JP6682949B2 - 乗用車用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、乗用車用タイヤに関する。
近年、輸送業界では、燃料代の高騰に伴う経費増大、環境規制の導入による出費増大の理由から低燃費性に優れたタイヤが望まれている。タイヤには、低燃費性とともに、高度な耐久性も求められることから、充填剤の配合量の調整などで低燃費性と耐久性のバランスを取ることになる。
タイヤ用ゴム組成物の充填剤としては、補強性が良好であるという点でカーボンブラックが汎用されている。カーボンブラック配合で低燃費性を改善する場合、粒子径の大きいカーボンブラックを使用する、カーボンブラック量を少なくするといった方法が考えられるが、この場合、ゴム強度すなわち耐久性が低下するという点で改善の余地がある。
カーボンブラックをシリカに置換することで低燃費性を改善できることも知られているが、シリカはカーボンブラックと比較して補強性が劣るため、ゴム強度などが低下するという点で改善の余地がある。
低燃費性を改善する他の方法として、シリカ配合において、ゴムに特定の極性基を付加する方法や、特許文献1に記載のメルカプト基を有するシランカップリング剤を配合する方法が記載されているが、これらはいずれもスチレンブタジエンゴムやブタジエンゴムに対して効果を発揮するものであり、乗用車用タイヤのアンダートレッド、クリンチエイペックス、スチールブレーカーに一般的に用いられる、天然ゴム(高純度化天然ゴム、イソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム)などのイソプレン系ゴムに対して、その効果は充分ではなかった。
特開2012−122015号公報
本発明は、前記課題を解決し、イソプレン系ゴムを含むゴム組成物を用いて作製された乗用車用タイヤの低燃費性を改善し、さらに、良好な耐久性を確保することを目的とする。
(1−1)第一の本発明は、ゴム成分と、窒素吸着比表面積が20〜130m/gのカーボンブラックと、C5系石油樹脂と、下記式(I)で表される化合物とを含有し、前記ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が60〜100質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックの含有量が15〜70質量部、前記C5系石油樹脂の含有量が3質量部以上であり、前記カーボンブラック100質量部に対する下記式(I)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であるゴム組成物を用いて作製したアンダートレッドを有する乗用車用タイヤに関する。
Figure 0006682949
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
(1−2)前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、硫黄を2.5〜6.0質量部含有することが好ましい。
(1−3)前記式(I)で表される化合物が下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006682949
Figure 0006682949
Figure 0006682949
(1−4)前記金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンであることが好ましい。
(1−5)前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が60〜130m/gであり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が50〜70質量部であり、前記カーボンブラック100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5〜5質量部であることが好ましい。
(2−1)第二の本発明は、ゴム成分と、窒素吸着比表面積が20〜90m/gのカーボンブラックと、硫黄と、下記式(I)で表される化合物とを含有し、前記ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が40〜75質量%、ブタジエンゴムの含有量が25〜60質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックの含有量が15〜55質量部、前記硫黄の含有量が1.0〜2.3質量部であり、前記カーボンブラック100質量部に対する下記式(I)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であるゴム組成物を用いて作製したクリンチエイペックスを有する乗用車用タイヤに関する。
Figure 0006682949
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
(2−2)前記式(I)で表される化合物が下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006682949
Figure 0006682949
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(2−3)前記金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンであることが好ましい。
(2−4)前記カーボンブラック100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5〜5質量部であることが好ましい。
(2−5)前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が20〜70m/gであり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が15〜50質量部であることが好ましい。
(2−6)前記ブタジエンゴムが、シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム及びスズ変性ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一種であり、前記ゴム成分100質量%中、前記シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、前記希土類系ブタジエンゴム及び前記スズ変性ブタジエンゴムの合計含有量が10〜60質量%であることが好ましい。
(3−1)第三の本発明は、ゴム成分と、窒素吸着比表面積が20〜130m/gのカーボンブラックと、有機酸コバルトと、下記式(I)で表される化合物とを含有し、前記ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が60〜100質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックの含有量が15〜70質量部、前記有機酸コバルトの含有量がコバルトに換算して0.05〜0.20質量部であり、前記カーボンブラック100質量部に対する下記式(I)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であるゴム組成物を用いて作製したスチールブレーカーを有する乗用車用タイヤに関する。
Figure 0006682949
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
(3−2)前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、硫黄を2.5〜6.0質量部含有することが好ましい。
(3−3)前記式(I)で表される化合物が下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006682949
Figure 0006682949
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(3−4)前記金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンであることが好ましい。
