNS、大内新興化学工業社製)1部を配合するほかは、実施例1と同様な実験を行った。その上で、得られた硬化体の強度等をZnOに対し、百分率で示した。
結果を表4に示す。
実施例15において、強化性酸化亜鉛並びにZnOを、各々の基材ゴムに100部を配合したほかは、実施例1と同様な実験を行った。その上で、得られた硬化体の強度等をZnOに対し、百分率で示した。
結果を表4に示す。
実施例15において、強化性酸化亜鉛並びにZnOを、各々の基材ゴムに150部を配合したほかは、実施例1と同様な実験を行った。その上で、得られた硬化体の強度等をZnOに対し、百分率で示した。
結果を表4に示す。
〔比較例5〕
実施例15において、基材ゴムに強化性酸化亜鉛並びにZnOを配合しないほかは、実施例15と同様な実験を行った。
結果を表4に示す。
Figure 0004522689
表4を参照するに、基材ゴムとして、NBRゴムを使用したNBR配合系ゴム組成物においても、上記した基材ゴムとしてEPDM(EP−21)を使用し、強化性酸化亜鉛(AR)をEP−21の100部に50〜150部まで配合した結果(実施例1と実施例5〜11)と同様に、当該硬化体の300%モジュラス、強度、硬度の各値は、(特にZnO対比で各水準のレベルを見た実施例7、1、10と同様に)、NBR配合系ゴム組成物の硬化体においても、配合量が高くなればなるほど、その強度等の数値は大きくなることがわかる。なお、強化性酸化亜鉛配合の効果は、NBRゴムにおいては、EPDMゴムであるEP−21よりも、特に強度向上の点で更に大きいことがわかる。
強化性酸化亜鉛として実施例2のBET値が54 m2/gのもの(AR)を使用し、基材ゴムにスチレンーブタジエンゴム(SBR)(JSR社製、商品名:SBR 1500)100部を使用した。当該基材ゴムに、AR50部を配合し、比較例2で使用した酸化亜鉛〔ZnO〕を同じく50部配合し、さらに加硫促進剤(ノクセラーNS、大内新興化学工業社製)1部を配合し、そのほかは実施例 1と同様な実験を行った。その上で、得られた硬化体の強度等をZnOに対し、百分率で示した。
結果を表5に示す。
強化性酸化亜鉛、基材ゴム及び加硫促進剤として実施例18と同一のものを使用し、当該強化性酸化亜鉛、並びにZnOを、各々の基材ゴムに100部を配合するほかは、実施例1と同様な実験を行った。その上で、得られた硬化体の強度等をZnOに対し、百分率で示した。
結果を表5に示す。
強化性酸化亜鉛、基材ゴム及び加硫促進剤としては実施例18と同一のものを使用し、当該強化性酸化亜鉛、並びにZnOを、各々の基材ゴムに150部を配合するほかは、実施例1と同様な実験を行った。その上で、得られた硬化体の強度等をZnOに対し、百分率で示した。
結果を表5に示す。
〔比較例6〕
実施例18において、強化性酸化亜鉛、並びにZnOを配合しないほかは、実施例18と同様な実験を行った。
結果を表5に示す。
Figure 0004522689
表5より明らかなごとく、強化性酸化亜鉛(AR)をSBR 1500に配合した場合、300%モジュラス、強度、硬度の各値の各水準は、配合量が高くなればなる程、その硬度等の数値は大きくなることがわかる。特に各水準の配合量のZnO対比で比較した場合、実施例15〜17と同様に、当該配合部数が高くなればなるほど、その強度等の向上効果は、EP−21やNBR N232Sの場合と同様に大きくなる傾向があることが理解される。
以上詳述したとおり、本発明における強化性酸化亜鉛を配合した配合ゴム組成物においては、例えばJIS 1種〜3種の酸化亜鉛のごとき通常の酸化亜鉛を配合する場合と、実質的に同様の配合方法、練り、成型加工法等で処理してゴム硬化体を得ているのにかかわらず、通常の酸化亜鉛を使用した場合に比較して、遥かに高いモジュラス、強度、硬度を有する硬化体が得られる。
このように、本発明に従えば、高モジュラス、高強度、高硬度のゴム硬化体が得られるため、以下のような高い産業上の利用可能性を有する。
すなわち、まず、高モジュラスゴムは耐圧物(ホース類、防舷材、タイヤ、キャスター、さらにはベルト、ロール、コンベヤー、パッキング等)での寸法安定に効果があり、特にタイヤにおいては、変形が効果的に抑制されるので、転がり摩擦の低減で燃費改善に繋がる。また、当然のことながらこれら耐圧物のゴム製品の寿命を伸ばすことが可能となるのである。
また、強度が高いゴムの場合は、従来と同じ強度を、より薄い成型体で奏することができるので、いわゆる薄物設計が可能となり、このため、軽量化や放熱効果による耐熱性改善に繋がる。また、当該軽量化は、アセンブリー工程の軽労働化や物流の改善、さらには、ゴム(硬化体)の構造設計自体の幅が大きく広がるのである。