(3−5)前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が60〜130m/gであり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が50〜70質量部であり、前記カーボンブラック100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5〜5質量部であることが好ましい。
(3−6)前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、下記式(II)で表される化合物及び/又はその水和物を0.1〜5.0質量部含有することが好ましい。
XOS−S−(CH−S−SOX (II)
(式中、qは3〜10の整数を表す。Xは、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル又はコバルトを表す。)
(3−7)前記ゴム組成物が、レゾルシノール樹脂、変性レゾルシノール樹脂、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂及び変性フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の架橋樹脂と、ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物及びヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物からなる群より選択される少なくとも一種のメチレン供与体とを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記架橋樹脂の合計含有量が0.5〜10質量部、前記メチレン供与体の合計含有量が0.5〜10質量部であることが好ましい。
(3−8)前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積が50〜250m/gのシリカを3〜55質量部含有することが好ましい。
第一の本発明によれば、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、C5系石油樹脂と、式(I)で表される化合物とを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したアンダートレッドを有する乗用車用タイヤであるので、良好な低燃費性及び耐久性(破断強度、破断伸び)を確保することができ、また、良好な加工性も得られる。
第二の本発明によれば、イソプレン系ゴムと、ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄と、式(I)で表される化合物とを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したクリンチエイペックスを有する乗用車用タイヤであるので、良好な低燃費性及び耐久性(破断伸び、耐摩耗性)を確保することができ、また、良好な加工性も得られる。
第三の本発明によれば、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、有機酸コバルトと、式(I)で表される化合物とを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したスチールブレーカーを有する乗用車用タイヤであるので、良好な低燃費性及び耐久性(破断伸び、スチールコード被覆性)を確保することができる。
(第一の本発明)
第一の本発明に係るゴム組成物は、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、C5系石油樹脂と、式(I)で表される化合物とを含有する。式(I)で表される化合物は、末端の窒素官能基がカーボンブラック表面に存在するカルボキシル基などの官能基と反応することでカーボンブラックと結合することができ、また、炭素−炭素二重結合の部分がポリマーラジカルとの反応や硫黄架橋を伴う反応によりポリマーと結合することができる。そのため、カーボンブラックの分散性を向上させ、かつその良好な分散状態を使用中も維持することができる。更に、ポリマーが式(I)で表される化合物を介してカーボンブラックを拘束しているため、発熱性を抑えることができる。これらの作用を有する式(I)で表される化合物を、特定のカーボンブラックと、C5系石油樹脂とともに、イソプレン系ゴムを含むゴム組成物に配合することで、該ゴム組成物の低燃費性を改善し、更に、良好な耐久性(破断強度、破断伸び)も得られる。
また、式(I)で表される化合物を配合すると、通常、加工性が悪化する傾向があるが、第一の本発明では、式(I)で表される化合物とともに、所定量のC5系石油樹脂を配合することで、良好な加工性を確保することができる。
第一の本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムを含有する。イソプレン系ゴムは、混練り中にポリマー鎖が切断されてラジカルが発生する。この発生したラジカルを式(I)で表される化合物が捕捉することにより、ポリマー鎖と式(I)で表される化合物とが結合することができる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、高純度天然ゴム(HPNR)などが挙げられ、NRを好適に使用できる。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、60質量%以上、好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
第一の本発明に係るゴム組成物は、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックを含有する。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、20m/g以上、好ましくは60m/g以上、より好ましくは65m/g以上である。20m/g未満では、充分な耐久性を確保できないおそれがある。カーボンブラックのNSAは、130m/g以下、好ましくは120m/g以下、より好ましくは115m/g以下である。130m/gを超えると、カーボンブラック由来の発熱が大きくなること、及び、式(I)で表される化合物との反応が進行しにくくなることにより、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは60cm/100g以上、より好ましくは70cm/100g以上である。60cm/100g未満では、充分な耐久性を確保できないおそれがある。カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは140cm/100g以下である。140cm/100gを超えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
カーボンブラックのpHは、好ましくは7.9以下、より好ましくは7.8以下、更に好ましくは7.7以下、特に好ましくは7.6以下である。7.9を超えると、カーボンブラックの酸性官能基量が少ないため、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックのpHは、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。3.0未満であると、ゴム組成物のpHが低くなることにより、加硫剤の活性が低下し、架橋効率が低下する傾向がある。
カーボンブラックの揮発分は、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。0.8質量%未満では、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックの揮発分は、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。3.5質量%を超えると、加硫工程で揮発分の大部分を揮発させ、ポロシティーが発生しなくなるまで加硫し続けることが必要となるため、加硫時間が長くなり、生産効率が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのDBP吸油量、pH、揮発分はJIS K6221(1982)に、カーボンブラックのNSAはJIS K6217(2001)に記載の方法で測定される値である。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上、好ましくは50質量部以上である。15質量部未満であると、充分なHsを確保できないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、70質量部以下、好ましくは60質量部以下である。70質量部を超えると、ゴムが硬くなり過ぎて破断伸びが低下し、かえって耐久性が低下するおそれがある。また、低燃費性が悪化するおそれもある。
第一の本発明に係るゴム組成物は、下記式(I)で表される化合物を含有する。
Figure 0006682949
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
、Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。
、Rのアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基などを挙げることができる。
、Rのアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基などを挙げることができる。
、Rとしては、好ましくは、水素原子、アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基であり、更に好ましくは、水素原子である。すなわち、上記式(I)で表される化合物は、下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物であることが好ましく、下記式(I−1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0006682949
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上記式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)において、金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンが挙げられ、ナトリウムイオンであることが好ましい。
式(I)で表される化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.1質量部未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。式(I)で表される化合物の含有量は、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えると、充分な加工性を確保できないおそれがある。
第一の本発明に係るゴム組成物は、粘着加工助剤として、C5系石油樹脂を含有する。C5系石油樹脂は、C5(炭素数5)系石油炭化水素を重合して得られる樹脂、言い換えると、C5系石油炭化水素に基づく構成単位を有する樹脂である。C5系石油炭化水素とは、ナフサの熱分解により得られるC5留分(炭素数5の留分)のことをいい、具体的には、イソプレン、1,3−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ピペリレンなどのジオレフィン類や2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、シクロペンテンなどのモノオレフィン類が挙げられる。
C5系石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上、好ましくは4質量部以上である。3質量部未満であると、良好な加工性を確保できないおそれがある。C5系石油樹脂の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。10質量部を超えると、良好な低燃費性を確保できないおそれがある。
第一の本発明に係るゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。硫黄としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、更に好ましくは4.5質量部以上である。2.5質量部未満であると、ゴム組成物が充分に加硫されず、必要とする耐久性が得られないおそれもある。硫黄の含有量は、好ましくは6.0質量部以下である。6.0質量部を超えると、酸化劣化による硬化が促進され、耐久性が低下するおそれがある。
なお、硫黄の含有量は、フレキシス社製のDURALINK HTSなどの硫黄含有カップリング剤由来の硫黄分も含む総量である。
第一の本発明に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、老化防止剤、オイル、ワックス、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
加硫促進剤としては特に限定されず、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)を筆頭にタイヤ工業において一般的なものを使用できるが、環境負荷が小さいという点から、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド(TBSI)が好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.5〜2質量部である。
第一の本発明に係るゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
第一の本発明に係るゴム組成物は、アンダートレッドに用いられる。アンダートレッドとは、トレッドゴムとブレーカー(ベルト)ゴムとの間に位置し、ブレーカーゴムのタイヤ表面側部分を被覆する部材であり、具体的には、特開2009−191132号公報の図1などに示される部材である。
第一の本発明の乗用車タイヤ(PCタイヤ)は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でアンダートレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の乗用車用タイヤを製造できる。
第一の本発明の乗用車用タイヤは、破断伸びを最大限に確保できるため、天然ゴムの含有量を100質量%としたタイヤに好適に使用できる。
(第二の本発明)
第二の本発明に係るゴム組成物は、イソプレン系ゴムと、ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄と、式(I)で表される化合物とを含有する。式(I)で表される化合物を、特定のカーボンブラックと、硫黄とともに、イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムを含むゴム組成物に配合することで、該ゴム組成物の低燃費性を改善し、更に、良好な耐久性(破断伸び、耐摩耗性)や加工性も得られる。
また、上記ゴム組成物によってクリンチエイペックスを低発熱化することで、高温時の耐久性についても改善することができる。
第二の本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムを含有する。イソプレン系ゴムについての説明は第一の本発明と同様であるため、記載を省略する。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、40質量%以上、好ましくは50質量%以上である。40質量%未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。イソプレン系ゴムの含有量は、75質量%以下、好ましくは70質量%以下である。75質量%を超えると、充分な耐久性を確保できなくなるおそれがある。