さらにまた、従来、ゴム成型体の硬度を上げる場合、一般には補強剤であるカーボンブラック系補強剤の配合量の増量、もしくは充填材たる炭酸カルシウム、カオリン、シリカなどを多量に配合して、または、加硫剤の増量などで対処していた。しかしながら、本発明における強化性酸化亜鉛を配合することにより、ゴム硬化体の硬度も大きく向上するので、当該強化性性酸化亜鉛単独の配合で、またはこれと少量のカーボンブラック系補強剤やシリカ系増量剤を補助的に併用するのみで、目的とするゴム硬化体の所望の硬度設計が可能となる。

Claims (3)

  1. 少なくともファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、フレームブラック、アセチレンブラック、アークブラック及びCKHブラックからなる群より選択されるカーボンブラック系無機系補強剤を必須成分として配合する、耐圧物として使用されるホース、防舷材、タイヤ、キャスター、ベルト、ロール、コンベヤー、及びパッキングからなる群より選択される耐圧物を形成するゴム硬化体用のゴム組成物において、(i)酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成してなるBET比表面積が20〜80m2/gの強化性酸化亜鉛、もしくは、(ii) 酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩にドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜80m2/gの強化性酸化亜鉛を、当該カーボンブラック系補強剤に代わる無機系補強剤として、基材ゴム100質量部に対し、5〜200質量部配合した、当該組成物に当該カーボン系補強材を実質的に配合することなく成型、加硫することにより、高モジュラス、高強度、及び高硬度を保持したゴム硬化体を与えるものであり、当該硬化体の強度は、前記配合ゴム組成において、JIS 1種〜3種のいずれかに規定する酸化亜鉛を、前記強化性酸化亜鉛に換えて同量配合して成型、加硫してなるゴム硬化体に比較して、モジュラスが110%以上、強度が150%以上、硬度が110%以上向上したものであることを特徴とする配合ゴム組成物。
  2. 無機系補強剤として、更に、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、フレームブラック、アセチレンブラック、アークブラック及びCKHブラックからなる群より選択されるカーボンブラック系充填剤及び/又は無水ケイ酸(シリカ)、含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム及びケイ酸アルミニウムからなる群より選択されるシリカ系充填剤を、前記強化性酸化亜鉛100質量部に対し、50質量部以下配合した請求項1に記載の配合ゴム組成物。
  3. (i)酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩を還元性雰囲気下に還元焼成してなるBET比表面積が20〜80m2/gの強化性酸化亜鉛、もしくは、(ii) 酸化亜鉛又は分解性亜鉛塩にドーパントを添加して焼成又は還元焼成してなるBET比表面積が20〜80m2/gの強化性酸化亜鉛からなるゴム配合用無機系補強剤を、少なくともファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、フレームブラック、アセチレンブラック、アークブラック及びCKHブラックからなる群より選択されるカーボンブラック系無機系補強剤を必須成分として配合する耐圧物として使用されるホース、防舷材、タイヤ、キャスター、ベルト、ロール、コンベヤー、及びパッキングからなる群より選択される耐圧物を形成するゴム硬化体用のゴム組成物に、当該カーボンブラック系補強材に代わる無機系補強剤として、基材ゴム100質量部に対し、5〜200質量部配合し、当該カーボン系補強材を実質的に配合することなく、当該組成物を成型、加硫することにより、高モジュラス、高強度、及び高硬度を保持したゴム硬化体を製造する方法であり、当該硬化体の強度は、前記配合ゴム組成において、JIS 1種〜3種のいずれかに規定する酸化亜鉛を、前記強化性酸化亜鉛に換えて同量配合して成型、加硫してなるゴム硬化体に比較して、モジュラスが110%以上、強度が150%以上、硬度が110%以上向上したものであることを特徴とする製造方法。
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