第二の本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、ブタジエンゴム(BR)を含有する。BRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できるが、シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム(SPB含有BR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)及びスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、希土類系BRを用いることがより好ましい。希土類系BRとしては、ビニル含量が1.0質量%以下(好ましくは0.8質量%以下)、シス含量が95質量%以上のものを好適に使用できる。なお、本発明において、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)及びシス含量(シス−1,4−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定された値である。
ゴム成分100質量%中のSPB含有BR、希土類系BR及びスズ変性BRの合計含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。10質量%未満であると、充分な耐久性を確保できなくなるおそれがある。SPB含有BR、希土類系BR及びスズ変性BRの合計含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量(全BRの合計量)は、25質量%以上、好ましくは30質量%以上である。25質量%未満であると、充分な耐久性を確保できなくなるおそれがある。BRの含有量は、60質量%以下、好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
第二の本発明に係るゴム組成物は、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックを含有する。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、20m/g以上、好ましくは60m/g以上、より好ましくは65m/g以上である。20m/g未満では、充分な耐久性を確保できなくなるおそれがある。カーボンブラックのNSAは、90m/g以下、好ましくは70m/g以下、より好ましくは55m/g以下である。90m/gを超えると、カーボンブラック由来の発熱が大きくなること、及び、式(I)で表される化合物との反応が進行しにくくなることにより、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは65cm/100g以上、より好ましくは80cm/100g以上である。65cm/100g未満では、充分な耐久性を確保できなくなるおそれがある。カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは120cm/100g以下である。120cm/100gを超えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
カーボンブラックのpHは、好ましくは7.9以下、より好ましくは7.8以下、更に好ましくは7.7以下、特に好ましくは7.6以下である。7.9を超えると、カーボンブラックの酸性官能基量が少ないため、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックのpHは、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。3.0未満であると、ゴム組成物のpHが低くなることにより、加硫剤の活性が低下し、架橋効率が低下する傾向がある。
カーボンブラックの揮発分は、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。0.8質量%未満では、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックの揮発分は、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。3.5質量%を超えると、加硫工程で揮発分の大部分を揮発させ、ポロシティーが発生しなくなるまで加硫し続けることが必要となるため、加硫時間が長くなり、生産効率が悪化する傾向がある。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上、好ましくは25質量部以上である。15質量部未満であると、充分な耐久性を確保できないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、55質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下である。55質量部を超えると、発熱性が大きくなり過ぎて、低燃費性や加工性が悪化するおそれがある。
第二の本発明に係るゴム組成物は、式(I)で表される化合物を含有する。該化合物についての説明は第一の本発明と同様であるため、記載を省略する。
式(I)で表される化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.1質量部未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。式(I)で表される化合物の含有量は、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えると、ムーニー粘度、耐スコーチ性、押出し加工性などの加工性を充分に確保できないおそれがある。
第二の本発明に係るゴム組成物は、硫黄を含有する。硫黄としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1.0質量部以上、好ましくは1.5質量部以上である。1.0質量部未満であると、ゴム組成物が充分に加硫されず、必要とするゴム特性が得られないおそれがある。硫黄の含有量は、2.3質量部以下である。2.3質量部を超えると、ゴム焼けや使用中の酸化劣化の原因となるおそれがある。
なお、硫黄の含有量は、フレキシス社製のDURALINK HTSなどの硫黄含有カップリング剤由来の硫黄分も含む総量である。
第二の本発明に係るゴム組成物は、粘着加工助剤として、C5系石油樹脂を使用することが好ましい。C5系石油樹脂についての説明は第一の本発明と同様であるため、記載を省略する。
C5系石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜5質量部、より好ましくは1〜2質量部である。
第二の本発明に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、老化防止剤、オイル、ワックス、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜20質量部、より好ましくは8〜15質量部である。上記範囲内であれば、本発明の効果が良好に得られる。
第二の本発明に係るゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
第二の本発明に係るゴム組成物は、クリンチエイペックスに用いられる。クリンチエイペックスとは、サイドウォールの内方端に配されるゴム部であり、具体的には、特開2008−75066号公報の図1、特開2004−106796号公報の図1などに示される部材である。
第二の本発明の乗用車用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でクリンチエイペックスの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の乗用車用タイヤを製造できる。
第二の本発明の乗用車用タイヤは、破断伸びを最大限に確保できるため、天然ゴムの含有量を100質量%としたタイヤに好適に使用できる。
(第三の本発明)
第三の本発明に係るゴム組成物は、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、有機酸コバルトと、式(I)で表される化合物とを含有する。式(I)で表される化合物を、特定のカーボンブラックと、有機酸コバルトとともに、イソプレン系ゴムを含むゴム組成物に配合することで、該ゴム組成物の低燃費性を改善し、更に、良好な破断伸びも得られる。
また、式(I)で表される化合物とともに、有機酸コバルトを配合することで、スチールコードに対する接着力が顕著に向上し、良好なスチールコード被覆性を確保することができる。
第三の本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムを含有する。イソプレン系ゴムについての説明は第一の本発明と同様であるため、記載を省略する。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、60質量%以上、好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
第三の本発明に係るゴム組成物は、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックを含有する。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、20m/g以上、好ましくは60m/g以上、より好ましくは65m/g以上である。20m/g未満では、充分な耐久性を確保できないおそれがある。カーボンブラックのNSAは、130m/g以下、好ましくは120m/g以下、より好ましくは115m/g以下である。130m/gを超えると、カーボンブラック由来の発熱が大きくなること、及び、式(I)で表される化合物との反応が進行しにくくなることにより、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは60cm/100g以上、より好ましくは70cm/100g以上である。60cm/100g未満では、充分な耐久性を確保できないおそれがある。カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは140cm/100g以下である。140cm/100gを超えると、充分な低燃費性を確保できないおそれがある。
カーボンブラックのpHは、好ましくは7.9以下、より好ましくは7.8以下、更に好ましくは7.7以下、特に好ましくは7.6以下である。7.9を超えると、カーボンブラックの酸性官能基量が少ないため、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックのpHは、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。3.0未満であると、ゴム組成物のpHが低くなることにより、加硫剤の活性が低下し、架橋効率が低下する傾向がある。
カーボンブラックの揮発分は、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。0.8質量%未満では、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックの揮発分は、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。3.5質量%を超えると、加硫工程で揮発分の大部分を揮発させ、ポロシティーが発生しなくなるまで加硫し続けることが必要となるため、加硫時間が長くなり、生産効率が悪化する傾向がある。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上、好ましくは50質量部以上である。15質量部未満であると、充分な耐久性を確保できないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、70質量部以下、好ましくは60質量部以下である。70質量部を超えると、ゴムが硬くなり過ぎて破断伸びが低下し、かえって耐久性が低下するおそれがある。また、低燃費性が悪化するおそれもある。
第三の本発明に係るゴム組成物は、下記式(I)で表される化合物を含有する。該化合物についての説明は第一の本発明と同様であるため、記載を省略する。
式(I)で表される化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.1質量部未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。式(I)で表される化合物の含有量は、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えると、充分な加工性を確保できないおそれがある。
第三の本発明に係るゴム組成物は、加硫助剤及びスチールコード接着促進剤として、有機酸コバルトを含有する。有機酸コバルトとしては、例えば、ステアリン酸コバルト、ホウ素ネオデカン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルトなどが挙げられ、粘度低減効果を有するという点ではステアリン酸コバルトが好ましく、酸化劣化後の破断伸び及び湿熱劣化後のスチールコード接着性が良好であるという点ではホウ素ネオデカン酸コバルトが好ましい。
有機酸コバルトの含有量は、ゴム成分100重量部に対して、コバルトに換算して0.05質量部以上、好ましくは0.08質量部以上である。0.05質量部未満では、スチールコード接着性を充分に確保できないおそれがある。有機酸コバルトの含有量は、コバルトに換算して0.20質量部以下、好ましくは0.17質量部以下である。0.20質量部を超えると、酸化劣化後の破断伸びが低下する傾向がある。
第三の本発明に係るゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。硫黄としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、更に好ましくは4.5質量部以上である。2.5質量部未満であると、スチールコード接着性を充分に確保できないおそれがある。また、ゴム組成物が充分に加硫されず、必要とする耐久性が得られないおそれもある。硫黄の含有量は、好ましくは6.0質量部以下である。6.0質量部を超えると、酸化劣化による硬化が促進されて破断伸びが低下し、充分な耐久性を確保できないおそれがある。
なお、硫黄の含有量は、可溶性硫黄及び不溶性硫黄由来の硫黄分の総量であり、フレキシス社製のDURALINK HTSなどの硫黄含有カップリング剤由来の硫黄分は含まない。これは、スチールブレーカー用ゴム組成物においては、加硫剤として比較的多量の硫黄が配合されることにより、硫黄含有カップリング剤由来の硫黄分はゴム組成物中に放出されないためである。
第三の本発明に係るゴム組成物は、架橋剤として、下記式(II)で表される化合物及び/又はその水和物を使用することが好ましい。これにより、スチールコード接着性を向上できる。
XOS−S−(CH−S−SOX (II)
(式中、qは3〜10の整数を表す。Xは、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル又はコバルトを表す。)
式(II)中、qは、好ましくは3〜6の整数である。また、Xは、好ましくはカリウム、ナトリウムである。また、式(II)で表される化合物の水和物としては、例えば、ナトリウム塩一水和物、ナトリウム塩二水和物などが挙げられ、好ましくは、1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物である。
式(II)で表される化合物及びその水和物の含有量(合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下である。
第三の本発明に係るゴム組成物は、レゾルシノール樹脂(縮合物)、変性レゾルシノール樹脂(縮合物)、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂、及び変性フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の架橋樹脂を含むことが好ましい。これにより、スチールコード接着性を向上できる。
レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基を水酸基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミン等を用いて変性した樹脂が挙げられる。上記架橋樹脂の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
第三の本発明に係るゴム組成物は、上記架橋樹脂とともに、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)の部分縮合物及びヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)の部分縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のメチレン供与体を含むことが好ましい。上記メチレン供与体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜4質量部である。
第三の本発明に係るゴム組成物は、シリカを含有することが好ましい。これにより、スチールコード接着性を向上できる。シリカとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上である。50m/g未満では、充分な破断伸びが得られないおそれがある。シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。250m/gを超えると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、良好なスチールコード接着性及び破断伸びが得られるという点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3〜55質量部、より好ましくは5〜20質量部、更に好ましくは5〜15質量部である。
第三の本発明に係るゴム組成物は、粘着加工助剤として、C5系石油樹脂を使用することが好ましい。C5系石油樹脂についての説明は第一の本発明と同様であるため、記載を省略する。
C5系石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜5質量部、より好ましくは1〜2質量部である。
第三の本発明に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シランカップリング剤、老化防止剤、オイル、ワックス、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下であり、0質量部であってもよい。3質量部を超えると、スチールコード接着性が低下し、また、式(I)で表される化合物とカーボンブラック表面の官能基との反応が阻害されるおそれがある。
加硫促進剤としては特に限定されず、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)を筆頭にタイヤ工業において一般的なものを使用できるが、環境負荷が小さいという点から、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド(TBSI)が好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.5〜2質量部である。
第三の本発明に係るゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
第三の本発明に係るゴム組成物は、スチールブレーカー被覆用ゴムとして使用される。スチールブレーカーとは、ケースのタイヤ半径方向外側に配される部材であり、具体的には、特開2003−94918号公報の図3、特開2006−273934号公報の図1、特開2004−161862号公報の図1などに示される部材である。
第三の本発明の乗用車用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でスチールブレーカーの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の乗用車用タイヤを製造できる。
第三の本発明の乗用車用タイヤは、破断伸びを最大限に確保できるため、天然ゴムの含有量を100質量%としたオールスチールタイヤに好適に使用できる。
実施例に基づいて、第一〜第三の本発明を具体的に説明するが、第一〜第三の本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(第一の本発明に係る実施例、比較例)
以下に、第一の本発明に係る実施例、比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:TSR20
IR:IR2200
化合物I:住友化学(株)製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム(下記式で表される化合物)
Figure 0006682949
カーボンブラック1−1:コロンビアカーボン社製のStatex N550(NSA:40m/g、DBP吸油量:115cm/100g、pH:6.8、揮発分:1.8質量%)
カーボンブラック1−2:コロンビアカーボン社製のStatex N326(NSA:78m/g、DBP吸油量:74cm/100g、pH:7.6、揮発分:1.1質量%)
カーボンブラック1−3:コロンビアカーボン社製のStatex N220(NSA:114m/g、DBP吸油量:114cm/100g、pH:7.5、揮発分:1.8質量%)
C5系石油樹脂:丸善石油化学(株)製のマルカレッツT−100AS(軟化点:102℃)
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製のノクラック224
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
硫黄:四国化成(株)製のミュークロンOT−20(20%オイル含有不溶性硫黄、表1、2には純硫黄分を記載)
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
<試験用タイヤの製造>
(ベース練り工程)
(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーに、ゴム成分と、化合物Iと、30質量部程度のカーボンブラック(30質量部未満の配合では全量)とを投入して2分間混練りした後、残りのフィラーと、硫黄、加硫促進剤以外の薬品とを投入して更に3分間混練りし、150℃で排出することで、混練り物を得た。
(仕上げ練り工程)
得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤を添加し、オープンロールで2分間混練りし、105℃で排出することで、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
得られた未加硫ゴム組成物をアンダートレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤを得た。
得られた未加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1及び2に示す。
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%及び動歪2%の条件下で、上記試験用タイヤのアンダートレッドから切り出した加硫ゴムの損失正接tanδを測定した。結果は、実施例1−1を100として指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
(引張試験)
上記試験用タイヤのアンダートレッドから切り出した加硫ゴムからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、室温(23℃)にて引張試験を実施し、引張強度(TB)、破断伸び(EB)を測定した。EBについては、130℃での試験も実施した。結果は、実施例1−1を100として指数表示した。指数が大きいほど、引張強度、破断伸びが高く、耐久性に優れることを示す。
(加工性)
押出し後の各未加硫ゴム組成物を所定のアンダートレッドの形状に成形した成形品のエッジ状態、ゴムの焼け度合い、ゴム同士の粘着度合い、平坦さを目視、触覚により評価し、実施例1−1を100として指数表示した。数値が大きいほど、加工性(シート加工性)に優れることを示す。
なお、エッジ状態については、最もエッジが真っ直ぐで滑らかな状態を良好とし、ゴムの焼け度合いについては、上記成形品から切り出した15cm角の2mmシートにおいて、ピッツ焼けゴム塊による凹凸がない状態を良好とし、平坦さについては、該シートが平坦で平面板に密着する状態を良好として評価した。
Figure 0006682949
Figure 0006682949
表1及び2より、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、C5系石油樹脂と、式(I)で表される化合物とを所定量含有する実施例は、低燃費性及び耐久性(破断強度、破断伸び)がバランス良く改善された。また、加工性も良好であった。
(第二の本発明に係る実施例、比較例)
以下に、第二の本発明に係る実施例、比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:TSR20
IR:IR2200
BR1:ランクセス社製のBUNA−CB25(Nd系触媒を用いて合成した希土類系BR、ビニル含量:0.7質量%:シス含量:97質量%)
BR2:ランクセス社製のBUNA−CB22(Nd系触媒を用いて合成した希土類系BR、ビニル含量:0.6質量%:シス含量:97質量%)
BR3:宇部興産(株)製のBR150B(Co系触媒を用いて合成したBR、シス含量:98質量%)
BR4:宇部興産(株)製のVCR617(SPB含有BR、SPBの含有量:17質量%)
BR5:日本ゼオン(株)製のBR1250H(スズ変性BR)
化合物I:住友化学(株)製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム(下記式で表される化合物)
Figure 0006682949
カーボンブラック2−1:コロンビアカーボン社製のStatex N351H(NSA:67m/g、DBP吸油量:137cm/100g、pH:7.8、揮発分:1.7質量%)
カーボンブラック2−2:コロンビアカーボン社製のStatex N326(NSA:78m/g、DBP吸油量:74cm/100g、pH:7.6、揮発分:1.1質量%)
カーボンブラック2−3:コロンビアカーボン社製のStatex N330(NSA:78m/g、DBP吸油量:102cm/100g、pH:7.4、揮発分:1.8質量%)
カーボンブラック2−4:コロンビアカーボン社製のStatex N220(NSA:114m/g、DBP吸油量:114cm/100g、pH:7.5、揮発分:1.8質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75
C5系石油樹脂:丸善石油化学(株)製のマルカレッツT−100AS(軟化点:102℃)
TDAEオイル:H&R社製のVivatec
ワックス:日本精蝋(株)製のOzoace355
老化防止剤6PPD:住友化学(株)製のアンチゲン6C
老化防止剤TMQ:大内新興化学工業(株)製のノクラック224
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
硫黄:四国化成(株)製のミュークロンOT−20(20%オイル含有不溶性硫黄、表3、4には純硫黄分を記載)
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS−G
架橋樹脂2−1:田岡化学工業(株)製のスミカノール620(変性レゾルシノール樹脂(変性レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物))
架橋樹脂2−2:住友ベークライト(株)製のPR12686(カシューオイル変性フェノール樹脂)
メチレン供与体:住友化学(株)製のスミカノール507A(変性エーテル化メチロールメラミン樹脂(HMMPMEの部分縮合物)を65質量%、他にシリカとオイルを35質量%含有)
HTS:フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)
<試験用タイヤの製造>
(ベース練り工程1)
(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、ゴム成分70質量部(イソプレン系ゴムを優先)、カーボンブラック及び化合物Iを4分間混練りし、150℃で排出することで、マスターバッチを得た。
(ベース練り工程2)
得られたマスターバッチに、残りのゴム成分と、硫黄、加硫促進剤及びHTS以外の材料とを添加し、上記バンバリーミキサーで4分間混練りし、150℃で排出することで、混練り物を得た。
(仕上げ練り工程)
得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤及びHTSを添加し、オープンロールで2分間混練りし、105℃で排出することで、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
得られた未加硫ゴム組成物をクリンチエイペックスの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤを得た。
得られた未加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表3及び4に示す。
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%及び動歪2%の条件下で、上記試験用タイヤのクリンチエイペックスから切り出した加硫ゴムの複素弾性率E(MPa)及び損失正接tanδを測定した。Eが大きいほど剛性が高く、操縦安定性に優れることを示し、tanδが小さいほど発熱しにくく、低燃費性に優れることを示す。
なお、tanδは、実施例2−1を100として指数でも表した。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(引張試験)
上記試験用タイヤのクリンチエイペックスから切り出した加硫ゴムからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、室温(23℃)にて引張試験を実施し、破断伸び(EB(%))を測定した。EBが大きいほど、破断伸びに優れることを示す。
なお、破断伸びは、実施例2−1を100として指数でも表した。指数が大きいほど、破断伸びに優れることを示す。130℃での破断伸びの測定結果も指数で示した。
(耐摩耗性)
LAT試験機(Laboratory Abrasion and Skid Tester)を用い、荷重75N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、上記試験用タイヤのクリンチエイペックスから切り出した加硫ゴムの容積損失量を測定し、実施例2−1の容積損失量を100として指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(加工性)
押出し後の各未加硫ゴム組成物を所定のクリンチエイペックスの形状に成形した成形品のエッジ状態、ゴムの焼け度合い、ゴム同士の粘着度合い、平坦さを目視、触覚により評価し、実施例2−1を100として指数表示した。数値が大きいほど、加工性(シート加工性)に優れることを示す。
なお、エッジ状態については、最もエッジが真っ直ぐで滑らかな状態を良好とし、ゴムの焼け度合いについては、上記成形品から切り出した15cm角の2mmシートにおいて、ピッツ焼けゴム塊による凹凸がない状態を良好とし、平坦さについては、該シートが平坦で平面板に密着する状態を良好として評価した。
Figure 0006682949
Figure 0006682949
表3及び4より、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄と、式(I)で表される化合物とを所定量含有する実施例は、低燃費性及び耐久性(破断伸び、耐摩耗性)がバランス良く改善された。また、加工性、操縦安定性、高温時の耐久性も良好であった。
(第三の本発明に係る実施例、比較例)
以下に、第三の本発明に係る実施例、比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:TSR20
IR:IR2200
化合物I:住友化学(株)製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム(下記式で表される化合物)
Figure 0006682949
カーボンブラック3−1:コロンビアカーボン社製のStatex N550(NSA:40m/g、DBP吸油量:115cm/100g、pH:6.8、揮発分:1.8質量%)
カーボンブラック3−2:コロンビアカーボン社製のStatex N326(NSA:78m/g、DBP吸油量:74cm/100g、pH:7.6、揮発分:1.1質量%)
カーボンブラック3−3:コロンビアカーボン社製のStatex N220(NSA:114m/g、DBP吸油量:114cm/100g、pH:7.5、揮発分:1.8質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75
C5系石油樹脂:丸善石油化学(株)製のマルカレッツT−100AS(軟化点:102℃)
老化防止剤6PPD:住友化学(株)製のアンチゲン6C
老化防止剤TMQ:大内新興化学工業(株)製のノクラック224
ステアリン酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のcost−F(コバルト含有量:9.5質量%、ステアリン酸含有量:90.5質量%)
ホウ素ネオデカン酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のDicnate NBC−II(ホウ素3ネオデカン酸コバルト、コバルト含有量:22.0質量%)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
硫黄:四国化成(株)製のミュークロンOT−20(20%オイル含有不溶性硫黄、表5、6には純硫黄分を記載)
加硫促進剤TBSI:フレキシス(株)製のサントキュアーTBSI(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド)
架橋樹脂3−1:田岡化学工業(株)製のスミカノール620(変性レゾルシノール樹脂(変性レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物))
架橋樹脂3−2:住友ベークライト(株)製のPRX−11061(高純度クレゾール樹脂)
架橋樹脂3−3:住友ベークライト(株)製のPR12686(カシューオイル変性フェノール樹脂)
メチレン供与体:住友化学(株)製のスミカノール507A(変性エーテル化メチロールメラミン樹脂(HMMPMEの部分縮合物)を65質量%、他にシリカとオイルを35質量%含有)
HTS:フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)
<試験用タイヤの製造>
(ベース練り工程1)
(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーに、ゴム成分と、化合物Iと、30質量部程度のカーボンブラック(30質量部未満の配合では全量)とを投入して2分間混練りした後、残りのフィラーと、有機酸コバルト、硫黄、加硫促進剤及びHTS以外の薬品とを投入して更に3分間混練りし、150℃で排出することで、マスターバッチを得た。
(ベース練り工程2)
得られたマスターバッチに有機酸コバルトを添加し、上記バンバリーミキサーで3分間混練りし、130℃で排出することで、混練り物を得た。
(仕上げ練り工程)
得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤及びHTSを添加し、オープンロールで2分間混練りし、105℃で排出することで、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
得られた未加硫ゴム組成物でスチールコードを被覆し、ブレーカーの形状に成形した後、他のタイヤ部材と貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤを得た。
得られた試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表5及び6に示す。
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%及び動歪2%の条件下で、上記試験用タイヤのスチールブレーカーから切り出した加硫ゴムの複素弾性率E(MPa)及び損失正接tanδを測定した。Eが大きいほど剛性が高く、操縦安定性に優れることを示し、tanδが小さいほど発熱しにくく、低燃費性に優れることを示す。
(引張試験)
上記試験用タイヤのスチールブレーカーから切り出した加硫ゴムからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、室温にて引張試験を実施し、新品時の破断伸び(EB(%))を測定した。また、上記加硫ゴム組成物を空気雰囲気のオーブンに入れ、80℃で168時間を酸化劣化させた後、同様の方法でEBを測定した。EBが大きいほど、耐久性に優れることを示す。
(接着試験)
上記試験用タイヤのスチールブレーカーに対して接着試験を行い、剥離後のゴム被覆率(スチールコードとゴム間を剥離したときの剥離面のゴムの覆われている割合)を測定し、5点満点で表示した。また、上記試験用タイヤを温度80℃、湿度95%の条件下で150時間、湿熱劣化させた後、同様の方法で剥離後のゴム被覆率を測定した。5点は全面が覆われ、0点は全く覆われていない状態を示す。評点の大きいほどスチールコード接着性が良好である。
Figure 0006682949
Figure 0006682949
表5及び6より、イソプレン系ゴムと、特定のカーボンブラックと、有機酸コバルトと、式(I)で表される化合物とを所定量含有する実施例は、低燃費性及び耐久性(破断伸び、スチールコード接着性)がバランス良く改善された。また、操縦安定性も良好であった。

Claims (5)

  1. ゴム成分と、窒素吸着比表面積が20〜130m/gのカーボンブラックと、C5系石油樹脂と、下記式(I)で表される化合物とを含有し、
    前記ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が60〜100質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックの含有量が15〜70質量部、前記C5系石油樹脂の含有量が3質量部以上であり、
    前記カーボンブラック100質量部に対する下記式(I)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であるゴム組成物を用いて作製したアンダートレッドを有する乗用車用タイヤ。
    Figure 0006682949
    (式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
  2. 前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、硫黄を2.5〜6.0質量部含有する請求項1記載の乗用車用タイヤ。
  3. 前記式(I)で表される化合物が下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物である請求項1又は2記載の乗用車用タイヤ。
    Figure 0006682949
    Figure 0006682949
    Figure 0006682949
  4. 前記金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンである請求項1〜3のいずれかに記載の乗用車用タイヤ。
  5. 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が60〜130m/gであり、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が50〜70質量部であり、
    前記カーボンブラック100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5〜5質量部である請求項1〜4のいずれかに乗用車用タイヤ。

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